とある彼等の想起事変__All stories eye color Talks__

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とある彼等の想起事変__All stories eye color Talks__

投稿 by ヒーステイル on Thu Oct 08, 2015 6:49 pm

とある彼等__All stories eye color Talks__





達を寄せ集めたのは他でもない__私よ

は仕事をこなせればそれでいいと思っている。違うか?

つまでも僕は一緒にいるさ。時間が許す限り・・・まあ、許してくれる気なんてなさそうだけど

したい、殺したい、殺したい!ああ、すげぇワクワクして収まんねえ!

い出した・・・あの阿呆・・・救ってくれたのは、アイツなんかじゃなくて・・・!

方の全てを信じていた!それが間違いだったのね・・・もう、いい。お前をここで止める

んたは間違っている。俺は、血に濡れた末裔だ!あんたを父親だなんて思ったことは、一度もなかったよ

れは貴様が仕出かした、のか・・・?流石に私でも、尻拭いは出来ないぞ__








これが、語られることのない繰り返された悲劇の物語












謝罪


またやってしまった・・・

すみませんヒースです。短編の予定です。お目汚し本当にすみません・・・!
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Re: とある彼等の想起事変__All stories eye color Talks__

投稿 by ヒーステイル on Fri Oct 09, 2015 6:34 pm

登場猫紹介



オーシャンアイ【海の目】
黒い毛皮に青い瞳の雄猫。
真っ直ぐな性格。遠慮がなく、突っ込んだ言動をよくするが、天然気質なところも多々あり。

ティアーアイ【涙の目】
白っぽい淡い灰色の毛皮に水色の瞳の雄猫。
オーシャンアイの親友。穏やかで優しいが、怒らせると一番怖い。

スターアイ【星の目】
斑のある淡い茶色の毛皮に真っ黄色の瞳の雄猫。
ダスクアイの親友であり真逆の位置に立つ。ひたすら元気で馬鹿。何も考えず本能だけに頼る脳筋。狂気的な一面も。

ダスクアイ【夕闇の目】
縞の入った濃い灰色の毛皮に橙色の瞳の雄猫。
非常に面倒くさがり屋な性格で、口も悪い。素晴らしい頭脳を持つが、発揮することは少なく、働いたら負けかなと思ってる。

マローアイ【ゼニアオイの目】
白黒の毛皮に菫色の瞳の雌猫。
自分にも他人にも厳しい少女で、ぶっきらぼうな口調。頑なな性格で負けん気が強いが、好きな猫の前だと赤くなるなど、可愛らしい一面も。名前が似合わない、とコンプレックス。

ベインアイ【葉脈の目】
虎柄の焦げ茶色の毛皮に緑の瞳の雄猫。
体格のいい青年。あっけらかんとしていて、穏やかで隙がありまくりに見えるが・・・。うざがられつつ皆の良きお兄さん。

フォッグアイ【霧の目】
艶のある赤茶色の毛皮に白銀の瞳の雌猫。
賢明で大人し目な性格。我関せず、といった言動をよくし、傍観しつつ軽口を叩くスタイル。が、決して協調性がないというわけではなく、ベインアイと同い年の頼れるお姉さん。仲間に対して依存性が高い。

フロントアイ【正面の目】
うっすら縞のある毛足の長い白い毛皮に黒い瞳の雄猫。
仲間たちに振り回される苦労人。お人好しで、ヘタレでビビリで事なかれ主義を心がけているが、効き目はない。スピードだけは一番。


ルビーカンパウンド【ルビーの複眼】
黄金色の毛皮に蘇芳の瞳の雌猫。
8匹を束ねる女リーダー。愛称はルビー。大集会には一切参加せず、スターの名ももらっていない、謎に満ちた猫。オーシャンたちからは慕われ、我が子のように可愛がっているが・・・。


最終編集者 ペイルヒース@とある彼等の想起事変 [ Mon Dec 07, 2015 3:59 pm ], 編集回数 2 回
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Re: とある彼等の想起事変__All stories eye color Talks__

投稿 by エーテルレイン@停止中 on Sat Oct 10, 2015 5:16 pm

素敵でかっこいいプロローグですねw
オーシャンアイなど名前がかっこいいですw
執筆ファイトです!w
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Re: とある彼等の想起事変__All stories eye color Talks__

投稿 by ヒーステイル on Sat Oct 10, 2015 6:40 pm

プロローグ






 この黒い夜空の中、輝いている星が見える。こんな世中でも純粋で綺羅びやかな星に光は灯るのだ。小鳥の話す”天の猫”ならぬ もう還らない猫達も、あそこから俺を見下ろしているのだろうか。





 「ウィンド、シャドウ、どうしてなんだ?何故俺達の意見に賛成してくれない」逞しい肩を強張らせ、雄猫が言った。口調はあくまで穏和だが、光る目は2匹の猫をしっかりと捕らえている。彼の後ろでは、固く口を結んでいるが賛同するように頷くもう1匹の雄猫がいる。

 「彼等を助けるべきだ!俺達には救える権利がある。苦しんでいる子孫がいるんだぞ、どうして助けてやらない?」

 「助ける?どうやって?私たちに出来ること、それは、天に導くことだけでしょう」しらっと言ったのはシャドウだ。「サンダー、リヴァー、貴方達はスター族を増やしたいの?それも、信仰の行き届いていない異国の部族猫を」

 喉の奥でサンダーは唸る。「そういう事じゃないだろう!ここに導くんじゃない。手を貸してやれることだってあるはずだ」

 「例えば?」そう切り返したのはウィンドだ。影のように辺りの暗闇に紛れているが、目は挑戦的に光っている。「まさか、具体的な案もなしに提案してるんじゃないでしょうね?」

 「だからそれを考えようと言っているんだろう!」リヴァーが思わず、といった様に顔を勢い良く上げて声を荒げた。「これだから雌は嫌いなんだ」吐き捨てるように言う。サンダーの肩を持つというよりは、個人的な苛立ちをぶち撒けただけなようだ。

 「さっきから怒鳴ってばっかり!うるさいったらありゃしないわ」ウィンドも負けじと言い返す。普段は意思疎通というものをしない2匹だったが、この時ばかりは肩を並べて共に敵対する雄猫たちを睨んでいた。

 シャドウが荒々しく溜息をつき、雄猫達を見上げた。「私達だって助けてあげたいわ。でも、自分の足元の部族猫達も崇めていないスター族に何ができると言うの?異国の猫より、育て上げるべき部族を見守ったほうが、賢い判断じゃない?」

 「つまりは、スター族信仰を植え付けたいってことだな」苦虫を噛み潰したような顔でリヴァーが言った。「そこまでして自分を拝ませたいってのか?理解できないよ。する気もないがね」

 リヴァーとシャドウの視線が激しくぶつかり合った。シャドウの発する威嚇とリヴァーが爪を鳴らす音が重なり合う。

 やめろ、とサンダーが間に割って入った。「俺達は話し合いをしたいんだ。暴力で解決したら、手助け所じゃなくなる」

 じろりとサンダーを見、リヴァーが一歩下がると、シャドウも顔を顰めながら引き下がった。それを見たウィンドも溜息をつく。疲れ果てたような、年老いた息だった。

 「ねえ、もう止めましょう?」ウィンドが尚も疲れた声で言った。「サンダー、異国の彼等は、本当に天に助けを求めているの?私には何も感じないわ。どうして、彼等が助けを乞うてると思うの?」

 サンダーはウィンドに頷く。「俺は彼等をずっと見ていた。苦しみ、哀しみ、絶望する姿を。天に願っている所も見た。もう見過ごしていられないよ」

 「それって全員の話?」鋭い声で問うたのはシャドウだ。相変わらずつっけんどんだが、的確に理性を持って訊いている。

 サンダーはぎくりと肩を強張らせ、首を振った。「いいや、一部だ」

 ウィンドが柔らかい動きで尻尾を振り、サンダーを宥めた。「貴方が心配する気持ちも分かるわ。でも、私たちは自分の部族に精一杯でしょう。彼等の事は彼等の先祖に任せて、私達は__ 」

 「彼等に救ってくれる先祖などいない!」サンダーは大声で言った。「もしかしたら、あの地にとって最初の部族が彼等と彼等を貶めている猫なのかもしれない。いたとしても、苦しみ続ける彼等に差し出される手はなかった!」息を切らした後、彼はゆっくりと頭を垂れた。

 2匹の雌猫は押し黙り、辺りは沈黙に包まれた。耳を澄ませば、静寂の中、”彼等”が嘆き悲しむ、あるいは絶望に飲まれ掠れた呼吸をする声が聴こえる気がした。

 不意に__リヴァーが息を飲んだ。サンダーがばっと顔を上げ、シャドウが体を強張らせて悲しみに暮れた目をし、ウィンドが力なく首を振った。



 「__死んだ」



 サンダーが見守り続けたうちの1匹の少年が死んだ。今、とある悲劇が巻起ころうとしている。助けを出さなかったスター族は、これを闇に葬り去らなければなるまい。



 例えそれが、繰り返されることになろうとも。


 天の猫たちは、為す術もなくまたそれを隠すことしか考えてはならないのだ。













 初代族長たちが哀悼の意を表してる間も、ある雌猫は考え続けていた。




 ”彼等”を救う、ただ1つの方法を。








最終編集者 ペイルヒース@ヒース [ Sat Oct 10, 2015 6:59 pm ], 編集回数 4 回
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Re: とある彼等の想起事変__All stories eye color Talks__

投稿 by ヒーステイル on Sat Oct 10, 2015 6:41 pm

エーテルレイン wrote:素敵でかっこいいプロローグですねw
オーシャンアイなど名前がかっこいいですw
執筆ファイトです!w




ありがとうございます!
名前かっこいいですか?イメージだけで適当に選んだんでなんかお恥ずかしい・・・w
お互い頑張りましょう!
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Re: とある彼等の想起事変__All stories eye color Talks__

投稿 by ヒーステイル on Tue Oct 13, 2015 5:56 pm

COUNT 1st







 例え血が繋がってなくたって、部族に入ってしまえば皆家族さ!子猫たちは自分の弟妹だし、年長者はお兄ちゃんお姉ちゃんのように可愛がってくれるよ!ね、素敵でしょう?


 __って

 誰だそんなホラ吹いた奴。


 「どうしたの、そんな怖い顔して」くすくすと俺の頭上から笑い声が聞こえた。見上げると、そこに居たのは案の定赤茶色の雌猫。

 「わかりきってること訊くなよ」俺は彼女に噛みつくように言った。実際噛み付いたらズタズタにされそうなのでしない。「俺が今日誰にいつ起こされたか知ってる?スターアイにだよ、それも朝とも言えない夜明け前だぜ!?」

 雌猫、もといフォッグアイは木の枝に体を落ち着かせ、愉快そうに笑っていた。不思議の部族のアリスポーにこんな猫いなかったか。

 「しょうがないじゃない。スターアイはスターアイだから」その口調に諦めを感じたので、俺も泣き寝入りするしかないようだ。寝たらまた起こされるんだろうけど。

 俺が振り返ると、空き地を横切って焦げ茶色の虎猫が歩いてきているところだった。

 「おはよう、フロントアイ、フォッグアイ」虎猫はほわんと穏やかな笑みを浮かべて挨拶をした。「今日は早いね?」

 「おはよう」「おはよう、ベインアイ」挨拶を返す。上からフォッグアイの私はいつもこのくらいに起きてるけどねとぼやく声が聞こえた。

 「生憎朝から獲物がないね」とベインアイが肩を竦める。大柄な彼が肩を竦めても全く小さく見えないのが不愉快だ。

 ばしっと爪を引っ込めた前足で背中を思いっ切りはたくと、ベインアイが素っ頓狂な声を上げて跳び上がった。うわあ不憫不憫。

 へたり込んで休んでる所にフォッグアイが「あんま虐めないの!」と俺に向かって言いながら、叩いた背中の上に着地されて、今度こそベインアイは召されてしまったようだ。

 今度花でも添えておこう。

 「どうせスターアイとダスクアイは狩りにいってるんでしょ?」自分で問いながら返事も待たずに俺は歩き出した。「早く帰ってこないかなあ」

 俺達の暮らすキャンプは、大きな岩に囲まれた空き地だ。岩の間に、根を争うように張ったシダやハシバミの茂みが部屋。キャンプの一番奥にある茨と岩が重なってできた所が、族長部屋だ。

 俺は正直言って一族の縄張りが好きではない。木は高いし日光が入ってくるのには偏りがあるし、なにしろ兎が少ない。俺は一番兎が好きなのに。

 こんなこと言ったらたぶん殺されるだろうから絶対言わない。でもきっとバレている。

 俺は空き地を横切り、族長部屋へと近付いた。通称レッドストーン。別に赤いわけじゃない。ただ、そこの住人をイメージして、皆が勝手につけたのだ。

 「おはようございます、ルビー」俺が入り口から顔を覗かすと、族長はにこりと笑った。寝起きとは思えない、しゃきっとした身だしなみをしている。

 「おはよう。今日は皆早いわね」ルビーは感心するように頷く。俺も苦笑をして調子を合わせて曖昧に首を振った。奴らに起こされて詰ってたなんて言えない。

 でも俺を見据える目は相変わらず鋭い。怒ってるわけでも、責められてるわけでもないのに、何故か申し訳ない気持ちになるのだから不思議だ。ひょっとして、ルビーは心が読めるんじゃないかしらと真剣に思ったこともある。

 それでもこの部屋には、族長という身分を気にすること無く立ち寄れる。そういうところが大好きだ。

 キャンプの向こうから足音が聞こえてきた。俺は「ひっ!?」と驚いて振り返ってから、顔を赤くする。この足音はあのコンビに決まってる。やっぱり俺はビビリだ。

 ルビーはそんな俺を笑うでもなく、尻尾で柔らかく撫でると、「帰ってきたようね」と呟いて部屋を出て行った。

 「俺も、いつかあんたみたいになりたいな」誰にも聞こえないくらい低い声で言う。俺も空き地に出た。

 すると、ちょうど2匹の猫がキャンプに転がり込んでくる所だった。いや、転がり込んできたのはスターアイだ。彼は、獲物でなく何かを咥えていた。

 __ダスクアイだ。

 「ダスクアイ!?」ベインアイが鋭い声で呼びかけ、彼等の元へ走っていった。

 スターアイは、ベインアイに呼ばれても、親友を離そうとしなかった。しっかりと首筋を咥え、ぼうっとつったっている。揺すっても反応はない。真っ黄色の目はこれでもかとくらいに見開かれている。

 フォッグアイが音もなく近寄って、そっと鼻をダスクアイの喉に当てた。安堵したその表情から、彼が無事なのを知る。全身からほっとして力が抜けたが、慌てて傍に駆け寄った。

 「おい、どうした?何があったの?」ベインアイが、スターアイの肩を小突いた。スターアイは目をベインアイへと向けたが、何も言わない。

 「いつも騒がしいくせに・・・」おいなんとか言えよ、と唸ると、フォッグアイに肩を押された。落ち着け。そう言われてる。俺は黙ってヒゲを撫でた。

 「ルビー!!」

 耳をつんざく大きな声。上げたのは勿論___一族1うるさいスターアイだ。

 「ルビー!どうしよう俺・・・!」スターアイは当然の事ながらダスクアイを離して大声でまくし立てた。目はかっ開いたままだ。「俺ダスクアイと狩りしてたんだよ!でっけぇ雉!でも途中で襲われてさ!木の上からひっかかれて、ダスクアイが俺庇ってこんなになっちゃった・・・」

 ルビーが落ち着け、とスターアイの耳をはたいた。それから、「高い木を利用した戦略だな」と呟く。ほんとに冷静だなこのひとは。

 「今オーシャンアイとティアーアイが応戦しにいってる」大声でスターアイが告げると、ルビーが出入り口の方に進み出て、俺達を振り返って尻尾を上げた。

 「全員配置につけ!2匹を助力しながら敵を仕留めるわ。いつも通りよ、出来るわね」彼女は力強い声で言うと、体をくねらせて高らかに咆哮を上げた。そして、雌にしては大きく雄にしてはしなやかな体を翻らせた。

 「よし、行くぞ!」ベインアイが足を踏ん張って毛を逆立たせ、一声唸って森に飛び込んでいく。それを合図に、スターアイとフォッグアイが後を追った。

 俺ら一族は、別名暗殺部隊。それを知るのは、各部族の族長だけだ。

 「今日の敵も強くないと良いんだけどっ・・・」俺は弱々しく言いながら森に走った。こんな俺を見るだけなら、きっと一族が暗殺部隊なんてわからない。

 暗殺というか、俺らが殺したいから殺してるだけなんだけどね。

 森の奥から、音の割れたつんざくような断末魔が聞こえてきた。
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Re: とある彼等の想起事変__All stories eye color Talks__

投稿 by L ͛k ͛ on Tue Oct 13, 2015 6:38 pm


遅ればせながら新小説おめでとうございます!

不思議の部族のアリスポーに吹かされたと思ったら、後半がこんなにもシリアスに……!?

ルビー率いるアイの名の猫たちは、部族から独立している暗殺集団、ということなのでしょうか?

そしてヒースさんの文章力がフローカスポー君の物語の時よりさらに洗練されていて本当に感嘆の声を上げました……!

つづきが楽しみです。シリアス系に飢えていたので、更新を首を長くして正座待機させていただきます!
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Re: とある彼等の想起事変__All stories eye color Talks__

投稿 by ヒーステイル on Wed Oct 14, 2015 5:03 pm

LK@『猫寮生活』もうすぐ復活!! wrote:
遅ればせながら新小説おめでとうございます!

不思議の部族のアリスポーに吹かされたと思ったら、後半がこんなにもシリアスに……!?

ルビー率いるアイの名の猫たちは、部族から独立している暗殺集団、ということなのでしょうか?

そしてヒースさんの文章力がフローカスポー君の物語の時よりさらに洗練されていて本当に感嘆の声を上げました……!

つづきが楽しみです。シリアス系に飢えていたので、更新を首を長くして正座待機させていただきます!


コメントありがとうございます!
後半ちゃんとシリアスに見えていたようでほっとしましたw一族については後々明かされていきますが、短編なので雑になりかねません(´・ω・`)無念。
この小説はすごく、本当に、雑な設定のもと雑にかいたので、ピースウィッシュの時より、と言われてすごく驚いていますw(雑にかいたほうが読みやすいのかしら私)
シリアスとコメディ(?)を交えながらやっていきたいと思います。師匠も執筆頑張ってください!
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Re: とある彼等の想起事変__All stories eye color Talks__

投稿 by ヒーステイル on Wed Oct 21, 2015 5:08 pm

COUNT 2nd








 目の前を走るベインアイの尻尾が高々と上がった。作戦開始の合図だ。俺は走りながら胸を反らせ、甲高く鳴いてそれを知らせた。

 遠くの方から、フォッグアイと、恐らくオーシャンアイとティアーアイと思われる声が帰ってくる。どうせいつもスターアイは興奮して返さないから放っておく。

 驚いたことに、ダスクアイの返事もきこえた。ベインアイがぎょっとして緑の目を丸くし、それから優しく微笑む。ほんと、あいつの回復力には驚かせられる。

 「フロントアイ、お前は囮をやってくれ。頼んだよ」前をゆくガタイの良い雄猫はそれだけ言うと、ぱっと身を翻して茂みの向こうに消えていった。

 「はあ!?え、ちょっと待ってよ!」そう叫んで俺は急停止した。反動で足がすごく痛む。顔を上げた頃にはもう彼の姿はなく、俺は深く溜息をついた。

 目を上げるとそこは見慣れた雑木林だった。雑木林と言っても、下は荒れ地で木の数も多いわけじゃない。背高木が多いのだ。

 「なんで毎回こう、俺にやらせるかねえ・・・!」フーッと独り唸るがもう後戻りは出来ない。怖いと言って逃げ出したらマローアイから繰り出される往復ビンタで腫れ上がった顔で一族追放がオチだ。奴らならやりかねん。

 枝に前足を掛け、素早く登った。樹皮に爪を立てる前に滑ってひとつ下の枝に何回か落ちた。こんな所見たら、きっと仲間も俺に囮をやらせるのを止めるだろう。いや、その前に蔑みの目で見られるから、やっぱり見られないほうがいいのかも知れない。

 そこそこ高い所まで登ると、ティアーアイの姿が見えた。刹那の時間だったが、爪を全開にして毛を逆立てて居た。それは、敵がまだ戦る気満々だという知らせでもあり、俺は胸が疼くのを感じた。

 しっかりと後ろ足で踏ん張り、隣の木へと飛び移る。猫のくせにヘマをやらかすようなことはしたくない。尻尾でなんとかバランスを取りながら、やっと敵の姿をみることが出来た。

 一匹は焦げ茶色の虎柄の雄猫だった。爪をむき出し、立ち止まっている。偉そうに顎を上げ辺りを警戒している姿が癪に触った。しかし、あれに喧嘩を吹っ掛けようものなら話は別だ。

 もう一匹は黒い雄猫だった。虎猫の後ろで、怖ず怖ずといった様子で目を巡らせている。オーシャンアイであろう黒い影が見えると、これでもかとくらいに縮み上がって虎猫に怒鳴られる始末だ。

 まさか。俺の喉の奥から奇妙な笑い声が漏れた。たった二匹で来たって言うのか?この暗殺猫集団に?俺以外は皆強いんだぞバーカ!

 心の中で罵ってから深呼吸をする。何度経験しても怖いものは怖いのだ。見ろよ、虎猫のあの逞しい脚。俺なんかきっとズタズタにするのに1分とかからないだろう。

 「そこどけお前ら!!」勢い付けて思い切り跳んだ。悲鳴を上げて後退った黒猫がさっきまで居た場所に見事着地すると、俺は虎猫を掠るようにして駆け出した。心臓が煩く鳴っている。

 呆気に取られ固まっていた虎猫は、見る見る内に毛を逆立て、逞しい筋肉で盛り上がった肩を怒らせた。「小僧・・・!」

 俺一匹だったら確実に死んでただろう。そんな寒気がして、俺は尻尾を二倍近く膨らませたまま、茂みに飛び込んだ。虎猫が怒りの声を上げて続く。黒猫は尻込みしたままだった。

 虎猫は飛び込んだのだ。

 橙色の目が光る闇へ、自ら。

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Re: とある彼等の想起事変__All stories eye color Talks__

投稿 by ヒーステイル on Fri Oct 23, 2015 7:21 pm

COUNT 3th







 茂みに飛び込んだ俺はまず、隣から発せられる殺気におののいた。苛立ちの匂いが伝わっていて、ごくりと息を飲む。こいつがこんなにも「面倒臭え」以外で怒っているのは初めてだ。

 「おい、どこに行った!」虎猫の熱い息が尻尾にかかる。ひっと声を上げそうになるのをなんとか堪え、狭い茂みから這い出し、こわごわ振り返った。

 のそり、と縞のある濃い灰色の猫が茂みから頭を出した。中に肩を突っ込んでいた虎猫はギロリと彼を睨み、後退って茂みから出る。

 ダスクアイはゆっくりとした動作で茂みから出た。威嚇する虎猫の声は聞いていない。否、右から左へと流しているのだ。

 ダスクアイが顔を上げた。木々のせいで影った顔は眉間に皺がよってなんとも恐ろしい。鬼がいたらこんな感じなんだろう。ダスクアイ怖ぇよ!

 虎猫も挑戦的に顎を上げ、「なんだ?」と凄んだ。「お前のような小柄な猫が、俺に勝てるとでも?馬鹿め、俺は__ギャッ!?」次の瞬間、甲高い声を上げ、ダスクアイに見せつけるように力を入れていた虎猫の体は吹っ飛んだ。その喉元には、ダスクアイが噛み付いている。

 「よう、トラ公」ダスクアイは笑顔で固めた口から唸り声で言った。自分のことじゃないのに、俺の毛という毛が寒気で逆立つ。「よくも俺を酷い目に合わせてくれたな?馬鹿みたいに爪振りやがって・・・おい、そのへんはどう思ってるんですか、体格のいいスーパーヒーローさん?」

 彼の皮肉に、虎猫は激しく唸る。「いつまで上にいやがる!どけ、邪魔だ!」しかし、いくら暴れても、ダスクアイは上をとったまま動こうとしない。ダスクアイはウエイトこそないが、素晴らしい戦略家だった。

 「面倒くせえな」ダスクアイは深く溜息をついた。いや、こんな暴れさせて面倒くさくさせてんのアンタやろ。

 ダスクアイの橙の目が鋭く光った。不気味なほど感情のない顔で鉤爪を振り上げる。虎猫が掠れた悲鳴を上げた。

 その時だった。俺の横から閃光が駆け抜け、ダスクアイを突き飛ばした。いや、彼はどかしたつもりだったのだろう。そう、部族一、いや世界一面倒くさい、スターアイだった。

 「っ!」ダスクアイは砂埃を上げて転がった。そして怒号をあげる。「なにするんだ、この阿呆!」

 「ごめんて!」スターアイが謝る。ダスクアイが退いたと思えばすぐ別の猫に上をとられ、虎猫は呆気にとられて固まっていた。

 「俺にも殺らせてくれよ!さっきも狩りできなくて暇だったしさー」にこにことスターアイは笑う。見開かれた目は爛々と光っていて、いっそ恐ろしかった。

 どこからともなくフォッグアイが俺の隣にやってきて、「狂喜的よね」と呟いた。

 俺は頷く。あいつは敵でも見方でも厄介だ。

 スターアイが虎猫の鼻面を殴った。虎猫が声をあげる前に、もう一発。彼は感嘆の笑い声を上げると、虎猫の耳を引っ掻いた。

 上を取られた虎猫には、何も出来ない。俺達は、ただ黙って見ていた。

 その時、ベインアイの声がした。「そこまで!」

 焦げ茶色の雄猫がスターアイの横に現れ、そっと言う。「そこまで。そこの2匹はもう帰れ。そして、二度とくるんじゃ無い。お前、見習いをつれてこんなことして何が楽しい?今度来たら、命はないと思ってね」淡々とした、穏やかな声。だからこそ、ゾッとするものがあった。

 突き飛ばされ転がった姿勢のまま寝やがったダスクアイを起こし、俺達は虎猫を睨んだ。

睨まれた虎猫は荒々しく鼻を鳴らす。鼻の穴から一筋の血が垂れ、虎猫はそれを前足で拭った。「お前ら、こんなことして助かると思ってるのか?俺は副長になり、サンダー族の族長になる日もそう遠くはない。俺が族長になったら、毎日情けなく体を丸めて、せいぜい身を守っていたらどうだ?」憎々しげな声で唸った。

 「僕達の縄張りにズカズカ入り込んで、狩猟部隊に襲いかかったのはお前だろ」ティアーアイが吐き捨てる。お前たち、とは言わない所に俺の大好きな優しさが出ている。

 「それに、今の族長はブルースターで、副長はレッドテイルだろう」その横で、オーシャンアイが不思議そうに言った。「お前は彼等を差し置いて、そんな大きな事を言っているのか?それは、サンダー族も大変だな」

 オーシャンアイは決して馬鹿にしているのではなく、素で言っているだけなのだ。怒って眉間に皺をよせる虎猫の顔が般若のようだ。「お前らのような変わり者の寄せ集めの一族に言われたかないな」虎猫は首の毛を逆立てると、くるりと背を向けて歩き出した。「おいレイヴンポー!もたもたするんじゃない。行くぞ!」

 はいっと跳び上がった黒猫は、俺達を恐る恐る振り返り、小さな声で誰ともなく呟いた。「タイガークローがあんなに早く負かされるの、初めて見た・・・」背中を丸め、彼は走り去って行き、残されたのは俺達だけとなった。

 「なんだあのおっかない猫・・・」俺はいなくなって心の底からホッとしていた。「捨て台詞も怖いな。あんなに野心むき出しの猫、初めて見た・・・」

 俺的には、とベインアイが苦笑する。「ティアーアイの方が怖かったけどね」彼はマタタビの摂り過ぎでしょっちゅうティアーアイに怒られてるのだ。何かが植え付けられているに違いない。

 かく言うティアーアイは穏やかに笑ってそれをスルーすると、数歩歩いて俺達を振り返った。「さあ、返って報告しよう」

 やっぱり彼の半分は優しさで出来ている気がする。







 「まあ、初めにあの馬鹿に襲いかからなかったのは、アッチ側を賞賛ですね」真顔でルビーに報告しているのはダスクアイだ。「あいつが倒されてたら、俺がすぐ助けを求めに行きました」

 ルビーは否定せず苦笑する。「戻って体を休めるよう、皆にも伝えてくれ。疲れているだろう」

 ダスクアイが一礼して部屋を出て行くと、ルビーは深く息を吐いて宙を見た。「失敗、か」
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Re: とある彼等の想起事変__All stories eye color Talks__

投稿 by ヒーステイル on Tue Oct 27, 2015 6:32 pm

COUNT 4th








 誰もが寝静まる森の夜は暗い。見上げる先には満点の星空が広がっているが、その光が猫の瞳に映ることはなかった。

 昨日までは。

 今、森の中のサンダー族の縄張りにあるキャンプの中央には、一匹の雌猫が夜空を見上げていた。青灰色の毛皮を持つ、歳を重ねた女族長。ブルースターだ。

 「ああ、スター族様」ブルースターはそっと呟いた。星を映す彼女の瞳は輝いている。「彼等は一体、何者なんでしょうか?ルビーカンパウンド率いる暗殺部族・・・。彼等は闇に覆われている。スター族様は、ルビーカンパウンドがスターの名を受けないことを、お怒りではないんですか?」

 今日も星はブルースターの求める答えをくれない。年老いたブルースターは深く溜息をついて、交差した前足に顎を乗せた。

 「一族を火が救う・・・」スポッティドリーフはそう言ったが、あの未熟な雄猫がサンダー族を救うなんて考えられない。正義感が強く闘志こそ立派なものだが、それはグレーポーやサンドポーも同じだ。経験豊富な戦士たちを差し置いて、彼が上に立つ日など、ブルースターには分からない。

 「今日、タイガークローが鼻に傷を負って帰ってきた」怯えたレイヴンポーをつれて、とブルースターは尻尾をぱたり、ぱたり、と揺らす。虎猫は狩りに失敗したと言っていたが、果たして本当か。

 あの戦士を疑いたくはないが、あの傷は、訓練された強い猫のものだ。体に微かに残っていた匂いは、明らかにあの部族のもの。

 一瞬湧いてきた怒りを、ブルースターは必死に押し殺した。今はタイガークローの犯した失態のことを考えるべきではない。重要なのは、彼等のことだ。

 「あの部族がいる限り、私たちに平和は訪れない」ブルースターの声はひどくしゃがれた。「スター族は、私たち、4つの部族に、何か隠しているわ。きっと、それを教えられるのは

 __この9つの命が終わったころなのね」







 ブルースターが星の問うのを諦め、部屋に引き上げた頃。ルビーたちの縄張りでもまた、一匹の雌猫が空を見上げていた。

 赤っぽい毛にそぐ合わない、淡い色の瞳の、フォッグアイだ。

 彼女はしなやかに空き地に腰を下ろし、夜空を見上げて考えていた。それは、スター族にへの言葉ではない。己自身への問いだった。

 「幼い頃から不思議だった」フォッグアイはだれともなく言った。「どうして、暗殺のための部族がいるのか。どうして孤立した状態で、この部族が出来たのか」

 この部族の創立者はルビーだ。それより前の族長など、いない。

 しかし彼女は若すぎる。熟練された壮年戦士だが、経験ではブルースターやホワイトストームの方が上だろう。どれだけカリスマ性を持ち合わせていても、それは変わらない。

 でも、フォッグアイは、その答えを知っているような気がした。何故私たちは殺しをしているのか。どうしてルビーはこの部族を立ち上げたのか、そして__

 

 「私は、ずっと昔から、彼等のことを知っているわ」







 スターアイは夢を見ていた。その隣で体を丸め、眠るダスクアイも、夢を見ていた。シンクロする、同じ世界だ。

 夢の中で、2匹は幼い子猫だった。生後8ヶ月といったところか。瞳はもう鮮やかな色に染まっている。

 ダスクアイはは嫌な匂いのする鎖で繋がれていた。二本足によるものではない。彼を意地汚い笑みで罵る者__猫たちだ。

 「ダスクアイ!」スターアイは堪らず叫んでもがいた。幼い体はもろく、猫を押しのけようとすると跳ね返される。しかし、次の瞬間、ダスクアイを笑っていた猫の影がすうっと消え、スターアイは喜びの唸り声を上げて親友の元へ駆け寄った。

 「さあ逃げよう!」スターアイはダスクアイの肩に鼻面を押し付けた。驚くことに、ダスクアイの鎖が霧のようになって消えていった。

 だが、すぐにはダスクアイは立ち上がらなかった。訝しい気持ちが橙色の瞳を満たす。「すぐに追手がくる。そしたら、お前も捕まっちまう」

 スターアイは地団駄を踏んで唸った。「追手が来たら俺が噛み殺してやる!だから行こう!俺達は自由だ!」

 2匹は駆け出した。朧気な景色が流れていくのは、2匹の記憶が曖昧だからだろうか。それとも、夢が作り上げたオリジナルの世界だからだろうか。

 後ろの方から雄叫びがあがった。ぎょっと2匹の子猫は振り向く。複数の激しい足音がきこえてきて、悲鳴を上げて走った。「追いつかれる!」

 その時、2匹の目の前に社が現れた。尻尾2本分ほどの高さだ。

 「君たち、ここに隠れて!」

 ダスクアイははっと顔を上げる。しかし、声の主を探している余裕はない。2匹は社に飛び込んだ。スターアイがダスクアイに体を押し付け、声を上げないよう尻尾を噛んだ。恐怖で引きつる体は温かい。

 よかった。無事だ。2匹は安心してそっと喉を鳴らした。

 足元には、赤い花弁のようなものが散っていた

 





  ___夢か」

 











 「なんだよダスクアイ・・・」俺は間抜けな声をあげて友人を見た。戦士部屋の入り口から、白っぽい淡い光が入ってくる。もう朝のようだ。

 灰色の縞猫は、もう眠りに落ちていた。ひとを起こしといて寝るのはノビターポー並かよ!などと唸っても殴られるだけなので大人しく部屋を出る。

 空き地には、フォッグアイとマローアイとオーシャンアイが居た。フォッグアイはぐーっと伸びをし、マローアイはきょろきょろと首を巡らせている。オーシャンアイは毛づくろいをしながら爪を研ぐという、かなり器用なことをやっていた。

 「おはよう、オーシャン」と声をかけると、黒猫は青い目を上げて、「おはよう」と律儀に答えた。彼は真っ直ぐな性格なのに、どこか抜けているという可愛い一面も持つので、声が硬いことは対して気にならない。

 「今から狩りに出かけるところだ。フロントアイもどうだ?」

 「うん、行くよ。マローアイ達も行くの?」

 さあ、とオーシャンアイは首を傾げる。編成をしてないところがまた抜けている。彼は仕事に対してはきっちりきっかりだが、こういう自発的な気晴らし程度のものだと、天然を発揮するのだ。

 「ああ、私も行こう」

 きいていたのか、白黒の雌猫が顔を上げて割り込んできた。

 それじゃあ行くか、とオーシャンアイが爪を研ぐのをやめると、族長部屋からルビーが出てきた。黄金の毛皮が朝日できらめいている。

 「おはよう。狩りに出るのか?さっき、ティアーアイとベインアイがパトロールにでかけた」ルビーは伸びをしながらいった。蘇芳の目が、一瞬きらっと輝いた。「仕事が一区切りついたら、合流して。ベインアイ達に要件は伝えてあるわ」

 ベインアイという単語に、マローアイが耳を立てて反応した。俺はちょっと心配になる。ベインアイはまた不憫さを発揮してないだろうか。

 残ってる猫たちも向かわせるから、とルビーが言うと、フォッグアイが首を傾けて嫌そうに言った。「え、私も行くんですか?」面倒くさい、とそのイジけた顔が語ってる。

 「まあそう言うな」じゃあ頼んだ、とルビーは微笑して部屋に戻っていった。







 「こっちこっち!」

 ティアーアイの声が響く。一団は獲物を埋め、そっちの方へ走った。俺の胸にはまだ鳩の羽がくっついていて、気になってしょうがない。

 しかし一族一早い足を持つからには!と何となく自惚れながらドヤ顔で追い抜かしていったら、マローアイの鋭い鉄拳が飛んできた。雌って怖い。

 ともかく無事にティアーアイの元へたどり着くと、そこにはスターアイ達3匹の姿があった。

 「ベインアイは?」とマローアイが菫色の目を光らせる。

 「ここだよ」ひらり、とベインアイは木の上から滑るように降りてきた。マローアイの顔がぼっと火照り、2.3歩後退る。「貴様、いるなら最初っからいろ馬鹿!」

 ティアーアイが「まあまあ」と割って入り、オーシャンアイに可笑しそうに耳打ちした。オーシャンアイは不思議そうに首を傾げるばかりだ。

 「それにしても、二本足の住処に何のようかしら?」フォッグアイが瞬きをしながらきく。俺達の前には、フェンスが立っていた。その向こうは__そう、二本足の家だ。

 ベインアイがくるりと振り返り、静かな声で言った。

 「今から会う飼い猫に、あまり失礼は言わないでよ。彼は、俺達の部族の創立関係者であり、ルビーの長年の、ただひとりの友人なんだ」




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Re: とある彼等の想起事変__All stories eye color Talks__

投稿 by ヒーステイル on Wed Oct 28, 2015 5:49 pm

COUNT 5th








 「飼い猫!?」

 誰だ、こんな素っ頓狂な声上げた奴。俺だ。

 そう、とベインアイは頷いてみせた。どうやら、こいつはルビーから聞いているらしい。果たして全てかは定かでは無いが。

 「飼い猫って・・・ルビーの長年の友達?しかも俺達の部族を立ち上げた1匹って」俺の言葉は、無意識に飼い猫を詰るように連なった。不思議で堪らなかった。

 「彼は根っからの飼い猫だそうだけど、ルビーとは長らくの親友だったらしい。他のルビーの友人は、皆亡くなったそうだ」

 マローアイの白黒の毛皮が逆立ち、目がギンッと鋭くなった。「今から私たちは、二本足に近づくって言うのか?そんなもの、死にたい猫がすることだ!」

 「でもそれがルビーの望む事なの」フォッグアイが冷静な口調で、年下の戦士に諭した。今日の彼女はやけに静かだ。

 口を結んだマローアイはまだ不服そうだ。「こんなことするくらいなら、戦いの訓練をした方がいいだろう」と呟き、押し黙る。

 一番初めに騒いだ俺は、二本足の住処の方をすっと見上げた。このフェンスを音もなくよじ登り、目的の家に近付いて、後ろから・・・。

 念入りなシュミュレーションを終えた頃には、スターアイが騒ぎ出していた。
 「なあ行こうぜ!いつまで話してんだよ分かんねーよ!」

 フォッグアイ称する狂喜的な雄猫にダスクアイが一言、「阿呆」と毒づいてフェンスの傍にいく。飛び乗ろうとぐっと腰を下ろすが、彼はそのまま動かない。

 ・・・まさかコイツ。

 「はいダスクアイ途中で面倒臭くなって止めないー」

 「おお!フォッグアイ俺と一緒の思考だな!!」

 「貴方に言われても嬉しくないわフロントアイ」

 ひょい、とスターアイが軽々とフェンスに上り、金網を前足でバシバシ叩いて馬鹿のようにダスクアイを呼んだ。馬鹿だった。ダスクアイは面倒くさそうに親友を見やり、同じくフェンスに乗る。縞のある濃い色の尻尾が向こう側へ消えた頃、フォッグアイとマローアイがフェンスの上に立った。

 「じゃあ僕らも行こう、オーシャンアイ」ティアーアイが微笑し、ふわりとフェンスの上に足を掛ける。

 ああ、と返事をして黒猫も飛び乗った。金網がガシャリと揺れた。

 「どんな猫なんだろうな」と俺はベインアイを見上げた。焦げ茶色の猫はもうフェンスに乗っており、「ん?」と逞しい肩を斜めにして俺を振り返る。

 「さあね。俺も一度も会ったこと無いし。ルビーも特に言ってなかったな、その猫の内面的なことは」彼は青がかった緑の目をくるっと回す。

 俺は驚きつつ、フェンスをよじ登った。某超時限的猫たちのように華麗に飛び乗ることは出来ない。否、諦めたのだ。「お前も会ったことないんだ?じゃあフォッグアイもか。2匹はルビーの次に年を重ねてるのにな」

 そう俺が言うと、ベインアイは苦笑した。白い歯がちらっと見える。噛まれたら痛そうだ。「でもルビーとは随分年が離れてるよ。どっちかと言うと、お前らとの方が、年は近いね」焦げ茶の前足が伸び、ベインアイはフェンスから飛び降りた。

 間もなく、俺が合流すると、オーシャンアイとティアーアイ先頭に列を乱して歩き出した。屋根のカラフルな、穏やかな住宅地の中、戦士猫たちの逞しい体は不釣り合いだ。

 「やあ」

 突然、一団に声がかかった。穏やかな声だ。明らかに喧嘩を吹っ掛けるものではない。分かっていながらも、俺は首の毛を逆立ててびくっと飛び退いた。

 「そんなに驚かなくてもいいだろう?」その声と共に現れたのは、淡い銀灰色の毛皮に、初雪のような斑のある、すらっとした好青年だった。青灰色の瞳で、二本足の家の傍からこちらを伺ってくすくすと笑っている。

 「いやっ・・・」俺は耳を寝かして、体が恥ずかしさで火照るのを感じた。何を否定しようとしたのかは、自分でも謎だ。

 「ルビーに言われて、会いにきました」ティアーアイが穏やかな口調で告げた。しかし、来るかも分からない敵に備え、爪が半分ほど覗いている。殆どの猫がそうだった。

 青年は気分を害した様子もなく、「こっちに来てもらえるかい。私はここから出ないことにしていてねぇ」と尻尾で招く仕草をした。「カンパウンドとの約束事なんだ」一言付け足すと、「さあ、お話をしよう」と爽やかに笑うのだった。


 
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Re: とある彼等の想起事変__All stories eye color Talks__

投稿 by ヒーステイル on Thu Nov 19, 2015 7:06 pm

COUNT 6th









 「ルビーはなぜ俺達を貴方のところへ寄越したんだ?」座ってすぐにオーシャンアイが質問をぶつけた。

 そっからかあ。俺はしみじみとした思いで、天然のくせにキリッとした顔の可愛い黒猫を横目で見る。そりゃあ根本って大事だと思うけど・・・そっからかあ?

 ふふ、と青年が柔らかな笑みを零す。優男風な外見によく似合う、物腰柔らかな仕草だ。

 「それは私にもわからないね。ルビーは誰にも思いつかないことを思いつく。そうだろう?

 でも、私は私の考えで君たちに私の話をするよ。カンパウンドは、私の持つ情報の中で一番重要なことを君たちにしてほしい。そう解釈させてもらうよ。

 君たち、”みちしろ”・・・って知ってるかい?」

 淡い色の飼い猫の言葉に、俺達は首を傾げる。ミチシロ__字面は融代。

 「神の代わり。即ち生け贄って奴さ」

 青年は、まるで誰からも愛される、穏やかで不思議な御伽話を語ろうとしてるようだった。俺は、彼からただならぬ気配を感じて、ぐっと息を詰めた。きっと、コイツが最初の関門となるだろう。

 艶やかな尻尾は足元に線を描いた。その線をくるくるとなぞりながら、青年は言う。線は、やがて歪な形をした、2匹の猫になった。

 「昔々、ずっと昔、とある一匹の少年がいてね。彼はとても優秀だった。明るく人望もあり、誰からも愛されていた__自分が一番自分を愛していた。

 けれど、彼には1つだけ、自分を愛せないところがあった。それはね、」

 __目だよ。

 青年はゆっくりと顔を上げ、曇った空のような色の瞳を優しく歪ませた。

 赤茶色の毛皮が隣で波立つ。フォッグアイがまっすぐに青年を見つめながら、尻尾をきゅっと自分の体に巻きつけていた。

 こいつは何をしっている。俺は青年を鋭く見据える。肩に力がこもった。

 「彼は失望していた。人望も頭脳も艶やかな毛皮だってある。なのに、なんで僕の目は皆のように鮮やかじゃない?ってね。

 私は一種の才能だと思うよ。彼は、1つのコンプレックスに対して、抱えきれないくらいの嫌悪感を持っていたんだ。

 やがて、その嫌悪感は色を持つ瞳の他の猫へと移った。どうして僕にはないものがお前らにあるんだ__。

 自分を愛してやまない少年は、とある子猫に白羽の矢を立てた。その子は村一番の美しい瞳を持つ子でね。彼は、その子を”天の猫” に背き者として、排除しなくてはならないと、猫たちに伝えたんだ」

 歪な形の猫は、隣にもう1匹の猫を置いていた。尻尾で新たに描かれた線は、猫たちをぐちゃぐちゃに乱していった。

 「村猫たちを従えさせるのは簡単なことだった。明るく良い子だったその子は奥深くにとらわれてね。その子の親友は、日に日に村と、親友を陥れた少年への恨みを募らせていったんだ。

 融代は美しい瞳を暗く伏せたまま、親友は村を恨んで孤立したまま、月日は流れ、少年は優越感に爪を研ぐ青年に成長した。

 青年には優秀な子供も出来てね。その子供は、融代と同じくらい美しい瞳をしていた。けど、青年は融代に全ての鬱憤をぶつけることで、己の子供への妬みをなくしていたんだ」

 うっ、と誰かが小さな呻き声を漏らす。マローアイが光る歯をむき出しにし、胸をそらして苦しげに顔をしかめていた。

 他の奴の反応も、大体同じだ。

 ベインアイとフォッグアイは目を見開き、爪を地面に喰い込ませていた。呆然とするその姿は、まるで狼に出くわしたかのような、絶望が伺える。

 オーシャンアイとティアーアイはぴったりと身を寄せ合い、震えていた。傍目からは、仲の良い兄弟に見えるのかのしれない。だが、よく目を凝らしてご覧?彼等の口からは、今にも悲鳴が出そうじゃないか。

 そうやって悠長に皆を眺めていられるほど、俺には余裕があった。すうっと胸から前足にかけて冷えていく感覚。瞬きをして青年を射抜くと、彼の口元にはうっすら笑みが張り付いていた。

 「何がおかしい」
 俺は誰にもききとれないほど低く呟く。あいつは、俺を見て穏やかに笑っているのか?俺のことを知って。流石ルビーの友人というべきか。俺はぱしっと尻尾を素早く振り、青年を見返した。

 青年は淡い銀灰色の肩を竦め、ベインアイの目を覗きこむ。語っている本人も心に余裕があるのだ。焦げ茶色の大きな雄猫は、しっかりと顎を上げ、まるで族長のように__とまではいかないけれど、頼もしく先を促した。

 「まあ、そんなにいそがないでくれよ。君たちは、私と違って先も長いだろうに」

 「貴方だってそうだろう」素早く切り返したのはマローアイだった。きっと彼女なら、震える耳先も、武者震いだと言い張ってきかないのだろう。彼女はベインアイに一瞬だけ、暖かい視線を送り、また前を向いた。

 「そう言ってもらえると、ありがたいね。

 青年の子は、融代という存在に疑問を持ち、父親に問いかけた。当然、青年は憎いと理由を話す。そこで、優秀な子供は、初めて父に対して反発を起こすようになったんだ。

 そのころ、融代の親友は重い病にかかってしまっていた。自分だけが頼りの融代のために生きようともがきながら、村の看護猫の治療だけは頑なに拒み続けた。彼は、そうしてどんどん病を大きくしていった。

 融代も、村の猫たちが憎かった。でも、森の奥深くに囚われた当時は、まだほんの子猫だったんだ。今で言ったら、見習いかな?だから、村の長である青年の顔も名前も覚えていない。自分が囚われた理由さえ分からない。憎しみだけがつのっていったのさ」

 すると、青年の尻尾がふわりと宙を泳ぎ、再び地につけると、今度は歪な猫たちに、大きなバツ印を描いた。

 「しかし、親友のことは、憎しみよりも、どの感情よりも、大切に思っていた。融代に寄り添ってくれるのは、彼だけで、融代は彼という親友がいることにとても救われていたんだ。

 だからこそ、病を患う親友を諭すことにしたんだ。もういいよ、と。もういいから、早く病を治して、俺のことなんか忘れて幸せに暮してくれ・・・そう言った。

 親友はそれを静かに断り、彼の傍にいることを誓った。親友にとっても、融代以上に素晴らしい友人なんていなかったんだよ。お互い、お互いしかいなかった。

 でも、ある日__親友は死んでしまった」

 
 青灰色の目を上げ、青年はどこか遠くを見るように黙った。

 誰も、先を促そうとせず、じっと静止している。まるで時間が止まったようだった。

 青年は短く溜息をついた。それは、この昼下がりの短い時間に、彼が初めて見せる貴重な猫らしい、感情のこもった仕草だった。

 「融代は、支えを亡くして呆気無く命を断ってしまった。それは、青年が彼を隔離したことによる精神的苦痛と、まともに与えられない、出たと思えば腐りかけのやせ細った鳥のような、そんな食事からくる飢え、環境の悪い薄暗い湿った隔離場所からのダメージが蓄積されたが故だった。

 青年は大いに満足した。肉親である己の子が、激しい怒りで身を震わせていたことにも気付かないくらい、ね」


 そして、と青年は一旦口を閉ざす。意味ありげに、ベインアイとフォッグアイの年長者組に視線を向けてから、俺に向き直ってまた笑みを見せた。

 ___なんだ、コイツは。

 ぶわっと自分の背中の毛が一斉に逆立つのが分かった。唸りながら弾かれたように立ち、青年を真正面から睨みつける。

 「なんなんだよ、さっきから!?俺のことを馬鹿にしてんのか!」

 スターアイが驚いたように目を見開き、俺に跳びかかって肩を押して止めようとした。こいつにとっては、いきり立つ俺が単純に珍しかっただけなんだろう。他の奴らも薄情だ。それより、俺は目の前のコイツが煩わしくてしょうがない!

 なんだよその目は。俺を嘲笑ってるのか?

 青年は薄く笑ったまま、立ち上がりもしなかった。くそ、舐められてる。俺はぐっと足を踏ん張る。自分に今襲いかかる力がないのがまた憎らしい。

 「別に、馬鹿にしてなんかないさ」

 青年は尚も穏やかな声音でそう言い返し、真っ赤な舌でてしてしと前足を舐めた。淡い色の毛皮に映えるその赤は、異様に光って俺の目をくらます。

 「落ち着いてよ。話の続きをしようじゃないか」

 俺は低く唸ると、荒々しく座って鋭く息を吐いた。


最終編集者 ペイルヒース [ Mon Nov 23, 2015 4:57 pm ], 編集回数 7 回
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Re: とある彼等の想起事変__All stories eye color Talks__

投稿 by トワイライトアウル on Fri Nov 20, 2015 10:11 pm

こんばんは。陰ながら応援させていただいております!
あまりコメントできませんが、よろしくお願いします。
楽しみにしていますっ!
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Re: とある彼等の想起事変__All stories eye color Talks__

投稿 by ラッキークロー@LC on Sat Nov 21, 2015 3:57 pm

遅くなりましたがコメントです!

 こ、これは......!もしかして元ネタは禁書目録でしょうか?

 不思議な世界観、そしてヒーステイルsの俊逸すぎる文章に興奮が冷めません(そしてLCはどんどん変な日本語を習得していく...)!!!

 続きを心待ちにしています!
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Re: とある彼等の想起事変__All stories eye color Talks__

投稿 by ヒーステイル on Tue Nov 24, 2015 4:47 pm

トワイライトアウル wrote:こんばんは。陰ながら応援させていただいております!
あまりコメントできませんが、よろしくお願いします。
楽しみにしていますっ!

コメありです!
おお!応援して頂いてるとは・・・ありがとうございます(●´ω`●)頑張らせていただきます!
トワ君も執筆頑張ってください^^
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Re: とある彼等の想起事変__All stories eye color Talks__

投稿 by ヒーステイル on Tue Nov 24, 2015 4:51 pm

ラッキークロー@亀更新 wrote:遅くなりましたがコメントです!

 こ、これは......!もしかして元ネタは禁書目録でしょうか?

 不思議な世界観、そしてヒーステイルsの俊逸すぎる文章に興奮が冷めません(そしてLCはどんどん変な日本語を習得していく...)!!!

 続きを心待ちにしています!

コメありです!
禁書目録・・・ではないですが、出版社や方向の類は同じ感じですw
できるだけ更新するにつれて元ネタから離れて行きたいですw(とか言って思いっ切りソースが見える馬鹿←)
お褒めいただき光栄です!頑張ります!LCsも頑張ってください(*‘ω‘ *)
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Re: とある彼等の想起事変__All stories eye color Talks__

投稿 by ヒーステイル on Tue Nov 24, 2015 6:03 pm

COUNT 7th









 ああ、嫌だ。思い出してしまったじゃないか。この__



 黒く濁った、高貴な感情を。







 「青年の子__そうだね、グリーンとでも名付けようか。私も、誰も、彼等の名前は知らないんだよ。

 グリーンは、こんな父親を持ったことを恥じた。そして、いつか必ず父の喉笛を、己の爪で掻き切ると誓ったんだ。理不尽に死んでいった、融代たちのためにも。

 青年は息子の反発にだんだん苛立ちを隠せなくなっていた。グリーンが恋に落ちた娘を殺そうとしたくらいに、彼は苛立っていたんだ。娘はなんとか逃れ、グリーンと共に青年を倒すことを決意した。もう、あんな悲劇は起こすまい、とね。

 それでも収まらない怒りを、青年は新たな融代を立ててぶつけることで楽しんだ。

 今度の美しい瞳の生け贄はね、ちょうど先代の融代と同じくらいの年の少年で、聡明で気が強く、友人思いの少年だった。融代の親友も、先代と同じように、村を憎んだよ。

 散々虐げられ、ついに2匹は逃げることに成功した。見張りの、一瞬の隙をついたんだ。

 娘は、偶然そんな2匹に出くわし、自分が住処にしていた社に彼等を匿った。尻尾の先も見せぬよう、自分が盾となってね。

 結果__娘は、怒り狂った青年に殺され、融代たちも見つかって殺された。グリーンは青年を倒そうとするも、激闘の末返り討ちにあって・・・村には、青年に楯突くものは誰1匹としていなくなったんだ。

 そうして、青年はめでたしめでたしの終わりを告げるんだ。自分に、酷いコンプレックスを抱いたままね」


 青年は話し終えると顔を上げ、さあとでも言いたげに立ち上がって尻尾を振った。

 「__ああ、もうおいとまするよ」ベインアイがすくっと立ち上がり、低く言った。「どうもありがとう」

 「礼には及ばないよ。私は私の知ってることを話しただけだ。さあ、カンパウンドが来たようだよ。おかえりなさい」

 青年の言葉に振り向くと、フェンスの向こう側から、こちらを見据える一対の目と黄金の毛皮が見えた。嬉しそうに唸り、駆け寄る者もいる。

 さっと青年は身を翻し、家に上がりかけて振り返った。

 「帰ろう」ルビーが頷き、キャンプに向かって歩き出す。彼女は、ギラギラと光る蘇芳の瞳でじっと前を見、一回とて、淡い色の飼い猫を振り返ることはなかった。

 微笑して青年は肩を竦め、呟きながら家に上がる。「まさか、君との最期の会話が『またたび酒の魅力について』・・・になるとはね」

 俺は青年の方を一瞥すると、ルビーの一歩後ろを陣取って歩き始めた。

 「__彼は、誰も昔の猫の名前を知らないと言ってたわ」と、フォッグアイが淡々と言い出した。「じゃあ何故、彼は彼等のことをあんなにもよく知っていたの?ルビーは何故、私達と彼を会わせたの?」

 そう言えば、名前をきいていなかったな、と今更になって思い出す。まあ奴には良い感情を抱いていないので別にいいのだが。

 ルビーは前を見据えたまま言った。「お前達には知る資格があるからだよ。でも__」

 彼女はそこで言葉を切り、力強く、しかし抑揚のない声で言い放った。

 「これ以上は知らなくていい。必要がないんだ、お前たちには」

 それは、冷たく突き放すように聞こえた。

 「俺達は、殺しをしていればいいってこと?」俺はずんっとルビーの隣に顔を突き出して訊く。

 途端、ルビーの毛がぶわっと一気に逆だった。鋭い目で見られ、ひっと竦んでしまう。ルビーは顎を引いて押し黙り、何も言わずにまた歩き出した。

 「フロントアイ、下がりな」やんわりと、促すようにティアーアイが尻尾を引っ張ってきた。

 何だが気まずい思いで引き下がりながら、心の中で悪態をつく。マローアイにじろりと睨まれ身が竦んだ。この少女は、誰よりもルビーを慕っているのだ。

 「あの飼猫は色々知ってんのに、俺らは何も知らない。知る資格がないってさ」思わず詰る口調になりながらぼやく。刺が刺さったように胸が疼いた。

 「殺しの技術も立派なものだ。充分だろう」

 「お前はそれでいいのかよ!」

 噛みつくように怒鳴ると、オーシャンアイはいつもと変わらず、冷たいくらい澄んだ瞳で見返してきた。牙もむかず爪も出さず、静かに。

 「俺は仕事をこなせればそれでいいと思っている。違うか?」

 俺は奥歯を噛み締めながら俯いた。真っ直ぐなところがオーシャンアイのいいところで、可愛いところだ。だが、その真っ直ぐさは俺の傷口を真っ向から掻き毟る言葉となっていたのだ。

 すると、突然すっと心が若葉の季節のように晴れ上がった。ああ、そうだ!俺は何を迷っていたんだ?


 悲劇を繰り返す力___それが、僕の力じゃないか。


 後ろでフォッグアイとベインアイがさっと視線を交わし、小さく首を振る。俺はそれに気付かず、陽気に喉を鳴らしながらキャンプに駆け戻った。
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Re: とある彼等の想起事変__All stories eye color Talks__

投稿 by ジェイハート on Tue Nov 24, 2015 7:42 pm

かなり遅いですがコメントです‼
スゴいですね‼こんな度迫力すごいです‼私だったらこんなの書けません‼
応援してます‼頑張ってください‼p(^^)q

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Re: とある彼等の想起事変__All stories eye color Talks__

投稿 by ヒーステイル on Thu Nov 26, 2015 5:17 pm

ジェイハート wrote:かなり遅いですがコメントです‼
スゴいですね‼こんな度迫力すごいです‼私だったらこんなの書けません‼
応援してます‼頑張ってください‼p(^^)q

コメありです!
ありがとうございます!迫力を感じていただけたようで凄く嬉しいです(*‘ω‘ *)ジェイsの小説を密かに待ってる←
励みになります、頑張ります!
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Re: とある彼等の想起事変__All stories eye color Talks__

投稿 by ヒーステイル on Tue Dec 01, 2015 6:19 pm

COUNT 8th












 影も映らぬ黒い夜。月は厚塗されたような雲に覆われ、星は蛍のような光を灯し、風が吹けば掻き消えてしまいそうな程に。

 音もなくフェンスを超え、彼の元へ歩み寄る。隠す気のないその足音に、彼は臆することもなく振り返った。

 口を開けば、甘い声。




 「やあ、元気かい?」

 「おかげさまでね。有り余ってて怖いくらいだよ」

 「それもいいさ。若いうちは無理をするのも醍醐味だろう」

 「それで自分が死ぬことになっても?」

 「さあ」

 「自分次第ってことですか」

 「そうですね」

 「見なよ。欠けた月が覆われてる。月なんてまるで存在しないみたいだ」

 「スター族がお怒りかな」

 「どうして?それに、幼稚すぎて笑っちゃうよ」

 「へえ。君はスター族を信仰していないのかい?」

 「勿論だよ。死んだ猫に何が出来るっていうのさ?所詮は偉ぶってる幽霊だ。生きていたら平凡でも、死んだら敬われるってさ、猫のやることじゃあない」

 「でも君たちはそのスター族の教えに則って暮らしてるわけだよ。君の首に巻かれた鎖だって、スター族が手綱をひいてるんだろう」

 「犬じゃあるまいし、馬鹿馬鹿しい。死んだら何も出来やしない。前足を振れるのは足が地面についてるからだろ。あの時は何も出来ずに震えてたくせにさ。今更遅いよ」

 「随分口数が増えたね。何か過去に辛い思いでもしたのかい?」

 「解ってるくせにそういうこと言う奴は嫌いだよ。今も昔も」

 「ああ、そうだったね。君は正直が故に貪欲だった。さて、本題に入ろうか。こんな夜中に一体何の用か、きくまでもないけど」

 「解ってるんだ。やっぱりアンタは賢いね。下に置いても良かったけど」

 「けど?」

 「___うん、許せないんだよ。その笑う目も、輝く色も」

 「そうか。それもまたいい」

 「どうしてそんなに悠長にいられるんだよ。癪に触るんだよ」

 「そうだね。私は君より若造だ。そう思ったなら申し訳ないよ。ただね、君の人生を知っているからこそ、こうして君と向き合ってられるんだ」

 「・・・」

 「だってそうだろう?得体も知れない猫と、君は穏やかに話せるかい?君のことを知っているからこそ、安心できるんだ」

 「・・・理解しかねるね。その安心はもうすぐ消えるのに」

 「端から見れば異常だろうね」

 「まあいいさ。これからはもうそんな視線も感じなくなるんだ。嬉しい事だろう」

 「寂しいね。せめて色のある世界で過ごしたいものだ」

 「嫌味なら、今すぐ実行してもいいというサインと解釈するよ。でも、1つききたいことがある。他は、もう知っているからね」

 「なんだい?」





 「__どうして、あんたは、僕の事を知っている?」





 ざあっ_____と風が低く猫たちの間を駆け抜ける。

 今にもはち切れて水が落ちてきそうな厚い雲に、湿っぽい空気。明日は雨が降るだろうか。勿体無い。芸術が消えてしまう。

 彼は微笑んでいた。どこか、愉しそうに。


 「私は君だからね」







 「___そういうことかよ」







 
 にこりと上品に笑って、しなやかに腰をくねらせた。足を地面にそうっとつける。それから優しく喉を鳴らし、この世で一番美しく穏やかな微笑みで、闇の中、こう言った。



 「それじゃあ、さようなら。どうか、来世では貴方の幸せが約束されますように」








 


 翌日、彼は血だまりの中で発見された。ぽつり、ぽつりと堪え切れず降りだした雨が血だまりを跳ねる。土砂降りへと変わった雨は、血を赤透明に輝かせ、薄まった赤は猫たちの足元で止められてくるくると回った。

 首には三日月のように鋭い切り傷が。口元には穏やかな笑みをたたえて。淡い色の毛は赤黒く固まり。光のない目は虚ろに宙を向いている。

 
 「・・・ディガスター」


 主人からはトムと呼ばれていた彼。

 首の飾りには似合わないほど聡明だった彼。

 若猫たちに過酷な御伽話を押し付けて約束を守った彼。

 我らがルビーの、最初で最後の、たった1匹の友人だった美しい彼。

 
 その体を刻んでいた鼓動が止めば、美しいものはこんなにも古びるのかと、俺は失望していた。
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Re: とある彼等の想起事変__All stories eye color Talks__

投稿 by ウィンターリーフ@冬葉 on Wed Dec 02, 2015 6:40 am

遅くなってごめんなさい!
この話を呼んでから「うわぁぁ・・』と言うため息ついちゃいましたw
それぐらい凄いです!
私もこんな文章書けたら・・・と思うので是非是非参考にさせて下さい!
陰ながら、応援しております( ´ ▽ ` )ノ
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Re: とある彼等の想起事変__All stories eye color Talks__

投稿 by ヒーステイル on Thu Dec 03, 2015 6:34 pm

ウィンターリーフ wrote:遅くなってごめんなさい!
この話を呼んでから「うわぁぁ・・』と言うため息ついちゃいましたw
それぐらい凄いです!
私もこんな文章書けたら・・・と思うので是非是非参考にさせて下さい!
陰ながら、応援しております( ´ ▽ ` )ノ
コメありです!
うわあ、すごい嬉しいです、ありがとうございます!これからも読んでいただけるよう精進していきます・・・!
お互い頑張りましょう(●´ω`●)
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Re: とある彼等の想起事変__All stories eye color Talks__

投稿 by ヒーステイル on Fri Dec 04, 2015 6:41 pm

COUNT 9th








 脇腹に硬いものに突かれる感覚がある。ついでのように耳を殴られ、ぐっと力がこもる。

 僕を殴るって何様?僕はこの村で一番強いのに?

 どうせお前だって鮮やかなのだろう。心の中では僕を罵っているのだろう。だけど融代のようにはなりたくないんだ。あの幼い子猫を庇う気もないんだ。

 どうせだったら大声で詰ってくれよ。彼等のように。君たちには、その勇気がないのかい?

 いいさ。僕は強いんだ。踏ん張った前足から鉤爪が出る。地面にくいこませると、湿った土がジャリッと音を立てた。

 僕が、始末をしてあげよう____





 「起きろって言ったのにずっと寝てるからだろ」

 いやね。いくらお前が悪いって言っても、雄猫の前で可憐な少女が口をとがらせてバツの悪そうに俯いてたらさ、どう考えても俺が悪い風だと思いませんか!?

 「分かった、分かったから。だから顔を上げて笑え。そして俺を開放しろ」

 溜息をつきつつ尻尾をさっと振ると、案の定マローアイはぎっと菫色の目をギラつかせて勢い良く顔を上げた。

 「馬鹿にしてるな、貴様!私がこんなことで落ち込むと思ってんのか、たかが軟弱戦士を突いて起こしたくらいで!!」

 「ちょっとそれは言いすぎじゃないかなあ、酷くないかなあっ」

 「うるさい黙れ馬鹿!」

 うるさい黙れ馬鹿と暴言を並べられてしまっては俺に勝ち目はない。目をギラつかせ今にも鼻から白く荒い息を吐き出して突進してくるかのように猛獣と化した雌猫が恐くて弱めに反論してみたが、やはりへし折られてしまった。

 「2匹ともまだやってんの?早くしてよ、俺も眠いんだから」

 くぁーっと大きくあくびをしながら言ったのはベインアイだ。たくましく大きな肩を竦めてこちらを見る。

 「さっさと行くぞ」

 マローアイがぶすっとしたまま言い、足を踏み鳴らしてキャンプを出て行った。慌ててベインアイと並んで追いかけ、俺達は夜明け前のパトロールに出た。

 「もうすぐ若葉の季節のはずなのに・・・蕾も出来てないよ。川は氷が薄く張ったままだ。昼だって寒い。おかしいな、なんか」

 ぽつりとベインアイが呟く言葉を上の空で返す。

 「祝福してるんじゃないか。だって、暖かい空間なんて、似つかわしくないだろ」

 「は?」

 ベインアイがちょっと立ち止まって聞き返した。グリーンの目をこれでもかとくらいに見開くと、次の瞬間にはぐっと細める。

 「どうした?」

 くるりと振り返ってマローアイが訊いた。尻尾の先がピクピクと動いてる。

 「なんでもねえよ」

 そう言って俺が微笑むと、ベインアイもゆっくり頷いた。マローアイがほっとした顔になる。

 こいつはホントばればれだな。口から思わず笑みが零れた。こいつの恋は報われるのだろうか。いや、俺がそんなことを思うのはお門違いかもしれない。

 「おや、おはよう」

 不意に声が届き、マーキングをしていた一団は怪訝そうに顔をしかめながら振り向いた。そこにいたのはサンダー族の戦士たちだった。

 黄金色の雄猫と、逞しいあのにくき虎猫。見たこともない、炎の色の見習いをつれている。

 「朝早くから大変だね。お勤めご苦労様」

 黄金色の彼が労るようにそっと喉を鳴らす。そっちこそ、とマローアイが苦笑すると、虎猫はふんっとそっぽを向いた。

 「じゃあ、また大集会で」

 短い社交辞令を交わし、俺達はキャンプへと引き返していった。霜が足の下でザクザクと鳴る。いいや、次に会うときは、君たちはスター族だろう。

 キャンプに戻る頃には朝から昼に太陽が傾いたころだった。俺は真っ先に「報告をしてくるよ」と族長部屋へと走る。

 「ルビー」

 明るいトーンで言うと、我らが族長はちょっと驚いたように顔を上げた。当然だ。俺達は、あの日以来一言も言葉を交わしていない。

 「僕は君がにくいよ。レッド、君のことが」

 唐突に微笑むと、彼女の体が強張り____




 蘇芳の目が憎しみと悲しみに燃え上がった。






 「今度は、私の部族を滅ぼしに来たのか?」
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Re: とある彼等の想起事変__All stories eye color Talks__

投稿 by ヒーステイル on Sat Dec 05, 2015 5:13 pm

COUNT 10th











 遠くの方で雷が喉を鳴らすようにゴロゴロと低く鳴った。雨の湿っぽい匂いが鼻をいっぱいにするが、雨は降っていない。

 灰色の空の下、暗い色にそぐ合わない、黄金の毛を逆立て、ルビーは険しい顔で僕を睨みつけていた。爪を出しているが、襲い掛かってくる気配はない。

 まだ”仲間” の「俺」を信頼しているのだろうか?

 だとしたらこの雌猫は相当な愚か者だ。今までの「俺」は、全て本当の僕を補い騙すための表の顔だったのに。

 「それはちょっと人聞きが悪いんじゃない?何も、僕は村や部族を滅ぼしたことなんて、一度もないよ」

 穏やかに言うと、ルビーはカッと目を見開いて唸った。

 「どの口がそれを言うんだ?私が、昔新米戦士だった時、訪れた村はお前の支配のもと、腐ったネズミのようにぐずぐずになっていただろう!」

 その言葉と声で、遠い記憶がよみがえる。それに気づくと、口から思わずふっと笑みがこぼれた。止まらない。僕は胸をそらし、後ろ足で立つようにして思いっ切り笑った。

 ルビーは首の毛を逆立て、訝しげな顔をする。

 ひーひーと肩で息をし、収まってきた頃に、僕は息も絶え絶えの状態で彼女に向かって微笑んでみせた。

 「いや、まさかレッドの言葉で思い出すとはね__思っても見なかったよ、笑っちゃった」

 「・・・何が言いたいんだ」

 「僕と君が初めて会ったのは、ここの4つの部族がまだ部族とも言えぬ頃、スター族が馬鹿みたいにふんぞり返ってなかったころだったね」

 ルビーが眉間にしわを寄せ、激しく唸った。必死に僕の言葉を遮ろうとしているその姿は、俺が尊敬していた女族長ではない。醜く愚かな戦士だった。

 若かりし頃の彼女は未熟だった。縄張りだけの狩りでは飽きたらず、仲間に嘘をついて僕の村の近くまで来ていた。とても興味があった。つついたら、簡単に壊れそうだった。

 初めて接触したのは、彼女が融代の存在を知った直後だった。馬鹿だな、この村に踏み入らなきゃ知ることはなかったのに。声をかけると、初めて見た時よりある程度育った彼女の顔は怒りと悲しみで引きつっていた。

 「だから僕は君を殺したんだよ。レッドスター」

 僕は顎を引いて真正面からルビーを見つめる。僕よりか少し頭の位置が高い彼女は、目を細めて軽蔑するように視線を受けた。

 「君は族長だった。愚かだった。だから、僕に殺された。違うかい?」

 ふんっとルビーは鼻を鳴らし、爪を深く地面に喰い込ませる。腰を下ろして構える姿は、やはり戦士のものだった。捨てたもんじゃないな、と呟くと、ルビーの耳がぴくっと動いた。

 「そう。私は浅はかだった。お前の村に足を踏み入れてしまったのよ、族長の身分で。あのころは、統一も掟もなにもなかった。

 でも、お前のやることは猫のやることじゃないと思った。子猫を監禁して、何が”皆のため”、だ?お前の自己満足で、村猫たちを騙してたと知った時、全身の血が燃え上がったよ。お前を殺してやろうと思った。

 その願いも叶えられず、私はお前に殺された。スター族も愚かだった時代だ。9つの命だなんてなかったな」

 とんっとルビーは尻尾の先で自分の肩を叩く。

 「天にいってから、お前の噂はきいていたわ。新たな融代づくり。しまいには息子までも殺し、村を滅ぼし、悪魔となってこの世から姿を消した__ 」

 僕は喉の奥で低く唸った。首の毛が逆立つのが分かる。歯をむいても、ルビーは虎視眈々と僕を見つめていた。

 「やめろ」

 「なあ、お前はあの時代からこの時代にくるまで、一体何をしていたんだ?」

 「やめろ・・・」

 「最後に息子に裏切られ、お前の支えとなっていたものはなんだったんだ?2代目融代が死に絶えたのに、お前は何故3代目を作らなかった?」

 「やめろ・・・っ」

 「私を殺した後、お前は何故笑っていた?何故涙を流していた?なあ、私の死体は、どこにやったんだ?」

 「やめろ!!」

 大声で怒鳴って僕はルビーに跳びかかった。不意を疲れた族長は激しく体を壁に打ち付ける。僕は彼女に飛び乗り、胸を押さえつけた。

 「僕を馬鹿にしてるのか?嘲っているのか?馬鹿め、僕はそんなんじゃない。君が思ってるような__ 」

 「私が思ってるフロントアイとは何だ?」

 切り返され、かっと頭が熱くなった。違う。違う、

 違う、違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う_______



 「お前は、私が・・・レッドスターが好きだったのでしょう」






 ___爆発した。


 

 僕は鉤爪を振るった。穏やかな、雌の顔で、暖かく、残酷に、拒絶し、威厳に溢れ、戦士を愛し、僕を嘲る彼女に、何度も。

 レッドスターの遺体は川へ流した。そのしなやかな体は硬くなっており、何度も石にぶつかってはくるくると回転して、下流の方へと流れていった。僕は、それを微笑みながら見送っていた。

 鉤爪に詰まっていたのは彼女の毛だった。そう、今と同じように。僕はそれを咥えて持ち帰り、オークの葉に包んで埋めた。誰にも見せず、触れさせないつもりだった。

 「僕は、君が、君が、君が憎いよ。憎い。嫌い。忌まわしい。その目が、僕を笑うのがいけないんだ。あの子達の目が、美しいからいけないんだ」

 がりがりと爪を出したまま、僕は僕の目の周りをひっかく。ルビーは首から、口から、鼻から、体から血を流してうごかなかった。ただ、その鮮やかな目は、僕を捉え続けていた。

 「俺は殺したくなかった。でも、貴様らは、奴らは、お前らは、君らは僕にないものを持っていた。僕は貴様らに、奴らに、お前らに、君らにないものを持っていた。だから殺した。もうその目が美しく輝くこともないね。ああ、幸せだ、幸福だ、慶福だ、幸運だ、天命だ」

 笑みがこぼれて止まない。ルビーの目が憎くてたまらない。仲間の__愚かな猫たちの目が、憎い。憎い憎い憎い。

 ルビーの首に鋭い歯を喰い込ませた。

 ぐふっと彼女は血を吐き出す。弱々しく痙攣を起こしながらも、蘇芳の瞳は僕を見続けていた。

 「__が、」

 僕は目を見開く。まだ喋る余裕があったんだ?内臓はぐちゃぐちゃだろう?腱はプツリと切れているだろう?声帯も、もう潰れかけているだろう?

 称賛の声を彼女に送りたい。僕を楽しませてくれた、彼女への最後のぬくもりを。

 「私が死んでも、お前の瞳は黒いままだ。その色に鮮やかな色が染まることはない。お前は、生まれ変わってもこの先も、ずっとお前だよ」

 がくっと頭が落ちる。蘇芳の目は宙を向いた。

 いや____僕を睨んだままだ。


 「ふざけるんじゃない!!」


 激しく唸ると声がしゃがれた。

 死んでも尚、僕を詰り続けるのか?その色で僕を責めるのか?

 「僕はもうあんな失態をおかさない。もう失敗しない。僕は、君たちを確実に殺す。あの時は一旦逃亡を許しちゃったね。でももう逃さないよ、2代目くん。苦しむかもね?一瞬かもね?僕は、僕が楽しければそれでいい」

 ぴちゃりと外から足音がした。いや、正確にはこの部屋の入り口からだ。ルビーの真っ赤な血が流れ、入り口に溜まってる。

 振り向くと、そこにいたのは愛らしい黒と白の雌猫だった。艶やかな毛はゆっくりと逆だっていく。菫色の目が見開かれ、大きく揺らいだ。

 「これは貴様が仕出かした、のか・・・?流石に私でも、尻拭いは出来ないぞ__ 」

 声が震えている。声だけじゃない。毛も、ひげも、尻尾も、足も、耳も、彼女も震えている。

 僕は体も向き合わせると、にこりと安心させるように微笑んでみせた。べったりと血に濡れた前足が重い。でも、気にしちゃだめだ。じゃないと、彼女が緊張してしまう。

 僕は一歩、彼女に近付いた。彼女は石になったようにぴくりとも動かない。

 そのまま進んで彼女の耳にピタリと頬をつけた。彼女の温かい息が肩をくすぐる。温かかった息は震え、だんだんと熱を帯びていった。

 僕はそっと喉を鳴らす。優しく、出来の悪い子猫を諭すように、味わうように、味合わせるように、ひどくゆっくりと。

 「怯えないで。大丈夫、可憐な雌猫を傷めつけて殺す趣味はないんだ。痛くない、痛くないよ、だから___



 


 その鮮やかな瞳を、この手で閉じさせて」





 僕は再び、優しく微笑んだ。
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