-ELECT HEART-
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好きな猫は誰ですか?
-ELECT HEART-
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電流の奏でる音を、あたしと一緒に、少しだけ聴いていってみない?
【主な登場猫紹介】
勇敢な若き族長
ファイヤスター【火の星】
お茶目な族長の右腕
グレーストライプ【灰色の縞】
したたかな働き者
シンダーペルト・リーフポー
優秀な”バケモノ”
アンバークロー【琥珀の鉤爪】
艶やかな琥珀色の大柄な雄猫。目は緑。何に対しても秀でた非常に優秀な戦士。期待されるが故にもっと強くと焦ってしまう傾向がある。熱くなるほど冷静な判断が出来る。ハンサムなのでよく僻まれる。
男前美女
アッシュフェザー【灰色の羽】
濃い灰色の雌猫。目は青。キリッとした美人だが、性格は皆から好かれる男前。色々な面で不器用だが、そこが可愛らしい。アンバークローの長年の抑え役となっている。
ぶっきらぼうな乙女
アーヴィーフット【ツタの足】
三毛の雌猫。目は緑。つっけんどんな態度をし、見習いによく先輩風を吹かせたがるが、本当は可愛いものが大好きな新米戦士。
雌よりも雌猫らしい!
ミーティアシャイン【流星の輝き】
青灰色の毛皮の小柄な雄猫。目は青緑。小振りな動きと手振りで可愛いと絶大な人気を誇る少年。雌よりも女の子らしいが無自覚であり、好きなものの事になると熱弁を振るう。
元気の有り余るバカ
エレクトポー【電流の足】
白い毛皮に稲妻のような黒い模様が腰から太ももにかけて走る小柄な雌猫。目はゴールド。じっとしていることが大の苦手。とことん元気で打たれ強いが、意外と繊細。仲間思いで笑顔をいつ何時も忘れない。元浮浪猫。
アンバークローの弟子。
冷静頓着な炎
アウルポー【フクロウの足】
耳と尾先の黒い薄茶色の虎柄の雄猫。目はゴールド。クールで聡明な美少年。族長の息子としてスクワーレルポーとリーフポーに揉まれて育った強者。アンバークロー・アッシュフェザーに強い憧れを抱くなど、熱しやすく無邪気な一面も。
アッシュフェザーの弟子。
ひっそりと咲く大輪の花
フラワーポー【花の足】
白と三毛の雌猫。目は黄色。雌にしては大柄な体をコンプレックスに感じていた。泣き虫な自分に嫌気が差していたが、あと一歩踏み出せずにいる。そのためネガティブで後ろ向きな思考が目立つ。
アーヴィーフットの妹で、グレーストライプの弟子。
*その他本家の猫たち
ここが、あたしのスタートラインだ。
ヒーステイル- 副長
- 投稿数 : 282
Join date : 2015/05/17
Re: -ELECT HEART-
コメありです!ジェイハート wrote:1コメげっと‼
新小説おめでとうございます‼
スタートライン?なんだかワクワクします‼
執筆頑張ってください‼p(^-^)q
ぼちぼち更新していきたいのでよろしくお願いします(●´ω`●)導入のセリフは本編でも使われてるので、出てきたら「これか!」と思ってくださいw
お互い頑張りましょう!
ヒーステイル- 副長
- 投稿数 : 282
Join date : 2015/05/17
Re: -ELECT HEART-
序章
「音」っていうのは不思議だ。
普段使う「声」とは違う。「音」が連なって初めて「声」になるのだ。
「音」は小鳥のさえずりに乗せると「歌」になる。
ということは、小鳥は「音」を奏でて「歌」を歌っているのだ。他のものもそう。
木の葉の掠れ、川のせせらぎ、草のざわめき、木のしなり、鳥や虫のはばたき__森にあるもの全部そうだ。あたしの耳には、すごく魅力的な「音」にきこえる。
誰も気付かない。
誰も気付かないあたしだけの秘密。それも結構いいのかも知れない。
でも、その「誰も気付かない秘密」を誰も知らないままにしておくのは、勿体無い気がした。
皆はあたしの気持ちに気付かない。
誰もあたしのことなんかわかっちゃくれていなかった。
そんな時だった。
あの「音」がきこえたのは。
*_________________________________*
「まま、あの音はなあに?」
下からか細くきこえてきた鳴き声に、母猫はふっと微笑んだ。自分の腹に寝そべる、小さな固まりが3つ。その中の1つが、ぴょこりと顔を上げて母猫を見上げていた。
声こそ弱々しいが、子猫のブルーグレーの瞳は好奇心と少しの不安できらきらと輝いている。
「あれはねえ、山猫が森を駆け回って獲物を追ってる音だよ」
母猫が優しく言うと、子猫の顔から不安な影が消え、かわりに憧れに似た嬉々とした表情がいっぱいに広がった。
「森に猫が住んでるの!?ネズミを捕まえられるの!?」
「そうよ。でも、とっても危険なの」
「きけん?」
こてん、と子猫は首を傾げる。もぞもぞと母猫に登ろうとして、兄弟の腹を蹴ってしまっていた。軽く噛まれた子猫はごめんなさいと首を竦める。
「森にはね、危険がいっぱいなの。水でいっぱいで溺れたら死んじゃう川や、尖った石、怖いフクロウもいるわ」
「あたし、石やフクロウなんて怖くないもん!」
元気いっぱいな子猫を見て、母猫は苦笑した。猫とあらばそんなこと恐れていては生きていけない。だが、このやわらかで身も守れない内は、余計なもので彼等を失い、涙を流したくはなかった。
「そうね、カルロはつよいものね。でもね、森の猫はカルロよりずっとずっと強くて野蛮なの。仲間同士で取っ組み合ったり、縄張り争いをしてるのよ」
「あたしも、ブレンダンやギャビンと取っ組み合うわ」
子猫は不思議そうな顔をし、隣で眠る白と黒の兄弟の背中をさっと尻尾でかすった。
「山猫たちの取っ組み合いは、もっと怖いのよ。おチビさんたちは、爪を出して引っ掻いたりしないでしょう?山猫は、するのよ」
母猫は優しくゆっくりと言った。
「山猫は私やお父さんたちよりずっと怖いの。おチビさんたちなんて、ぺろっと平らげてしまうわ。それにね、カロン。あなたたちはこの集落で暮らしているのよ」
そう言って母猫は首を巡らせた。他のものは日当たりのいい場所を求めて出掛けたか、気ままに歩いたりしてこのガラクタだらけの空き地からは出払ってる。
子持ちの雌猫に遠慮したのか、一番日当たりのいい土管の上は母猫のものだが、子猫たちが暴れればするんと落ちてしまう。それどころか、下は<直立歩行さん>が投げ込んでいったビンやガラスが散らばっていって、子猫のやわらかな肉球には危ない。
気をきかせるのなら、もっと念入りにきかせてくれればいいのに、と母猫はいつも思う。集落の馬鹿な雄猫や若猫どもは、子猫のいる大変さと尊さを知らないのだ。たまに野良猫仲間たちの適当な安易な考え方が嫌になる。
「お母さんたちと離れてくらすのは嫌でしょう?メリッサやリオナ、あなたの大好きなルーカスともお別れしなくちゃいけないのよ」
母猫が、子猫の親友の名と、微笑ましいくらいにぴっとりとくっつき子猫なりの愛を伝え合ってる雄の子猫の名を出すと、子猫の顔はくしゃっと泣きそうに歪んだ。
「やだ・・・あたし、皆と一緒がいい」
すっかりしょげてしまった子猫の額をざりざりと優しく舐めると、母猫はもぞもぞ動いて子猫たちを抱え直した。
「大丈夫よ。心配しなさんな。山猫たちはここまでやってこないし、誰もおチビさんたちに触れさせたりしないわ」
言っていて、きっと仲間たちに山猫に敵う力量があるはずないと溜息をついてしまう。あのプヨンと走る度揺れる腹はなんだ?出産した雌猫じゃあるまいに!
「だから安心してお眠り。あんまり泣くと、山猫に食べられちゃうわよ」
おどけたつもりで低く唸ると、子猫はきゃっと悲鳴を上げて体を丸めた。
昔から冗談は苦手である。母猫はひとり苦笑いすると、土管の上で寝そべった。腹でもぞもぞ子猫たちが動く。
母猫は昔、一度だけ森の猫を見たことがあった。濃い生姜色の、ハンサムな雄猫だった。エメラルドの目は強く光っていて、当時まだ若く、ハンサムな彼と同い年くらいだった母猫は、一目で恋に落ちた。
彼は草生えの中から姿勢を低くして、この集落を観察していたのだろう。そして当時の母猫と目が合い、警戒したのかぱっと身を翻して森に走り去ってしまった。
その時の高揚感はよく覚えている。この空き地から離れた家に住む白い雌猫が、この前「弟は族長になった」と嬉しそうに友人に話しているのを、散歩がてら聞いてしまった。最近よく話すスマッジは、彼の旧友だそうだ。
母猫はやりきれぬ思いで空を見上げる。子猫が生まれたこの夏の空は、青く澄んでいる。
母猫の夫は、一目惚れした彼でなく、腹に肉のつく冴えない斑の雄猫だ。母猫自身も特に美人というわけではないから文句は言えないのだが、時には愚痴だってこぼしたいときもある。
迂闊に山猫と接触すると、良かれ悪かれ、忘れられない出来事になってしまうのだ。
自分の子どもたちには、母猫のように、叶わぬ恋に泣いてほしくない。勿論、喧嘩になって一生気に病む怪我を負ってほしくない。
「森になんて行かせないわ」
でも、私が死んだらカルロは行ってしまうかもしれない。生かすまいと固く決心しながらも、母猫は願わずにいられなかった。
だから、その時はお願いね、生姜色の族長さん。
*_____________________________*
ヒーステイル- 副長
- 投稿数 : 282
Join date : 2015/05/17
Re: -ELECT HEART-
第1章 カルロの小さな冒険
カルロは青々と生い茂る雑草を小さな前足でかき分けて進んでいた。草を踏み折って開けた世界は広くて、自分が急に立派な大人になった気がして、どうしようもなく胸が高鳴る。
耳をピンと立て、カルロはいつもこうして空き地の日向で耳を澄ましているのだ。森の方で風が吹くように、ザァッと一斉に鳥達が飛び立っていく。空き地の中からは、兄弟が寝息をたてる音、母親に毛づくろいをしてもらってる音。
猫や自然が奏でる音は意外と多い。それはカルロ以外は知らないのだ。
まさか、自分の娘が聞き耳を立ててクスクスわらってるなんて、母さんはどう思うかしら?カルロはにやにや笑うと、兄弟たちの元へ駆け出した。
「ギャビン、ブレンダン!」
カルロ精一杯の咆哮を上げて、白と黒の子猫たちに渾身のタックルをした。ぎゃっと小さく叫んだ兄弟は、ころころと土管の上から転がり落ちる。
カルロは土管に寝そべる母親の横に着地して、地べたでのたうち回る兄弟を見下ろした。
「やったな!」ギャビンが嬉しそうに唸り、ばっと飛び上がってカルロの足を掴んで引きずり下ろした。
「ギャビン、遅いわ!」カルロも嬉しくなって笑い、ブチの子猫に飛びかかる。爪を出さずにころころ転がって取っ組み合った。軽く兄の首筋を噛むと、ギャビンもお返しとばかりにカルロの耳を叩く。
げしっとギャビンの蹴りがブレンダンに当たり、ブレンダンが跳び上がった。
「あちゃー」とカルロはギャビンからぱっと離れてブレンダンを振り返った。兄さん、怒りっぽいところがあるからな。カルロは兄弟の末っ子で、その怖さは一番に知ってる。
案の定、子猫の黒い毛は逆立っていて、黄色がかった灰色の目は生後6ヶ月と思えないほど、鋭い怒りに燃えていた。
「はしゃぐのは勝手だけどなあ!僕を蹴るってなんだよ!?」ブレンダンは怒り狂って喚いてる。
「ちょっと遊んでただけじゃない!」カルロは短い尻尾をさっと振り、兄の肩を舐めた。「兄さんも一緒に遊ぼうよ」
「そうだよ!」と横でギャビンが賛成する。「兄さんは格好つけだよな!僕達と一緒にはしゃいだらいいのに」
「なんだと!」ブレンダンは唸ると、ギャビンに跳びかかって激しく腹を蹴りつけた。ギャビンが悲鳴をあげる。カルロは慌てて黒猫に飛びついて肩をくわえて離そうとした。
「やめなよ!」カルロは無理矢理にブレンダンをギャビンから引き剥がす。ギャビンは後ろに転がって彼から離れ、首の毛を逆立てて荒く息をした。
なんでこう、雄猫はすぐ喧嘩をし始めるのかしら。カルロはぶるっと身震いし、一歩さがって兄たちを交互に見た。
その時、上から声がかかった。
「あんまりやんちゃをしないの」
土管の上で優雅に尻尾をふり、母親がカルロ達を見下ろしていた。白い体に、足だけブチが入ってる。母はカルロに向かってゆっくり頷くと、降りてきてギャビンの首筋を咥えた。さすが母さんね、とカルロは息をつく。ブレンダンはプライドが高いから、母さんに咥えあげられたら、きっと逆上するに違いない。
「でもアリア・・・」とギャビンが悲しそうな声を出す。
同情してもらう作戦だ!カルロは卑しい兄にふんっと鼻を鳴らした。
「でもじゃない」アリアはぐぐもった声で唸ると、そっとギャビンを下ろした。子猫とはいえ、小柄な母にたくましいギャビンを持ち続けるには、相当顎の力
がいただろう。
ブレンダンは不服そうに顔を顰めていたが、かさかさと後方の草が鳴るのをきいて、ぱっと飛び上がって嬉しそうに振り向いた。
のっしのっしと揺れるようなリズム。低く鳴らす喉の音。カルロの耳には全てお見通しだ。もう帰ってきたんだ、とカルロは口の中で呟きながらブレンダンの隣に立った。
「おかえり、父さん!」さっきまでの剣幕はなんだったのか、と思うほど子猫の顔でブレンダンが喉を鳴らす。その声は甘えている。
「ようブレンダン!良い子にしてたか?」ブチの体を揺らし、サムは豪快にがっはっはと笑った。「久しぶりだな、ギャビン、カルロ」
久しぶり、とカルロは肩を竦める。別に父が嫌いというわけじゃない。でも、父は少々放浪癖があり、突然いなくなっては母を困らせていた。母さ んを困らす父は好きじゃない。しかも、いつもこうやって気まぐれに戻ってきて、子猫の頭を順番に舐めていき、妻に駆け寄って喉を鳴らす。いなくなってごめんな、とか、子どもたちの世話は大変だろう、とか、そういう謝辞や労いの言葉は一切かけない。ただ、
「おはよう、アリア!寝ぐせがたってるぞ!」
なんて、デリカシーの無い言葉を笑顔でかけるのだ。
「ええ、知ってるわ」母は疲れた笑みを見せた。本当に疲れてるのだ。
母さんも、父さんが嫌なら逃げちゃえばいいのに。と子猫の頭で精一杯の策を考えるが、カルロたちを置いていかれたら悲しくなるので言わない。それに、アリアはサムが嫌いというわけじゃないんだと思う。アリアはあたしたちの母だし、きっと世話を焼いていたいのだ。サムはデリカシーがないし、あたしから見ても鈍感でどんくさい。でもそれ以外なら、彼はいい父親なのだ。
「こんにちわ、カルロ」
カルロはぴゃっと飛び上がってから、誰?ときくまでもなく、胸が高鳴るのを感じた。
「ああ、ルーカス!おはよう!」
ルーカスはカルロの耳を舐めて挨拶を返した。嬉しさで全身が震える。ルーカスは、茶トラのハンサムな雄猫だ。カルロと同い年だが、その丸っこい顔と目のせいで、少々幼く見える。
「きいてよ。今日僕はネズミをとったんだ!凄いだろ!」ルーカスは胸をはって言った。自信満々に輝く目はカルロをとらえて離さない。
「うん、凄いね」カルロは喉を鳴らした。一気に冷めた気分だった。
あたしはルーカスが好きだ。でも彼はどう思ってるかわからない。きっと好いてくれてるんだと思うけど、カルロが彼を褒めなくなったら、ルーカスは離れていってしまうんじゃないか?度々そんな考えが頭を過る。
ルーカスを手放しで褒める気分ではない。
「だろう?じゃあ、僕は帰るから」ルーカスは機嫌よく微笑んで帰っていった。子猫なのに、その肩はもう逞しい。
カルロは呆れて溜息をつくと、その場に蹲ってゆっくり尻尾を振った。
皆いい猫だけど、何か物足りない。鈍った感覚が、脳みそを麻痺させているのだ。皆はそれが当たり前だと思ってる。
カルロはふと森を振り返った。きっとあの中で、山猫達が駆けまわってるんだ。あたしは、この集落にいないほうがいいのかな?森に行きたいなんて思うあたしは、悪い子なんだろうか。カルロは憂鬱な思いで森を見つめていた。
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