猫の談話室ー月猫sideー【完結】

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【第二話Ⅴ】

投稿 by フロストテイル on Fri Jul 17, 2015 8:46 am

【第二話Ⅴ】

談話室の外に出ると、月猫達は数匹しか残っていなかった。
どうやら残っているのは卯月、長月、霜月の三匹だけのようだ。
睦月が皆を探していると、長月が語りかけてきた。

長月「やぁ、皆を探しているのかイ?
    
     →○皆の場所を聞く。
      ○無視する。
      ○踊る。            」

睦月「何か選択肢が見える!?...み、皆の場所を聞く。」

恐る恐る睦月が言うと、長月は何故か満足げに口を開く。
ちなみに選択肢は他の皆にも見えていたらしく、幻でも見たのかと首を傾げていた。

長月「如月と皐月は『騒げる場所』を探しに行ったヨ。弥生と師走は『ロマンチック』を探しに行ったけどもうこれデートだネ。水無月と文月は『本』を探しに行ったネ。」

睦月「ふーん。皆もう次の報告会の準備に行ってるのか。早いなぁ。」

...と、睦月が感心していると、残っていた霜月と卯月もこちらへ近づいて来た。
霜月がのんびりと言う。

霜月「ちなみに神無月君はねぇ。『可愛い雌猫』を探しに行ったよぉ。」

葉月「まぁ、いつも通りね。」

呆れたように葉月が呟くのが聞こえる。
皆の脳内には神無月の姿が映っていた。

(神無月「ヘーイ☆キレイなお嬢さん、俺とお茶しない?」)

卯月「容易に想像出来るのが悲しいですね。」

霜月「まぁ、神無月君だからねぇ。」

話す二匹を見つつ、睦月も考える。
自分も早めに動いた方が良いのか...と。
しかし、報告会までまだ数日の余裕があり、今はまだのんびりとしていたい気持ちが勝っていた。
うーむ、と悩む睦月。
そんな睦月に葉月が近づき、微笑む。

葉月「睦月はまだのんびりしていたいんでしょ?良かったら私と行動しない?」

睦月「....な、何で分かった?」

表情に出ていたのだろうか?苦笑いする睦月に、葉月は自身の尻尾を弄びつつ「女の勘よ。」と、言った。

睦月「鋭い勘だな。」

霜月「あれぇ?睦月君は葉月ちゃんと行動するのぉ?じゃぁ、僕は卯月君と行くぅ。」

卯月「はいっ!よ、よろしくお願いします!」

睦月(心配性の卯月と楽天家の霜月か...。)

案外、いい感じにバランスがとれそうだな..。
そんなことを考えつつ睦月は葉月の横へと移動する。

睦月「で、どこへ行くんだ?」

葉月「のんびりできるかどうかは分からないけれど、楽しそうな事があるわ。そ・れ・は.....。」

睦月「...それは?」

聞き返す睦月、意地の悪そうに笑う葉月。
この時点で睦月には嫌な予感がしていた。
数秒の間、葉月は睦月を見つめた後、ゆっくりと....口を開いた。

葉月「他のメンバーの尾行...なんて、どうかしら?」

睦月の嫌な予感は的中したようだった。
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Re: 猫の談話室ー月猫sideー【完結】

投稿 by 戦士 on Fri Jul 17, 2015 5:33 pm

長月君と睦月くんの絡みが見られて幸せです!w←
私と長月君と睦月君(とフロストテイルさん)で踊る選択肢もありですねw

葉月と睦月の旅は面白そうですねw

睦月くんのマイペースだけどしっかりものみたいな性格が物凄く好きですw

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Re: 猫の談話室ー月猫sideー【完結】

投稿 by フロストテイル on Sat Jul 18, 2015 7:55 am

ウォーリアートール/戦士 wrote:長月君と睦月くんの絡みが見られて幸せです!w←
私と長月君と睦月君(とフロストテイルさん)で踊る選択肢もありですねw

葉月と睦月の旅は面白そうですねw

睦月くんのマイペースだけどしっかりものみたいな性格が物凄く好きですw

睦月はしっかり
ものですw一応w
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【第三話】

投稿 by フロストテイル on Wed Jul 29, 2015 2:17 pm

【第三話】

?(これが、俺達の談話室だ!)

?(雰囲気暗くない?ミラーボール付けようよ。)

?(シャンデリアの方が良いと思います!)

...声が聞こえる。
誰の声だろうか?

?(これ、丸いの、光ってる。何?)

?(それはだな、名付けてマザームーン!俺達の闘いの記録だ!)

?(闘いの記録って...。いらないんじゃないの?)

?(俺は良いと思うぜ!闘い!何か燃えるよな!)

どことなく懐かしい声。
しかし何故だろうか、聞いてるだけで悲しさが溢れてくる。

?(ま、まぁその...見てて癒されますし..僕も良いと思い..ます。)

?(うん。僕もさんせぇ〜。)

?(あはハ。楽しくなりそうだネ。)

?(これから頑張りましょうね。ね?リーダー?)

もっとこの声を...声達を聞いていたい..。
だが、急に腹部に重みを感じ、夢の世界から引き戻された。
....目が覚めると、葉月が心配そうな表情をしつつ俺を枕代わりにしている。

葉月「うなされていたけど大丈夫?」

睦月「変な夢を見たんだ。多分お前が重かっt...ごふっ!?」

腹部に鈍い痛みが走る。
苦しむ俺に葉月がにこやかに微笑みながら言う。

葉月「何か?言った?リーダー?」

睦月「....ごめんなさい。」

葉月「よろしい。ほら、起きたならさっさと行くわよ?」

葉月は起き上がり、ゆっくりと伸びを始めた。
あぁ、本当に行くのか。面倒だな。
しかし、また腹部に前足を叩き込まれるのはイヤだ。

睦月「で、誰のところから行くんだ?」

俺も起き上がり伸びをしつつ、葉月へ問うと、怪しい笑顔をしつつ葉月は答えた。

葉月「そうね、弥生と師走でも見に行きましょうか。」
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【第三話Ⅱ】

投稿 by フロストテイル on Fri Aug 07, 2015 3:25 pm

【第三話Ⅱ】

弥生「わぁ、見て下さい師走!綺麗ですね!」

とある洞窟の奥底、弥生は天井から微かに差し込む太陽光の雨を浴びていた。
その視線の先にあるのは岩壁、よく見るときらきらと光るものが所々から突き出ている。

師走「あぁ、宝石の原石だな。まさかこんなにあるとは。」

弥生「凄いですね。偶然とはいえ、こんなに綺麗な所を見つけることが出来るなんて。」

師走「...偶然..か。」

そういいながら、師走は少し不思議そうな表情をしている。
なぜなら、この洞窟を見つけたのは完全に偶然とは言い切れなかったからである。

師走(何なのだ、この気持ちは....。私は..ここに来るのは初めてのはずだが。)

まるで何かに導かれるかのようにこの洞窟を発見した時から、師走の心はざわついていた。
見覚えのある入り口、見覚えのある内部。
本当に...。

師走(私は本当に...初めてここに来たのか?私は....私は..!)

弥生「師走?考え事ですか?」

不意に隣から声が聞こえ、びくりとする。
隣では不安げにこちらを見上げる弥生の姿があった。

師走「あ、あぁ,,少し。....そ、それにしても綺麗な場所だな。夜は月明かりでもっと神秘的になることであろう。」

少し慌てて話題を変えると、弥生も言葉を返す。

弥生「そういえばそうかもしれませんね。きっと、美しい風景が広がるのでしょうね。」

そう言いながら中心へと歩を進め光の雨を体に受ける弥生。
その姿はとても...。

師走「あぁ、美しいのだろうな。」

弥生へ近づき、体を寄せる。
...温かい。

師走(我は..守りたい。この子を,,,,絶対に。)

微笑む師走。
笑みを返す弥生。
それは幸せな一時だった。

そう....。


?「グヴヴヴ....。」



幸せな...一時だった。
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Re: 猫の談話室ー月猫sideー【完結】

投稿 by 戦士 on Sat Aug 08, 2015 9:15 pm

師走&弥生にピンチが!?
とてもワクワクする終わり方ですね!

それにしても、師走君は何か感じる第六感みたいなのがあるんでしょうかね!

月猫sの冒険?楽しみです!

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【第三話Ⅲ】

投稿 by フロストテイル on Wed Aug 19, 2015 3:54 pm

【第三話Ⅲ】

ーー数分前ーー

葉月「睦月、遅いわよ。」

師走と弥生の入って行った洞窟の入り口前、葉月は振り返りながら言う。
その視線をたどると、睦月が息も絶え絶えで葉月の後をついて来ていた。

睦月「きゅ..休憩もしないで...こんな遠くまで来たら....疲れるっての..。」

睦月(というかお前何で平気なの?)

疑問に思いつつも葉月に追いつく睦月。
乱れた息を整えていると、葉月の表情が固まるのが眼の端に映る。
その眼は、洞窟の中へと続く大きな足跡を見ているようだ。

葉月「嘘...。」

葉月はそう呟くと同時に自身も洞窟へと走り出す。
あまりに急に走り出したので近くにいた睦月は仰向けに転んでしまった。

睦月「は、葉月っ!?」

起き上がり、慌てて追いかける睦月。
しかし、葉月の姿はあっという間に洞窟の闇へと消えており、追いかけることは不可能だった。

睦月「はや...と、いうか。」

睦月は言いながら周囲を見る。
周りにあるのは穴、穴、穴。
通路が二つ、三つに別れており、まるで迷路のようだ。

睦月「あいつ、迷子にならないのか?」

そういいつつも、葉月と一瞬ではぐれた睦月もまた、迷子になる可能性が濃厚なのであり、
睦月は、とりあえずどうするべきかそこで考えることにした。


ーーーーーその頃、葉月は数ある通路の中を止まることなく走り抜けていく。
その表情には焦りが浮かんでいるが、しかし冷静に通路を選んでいるようだ。

葉月(ごめんなさい睦月。でも、今回は恐らくこの方が安全なの..。)

一瞬で置いて来た睦月に、心の中で謝る。
そしてこの先、洞窟の奥に待ち受けるであろう『何か』を思いながら、葉月は進む。

葉月(今の睦月では正直足手まといにしかならない。そして、師走もきっと..もう..。)

涙をこらえるかのように眼を細める葉月。
しかし、次の瞬間にはその眼は鋭くなり、走る速度も一層速くなった。

葉月(お願い、弥生ちゃんだけでもっ..。お願い..間に合って!)

次の角を右に曲がれば目的地のはず..。
そう考えた葉月の視界に通路の角が映り、そこを曲がる。

次の瞬間ーーー。

?「グォォォォオオォォォオオォ!!!」

大きな声と共に強烈な閃光。
眩しくて眼が開けられない。
葉月はとっさに眼を閉じ、通路の影へと戻る。

葉月(これは..まさか!?)

光が消え、眼の調子も元へ戻ると、葉月は改めて通路を曲がった。
その先には...。

その先にいた...いや、倒れていたのは.....。



黒く焦げた『何か』と、近くに倒れている弥生の姿だった。
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Re: 猫の談話室ー月猫sideー【完結】

投稿 by 戦士 on Fri Aug 21, 2015 11:37 am

弥生・・・師走・・・。どうしちゃったんだ・・・。

とりあえず、体力無い睦月くんはやっぱり素敵です!w
似てるな~と思ってしまいましたw体力のない私も睦月くんみたいだなw

葉月ちゃんは強いですね。周りは苦労しそうだけど、多分、なんだかんだ周りは葉月ちゃんの良き応援者になりそうです!

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【第三話Ⅳ】

投稿 by フロストテイル on Tue Sep 15, 2015 2:59 pm

【第三話Ⅳ】

葉月「大丈夫!?しっかり!」

葉月は倒れている弥生に近づき、体を揺する。
弥生の体には小さな傷が所々あるが大きな外傷はなく、気絶しているだけのようだ。

葉月「....師走はどこかしら。」

弥生の体の怪我を見終えた葉月は周囲に眼を向け、師走を探す。
その眼には少しの不安と、大きな期待の光が灯っていた。

師走「...ぅぐ...。」

葉月「...っ!....師走。」

かすかに声が聞こえ、その方向へと顔を向ける。
黒焦げになった何かのすぐ横、そこに師走は倒れていた。
こちらも弥生同様、気絶しているようだ。

葉月(...生きているようだけど、師走の傷が深い。急いで手当しなくちゃ。)

葉月「今、死なれたら...困るもの。」

小さく呟き、洞窟の奥へと走る。
その表情は何故だろうか、笑っているようにも見えた。

ーーーーーー 一方その頃 ーーーーーー

睦月「葉月ぃ〜。どこだ〜?」

葉月を探して洞窟内を彷徨い歩く睦月。
かなり適当に道を選んで来た為、すでに帰り道すら不明の状態の彼であった。

睦月「はぁ、完璧迷子...どうすりゃいいんだ..。」

ため息をつき、座り込む。
その瞬間だった。

?「お困りかなお困りかな♪」

すぐ真横から語りかけてくる声、同時に全身の毛が逆立つような感覚。
危険、危険、危険危険危険!!!
体中がそう叫び、反射的に飛び退る。

?「ごめんごめん♪驚かせちゃったかな♪」

睦月は暴れる心臓を必死に抑えつつ、声の主へと顔を向ける。
だが....。

睦月「っ!?」

声の主の存在が、睦月には認識出来なかった。
洞窟が薄暗いから見えない訳ではない。
黒い霧..だろうか、それの集合体としか見ることは出来なかった。

睦月「お前...何だ?」

?「別に知らなくて良いよ♪」

そいつは笑う。

?「だって君、少し早いけど..ここで死ぬんだからさ♪」

そう言い終わる頃には、黒い霧は睦月のすぐ目の前で攻撃態勢に入っていた。
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Re: 猫の談話室ー月猫sideー【完結】

投稿 by フロストテイル on Tue Sep 15, 2015 3:01 pm

久々に投稿すると文章力が激減することってありますよねw(小声
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Re: 猫の談話室ー月猫sideー【完結】

投稿 by 戦士 on Tue Sep 15, 2015 6:29 pm

?のヤロー! 長月と睦月を傷つけたらただでおかねーぞ! と謎のファンがひとりで騒いでますw←

いきなりのラスボス登場でこの先が楽しみですw

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Re: 猫の談話室ー月猫sideー【完結】

投稿 by フロストテイル on Wed Sep 16, 2015 1:49 pm

ウォーリアートール/戦士 wrote:?のヤロー! 長月と睦月を傷つけたらただでおかねーぞ! と謎のファンがひとりで騒いでますw←

いきなりのラスボス登場でこの先が楽しみですw

ラスボス...はどうでしょうねww
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【第三話Ⅴ】

投稿 by フロストテイル on Wed Sep 23, 2015 9:17 am

【第三話Ⅴ】

睦月「はぁっ...ぐっ..はぁっ..!」

薄暗い洞窟の更に奥へ、睦月は走る。
体が震え、上手く動かない足を無理矢理にでも前へ前へと出し続ける。
先ほどの正体不明の何かによる攻撃は睦月には当たらなかった。
何故かは分からないが急に敵の体が弾き飛ばされたのだ。
しかし、そんなことを気にしている余裕は今の睦月にはない。

睦月(止まったら死ぬ..止まったら...死ぬ!)

ずっと流れ込んでくる恐怖心を頭の中に感じ、ただただ更なる暗闇へと飛び込んで行くのだった。

ーーー数秒後ーーー

?「....あ〜ぁ、いったいなぁ♪なぁにあれ、前と違うじゃ〜ん♪」

睦月の走り去る後ろ姿を見ながらそいつはむくりと起き上がる。
その口元は徐々に上へつり上がり、笑顔を作り出す。

?「良いじゃない良いじゃない♪やっぱり.....♪」





 




























「狩りはこうじゃなくちゃね♪」

言葉とともに前へ飛び出す。
その場に残ったのはケタケタという奇妙な笑い声だけだった。
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【第四話】

投稿 by フロストテイル on Tue Oct 20, 2015 3:09 pm

【第四話】

師走「...んっ..ぐ..。」

体中に走る鈍い痛みを感じ、師走はまぶたを重そうに上げる。
数秒、考えるように暗い岩の天井を眺め..ハッとして飛び起きる。

師走「弥生!...っ!」

起きた事により再度体を走り回る痛みに顔を歪める師走。
そんな師走に一匹の影が近寄る。

弥生「師走!大丈夫ですか?」

師走「あぁ、大丈夫だ..。」

葉月「とは言ってもまだボロボロでしょうけどね。」

師走の言葉に葉月が返すと、師走は眼を細める。
何故ここに居るのかとでも言いたげだ。

葉月「何よ、傷を治してあげたのよ?感謝して私にありがとうございます女王様と言うくらいの気持ちはないの?」

師走「...アリガトウゴザイマスジョオウサマー。」

葉月「完璧なまでにカタカタ喋りね。そういうの嫌いじゃないわ。」

微笑む葉月に師走も笑みを返す。
しかし、すぐに不思議そうな顔を見せて葉月に問う。

師走「だが、我はかなり深手を負っていたはずだが..。」

葉月「感謝して欲しいものだわ。急いで洞窟内の薬草をかき集めるのに苦労したのよ。」

師走「いやしかし、薬草で治るような傷では..。」

葉月「薬草って凄いわね。」

師走「いや、だから...。」

葉月「薬草って凄いわね。」

師走「........。」

葉月「薬草って凄いわね。」

師走「......そうだな。薬草って凄いな。」

どことなく威圧感を感じた師走は、大人しく首を縦に振ることにした。
薬草(威圧)の力はいつでも雄大である。

師走「ところで、何故ここに?一匹で来たのか?」

葉月「一匹じゃないわよ。睦月もいるわ。」

弥生「睦月さんも来てたのですか?どちらに?」

弥生からの質問に葉月の表情が固まる。
そして若干慌てた素振りを見せて、こう言った。

葉月「あらいけない。入り口のところで『おすわり』と『まて』をするのを忘れていたわ。」

師走「犬扱いか....。」

師走が睦月を哀れむ表情を浮かべる。
その時だった。
大きな音が聞こえ、空洞内の空気が振動し、葉月達が居る側とは反対側の壁ががらがらと崩れる。

?「ぐがぁっ...。」

同時に空洞内中央まで白い物体が吹き飛ばされてくる。
それを見た瞬間、三匹の眼は見開かれた。

弥生「睦月さんっ!」

師走・葉月「睦月っ!」
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Re: 猫の談話室ー月猫sideー【完結】

投稿 by 戦士 on Wed Oct 21, 2015 8:19 pm

こんばんは~。

 なかなか気づかなかった!通知機能があればいいのに!

 葉月ちゃんと師走が面白いwこの二匹のファンにもなりそうw最終的には月猫s全員のファンになってそうだけど!w

 そして、睦月君、一難去ったと思ったのに一難来てしまった・・・!

弥生と師走と葉月と睦月で4人で戦って勝てるといいけどw

最悪、私が睦月を助けに!←睦月君の大ファン!

とりあえず、まったりと続きを楽しみにしていますw

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【第四話Ⅲ】

投稿 by フロストテイル on Tue Nov 10, 2015 3:23 pm

【第四話Ⅲ】

がらがらと崩れる壁の向こうから、クスクスと笑いながら喋る高めの声が聞こえてくる。

?「あぁ、やっば〜い♪やり過ぎちゃったかな♪」

声の主が煙の中から現れ、原石達の光で淡く照らされる。
その姿はまさに漆黒。黒い毛並みと黒い瞳。右耳についているイヤリングだけが唯一黒ではなく白であった。

葉月「ノルン...何故ここに?」

葉月が猫の名を呟くと、ノルンと呼ばれた黒猫は笑った。
気味悪く、嘲笑うように、そして、見下すように笑った。

ノルン「ん〜暇つぶし♪....と、言ったら信じるのかな♪」

葉月「そんな嘘を信じると思う?さっさと目的を言いなさい。」

ノルン「ん..ヒドイ、信じてくれないのね♪」

葉月の言葉に傷付いたような表情を見せながらも、わざとらしく体をくねらせ、ノルンは言う。
しかし「でも、良いの♪」と続け、笑った。

ノルン「だって貴女の言う通り本当に嘘だもの♪フフフ♪」

睦月「...ごほっ...。」

ノルンの笑い声に重なるように睦月の苦しげな呼吸音が聞こえる。
それを聞いたノルンの顔つきが変わり、動き出すのと葉月が睦月の元へ駆け出すのはほぼ同時であった。
前足を振り上げるノルンを葉月が体当たりで飛ばし、睦月を庇うように立ちはだかる。

ノルン「....やるじゃない♪」

ノルンはそう言い、笑みを浮かべるとそれ以上の追撃をせず、葉月達に背を向けそのまま歩き出す。
その眼には、まるで何かを確信したかのような輝きが宿っていた。

葉月「あら、もうお帰り?」

葉月がその背を睨みつけたまま言うと、ノルンはクスクスと笑った。
そして振り返らずに言葉を返す。

ノルン「今日は帰るわ♪少し確認したいことがあっただけだし、今戦うのも面倒だもの♪」

葉月「そう、流石の貴女も私達を一気に相手するのはキツイのかしら?」

葉月は横目で背後を確認し、師走の怪我の回復具合を目視する。
師走と弥生は葉月の横に並び、眼前の黒猫の背を同じように睨んでいた。
しかし、次の瞬間...。

ノルン「.....はぁ?」

場の空気が重みを増し、三匹の動きを止める。
ノルンはゆっくりと振り向く。

ノルン「勘違いしてんじゃないわよ。『見逃して上げる』のよ。私とまともに戦いたいなら覚醒後を後数匹連れて来なさいよ。」

その口調には先ほどまでの軽い感じはなく、一言一言に殺意が含まれており
周囲に強烈なプレシャーを放っていた。
ノルンは三匹が動けずにいるのを数秒間見つめた後、また先ほどまでの感じに戻り「んじゃね♪ばははーい♪」と洞窟の闇へと姿を消して行った。
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【第四話Ⅳ】

投稿 by フロストテイル on Tue Dec 01, 2015 9:01 pm

【第四話Ⅳ】

洞窟を抜けた先にあったのは、青みの消えた空だった。
朱色に染まる空の下、斜めに傾いた太陽が時間の経過を感じさせる。
師走は背に乗せていた睦月を草の上にそっとおろし、葉月を見つめた。

師走「さて、葉月..教えてもらおうか。アイツは何だ?」

葉月「....。」

弥生「葉月さん..私も気になります。彼女はいったい何者なのでしょうか?」

葉月「....教えられないわ。」

俯き気味の葉月が言葉を絞り出すように口にすると、師走の眼が鋭くなる。
それを見た葉月は苦笑しながら続けた。

葉月「あぁ、ごめんなさい。教えられない..というのは少し違うわね。細かく言えば今はまだ、ということね。」

師走「今はまだ?どういうことだ?」

葉月「まず最初に確認したいことがある。教えるかどうかはその後決めるわ。」

弥生「確認...ですか?」

葉月は頷く。そして、師走を見つめる。
強気に、儚げに、切なげに....不安げに。

葉月「師走、私と勝負なさい。あなたが勝てれば教えてあげる。」

師走「勝負?我と葉月でか?本気で言っているのか?」

弥生「無茶です葉月さん!体格差、筋力...師走の力は普通の猫の数倍は...!」

葉月「知ってる。」

葉月は微笑み、続ける。

葉月「でもね、それでも私の方がまだ強い。」

言葉とともに周りの空気の温度が,,だんだんと下がっていく。
何かを察した師走は、弥生に後ろに下がっているように指示し、葉月と対峙する。
そして....二匹は、同時に跳んだ。

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Re: 猫の談話室ー月猫sideー【完結】

投稿 by ジェイハート on Tue Dec 15, 2015 8:49 pm

ノルン‼
絶っっっっっっ対月猫たちを傷つけるな‼
と洞窟に行って叫びたい位の感情移入(?)しているコメントの遅いジェイハートです‼
葉月~‼命を無駄にするなぁ~‼
同時に跳んだ2匹…
師走が勝ったらノルンの情報を得られる…
でも葉月が勝ったら師走が死んじゃう…(の?と思っています)
そんなどっちもどっちな事が起こるとは…
続きが気になります‼
(ちなみに私は霜月(11月ってこれで合ってますかね?)ファンです‼11月生まれなんで…)

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Re: 猫の談話室ー月猫sideー【完結】

投稿 by フロストテイル on Wed Dec 23, 2015 6:27 pm

ジェイハート wrote:ノルン‼
絶っっっっっっ対月猫たちを傷つけるな‼
と洞窟に行って叫びたい位の感情移入(?)しているコメントの遅いジェイハートです‼
葉月~‼命を無駄にするなぁ~‼
同時に跳んだ2匹…
師走が勝ったらノルンの情報を得られる…
でも葉月が勝ったら師走が死んじゃう…(の?と思っています)
そんなどっちもどっちな事が起こるとは…
続きが気になります‼
(ちなみに私は霜月(11月ってこれで合ってますかね?)ファンです‼11月生まれなんで…)

コメントありがとうございますw!
はいw霜月は11月ですよw(確か)
そして展開は目撃者のみぞ知るw
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【第四話Ⅴ】

投稿 by フロストテイル on Sun Dec 27, 2015 10:17 pm

【第四話Ⅴ】

先手を打ったのは師走だった。
葉月の姿を瞳の中心に完全に捉え、前足で強烈な一撃を繰り出す。

葉月「甘いっ!」

しかし葉月は紙一重でそれを避け、逆に師走に体当たりを喰らわせる。
バランスを崩した師走に対し、葉月は更に足払いを繰り出し師走の体を反転させた。
倒れる師走の眼に映るのは、驚く弥生、そして物悲しげな表情の葉月。

師走「ぐぅっ!ま、まだだっ!」

倒れた体勢から跳ね上がり、瞬時に攻撃を仕掛ける師走。
しかし、葉月はその攻撃全てを軽やかに避けきった。

・・・・・眼を閉じたまま。

師走「なっ!?」

弥生「師走のラッシュを眼を閉じたまま!?」

葉月「言ったでしょう?今の貴方では私に勝てない。」

言葉と同時に師走に攻撃を喰らわせ、後方へ弾き飛ばす葉月。
地面に体を打ち付け呼吸が乱れる師走。
意識が途切れる一瞬、師走の見た景色は..「また、私の勝ち。」
そう呟きながら前足を振り下ろす葉月の泣きそうな表情だった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



(師走、師走。大変!怪我してますっ!)

声が..聞こえる。....弥生?

(大丈夫だ。大した怪我ではない。)

(な〜に言ってるノ?血ぃ出てんじゃんカ。手当しないト。)

(あんたほんと無茶するよね?)

我の声と...長月、皐月?
だが、こんな会話をした覚えは...。

(師走、弥生、大事、ピンチになると、無茶する。)

(師走、私の為に無茶をしないでください。)

弥生、弥生...。我は...。

(師走、貴方が私を...私を大切にしてくれるように、私も貴方が大切なのです。だから..あまり無茶をしないで..。)

我....は........。

(忘れないで...。大切なものを。)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

師走「大切な....もの...を、忘れない....。」

葉月「!?そんな...一瞬で決めたつもりだったのに。」

ゆっくりと起き上がる師走の体に、小さな光の粒のようなものが集まっていく。
それは師走を包み、辺りの夕暮れを昼間の明るさに塗り替える。

師走「集うは雷 我が身に宿り 力を示せ!」

師走の叫びとともに光は散り、中から師走が姿を現す。
その瞳は、月のように輝いていた。
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【第五話】

投稿 by フロストテイル on Thu Jan 14, 2016 1:34 pm

【第五話】

葉月「覚醒....まさかここでするとは思ってなかったわ。」

葉月が嬉しそうに声を上げる。
その眼は、今この瞬間をずっと待ち望んでいたかのように輝く。

葉月「さぁ、貴方の本気を..貴方の力を..貴方の想いを!見せてご覧なさい!」

身構える葉月。
その姿を師走はそっと見据える。
見据えて、一呼吸....そして、走った。
その速度は走る電光の如く、瞬く間に葉月の後ろに回り込み前足を振るう。

師走「ふんっ!」

葉月「くっ..。」

その一撃で葉月の体は吹き飛び、地面を転がる。
転がり起きた葉月の表情は若干痛みが現れていたが、その眼は一層強く輝く。

葉月「...やっと、やっとこの瞬間が..。」

葉月が口を開いた瞬間、師走の前足が眼前に迫るのが眼に映る。
師走の本気の一撃が、葉月を地面へと叩き付けた。

弥生「師...」

........はずだった。

葉月「言わなかったかしら?甘いと。」

一撃を喰らったのは葉月ではなかった。
地面に倒れたのは葉月ではなかった。
瞳に強い輝きを宿らせ、微笑みながら相手を見下ろす者...それが葉月だった。

師走「ぐぅっ...ま、まだだ。」

葉月「いいえ。おしまいよ...闘いはおしまい。」

尚も立ち上がろうとする師走を横目に、葉月は座って乱れた毛を整え始める。
少し疲れた顔をしてはいるが、まだまだ余裕の雰囲気を醸し出している。

葉月「安心なさいな。ちゃんと全て教えてあげる。...頑張ったご褒美。」

そう言う葉月に師走は複雑そうな顔を向けるものの、無理矢理納得するかのように己の毛を整える。
そのなか弥生は、二匹に大きな怪我がないことを目視で確認し、安堵の息を漏らす。

弥生(あれ?そういえば師走..いつの間にかビリビリが消えてます。)

先ほどの師走の状態が気になりつつも、葉月が「さ、そろそろ行きましょうか。」といい歩き始めたので慌てて後をついて行く。
きっとこの後説明してもらえるのであろうという、確信にも近い期待を胸に..。

三匹は歩き続ける。談話室を目指して。

弥生「あ!」

葉月「どうかしたの?」

弥生「さっき菜月さんと師走が闘ってた場所に...睦月さん置いて来ちゃってます!」

葉月・師走「「あ...。」」
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【第五話Ⅱ】

投稿 by フロストテイル on Thu Jan 28, 2016 2:27 pm

【第五話Ⅱ】

葉月「私達、月猫は世界を見守り維持して行く存在。時には世界を脅かす脅威と闘うこともあった..。
今回だってそう、いえ...そうだった。と言うべきかもね。」

場所は談話室。
師走、弥生は意識不明の睦月を横に、ことの説明を葉月から聞いていた。

弥生「そう..だった?今は違うのですか?」

まるで過去のことを話すかのように眼を細めた葉月に、弥生と師走は視線を交わし合う。
葉月は続けた。

葉月「覚えていない?覚えていないでしょうね...覚えているはずがないわ。
だって..私達の闘いの記憶は消えてしまった...奪われてしまった。」

小さなため息、そして悔しそうに閉じる眼。
葉月は悲しげな声で続けた。

「私達は.....負けてしまった...。」と。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

長月「睦月ィ...待ってヨ〜!」

睦月「あははっ、遅いぞ長月〜!」

広大な草原の中、二匹は走る。
頭上には一面の青、白も混じらず一色で染まった空。
風が柔かく体を包み込んでくれて何だか気分が良い。
丘の上まで駆け上がると、遠くまで緑の広がる景色が視界を占領する。

長月「む...睦月ィィ...。」

景色を満喫していると、背後から荒い息づかいと共に長月が姿を表し睦月の横に倒れ込む。

長月「お...置いて行くなんテ....ヒドいヨ〜。」

恨めしげにこちらを見上げる長月に睦月は笑う。

睦月「長月は本当に鈍臭いよな〜。」

長月「う..しょうがないでショ〜?」

誰にだって得意不得意はあるもんだヨ!とふてくされた様子で長月が言う。
それを見てまた笑う睦月に長月は怒った。

長月「ア〜!なんだイなんだイ睦月だって方向音痴の癖にサ!すぐ迷うの僕知ってんだからネ!」

睦月「あ、いや..あはは。痛いとこつかれたなぁ。」

長月「それに、今だって迷ってル。」

困ったように笑う睦月に長月は起き上がって向き合う。
その眼は先ほどのようなふてくされた、あるいはいじけた、ふざけた感情は宿ってはいなかった。

長月「君は迷っているヨ。今この瞬間モ。」

睦月「俺が..迷ってる?」

世界がピシピシと音を立て始める。

長月「気付いてるんでショ?わかってるんでショ?」

空の色がくすみ始める。

長月「自分が居るべき場所はここじゃないでショ?」

風が荒れ始める。

長月「違和感にも、気付いているんでショ?」

草原が..空が...風が.....世界が...........終わる。

長月「気付いているなラ..お願いリーダー。全てを終わらせテ。」

夢が..終わった。
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【第五話Ⅲ】

投稿 by フロストテイル on Tue Feb 09, 2016 8:11 am

【第五話Ⅲ】

葉月「闘いの始まりはいつも突然..。今回も突然始まった..いえ、突然終わった...かしら。」

弥生「終わった?」

葉月「えぇ、終わった。始まる間すらなかった。」

談話室の天井を見上げながら葉月は言う。
そして思い出すかのように少しずつ言葉をつなげていく。

葉月「あの時も、私達は談話室に居た。皆そろって、楽しそうに談笑していたはずだった。そんな時間がずっと続くはずだった。」

頭を垂れまぶたを閉じる葉月。
数秒後に眼を開け二匹を見つめる。
辛いことを思い出そうとするその瞳には哀しみの氷色が宿る。

葉月「最初はあなた達だったわ。いきなりその空間に現れた奴らが弥生を狙い、師走はそれを庇って死んだ。弥生もその後すぐに。」

弥生「.....え?」

葉月「次は如月と皐月だった。笑い狂う奴らを仕留めようと飛びかかったけど、能力を封じられ殺された。」

師走「...ま、待て..。」

葉月「次は..」

師走「待てっ!!」

大きな声で師走が叫ぶように言うと葉月は口を閉じる。
その肩は震い、呼吸は乱れているようだった。

師走「じょ..冗談を言うな。こうして我は生きているぞ!死んでいない!」

弥生「わ、私も..生きてますよ?死んだ記憶なんてこれっぽっちも..。」

葉月「その記憶が。」

二匹の言葉を遮り葉月は喋りだす。
その口元は微笑み、優しく笑う。ーーーーーーーーーーーーだが....。

葉月「その記憶自体がそもそも消されてしまっているとしたら?」

その眼からは雫が流れ、頬を濡らしていた。
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【第五話Ⅳ】

投稿 by フロストテイル on Thu Feb 11, 2016 3:49 am

【第五話Ⅳ】

葉月「私達は死んだ。でも生きている。記憶を失って生きている。」

涙を拭いながら葉月は言う。

葉月「私も最初は忘れていた。自分の記憶も、自分の役割も、自分の能力も...。
   でもね、何回も繰り返すうちに思い出したの。本当の記憶。」

弥生「繰り返す?」

首をかしげる弥生に葉月は「えぇ」と頷く。

葉月「死んだはずの私達は記憶も能力も失って生き返った。そして、その後もまた死んだ。奴らがやって来てね。」

師走「....。」

葉月「死んでは生き返るの繰り返し。そのうち何の因果か私だけ死んだ記憶を持ち越した。
   でも、何も出来ずにまた死んだ。それからしばらく後に能力を思い出した。
   それでも勝てずにまた死んだ。皆に説明しようとしても無駄だった。全部全部バッドエンド。」

頭を横に振り、葉月は目を細める。
その脳裏には希望を目指しもがく影が映る。
たくさんの可能性を繰り返すうちに諦めかけていた感情。

葉月「試せることは試したつもり、何回も何回も。コレが何回目かなんてもう忘れた。諦めかけていた。」

「だけど...」そう言葉を続け、葉月は顔を上げる。
そこには先ほどの暗い表情はなく、目には一筋の光が宿っていた。
ずっと追い求めていた希望の切れ端。

葉月「ここにきて師走が覚醒して能力を思い出した!
   私はこのチャンスを逃したくない!お願い師走、力をかして..。」

師走「.........。」

弥生「し、師走?」

師走「.........力をかして..か。」

師走は葉月を見る。
まっすぐに、強い眼差しで。
そして、口を開いた。

師走「断るわけないだろう?」

葉月「....ありがとう、師走。」

お互いに微笑み合う二匹。
そんな二匹を見た弥生もまた、優しい微笑みをこぼすのだった。

今度こそ、ハッピーエンドが待っていると信じて。
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【第五話Ⅴ】

投稿 by フロストテイル on Tue Feb 16, 2016 1:39 pm

【第五話Ⅴ】

葉月「まず、敵の確認をしましょう。私達が洞窟で会った雌猫はノルン。毎回毎回ウロチョロと邪魔をしてくるわ。能力は相手の能力を奪う..かしらね。」

師走「能力を奪う...やっかいだな。」

天を星が覆う頃。
談話室で師走と葉月は翌日の作戦に備え会議をしていた。
二匹の傍には眠りについた弥生と、未だ眼を覚まさずにいる睦月。

葉月「次にノルンの兄ワルン、コイツも能力はノルン同様に能力を奪う。敵はこの二匹よ。」

師走「能力を奪ってくるやつが二匹...なかなか骨が折れそうだ。」

葉月「大丈夫。影さえ踏まれなければ能力は奪われないはずよ。今までがそうだった。」

床に落ちる師走の影を前足でつつきながら葉月は言う。
明日必要なのは影を踏まれない為の戦闘技術。そして、その為の作戦会議。

葉月「ウロチョロノルンと違ってワルンは姿を見ることはまずないわ。いつも最後に出て来て最高な邪魔をしていく。神出鬼没だから警戒が必要ね。」

師走「いつ出てくるのか不明では難しいな。」

葉月「どこにいるかの当てはあるの...ただ。」

師走「ただ?」

数秒の無音。
言いにくそうな表情の葉月だったが、師走の眼を見、息を吸う。

葉月「他の月猫メンバーの誰か..それがワルンよ。」

師走「他の...メンバー..だと?」

頷く葉月。

葉月「ノルンと違ってワルンは能力だけでなく、姿も奪える。殺した相手のね...。」

信じられないとでも言うように師走は首を振るが葉月の顔を見てため息を吐く。
葉月の言葉が本当なら、既にもう死者が出ていると言うことだ。信じたくもなくなるが、信じるしかない。
「誰だ?誰がワルンだ?」と、そう聞く師走に今度は葉月が首を振る。

葉月「毎回誰かに成り代わっているの。規則性もないから判別は難しい...といつもなら言うところね。」

師走「?...どういうことだ?」

葉月「一応目星は付けているわ。確定ではないけれどね。恐らくワルンは....。」

  「長月に成り代わっている」

葉月でも、師走でもない別の誰かの声。
それは葉月の横から聞こえた。
眼を開いた睦月の口から...。

睦月「長月が...教えてくれた。」

ゆっくりと起き上がる睦月。
その眼には強い決意が輝いていた。

睦月「話は大体聞こえていた。今度こそ..勝利をつかむんだ。」
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Re: 猫の談話室ー月猫sideー【完結】

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