猫の談話室ーseason2ー

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投稿 by フロストテイル on Thu Mar 31, 2016 8:57 am

【???】

 ん...?あぁ、君か..。毎日飽きもせずに良く来るな。
少しは他の皆と狩りでもして体を動かしたらどうだ?
何?そんなことより新書?...やれやれ、本当に本が好きなんだな。
まぁ、本を読むのは悪いことじゃないさ。話の数だけ命が、世界があることを気付かせてくれる。
かく言う我輩も子猫の頃から本が好きでな、良く周りの連中を巻き込んで悪魔降臨を...。

 ...あぁ、新書だったな。今日用意してるのはこの『夢猫BADEND』と【冒険猫マオマオ】の2冊だ。
ちなみに我輩のオススメは『冒険家マオマ....ん?それが気になるか?それは古書だな。
君が古書を選ぶとは..珍しいこともあるものだ。

 その本は、とある昔..あるいは未来、もしくは今この瞬間に進んでいるかもしれない猫達のお話。
見守り、そして闘いを運命づけられた猫達のお話。
物語の結末を知りたければ己の前足で世界をなぞり、逆ならば世界をしまうと良い。

 何?マウスでクリックして操作?ははっ、面白いことを言う。
君はネズミを使って読書をするのかね?
まぁ、良い。どちらにせよ、好奇心旺盛な君のことだ..こんな話をしている間にも、結末が気になって仕方がないのだろう?

 さぁ、君の望む結末とやらを探しにいくが良い。
君が満足したとき、また会おう。
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投稿 by フロストテイル on Thu Mar 31, 2016 9:39 am

【主要登場猫紹介】

睦月   月猫達のリーダー。白い毛と金色の眼が特徴の雄猫。出番が減ると占いで出て落ち込んだ。

如月   白い毛と黒のハチワレ、赤眼が特徴の雄猫。色々騒がしいトラブルメイカー。最近料理にハマっている。

弥生   銀色の長毛と茶色の眼が特徴の雌猫。礼儀と気品を兼ね備えた言動も特徴の1つ。師走と仲が良い。

卯月   白色の体毛に所々緑色の毛が混じった雄猫。緑色の眼が特徴。心配性な性格で言動もオドオドしている。葉月と姉弟関係。

皐月   茶色眼の三毛の雌。自称真面目だがその言動は雌版如月と称される。危険だからと水無月の爆弾を没収し、たき火に入れたことがある。こいつの方が危険だ。

水無月  橙の眼と毛の雌猫。話すのが苦手で、途切れ途切れに言葉を繋ぐ。文月と科学的な研究をするのが好きらしい。

文月   眼鏡をかけたシャム猫の雄。灰色の毛と眼が特徴。冷静で科学的なものの見方をするが、非科学的なものが苦手。

葉月   薄紫色の毛と眼を持つ雌猫。睦月をからかうのが日課。卯月とは姉弟関係。

長月   金眼の黒猫の雄。語尾がカタカナなのが特徴。基本面倒くさがりだが、廚二臭がするものに関しては行動的。

神無月  白い長毛の雄猫。白い眼と軽い態度が特徴。アクセサリーを集めるのが趣味で毎日色々付け替えている。自称『ラヴ・ハンター』。

霜月   青の体毛と眼の雄猫。のんびり屋で語尾が若干伸びているのが特徴。本気になると速いらしい。

師走   金眼の虎猫の雄。一人称は我。体が大きく筋肉質なのが特徴。弥生と仲が良い。
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投稿 by フロストテイル on Fri Apr 01, 2016 8:40 am

【如月クッキング】

朝を知らせる鳥の声。
外はきっといい天気なのだろう。
しかし、談話室の雰囲気は最悪だった。

如月「何だよ...それ。」

訳がわからねぇ。何なんだよ。
コイツら皆して...俺を否定するのかよ。
俺の可能性を、否定するのかよ。

睦月「き、如月..聞いてくれ。」

如月「うるせぇっ!お前もそっち側のやつだろうがっ!」

そっと肩に触れる睦月の前足を振り払う。
分かったような顔をして、俺を説得しようとしても無駄だ。
俺は俺のやりたいようにやる。

葉月「待ちなさい!貴方がしようとしてることはただの自殺行為よ!」

弥生「そうですよ!考え直して下さい!」

テーブルの向こうから葉月と弥生が声をかけてくる。
だが、俺は己の無限の可能性を信じたかった。
否定されたくなかった。

長月「き..さらギ..。」

テーブルの端に突っ伏したままで長月が呟くように呻いている。
まだ先程のダメージが回復してないようだ。
ゆっくりと起き上がる顔の口端からは泡が出ている。

如月「長月...。」

長月「へへッ...地獄デ...待ってる..ヨ。」

言葉とともに再びテーブルに突っ伏す長月。
無茶を...しやがって。

師走「如月!お主も長月と同じ運命をたどる気か!?」

如月「......。」

俺は己の目の前にある銀の君をみつめる。
そこにあるのは白夜に浮かびし満月。
時は朝、空の太陽を眺めるよりも..俺はこの月を眺める方が好きだ。

如月「俺は...。」

俺の心が生け贄を求め始める。
あぁ、今日も俺は月を汚さねばいけない。罪な猫さ、俺ってやつは。
俺は懐から小瓶を取り出し、かかげる。

文月「あ、アレは!?」

皐月「バカなっ!?アレはもう処分したはず..!?」

霜月「ごちそうさまぁ〜。」

卯月「美味しかったですね。」

葉月「まさか、新たに生成したというの!?」

一同がどよめきの声を上げる。
流石は葉月、分かってるな。
俺は紫色の液体の入った小瓶を軽く振りながら光に照らす。
あぁ、美しい。

睦月「落ち着け如月、そいつは危険だ。こっちに渡すんだ!」

水無月「危険、それ、毒。」

神無月「俺もオススメしないな..紫て。」

外野が...。こいつらは何も分かってない。
この瓶につまった可能性、未来、そして気合いを。
理解出来ないなら、分からせてやるまでだ!俺自身が証明してみせる!
俺が...未来だ!

如月「うぉぉぉぉぉぉぉお!!」

俺は叫び、目の前の月...目玉焼きにオリジナルソースをふりかけた。
俺の目の前は、朝から次第に夜へと変わっていった。
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投稿 by フロストテイル on Mon Apr 04, 2016 10:49 pm

【如月クッキング】

如月「ンデュハッ!!...ここは?」

目を覚ますと赤色の天井、壁...生活用品。どうやら自室のようだ。
少し重い体を起こし、談話室へと向かう。
扉を開けると薄紫色の猫が視界に映る...葉月か。

葉月「おはよう。まぁ、もう夕方だけど。」

如月「夕方?寝過ごしちまったか。」

葉月「いや、気絶してたからでしょう?」

気絶。その言葉は俺を苦しめる闇の言葉。
俺としたことが、己を過信していた。俺のソースは完璧だと思っていた。だが、違った。

葉月「いや、毒々しい紫色のソースって。」

こうしちゃいられないぜ。俺は..今度こそ、最高のソースを作ってみせる。
見ていてくれ長月。お前の死は無駄にしないぜ。

葉月「長月なら睦月と遊びに行ってるわよ。」

まずは材料を揃えて、一から研究だ。
気合いと根性と努力と愛と勇気と希望の力を見せてやるぜ。

葉月「如月?聞いてる?」

俺は外へと飛び出す。燃えるような夕日が俺を抱きしめてくれる。
サンキュー太陽。俺もお前が大好きだ。
待ってな市場。プリンスが今から迎えにいくぜ。ダッシュで。

如月「うぉぉぉぉ!燃えてきたぁぁぁあ!!」

草原を駆け抜ける俺。
向かうは市場、輝く具材が俺を待ってる。
市場がどこにあるのか知らねぇが、夕日を目指してひたすら走ればきっとたどり着くよな。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 

葉月「.....あぁ、行っちゃったわね。談話室のドアノブいじれば市場に直通なの忘れちゃったのかしら?」

草原を真っすぐ突き抜けるように走り行く如月の背中を見つめ、葉月は笑う。
その時、如月が走って行った方向とは逆方向から、睦月と長月が歩いてくるのが見えた。

睦月「ただいまー。」

長月「ただいマー。」

葉月「おかえりなさい。どうだった?」

睦月「ん。」

帰宅の挨拶もそこそこに何かを確認する葉月。
それに対して睦月も、小さな小瓶を見せる。
中には今朝方見かけたような紫色の液体が、光に照らされて妖しく揺れていた。


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投稿 by フロストテイル on Mon Apr 25, 2016 10:52 pm

【如月クッキング】

如月「ニンジン、じゃがいも、さつまいも、豆腐、みりん、リンゴにカエンタケ。後は...。」

料理の材料を買い漁りながら俺は歩を進める。
ここは猫乃市、猫達が集う市場だ。
いろんな素材が取引され、大体のものはココで手に入る。いや、前足に入る..か?

しかし、俺の心から求める食材はここにはないようだぜ。
こう、心に響くような..そんな食材。
ありきたりなものでは駄目なんだ。真の料理者ってやつはそんなもん使わねぇ。
それに、料理は隠し味だって皐月が言ってたしな...あいつ料理出来ないけど。

?「そこな道行くお兄やん。ちょいとええかな?」

不意に俺に声がかかる。
そこの道行く顔立ちのキレイな心美しい兄さん..確かにそう聞こえた。そう、もちろん俺のことだぜ!

?「言ってへんがな。あとお兄やん全部声に出とるで?」

如月「照れるなよ。真実はいつも一つだぜ?」

?「うわ...うっざいなぁ。声かけへん方が良かったかな?」

嫌悪感丸出しの表情で少し後ずさる雌猫。
赤色の大きめの首輪が特徴的な虎猫だ。
ん、もしかしてこれはナンパか!?まいったゼ☆モテる雄にはいつだって悩みがつきまとう。

?「お兄やん馬鹿か?ナンパするならもっとイケニャン探すわ。」

如月「そいつは大変そうだな。...で、この俺に何か用か?」

?「あー...いや。なんや料理のことで悩んどったから、相談でも乗ったろうかと。」

料理の相談?ここでふと、雌猫の頭上に掲げてある看板に目がいく。
『料理店-馬-』...馬?

?「『うま』やない。『ば』と読むんや。うちの名前、馬・方蓮の馬や。」

如月「バカタレ?」

言った瞬間に俺の頭にフライパンが叩き付けられる。
激痛とともに目の前に星空が広がる。チカチカするぜ...。

方蓮「カ・タ・レ・ン...な?覚えたか?ん?」

方蓮と名乗る雌猫は満面の笑みでそういうが、何だかどことなく怒ったときの葉月と同じ雰囲気を感じて俺は首を縦に振った。
正直恐怖で足が少し震えたのは内緒だ。
しかし、料理店か..何か参考に出来るかもな。

如月「と、ところで相談なんだけどよ!食材を探してるんだ!」

方蓮「食材?どんな?」

如月「心に響くようなやつ。」

方蓮「名前は?」

如月「知らねぇ!姿形も見たことない、今まで出会ったこともない輝きを探しているのさ!」

ガインッ!という音と共に先程も見たチカチカお星様が目の前を飛び交う。
どうやら方蓮の二発目の攻撃を喰らったようだが、あまりの威力に足がガクガクしその場にへたり込んでしまう。

方蓮「阿呆が、食材の事も知らんでどう探すねん。料理なめんなや!」

如月「なっ...!」

方蓮が怒りの眼を向けて、吐き捨てるように言う。
俺はそれに対し、立ち上がりながら言った。

如月「なめてねぇ!俺はいつでも全力全開だぜ!俺の料理は心の料理だ!よって食材も心で選ぶ!」

方蓮「心ぉ?...ハッ、心で料理がうまなるんかい?」

如月「あぁ!なるぜ!」

前足を頭上に掲げ、俺は叫ぶ。
そうだ、料理は材料や技じゃねぇ..心だ!そんな気がする!

方蓮「いうやないか。なら見せてみいや。お兄やん..あんたの心を。」

方蓮はそういって店の中へと消えて行く。
..ついて来いってことか?
これはきっと俺の料理の腕を見せろということだろうか?
 
如月「良いぜ、やってやらぁ!」

そういって店の中へと走り込む如月だったが、この猫乃市に来た当初の目的など..もうすでに脳内には残ってなどいなかった。
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投稿 by ヘザーストーム on Thu May 05, 2016 9:16 am

コメント失礼します!
内容がすごく面白いので執筆頑張ってください!(^^)
ちなみに私は水無月さんが好きですw
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投稿 by フロストテイル on Thu May 05, 2016 9:29 am

【如月クッキング】

中に入ると調理室まで方蓮に引っ張って行かれる。
調理室には中華鍋から普通のフライパン、包丁に三面鏡など料理に必要なものが揃っているようだ。...三面鏡?

如月「...なんで三面鏡があるんだぜ?」

方蓮「あるとオシャレやん?」

如月「ほう、一理あるぜ。」

ーーーーーーーーーー談話室ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

睦月「一理もねーよっ!!」

葉月「きゃっ!?な、何よ急に。」

睦月「あ、あぁ..悪い。何となく言わなきゃいけない気がして..。」

葉月「大丈夫?疲れているんじゃないの?」

長月「大丈夫かイ!?膝枕してあげようカ!?」

睦月「大丈夫だ、問題ない。」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

方蓮「ほな、早速見せてもらおうやないの。お兄やんの腕を。」

如月「おう、よく見ろ。」

俺は後ろ足で立ち上がると方蓮によく見えるように前足を胸に掲げる。
今の俺、カッコイイかも。

方蓮「...そういう腕やない。料理の腕前や。」

如月「...おう。」

そっちか。
てっきり俺の筋肉を見ていたかったのかと思ったぜ。
俺は軽くストレッチをし、深呼吸をする。

如月「.....いくぜ。」

フライパンを手に取り、油を注ぐ。
すぐさま点火し、油を熱する。もちろん強火だ。
そして熱されつつある油に鶏肉をぶち込む。
高温で揚げられる鶏肉の香ばしい香りが鼻につく。....だが..。

如月「まだ、まだだっ!まだ火力が足りねぇ!!」

方蓮「火力は今のが最大やで?それ以上は...っな!?」

如月「もっと...熱く!なれよぉぉぉぉおお!!!」

俺の能力でフライパンに直接火をぶち込む。
火に油を注ぐのではなく、油に火を注いだのだ。

如月「如月流料理方ー炎度回転(エンドロール)ー。」

荒れ狂う炎は渦となり、天井まで一本の柱を形成する。
その中心を鶏肉がまるで踊るかのように回転をしつつ、その色を黒に染めていく。
俺は火を止め、鶏肉を皿に乗せる。
そして、方蓮の前に突き出し不敵に笑った。

如月「さぁ、おあがりよ!」

次の瞬間、俺の視界は真っ暗になった。
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投稿 by フロストテイル on Thu May 05, 2016 9:31 am

ヘザーストーム wrote:コメント失礼します!
内容がすごく面白いので執筆頑張ってください!(^^)
ちなみに私は水無月さんが好きですw

ありがとうございますwコメントに気付くの遅れてすみませんww
これからものんびり頑張りますw
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投稿 by フロストテイル on Fri May 13, 2016 4:28 am

【如月クッキング】

方蓮「全く、何が炎度回転や。食材の一生終わらせてどないするんや。」

目の前に倒れるハチワレ猫を見下ろし、方蓮はため息をつく。
殴るのに使ったフライパンを元の場所に戻すと周りを見やる。

方蓮「チキン丸々一つ真っ黒焦げに、厨房の天井も焦げた。駄目やなコイツ、まるで料理出来とらん。」

呆れたように呟くと、皿の上にあるチキンの成れの果てを捨てようと前足を伸ばす。
ふと、表面がまだ高温であることに気付く。

方蓮「うわ、まだジュージュー言っとる。おっかないわぁ。」

恐らく皿さえも高温になっているのだろう。
このまま触ると危険だと判断し、方蓮は近くにあったフォークでチキンを突き刺した。
するとーーーーー。

方蓮「っな!?」

なんと、フォークを刺した部分から肉汁が吹き出さんばかりに溢れてくるではないか。
少し動揺した方蓮だったが、何かを察し急いでチキンをそのままフォークで真っ二つにする。

方蓮「な...中身が、焦げてない!?」

黒焦げチキン、中身まで真っ黒になっていただろうと思っていた。
しかし、これはどういうことだろうか。
外側を高温で瞬時に焼かれたチキンは、旨味を外側へ出せずに全て内側へ凝縮していたのだ。
それだけではない、未だ高温である外側から内部に向かって熱が発することにより現在進行形で程よく調理されていっているようだ。

方蓮「馬鹿な。こない馬鹿なことがあるなんて。」

震える前足でフォークを握りなおし、チキンを一口分だけとる。
その肉片は溢れ出た肉汁で濡れ、まるで黄金の欠片のような輝きを見せる。
方蓮はそれをそっと、口に含む。

方蓮「...ん。んん..。」

舌の上で転がし味を確かめると、肉汁が舌に絡み付く。
如月は何も調味料は使っていない。故にこれは素材本来の...。

方蓮「お..いし..い。」

もう一口食べる。もう一口、もう一口。
フォークが止まらない。飛ぶ肉汁が顔にまで跳ねてくる。
それを前足で拭い、そっと舐める。病み付きになってしまいそうだ。

如月「何やってんだ?」

方蓮「ミャーーーーーーーーーーーーーーー!!!?」


突然背後から如月に話しかけられ、心臓が跳ね上がる。
腰を抜かしへたり込む方蓮を首を傾げながら見た後、如月は皿の上を見る。

如月「あ!もう半分も喰っちまったのかよ!仕上げはまだだぜ!?」

方蓮「し、仕上げ?」

如月「おうよ!」

如月はどこからか小瓶を取り出し、皿に近づく。
小瓶の中では紫色の液体が禍々しく揺れていた。

如月「秘伝ー如月ソースver444ー。」

如月が秘伝(笑)のソースをチキンに振りかけると、先程まで黄金のようだった肉が暗黒の輝きを発し始める。
肉汁で出来た黄金の池は毒沼へと、未だ高温だった外側の心地よい焼け音は肉の断末魔へと変わる。

方蓮「じ、地獄や。コイツ、天国を地獄へ変えおった。」

如月「これで完成だ。」

如月はそう言い、皿を方蓮の前に差し出す。
もしこれがマンガであれば、肉の周りに溢れる効果音は絶対に「オ“オ“オ“オ“オ“オ“オ“オ“オ“オ“オ“オ“ォ“...」であっただろう。
方蓮はへたり込んだままチキンを見つめる。

方蓮(いやいやいやいやいやいや。無理やろこれ。どう見ても毒そのものやん。さっきまでの宝石どこいったん?腐食したん?)

今すぐに立ち上がり、再度如月をフライパンで叩きのめそうか考える方蓮であったが、ここで思い直す。
先程の黒焦げチキンも見た目だけで味を評価していた。
外面は岩石、しかし内面は宝石だった。
これも同じなのではないか?

方蓮(見た目が全てではない...よな?もしかしたら美味しいのかもしれん。)

それにソース自体が不味くとも、それがかかっているのは上手いチキンなのだ。
最低でも±0くらいのはずだ。

方蓮「...いただきます。」

早まる鼓動を抑えるように胸に前足を当てる。
フォークを肉に刺し、一口......。
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投稿 by フロストテイル on Thu May 26, 2016 7:19 pm

【如月クッキング】

広がる暗闇の中、遠くから小鳥たちのさえずりが聞こえてくる。
光を呼ぶ風が視界を照らす。

方蓮「..ん。」

目を開くと白色の天井が視界に入る。
近くの窓ではカーテンが風で揺れており、時折隙間から日差しが差し込み方蓮の顔を照らす。
どうやら自室のベッドの上らしい。

方蓮「もう、朝?うちは..一体。」

何故だか少し痛む頭で方蓮は昨日の夜の記憶を漁る。
思い浮かぶのは白黒のハチワレ猫..如月。
そして、焦げた天井に光と闇のチキン。

方蓮「...はっ!そ、そうや如月は!?」

勢い良く起き上がり、ベッドを下りようとする方蓮であったが
その行動は一瞬で停止することになった。
なぜなら、如月が方蓮の横で熟睡していたという事実を起き上がった際に発見したからである。

方蓮「あ...お...お..。」

方蓮「おぉぉぉぉぉぉぉおらぁぁぁぁああああ!!!!!」


ベッドの上に立ち上がり、叫びとともに如月を蹴りとばす。
如月は壁まで吹き飛び、そのまま激突して床に落ちる。

如月「ゴディバッ!!??」


方蓮はベッドから下りると如月の所まで歩き、如月の両頬をつねる。

方蓮「よぉ、お兄やん。目覚めはどうや?」

如月「めっひゃいひゃい。なひふんは。(めっちゃ痛い何すんだ。)」

頬を左右に伸ばされながらも如月は睡魔と痛みを含む声を出す。
その表情は己が今こうして攻撃されている意味がまるでわからない。といった感じだ。

方蓮「うちからすればアンタの方こそ何すんだって言うか何してんだって感じやけどな。乙女の横で堂々と熟睡出来るその根性が信じられへん。」

前足を如月の頬から放すと、方蓮は己の毛を整える。
寝癖がヒドい。

如月「全く、突然倒れたのを部屋まで運んで寝かせてやったのに..。ひどい扱いだぜ。」

方蓮「.....。」

如月の言葉に方蓮の動きが止まる。
その脳裏に、昨夜のことがフラッシュバックするように鮮明に思い出されていく。
口の中を支配する恐怖、脳を握りつぶすような味、本能的に逃げ出す意識。

方蓮「...あぁ、思い出したで。」

そう呟き、方蓮はどこからかフライパンを取り出す。
思い切り振りかぶり、振り下ろされたそれは如月を強打する。

如月「んぎはっ!!」

方蓮「なんやあのソースは!死ぬかと思うたわ!毒か?毒なんかアレ!?一体何したらあんな代物が出来上がるんや!悪魔降臨の儀式ちゃうねんで!!」

頭を抑えて悶える如月に方蓮は言う。
よく考えるとまだ口の中には不快な感覚が残っていた。

如月「毒?超特製の秘伝超絶滅茶美味如月ソースⅣのことか?」

方蓮「そうや!その..え、何て?もっかい言ってくれへん?」

如月「超特製秘伝超絶滅茶美味如月ソースⅣのことか?」

方蓮「長っ..まぁ、多分それや。なんやねんアレ、折角料理上手かったのに±0どころか−1000以上になったでアレ。」

呆れた声で言うと、如月がふふんと笑いながらソースを見せる。
そのソース..改めて見るとソースと呼べるのかも不安なくらい流動性があるが、やはり色味がまずおかしい。
この液体の材料が凄く気になる方蓮であったが、己のSAN値が直葬されるかもしれないのでやめておいた。

方蓮「...このソース(?)料理に使わへん方がええんでない?」

如月「おいおい何言ってんだ。俺の血と汗と努力の結晶だぞ?」

方蓮「結晶になってへんがな。どろどろやがな。」

方蓮は考える。この阿呆の料理はこの毒物さえなんとかすれば良いと。
だが、困ったことにこの阿呆はなんでもソースをかければ上手くなると考える派、つまりソース絶対派だ。
しかも自作ソースがオシャレだと思っているようだ。

方蓮(この思い込みの強そうな阿呆をどうにかせんと...。犠牲者が増えそうな気がするわ。..そうや!)

方蓮「なぁ、お兄やん。話、あんねんけど。」
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投稿 by フロストテイル on Tue Jun 07, 2016 9:37 pm

【如月クッキング】

如月視点

如月「はぁっ!?ソースをくれ!?」

方蓮「せや!なっ?瓶丸々一本だけでいいねん!」

如月「だけと言いつつ全部とる気だとっ!?」

謙虚に図々しい!
その勢いについ乗りたくもなるが、このソースは俺の魂!渡す訳にはいかない。いかんのだよ!

如月「ダメだぜ!」

方蓮「いいやん!」

如月「ダメったらダメだぜ!こいつは俺の魂だ!」

方蓮「代わりにええもんやるから!」

如月「!」

ええもん?それは少し気になるぜ。
話だけでも聞いてみた方が良いか?凄く気になる。
私、気になります。だぜ。

如月「...話を聞かせてもらうぜ。」

方蓮「ふっ..そうこないとおもろない。...こいつや。」

そういっておもむろに方蓮は小瓶をテーブルの上に置く。
...どっからだしたんだぜ?不思議だぜ。
小瓶は一般的なオルゴールの箱ほどに小さく、透明感のある瓶の中にはこれまた透明感のある液体が揺れている。

如月「これは?」

方蓮「うちの秘伝ソースや。コイツをソイツと交換..どうや?」

お互いの秘伝のソースを交換..?
どういうことだってばよ。
確かに面白そうだが、それって何の意味があるんだぜ?

如月「というかわざわざ交換する必要ないんじゃないか?」

方蓮「う..そ、それは..やな。」

方蓮がもごもごと何か言ってる。
良くわからんぜ。

如月「悪い。あんまり不必要なことはない主義でな。」

方蓮「不必要ってそれまんまアンタのソー...。い、いやほら。意味ならあるで!」

如月「どんなだぜ?」

途端に方蓮が考える人のポーズをとる。凄い似てるぜ。
...じゃなくて意味はなんなんだぜ。

方蓮「つ...。」

如月「つ?」

方蓮「通信交換...って知ってるか?」

如月「...ポケ○ンの?」

方蓮「..ポ○モンの。」

如月「それがどうかしたのぜ?」

方蓮「ひ、秘伝のソースは通信交換で進化する!」

如月「.........。」

方蓮「.........。」

如月「ま...。マジかよ!!良いなそれ!やろうぜ!」

まさか通信交換ができるなんて知らなかったぜ!
進化!新たなるロマンの匂いがするぜ!
挑戦するっきゃないな!

方蓮「お...おぅ。じゃ、じゃぁ交換するで?」

如月「おう!」

進化した秘伝のソース...。今夜さっそく試したいぜ!
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投稿 by フロストテイル on Mon Jul 04, 2016 10:46 pm

【如月クッキング】

意気揚々と店を出て行く如月を見送り、方蓮は呆れたように微笑む。

方蓮「中身はただの水なんやけどな...見た目でバレるかと思ったけど、本当お兄やん馬鹿やなぁ。」

ともかくこれで、瓶の中身が水だとバレるまでは被害者を減らすことに成功したと思いたい。
そんな思惑もあったが、方蓮はあの騙されやすい馬鹿とのやりとりが若干楽しく思えていた。
ああいう馬鹿は嫌いではない。と。

方蓮「お兄や..いや、如月...また、会えるやろか。ふふっ。」

機嫌の良さそうに超特製秘伝超絶滅茶美味如月ソースⅣを抱えて自室へと戻る方蓮。
ドアを開け、ベッドの脇の小型金庫にそれを封印するのであった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

数時間後

如月「たっだいまーーー!俺、帰還だぜ!」

睦月「おうお帰り。」

長月「おかえリーー!」

談話室へと帰還する如月を寝転がる睦月、それを枕にして携帯ゲームをいじる長月が迎える。
その数秒後にそれぞれの個室から皆が顔を覗かせた。

文月「おや如月君。昨日は帰って来ないから毛先ほどの心配をしましたよ?」

葉月「私なんて1ミクロンも心配したのよ?」

如月「お前ら..そんなに俺のこと心配して..!」

神無月「あ、そこ感動するんだ!?」

流れる涙を拭う如月は「よしっ!」と気合いを入れ、テーブルに飛び乗る。
そして自身の胸を叩き笑う。

如月「心配かけて悪かったな!お詫びに今夜はとびっきり旨いもんご馳走するぜ!」

水無月「テーブル、のる、だめ。」

如月「あ、はい。」

水無月に言われすごすごとテーブルから下りる如月。
その右前足で持っているものを、葉月と睦月が目撃した。

睦月(なんか持ってる!何アレソース!?新ソース!?アイェェエ!?新ソースナンデ!?)

葉月(お、おちおちおちつくのよ。大丈夫あれがソースと決まった訳では..。)

如月「へっ、今夜はこの秘伝ソースが唸りをあげるぜ!」

睦月(ソースだったぁぁぁぁあ!)

葉月(まずい!このままでは昨日から用意していた秘策が使えない!)

睦月の能力でテレパシー会話を続けながら、葉月は昨日睦月が持って来た小瓶のことを思っていた。
如月のもつ小瓶とそっくりなアレは、実は中身はただのブドウジュースでそれを如月の小瓶とすり替える予定であった。
しかし、今如月が持つのは透明なソース。

葉月(い、いろはす!いろはすを用意するのよ!)

睦月(買い置きがない!今からでは間に合わないっ!!)

葉月(そ、そんな..ことって..。)

睦月(もうおしまいだ..。勝てる訳がない。逃げるんだぁ。)

震える二匹をよそに如月はキッチンへと入っていく。
他のメンバーは若干諦め顔と言ったところであろうか。
料理の準備をし、如月はソース-タダノミズ-を愛おしそうに見つめた。

如月「さぁ、行くぜ方蓮。『如月クッキング』!ー炎度回転(エンドロール)ー」

                              ー完ー
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猫の談話室ーseason2ー Empty 【如月クッキング】方蓮&如月

投稿 by フロストテイル on Tue Jul 05, 2016 11:19 am

                         [img]猫の談話室ーseason2ー 2mc83dy[/img]
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猫の談話室ーseason2ー Empty 【文月ゴースト】

投稿 by フロストテイル on Wed Jul 13, 2016 9:48 am

【文月ゴースト】

薄暗い廊下。
足下を伸びるレッドカーペットを薄く照らす燭台の光。
窓から見える景色は暗く、少し向こうでは雷鳴が轟いている。もうすぐ雨が降るかもしれない。

「あぁ、いやだ。」

体がかすかに震える。
付近には誰もいないはずなのにありもしない視線を感じる。

「怖い。なぜ、私がこんな目に..。」

急ぎ足で廊下を進んでいく。
早くここから出なくては、こんな...。

(オイテイカナイデ..。)

「っ!?う、うわぁぁぁぁあぁあああああぁあ!!!」

こんな幽霊屋敷からは。
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猫の談話室ーseason2ー Empty 【文月ゴースト】

投稿 by フロストテイル on Thu Aug 25, 2016 2:30 pm

【文月ゴースト】

事の始まりは数時間前ーーーー。
猫乃市の片隅にある、一軒のお店から始まった。
そこは大通りから裏路地へ、坂を上り階段を下りた場所。
店名を『月猫相談室』という。

店の中では眼鏡をかけたシャム猫の雄が、どこからともなく聞こえてくるセミの命の音を聞きながら冷房の風を浴びていた。
その表情はいかにも退屈そうで、少し諦めたような目つきで真夏の日差しが降り注ぐ窓の外を見やる。

文月「平和..平和で退屈ですねぇ。」

彼の名は文月、ここ月猫相談室のオーナーである。
元々は談話室のメンバーで作った情報収集施設でもあるのだが、今ではここに通うのは彼一匹となっていた。

水無月「外、暑い、暇、仕方ない。」

来客用のソファから声が聞こえる。
見ると水無月が橙色の毛を冷風になびかせながら雑誌をめくっている。
ーーー忘れていた。時期が夏になってからは何故か知らないが水無月もこまめにここに顔を出しているようだ。

文月「...何を読んでいるんです?」

水無月「夏の定番、ホラー雑誌。読む?」

文月「読みませんよ、そんな非科学的なもの。ありもしないことを書き連ねただけの書物に興味はないですね。」

眉間にしわを寄せ、文月は言う。
幽霊、妖怪、お化け、UMA..どれもこれも文月にとっては馬鹿馬鹿しいと思うものだった。

水無月「非科学的、科学的、お互いの証明。永遠に続く、証明の証明、難しい。」

文月「居るという証明が出来ないのと同様に、居ないという証明も出来ないと?」

水無月「証明成功、科学勝利。証明不可、科学敗北。将を射んと欲すれば先ず馬を射よ。」

読んでいた雑誌のうち一つを文月に差し出す。
タイトル『お化け怖いニャン☆』...。
表紙には後ろ足のないムキムキの雄猫が写っている。

文月「言いたいことは分かりましたが...。なんですかこれ...。」

水無月「文月、びびり、それでもギリギリ。」

文月「馬鹿にしないで下さい!私に怖いものなどありません!こんなも....。」

表紙をめくろうとする文月の前足が止まる。
その視線は表紙のピックアップのうちの一つを見ていた。

文月「心霊写真-フルカラーで写そ☆-恐怖の3連発...!?」

水無月「少ない。」

文月「....水無月さん。冷蔵庫の中にプリンがあるのですが。」

水無月「....察し。」

若干青い顔で微笑む文月から、水無月は『お化け怖いニャン☆』を受け取るのだった。
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猫の談話室ーseason2ー Empty 【文月ゴースト】

投稿 by フロストテイル on Fri Sep 02, 2016 1:50 pm

【文月ゴースト】

それから更に数分後の出来事であろうか。

?「邪魔するぜ。」

ドアの開閉音。
熱気とともに室内に一匹の猫が入ってくる。

文月「いらっしゃいま...!?」

その猫の姿を見た文月は一瞬硬直する。
なんと目の前にいるのは体毛のほとんどない雄猫だった。

文月「いらっしゃいませ。ご相談ですね?ささ、そちらへおかけ下さい。水無月さん、育毛剤。」

?「ハゲについての相談じゃねぇよ!っていうかハゲな訳でもねぇよ!」

水無月「現実逃避....っ、現実、頭皮...ふふっ。」

?「ハゲじゃねぇって言ってんだろ!俺はスフィンクスっていう猫種なんだよ!」

水無月「スフィンクス?」

首を傾げる水無月。
文月はその耳元でそっとささやいた。

文月「古代エジプトの神殿の守護者の名前でもありますね。神殿は守れても体毛は守れなかったということでしょうか。」

?「聞こえてんぞ。」

文月「おっと失礼。ところでお客様はどんな育毛剤をご所望でしょう?」

水無月「そこに、三つの、育毛剤が、あるじゃろう?」

?「いい加減にしろやぁ!ハゲの相談じゃねぇっての!!」

文月「冗談ですよ冗談。ご用件はなんでしょう?」

微笑む文月に対し、若干疲れた表情を見せながらも雄猫は少しずつ話し始めた。
それは、文月とってはとても..とても長い夏の一夜の序章となるのであった。
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猫の談話室ーseason2ー Empty Re: 猫の談話室ーseason2ー

投稿 by ちくわ猫 on Fri Sep 02, 2016 8:46 pm

コメ失礼します!
すごく面白いです。
続きが気になります!(怖い話とか好きです)
執筆がんばです!
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猫の談話室ーseason2ー Empty Re: 猫の談話室ーseason2ー

投稿 by フロストテイル on Fri Sep 02, 2016 11:06 pm

ちくわ猫 wrote:コメ失礼します!
すごく面白いです。
続きが気になります!(怖い話とか好きです)
執筆がんばです!

コメントありがとうございますw
細々と続けていきますw
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猫の談話室ーseason2ー Empty 【文月ゴースト】

投稿 by フロストテイル on Thu Oct 13, 2016 9:48 pm

【文月ゴースト】

猫乃市より東、猫里離れた大森林。
その入り口は、まだ昼前だというのにも関わらず木々の影で薄暗くなっていた。

水無月「木のトンネル、凄い。」

文月「この森の奥地にあるんでしたよね?」

?「あぁ。」

三匹は木々の葉で形成されたトンネルに前足を踏み入れる。
奥からは夏の暑さをかき消すような冷たい風が吹き、三匹を包む。
それは奥へ進むごとに暗さとともに一層まとわりついてくる。

文月「暗いですね。」

水無月「寒い。」

?「ここは何かいつも暗くて寒いんだよ。多分アレのせいじゃねぇか?」

依頼者が視線を向ける先、そこには木々に隠れてポツンと井戸があった。
汲み上げ式の井戸のようでかなり古いのか苔に覆われているところが目立つ。
確かに冷気というか冷たい空気が井戸の方向から流れてくるのを感じる。

文月「あの井戸は?」

?「なんでも洋館が建てられた同時期に作られたものらしいんだが、今じゃ誰も使うものはいねぇのさ。」

肩をすくめながら依頼者は森の奥へと進む。
その後ろを歩きながら、水無月は一度だけ井戸の方向へと顔を向けた。
一瞬、ほんの一瞬だけ、何かの気配を感じた気がしたから。

文月「水無月、いきますよ。」

井戸を見てる間に歩幅が小さくなっていたのか水無月と文月の間に距離が出来ていた。
急いで文月の横まで駆け寄る水無月は、文月の顔を見て気付く。
彼もまた、あの井戸から何かの気配を感じていたことを..。
幽霊関係だったら怖いから口に出さなかったことを...。

水無月「.....ヘタレ。」

文月「触らぬ神に祟りなし、ですよ。」

水無月「祟る神なぞ引っ叩け。」

文月「火に油。」

水無月「油で天ぷら。」

?「何やってんだお前ら。ほら、見えて来たぞ。」

ちまちまと言い合いながら歩いていると数歩先の依頼者が呆れたようにこちらを振り返る。
そして前足を斜め上に向け、もうすぐ目的地へ到着することを告げた。

いつの間にか木のトンネルは終わっており、少しだけ空が見える。
その葉と葉の隙間から、一つの建物が見えて来た。

所々にヒビのはいった薄汚れた白い壁、数年の雨風に晒され色の崩れかけた屋根。ホコリのついた窓。
今回の舞台、大森林の洋館がそこにはあった。

                [img]猫の談話室ーseason2ー Bdwn5x[/img]
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猫の談話室ーseason2ー Empty 【文月ゴースト】

投稿 by フロストテイル on Wed Jan 04, 2017 1:01 pm

【文月ゴースト】

文月「結構大きめの屋敷なんですね。」

?「無駄に大きくて全然手入れが出来てないけどな。」

やれやれと首を振りながら笑う依頼者を横目に、水無月は建物をざっと眺めている。
その何かを探すかのような視線の動きが気になり、文月は水無月に声をかけようとするが、それは別の声で遮られてしまう。

?「おやおやこれはこれはスーさんではないですか。」

そんな声と共に2匹の雄猫が屋敷の裏手から歩いてくる。
二匹ともに黒いスーツのような毛の模様をしており、どこぞのエージェントのような佇まいをしている。
見た目が似ているが兄弟だろうか。もしくは染めているのだろうか。

水無月「文月、スーさん、誰?」

文月「ハg..依頼者さんのことじゃないですかね?」

スー「ハゲじゃねぇから。」

?「そちらの方々は?」

二匹は不審者を見るかのようにこちらを見てくる。
その光ない瞳の中には少しの焦りと、敵対心のようなものが混ざっていた。

文月「私は文月と申します。こちらの橙色の子は水無月です。貴方達は?」

?「僕はネグロ。後ろのは弟のブランコだ。」

警戒の姿勢を崩さぬままネグロと名乗る雄猫は自己紹介を簡単にすませる。
その後方、ブランコと呼ばれる雄猫は落ち着かない様子でこちらを見つめていた。

スー「ネグロ。何の用だ?」

ネグロ「いえ、そろそろ気持ちの整理がついた頃かと思いましてね?」

ブランコ「あ、えっと。早期決断をお願いしに..来たんです。..けど。」

スー「あぁ、待たせて悪ぃなぁ?あんたらがいちいちここまで足運んでくるから気持ちが揺らいでよぉ?」

ネグロ「おやおや、案外繊細な一面をお持ちのようで?」

スーとネグロはお互い敵意を隠さずに会話している。
そんな中ブランコと呼ばれる雄猫は両者を交互に見て萎縮してしまっているようであった。

文月「長引きそうですねぇ..。」

水無月「文月、先に行って。依頼、進めて。」

文月「え?いや、勝手に入ったら行けないのでは..?」

水無月「あれ、多分、言い合い長く続く。無視が無難。」

未だに睨み合う二匹を横目に水無月は文月に鍵を渡す。
鍵にはタグがついており、『裏口用』との記入がされている。

文月「え、ちょっ、これどこで?」

水無月「長引きそうだから、スーさんから、スリとった。」

文月「いつの間に..。」

水無月「離席の説明しとく、行って。裏口、入れば、回想イベント、始まるから。」

文月「メタイ...。」

若干呆れた顔をしつつ、文月はそっとその場から離れて屋敷の裏口を目指す。
その姿が建物の陰で見えなくなるのを見届けると、水無月は睨み合う二匹へと視線を戻した。

ブランコ「あ、あれ?文月さんは?」

ネグロ「ん?」

スー「そういえば、いつの間にかいねぇな?」

居なくなった瞬間、速攻バレた。
三匹の視線が水無月に集まり、説明を求めるような顔に変わる。
ふぅ..と少し息をつき、水無月は説明をする為に口を開き....。

水無月(そういえば、鍵、スリとったなんて言えない。)

水無月「......トイレ、大きい方、してくるって。」

無表情で淡々と述べるのであった。

         [img]猫の談話室ーseason2ー 14y7ku1[/img]
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投稿 by フロストテイル on Wed May 31, 2017 2:26 pm

【文月ゴースト】

文月「お邪魔します..。」

屋敷の裏口を、鍵を使いゆっくりと開ける。
中の様子をうかがいつつ、足を踏み入れ左右を見やる。
裏口を開けた先、そこには玄関があるわけでも何かの部屋がある訳でもなく、左右に分かれる廊下があった。
歩を進める度、絨毯の柔らかさを足裏に感じる。

文月「...く、暗い。」

不安げな顔で呟き、壁の僅かな光源を見つめる。
光源である燭台型のライト、その光量はさながら豆電球に劣るだろうか、足下の絨毯の赤い色がうっすらと見える程度だ。
設置されている場所も熊二匹分は離れており、明らかに暗いところが多い廊下である。

ふと、つい数刻前のことが脳裏に浮かぶ。

文月「あ、本当に回想入るんですね。」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
水無月「隠し、財産?」

文月「へぇ、そんなものが。」

スー「おう、俺の死んだ親父の所有してた洋館なんだが..。」

スーはそう言い、一枚の紙を取り出す。
そこには祖父からスーへ対する言葉が綴られていた。

文月「我が・・・子へ、最期の勝負をしよう。
   屋敷のどこかに眠りし秘宝を探してみせよ。
   見つけられたのならば、汝に全てを。
                  父より。・・・・」

スー「その紙切れ一枚俺に渡したかと思うと数日後にポックリ逝っちまったのさ。」

頭をボリボリとかきながら照れくさそうにスーは続ける。

スー「親父には事あるごとに勝負を仕掛けられてな..。いつも俺が勝って親父がふてくされるのがパターンだった。
   でも、今回のこれは今までのと訳が違ぇ。何よりヒントがねぇ。本当は俺一人で見つけなきゃいけないんだろうが、数日探してもみつからねぇ。
   だからよ、探すの..手伝ってくんねぇかな。」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

文月「受けるんじゃなかった。」

暗い廊下を壁伝いにゆっくりと進みながら文月はぼやく。
こんな暗くていかにも何か出そうな所からさっさと帰って事務所でお茶したいものだと。
というよりもう夕方近い時間なので凄く怖い。

携帯(きっさらぎ〜だ〜ぜ〜♪み・ん・な・の・ヒーロー♪全ての悪は俺が許さん♪)

文月「ひゃいっ!?」

突然不快な音楽とともに文月の携帯が鳴り響く。
激動する心臓を抑えつつ発信元を見るとどうやら睦月からのようだ。

文月「もひ..ゴホン!..もしもし?」

睦月「おう、俺だ。今日はいつもより帰りが遅いな。どうかしたのか?」

文月「え、あぁ。珍しく依頼が来ましてね。今色々と..。」

睦月「そうか、何か出来ることあったら連絡してくれ。手伝うよ。」

文月「ありがとうございます。....ところで、私の携帯の着信音が身に覚えのない不快な音楽なんですが?」

睦月「お前の携帯なら如月がこの前いじってたの見たけど。」

文月「.....なるほど。では、依頼があるので私はこれで。何かあったら連絡します。」

携帯を閉じ、歩き出す文月。
その足取りは先程までのビクビクしたものではなかった。
その瞳は先にあるやるべき事(依頼)と殺るべき者(如月)を見据えてーーーーー。
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