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森と丘と小川と暗闇の物語~森の力と絆~

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投稿 by ライトハート Wed Feb 01, 2017 10:45 am

森と丘と小川と暗闇の物語


1-6


森の力と絆



スター族がずっと恐れていた『あれ』がついに起こる。
それは、『あれ』が起こると、部族猫達を崩壊させてしまうのだった。
果たして、部族猫の運命は____!?



【重要キャラクター】

フラワーポー(花の足)
三毛の毛皮の雌猫。
心優しい性格。ある不思議な力をもっている。
ラムペルトとスパークフットの子供。

シャインポー(輝く足)
灰色の毛皮の雄猫。
フラワーポーの兄。


シャウアポー(夕立の足)
茶色っぽい毛皮の雄猫。
トゥリクルアイとランドクローの子供。

モーニングポー(朝の足)
白い毛皮の雌猫。
シャウアポーの姉。



【脇役キャラクター】

「フォレスト族」

族長 フライトスター(飛ぶ星)雄猫。
副長 レッドブリンドル(赤いぶち)雄猫。
看護猫 パドルファー(水たまりの毛)雌猫。
    ウォーターフラワー(水の花)雌猫。
戦士猫 カインドハート(親切な心)雌猫。
    サンフラワー(ひまわり)雌猫。
    リポーソング(漣の歌)雄猫。
    メープルテイル(楓尻尾)雌猫。
    ウッドウィスカー(木のひげ)雄猫。
    スプラッシュフォール(滝のしぶき)雄猫。
    ゴールデンファー(金色の毛)雌猫。
    ウィンドソング(風歌)雄猫。
    スカイフラワー(空花)雌猫。
    キャロルクロー(らくだの爪)雄猫。
    
見習い ラビットポー(ウサギの足)雄猫。
母猫  フロストフラワー(霜の花)雌猫。
長老  スートファング(灰の牙)雄猫。



「ストリーム族」

族長 バードスター(鳥の星) 茶色い毛に黒い縞模様の雄猫。
副長 フィッシュハート(魚の心) 青灰色の毛の雄猫。
看護猫 スワンフェザー(白鳥の羽) 真っ白い毛に青い目の雌猫。
戦士 サンライズピューピル(日の出の瞳)薄茶色の雌猫。
    シーブリーズ(潮風)真っ白い毛に青い目の雄猫。スワンフェザーの弟。
    リヴァークロー(川の爪) 銀色の雄猫。

「ダークネス族」

族長 マッドスター(土星) こげ茶トラの雄猫。
副長 ヴァレイストライプ(谷の縞模様) 黒トラの雄猫。
看護猫 リトルフラワー(小さな花) 小柄な雌猫。
戦士 ライオンクロー(ライオンの爪) 黄金の雄猫。
見習い スコーチポー(焼け焦げた足) 尻尾が赤い雄猫。

「ヒル族」

族長 ナットスター(木の実の星) 金茶色の雄猫。
副長 ミスティクラウド(霞雲) 灰色の雌猫。
看護猫 アイスィクルフラワー(つらら花) 白い雌猫。
戦士 ロングレッグ(長い足) 茶色い雄猫。



【あとがき】


こんにちは、ライトハートです。小説が書きたくなったので、ひっそりと再会させていただきます。最近暇なので、暇つぶしにもいいかと。
森と丘と小川と暗闇の物語シリーズ、これでラストとなりますので、最後までよろしくお願い致します。
重要キャラクターの毛の色とか間違えている可能性があります。アンケートのご協力やコメントもよろしくです。


最終編集者 ライトハート [ Wed Feb 01, 2017 3:25 pm ], 編集回数 2 回
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投稿 by ライトハート Wed Feb 01, 2017 10:58 am

【プロローグ】



一匹の雌猫は、半月の夜、<月の山>に登った。

ブラウンテイルが体を丸め、スター族に会いに夢を見始めたのがわかった。

灰色の雌猫も、池の冷たい水を一口飲んだ後、彼と同じように体を丸め、目を閉じた。

目を開けると、そこは暗闇の中だった。だが、森のにおいと、小さな動物たちが動く音や、自然の音がする。

雌猫は何故か怖くなり、毛を逆立て無意識に足を動かして光を探し求めた。

怖い。どうして音はするのに暗闇の中にいるのだろう。

恐怖で心臓が破裂すると思ったその時、目の前に一つの光が現れた。

雌猫は心の中であっと声をあげた。

その光はどんどん姿を変えていき、ぼんやりとした子猫の姿になった。

その子猫は可愛らしい笑顔をこちらに向けた。

この子は誰?見たことない子猫。こんなに愛らしい笑顔をする猫は初めてだ。

そう思ったとき、頭の中である一匹の雌猫が思い浮かんだ。

私はこの子猫を知っている!雌猫は戸惑った。

その子猫はもう一度微笑むと、さっきまで暗闇の中だったのが、急に自然が蘇った。

花が咲き乱れ、葉も茂ったのだ。

雌猫はそこではっと目が覚めた。

さっきのは何かしら。珍しくリーフスターは現れてくださらなかった。

だが、何かが起きることだけはわかった。大昔に一度起こったあれが再び起こることを。

だが、それが何かはわからない。胸騒ぎがする。

他の看護猫も次々と目を覚まし始めた。

「これは?」ブラウンテイルが身を震わせた。

「スター族は現れてくださらなかったわ」ストリーム族の雌猫、スワンフェザーの声は落ち着きを払っていたが、

怯えた匂いを発していた。

「見知らぬ子猫が暗闇で花を咲かせた」ダークネス族のリトルフラワーが静かな声でつぶやいた。

「どういう意味だと思う?パドルファー」

「わからないわ。ただ、胸騒ぎがするの。これから起きても対策できないことが起きる気がする」

看護猫達は途方に暮れた。ああ、スター族様!どうか私たちをお守りください!そして、このお告げの意味を、教えてください!

ただ、今は祈ることしかできなかった。
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投稿 by ライトハート Wed Feb 01, 2017 11:18 am

【第一章】


太陽の淡い光が顔にあたり、一匹の子猫は心地よい夢から目を覚ました。

大きなあくびをし、頭をはっきりさせた。

「あら、フラワーキット、おはよう」母親のラムペルトが優しく喉を鳴らしながら、

三毛柄のぼさぼさした毛を整えてくれた。

「フラワーキット!」

とっくに起きていた、兄のシャインキットが目を輝かせた。

「はやくしないと、シャウアキットたちに先を越されて、おいしい獲物がなくなっちゃうよ!」

「わあ!嫌だ!はやく行こ!」

シャウアキットは、トゥリクルアイとランドクローの子供だ。シャウアキットには、モーニングキットという姉がいる。

先を越されるなんて、嫌!おいしい獲物はあたしがもらう!

フラワーキットは兄を追って駆け出した。



獲物置き場でおいしい獲物を食べていると、シャウアキットとモーニングキットがやってきた。

口には獲物ではなく、葉っぱを加えていた。

「あ、獲物食べないの?」

「もう済ませたわ。寝坊助さんのあなたと違ってね」モーニングキットのひげの先がおかしそうに動いた。

「寝坊なんてしてないもん!」フラワーキットはむっとした。

「それより、この葉っぱで遊ばないか?」

シャウアキットがそわそわしながら聞いた。

フラワーキットは最後の肉を飲み込むと、ぱっと立ち上がった。「もちろん!」

シャインキットはもう葉っぱを狙ってモーニングキットに飛びかかった。

フラワーキットも加わり、しばらく取り合いっこをしていると、シャウアキットが誰かにぶつかった。

「何をするんだ!」

誰かが怒鳴ったが、フラワーキットは興奮が収まらず、葉っぱを奪い取った。

「やった!」

フラワーキットは勝ち誇った声をあげた。

「ねえ、あたしが___」

フラワーキットは振り返り、はっと口をつぐんだ。

「ごめんなさい」

シャウアキットがしゅんとうなだれていたのだ。

怒らしたのは、スプラッシュフォールだった。

スプラッシュフォールはぺしゃんこになったネズミを拾い上げた。

「このネズミをどうしてくれるんだ?」

どうやらぶつかったときに、スプラッシュフォールがよろけてネズミを落とし、踏んずけてしまったらしい。

フラワーキットは怖くなり、勝ち誇った誇らし気た気持ちは一瞬にして消えた。

「まだ子供ですから、いいじゃないですか」

先輩戦士と狩りに行ってきたスパークフットがなだめた。

「ぼくは子供じゃない!」怒られたにもかかわらず、シャウアキットはうなった。

「じゃあ、獲物置き場で暴れまわるのはやめろ」

スプラッシュフォールが冷たい声で言った。表情も険しく、本気で怒っている。

「今日は保育部屋で大人しくしときなさい。戦士たちの邪魔をするんじゃない」

スパークフットに言われ、子猫たちはまたスプラッシュフォールに怒られたら嫌なので素直に従った。

「もう一度狩りに行こう」

スプラッシュフォールはそういうと、父親の返事を待たずに不機嫌な足取りで歩き始めた。

「あれ?」

先輩についていったスパークフットは、足をとめて地面を見つめた。

「こんなところに花なんて咲いていたっけ」

綺麗な花が獲物置き場の近くで少し咲いていたのだ。

だが、それに気が付いたのはスパークフットだけだった。
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投稿 by ライトハート Wed Feb 01, 2017 3:20 pm

【第二章】


あれから何日か経った。みんなスプラッシュフォールのことを怖いと思ったので、あまり外に出ないようにした。

だが、フラワーキットだけは無邪気に遊んでいた。葉っぱを飛ばしては捕まえるの繰り返しだ。

みんなより一番狩りが上手だもんね!

「フラワーキット?」

兄の声に、フラワーキットははっと動きを止めた。

「どうしたの?一緒に遊んでくれるの?」

「違うよ」シャインキットは怯えた顔できょろきょろあたりをうかがった。

「そんなところで遊んでいたら、またスプラッシュフォールに怒られるぞ?」

「もう、シャインキットって真面目すぎ!」

「真面目で何が悪いんだい?一人で遊ぶより、保育部屋でみんなと遊ぼうよ」

フラワーキットはムッとした。ここでこの葉っぱで遊びたかったのに。

「それに、お父さんも中にいるよ?」

「うーん、それならいいわ」

フラワーキットは葉っぱを捨てると、シャインキットと一緒に保育部屋に戻った。


「お父さん!」

フラワーキットは目を輝かせ、三毛柄の戦士に飛びかかった。

「元気がいいわね」トゥリクルアイが眠そうに言った。

フラワーキットはにこっと笑った。「だって、滅多に保育部屋に来てくれないんだもん!」

「父さんはパトロールとかで忙し___」

すると、スパークフットははっと口をつぐみ、びっくりした表情になった。保育部屋にいるみんなも同じだ。

「どうしたの?」

あたし、何かしたっけ?何もしてないと思うけれど。

フラワーキットは急に不安になった。

「何でもないわ」ラムペルトが安心させるように耳をなめた。

「ただの勘違いさ、きっと」スパークフットも慌ててうなずいた。

フラワーキットはシャインキットを見た。兄は何かはわからないようすで、首をかしげていた。

「さ、さあ。フラワーキット。外で遊ぶならいいわよ。スプラッシュフォールも怒らないでしょうから。

ただし、戦士たちの邪魔はしないことよ」

ラムペルトに外で遊べとうながされた。

少し気まずい空気だったが、ラムペルトが明るく子猫たちに言うと、みんなはぱっとうれしそうに外に出た。

子猫たちが騒がしく出ていくと、三匹の猫達は困った顔をして見合わせた。

「見間違いじゃないよな」

「スパークフット、あなたの言う通りね」ラムペルトが静かに言い、一点を見つめた。

ラムペルトの視線をたどると、そこには見覚えのない花が咲いていた。

「あの子が笑った瞬間花が咲く。そんなことって、ありえるかしら」

トゥリクルアイが不安そうな顔でたづねた。

だが、フラワーキットの両親はなんと答えていいかわからなかった。
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投稿 by ライトハート Fri Feb 03, 2017 9:39 am

【第三章】


子猫たちはどんどん大きくなっていった。

「はやく見習いになってほしいわ」ラムペルトがため息をついた。

「本当よ。窮屈だし」とトゥリクルアイもラムペルトの言うことにうなずいた。

口ではそういうが、二匹とも子猫の成長を喜んでいるのか、少し嬉しそうな表情だ。

「それじゃあ、あたし、今から見習いになる!」

モーニングキットがぱっと頭をあげ、目を輝かせてトゥリクルアイを見上げた。

「あともう一日の辛抱よ」

「ねえ、今から訓練しようよ」シャウアキットが言った。「戦士になるための訓練だ」

「いい考えね」モーニングキットが賛成した。

フラワーキットもうなずいた。はやく訓練をしたくてうずうずする。明日とは言っても、待ちきれないのだ。

「じゃあ、暇そうな戦士たちに教わろう!」

「こら、シャウアキット、失礼なこと言わないの」トゥリクルアイがシャウアキットの耳を尻尾ではじいた。

シャウアキットは母親のことを無視した。

「じゃあ、行こう!」

みんなに号令をかけると、部屋から元気よく飛び出した。

「まったく。世話が焼ける子ね」トゥリクルアイはそう言った。



午後なので、休憩中の戦士たちが多く、暇そうな猫はすぐ見つかった。

シャウアキットの父親のランドクローが、日陰で寝そべっていた。

近くにいたハサックテイルが子猫に気が付いて動きをとめた。「なんだ?」

「狩りの仕方、教えて!」モーニングキットが大きな声でお願いした。

「いいだろう」ランドクローがそう言い、ハサックテイルをちらりと見た。「付き合ってやれよ」

「えっ、俺が?」ハサックテイルは少し嫌そうな顔をしたが、「ま、いいけどさ」と言った。

「狩りをするときは__」

子猫たちは少しふざけあいながら、二匹の戦士から狩りの仕方を少し学んだ。

フラワーキットは身をかがめ、足音をなるべく立てずに歩き、獲物に見立てた葉っぱに飛びかかった。

「すごい!」シャウアキットが興奮して叫んだ。

「だいぶ上手になったな」ランドクローが言った。

戦士に褒められ、フラワーキットは思わず興奮して飛び跳ねた。狩りの才能があるのかしら。

「ありがとうございます!」

にこっと笑ったのと同時に、みんなが急にびっくりした顔になった。

「花が急に咲いたぞ!」

ハサックテイルが驚いた声をあげた。

その声に、一族の猫達がこちらを向いた。

「急に?」うたた寝をしていたスートファングが馬鹿にした。「そんなの、聞いたことがないよ、ハサックテイル」

「フラワーキットが笑った瞬間、咲いたんだ」シャウアキットの目が丸くなっている。

一族にしげしげ見つめられ、フラワーキットの毛が逆立った。

ひそひそ何か話している戦士もいる。

本当に、その花はあたしが咲かせたの?嘘でしょう?

自分でも信じられずに、一輪の花を見た。
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投稿 by ライトハート Fri Feb 03, 2017 9:54 am

【第四章】


次の日になり、子猫たちは毛並みを綺麗に整えて保育部屋から出た。

フラワーキットは興奮して夜も眠れなかった。

昨日はあんなことがあったが、気にすることはない。無事見習いになれるなら。

フラワーキットはハイツリーの傍で腰を下ろした。

一族はフラワーキットを見て、ひそひそまだ何か言っていたが、今のフラワーキットにはどうでもよかった。

「いよいよだ」シャウアキットのぶつぶつ言う声が聞こえた。

モーニングキットも興奮していて、きょろきょろあたりを見て、落ち着きをなくしている。

シャインキットは、あたしたちと違って冷静で落ち着いた表情だ。

「今から任命式を行う。シャウアキット」

フライトスターに呼ばれ、シャウアキットは立ち上がった。

「シャウアキット、本日より戦士になる間、シャウアポーという名前になる。

指導者はブリーズレッグだ」

灰色の雄猫が、誇らしい表情でシャウアポーの前に来た。

「ブリーズレッグ。お前の勇気をこの子に教えてやれ」

「全力を尽くします」

こうして、モーニングキットはモーニングポーになり、指導者はリポーソングに。

そしてシャインキットはシャインポーになり、指導者はリポーソングになった。

「フラワーキット」

名前を呼ばれ、フラワーキットは立ち上がり、族長を見上げた。

「本日より、戦士になる間、フラワーポーという名前になる。指導者はメープルテイルだ」

三毛猫の戦士が真剣な眼差しでやってきた。

「メープルテイル。お前の優しさと心の強さをこの子に教えてやれ」

フライトスターの言っていることはあまり深く考えずに、指導者となったメープルテイルと鼻を触れ合わせた。

「これからよろしくね、フラワーポー」

「よろしくお願いします!」

「シャウアポー!モーニングポー!シャインポー!フラワーポー!」

フラワーポーは誇らしい気分になったが、自分の名前を叫んでくれる猫が少ない事に気が付き、

少しがっかりした。みんな、あの花を咲かしてしまったことを、怖がっているの?

だが、そのおかげで、今回は花は急に咲かなかった。
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投稿 by ライトハート Thu Feb 09, 2017 10:38 am

【第五章】



縄張り探検が終わった頃には、もう夕方になっていた。

四匹の見習いたちは疲れた顔をして獲物置き場へ向かった。

「ぼくが長老たちに獲物届けるよ」

シャインポーがそういうと、二匹のリスをしっかりとくわえながら長老部屋に行った。

フラワーポーは不安になって、傍にいる二匹をちらりと見た。

あの不思議な能力のこと、どう思うかしら。そして、どう言ってくるのかしら。

今日は花は咲かなかったが、フラワーポーは落ち着かなかった。

だが、心配する必要はなかった。はじめて遠くまで歩いたので、能力について言う元気もないのか、

二匹は疲れた顔で獲物を食べ終えるとすぐに見習い部屋へ引っ込んでいった。

フラワーポーはほっとし、シャインポーを待った。シャインポーが返ってくると、二匹と同じように獲物を食べて

今日から寝る見習い部屋へそっと入った。


次の日になった。

フラワーポーは一晩寝たら疲れが吹き飛び、元気になった。

今日は狩りの日らしい。

「さ、フラワーポー。何が匂う?」

指導者のメープルテイルの質問に、フラワーポーはさっと答えた。

「ネズミです」

「それじゃあ、自分の思う通りにネズミを捕まえてみて。そのあと、何が言いか、何が悪いか話し合いましょう」

生まれて初めての狩りにこれから挑戦となると、フラワーポーはドキドキしはじめた。

「ぼくは?ぼくも、狩りがしたいんですけど」シャウアポーが生意気にもそう言った。

「文句を言うな。順番だ」ブリーズレッグが少し呆れた表情で言った。

フラワーポーは二匹が静かになると、ネズミを見つけ、本能的にさっと身をかがめた。

ネズミに気が付かれないようにするには?

頭の中で自分なりに考えた後、フラワーポーは足音を立てずにネズミに近づいた。

そして距離を測り、ネズミをとらえた。

「お見事!」

メープルテイルが誇らし気が声で言い、感心したと言うような顔をしていた。

指導者にそんなに褒められるなんて!大成功だわ!

フラワーポーも誇らしくなった。

すると、地面から急に花がいくつもひらいた。

「うわっ、気持ち悪い!」

シャウアポーのところまで花がひろがると、嫌そうに飛びのいた。

「ブリーズレッグ、この猫といたくないです」

ブリーズレッグがまた叱ってくれると思ったが、満足そうな表情でシャウアポーを見ていた。

「シャウアポー。そういう言葉は使ってはいけません!」

メープルテイルは圧力をかけてシャウアポーを叱った。

先輩に怒られ、流石にびびったのか、シャウアポーは一歩後ずさった。

フラワーポーはがっかりしてうつむいた。

昨日は何も言わなかったけれど、やっぱり気持ち悪いって思っていたのね。
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投稿 by ライトハート Fri Mar 03, 2017 9:18 am

【第六章】


フラワーポーは午後は長老の世話をさせられた。

「終わったら声をかけて。そうしたら今日は休憩していいわよ」とメープルテイルに言われたのだ。

パドルファーからネズミの胆汁をもらい、長老の部屋に向かった。

「いらっしゃい」

フロストフラワーが声をかけてくれた。

「なんだ、その臭いにおい。まさかネズミの胆汁じゃないだろうな?」

フロストフラワーが呆れた顔になった。「彼の言ってることは気にしないでいいのよ」

「ありがとうございます」

フラワーポーはスートファングの声を無視し、マダニ退治をはじめた。

「お前、ブリーズレッグから聞いたぞ。気持ち悪い能力があるらしいな」

「スートファング、どこが気持ち悪いというの?」

フロストフラワーがフラワーポーをかばった。

「だって、あんな能力なんて誰も見たことがないだろ」

「でも、素敵じゃない。〔雪の舞い降りる季節〕の時に役立ちそうよ」

スートファングはただ馬鹿にしたように鼻を鳴らしただけだった。

「まず、どうしてこのフラワーポーがそんな能力をもっているんだ?」

自分でもわからない。どうしてかしら。どうして、あたしなの?

「本当ですよ。おかげで見習い仲間__お兄ちゃん以外___みんな冷たい目で見てくるんです」

「当たり前だ」スートファングがうなり声で言った。

「冷たい目で見るなというほうが無理だ」


世話を終えたフラワーポーは臭いにおいを洗い流そうと小川で前足を綺麗に洗った。

沈んだ顔で物思いにふけりながら休憩をとっていると、シャインポーがやってきた。

「どうした?フラワーポーらしくないよ」

顔を覗き込まれたフラワーポーは思わずそっぽを向いた。

今は話す気分じゃない。それに、お兄ちゃんまであたしを嫌ったらどうしよう。

「ほら、なんでも話してみなよ。力になってあげれるかもしれないだろ?」

「あのね」

フラワーポーはしぶしぶさっきの出来事を喋った。

「フロストフラワーは優しくしてくれるのだけれど、スートファングは優しくしてくれないの」

シャインポーが慰めるように耳をなめた。

「スートファングの言うことは気にしなくていいよ。だって、素敵な能力だってぼくも思う。

もしまた何かひどい事言われたら相談しろよ?」

兄のシャインポーに話を打ち明けると、フラワーポーの心はいくらか軽くなった。
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投稿 by ライトハート Mon Mar 06, 2017 9:27 am

【第七章】



大集会からの帰り道、フラワーポーは心がウキウキしていた。

シャウアポーは思った通りほかの部族の見習いたちに能力があることをばらしたが、

その猫達のほとんどが素敵な能力だと言ってくれたのだ。

シャインポーが近くを歩いた。

「よかったな、フラワーポー」

「本当!シャウアポーもびっくりしたでしょうね」

フラワーポーは勝ち誇った声を上げた。

そこでふと思い出し、はっと地面を見た。

こんなにウキウキしているのに、花が咲いていないのだ。どうしたのだろうか。

その事をシャインポーに話した。

「きっと、能力をコントロール出来てるんじゃないかな」

「本当?」フラワーポーはますます嬉しくなった。

じゃあ、これでもうシャウアポー達に冷たい目で見られなくなるのかしら。



大集会の後、見習い部屋で体を休めたが、中々寝付けなかった。

少しすると、いつの間にか静かな喋り声が聞こえてきた。

寝ているフリをして聞き耳を立てていると、

シャウアポーとモーニングポーが喋っている事がわかった。

「冗談だろ?」とシャウアポー。驚いているような声だ。

「本気よ。もちろん、最初は気持ち悪いって思ってたわ。でも、今日の大集会で考え直したの。

もうフラワーポーに冷たい目で見たりしない。これからは前と同じ友達として____」

「馬鹿じゃないか?散々悪口を言ってきたのに、友達に戻れる訳がないだろ」

シャウアポーはうなり声で言った。

「絶対許してくれないさ」

「あなたの方が馬鹿よ。あたしはもうこんな馬鹿げた事、やめるわ」

モーニングポーが本気で言っていることがわかると、シャウアポーは小声で話すのを忘れて、

イライラとした声を上げた。

「そうかよ。もう勝手にしろ!」

「ええ。あなたの言う通りにするわ」
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