災いの記憶(1期6巻後〜

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災いの記憶(1期6巻後〜

投稿 by 夜月猫 on Thu Jun 01, 2017 4:13 pm

ブラックスターの娘として生まれたある猫のお話です。

夜月猫
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Eyes on intent to kill

投稿 by 夜月猫 on Thu Jun 01, 2017 4:15 pm

夜の街に光るネオンでできた星の灯りもその裏路地までは届かない。ヒトの住まなくなった古びた家が影を落として、ヒトビトから忘れられたその道は埃っぽい黒に染められていた。
薄汚れたその暗闇の中、1匹の猫が座っていた。くすんで汚れきったその灰の毛皮は彼女のもよというよりも都会の荒んだ空気の色のようで、そのせいでどんな猫も彼女には寄り付きそうになかった。
それなのに路地が彼女の取り巻きで溢れていたのはきっとその美しい瞳のせいだろう。氷のように冷たく美しいその瞳には魔力にも似た強い、つよい力があって雄猫はおろか雌猫さえもその怪しい魅力の前に彼女にひれ伏していた。
「今日の獲物です、キラー。」取り巻きの一匹がそう言ってゴミ箱から漁ったのであろう肉の塊を彼女の前にそっと置いた。キラーはイラついたように鼻を鳴らすと牙をむいてその猫を追い払う。それから彼女はまるで野良猫とは思えない優雅な動きで食事を始めた。それは野良猫から見ればまるで金持ちの家の気取った猫のような下品な食べ方だったが、彼女がすると妙に美しく見えるのだ。
彼女は自分の取り巻きたちの餌がこの町では十分に手に入らないことを知っていた。最近は隣町のふざけた名前の群れが姿を消したことで餌が一時的に増えてはいるがそれもいつまで続くかわからない。彼らのほとんどがここ数日以前はまともな食にありつけていなかったのだ。だからどこか沢山の獲物が獲れる住処をなんとしても手に入れたい。
物思いにふけっていた彼女は自分の名前を呼ぶ声に気付きゆっくりと顔を上げた。見慣れない一匹の猫が恐る恐る彼女の前に進み出てか細い声で言った。「今日はあなた様にお願いがあってきたのです。」そう言って猫は地面に置いた太ったネズミを彼女に差し出した。
それからドブネズミとは違う新鮮な森の匂いが漂ってくる。
その猫の黄金色であろうその毛皮は乾いた血と土のせいで茶色く染まっている。「キラー、どうかあなたに私達の一族のリーダーとなっていただきたいのです。」かすれるような声をそう絞り出した。
「私たちは森の部族猫たちとの戦いでリーダーを失い、今新しいリーダーを求めています。あなたのような強い猫になって欲しいのです。どうか…」そこで猫は震える声を切り、ゆっくりと息を吸い込むと確かな声でこう言った。
「どうか、ブラッド族の新しいリーダーに」

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Eyes on intent to kill

投稿 by 夜月猫 on Thu Jun 01, 2017 4:17 pm

夜の街に光るネオンでできた星の灯りもその裏路地までは届かない。ヒトの住まなくなった古びた家が影を落として、ヒトビトから忘れられたその道は埃っぽい黒に染められていた。
薄汚れたその暗闇の中、1匹の猫が座っていた。くすんで汚れきったその灰の毛皮は彼女のもよというよりも都会の荒んだ空気の色のようで、そのせいでどんな猫も彼女には寄り付きそうになかった。
それなのに路地が彼女の取り巻きで溢れていたのはきっとその美しい瞳のせいだろう。氷のように冷たく美しいその瞳には魔力にも似た強い、つよい力があって雄猫はおろか雌猫さえもその怪しい魅力の前に彼女にひれ伏していた。
「今日の獲物です、キラー。」取り巻きの一匹がそう言ってゴミ箱から漁ったのであろう肉の塊を彼女の前にそっと置いた。キラーはイラついたように鼻を鳴らすと牙をむいてその猫を追い払う。それから彼女はまるで野良猫とは思えない優雅な動きで食事を始めた。それは野良猫から見ればまるで金持ちの家の気取った猫のような下品な食べ方だったが、彼女がすると妙に美しく見えるのだ。
彼女は自分の取り巻きたちの餌がこの町では十分に手に入らないことを知っていた。最近は隣町のふざけた名前の群れが姿を消したことで餌が一時的に増えてはいるがそれもいつまで続くかわからない。彼らのほとんどがここ数日以前はまともな食にありつけていなかったのだ。だからどこか沢山の獲物が獲れる住処をなんとしても手に入れたい。
物思いにふけっていた彼女は自分の名前を呼ぶ声に気付きゆっくりと顔を上げた。見慣れない一匹の猫が恐る恐る彼女の前に進み出てか細い声で言った。「今日はあなた様にお願いがあってきたのです。」そう言って猫は地面に置いた太ったネズミを彼女に差し出した。
それからドブネズミとは違う新鮮な森の匂いが漂ってくる。
その猫の黄金色であろうその毛皮は乾いた血と土のせいで茶色く染まっている。「キラー、どうかあなたに私達の一族のリーダーとなっていただきたいのです。」かすれるような声をそう絞り出した。
「私たちは森の部族猫たちとの戦いでリーダーを失い、今新しいリーダーを求めています。あなたのような強い猫になって欲しいのです。どうか…」そこで猫は震える声を切り、ゆっくりと息を吸い込むと確かな声でこう言った。
「どうか、ブラッド族の新しいリーダーに」

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The girl born to scourge the cats

投稿 by 夜月猫 on Sat Jul 01, 2017 4:18 pm

その猫は目を覚ました。
部族猫が暮らすその森の中、深く暗い木々中、子猫は弱々しくけれどしっかりと、その目を開けた。
優しい母猫の鳴き声が耳元で聞こえ、そのぬくもりが子猫を温める。風が吹いて木が揺れると微かな光りがちらちらと見え隠れする。
「あなたはとても幸せな猫…」母猫の優しげな声が子猫の耳を包む。「シャドウ族がまたこんな幸福に出会えるなんて。」
小鳥の楽しげな声が風にのってキャンプに届く。
子猫には夢見るようなその幸せな空間がひどく久しぶりで懐かしい気がしていた。

そしてそれが憎むべきものだと、子猫はかすかにそう思った。

「真夜中になった。今からの新しく見習いになる猫の命名式を始める。」
族長であり父でもあるブラックスターの力強い声がキャンプに響き渡り、部族の猫達がぞろぞろと集まり始めた。
チャンシキットは嬉しそうな顔を作って母であるの周りを駆け回った。もちろん心の中ではこんな茶番に呆れかえっているけれど。
ブラックスターはというと嬉しそうな顔をなんとか抑えて威厳ある顔を保とうとしている。
私はお父さんとは正反対だな。チャンシキットはいつもそう思っていた。
白い体に黒い足のブラックスター、黒い体に白い足のチャンシキット。怖いけれど実は優しくもある族長、明るく見えるけれど冷たい子猫。
「本日より」ブラックスターが私の目を見つめ頷きかけた。「戦士名を獲得するまでのあいだ、この見習いをチャンシポーと命名する。」
「トーニーペルト、」
ブラックスターはそう言って美しい女戦士に顔を移す。「おまえも最初の弟子を持っていいだろう。チャンシポーの指導を始めろ。」
チェンシポーは小柄な小さい体を精一杯伸ばしてトーニーペルトと鼻面を触れ合わせた。トーニーペルトの瞳が誇らしげにキラキラと輝く。
その輝きはブラックスターの娘へとあてたもの?それとも始めてもらった弟子へ対して?チェンシポーはそう思ってから考えを振り払った。今日くらいは他の猫たちみたいに喜べたほうがいいのに。
ここは私の居場所じゃない。初めてものを考え始めたときから思っていたことだ。だから、だからいつか1人でこの森から抜け出すようになるために。その為に訓練を受けるのだ。そう思ってやっと、チェンシポーは自分の瞳が輝くのを感じることができた。

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Fight alone

投稿 by 夜月猫 on Wed Aug 02, 2017 9:44 am

Fight alone

襲いかかるトニーペルトをなんとかかわして彼女の飛び上がりかけた足を払おうと前足を伸ばす。チャンシポーの前足はぎりぎりで空を切り、バランスを崩した小さな見習いは地面に転がった。
辺りは暗くなり始め、空には丸い月が浮かんでいる。チャンシポーが見習いになって数日が経っていた。
「よくなってきたわ、チャンシポー。でも焦ったらダメ。私を転ばせようとしたのはいい判断だけどもう少し練習が必要ね。」トーニーペルトが言う。
チャンシポーは悔しげに顔を歪めた。私の体がもっと大きかったら!そう思って悔しくなった。それに足が長ければきっとこの技は成功するはずなのに。ブラックスターはあんなに体が大きいのになんで私の体はこんなに小さいわけ?
「そろそろ帰りましょう。暗くなってきたし。」トニーペルトのこの言葉にチャンシポーは思わず顔をしかめた。
「でもまだ練習できます。」イライラと反論する。
「今日は大集会なのよ。あなただって行けるかもしれないじゃない。」トニーペルトがそう返した。
そりゃトニーペルトはサンダー族の弟に会いたいでしょうけど、私はそんな部族の集会なんかに興味ありません。チャンシポーは聞こえないようににそう呟いてしぶしぶトーニーペルトを追って歩き始めた。

次の日の夜のことだった。うっすらとあたりを漂う月明かりを頼りにチャンシポーはもぞもぞと見習い部屋から抜け出す。
いてもたってもいられながったのだ。普通の見習いたちと同じ量しか訓練しないのが間違いだったわ。チャンシポーは部屋の中でぐっすりと眠る猫達を振り返り鼻を鳴らした。部族猫達は仲間に頼ればいいだろうけど将来ここを出て行くのならそんなことも言ってられないもの。チャンシポーは辺りを見回し慎重にキャンプの外へと出る。

夜の森は神聖な空気に包まれていた。部族猫たちがスター族を進行するのもわからなくはないわね…思わずそう思うほど綺麗な星空。見入ってしまいそうだ。
チャンシポーはぼ眠気を払うように頭を振った。ダメダメ、ちゃんと訓練しないと。
まずは敵をひっかく練習。チャンシポーはワクワクと爪を出した。やっぱり戦いの練習なら爪を出さないとダメよね。
空中に敵を思い浮かべてチャンシポーは相手の脇腹を引っ掻いた。それを何回も繰り返していく。
50回ほど続けた頃だった。草むらからゴソリという音が聞こえてきてチャンシポーは驚いて練習をやめた。
訓練のせいであたりを気にするのを忘れていたなんて!太ったネズミの立てた音であることを願いながらチャンシポーは木陰に隠れた。もしきつねだったらどうしよう?急いで走れば逃げ切れるかな… チャンシポーがそう考えている時だった。突然首筋を咥えられチャンシポーの体が地面から離れた。パニックになって思わず暴れ、彼女のの爪が相手の毛皮を切り裂く。
「やんちゃな子猫ねえ…」チャンシポーを咥え上げた何かはもごもごとそう言うと、口を開けて彼女を離した。
慌てて跳びのきチャンシポーは毛を逆立て相手を見る。
怯えるチャンシポーの目に暗闇の中に立つ凍るような水色の目をした1匹の猫が映った。

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Re: 災いの記憶(1期6巻後〜

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