黒猫は街を横切る  

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黒猫は街を横切る  

投稿 by Bravepow on Sat Sep 09, 2017 8:14 pm

新作です。「毎度の事だしどうせ更新しなくなるんだろ?」とか冷ややかに見るのは止めてください。
 頑張ります。

 記し忘れましたが、字の文や漢字多くて、セリフが少なめです。
 無駄に難しい言葉を使う癖があるので、読めなかったらすいません。

 話はやたら欝です。


最終編集者 Bravepow [ Wed Sep 13, 2017 12:36 am ], 編集回数 2 回

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プロローグ

投稿 by Bravepow on Sat Sep 09, 2017 8:16 pm

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 ぬるあたたかい石の上にある、へんてこな袋のごちそうを食べるのが、最近の楽しみです!


 魚の頭とかネズミじゃない生のおにく。なんかよく分からない、やわいおいしいもの。
 たまーにおいしくない食べ物があって、息がギュっとなるのはこまるけれど、「ヒト」にお願いしてもらえる「食べ石」よりはぜんぜん良いな、と思うのです! あれはおいしくない!
 めのまえがみーんなカチカチのここで、カチカチを食べるなんてイヤなのです。
 なので、ボクはさがします……おたから袋は、ボクだけの物なのです!!


「おい雛菊」
「んひゃ! ひなぎくっ!」


 これから出会うおたから物に夢見ていると、カレが後ろから話しかけてきました。
 カレはまっ黒なからだを水みたいに光らせて、一つだけの黄色いおめめで話してきます!
 カレはここらじゃとーっても強いんです!ボクじまんのお友達!


「……朝の挨拶だ。驚かせてすまん。」
「んーん! アイサツぜんぜんダイジョーブだよ! またあいさつしてしてー!!」


 ニーッとわらってカレに言います! しんぱいしょーなのです! じぶんで言ってた!


「そうか。まぁ気が向いたらな」
「きょーはするの?」
「特に決めてない。お前は何をする気だ?」
「ふふん……おたから袋たんけんたいだよ……!」


 カレはいつも、ボクに何をするかきいてきます! まざりたいのかな……?


「あーそうか……いや……全く意味が分からいな」
「おいしーごはんをさがすのです! えっへん!!」
「……――そうか。用心しろよ」
「大丈夫だよ! お友達になるからー!」


「……ああ。明日も会おうな」
「もっちろん!!」


 声だけだと、カレはカチカチ猫みたいに思えますが、ちがいます!ちゃんとボクを見てくれてます。話してくれます!


 とっとことっとこと離れていくカレに、しっぽでバイバイしてアイサツしました。
 強くて、ふわふわなカレ。なんだか、カレとは今日、また会う気がします……!


---


「きょうっは~♪とって~も~♪いっい日~♪」


 おひさまはヒラヒラまぶしくて、かぜさんはボクの体をはしります!
 かいせーって言うんだとカレは言ってましたね! きょうはかいせーびより!
 トコトコ歩いてボクはおたから袋をさがします!


 お――見つけましたおたから袋!! とうめいなピラピラのヘンテコ袋です!
 なんとなんと、まだまだ手付かずの良いお袋さん! これはきたいできそうです。
 さっそくツメで袋を開けようとした、のですが……?


「おいチビ、どけ。ここは俺の縄張りだと知らないのかぁ……?」


 とっても強そうな、はじめて会うシマ猫さんが、ボクを見下ろしていました。


 びっくりして、ぼくも背中の毛が立ってしまいます。ボクは強くないのです。
 でも、おたから袋はゆずれません。これは先に見つけたボクの物です。
 怖くても、お話して、なんとかするしかありません!


「えっと、ごめんなさい。でもボク、この袋が欲しくて……」
「だがここは俺の縄張りだぁ……さっき言ったよなぁ?」


 シマ猫さんの体のシマシマが、ぼわっと太くなります。
 ボクもせいいっぱい、ふーっと声を出しますが、目の前のシマ猫さんにはかないません。
 でも、ボクはあきらめません!


 勇気をふりしぼってめいっぱいがんばります!


「は、はい、それでもボク、このおたから袋がほしいんです! できることならボク、なんでもしますから!
 お友達に、なりましょう!!そしたらボク――」


 ――――ガシッ、とボクの目の前に足がふりおろされました。いっぱい強い、大きな足。


 ツメにはいろいろな猫の毛と、かわいた赤色がしみてます。
 ボクの白くてやわらかい体なんて、ひとたまりもないでしょう。
 一歩、二歩、ボクの足がしぜんと後ろにさがってしまいます。


 そして、シマ猫さんは、膨らみきった体をゆらして。


「何でもするってなぁ……じゃあ一つだけでいいぞぉ。――今、ここで、死ねェェ!!!」
「おねがい――おねがいします!!」


 ボクに怒った『カチカチの』シマ猫さんが、思いっきりボクの顔を引きさきました。
 ボクは、逃げます――痛い、怖い。でも、仲良くしたい。
 いつも、そう思ってしまう。カレにはよく、悪いクセだと言われました。


 でも、みんな『カチカチ』だから。
 一緒に笑って、楽しく、何かを分け合うことをしたいだけなのです。 
 そうすればきっとみんなふわふわになれるから――


「おらぁ、クソチビィ! ここは! 俺様の! 縄張りなんだよ!」
「ごめんなさい、ごめんなさい……」


 カチカチの猫さんは、笑っています。ボクは何も出来ません。逃げるだけ。


 ――もう、辛いです。『おたから袋探し』も、駄目になってしまいました。
 『きれーな筒倒し』も、『かったいカクカクすりぬけ遊び』も、『たっかーい所でひなたぼっこ』も、『草はみはみ』も、『お昼寝』も、『ご飯』も、『お水』も、あれも、これも、どれもこれもそれも、全部ダメだと言われて、ダメにされて、ダメだと言います。


「やぁっと捕まえたぁ……目障りなんだよ…!」
「あ゙ぁぁ゙ぁ゙ぁぁあ゙ああ゙あぁぁぁああぁぁぁぁぁぁああ゙!!!!!」


 あぁ――ボクの、ひらひらのしっぽを――カチカチさんが、思いっきり噛みました。お肉が、なくなる。


 ――カレがよく、言ってくれていました。「お前は正しい。だが此処では間違っている。そんなではいつか。殺されるぞ」と。
 ごめんなさい。今だったみたいです。尻尾を夢中で壊すカチカチは、今までで一番つよいです。
 カレがボクなら――どうにか、なったかもしれませんが、ボクは弱い。


 とっても、つらいなぁ。ボク、これから、死んじゃうよね?


「楽しいんだよなぁ……お前みたいな雑魚を、嬲って殺すのはさぁ……!!」


 カチカチはおなかで笑う。笑うと歯が当たって鳴る。カチカチ、カチカチと、カチカチと。
 しっぽだけじゃない。後ろ足も、何も感じない。もう駄目だと思う。


「ぁ゙、ぃぅ……ぁぁぁ」
「痛くて何も言えないか?言えないなぁ!?最っっ高だなぁ!!!」


 そうだよ。カチカチは、何も、感じない?ボクはね、死ぬのも、痛いのも――


「ぃ……ゃ…ぅ゙」
「『嫌』ねぇ……じゃ、どっかに祈れよ、星にいる猫とかの、馬鹿みたいな事になぁ!!」
「ぁ゙…ぅ、ぇ……ぇ゙……」


 ボクは、ここで――
 

「何だよぉ、お前! ここは俺様の縄張り――」


 ふと。ボクの上にのっかっていたおもさが、消えました。


「……雛菊」
「ぁ゙……ふ、ぅ…」


 ――カレには名前がありません。でも、ボクのなまえは、彼がつけてくれました。 


「……ごめんな」
「だ、ぃ……じょ…ぅ゙……」


 ――カレは、「ヒト」の声が、わかると言っていました。


「な……か、なぃ……で……」
「……ごめん」


 ――「お前みたいな白い雛菊は、無邪気って意味らしい」カレは、そう言ってました。


「ね……やわ、らかい……ままで……」
「……難しいな」


 ――ありがとう。ボクは、うれしかったよ。


「がん、ばって……その、まま」
「……ああ」


 ――カレは信じるかな。死ぬと、空に行くんだって言ったら。


「じゃ……ね………」
「っ……ああ」


 ――ボクは、先に、空で待ってるよ。



「ありが、とう……」



---


 雨が降っている。雛菊を汚そうと言うのだろうか。


 アイツの白い体はもう動かないと分かっているが、傍を離れることが出来ない。
 先の縞猫は、殺す。俺が負ける相手でもない。


 アイツはいつもそうだった。縄張りだとか、この陰鬱な世界を無視する様に振舞った。
 俺はカレと呼ばれていた。「仲良くなろう」口癖だった。そんな事は無理だと言ったら、「ボクとカレは仲良しだよ?」と言った。


 いつもそんな奴だった。昔はアイツが何かやろうとして、それを俺が止める。
 アイツは止まらなくて、いつもどこか落ち込んだ様子で帰って来ていた。
 でも、翌日には自分のやりたい事、ずっとやってられる事を考える。
 そんな奴だった。俺はいつしか止めるのをやめて、ただ『明日も会う』という約束を取り付けた。
 駄目だった。止めるべきだったんだ。


 本当に優しい奴で、どこまでも正しかったけれど、此処では間違いだ。
 街は凝り固まっている。柔らいのは腐っている。
 裏も表もありはしない。飼われるか、この街で生きるか。


 人は猫を見てよく可愛いだ汚いだと言う。
 この固まった街の支配者は、随分高慢だ。
 今も、不配慮な自転車が俺の横を過ぎる。



 街頭が放つ光を、雨が揺らす真夜中だった。


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