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罪と罰ー全てを血で終わらせる物語ー

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投稿 by ノーススノウ Mon Jun 08, 2015 9:44 pm

死ねば良いのに。あいつなんて、死ねば良いのに。

じゃあ、殺せば良いか。良いよね神様

だって、あいつが悪いんだもん。

これは、私があいつに与える

死の恐怖暗闇をあげましょう。

これは私からのプレゼント


ホラー系です。
グロいです。(の予定です)
大丈夫な方のみご覧下さい。
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投稿 by ノーススノウ Tue Jun 09, 2015 9:29 pm

✳︎世界観✳︎

ァイヤスターの手によって、スカージが殺され、一時は分裂しかけたブラッド族のその後。
在の住処は二本足の住処の中にある、使われていない地下道です。
その地下道は複雑で、沢山部屋があります。長の部屋は、地下道の一番奥にあります。


✳︎主なキャラ紹介✳︎

主人公
レア・S(セヴェル)……生後6ヶ月の雌猫。灰色の毛皮に琥珀の瞳を持つ。その若さからブラッド族内で孤立している。


その他

レンダ・S(セヴェル)……主人公母。

ラーク・S(セヴェル)……主人公父。

レイル・S(セヴェル)……主人公兄。

カージ……主人公の血縁。他界。

ウン……ブラッド族の長。スカージが倒れた『災いの戦い』で生き延びるも脳に後遺症が残っている。

ル・K(クラネル)……暗殺のプロ。ブラッド族の一匹。二つ名はバリウス419。

イズ・M(モナ)……ブラッド族の一匹。

イ・B(ボークス)……ブラッド族の一匹。

ルガ・G(ガーメント)……ブラッド族の一匹。


✳︎目次✳︎


序章「どうして太陽は昇ってしまうの?」
血、一滴目「私は、どうして私なの?」
血、二滴目「力のある奴等は、皆んなそうじゃない……!」
血、三滴目「私が死ぬしか方法は無いんだから……!」
血、四滴目「殺すはずの鉤爪」
血、五滴目「名前の威厳と誇り」
血、六滴目「私に殺される為に、生まれてきたんだってね」
血、七滴目「憎みし者達の永遠なる戦いの幕開け」
血、八滴目「愛しい貴女へ極上の鉤爪を」
血、九滴目「嘘の真実と真実の嘘」
血、十滴目「汚れた血の中の更に汚れた血を持つ者」
血、十一滴目「自嘲と誇りの紙一重の違い」
血、十二滴目「僅かな軌跡」
血、十三滴目「命と引き換えの平和」
最終章「何もかも失ったこの土地で」


最終編集者 ノーススノウ [ Sat Sep 05, 2015 1:44 pm ], 編集回数 3 回
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投稿 by レパードクロー Wed Jun 10, 2015 7:15 am

新小説おめでとうございます!
ブラツド族が舞台ですか!おもしろそうです♪♪
ボウンは部族たちととの戦いで見習いたちに倒されてすでに他界しています。
詳しく言えばボウンがブランブルポーを襲ったためトーニーポーがブチ切れ、見習いたちから集中攻撃をうけて死にましたw
頑張ってください!応援してます!
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投稿 by ノーススノウ Wed Jun 10, 2015 11:07 pm

レパードクローさん
コメントありがとうございます!
期待に添えられるよう、精一杯の努力はします(当たり前や)
そうなのですか……?!
では……ボウンは実は生きていた、という事に(殴
声援ありがとうございます!レパードクローさんも頑張って下さい!
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投稿 by ノーススノウ Wed Jun 10, 2015 11:12 pm

序章「どうして太陽は昇ってしまうの?



平線の向こうからようやく顔を出し始めた太陽は、大地を淡い光で照らした。

それと同時に目覚めた風が、さっと灰色のふわふわな毛を乱した。先程捕らえたばかりのアオズトリの羽が一枚ひらりと風に乗って飛んで行った。

灰色の猫は爽やかな朝の空気を肺一杯に取り込み、短く息を吐き出した。

そして、アオズトリが置いてある場所に屈んだ。それにかぶりつこうと口を開いた。

これはブラッド族にいれば誰だってする習慣だった。それをする理由は子猫だって分かる。

それは、生きる為だ。親から耳にタコが出来る程何度も言い聞かされた。

だが、その思考を邪魔するように、獲物の顔についている嘴に目がいってしまった。試しに突いて開かせる。

そしてまた突いて嘴を閉じさせる。食べる目的で捕らえたのだが、今、それはおもちゃと化した。親の教えさえも忘れて。

羽を一本抜いて風に飛ばし、それを前足で掴んだ。

その感触が気に入り、もう一度飛ばした。今度は落ち葉の上に叩き落とす。

肉球に当たる落ち葉が冷んやりとして気持ちが良い。フレアはころっと落ち葉の絨毯に寝っ転がった。

すると、鼻の中に落ち葉のカスが入りくしゃみした。そこで忘れかけていた獲物の存在を思い出した。

途端に腹が鳴った。獲物を置いておいた場所に駆けつける。

しかし、確かに獲物を置いたその場所には、獲物が無かった。

そこには獲物の鮮血も残されている。羽もある。だが、獲物だけが無い。ぬす……まれた?

「だっ……誰?私の獲物を盗んだのは!」誰もいない虚空に向かって叫ぶ。

「そんな卑怯な真似しないで、出て来なさい……ッ!」

彼女はびくっと肩を大きく震わせた。琥珀の瞳は大きく見開かれている。

脳が逃げろと叫んでいる。獲物なんかどうでも良いと。走れと。

彼女は一歩踏み出しかけたが、遅かった。

「はぁい」

誰かがフレアの耳元で囁いた。

その声は、彼女の頭の中に残酷な響きとなって木霊した。

瞳がますます大きく見開かれる。さっきまでは心地良く感じられた落ち葉の冷たさも、今は寒気となり彼女の体温を奪った。

この声と共に、全てが彼女の敵となった。

「貴女、誰に向かって口利いてるか、分かってる?」

その声の持ち主は、歌を歌うように舌を滑らせて楽しむ様に言った。その恐怖の歌声は彼女をどんどん追い詰めて行く。

変な汗が頬を伝い、顎から地面に滴った。彼女の呼吸はどんどん浅くなり、鼓動は早くなり、地面は湿っていく。

「モッ……モナ……さん……」途切れ途切れの息の中で、身体中の力を使いようやく言葉を紡いだ。

だが、次の瞬間にはフレアの小さな体は地面を離れ、宙を舞っていた。脇腹に焼けるような痛みを伴いながら地面にまた体が付いた。
咳き込む彼女にモナは容赦せず、腹を殴った。フレアは危うく吐き掛けた血の塊を半ば強引に押し戻す。

「モナ様でしょう?」モナは口ずさむ様に続けた。

「それから、このアオズトリは私が貰ってあげるわ。貴女、食べられないみないだったから」

「………………………………………ッ」モナがフレアの尻尾を踏み付けた。

だが、フレアは悲鳴一つも上げない。否、上げられないのだ。

彼女は必死に奥歯を噛み締めて、悲鳴を押し殺した。モナは少し目を細め、フレアに顔を近づけた。

「良いわよね?」邪悪な笑みを浮かべてハミングするかの様に、そっと、しかし裏に本当の意味を潜め、たった一言そう告げた。

「は……い……」フレアは痛みに耐えながら、消え入りそうな震える声で言った。

尻尾が軽くなった。モナは、満足そうにモナは自分の足音を響かせながらようやく去って行った。

軽くなったといっても、痛みがある事には変わりない。尻尾以外にも、頬や腹、特に脇腹がうずいている。

彼女を嘲笑するかの様に、太陽が彼女を照らした。

今になって、彼女は大きく肩を震わせて、吐きそこねたどろっとした鮮血を吐き出した。茶色い落ち葉が赤色に染まる。今日も、今日が始まった。

自分の血を眺めながら、彼女はそう心の中で力無く呟いた。


"罪"    To Be continued
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投稿 by レパードクロー Thu Jun 11, 2015 9:02 pm

おいこらモナアア!!何フレアちゃんいじめてんだぁ!弱いものいじめしているやつが弱虫なんだy(何説教してんだよ
えー、上の発言は空耳ですよー。

ぐ、グロイですねぇ………。
でもグロ系大好きです(>∀<)/
応援してます!
(そしてウォーリアーズアカデミー復活しました。また参加してもらえると嬉しいですww)
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投稿 by ノーススノウ Fri Jun 12, 2015 5:34 pm

レパードクローさん
コメありがとうございます!!
ホントです!モナ死んどk(お前が書いてるんだろ

ありがとうございます、声援に応えられるよう頑張りまぁぁす!
了解です。ですが……保存するのを忘れてしまいまして……
少し時間を下さいっ………
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投稿 by ノーススノウ Fri Jun 12, 2015 10:23 pm

血、一滴目「私は、どうして私なの?


ずく脇腹をかばいながら、彼女は自らの寝床、と言ってもただの落ち葉で作った葉の先が毛に刺さる寝心地の悪い所に倒れ込んだ。

結局今日も朝食は抜きになってしまった。まぁ、慣れた事と言えば慣れた事だが。

その為彼女は日に日に体重は落ちていき、毛並みも優れず、顔色も悪い。

だが、そんな彼女を心配する者等誰もいなかった。しかし、それだけで済めばまだ良いが、今朝の様にちょっかいを出して来る者達が多々居た。

そして彼女に手を挙げ、地面に屈させて、彼女が音を上げたら満足そうに去って行く。彼女はその後ろ姿を眺める事しか出来なかった。

彼女に、味方等いなかった。両親や兄でさえも、彼女の敵だ。

もはや、此処に彼女の居場所は無い。かと言って、逃げ出す事も出来ない。

なぜなら、監視されているからである。ちょっかいを出して来る連中は、監視ついでにちょっかいを出して来るのだ。

ボウンが言うには弱者程裏切るらしい。その為、監視させているのだ。

彼女はボウンと口を利いた事は無かった、否、利けなかった。

ブラッド族内でボウンと口が利ける者は極僅かで、勿論その中に彼女が入れるはずは無い。

しかし、彼女より一ヶ月先に産まれた兄はボウンとの接触は許されていた。

私は、兄が憎い。死ぬ程憎い。身内なのに、どうしてこんなにも差があるの?

私はボウンと話すどころか、監視まで付けられて…挙げ句の果てには暴力を振るわれ……

勿論彼女は彼女の兄にも何度も手を挙げられていた。何度も獲物を奪われていた。

一ヶ月、というのはこんなにも差が開くものなの?それとも性別のせい?それか……もっと、別な理由?

彼女は自らの小さな軟弱なかぎ爪を見た。ブラッド族は皆、犬の牙や爪等で補強しているが、彼女にはそれさえも許されなかった。

暗殺。猫を殺せば、私も認めてもらえるのだろうか?だが、彼女は自嘲した。

殺す?猫を?私がそんな事出来るはずが無い。こんな爪で、こんなボロボロの体で、太刀打ち出来るのはせいぜい飼いならされた飼い猫ぐらいだろう。

しかし、自分自身は殺す事が出来る。彼女は飛び起きた。そうだ……自分自身は自分自身で殺す事が出来る……!

あぁ、どうしてもっと早く気が付かなかったんだろう!

自暴自棄になった彼女はブラッド族の根城の地下道から飛び出した。見張り役も後ろから飛び出る。

彼女は風と一体になって走っていた。筋肉が毛皮の下でしなやかに動いてくれる。こんなにも生きていると感じたのはいつ以来だろうか?

しばらく二本足の住処を駆け抜けると、大きな渓谷に出た。

彼女は口角を上げた。ここよ、私が目指していた場所は。もはや、見張りの存在等、そんなちっぽけな物は頭に無かった。

彼女の頭の中にあるのは、死。ただそれだけだった。

彼女は大きく跳躍した。こんなにも小さくボロボロの体の中の何処にそんな力が残されていたのかは分からない。

しかし、確かに彼女は跳躍した。渓谷の中に。

彼女の灰色の毛並みが風になびいて一層ふわふわさを増している。

さよなら、私。

地面にゴロゴロ転がっている無数の岩の数々を目の前にして、そう言った。

刹那、その辺り一帯に赤い物が飛び散った。その液体を飛び散らせた本体は、激流に呑み込まれ、そこに真っ赤な鮮血のみを残して流されて行った。

ただ、それだけのお話だった。



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投稿 by ノーススノウ Mon Jun 15, 2015 9:40 am

血、二滴目「力のある奴等は、皆そうじゃない……!


「メルガ・Gより、わたくしグレイル・Sを仲介に致しまして言付けがございます」

グレイル・Sと名乗った猫が、一匹の雄猫に対して服従の姿勢をとった。

「良いだろう」グレイル・Sに対して尻尾を振る。

無様に地面に屈する彼とは比べものにもならない程に大きな態度で。

「フレア・Sが二本足の住処の向こうにある渓谷に転落して激流に呑まれた、との言付けでございます、ボウン様」

ボウンと呼ばれた大柄な雄猫は、いきなり大きく口を開いた。

「ハッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!遂にか!ハッ、絶対に、やると思ったぜ!ハハハ……ヒヒヒヒヒ……それで?そいつのオブジェ(遺体)はどうなってんだァ?」

ボウンは腹に溜まっていた物を一気に吐き出すかとように嘲笑した。

あぁ、また狂った。グレイル・Sはそう心の中で言いつつ激流に呑まれた事を伝えた。

「へへへ……あぁ?」突然ボウンは口を閉じた。一気に空気が凍り付いた。

グレイルの背筋に冷たい物が走る。

ボウンはその立派な前足でグレイルの胸ぐらを掴んで壁に押し付けた。

「今直ぐ探し出せ!あの川に流されたのなら直ぐに見つけられんだろう?」

「心配なさる気持ちは良く分かります……しかし、そこには奴の血痕も残っているのです。きっと死んで……」

グレイルはボウンに更に強く壁に押し付けられた。ここまでくると、息をする事も容易では無い。

「なんだてめぇ、まさかこの俺に口答えすんのかァ?良いかァ、俺は奴のオブジェが欲しいんだよ。ここまで言えば分かんだろォ?」
「お……仰せのままに」ボウンはようやくグレイルを解放した。

✳︎

ここ……は?何処……?私は一体、何を……?

彼女がいたのは一面暗闇の世界だった。

視覚では何も見えない。その変わりに聴覚と嗅覚をフルに活用させた。

すると、何者かの足音が聞こえて来た。反射的に彼女は身構えた。

しかし、何時まで経っても猫は現れない。

恐る恐る彼女は琥珀の瞳を暗闇に凝らした。その時、暗闇の中に一匹の黒猫の姿が浮かび上がった。

その黒猫は小柄で、その大きさはフレアとあまり変わらなかった。

彼女はまだ気づいていなかった。暗闇に浮かび上がっているこの黒猫が、自分の先祖だという事に。

しかし、彼女の危険センサーは、黒猫に対して反応していた。

「あ……貴方誰……ですか……?此処は何処……なんですか……?」震え声で言った。

対して黒猫は「恐る必要はない」と返した。黒猫はフレアが喋らないのを見て再び舌を躍らせた。

「申し遅れたな、我が名はスカージ。お前の血縁であり、ブラッド族の創設者だ」

フレアの背筋に寒気が走った。心拍数がどんどん上がっていく。初代ブラッド族の長は続けた。

「ボウンが引き継いでくれて良かったよ。ま、ボウンはもう直ぐ死ぬがな」

「そ、そんな話は私にはもう関係ありません」フレアはそう返した。

スカージは眉を顰めた。自分の子孫に反抗されたのが癪に触ったのか、かぎ爪を剥き出しにした。

彼のかぎ爪は犬の牙で補強してあった。フレアは一歩あとずさった。

力のある奴等は皆そうだ。力のない奴を力でねじ伏せる。力のある奴等は、皆そうじゃない……!

……そういう奴が悪いのよ。……殺してやる……!

フレアも小さなかぎ爪を剥き出した。もはや彼女の中に、逃げるという選択肢は暗闇の中に消えていた。

その変わり、殺すという選択肢を光の中から見つけた。

その姿は、怪物のようだった。

そんな彼女を目の前にしてもなお、スカージは余裕の表情を浮かべて言った。

「それにしても、ボウンは随分と面白い実験をしたもんだな」

再び彼女の背筋に寒気が走った。

「じっ、実験?なんの事か詳しく説明して!」僅かに語尾が震えた。本人は気づいていないが。

「知るか。知りたければ自ら聞いてみれば良い。……聞いたところでどうにもならないがな」

スカージは嘲笑うように口角を淡く淡く上げた。

フレアは唇を血が溢れ出しそうな勢いで噛んだ。こいつに嘲笑された事に腹が立った。

刹那、彼女は黒猫に飛びかかっていた。産まれて初めての反撃だった。

しかし、彼女は腹に、鋭く尖った物が食い込むような感覚を覚えた。

次の瞬間、目の前が紅色の液体によって真っ赤に染め上げられた。




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投稿 by ノーススノウ Sun Jun 21, 2015 11:45 am

血、三滴目「私が死ぬしか方法は無いんだから……!


色の毛玉は、ゆっくりと目を開けた。朦朧とする意識の中でも痛みや冷たさは感じられた。

灰色の毛の間と皮膚が所々裂けていて、そこから出ている赤い物が、流れの緩やかな小川をゆっくりと赤く染めている。

彼女の上半身だけ砂利の上に打ち上げられていて、下半身は水面で揺れていた。

彼女は両前足で砂利を掴み、全身に残されたカスのような力を前足に全てを注ぎ、やっとの思いで下半身を小川から引き上げた。

死ねなかった。

彼女の脳裏にその言葉が横切った。

死ねなかった。

彼女は自身の頬をつねった。しかし、悪夢等ではない。ここは、三次元の世界だ。

死ねなかった……

彼女は仰向けに寝っ転がって、赤く染まった空を見た。彼女の琥珀の瞳が一瞬鮮血のような赤になった。

どうして……?どうしてよ……!死なせてよ、神様………

私が自由に生きられるようになるには、私が死ぬしか方法は無いんだから……!

そう彼女は心の中で神を罵った。居るかどうかも分からない生物に対して、罵った。

死ぬんだ……絶対に……死んでやる!神が許さなくとも私は知ったこっちゃ無い。

刹那、彼女は悲鳴を上げた。突然岩陰から現れた生物に腹の上に乗っかられ、押さえ付けられたのだ。

「キル・K……!」彼女は信じられ無い気持ちで岩陰から現れた猫を見上げた。

キルは彼女の腹に爪を立てた。その痛みに耐え兼ね、フレアは呻いた。

しかし、彼が言ったのは想像とは全く違う言葉だった。

「凄いな、生きていやがる……」感情の入らない声だった。すると彼女を地面に押さえ付ける力が少し弱まった。

彼女はその隙を見て、自分の体を捻って足の下から抜け出した。

直ぐにまた襲いかかってくる、そう思考を巡らせ彼女は身構えた。

だがキルは、何やらブツブツ独り言を言ってから彼女と向き合った。

フレアは弱った体に鞭を打ち、小さく飛び上がって小さなかぎ爪を振るった。

しかし、キルは首をひょいと後ろに倒してその攻撃を躱した。

「遅い」彼はそう無表情で言い放ち、フレアの小さなずぶ濡れの体を蹴り上げた。

彼女は砂利の上で一度バウンドし、ようやく止まった。

彼女が無様に転がっているところには、血の海がどんどん広がっていく。

無数の傷口が開いたのだ。

「はッ……?!」彼女は血の塊を吐き出した。

更に血の海が広がる。それはまさに、地獄絵図だった。

このままでは出血多量で生命活動が停止してしまう。そんな事は生後6ヶ月の彼女にも分かった。

だが。「寝そべってる暇なんざないぞ」悪魔の囁きが彼女を動かした。

彼は砂利にかぎ爪を突き刺した。そこはフレアが今さっきまで寝ていた場所だ。

彼女は彼のかぎ爪を、間一髪で躱したのだ。その時、キルのかぎ爪が飛び散らせたフレアの血が、フレアの左目に入った。

慌てて目を閉じるがもう遅い。鮮血は、彼女の左目を真っ赤に染め上げた。

声とも言えない悲鳴を上げながら、彼女は目を瞑って何処ともなく走った。

砂利の上に血が点々と付くもの気にせずに、ひたすら走った。やがて、彼女の姿は地平線によって隠された。

キルは、彼女を追い掛けなかった。

「……………」その変わり、彼女が消えたところに向かって、何かを呟いた。

しかし、その声は猫の怒声によって掻き消されてしまった。

✳︎

「キル、居たか?」ブラッド族にしては友好的そうな一匹の雄猫がキルに問い掛けた。

「俺が此処に来た時には既に居なかったよ。こいつを見ろ」

キルは血の海を指差した。その血は、真っ赤な血ではなく、どす黒い血に色を変えていた。

だが、その周辺に血痕らしき物は残されていなかった。



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投稿 by 明日輝 Sun Jun 21, 2015 12:11 pm

今更ながら初コメ失礼します。新小説おめでとうございます!

スカージ!地味にスカージ好きだったので嬉しいです!

ぐろいですねー、最近ましになってきたものの、まだ少し苦手なので、眠れなくなる覚悟のもと拝見させて頂きました!
初めの文字を大きくしているのがいいですね!

頑張ってください
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投稿 by ノーススノウ Sun Jun 21, 2015 9:17 pm

明日輝さん、コメントありがとうございます……!
私もスカージの過去が明らかになった瞬間に好きになりましたw

すみません、わざわざ拝見していただいて………
ちゃんと眠れるようにおまじないしておきます←
最初の文字はこだわってみました!

ありがとうございます、明日輝さんも頑張ってください!
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投稿 by ノーススノウ Sat Sep 05, 2015 1:48 pm

血、四滴目「殺すはずの鉤爪」



色の少女は独り暗闇の中をひたすらに走っていた。灰色の毛は所々濡れて束になっているが、運動能力に支障はさほどでない。

しかし、体にある無数の傷口は彼女が一歩踏み出す毎に大きくなり、彼女を苦しめた。彼女が走った後には点々と血の道が出来上がった。

だが彼女は止まらない。

息は上がり、目も見えず、体もどんどん弱っていく。だが、決して止まらない。

しかし、彼女を妨げるように、一つの大きな川が彼女の行く手に横切っていた。

無論、彼女は気付くはずは無い。

灰色の子猫は再び自らの悲鳴と共に再び川に落ちた。

灰色の子猫はずぶ濡れになり、どんどん流されていく。

その川は想像を絶する程の速さで子猫の体を押し流して行った。

しかし、こんな窮地に立たされてもなお、少女は抗わない。

流れに身を任せ、激流に呑まれていく。やっと……やっと死ねる……!

誰かに殺される訳でも無く、静かに、独りで……

彼女の瞳は輝いていた。閉ざされた左目を淡く淡く淡く開いた。

その色は、右目のような荘厳に輝く金ではなく、光を失った、不気味に煌めく鮮血のような赤だった。

もはや視力を失ったそれは、虚空に視線を泳がせた。彼女は再び左目のみ閉じた。

どうか……どうか……早く私の体温を私の体から抜き取って……そんな静かな願いと共に、正常な右目も閉じた。

暗闇の中をどんどん流されていくこの感覚も悪くない、そう思いながら。

そろそろ息が持たなくなってきた、そう思った、その時。何かに彼女の首筋が引っ掛かった。

最初は木の枝だろう、そう思った。だが、彼女を引っ掛かったそれは、首筋に深く食い込んできた。それは皮膚に届き、また一つ切傷を作った。

彼女はその正体を推理した。

木の枝だったらとっくに折れて流されているはず。
イバラだったらこんなに食い込んでこないはず。
棘だったらそもそも引っ掛からないなず。

彼女が思い浮かぶ中で消去法した結果、ある答えに辿り着いた。

猫のかぎ爪。

きっとキルだわ。……逃げなくては。死ぬ為に……私の、自由の為に……!

フレアは全身全霊の力を振り絞り、水を掻いた。しかし、彼女の体は前に進むどころか、その場で回転した。

そこでふと目を開けた。朦朧とする視線を彼に向けた。

殺そうとしているのだろうか?それとも、ボウンが私を生きたまま捕らえろと命令したのか。

……それか、有り得ないだろうが、純粋に助けようとしているのだろうか?

彼女は自らの思考を自嘲して、深い深い闇へと堕ちていった。

彼女の鮮血に染まった左目は、僅かに開かれていた。
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