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MAGIC☆WORLD~未来を取り戻す旅~

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投稿 by (ライトハート) Sun Sep 12, 2021 11:40 am

MAGIC☆WORLD~未来を取り戻す旅~

暗くて深い未来を変えるために
希望の光を思わす白い猫は今____。

プロローグ 未来の定め

今瞳に映るものは何だろうか。

それは自分が想像している未来に立つための夢なのだろうか。

だが、そこにいる魔導士達よ。

その夢は、かけらとなり、やがて散り散りと崩れていくのだ。時というものはなく、光の届かない、暗くて深い暗晦の未来。

自然の音もせず、命の音もない。静寂に包まれており、ただ一つ聴こえるのは、雄猫の空気を吸う音だけ。

光など、もうどこにもない。太陽どころか、月の光でさえ。もう視界に入ることなど、無いだろう。

これほどまでに当たり前に時が流れていた世の中のありがたさが身に染みるだろう。

そんな絶望的な暗黒の世界で、一匹の、希望の光を思えさせるような白い雄の猫は、唇を噛み締めながら立ち尽くしていた。

この光景に、思わずこわばった顔つきになり、肩に力が入ってしまう。

彼の白い足元には、伝説の魔法武器が物寂しげに置かれていただけだった。

それを何も考えずに前足で手にした時、もう光など見れぬと思っていた雄猫の視界に、

その伝説の魔法武器から淡くて弱い光が放たれた。

『白い希望の魔導士よ。目覚めなさい。あなたは暗黒の世界を救うための生命なのだという事に。

過去へ戻り、あなたは何者かによってバラ撒かれた魔法の精霊玉を回収し、光の島に収めるのです』

覚醒という言葉が頭の中を過った。

その伝説の魔法武器を、雄の猫はしっかりと握りしめた。

まだ不安と、寂しさが胸の中にあった。

何故白猫一族は絶滅してしまい、自分ひとりだけなのだろうと。

両親や姉は、口癖のように一匹にはさせないから安心しなさい、と毎晩夢を見るたび、告げていたのだ。

耳元でささやくそのぬくもりは、雪解けがはじまった季節のようだ。

だが、白猫一族は絶滅した。

最後に、姉の月のような色をした表情を、離しながら。

一匹だけ暗闇に取り残された白い雄の猫は、息を吐くと、星の猫の力を借り、昔の時代へと姿を溶け込まさせた。

(あとがき)
BBSに現れるのは何年ぶりでしょうか?
お久しぶりです。そしてはじめまして、ライトハートと申します。
2016年に投稿した小説をリメイクしました。
理由としましては、文章力を上げるための練習と、懐かしい気持ちを味わいたいからです。
ゆっくりとした更新になりますが、よろしくお願いします。

(ライトハート)
未登録ユーザー


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投稿 by スパークリングムーン Sun Sep 12, 2021 11:47 am

初めまして!スパークリングムーンです!
毛色等は自由雑談フォーラムの自己紹介トピックに書いてあります!
小6でウォーリアーズファン歴は今年で6年目です
よろしくお願いします!

スパークリングムーン
未登録ユーザー


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投稿 by シャイニングナイト Sun Sep 12, 2021 12:10 pm

ライトさんですか!?
めちゃくちゃ面白そうなプロローグですね!
楽しみです!頑張ってください!
シャイニングナイト
シャイニングナイト
ライオン族
ライオン族

投稿数 : 1286
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投稿 by (ライトハート) Mon Sep 13, 2021 2:56 pm

スパークリングムーンs、シャイニングナイトさん、コメントありがとうございます!
そしてスパークリングムーンs、はじめまして!
プロローグを面白いと言ってくださり、自信がつきました!
これから頑張ります!

(ライトハート)
未登録ユーザー


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投稿 by (ライトハート) Mon Sep 13, 2021 3:00 pm

第一章 魔法を信じたい

未来という時代から過去へと、魂は流れた。

雄猫は淡い光にほっと胸を撫で下ろした。

何故だろう。この光を感じると、すっと夜の水のように冷たかった心が溶かされていくようだ。

ゆっくりと、慎重に瞼を開けて、豊かに染まった色とりどりな景色を見つめた。

まだぼうっとしていたが、どうにか頭を巡らしていくと、イバラが複雑に組み込まれた猫の部屋がそこには存在していた。

尻をついていたのは、コケでできた寝床だ。

微かに、生のネズミやウサギを食べた後が残っており、そのにおいが鼻を覆った。

その下に、雌猫のにおいが混じる。

今時イバラでできた部屋や、コケを使った寝床で就寝するなど、珍しい。

間違った時代に俺は飛ばされてしまったのだろうか。

「ふ、不法侵入者!」

耳をつんざくような慌てた音がする。

思わずその音に耳を寝かせた。

何事だろうと伝説の魔法武器を前足に握りしめて顔を上げた。

赤茶虎柄の雌猫が慌てた顔色で、黄色い満月のような目を丸くしている。

四足歩行で毛皮を逆立て、威嚇を喉の奥から発していた。尻尾を激しく振っており、鼻先にシワができている。

「でて行ってよ!でないと追い払うわよ!」

パニックになっているのか、言っている言葉がおかしいように感じた。

「言われなくてもすぐに出て行く」

雄猫は落ち着いた口調で言うと、立ち上がった。

「あ……その魔法武器……」

雄猫が手に取った伝説の魔法武器が目に留まったのだろう。口をぽかんと開けている。

「これがどうかしたのか」

「やっぱり、魔法って本当にあったんだ!」

パニックになり慌てたのかと思えば、雌猫は嬉しそうに無邪気にひとりで騒ぎ出した。

嬉々として輝かせた瞳は、本当に生まれて初めて武器など見た事がない、と言った調子だ。

これまた珍しい。今時四足歩行などしないし、生で獲物など食べない。

ましてや、魔法武器でここまではしゃぐ者など、これまでの人生でそんな猫はいなかった。

「名前はなんていうの?あたしはね、ルフィーナ!」

頼んでもなかったが、ルフィーナと名乗る猫は自己紹介をはじめた。

瞳を輝かせて雄猫の言葉を一語一句聞き逃すまいと耳を澄ます様子に、雄猫はため息をついた。

「俺はホク」

「へぇ、白い猫なんて今時珍しいよね。どこから来たの?何が好きなの?魔法って何なの?」

魔法とは何か____と言う、魔法を使っている者なら想像もしない疑問が、このルフィーナにはあったのだ。

今改めて考えると、魔法とは何なのだろうか。

「そんな質問攻めされても迷惑だ。それに勝手に部屋に侵入してしまったのは悪かった」

「やっぱり、不法侵入者じゃん。魔法が使えても、そんなんじゃあたしの憧れにはなれないねっ」

「ならなくて結構だ」

「何の騒ぎだ?先程から騒々しい」

「あっ、村長さん!」

ルフィーナが新たに割り込んだ声に反応し、勢いよく振り返った。

「は?村長?」

村長と言う事は……ここは火の国だ。そうか。だから文化が光の島とは違ったのだろう。火の国は、魔法を信じない国だ。

だとすると、ルフィーナが驚くのも無理はない。

「な……お前が持っているのは……」

村長はホクを見るなり、気が動転しそうになっていた。

「魔法武器ですよ、村長!やっぱり、あたしが思っていた通り、魔法は存在するじゃないですか!」

「魔法など信じず、己の力で生き抜くのが火の国の生き様だ」村長の声には、ルフィーナに対する怒りが滲んでいた。

「も、申し訳ありません」ルフィーナの表情が沈んだ。あの未来の暗黒の世界を思い出す、暗い表情だ。

「さあ、お前は出て行った出て行った」

村長が胡散臭そうにホクを追い払った。

ホクは火の国から出て行く中、好奇心に駆られた視線を背中で浴びて、居心地が悪くなった。

魔法が使えるからでは無い。白猫である事も関係しているだろう。

「お前、これは夢だ。魔法など存在せぬ」

村長が必死の想いで村人達に呼びかけていた。

ホクはもう一度、歩いてきた道を振り返ってみた。

視界の端で、気持ちが沈んだ、曇った表情をしていたルフィーナがそこにはいた。

ホクは伝説の魔法武器を手にしながら前へ進んだ。青い空の光が雨のように降り注ぐ。

こんな景色をまた見られるとは。感無量だった。だが、ホクの手で未来を変えなければ、

また未来にいた時のような出来事が繰り返し起こってしまう。その前に、何としてでも食い止めなければ。

ふと、背後でカサカサと茂みの揺れる音がした。かと思えば、茂みの間から落ち込んだ表情をした一匹の雌猫が姿を表した。

その猫は、ルフィーナだ。

「何故ついてきたんだ」

「火の国から、追い払われちゃって……」

出会った当初とは随分と調子が変わっている。

「あたしは、魔法を信じているの」ルフィーナは話を続けた。

「でも、火の国の猫達は信じていない。それで、ホクは本当に魔法使いだったから、魔法はあるって、村長に言ったの。そしたら、追い払われちゃって……」

「行くあてがないんだな」

ホクは静かにルフィーナをただ見つめた。

俺の旅はこれから厳しいものになるだろう。何てったって未来を変えなければならないのだから。冷たいやつだと思われてしまうが、それは構わない。こいつと共に旅を

すると、足手まといになってしまう。

「悪いが、俺の後はつかない方がいい。危険な旅になるぞ。お前がついてこられる保証はない」

「それでもいい……」

ルフィーナの目には、微かに涙が揺れて光った。

「魔法を信じている猫にやっと出会えたんだもの。あたしはあなたについて行く!」

「ウォータースクール」

「え?」

「水の国にある、ウォータースクールに行く道のりまでなら、ついて行ってもいい」

親切にするのが照れ臭くなり、ホクはぶっきらぼうに言った後、そっぽを向いた。

こいつは放っておいて、先に進めばよかったものの。だが、今更後悔してももう遅い。

「そ、それって」

ルフィーナが涙を拭い、微かに目元が微笑んだ。

「ウォータースクールに通えるって事?」

その言葉に、ホクが頷くとルフィーナがまたもや嬉しそうにはしゃいだ。

「やった!ありがとう、ホク!」

「子供かよ」

「あっ!ホクってば、今あたしを馬鹿にしたね!あたしは火の国に詳しいんだよ!謝らなかったら、前足なんて貸してあげない!」

「す、すまん」

「よろしい」ルフィーナは機嫌がいいのか、澄ました顔になった。

「獲物はホクの分まで獲ってあげよう」

「生で食べた獲物なんて、久しぶりだ」

そう言えば、過去に来てからと言うものの、何も食べずにここまで来た。

よく我ながら我慢ができたものだ、と勝手に自分を褒めた。

「それと、見て!」

ルフィーナが何かを隠していた事はわかっていたが、こそこそと後ろから石を取り出した。

その石はなめらかで肌触りの良い、ポカポカとしていそうな石だった。

「心まであったかくなりそう。ねぇ、ホクも触ってみなよ!」

ルフィーナの言った通りだ。どこか見ていると、本当に不思議と心まであたたまる。

何か、掻き立てられた。俺はこの石をなんとしてでも守らなければ。そう言う想いが、身体を駆け巡る。

ルフィーナに言われるがまま、ホクは前足を石に置こうとしたが、身体をピリッと激しいものが走り、毛皮が逆立った。

「わっ、大丈夫?」

ルフィーナがホクの様子に慌てて、目を大きく見開いた。

「平気だ」

『白い希望の魔導士よ。目覚めなさい。あなたは暗黒の世界を救うための生命なのだという事に。

過去へ戻り、あなたは何者かによってバラ撒かれた魔法の精霊玉を回収
し、光の島に収めるのです』

この石は、もしかしたら……。

ホクはこの不思議な石に思い当たるものがあった。

「俺の鞄の中に入れろ。持ち運びやすくなるだろ」

「ホクもこの石気に入ったんだね」

ルフィーナが嬉しそうに微笑み、不思議な石を鞄に仕舞い込んだ。

「この石は不思議な予感がする。必然的に巡り会う運命かのように……」

先へ進むと、風向きが変わってキツネの不快なにおいがした。

ホクよりもいち早くルフィーナがそのにおいに気がつき、気を引き締めていた。

「気をつけないと」

ホクは伝説の魔法武器を強く握りしめ、警戒しながら先へ進んだ。

ふと、植物の甘い香りのする木々の隙間から、赤茶色っぽい長い尻尾が見えたかと思えば、鋭い目がきらりと光った。

暗がりから醜い顔をしたキツネが姿を表した。犬でもなく猫でもないキツネは、信用の置けないものだ。

しかも、一匹ではない。三匹くらいのキツネが憎々しげな色を瞳に宿しながら、ホク達を睨んでいた。

ホクは伝説の魔法武器の使い方はわからなかった。幼い頃、父親から譲り受け継いだものだったが、早死にしてしまったのだ。

だが、伝説の魔法武器の方から輝きを放ち、剣の先端が激しく光った。

ホクは前に飛び出て一振りすると、キツネ達がびくっと飛び上がって喉元で唸りながら退散して行った。

「すごーい!」

ルフィーナが感嘆な声を上げた。

「魔法って、凄いんだね!」

「ああ」

ホクはじっと伝説の魔法武器を見つめた。

俺でも、伝説の魔法武器が使用出来るんだ。

そう思うと、少しばかりの自信と、大きな責任感が込み上げてきた。

これから、本当に俺は世界を救わなければならないのだ。そんな実感が、腹の底から水のように湧き上がる。

「魔法は良い行いをするためにあるもので、悪い行いをするためにあるものじゃない。魔法を習うなら、その事を理解してくれ」

魔法を悪用する者に、ルフィーナには将来なって欲しくはなかった。ルフィーナには、魔法を正しく使って欲しい。

「うんっ!」

ルフィーナの表情が、太陽のように輝いた。

そんな太陽の光は、ずっと眺められる事が出来るのだろうか。それには、自分の前足にかかっている。

(ライトハート)
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