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「ああ、どうせ私は落ちこぼれ」

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投稿 by シャイニングナイト Thu Nov 12, 2020 5:54 pm

ファイヤスターとサンドストームの娘として生まれたマロンポー。
母は狩りは部族一で、戦いの腕も良い優秀な戦士。
父は部族を2度も救った英雄。
なのに.......、
どうして私はこんなに落ちこぼれなのっっっ!

マロンポー(栗の足)♀
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投稿 by シャイニングナイト Sat Nov 14, 2020 3:42 pm

主な登場猫紹介

⚡サンダー族⚡

族長 ファイヤスター(火の星)♂
オレンジ色の毛皮に緑色の目を持つハンサムな雄猫。元飼い猫。部族を2度救った英雄。サンドストームの連れ合い。娘達を全員分け隔てなく愛している。

副長 グレーストライプ(灰色の縞)♂
灰色の縞柄の毛皮に琥珀色の目を持つ雄猫。ファイヤスターと初めて出会った部族猫であり親友。弟子はマロンポー。

看護猫 シンダーペルト(消し灰色の毛皮)♀
濃い灰色の毛皮に青色の目を持つ雌猫。ファイヤスターの元弟子。弟子はリーフポー。一族全員を家族の様に思っている。

戦士 サンドストーム(砂嵐)♀
淡いショウガ色の毛皮にエメラルド色の目を持つ雌猫。ファイヤスターの連れ合い。マロンポー、リーフポー、スクワーレルポーの母親で娘達を分け隔てなく愛している。

戦士 ダストペルト(土の毛皮)♂
焦げ茶色の縞柄の毛皮に琥珀色の目を持つ雄猫。ファーンクラウドの連れ合い。スクワーレルポーの指導者。マロンポーとはよく喧嘩する仲。

戦士 ブライトハート(明るい心)♀
白とショウガ色の毛皮に緑色の目を持つ雌猫。片目がなく、片耳がズタズタ。クラウドテイルのおかげで戦士になれた。クラウドテイルの連れ合い。子供はホワイトポー。

戦士 クラウドテイル(雲の尻尾)♂
真っ白な毛皮に青色の目を持つ雄猫。ブライトハートの連れ合い。連れ合いを深く愛している。ファイヤスターの甥。元飼い猫。

戦士 ブラクンファー(ワラビの毛)♂
金茶色の毛皮に琥珀色の目を持つ雄猫。優しく落ち着いているいい戦士。弟子はホワイトポー。

戦士 ソーンクロー(トゲの爪)♂
金茶色の縞柄の毛皮に琥珀色の目を持つ雄猫。弟子はシュルーポー。

戦士 ブランブルクロー(イバラの鉤爪)♂
焦げ茶色の虎柄の毛皮に琥珀色の目を持つ雄猫。タイガースターの息子で父親に生き写し。父親と同じだと決めつけらるのが嫌い。良心もあるし一族に忠実。マロンポーととてつもなく不仲。

見習い マロンポー(栗の足)♀
茶色に白と焦げ茶色の模様がある毛皮にエメラルド色の目を持つ雌猫。リーフポー、スクワーレルポーの姉。狩りも戦いも何をやっても上手く出来ない。看護猫の仕事を手伝った事もあるが、才能は無かったし、リーフポーがもう弟子にいた。いつも妹達に比べられている。落ちこぼれ故に、仲間外れにされることや差別が大嫌い。

見習い リーフポー(葉の足)♀
薄茶色の縞柄の毛皮に琥珀色の目を持つ雌猫。姉は同じ姉として共感できる所があると思っている。妹の事は世話は焼けるが大事な妹だと思っている。

見習い スクワーレルポー(リスの足)♀
父親譲りのオレンジ色の毛皮に緑色の目を持つ雌猫。片前足が白い。姉の事は2人共を大事に思っている。姉を馬鹿にするやつは誰であろうと許さないつもりでいる。

見習い ホワイトポー(白い足)♀
真っ白な毛皮を持つ雌猫。ブライトハートとクラウドテイルの娘。いじけたマロンポーを慰める役であり、親友の役。

見習い シュルーポー(トガリネズミの足)♂
焦げ茶色の毛皮に琥珀色の目を持つ雄猫。優しくいい見習い。見習い全員と仲良し。

見習い スパイダーポー(蜘蛛の足)♂
お腹が茶色い黒い毛皮に琥珀色の目を持つ雄猫。脚が長い。偉そうな自信家。

💧リヴァー族💧

族長 レパードスター(豹の星)♀
珍しい斑点模様のある金色の毛皮に琥珀色の目を持つ雌猫。気が強めだが頼れるいい族長。

副長 ミスティフット(霞の足)♀
母親のブルースターに生き写しな青みがかった毛皮に青色の目を持つ雌猫。とても優しく信頼された副長。

看護猫 マッドファー(泥の毛)♂
薄茶色の毛皮の雄猫。弟子はモスウィング。

看護猫見習い モスウィング(蛾の翼)♀
金色の毛皮に青色の目を持つ雌猫。やや心配性だが頑張り屋。ホークフロストを恐れている。

戦士 ホークフロスト(鷹の霜)♂
焦げ茶色の縞柄の毛皮に青色の目を持つ雄猫。父親に生き写し。父親から野心も残虐さも受け継いでしまっている。

⚠キャラ崩壊の可能性あり⚠


最終編集者 シャイニングナイト [ Mon May 17, 2021 7:42 pm ], 編集回数 4 回
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投稿 by シャイニングナイト Sat Nov 14, 2020 4:45 pm

第1章

 「何やってるんだ、馬鹿!」
厳しい怒鳴り声がした。またやってしまった。
「ごめんなさい、ダストペルト」
私は下を向いてボソッと言った。
「何度狩りを失敗し、何度俺たちが捕ろうとした獲物逃がしたか分かっているのか?」
ダストペルトは再び怒鳴った。
「この子は精一杯やってるわ」
ブライトハートが助け舟を出してくれたが、ダストペルトの怒りは収まらなかった。それもそのはず。朝から出かけてもう正午だというのに獲物がまだ1匹も捕れていないのだ。
「お前はもう帰れ。自分で報告するといい、なぜ獲物が捕れ無かったのかをな」
ダストペルトは吐き捨てるように言うと、イラだった足取りで歩き去った。仕方ないことなのだ、仕方ない。私がこんなだから悪いのは知っている。だからダストペルトに怒りを感じるのはお門違いだ。
「グレーストライプ、怒るかな」
私は歩きながらつぶやいた。あの灰色の猫はこんな私を見捨てずに指導してくれている。でも、いつまで根気よく指導してくれるかは、分からない。見習いになるのがあんなに楽しみだったのが嘘のようで、今は見習いにならなければ良かったと思う毎日だ。グレーストライプは、私を弟子に持った時、嬉しそうだった。失敗しても、誰もが最初はそうだと、慰めてくれた。だが今はどうだろう。弟子の話を聞く度に曖昧な顔をする。
「ぼーっとして歩くとぶつかるわよ、マロンポー」
ハッと顔を上げると真っ白な雌猫が立っていた。いつの間にか、キャンプについていた。
「ホワイトポー」
私はその雌猫の名をつぶやいた。
「またやっちゃったの?」
ホワイトポーは聞いた。だが、馬鹿にしてはおらず、思いやりがこもった声だった。
「うん」
マロンポーは顔を背けた。その話はしたくない。
「あ、私ブラクンファーと訓練があるから、じゃあね」
ホワイトポーは愛想良く尻尾を振ると、シダのトンネルを駆け抜けて行った。私はその姿を憂鬱な気分で見送った。
「グレーストライプ、また狩りに失敗しました。私のせいで獲物が1匹も捕れませんでした。足でまといなので帰りました」
マロンポーは地面をソワソワ引っかきながら言った。
「そうか。ゆっくりお前のペースで頑張ればいいさ」
グレーストライプは、まだ私に暖かい瞳を向けてくれた。私は軽く頭を下げ、その場を去った。すると、自分の名を呼ぶ声がした。私はため息をこらえて、振り返った。
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投稿 by シャイニングナイト Sat Nov 14, 2020 9:23 pm

第2章

 目の前に立っているのは、焦げ茶色の虎柄の雄猫だ。返事を待つようにこちらをじっとみている。
「なあに」
マロンポーは座ってから言った。
「グレーストライプはパトロールに行かなきゃならないから僕が代わりに戦いを教えてやれと言われたんだ」
ブランブルクローは言った。その見事とまで言えるほどの無表情は私をいら立たせた。
「結構です」
マロンポーは冷たく言い放つと見習い部屋に帰ろうとした。だが、尻尾を踏まれた。
「痛いから、離してくれない?」
マロンポーは振り返ってキッと睨んだ。
「副長に言われたんだ。"君の指導者"に言われたんだ」
ブランブルクローは有無を言わせぬしっかりした口調で言った。マロンポーは目をぐっと細めた。
「いい?私を自分の見習いかのように扱わないでね」
マロンポーはブランブルクローの琥珀色の目と視線を合わせた。こちらを見る目には軽蔑が浮かんでいる。私は地面に爪を立てた。くそっ!才能のない私がこんな態度をとるからか?ああ、私は元々こいつとは合わない。父親の邪悪さに打ち勝つためにした血のにじむような努力。私だって、必死で努力した、死ぬほど。でも報われなかった。努力が報われたあいつを自然と羨んだ。朝から晩まで努力をして、それでも出来ず、思わず涙を零した時、こいつが発した言葉、今でも鮮明に思い出せる。
『努力が足りないんじゃないか?早く帰れ。みんな心配してるぞ』
は?俺は努力が報われたんだからお前が報われないのは努力が足りないせいだと言いたいのか?生まれつき才能があったやつには分からないさ。
「行くぞ」
ブランブルクローも私を嫌っている。あの日、私が怒りに任せてブランブルクローの頬を力任せに引っ掻いたからだ。あの日の怒りに燃えたブランブルクローの目は脳裏に焼き付いて離れない。でも私は悪くないはずだ。
私は、あなたが嫌いよ、ブランブルクロー。


最終編集者 シャイニングナイト [ Mon Nov 16, 2020 5:10 pm ], 編集回数 1 回
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投稿 by シャイニングナイト Sun Nov 15, 2020 10:08 am

第3章

 「もっと素早く!そんなんじゃ、歩いている戦士さえ引っかけないぞ!」
ブランブルクローが私に怒鳴った。さっきからずっとやってるわ!でもあなたに鉤爪は届かない。いつも避けられてしまい、鉤爪は空をかき、私は無様に転んでしまう。
「休憩にするか」
ブランブルクローは私を見下ろして言った。私は転んだ状態のまま、ふてくされてそっぽを向いた。ブランブルクローは私には見向きもせずに茂みへ消えた。
「どうしたんだい、マロンポー」
焦げ茶色の毛皮に琥珀色の目を持つ雄猫がこちらを見下ろしていた。一瞬ブランブルクローだと思い、頭にでも蜘蛛の巣でもはったんだろうかと思った。だが、私が唸って言い返す前に、この猫はブランブルクローではなくシュルーポーだと気づいた。
「本当にどうしたんだい?」
シュルーポーは焦って言った。
「何でもないわ。あなたを一瞬ブランブルクローと勘違いしてしまっただけよ」
私は立ち上がって首を振った。
「そうか。またブランブルクローに怒られたのかい?君たち、仲悪いもんね」
シュルーポーは可笑しそうにクルッと尻尾を上げた。この雄猫は何を考えているんだろうか。
「僕が少し教えようか?今自由時間なんだ」
シュルーポーはウィンクした。私は少々戸惑いつつもうなずいた。シュルーポーは見えない敵と戦うかのように後ろ足で立ち上がり、空を引っかいた。そして、前足を地面に着けた瞬間、片前足を前に突き出した。
「これ、出来そうかい?」
シュルーポーはクルッと振り向いた。
「やってみるわ」
マロンポーは後ろ足で立ち上がった。だがよろけてしまい、前に倒れた。私は自分の情けなさに腹が立った。
「いい感じじゃないか!」
シュルーポーは嬉しそうに言った。え?
「前に倒れた時に爪を出せば敵を引っかけるよ!君はいい技を作れたじゃないか!その後、直ぐに体勢を立て直せるようになれば完璧だよ!」
シュルーポーはまるで自分の事のように嬉しそうに飛び跳ねた。マロンポーは目をぱちくりさせた。本当に、自分は技ができたのか.......?シュルーポーへの感謝で胸がいっぱいになった。
「ありがとうシュルーポ.......っ?!」
私はシュルーポーにお礼を言おうとした。すると、シュルーポーは私の鼻面に鼻面を押し付けた。
「お礼はいいよ。君が生み出した技なんだから!これでブランブルクローを見返すといいよ!」
シュルーポーはウキウキした足取りで歩き去った。私はしばらくその場に立ち尽くした。
「何してるんだ、マロンポー」
ブランブルクローの声がすぐ横で聞こえた。私は思わず飛び退いた。ブランブルクローは口の周りを舐めた。ネズミの匂いがするのを見ると、獲物を食べてきたようだ。
「何もしてません」
私は皮肉っぽく返した。
「続きをやるぞ」
ブランブルクローは後ろ足で立ち上がった。このタイミングでこの技を使うとはなんと運の悪い。マロンポーも後ろ足で立ち上がり、そのまま爪を出していない前足でブランブルクローの腹を引っかいた。そして、そのままブランブルクローの腹の下に入り、再度引っかいた。すると、ブランブルクローはのしかかってきた。
「馬鹿か?自分より体の大きい相手の下に入るな。踏み潰されても助けてやれないぞ」
ブランブルクローは馬鹿にして鼻を鳴らした。私は重いブランブルクローのお腹の下でもがいた。息がしずらく、だんだん苦しくなってくる。
「どいて!重い!獲物食べ過ぎ!デブ!」
マロンポーはブランブルクローの腹の下から叫んだ。すると、ブランブルクローが力を込めた。
「心外だ!僕はデブじゃない!」
ブランブルクローは騒いだ後、私の上からどいた。私はギロりとブランブルクローを睨みつけた。
「本当の戦いならあのまま死んでたな」
ブランブルクローは肩をすくめて歩き去った。私はボサボサになった毛皮を軽く整え、ブランブルクローの後についてキャンプへ戻った。
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投稿 by シャイニングナイト Mon Nov 16, 2020 6:35 pm

第4章

 「あ、マロンポー!」
元気な声がした。妹のスクワーレルポーだ。
「戦いの技できたんだよね?おめでとう!」
スクワーレルポーは心から言った。私はボソリとお礼のような言葉を口にした。そして、憂鬱な気分で薬草をくわえて看護部屋に言った。出来れば看護部屋など行きたくない。
「あ、マロンポー!」
妹は揃いも揃って一字一句同じ言葉を言った。私は唇を噛んだ。あなた達はどこの姉妹より仲がいいわね。
「薬草持って来てくれてありがと!」
リーフポーは私の持ってきた薬草をそそくさと薬草棚に片付けに行った。私はあの後、シンダーペルトに頼まれて薬草を採りに行ったのだ。疲れたので何よりも早く暖かい見習い部屋で体を休めたいと思った。すると、薬草を混ぜ合わせて薬を作っているのか、ツンとした匂いがした。私はその匂いが苦手だった。薬草の匂いは何故か苦手だった。私は器用だが、鼻のせいで看護猫見習いとしての才能もないことになった。
「ありがとう。もう帰っていいわよ」
シンダーペルトが薬から目を離さずに言った。私はすぐに立ち去った。これ以上誰かに何も言われないうちに見習い部屋に帰りたかった。
「おぉい、マロンポー」
自分を呼ぶ声がした。まだあるの?
「悪いけど、長老に獲物を届けてくれ」
ソーンクローが言った。私の指導者でもないくせに!そう言おうかと考えたが諦めた。言っても無駄だ。私は獲物をくわえて長老部屋まで行き、置いたらすぐに見習い部屋へ向かった。私は狩りも下手で戦いの訓練もまともに出来た試しがない。だからいつも朝から晩まで疲れる雑用をやらされる。私は寝床で体を丸めた。あーあ、明日になったら有能な見習いになってたらいいのに。
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投稿 by シャイニングナイト Tue Nov 17, 2020 8:11 pm

第5章

 私は今コケを探している。なんのコケかって、寝床のコケだ。グレーストライプから長老達の世話をやるよう言われたのだ。私がいつも長老達の世話をしている。訓練しても成長しないやつが訓練するより、訓練して成長する子の訓練を優先させるべきだと考えたからだ。なので私が訓練して成長する子の代わりに長老達の世話をしているというわけだ。誰かが私になら口うるさくしていいと言ったらしく、私は今日も長老達から文句と注文を受けまくった。最後に言われたのが、とびきりふわふわのコケをとってこい、だ。私は家来じゃないのよ、全く.......。
「おい!そこで何をしてる?」
力強い声が聞こえた。私はサッと声がした方を振り向いた。そこには焦げ茶色の虎柄の雄猫の姿があった。
「ブランブルクロー?!」
こんな所にまで何しに来たのよ!私の事嫌いなら私を構わなければいいのに!
「ブランブルクロー?なんの事だ。俺はホークフロストだ」
薄藍色の目が不思議そうにこちらを見ている。本当だ。ブランブルクローに恐ろしいほどそっくりだが、目が違う。
「こんな所で何をしているんだと聞いている」
だが、態度はブランブルクローとあまり変わらず、私に偉そうな態度をとった。ブランブルクローの目は琥珀色でホークフロストの目は薄藍色だがどこか似ている。どうしてこんなにも似ているのだろうか。
「寝床用のコケを探してるの。境界線は越えてないわ」
私は堂々とした態度で言った。
「そうか」
ホークフロストは素っ気なく言うと縄張りの奥へ消えた。私はコケをとり、くわえた。さぁてと、これで長老達の世話はおしまいよ。

 「マロンポー、マロンポー?マロンポー!」
私はぼーっと遠くを見ながら寝そべっていたが、親友の声に飛び上がった。
「どうしたの?3度も呼んだのに返事をしないなんて」
ホワイトポーが不思議そうに言った。
「ちょっとぼーっとしてただけよ」
マロンポーは落ち着いて答えた。
「あ、マロンポー!一緒に狩りに行かないかい?」
シュルーポーが私を呼んだ。シュルーポーを見たら、シュルーポーが私の鼻面に鼻面を押し付けたのを思い出してゾクゾクした。
「今行く!」
私はすぐに返事をすると、立ち上がった。シュルーポーが私に向かって簡単な狩りの仕方を話してくれている。でも、私はあの時のシュルーポーの琥珀色の瞳の輝きを思い出していたので、話は聞いていなかった。
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投稿 by シャイニングナイト Thu Dec 17, 2020 9:57 pm

第6章

 時は進んで。私は非常にイライラしていた。みんなが私に隠し事をしている気がしてならない。ブランブルクローとスクワーレルポーが少し一緒にいるとファイヤスターは怒鳴り立てるのだ。私からしたら何故この間まで喧嘩ばかりでお互い気に食わなかったブランブルクローとスクワーレルポーが一緒にいたがるかだ。リーフポーもファイヤスター達の重要そうな会議に加わっていた。私だけ誰にも何も教えて貰えてないってわけ?そんなの不公平だわ!
「マロンポー!」
ファイヤスターが呼んでいる。
「なあに、父さん」
私は落ち着いてたずねた。
「ちょっとブランブルクローと狩りに行ってくれないか?お前達の仲が悪いのは承知だ。少しでいいから引き止めてくれ。スクワーレルポーに近づけたくない」
ファイヤスターは早口で言った。
「は?」
私は自分でも驚くほど低い声を出した。
「他の戦士にしたらどうです、ファイヤスター。私なんかといても引き止められませんよ」
マロンポーは父親を睨みつけた。
「失礼だとは思うが、引き止めるのならお前でも出来ると思ったんだ。喧嘩をして時間を稼いでくれてもいい。お前の仕事だよ、一族の役に立てる」
グレーストライプが隣から助け舟を出した。だが私はますますイライラした。グレーストライプも知ってるんだわ。
「じゃあ2人を引き離さなければならない理由を教えて頂けますか?」
私は無理やり毛を寝かし、穏やかに聞いた。それが知れるのならブランブルクローとの喧嘩などお安い御用だ。だが。
「無理だ。戦士にも1部のベテランにしか話してないんだ」
ファイヤスターは首を横に振った。
「リーフポーは見習いよ!」
私はカッとして叫んだ。
「見習いでも看護猫だ」
ファイヤスターはやや表情を固くした。
「あっそう。こんな落ちこぼれには話せないって言うの?父さんまで私を馬鹿にして!!!」
私は吐き捨てるように怒鳴りつけて走り去った。すると、スクワーレルポーと話そうとするブランブルクローを見つけた。
「来なさい、ブランブルクロー!」
マロンポーは偉そうな足取りで歩き始めた。ブランブルクローが私を無視しようとしたので険しい顔をしたファイヤスターを顎で指して見せた。するとブランブルクローはしぶしぶ立ち上がった。
「僕とスクワーレルポーが一瞬でも話そうとしたら止めるのは何故だ。教えろ」
ブランブルクローは圧を込めた目でこちらを見た。
「知らないわよ」
マロンポーは悲しくなって呟いた。
「嘘つけ.......」「嘘なんかじゃないわ!」
ブランブルクローは疑わしげに言いかけたが、私は大声で遮った。
「私みたいな落ちこぼれなんかに教えてくれると思う?!聞いたけど教えて貰えなかったわよ!どう?惨めな私を見て満足?!」
私は一気に叫んだ。ブランブルクローは驚いている。私は怒りで鉤爪を地面に突き立てた。落ちこぼれの私にも、武器はある。不意打ちなら、勝てるかもしれない。私はいきなりブランブルクローに襲いかかった。
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投稿 by シャイニングナイト Sat Dec 19, 2020 9:26 am

第7章

 私はブランブルクローの胸に爪を立てた。真っ赤な血が吹き出す。初めての感覚だった。自分の鉤爪が相手の体に突き刺さったのがよく分かった。時が止まったように感じさえした。戦うって、傷つけるって、こういう感覚なんだ。自分も戦士に1歩近づいた気がした。ブランブルクローの方はというと腹立たしげに唸り声を上げていた。力強い後ろ足でブランブルクローは私は蹴り飛ばした。小柄な私はあっけなく吹き飛んだ。
「何を考えてるんだ、馬鹿!頭まで落ちこぼれたか?」
ブランブルクローが怒鳴った。胸元からは細く血が流れていた。私の鉤爪は血がついていた。身体中が温まった。今なら何でも出来るとさえ思った。私は木にスルスルと登った。私は落ちこぼれだが、身軽だ。私は木から木へ飛び移り始めた。それを何度か繰り返し、飛び移ると見せかけて飛び降り、ブランブルクローの背中に着地した。思い切り前足と後ろ足の爪を立てた。牙をむき出してブランブルクローの背中に噛み付いた。自分の牙が肉を引き裂いたのが分かった。ブランブルクローは唸って私を背中から振り落とし、地面に押さえつけた。
「戦士の掟に反する行為だ!!!」
ブランブルクローは息を切らしながら言った。
「あなたが悪いのよ!私の事を疑うから!私とあなたは仲が悪いけど私は嘘つきじゃない、タイガースターの血を引いてないし!」
マロンポーは噛み付くように言った。ブランブルクローが動揺した。タイガースターの息子だという事をまだ気にしているようだった。
「俺をタイガースターの息子だと侮辱するのはお前をファイヤスターの娘のくせに落ちこぼれだと侮辱するのと同じだ!」
ブランブルクローは激しく言い返した。
「そうよ、ええそうよ!あなたが私を侮辱したから侮辱し返した!何も間違ってないでしょう?!」
マロンポーはシュッと鉤爪を出して力いっぱいブランブルクローの頬を引っ掻いた。
「この野郎っ!!!」
ブランブルクローの堪忍袋の緒が切れたようだ。ブランブルクローは私の腕を引きちぎらんばかりに噛み付いた。私が痛みに悲鳴をあげたその時だ。誰かが音を立てて現れた。私は誰だと思い振り返って睨んだ。だが、すぐにそれを後悔した。さっきまでの興奮は一瞬にして、絶望に変わった。
「何をしているんだ!!!」
ファイヤスターだった。
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投稿 by フラワーポー Sat Dec 19, 2020 7:46 pm

とても面白かったです!
面白い小説投稿していただきありがとうございます

フラワーポー
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投稿 by シャイニングナイト Sat Dec 19, 2020 9:46 pm

励みになります。ありがとうございます。
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投稿 by シャイニングナイト Mon Dec 21, 2020 9:23 pm

第8章

 そこにはファイヤスターが怒り狂った顔をして立っていた。私は今にもちぎれそうなほど痛い腕を自分の方へ無理やり引き寄せた。ブランブルクローは頬から血を滴らせながら驚いた顔をしてファイヤスターを見つめている。
「頭に蜘蛛の巣でも張ったのか?」
ファイヤスターは最初に吐き捨てるように言った。
「仲間同士で傷つけあってどうする?今はこんな時だと言うのに。獲物も減ってきているし、例のお告げも.......」
ファイヤスターは怒りながら言い、お告げの部分を口走りそうになり、慌てて口をつぐんでまた続けた。
「マロンポー、俺は殴り合えと言ったか?傷つけ合えと言ったか?いいや、一言もそんな事は言っていない。族長の娘とあろう者が仲間の戦士に襲いかかるとは」
ファイヤスターは私をギロリと睨んだ。マロンポーはうつむいた。最悪だ。私は一気に冷静になった。不意打ちでブランブルクローに勝てたらなんだと言うんだ?私が殺した事はすぐバレる。私は猫殺しに成り下がる所だった。ファイヤスターが来てくれて心の底では感謝した。ただ、これで1つの事が確定した。もう誰も私を信用しないし、父さんは私を戦士にしてはくれない。
「ブランブルクロー、俺はお前を信用していた。タイガースターの息子だろうとなんだろうとお前はサンダー族の立派な戦士だと思っていたが、見損ないだったようだな」
ファイヤスターはブランブルクローを睨んだ。その父の恐ろしい目はきっとファイヤスターの親友であるグレーストライプでさえ怖がって縮み上がるかもしれないと、私は思った。
「待って下さい、ファイヤスター。僕は.......」
ブランブルクローは愚かにも口を開いた。その途端、ファイヤスターの雷が落ちた。私はヒッと言い、震え上がった。
「黙れ、ブランブルクロー!言い訳はいらない。マロンポー、お前はしばらく戦士が2匹以上いない限り外出禁止だ。ブランブルクロー、お前はしばらく見習いと同じ扱いをする」
ファイヤスターは有無を言わせぬ口調で私たちを交互に見た。
「分かったわ、父さん」
マロンポーは直ぐに答えた。ブランブルクローはしばらく黙っていた。だが、私が小突くと直ぐに
「分かりました、ファイヤスター」
と返事をした。
「よし。2人とも看護部屋に行け」
ファイヤスターは若干表情を緩めてキャンプの方向を耳で指した。私たちはトボトボ歩き出した。
「ごめんなさい」
マロンポーは消え入るような声で伝えた。いわなければいけない気がした。何故かは自分でもよく分からなかった。
「あぁ。俺もすまなかった。腕、大丈夫か?」
ブランブルクローは私よりはしっかりした声で謝った。私の足はさっきからズキズキと傷んでいた。怪我した足を地面につけないで歩いても揺れただけでも恐ろしく痛い。私は涙をこらえてキャンプへの道をよろよろ歩いたのだった。
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投稿 by ハニードロップ Mon Dec 21, 2020 9:44 pm

あれっ?いつのまにか仲直りしてる…?ブランブルクロー、優しい。そしてマロンポーの腕が……(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)

ハニードロップ
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投稿 by シャイニングナイト Sat Jan 30, 2021 10:34 am

第9章

 看護部屋に入ると、シンダーペルトがギョッとして振り返った。そりゃそうだと私は思った。こんなに血の匂いがしているのだから。
「まぁ、何があったの!!!」
シンダーペルトが慌てて寄ってきた。ブランブルクローは自分の頬の傷口を舐めようとして苦戦している。マロンポーはブランブルクローに呆れた目を向けた。そんな所まで舌が届くと思ってるのかしら?
「ちょっとですね.......」
私はブランブルクローを小突くと話し始めた。ブランブルクローが所々訂正を入れていき、話し終えた。
「2人とも派手にやったわねぇ」
シンダーペルトは可笑しそうにクスクス笑った。
「どこかの誰かさんみたい!ファイヤスターとグレーストライプは一時期喧嘩をして、ある日激しく傷つけあって罰としてしばらく見習いとして扱われたのよ」
シンダーペルトは怪我の手当をしながらその話を話して聞かせた。ブランブルクローの手当は案外簡単に終わったようだが私の傷には苦戦していた。私の骨はヒビが入っていた。
「うーん、骨がくっつくまでしばらく動かさない方がいいわね。毛がまた生えてくる可能性は低いけど、怪我は治るわ」
シンダーペルトは出来る限りの処置を私にしてから告げた。私は看護部屋の寝床に横になった。しばらく見習い部屋には戻れず、看護部屋での生活になるらしい。私はたまらなく悲しくなった。ただでさえ落ちこぼれだというのに、更に訓練をしなかったら、もはやただ獲物を減らしているだけじゃないか。しばらくすると、シンダーペルトは看護部屋を出ていった。私は自分の鼻を尻尾に深くうずめた。薬草の匂いを嗅ぐと、何故だか気分が悪くなってしまうのだ。
「マロンポー、獲物よ」
シンダーペルトが帰ってきて、クロウタドリを私の目の前に落とした。
「いらないわ」
私は毛に顔をうずめたままくぐもった声で答えた。
「ダメよ、怪我してるんだから。食べて栄養つけなきゃ治らないわよ」
シンダーペルトは軽く叱った。
「でもいらないです。特に今は枯葉の季節ですし」
マロンポーは頑として食べなかった。空腹でたまらなかっが、それを誤魔化すようにギュッと丸くなり、眠りについた。
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投稿 by シャイニングナイト Sun Jan 31, 2021 10:50 am

第10章

 あれから何日か経った日。正午頃、キャンプが騒ぎ始めた。私はシンダーペルトの目を盗んで看護部屋を出ていった。すると、ファイヤスターやサンドストーム、獲物置き場にいるリーフポーがいた。私が耳をそばだてると『ブランブルクロー』『スクワーレルポー』『キャンプを出て行く』という言葉が聞こえてきた。
「ブランブルクローとスクワーレルポーがキャンプを出ていったの?!」
私は思わず大声を出した。私はファイヤスターにずんずん近づいた。
「どうして私にはそういう大事な事を教えてくれないの?私が役ただずだから?私が落ちこぼれだから?」
マロンポーはずいっと顔を近づけて唸り声で言った。
「今から捜索隊を出すところだったんだ。捜索隊を出し終わったらお前に知らせる番だ」
ファイヤスターは落ち着き払って答えた。
「ふぅん。言い訳したって無駄!!!」
マロンポーは1度顔を遠ざけてから近づけ、大声で怒鳴った。
「私知ってるのよ!みんなが私には言わない秘密があること!言い訳ばっかり、秘密ばっかり!今ここで父さん達が秘密を話すか私も出ていくか、選んでよ!」
マロンポーは悲痛な声で叫んだ。ファイヤスターは驚いた顔をしており、サンドストームは困っている。チラリとリーフポーを見ると焦った顔をしている。
「分かった。話すよ」
ファイヤスターはため息をついた。
「『火と虎』についてのお告げが降りた。火の星の娘のスクワーレルポー、虎の星の息子のブランブルクローについてのお告げだ。その2匹と災いに関するお告げ。俺はてっきり2匹が災いを起こすんだと思っていたが、サンドストームが災いから救ってくれるのかもしれないと言うんだ。俺は今自ら捜索隊を率いて2匹を探しに行くところだったんだ」
ファイヤスターは小声で告げた。
「私も行きます」
マロンポーは有無を言わせぬ口調で言った。
「ダメよ、足が治ってないんだから」
サンドストームがすぐさま反対した。
「そして落ちこぼれだからって言うの?2匹を追跡する事ぐらい出来るわ」
マロンポーは挑戦的な声で言った。
「さすがにダメだ」
ファイヤスターはいい加減にしろと言いたげだ。マロンポーはイラ立ち、ファイヤスターを振り切ってキャンプを飛び出した。私だって追跡出来る。私がただの役ただずではないと証明出来るチャンスを、ようやく手に入れた。
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投稿 by シャイニングナイト Thu Feb 04, 2021 7:54 pm

第11章

 私はしばらく走っていた。最初のうちは足を地面に付けずに走っていたので痛みは無かったが、疲れてきた頃に足はズキズキしてきた。でも私はちゃんと鼻はきく。口を半開きにして大きく空気を吸い込んだ。そして、うっすらとしたスクワーレルポーとブランブルクローの匂いを嗅ぎつけた。妹の匂いと最近嫌という程関わった大嫌いな相手の匂いはすぐ分かって当然だと思った。私は足を気にしないようにして身を低くし、素早く走った。どんどん追っていくとリーフポーの匂いも嗅ぎとることが出来た。また私だけ仲間はずれ?!みんなだけ全部知っててずるいわ!すると突然サンダー道の嫌な匂いが鼻に飛び込んできた。だが二匹の━━━いや三匹の━━━匂いはそっちに続いている。怪物の腹の下に続いていたので下を見て見たが姿は無かった。その時。
「マロンポー!」
父親の声がした。
「父さん!二匹はここで寝たのよ!」
マロンポーは大声で訴えた。
「腕が治ってないのに無茶をするんじゃない」
ファイヤスターは厳しく告げた。
「無茶をしたおかげで2匹の足取りが掴めたのよ!それに、私なんかの足が使えなくなっても誰も悲しまないし、元々役立たずでしょ!」
マロンポーは噛み付くように怒鳴った。
「足取りが掴めただと?本当か?!」
ファイヤスターは聞き返した。
「さっきから言ってるじゃない!」
マロンポーは激しく言い返した。
「よし、分かった。追跡を続けてくれ」
ファイヤスターの目が和らぎ、そう告げた。初めて信頼された。こんな事初めてだ。だが、足の傷口は開いて血がどくどく流れ続けていた。出血しすぎて頭がクラクラする。目の前がグラリと歪んだ。私はバタリと倒れ、気を失った。
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投稿 by ハニードロップ Thu Feb 04, 2021 8:55 pm

ああ、マロンポーがっ…
どうなってしまうのでしょうか!?
続きが楽しみです

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投稿 by シャイニングナイト Thu Feb 04, 2021 8:56 pm

さてさてどうなるのでしょうか.......?
読んでくれてありがとうございます!
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投稿 by ハニードロップ Thu Feb 04, 2021 8:58 pm

!?!?!?!?!?!?!?
最終回とかならないですよね…?

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投稿 by シャイニングナイト Thu Feb 04, 2021 9:27 pm

はいー!まだまだ続きまーす!
少なくとも2期の終わりまでは確実にいき、いけたら4期辺りまでお話いけたらなと思ってます!
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投稿 by ハニードロップ Thu Feb 04, 2021 9:41 pm

ほっ…よかったぁ…
4期の6での戦いとか見たいですねぇ〜
あとマロンポーの戦士名がとっても気になるのでw!

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投稿 by シャイニングナイト Sat Feb 13, 2021 3:18 pm

第12章

 私はハッと目覚めた。起きた途端、薬草のキツイ匂いが鼻を突いた。脚を見ると薬草が巻かれている。
「くそっ!!!」
私は状況を理解して叫んだ。
「このっ!私の役立たず!落ちこぼれ!」
私は喚いた。リーフポーがビクッと驚いて心配そうにこちらを見ている。
「せっかく!せっかく私が認めてもらえるチャンスを手に入れたのに無駄にして!私の初めての見せ場!うわあああぁぁぁぁぁん!」
私は勝手に涙が溢れてきて泣きじゃくった。悔しい、悔しい……!もう2匹はどこかへ行ってしまっただろうし、匂いだってすっかり消えてしまったに違いない。
「マロンポー、落ち着いて」
リーフポーがおずおずと寄ってきた。
「落ち着けると思う?!そりゃあんたには私の気持ちはわかんないわよ!」
マロンポーはリーフポーに食ってかかった。人の気持ちにしっかり寄り添えないくせに適当な事を言って慰めた気になる奴は大嫌いだ。
「ごっごめん」
リーフポーは怯えて看護部屋から出て行った。すると、入れ替わるようにシュルーポーが現れた。
「マロンポー、大丈夫かい?」
シュルーポーは心配そうに優しい声で言い、私の真隣に座った。私は寝そべった状態から動けなかったのでシュルーポーを見上げた。
「あ、ごめんね」
シュルーポーはそれに気づいてシュルーポーも寝そべった。私は嬉しかった。私はシュルーポーの顎に頭をこすりつけた。
「大丈夫、あなたが来てくれたから」
マロンポーは小声で答えた。シュルーポーは尻尾で私を優しく撫でた。
「聞いたよ、嗅覚がすっごく優れてたんだって?さすがマロンポーさ!今度その嗅覚を活かした戦い方や狩りの仕方を試してみようよ、僕考えてるんだ!」
シュルーポーはわくわくしたような声で言った。さっきまであんなに自分に失望していたのに私の気分は一気に晴れた。
「じゃあ私は早く怪我を治すように努力するわ。早くあなたと訓練がしたいの」
マロンポーも元気な声で答えた。
「僕、君といる時間が楽しいから君に獲物を運ぶ仕事を全部引き受けちゃったや!」
シュルーポーは冗談っぽく言い、マロンポーと鼻を触れ合わせて看護部屋を出て行った。私は幸せでいっぱいになった。
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投稿 by シャイニングナイト Fri May 07, 2021 10:51 pm

第13章

 マロンポーは看護部屋から出ると、背中を弓なりに曲げて伸びをした。そして、駆け足で見習い部屋へ向かった。
「シュルーポー!」
マロンポーは嬉しさを隠しきれずに興奮しきった声で呼びかけた。すると、焦げ茶色の見習い猫はすぐに部屋から這い出してきた。
「どうしたんだい、マロンポー!」
シュルーポーは嬉しそうに、でもやや心配そうにたずねた。最近、私の足の怪我は治り始め、足を慣らすためにキャンプを歩いていい事になっていたのだが、シュルーポーはまた足を怪我するんじゃないかとヒヤヒヤしていた様だ。
「私、もう完治したんだって!訓練に戻っていいのよ!」
あまりにも嬉しくて、私は半分叫ぶように言った。途端、シュルーポーは琥珀色の瞳をキラキラと輝かせた。
「本当?!やったぁ!」
シュルーポーは一瞬子猫のように飛び跳ねたかと思うと、少し心配そうに私の足を嗅いだ。
「傷跡は残っちゃってるね。もうこの足には毛が生えてきそうもないよ……」
シュルーポーは言葉を詰まらせた。
「大丈夫よ。この足が使えるだけでも有難いことだわ」
マロンポーは尻尾でシュルーポーの耳をはじいた。
「マロンポー!」
グレーストライプが尻尾で手招きしていた。
「いけない。行かなくちゃ。もう早速訓練を再開するの。……覚えられる自信はちっともないけど」
マロンポーは不安そうにボソボソ付け足した。
「大丈夫だって。君にピッタリの技を見つけたから、今日の夕方、訓練用の空き地へ行こう!」
シュルーポーは思いやりを込めてウィンクした。シュルーポーは落ちこぼれだと落ち込む私を見て、いつもこう言ってくれた。
『君には君にあった技、君にあった教え方があるんだ。落ちこぼれなんかじゃない』
それを思い出して、私は段々自信を取り戻した。そうよね。努力すれば大丈夫。きっと報われるのよ。
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投稿 by オーシャンフラワー Sat May 08, 2021 9:04 am

読ませてもらっています。
マロンポー頑張れ!

続き、楽しみにしています
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投稿 by シャイニングナイト Sun May 09, 2021 11:16 am

ありがとうございます!!!
この小説は1番の自信作と言っても過言ではないと思っているので嬉しいです!!!!!!(自称)
頑張ります!!!!!
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