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小説が書きたい!〜レイク族〜

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投稿 by Murre Thu Feb 24, 2022 8:47 pm

フェザーライトとライトポー小説が書きたい!〜レイク族〜 - Page 4 16457011
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投稿 by Murre Thu Feb 24, 2022 9:23 pm

「シンボルアイスィクル、シンボルサークル、シンボルダブル、シンボルキングフィッシャー、シンボルグラス、シンボルデュー、シンボルナイト、シンボルサンライト、そしてシンボルインディゴ。集まってくれてありがとう。」シンボルレイクの威厳の有る静かながら強く残る声は、乾いた広い岩広間にぼわわんと響き、出入り口に吸い込まれた。
今日の地上は異常なくらい冷たく、強い雨が留めなく降っていて、あちらこちらからぽつぽつとそれらが垂れている。海に向かった猫達も、この天気に遭遇しているだろう。
「シンボルレイク、今日はどうしたのですか。」最年長シンボルレイク族族長のシンボルインディゴが真っ直ぐと見つめる。
静けさが冷えた空気を包んだ。
「<2部族の椅子>でのカープウィスカーの言葉、聞いていただろう。シンボルレイク族も滅ぼしてやる、だと。カープウィスカーの息がかかっているのかは知らないが、確かに気象に変化が出ている。」偉大なるシンボルレイクは、困ったように尻尾でごろごろした砂利の地面を何度も擦る。
「今日の雨でも、湖の水位、上がってませんよね…」元レイク族のシンボルサークルがおずおずと発言する。
「下っていく川が、広げられているのよ。」ぼそっと隣で高いシンボルデューの不満が溢れる。
「ひとりひとり、意見を聴きたい。シンボルアイスィクル。」いきなり指名されて毛がハリネズミのように逆立つ。
「はい。」18もの瞳がこちらに向き、足をそわそわ動かした。
「私は…<シンボルレイク族に釣り糸を垂らす者達>を止めることは出来ないと思います。何故なら、最近それらは住宅街から自分達の領地を広げようと、怪物の通る道の方向から、怪物の音が引っ切り無しにしてますよね。部族猫達はそこら辺に向かわないから知らないし、近づかないですが、直に近くまで近づいてくるでしょう。それなら、もう、旅の猫達にお告げを出して、新たな場所を見つけてもらうしか手立ては無いのでしょうか。失礼しました。」深々と会釈して、一歩退く。
辺りはしんと静まる。
「意見をありがとう。全ての族長の意見を纏めて最終的に旅の猫達に何かをするのか、などを決める。」円に形作っている猫達は揃って頷く。
「シンボルサークル。」
名指しされた順に次々と考えを纏めていく。
「私は、<シンボルレイク族に釣り糸を垂らす者達>を止めるべきだと思います。怪物が居ないうちに私達、部族猫の力を思い示してやれば、侵入を止めるのではと思います。失礼。」殆どの時を湖の淵で覗いて部族の猫の様子を観察し、見守っているシンボルサークルが怪物を追い払うに一票を入れた。
討論は太陽がずんずん周っていく中、続けられていく。
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投稿 by Murre Thu Feb 24, 2022 10:26 pm

関係図
見ずらいのはご了承願います。紙は元々黄色
小説が書きたい!〜レイク族〜 - Page 4 Dsc_0015画質悪いので半分ずつも
小説が書きたい!〜レイク族〜 - Page 4 Dsc_0016
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スノウポーの修正テープは気にしない💦
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投稿 by Murre Thu Feb 24, 2022 11:05 pm

シャドウトゥース
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イラストばっかりなのは気にしない…♪
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投稿 by Murre Fri Feb 25, 2022 9:17 pm

シンボルサークル、シンボルダブル、シンボルグラス、シンボルサンライトは怪物を追い出すことに賛成し、私、シンボルキングフィッシャー、シンボルデュー、シンボルナイトは旅猫達にお告げを出し、新天地を探すことを主張した。最後のシンボルインディゴの番になった。年老いた体を持ち上げ、堂々とした紺色の瞳が順番にシンボルレイク族の族長達を通る。シンボルインディゴは今、最後の命だったはずだ。そして、シンボルレイクに次ぐシンボルレイク族最年長。
「俺は、争いはしたくないし、旅の猫達に負担を掛けたくもない。」前置きの言葉で一息つく。
他の猫達は何を主張するのか息を呑んで見守る。
「ロック族とレイク族は滅びる運命に有る。」ひっ、っとシンボルサンライトが声を上げた。
「そんな…!」
「まあ、俺の主張を聴いてくれ。これが今回最後の時なんだから。」異議を唱えようとしたシンボルキングフィッシャーを貫禄の口でなだめ、尻尾を一振りする。
「怪物と戦っても勝機は無い。事実、怪物の通る道では何匹もの猫が犠牲になり、今侵略しようとしているものは、あれらより遥かに大きく、先にぎざぎざした金属が付いている。」
「旅の猫にお告げ出しますか。」
シンボルインディゴは私の提案にひげをぴくぴく動かした。
               、、、、、、
「しかし、旅の猫達は海に行き、例のアナグマの子孫に今後の予言を受け取りに行っただろう。そこで言われるだろうが、部族はもう、どうにもならないと告げられるだろう。」「シンボルインディゴが今、もうどうにもならないと告げられているなら、マァーラーフェザー達を送り出した意味はあったの?」シンボルナイトが消え入りそうな声で、変わった抑揚で、問いかける。
「あぁ、合ったよ。」最高の族長、シンボルレイクが口を開く。
「あの子達だけでも、生き残らせてあげたい。」少し口調に悲しみが含まれているように感じた。
「実は、俺のところに微かにお告げが来たんだ。」
「シンボルレイクのところにですか?なら、本当に部族は滅んでしまうのですか…?」シンボルダブルがそっと首を伸ばす。
「それを食い止めるために送り出したんだ。レイクライトの場所からは星の見え方が変わるから、もっと詳しい情報が解るはずなんだ。だからだ。シンボルレイク族の湖から繋がる川を俺達は移動出来るが、塩が含まれる水中には移動出来ないだろう?海には、生きている猫達しか行けないんだ。」とシンボルレイク。
全員、頭の中での理解に時間がかかり、黙り込む。
「旅の猫達がレイクライトに正しいお告げを貰えれば、部族は滅びずに済むんですね?」シンボルデューが確認する。
シンボルインディゴが代弁した。
「時間が、間に合えばな…」
もしものことが脳裏に現れ、消えた。
「シンボルレイク、つまり、マァーラーフェザー達はどうすればいいのでしょうか?お告げが必要ならば手配しますが…」私の問いかけに族長は悩みを抱えた眼差しを返してきた。
「レイクライトにお告げを貰う。そこが始まりだ。」
シンボルインディゴは今後の話の内容が予想出来たのか、族長の集まる広場から出ていった。
雨漏りが激しくなった洞穴に9匹の猫が居る。
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投稿 by Murre Fri Feb 25, 2022 9:19 pm

ウォーターシャドウ
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投稿 by Murre Sat Feb 26, 2022 9:02 am

「スノウポー、今日、訓練入ってる?」真っ白なスノウポーはリスを食べている。
「今日は残念ながら暇なんだ。」口をもごもごさせて応答してくれた。
「クリサンセマムペタルが、落ち葉の季節も枯れ葉の季節に備えて、薬草をいくつか揃えておいたら、と助言をくれたの。」
もうそろそろ太陽も頂点に達し、気温も上がり、乾燥してくるだろう。アンダーレイクに近寄り、通り過ぎ、湖に下を付けた。脇で魚がきらきらと泳ぎ回っている。昼食用に獲ろう、と湖の中を見つめ、じっと待った。
鱗がきらりと日光を反射させ、魚は宙に舞った。すぐにとどめを刺し、波にさらわれないようキャンプの方へ寄せる。
「ベルポー、食事が終わったら行こう。何を採るの?」口の周りを舐めていた。
私は魚をくわえ上げ、日陰の方に腰を下ろした。
クレインボイスが殺されてから、半月程たった。
カインドアイは姿を消し、私はロック族の看護猫であるクリサンセマムペタルに指導をお願いしている。もうそろそろ弟子を持とうと考えていた看護猫は、練習になると喜んで引き受けてくれた。
クレインボイスを殺したのは、カインドアイと、知らない猫の二匹だった。クレインボイスが食べた獲物の中に詰められていた死のベリーは潰れていたから、看護猫ではない。看護猫ならもっと丁寧に扱う。
そして、看護部屋には染み付いたカインドアイの匂いと、マァーラーフェザーに似たような似てないような魚臭い匂いがした。一瞬マァーラーフェザーを疑ったが、前の日にれき場へ向かっていったのを見たから、疑うのは止めた。彼女自身も否定していたし、彼女は自分の初弟子をとても喜んでいたし、愛情持って接していた。
私が生まれた頃からマァーラーフェザーは冷たい、と見えていたけれど、信頼できる猫が出来、愛するつがいの猫に気付いたことにより、フェザーライトという猫の死によって凍っていた心の氷は徐々に溶け、最後に見たときには明るく、優しい戦士猫だった。
事実、ロック族、ウォーター・フェザーに見放されたライトポーを慰め、正しい道へと導いている。
噂はあまり聞かないが、マァーラーフェザーは、軽症を負い、心に深い傷を負っていたライトポーの指導者をしているだろう。
「ベルポー、早く!」スノウポーがせかせかと地面を踏んだ。
急いで最後の一口を頬張り、骨をキャンプの端の地面の軟らかい所に持っていき、埋める。
「それで、何を採ってくるの?」再びスノウポーが尋ねる。
「マリーゴールドを採りに<シンボルレイク族に釣り糸を垂らす者達>の住宅街に行きましょう。マリーゴールドが生えている庭があるじゃない!」スノウポーは尻尾を振って住宅街に向かうために葦の壁の穴をくぐった。
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投稿 by Murre Sat Feb 26, 2022 4:46 pm

左から順にスノウポー、ベルポー、クレインボイス
クレインボイスはシンボルレイク族だから周りに淡く光を纏っている
クレインボイスが亡くなったときのひと場面
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最終編集者 マァーラーフェザー [ Sun Feb 27, 2022 10:26 am ], 編集回数 1 回
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投稿 by Murre Sun Feb 27, 2022 9:20 am

「何、これ…」私は絶句した。
平和でのほほんとした空気がいつも流れている<シンボルレイク族に釣り糸を垂らす者達>の庭に向かう途中、数匹の怪物に行く手を阻まれた。怪物の通る道を走っている奴らより重く、錆びているが、一度高いところで折れている長い鼻の先にはぎざぎざして、土を掬うための掌が付いている。
「僕達の縄張りが、掘り返されていく…!」スノウポーの声は殆ど悲鳴と化していた。
「イブニングレイクに報告しなきゃ!」
「マリーゴールドは?」
「そんなの、縄張り内でも採れるわ!」
スノウポーの仕事はきちんと終わらせるという心構えは認めたが、今はそんなこと言っている暇はない。なんせ、自分達の縄張りに怪物が侵入しているのだ。
「こんなの、シンボルレイク族から聞いてないよ!」私の悲鳴は、怪物を操作する者に聞かれたらしい。ぶかぶかし、土で汚れた毛皮を纏っている後ろ脚で立っている生き物は、毛の生えていない枝分かれした前脚を前後に動かし、何かを怒鳴って私達を威嚇した。
追っては来なかったが、怖くなり何も考えずにただひたすら走った。

「イブニングレイクは!」スノウポーの余裕のない声に、危機を感じ取ったのか、長老のスリーイヤーが長老部屋からからからしたキャンプの空き地に出てきた。
「イブニングレイクは狩猟部隊を組んでったよ。」ゆったりとした声で、スノウポーを焦らせないよう気遣いをしてくれている。
「レッドリーフ!」丁度葦の壁をくぐってきた副長の姿に、心底安心し、直ぐに今起きていることを伝えた。一緒に行動していたグラスポーがイブニングレイクを呼び戻しに行き、私はクリサンセマムペタルに助言を貰いに再び走った。
こんな出来事、初めてだ。
もしも縄張りが支配されてしまったら、私達はどこで、どう暮らしていけば良いのだろう?
疑問が次々と浮かび、蜘蛛の巣のように頭の中に張り巡らされた。
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投稿 by Murre Mon Feb 28, 2022 6:39 pm

下ってくる川という事実上の境界線付近にロック族のパトロール隊や狩猟部隊は来ていなかった。
いつもより水位が下がっているように感じる川に足を浸し、川を渡る。私はクリサンセマムペタルに指導を受けるためならばロック族の縄張りを出入りしていいと寛大なブラックロックが言ってくださった。
ブラックロックは、海に向かったマァーラーフェザーやライトポー達の身を案じていた。
ウォーターシャドウも海に行った。
私に、ウミガラスの羽をマァーラーフェザーに返して来る、と行ったきりだった。匂いが下っていく川に沿い、ライトポー、シャドウトゥース、マァーラーフェザーの匂いとともに付いていたことから、そう判断した。
姉の元指導者が旅に出たことは、シンボルレイク族から聞いた。ウォーターシャドウがいなくなった日に<2部族の椅子>で聞いた。
その時は、シンボルレイク族は、怪物について何も仰って無かった。
あれこれ考えているうちにロック族のキャンプに辿り着き、入り口で呼びかけた。
「クリサンセマムペタル、ブラックロック!」
フロントリードが顔を出した。
「何やら焦っているな。クリサンセマムペタルをすぐに呼んでくるよ。」フロントリードはくるりと駆け出し、私はおずおずとキャンプに入る。まだ何度かしか来ていないが、毎回どきどきする。
「ベルポー!ようこそ。マリーゴールドは採れた?」柔らかい声が看護部屋から聞こえ、クリーム色の雌猫が薬草の匂いを漂わせて登場した。
「レイク族のキャンプと怪物の通る道との間に、見たことないくらい大きくて、重そうな怪物が侵入してきたんです!」私の声にそれぞれの部屋から何匹もの猫が姿を現す。
「ベルポー、実は、ロック族の縄張りにもじわじわと怪物が侵入しているんだ。」ブラックロックがインレイクから出てきて、共感する。
「私、見たの!下っていく川の奥の方で、怪物が川を広げてたの!」見習いのディープポーが目に恐怖の色を浮かべて情景を思い出す。
「今、イブニングレイクが対策を考えているだろう。明日、レイク族が落ち着いたら相談に向かう。そう伝えておいてくれ、ベルポー。」ブラックロックは黄色い目で下っていく川の先を見つめ、海に向かった猫達の姿を思い出す。
「かしこまりました、ブラックロック。ありがとうございます。」
敬意を込めてロック族に会釈し、クリサンセマムペタルと鼻づらを触れ合わせた。
「シンボルレイク族は必ず見守っていてくれる。そう信じましょう。」先輩は声をかけてくれた。
キャンプを出たあと、不安がどっと襲ってきた。
一匹の見習い看護猫でどれだけ部族を助けれるのだろう?
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投稿 by Murre Tue Mar 01, 2022 5:42 pm

イブニングレイクは、アンダーレイクでレッドリーフと話していた。私は不在だったし、見習いだから加えてもらえないだろう。
キャンプは一つの塊ができていて、中心にはスノウポーが少し得意げに状況を説明していた。
「怪物の通る道に通常走っているやつより大きく、変な形をしてたんだ!足は左右に一つずつで、こう…横長だった!<シンボルレイク族に釣り糸を垂らす者達>はぶかぶかの毛皮を羽織ってて、一匹しか乗ってなかった!怪物の鼻は一度天に向かって伸び、二回くらい折れながら地上の方へまた伸びてた。鼻の先には四角いぎざぎざがいくつか付いている器になってて、土を沢山掘り返してた!その土は、隣の背中に大きな蓋の無い箱を乗せた怪物に渡してたんだ。」スノウポーの演説は続いた。
「ベルポー!こっちおいで。」看護猫の手伝いを引き受けてけれている母のフラワーカラーの呼ぶ声に振り返ると、アンダーレイクの入口で手招きしていた。
心配しながら駆け寄ると、母は族長の部屋の方を尻尾で指した。
「イブニングレイクが、あなたが戻ったらここに来るように、って。」
さっと感謝の眼差しを送り、雨が降り続いたのに酷く乾燥している洞穴に入った。フラワーカラーは分岐点で看護部屋に入った。
「イブニングレイク、ベルポーです。」
「おはいり。」緊張した声が返ってきた。
中に入ると、イブニングレイク、レッドリーフ、そして年長戦士のライクタイガーが居た。
「看護猫が来たようだね、では、失礼。」ライクタイガーは族長達に会釈すると、私に頷いて部屋を後にした。
「<2部族の椅子>に行こうと思う。ベルポー、お前はどう思う。」イブニングレイクが問いかける。
正直、戸惑った。
私はまだ見習いだし、意見を求められるような立場ではない。見習いになってもうすぐ月が一周りする。今の指導者はクリサンセマムペタルで毎日指導を受けられる訳ではないから訓練の進みは通常より遅い。カインドアイに負の感情が尽きない。戦士を殺し、看護猫の継承を断ち切りそうになり、逃げ出した。
「ベルポー、大変だと思うが、一緒に来てくれないか、レイク族の看護猫として。カインドアイがいつかの猫のように姿を消してから、レイク族の看護猫はベルポー、ただ一匹なんだ。」族長が気を遣ってくださったのが分かった。私の判断が遅いから、行動の提案をしてくれたのだ。
「キャンプの防備は任せてください。無闇に怪物に仕掛けませんし、キャンプを出るときは戦士は二匹以上、見習いは必ず戦士と共に行動するよう呼びかけます。子猫は戦士で守ります。」
レッドリーフは最後、自分のつがいのレインクラウドと子供のスカイブルーキット、サンキットを守ると意思表示した。
「ありがとう。今日の真夜中に出て、明け方に着けるようにしよう。」
縄張りに帰ってきたときには一日で最も暑い時間を過ぎ、厚い雲から僅かに漏れ出る真っ直ぐな光は、仄かに橙色に色づき始めた。
「分かりました。薬草を準備してきます。」橙色の族長は頷き、副長にも指示を出した。
「レッドリーフ、パトロール隊を出して、怪物が侵入していた付近を偵察し、必要以上に近寄るな。何をされるか分からない。怪我を負ったら看護猫は手が足りなくなる。」ちらりとこちらを向いた。
副長は会釈して駆け足でキャンプの空き地に出ていった。
「ベルポー、」出ていこうとした私を族長が引き留めた。
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投稿 by Murre Wed Mar 02, 2022 6:28 pm

「はい。」足を止め、振り返る。
「お前の指導者についてだ。」
「カインドアイは、もう、指導者だと思っていません。仲間のクレインボイスを殺したのですから。」
「カインドアイは、もういい。あいつはレイク族の一員ではない。もう、追い出しただろう。お前が、クレインボイスはカインドアイが殺したと立証したじゃないか。」
「そうですが…まだ、マァーラーフェザーを疑う者は居ます。」イブニングレイクの子供たちー特にオレンジペルトーを抽象的に言う。
「オレンジペルトは、怒りの行きどころがなく、切羽詰まってるんだ。直に落ち着く。」
本当にそうかしら。愛する猫を失った悲しみは他の猫で瘉えるのかしら。
オレンジペルトー見習いの頃はオレンジポーーはクレインボイスに密かに恋をしていた。悲しみをどうすることもできなく、一番近くで触れ合っていたマァーラーフェザーに疑いをかけ、その後姿を消したことからより、怪しく思っているのだろう。
「それで、私の指導者が、どうしたのですか。クリサンセマムペタルに指導お願いしているのですが。」
族長は首を横に振る。
「昨日、パトロールしているとき、下ってくる川で副長のドーンウィングと会ったんだ。もうすぐ、ストリームキット、バブルキット、ウェザーキットが生後六ヶ月だそうだ。それで、ウェザーキットが看護猫を志望してると言っていた。クリサンセマムペタルはお前にまで手が回らなくなる。ベルポーには申し訳ないが、ロック族の看護猫に指導を受けるのを、中止しようと思う。」
確かに、と思った。一族に看護猫志望の子猫がいたら別部族の見習いより優先させるのは当たり前だ。少し寂しくなった。
「そうですか…」
「それで提案だ。シンボルレイク族に指導をお願いしないか?」看護猫より柔軟な頭に尊敬した。
「それも、<2部族の椅子>にお願いしに行くんですね?先祖の猫たちは応答してくれるでしょうか…」怪物の事を知らされていなかったことに感じた不安を言葉にする。
「シンボルレイク族も、流石に冷たくはない。怪物の事は、シンボルレイク族も慌てて、まだ手が回っていないのだろう。」
それもそうだと共感の頷きをする。
「シンボルレイク族の許可が降りたら、クリサンセマムペタルに指導のお礼をしに行きます。」
「よろしい。」指導者のような口調で認めてくれる。
「では、看護部屋で支度してきます。」
「しっかり寝なさい。」親のような優しさの声を背中で浴びた。
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投稿 by Murre Thu Mar 03, 2022 3:01 pm

「雨、止まないかなぁ…」ライトポーがぼそっと呟き、鼻のてっぺんにぽつんと冷たい雨が当たり、弾ける。
ここ数日、激しい雨が降り続いていた。
「私、魚捕ってくる。みんなは?」
ウォーターシャドウは元気が無さそうに首を横に振り、シャドウトゥースは立ち上がった。弟子は強く丸まった。
「行きましょう。」黒猫は寡黙だ。
川は茶色く濁り、時々落ち葉の季節の特徴である赤や黄色に色づいた葉が流されていた。
「シャドウトゥース、どうしてカインドアイ…」
「俺は、後悔してない。お前達が俺達、掟を破った者達を選んでくれたことには、感謝だよ。」この黒猫からこんなに優しい言葉が発されるなんて、思いもよらなかった。
「詳しく、聴きたいです。何故カインドアイと出会ったのか、ライトポー達のこと、そして、ウォーター・フェザーの秘密…」
シャドウトゥースはこれまで見たことのないくらい柔らかな目でこちらを見てきた。下っていく川の淵に腰を下ろし、ちらりと置いてきた娘とウォーターシャドウを見、聞いていないことを確かめた。
冷たい雨は、止まらない。

俺はがっかりした。キングフィッシャーロックは、何を考えているんだ、と陰で怒った。族長は、俺の指導者をナイトビーストに任命した。
ナイトビーストはウォーター・フェザーという邪悪なロック族内の塊で、可哀想にレイク族が標的とされている。
「よ、よろしくお願いします。」緊張した俺の声に、指導者は鼻を鳴らした。
あぁ、絶望だ。俺もいつか、この猫のような冷たく、酷い猫になってしまうのか。
こんな猫になりたくない、と心の叫びが何度も反響した。
兄のブルーベリーポーは勿論キングフィッシャーロックが、指導者だ。
俺達の父はファーンウォールで、ロック族の副長だ。母は知らない。妹は幼い頃に死んだという。
「ナイトビースト、君の弟子にも一緒に縄張りを説明してやろう。」族長が声を欠けてくれた。きっと、まごまごしていた俺を見て、気遣ってくれたのだろう。
指導者は族長を見つめ返し、素っ気なく頷いた。
「シャドウポー、楽しみだね!」
「そう言えるのは、ブルーベリーポーだけたよ。族長が指導者なんだから。」
兄と並んで走った。初めてのキャンプの外は葉が日光を浴びてきらきら輝いていた。
先頭を族長が走り、その直ぐ側にナイトビーストが風を切っていた。俺達は少し遅れて走っていたが、すぐに息がきれてきた。
なんて速いんだ!
そう思わずにはいられなかった。
ナイトビーストは、俺達が喋っている間、しょっちゅう耳を動かしていた。
「ここが、<シンボルレイク族に釣り糸を垂らす者達>の家だ。ここには青葉の季節しかやってこないから、殆ど警戒しなくて大丈夫だ。しかし、何をするか分からないから、来たときには近寄ってはいけない。」
キングフィッシャーロックが胸を張って忠告する。
俺ははいはいといって聞き流していた。どうせやって来ない。それよりも、ナイトビーストの鋭い目に怯えていた。


最終編集者 マァーラーフェザー [ Fri Mar 04, 2022 9:27 pm ], 編集回数 1 回
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投稿 by Murre Fri Mar 04, 2022 5:30 pm

戦士名を獲得しても、ナイトビーストは喜ばず、俺の心はいつの間にかウォーター・フェザーの悪に染まっていた。
「おめでとう、シャドウトゥース。」冷ややかな声を掛けたのは、同じくウォーター・フェザーのジュニパーリーフ(ネズの葉)だ。
「レイク族にまた戦士が増えたらしいぜ」抑揚の無いこの声はウォーター・フェザーのオレンジサンセット(オレンジの日没)だ。
「確か…フォックスボンド、ブルーローズ、ウォームジェイ、だったはず。兄弟って、温々してて腹立つよな。」セレドンスネイク(青磁蛇)がいらいらと尻尾を振ってナイトビーストに許可を求める。
戦士部屋から出てきたリカヴァリーフット(回復脚)も何をするかの検討を付け、小走りでやってきた。
「ウォーター・フェザーの諸君、俺達の目的はレイク族の消滅ではない。」
「ロック族の保護!」
「よろしい。本日はレイク族の戦士を減少させる活動だ。」リーダーはそう言い、インレイクの側に立っていたキングフィッシャーロックをぎろりと睨む。族長は震え上がって俺達に背を向けた。
何をしても良いようだ!
一度ぶるんと身震いして、リーダーを見つめる。
「シャドウトゥース、戦士最初の任務だ。どのような手を使っても良いから、成果を上げてこい。」指名されて、尻尾をぴんと立てる。
「行かせていただきます。」ウォーター・フェザー全員に一度ずつ会釈して、キャンプを出る。
賑わっているリスの松を横目で通り過ぎ、針葉樹林を抜けると<シンボルレイク族に釣り糸を垂らす者達>の家が目に入った。青葉の季節の今、数週間あいつらはここに滞在している。レイク族が食べている生臭い食べ物とは思えない魚を釣っては横に置いた容器に水をかけられながらも、きらきらしたものから魚を外している。
今日は天気が良くないから、あいつらも出てきていない。自分の姿が見える壁にはめられている物には灰色の布が内側に掛けられていた。
下ってくる川を少し遡り、二足歩行のあいつらが造った浮かぶ木の道まで回り足を濡らさず渡る。レイク族はしょっちゅう湖に入り気持ちよさそうにしているが、俺にはよく分からない。そもそも分かりたくもない。余計なことにエネルギーを使うべきではない。
ばしゃばしゃした湖の淵の沼地には行かず、広い森の中に足を踏み入れた。
いくらか進むと右に曲がり、怪物の通る道に向かう。
今日の狙いはシックスセンス家族だ。
全員見たことがあるから間違えはしない。初任務でやらかしてたまるか!
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投稿 by Murre Sat Mar 05, 2022 11:11 am

オレンジサンセットは、ブルーローズとウォームジェイは下っていく川の方向に狩りに行ったと報告していたから、キャンプにシックスセンスとフォックスボンドは居るはずだ。
ウォーター・フェザーは必ずレイク族に見張りを置いておくことになっていた。勿論、族長には圧をかけて許可させている。
この時間は唯一の雌猫メンバーのゴースフラワーだ。
全員の定位置の西の松の枝の上で観察しているだろう黒の雌猫を探す。
周りに誰もいなく、見ていないことを瞬時に確かめると、風のように登った。
「シックスセンスとフォックスボンドは戦士部屋にいる。族長は下ってくる川にパトロール隊を率いて行った。ホークテイルは弟子のカインドポーと看護部屋に戻った。さあ。」ゴースフラワーに勇気づけられて、感謝に頷く。
「行ってきます。」彼女は俺の耳をさっと舐めた。
するすると木を降り、反対側の松の脇の入口から切羽詰まった演技をしてキャンプ内に駆け込む。
「誰か!ブルーローズが…ブルーローズが!」ブルーローズの言葉に反応して直様シックスセンスが飛び出してくる。続いてフォックスボンドも。
「シャドウポー!ブルーローズはどうしたんだい?」焦ったシックスセンスは俺に驚かない。
「クリサンセマムペタルに頼まれてイヌハッカを採りに庭の方に行ったら、叫び声が聞こえて…近づいたら、ブルーローズが怪物に…怪物に…」
「フォックスボンド、すぐ行こう!」息子は直ぐに頷き、俺の案内を仰ぐ。
「こっちだ!速く!」
シックスセンスは判断力が焦りで鈍り、看護猫を呼ばなかった。

戻る途中、ブルーローズとウォームジェイに出会ったから、さも焦っているように事情を伝えた。
「クリサンセマムペタルに頼まれてイヌハッカを取りに来たんだけど、叫び声が聞こえて…」
「どうしたの?」穏やかにウォームジェイが尋ねてくる。
「シックスセンスとフォックスボンドが怪物の通る道に…!」
これだけ言えば、十分だった。
淡い青の雌猫と暖かい橙色の雌猫はさっと駆け出し、俺の事など忘れた。
そっとほくそ笑みながら立ち去る。あぁ、ナイトビーストに良い報告が出来て満足だ。
葉が全て落ちた木々の上には憎いくらいすっかりと晴れ渡り、俺の成果を喜んでくれている。湖も白い太陽の光を四方八方に乱反射し、眩しい。
イヌハッカなんて要らない。俺の縄張り内で採れる。
あの二匹は血まみれの父と兄を見て呆然とするだろう。だれも俺が片方手にかけたことには気づきやしない。
ただ、気づくとしたら…それも想定内だ。
何度か姿を見た雌の見習い看護猫と戦士の掟を破ったって、誰も咎めはしないだろう。未来の看護猫と恐るべき未来のウォーター・フェザーリーダーなんだから。
カインドポーに好意を寄せていたのは、本猫も知らないだろう。
不意に、先祖のウォーター・フェザーに見られている気がして、辺を見渡した。
誰も居るはずが無かった。
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投稿 by Murre Sun Mar 06, 2022 1:44 pm

爪はどす黒い血で染まり、息が荒くなっていた。目の前には自分と似た黒っぽい身体がぐたりと横たわっている。一瞬、自分を見ているのかと錯覚した。
「ブルーベリーフルーツ!」俺達の母のナイトクロウウィングが声にならない悲鳴を上げながら愛息子に駆け寄り、毛を逆立てるように勢いよく舐める。
「実の兄に、何をしたのよ!」今度は俺に食って掛かってくる。
「自分の地位を守るため。」ぼそっと答える。
母はぞっと目を見開き、俺と反対側に周り、息をしていないブルーベリーフルーツにせっせと話しかける。
「貴女は死んでなんかないわよね?あなたは父のシーウォーターにそっくりの目、体つき、色でしょう?私を置いていかないで!」蹲って周りが見えていない半狂乱の母の首筋に噛みつき、母は頭をくたっと曲げた。
次第に目の光が消えていき、殺した俺も認識出来なくなった。
二匹の体からどくどくと流れ出る自分にも流れている血がべとべとと肉球に付き、気持ち悪くなった。草に擦り付けると幾らか落ち、風に撫でられるうちにそれらは乾き、変色し始めた。
兄は邪魔だった。元指導者のキングフィッシャーロックに認められ、ウォーター・フェザー最年長のジュニパーリーフを差し押さえて、亡くなった副長のクラウドウィスカーの後を継いだ。
これは、命令ではなかった。俺は初めてリーダーの命令無しで成果を上げられた。ナイトビーストやジュニパーリーフは喜ぶだろう。
一度憎らしかった兄の脇腹を思いっきり蹴りつけ、家族の愛情を全て奪っていったことに報えた気がした。
遺体はこのまま放置しておいた。どうせすぐにパトロール隊が発見し、ウォーター・フェザーを疑い始める。
兄を殺したと理由は、ただ単にウォーター・フェザーのリーダーとなるためだった。弱ってきているナイトビーストの後継者ははっきりしていない。
リーダーはこの前のレイク族のウォーターシャドウとハイドレンジアブルーとの戦いで疲れ切っていた。右前脚に重症を負い、年齢の割に激しい動きが出来なくなったからだ。
ジュニパーリーフはリーダーとしては年を取りすぎているし、オレンジサンセットは機械的すぎてリーダーに向いていない。セレドンスネイクはこの前俺の弟子のリーフポーにウォーター・フェザーの訓練の一貫として殺されていたし、リカヴァリーフットは怪我しているじゃないか。
ということは俺だ。
リーダーになったら副長も近づく。ウォーター・フェザーリーダーから副長になった猫は多いからな。副長になったら族長はもう目の前だ。九つの命などすぐに消え去る。
兄を殺したのは必然で、母を殺したのは偶然だ。でも、自分の周りから身内が消えてくれてせいせいした。これからはもう、うるさい母や咎める兄の声など飛んでは来ない。
ふっと笑って、すぐに高笑いになった。俺の声は空に吸い込まれ、獲物の気配が遠くなった。
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投稿 by Murre Mon Mar 07, 2022 2:59 pm

と、下っていく川の向こう側に視線を感じた。下っていく川のこちら側の沼地は赤く染まっている。
「カインドポー。」濁った目の雌猫がレイク族側に立っていた。口には薬草をくわえている。
「カインドアイよ。お久しぶり。」俺の足元に目を離さず淡々と喋る。
「これは、何?また命令?」
「違う。リーダーになるための試練の一つだ。」だいぶん前におれたちのことを包み隠さず話したカインドアイは全てを察する。
「そう…」俯くが目はこちらを向いている。
「どうした?ホークテイル、遂に死んだか?」冗談交じりに笑い飛ばす。
カインドアイの目から真剣さは消えない。
「まさか…」
「えへ、死んじゃった。」茶目っ気たっぷりにウインクしてくる。
「おい、すぐそこはシンボルレイク族の縄張りなんだぞ!えんぎでもない!」カインドアイは指導者が亡くなったにも関わらず、心なしか嬉しそうだ。
「どうした?ハリネズミが空でも飛んだか?」気になって尋ねてみる。
「こっち来て。」
言われるがままに近づいてみると、ほのかに柔らかな乳のにおいが漂ってきた。
「まさか…!俺達の子供か!」カインドアイはにこにこ笑みを浮かべる。
もう、家族を殺したことは頭から吹っ飛んでいた。
しかし、彼女の腹は膨らんでいて、身籠っていることが分かってしまう。
「レイク族にはどう説明してるんだ?」
「大丈夫よ、青葉の季節だから。獲物の食べ過ぎ、と言っておけば看護猫の言葉は疑われない。」戦士の掟を一度に二つも破った看護猫の耳を愛情込めて舐め、お別れに喉を鳴らしながら鼻づらを脇腹に押し付けた。
ばいばいをした瞬間、カインドアイとの出会いがぶわっと波のように押し寄せてきた。
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投稿 by Murre Tue Mar 08, 2022 3:33 pm

「あら、こんにちは。」黒っぽい虎猫が親しげに話しかけてきた。
俺がウォーター・フェザーの一員だということを知らないのか?やけに堂々とした猫だな。雌のくせに。
腹が立ったら爪がむずむずしてきた。境界線の下ってくる川を一発で飛び越え、一瞬驚いた表情をした薬草をくわえた雌猫に襲いかかる。
雌猫は素早く動いて俺の攻撃を余裕でかわした。
「あなた、シャドウトゥース?よろしくね。仲良くしましょう。」のんきに仲良くなんて言ってられるのはこれまでだ!
その気で飛びかかってみても、毛一本もかすらない。
どうゆうことだ…。
「ウォーター・フェザーって、いいわよね。私、いつかあなた達のような邪悪な世界で生きたいの。戦士の掟って、守る必要ある?って。」無邪気な見習いだな、と思った。けれど、同時に別の感情が湧いてきた。これは、何なんだ?
雌猫は爪を引っ込めた俺に極端に近づき、耳元で甘い声をかけた。
「私、看護猫見習いだけど、知識を全て得たら、すぐに看護猫になりたいの。間違ったお告げを族長に伝え、部族っていう弱い塊を滅ぼしたいの。そして、私、戦士の掟を壊してやりたい。だから、協力してくれる?私、あなたと一緒に部族を滅ぼし、一緒に掟を破りたい。」よく喋る雌猫は、カインドポーといい、邪な考えを抱いていた。
勿論、素質を感じた。だから、こう返してやった。
「俺と、お前だけの秘密を沢山作ってやろうぜ。例えば、生まれてくる子供と一緒に部族を滅ぼすとか。」
カインドポーは目を丸くして、それからいいね、と何度も頷いた。
それから俺達は何度もこっそり会った。

シャドウトゥースは、これでどうだと言う表情で語り終えた。
絶望した。カープウィスカーのあの思考は、親から来ていたんだ。
私にも受け継がれていたら、と考えて、背筋が寒くなった。異常な思考の三匹は、全員私と血が繋がっている。
カインドアイは昔から異常な思考で、シャドウトゥースもそれに乗っかった。
「でも、どうして私にすんなり喋ってくれたの?」
「娘には協力してほしくて。」父と認められないけれど父は返答した。
「私は協力しないわ!ウォーター・フェザーの悪の組織に手を貸したりしない!」立ち上がって反論する。
「そう言ってられるのは、いつまでかな。」初めて見るウインクをして、父はもう一匹の娘の方に歩き出す。
異常気象はまだまだ続いている。冷たく、強い雨は暴風までもを連れてきた。
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投稿 by Murre Wed Mar 09, 2022 3:09 pm

湖を見て立っていると、微かに霧が立ち始めた。気温はまだ上がらずに太陽だけが昇ってくる。僅かな星の光を反射している煌めく霧は猫の形に姿を変え、こちらに近づいてきた。
「おはよう、ベルポー。アンダーレイクでの話は聴いていたわ。今日は、ほら。」いつもお告げをくださるシンボルアイスィクルは後ろを振り向いた。
「シャープフィーリング!」少し後ろに立っていたイブニングレイクが、あっと声を上げる。
「今はフィーリングシンボル(勘のシンボル)よ。」その三毛の雌猫はにこりと笑い、会釈した。
族長は懐かしそうに目を細める。
「私、ファーストレイク族の族長シンボルアイスィクルはフィーリングシンボルをベルポーの指導者に任命します。」
それは、いつも聞いている正式な言葉では無かったけれど、湖の霧が動き、シンボルレイクが認めてくださったのが薄々感じ取れた。
私はフィーリングシンボルと鼻を触れ合わせ、指導者と弟子の関係になった。
途端にイブニングレイクが崩れ落ちた。
驚いて指導者の顔を見ると、焦ってなどいなかった。
「カネリシンボルーセカンドレイク族の看護猫ーがイブニングレイクにケシの実を与えたのね。あなたと別々に話をするためよ。」
落ち着いているフィーリングシンボルに、あわあわと状況を話そうとするが、ふさふさの尻尾で口を止められた。
「知ってる。知ってるわ。シンボルレイク族も全力を尽くそうとしているけれど、族長同士で意見が割れちゃったの。シンボルインディゴはラストシンボルを失いそうだし…。シンボルレイク族の全員、前代未聞の出来事に戸惑っているの。だから、どちらに傾いてもいいように、お告げを二つ下ろすわ。」
堰を切ったように指導者は話だし、耳をせわしなく動かした。
「お告げを、二つ…?」
いつの間にか私の前に猫はもう一匹現れていた。
「あぁ、フォレストシンボル、どうしましょう…」
フォレストシンボルは、ファーストレイク族の副長で、シンボルアイスィクルと同じくお告げ担当の部族に所属している。
「ベルポー、よく聞いて、族長と副長、年長の戦士と相談しなさい。レイク族には看護猫がお前のみなんだから。」ファーストレイク族の副長は緑色の目を陰らせて言った。
「精鋭の戦士のみで作られた戦闘部隊を組みなさい。まず、怪物を撃退してみなさい。これはシンボルサークル、シンボルダブル、シンボルグラス、シンボルサンライトの案だ。」
見たことのない先祖の猫達を思い浮かべて、記憶して頷く。副長は続ける。
「シンボルアイスィクル、シンボルキングフィッシャー、シンボルデュー、シンボルナイトはマァーラーフェザー達にお告げを出し、新たな土地を探してもらう事を支持した。あの四匹が戻ってきたら移動出来る準備を行いなさい。二つ目は、もしも怪物が侵入を止めなかったときのお告げ。」緑色の目は泳ぎ、まだ何かを隠していそうだった。
フィーリングシンボルが硬い地面をたん、と叩き、私の頬を舐めた。
「看護猫であるあなたも、身を護るための基礎は学ぶ必要があるわね。私から出向かうから、縄張りで待っていて。戦闘部隊が失敗したときは…」指導者の三毛猫は語尾を濁した。
「はい、心構えしておきます。」指導者は不安を隠しながらも頷いた。
「また、明日ね。」そう言うとフォレストシンボルと一緒にシンボルレイク族の縄張りへ駆け戻っていった。
イブニングレイクも起き出し、受けたお告げに戸惑っていた。
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投稿 by Murre Thu Mar 10, 2022 3:24 pm

「マァーラーフェザー、ウォーターシャドウ、シャドウトゥース…!」ライトポーは久しぶりに声を上げた。
私達は顔を見合わせる。
目の前には金色の植物が広がっている。
まだまだ遠いが、その向こうには<シンボルレイク族に釣り糸を垂らす者達>の住宅地が広がっていて、雲に隠れそうなくらい高い細長い建物もちらほらと見られる。
「あの中を通っていくのですか?」怯えたいおいを発する弟子はこちらを見つめる。
ここは少し小高く、辺りがよく見渡せる。金色の麦に似た植物の畑の中にちらほらと家は見えるが、向こうの霞んだ場所ほど多くはない。
海に行くのにはこんなにも困難を越えなければならないのか。
「行くしかないだろう。海で何かをするのだろう?」シャドウトゥースが唸る。
「海で、お告げをもらうんだっけ?」ウォーターシャドウが確認してくる。
「崖についた頃には湖は消える。」いつかイブニングレイクとレッドリーフ、カインドアイが受け取ったお告げを呟く。
何それ、と言うようにシャドウトゥースが耳を動かした。
「ウミガラスの羽が私に託された時のお告げらしいです…」ウミガラスの羽、と口にして何かを失ったもどかしさを感じる。
ウミガラスの羽…
「ウォーターシャドウ、ウ、ウミガラスの羽!」
彼は首を傾げた。
「ほら、クレインボイスが亡くなったときの、渡した黒い羽…!」
「あぁ、あれ…!」
彼もあの時の事を思い出したようだ。
「ウミガラス?ウミガラスって何ですか?」
弟子は知らないものに疑問符を浮かべる。
「旅に出る初日、落とした…!」ウォーターシャドウが告白する。
あぁ、やってしまった。
「あれは、幼い頃、シンボルレイク族から頂いた大切な物だったのに…!」
不意に頭にずきんと雷のような激痛が走り、目眩が襲ってきた。倒れ込み、息を荒くする。
「マァーラーフェザー!」ウォーターシャドウが駆け寄ってくる。
「マァーラーフェザー…!」ライトポーは目を大きく見開いている。
「少し、具合が悪いです…。今日は、休めませんか…?」シャドウトゥースに上目遣いで尋ねる。
黒猫は、驚いたように固まっていた。
「シャドウトゥース?」ウォーターシャドウがそっと尋ねる。
「いいや、カインドアイを思い出して。似た行動を取ってた気がして。」曖昧な記憶に首を傾げていた。
ゆっくりと昨日夜を越した場所に戻り、落ち着く。
いつの間にか時は流れ、旅に出てから月が一巡りしていた。
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投稿 by Murre Fri Mar 11, 2022 5:14 pm

「マァーラーフェザー、今日は、大丈夫かい?」ウォーターシャドウが心配してくれる。
「うん。寝たらだいぶ良くなった。けど…」
ウミガラスの羽が一足先に海に行き着いてしまったことの後悔は寝ても消えていない。
「それにしても、ウミガラスの羽、どうしてそんなに大切だったんだい?」気になっていたのだろう。彼は足をそわそわ動かしている。
「あの羽にはね、いくつかの技が習得できる、というか、例えば、鳥と話せるようになったりするの。」
ライトポーも起き出した。
赤や黄色に染まり始めた葉の隙間から見える空は高く、青く澄んでいる。雲は筋を引いて風の軌跡のように白い跡を幾筋も残している。
「マァーラーフェザー、鳥と話せるんですかっ?」話が聞こえてきたライトポーが興味津々に近寄ってくる。
「他には、夢を見る、泳げる、風を感じる、っていう効果がある。」
もしかして泳げなくなってるのては、と恐怖も迫り上がってきた。
近寄っていないからかもしれないが、鳥の言葉は確実に理解出来なくなりつつある。夢は殆ど見なくなっていて、暫くフェザーライトと話せていないし、異常気象のせいで風の事など鈍くなってきている。
「けど、泳ぐことは羽がなくても出来るんじゃない?俺、確実に教えたよ。」ウォーターシャドウが指導者の時のことを思い出す。
「まだ時間あるぞ。ひと泳ぎしてくれば?」耳がよく、もう起きていたシャドウトゥースが前よりぶっきらぼう度が減った言葉を発してくる。
「いいなぁ。私も海に着くまでに泳げるようになりたいです!」
ライトポーが海より淡い青の瞳をきらきらも輝かせる。
「時々、泳いで進もうよ。」ウォーターシャドウの提案。
「シャドウトゥースは陸をどうぞ。見張りにもなりますし。お願いします。」父に礼儀正しくお願いする。
黒猫は琥珀色の目を閉じてゆっくりと頷いた。
「海ぃ!」
「まず、川よ。おいで、ライトポー。」
かわいいな、と思いながらいつも側を歩いてきた下っていく川に向かう。後ろからあと二つ影がついてくる。

下っていく川の下流は湖付近に比べて広く、流れは穏やかになりつつあった。
「ライトポー、まず、水に慣れる練習だ。」
ウォーターシャドウが先に入り、深さを確かめてから尻尾で招く。
まだ足の短い弟子は、顔近くまで水に浸かった。首を反らしている。
「冷たくて気持ちいい!」
弟子は水の中で苦労しつつも何歩か進む。
「マァーラーフェザーは、大丈夫かい?泳げそう?」ウォーターシャドウは久しぶりに泳いでいる。
「うん…」
流れを見つめていたら、それらが渦を巻き始め、混乱した。
「今日は、やめとく。」
淵から数歩退いた。
「マァーラーフェザー、狩り行くか?」
最近フレンドリーになってきたシャドウトゥースが私に問いかける。琥珀色の目の中には白い太陽が二つ覗える。
「行きます。」
ウォーターシャドウ達に頷いて、黒猫の方にゆっくりと近づく。
それにしても、シャドウトゥースが最近良く話し、優しく接してくれるのは、何故だろう?
もしかして、娘である私までもを仲間に引き込んで、悪事を働こうとしているの?




BBSが寂しいよぉ;-(
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投稿 by Murre Sat Mar 12, 2022 4:28 pm

カラスは困っていた。
今眼下でネズミを狙っている黒6割、白4割程の雌猫は俺達の話を一向に聞こうとしない。太陽や月、星によってきらきら輝く広い水溜まりで暮らしていた時は、しょっちゅう話しかけてくれたから、こちらも大切な情報を教えていたのに。
他の広い水溜まりで暮らす猫達のことや、水平線まで続く広い広い水溜まり―海―について、更にはウミガラスについて、自分の見聞きしたことを教えてやったのに。
今も大切な情報があり、黒白猫と黒っぽい猫達は今すぐ戻るべきだと伝えたいのに。
   ウミガラス
雌猫―マァーラーと名乗っていた―は鳥達の鳴き声から耳を閉ざしている。
全て、ウミガラスの羽を失ったショックによるものだろう。
本当のところ、あの猫は輝く霧を纏った猫達から与えられた艶々した、あの黒い羽が無くても鳥と話せ、水の中を泳ぐことはできる。
しかし、黒白猫は羽が無ければ何もできないと思い込み、怯えと恐怖を周りに漂わせている。
話せるよ、と伝えてやりたいのだが、何度啼いても、ただの生活音だとしか認識しない。
あぁ、早く伝えなければならないのに。早く戻らせなければならないのに。
今、海は荒れている。
<飛べない羽なし>が浜にうじゃうじゃと居て、浅いところで水をかけたり、丸い空気に寄りかかったりして遊んでいる。その少し奥には、アーモンド型の板に乗ってバランスをとる、なんてことをしている。
そして、あのアナグマは、もういない。
<飛べない羽なし>が崖を削り、平らにし、どろどろして臭く、日が経つと黒くなる地面でなだらかに固め、<飛べない羽なし>が海へ降りやすいように改造した。それも、何キロも。
アナグマの居た洞穴は埋められ、二本の裸足に何度も踏まれている。
アナグマは、黒や灰色の岩肌に溶け込みやすい色をした滝の猫達の住む山の向こうの、広い水溜まりのその向こうの地域に住んでいる。かつて広い水溜まりから追い出されたアナグマ達と一緒に。
真夜中の伝統は崩れ、犬、猫、鳥、キツネ、アナグマなどの言葉を話せ、星々を読めるアナグマはもういない。そして、このことは輝く霧を纏った死んだ猫達もまだ知らない。
アナグマはもういない。
そして、黒白猫が広い水溜まりに戻らなければ、彼女らの土地も<飛べない羽なし>に乗っ取られてしまう。
「話を聞いてくれ!」
黒白猫は耳を塞いだ。
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投稿 by Murre Sun Mar 13, 2022 3:14 pm

「ライクタイガー、ライオンウィスカー、レッドリーフ、ストロベリーノウズ、シルヴァーファング、ノイズィーフット、俺で今日の正午、侵入を止めに行く。」
イブニングレイクはアンダーレイクの下に集まった一族の顔を見渡し、言った。
ベルポーは、はっとした。年長で戦い慣れた雄猫しか選ばれていない。
「残った者達は、もしも俺達が侵入を止められず、侵入者がキャンプまで手を伸ばしてきた時のため、キャンプ防衛、キャンプ強化に努めてくれ。」
名前を呼ばれた猫も、呼ばれなかった猫も、賛成の雄たけびを上げた。
徐々に猫の集団が散らばり、昇り始めた太陽の下、最終確認のパトロール隊と一族の体力をつける狩猟部隊が送り出された。
「ベルポー、オレンジペルトにクリサンセマムペタルとウェザーポーを呼びに行かせよう。」
ベルポーはイブニングレイクの提案に少し顔を顰めた。族長はレイク族が大けがを負うと考えているのだろうか?
「族長、ロック族も少しずつ侵入されていて、看護猫を貸すまで手が回らないと思います。スノウポーやロストアイに手伝ってもらいます。」
族長は、さっと目に憐みの感情を浮かべ、頷いた。「それがいい。」
「スノウポーとフェアリーフェザー、とマリーゴールドを採ってきます。前回、無理だったので。族長、ロストアイにクモの巣を取ってきてほしい、と伝えていただけますか?」
族長は狩猟部隊の支度をしている連れ合いの方を向き、さっと尻尾を振った。私も兄と若い戦士を呼びにそれぞれの部屋に顔を覗かせた。二匹とも、快く了解してくれた。
マァーラーフェザーとウォーターシャドウが旅に出、クレインボイスが死に、カインドアイが居なくなった今、レイク族の戦士は少ない。ウォーター・フェザーが消滅しかけていることは不幸中の幸いだ。
クレインボイス、シンボルレイク族の皆様、どうかレイク族の戦士を無事にお返しください。

シンボルレイク族の縄張り内では、一匹の年長族長がラストシンボルを来世に投げようとしていた。
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投稿 by Murre Mon Mar 14, 2022 6:51 pm

攻撃は、失敗した。
猫の爪は変な形の怪物に歯が立つわけもなく、引っ掻いても耳障りな高い音を出すだけだったそうだ。
数匹は突然の猫の登場に気づかなかった稼働中の怪物に踏まれ、数匹は<シンボルレイク族に釣り糸を垂らす者達>が‘’保護’’という名の捕縛に散った。さらに怪物が掘り起こした土や泥に飲み込まれ、息の根を止めた者もいた。
残ったのは、命を一つ失ったイブニングレイクと、弟子のグラスポーが待っているシルヴァーファングのみだった。
ぼろぼろの族長と傷だらけの年長戦士が葦の出入り口をくぐった時、一族のだれもが声にならない悲鳴を上げた。
「レッドリーフ、レッドリーフは?」
子猫を連れたレインクラウドが細く連れ合いを呼ぶ。応えるものはいない。
「ライオンウィスカーがいないわ!」
連れ合いのウォームジェイがぞっと目を見開く。息子のグラスポーも首を垂れる。
「レイク族は、この襲撃で、多くの戦士を失った。」
イブニングレイクが苦しそうに言う。
「診察しますよ。スノウポー、苔を敷いて。」
白い兄はさっと頷き、近くの松へ駆けて行った。ロストアイは連れ合いに肩を貸し、シルヴァーファングは引かれて平らになった尻尾で泣いているグラスポーの背骨をなぞる。
イブニングレイクも、シルヴァーファングも、血はほとんど出ていなく、内出血と仲間を失ったショックが酷かった。イブニングレイクは怪物の先がぎざぎざした器で弾かれ、それで命を一つ失った。背骨は折れ、叩きつけられたときに接触した頬を擦り剝いていた。かぎ爪は幾つか取れかかっている。シルヴァーファングの尻尾は引かれ、まっ平になり内出血で大部分が変色していた。体は泥だらけで所々赤黒い血が混ざっている。傷口は見当たらなかったので、仲間の返り血だろう。シルヴァーファングも前脚と腰を骨折していた。
事前に採ってきたマリーゴールドはほとんど使わず、前に蓄えてあった小量しか使わなかった。それだけ診察する猫が少なかったのだと、胸が痛くなった。
「遺体は…。取りに戻れないの?」
ロストアイがそっと尋ねる。イブニングレイクは悲しそうに見つめ返す。
「無理だ。ライクタイガー、レッドリーフは怪物に轢かれた。怪物が掘り返したところがぐちゃぐちゃの泥で、脚がはまって動けなかったんだ。ライオンウィスカー、ストロベリーノウズは金属の銀色の檻に閉じ込められ、暗そうな倉庫に連れ去られた。多分…。」
族長は、一族の前で、捕まった猫達は、殺処分されるだろう、とわざわざ言わなかった。
「シンボルレイク族は、どうして侵入を許すの?」
レインクラウドが、眩しく輝く湖に向かって叫ぶ。
「お父さんは?」
「勝ったんでしょ?」
レッドリーフの子供であるスカイブルーキットとサンキットが母猫に聞く。レインクラウドは屈みこんで、尻尾で二匹を優しくなでた。
ロック族も、シンボルレイク族も、<シンボルレイク族に釣り糸を垂らす者達>の侵入に頭を抱えている。
私達の望みは、どこにあるのだろう。マァーラーフェザー達が新天地を見つけて戻ってくることしか手段はないのだろうか?
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投稿 by Murre Tue Mar 15, 2022 6:24 pm

「マァーラーフェザー、あのカラス、ずっとついてきますけど、どうしてんですかね?」
ライトポーが後ろの高い空に弧を描いて旋回している黒い飛行物体を耳で指す。ウォーターシャドウとシャドウトゥースも言われて見上げる。
「カラス…。」
そっと呟く。あのカラスは、湖の周りの土地に居た頃、私とよく話し、私達が訪れたことの無い土地についてや、見たことの無い生き物の話をしてくれたカラスだろうか?あのカラスは、海や、ウミガラスについて詳しく、ユーモラスに教えてくれた。あの、少し偉そうな口調をまた聞きたい。
あぁ、ウミガラスの羽が流されていなければ、あのカラスと再び話し、この先の高い人工的な建物たちについてや、海について情報を聞けたのかもしれないのに…。残念だ。
「マァーラーフェザー。」
シャドウトゥースが上を見上げて少しこわばった首を回しながら呼んできた。
「お前、鳥と話せたよな?」
歩みを止める。なぜ、なぜこの猫は、私の秘密を知っているの?
「縄張りにいるとき、何度か聞いたんだよ。そんなに驚くなよ。鳥と、あのカラスと、話せるんだろ?聞いたことの無い囀りのような滑らかな言葉で、鳥もそれに呼応して啼いていたから。」
シャドウトゥースは静かに言った。今あのカラスは私達が止まったのを見かね、近くの色づき始めたイチョウの木にホバリングしながら止まった。
カラスは、カァ、と一声啼いた。
「マァーラーフェザー、そうなのか?」
ウォーターシャドウが信じられないというように尋ねてくる。ライトポーは近くにまで来たカラスをまじまじと観察している。
「えぇ。」
ライトポーがぴくりと耳を震わす。ウォーターシャドウの目は輝いた。シャドウトゥースは尻尾を振る。
「あのカラス、お前に何か言いたいんじゃないか・あの、前言っていたウミガラスの羽、あれは、お前に、鳥と話せる、ということを目に見えるように物化した物じゃないのか?」
父が憶測で物を話す。けれど、確かに、と思ってしまう自分が居た。
       、、、、
「ありがとう。お父さん。」
父である黒猫は、少し驚き、見たことの無い笑顔を見せた。
「ブラック、私の言葉、分かる?」
「全部聞いてたよ!」
ブラック―このカラスの事だーから、いつも強い口調が飛んできた。
「ごめんね、ごめんね…。私、羽が無くなって、自信が持てなくなって…。」
「こっちおいで。」
優しいブラックの声が私を枝の間に招いた。旅の仲間たちは期を利かせてくれ、川に向かっていった。
「そうゆうとき、誰でもあるさ。メンタルの弱いマァーラーならなおさらな!」
雄カラスは悪そうにカカっと笑った。懐かしい。
「それで、ここまでついてきたのは、なにかあったの?」
ブラックは数回太い枝の皮を剝ぐように鋭い爪で引っ掻いた。
「マァーラー、今すぐ広い水溜まりに戻れ。海に行ってる場合じゃない。」
ブラックの漆黒の目が、太陽の筋を反射した。
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