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マァーラーの創作ウォリ代理

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投稿 by Murre Wed Jun 29, 2022 5:28 pm

小説が書きたい!〜レイク族〜のリメイクをしたくなったので(あれ、結末考えてなかったりして、結構無茶な設定だったので)、トピック作るだけ作っときます。
時間があるときに更新しますので、遅〜くなると思います。
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投稿 by Murre Sun Jul 10, 2022 4:15 pm

レイク族
族長
イブニングレイク【夕方の湖】
オレンジがかかった赤褐色の毛皮で、紺色の目をした雄猫。戦士名はイブニングペルト。前任はサークルレイク。
 
副長
レッドリーフ【赤い葉】
濃い赤褐色の毛で橙色の目をした雄猫。弟子はトライアングルポー。
 
看護猫
カインドアイ【優しい目】
焦げ茶の虎猫の雌猫。目は濁っていて弱視。弟子はベルポー。前任ははホークテイル。
 
戦士猫
マァーラーフェザー【ウミガラスの羽根】
口の周り、前足後ろ足、尻尾と腰に入る線は白い黒猫。黒っぽい紺色の目をした雌猫。弟子はクレインポー。兄はカープウィスカーで行方不明、妹はフェザーライトで死亡。ブラッククロウとホワイトフットの子。
 
ストロベリーノウズ【苺の鼻】
赤い鼻をした黄色い目をした白い雄猫。弟子はオレンジポー
 
ノイジ―フット【うるさい脚】
肉球が乾燥していてかさかさ音のする雄猫。茶色に焦げ茶の虎柄が入る雄猫。ライオンウィスカーの元指導者
 
ウォームジェイ【暖かいカケス】
青い目をした温かい黄褐色の雌猫。フォックスボンドとブルーローズの妹でライクタイガーの連れ合い。グラスポーの母親。
 
ロストアイ【目無し】
右目をウォーター・フェザーとの戦いにより無くし、自らを省みるため戦士名はロストアイにすることを頼んだ。灰色の雌猫で目は橙色。イブニングレイクの連れ合いでオレンジポーとトライアングルポー、フェアリーポーの母。
 
ライオンウィスカー【ライオンひげ】
首周りの毛が褐色で長毛の黄土色の雄猫。弟子はフェアリーポー。
 
シルヴァーファング【銀色の牙】
艶のある銀色の毛をした緑色の目の雄猫。弟子はグラスポー。
 
ブルーローズ【青薔薇】
フォックスボンドの妹でウォームジェイの姉。元フェザーライトの指導者。青い目をした濃い灰色の雌猫。
 
ウォーターシャドウ【水の影】
濃い灰色の毛をした蒼い目の雄猫。マァーラーフェザーの元指導者。妹は亡きハイドレンジアブルー
 
ライクタイガー【虎のよう】
オレンジ色の毛皮に黒い虎柄が入る雄猫。目は暗い黄色。連れ合いはウォームジェイでグラスポーの父親。
 
スターシェイプ【星の形】
耳が尖っている黄色っぽい茶色の雄猫。目は海のような青。前副長ディープポンドの元弟子。弟子はスノウポー。
 
フラワーカラー【花の色】
桃色に近い目をした黄色と銅色と白の三毛猫。故シックスセンスの連れ合いでスノウポー、クレインポー、ベルポーの母親。
 
見習い猫
オレンジポー【橙色の足】
橙色の毛をした藍色の目の雄猫。イブニングペルトとロストアイの子供。指導者はストロベリーノウズ
 
トライアングルポー【三角足】
体の三角の模様がある黒と白のぶち猫。目は橙色。オレンジポーの弟でフェアリーポーの兄。指導者はレッドリーフ
 
フェアリーポー【妖精足】
桃色がかかった白い雌猫。目は赤い。オレンジポーとトライアングルポーの弟。指導者はライオンウィスカー


グラスポー【草足】
草色の目をした白と灰色のぶちの雄猫。指導者はシルヴァーファング
 
母猫
レインクラウド【雨雲】
レッドリーフの連れ合い。濃灰色の雌猫で目は水色。
 
長老
ロングライフ【長い人生】
レイク族最高齢の雄猫。白っぽい灰色に虎柄が入る黄色い目をした猫。
 
スリーイヤー【三つの耳】
耳が良い雄猫。暗い茶色の雄猫。目は黄緑色。
 
ラージハート【広い心】
心優しいキジトラ猫。緑色の目の雌猫。
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投稿 by Murre Sun Dec 18, 2022 4:48 pm

ロック族
族長
ブラックロック【黒い岩】
前任はダブルロック【2つの岩】青い目をした黒猫

副長
シャドウトゥース【闇の歯】
琥珀色の目をした黒に近い濃い灰色の雄猫。体中に傷跡がある。現ウォーター・フェザーのリーダー
前任はナイトビースト【夜の獣】

看護猫
クリサンセマムペタル【菊の花びら】
緑色の目をした、淡いクリーム色の雌猫

戦士猫
ウォータークラウド【水の雲】
水色かかった淡い灰色をした、青い目の雄猫。ウォーター・フェザーの一員

リーフブラック【葉の黒】
緑色の目をした、焦げ茶に近い黒の雄猫。ウォーター・フェザーの一員

ドーンウィング【夜明けの翼】
淡い灰色の毛皮の雄猫で、紫に近い紺色の目をしている。ウォーター・フェザーの一員

フィッシュスケイル【魚の鱗】
銀色の毛皮をした青い目の雄猫

タートルテイル【亀の尻尾】
青緑色の目をした黄色に近い灰色の雄猫

スカイウィング【空の翼】
空色の目をした白い雌猫

フロントリード【前の葦】
葦色の目をした濃い灰色の雄猫

アピアムーン【現れる月】
銀色に近い黄色の目をした白い雌猫

メテオライトスピード【隕石の速さ】
琥珀色の目をした濃い灰色の雄猫

フローズンモス【冷凍苔】
淡い灰色の毛皮をした、深緑と水色の間の色の目を持つ雌猫
    
シトラスファー【柑橘毛】
橙色の目をした茶色と焦げ茶の虎柄の雄猫

見習い猫
サンポー【太陽足】
橙色の目をした焦げ茶と黒っぽい茶色の虎柄をした雄猫

ライトポー【光足】
淡い灰色と薄い灰色の斑猫。美しい青の目を持つ雌猫
指導者はシャドウトゥース

スィンポー【薄い足】
黄色の目を持つ薄い灰色の雌猫

インヴァイロメントポー【環境足】
青い目の黒い雄猫
     
ディープポー【深い足】
深青色の目をした、キジトラの雄猫

母猫
ビューティフルオーキッド【美しい蘭】
青紫色の目をしたクリーム色の雌猫

サファイアテイル【蒼玉尻尾】
サファイア色の目をした灰色と白の斑猫

子猫
スィックキット【濃い子猫】
オーシャンキット【大洋子猫】
キャラメルキット【キャラメル子猫】
ストリームキット【流れ子猫】
バブルキット【泡子猫】
ウェザーキット【天気子猫】

長老猫
ハイドムーン【隠れる月】
灰色の毛皮をした薄い黄色の目の雌猫

スワンペルト【白鳥毛皮】
黄色い目をした黒と白の雄猫

オールドメモリー【古い記憶】
二部族最高齢の猫。薄ぼけた茶色の、カッパーアイの雄猫

ハートテイル【傷ついた尻尾】
尻尾にぎざぎざとした傷が残る灰色と濃い灰色の虎柄の雄猫
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投稿 by Murre Sun Dec 18, 2022 5:05 pm

プロローグ
閃光が目を刺す。
光が届いた後、ばちっと音がした。
前足に痛みを感じる。じんじんと痛い。
光の強さにまだくらくらとしながらも、そうっと目を開く。
一瞬外の世界が真っ白に見えた。
痛みが引いた後の前足の上に、見慣れないものがあった。
黒く、艶々とした、水分を弾く脂の塗られた羽根。
礫場が崖になり、湖が海になった。
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投稿 by Murre Tue Dec 20, 2022 5:04 pm

1
「マァーラーフェザー、もうそろそろ弟子を持っても良い頃だ。そして、フラワーカラーの子猫たちがもう少しで生後6ヶ月。どうだ?」
イブニングレイクの深い紺色の2つの瞳に見つめられ、思わず体が強張りそうになる。
私は族長を見つめ返して、「はい。やらせてください」
イブニングレイクはゆっくり頷いてカインドアイを呼んだ。
私は深く礼をしてアンダーレイクから出ようとした。
「マァーラーフェザー、もう1つ話がある」
族長、まだあるのね、と渋々残る。
看護猫もアンダーレイクにある族長の部屋に集まり、空気が張り詰める。
「実はマァーラーフェザーは、シンボルレイク族から“海の羽根”を託された猫なんだ」
イブニングレイクが切り出した。
「俺とカインドアイが、湖に映るシンボルレイク族の姿を見、声を聞いたんだ」
「「ウミガラスの羽を託した。崖についた頃には湖は消える」」
族長と看護猫の声が重なって、重圧感が海よりも大きくなった。族長が再び口を開く。
「カインドアイによると、その託された猫は、大きい体格と小さい体格の2種類で、小さい方は見習いだと読み取っていた。」
少し状況が見えてきた。
「つまり、私と私の弟子に何かを託されたのですね。しかし、なぜ私…」

この質問の答えは薄々解っていた。なにせ、ウミガラスだ。このレイク族でウミガラスが最も当てはまるのは、私、マァーラーフェザー【ウミガラスの羽根】しか居ないに等しい。

「マァーラーフェザー、何故自分か解っているなら、どうして聞いた」
「いえ、鳥の話には目がないもので。しかしながら、私は何をすれば良いのでしょう」
あっさりと話題を変えておく。
イブニングレイクはいつも猫の心を読んだような質問をしてくる。
「何をどうするかは、誰もわからない。ただ、マァーラーフェザー。君は、例のウミガラスの羽がある。あれを持っていたら、シンボルレイク族も少しは導いてくれるのではないか」
そうね…。
「イブニングレイク、私は幼い頃、あのウミガラスの羽根を手に入れました。勿論、今も大切に、サークルレイクが仰っていたように誰にも見せていません。ウミガラスの羽根には、いくつかの能力が有ります。夢を見る、泳げるようになる…」
「風を感じる、そして、鳥と会話するー」
カインドアイが私の呼吸により開けた間を奪い取った。私は心のなかで舌打ちした。もう、ブラッククロウのように、私の能力を知る者は居ないと思っていたのに……。 
ブラッククロウは、私の母だから、私の能力を全て見抜いた。最後は、湖を泳ぐ私に着いてきて、溺れ死んだけど。
「カインドアイ、鳥と会話とは、一体何に役立つのだ」
ウミガラスの羽根についてほとんど何も知らないイブニングレイクが尋ねる。
「それは、後日お伝えします。今日のところは、弟子をつけてくださる、という話があったと考えるだけにさせていただきます」
私はそう言い、アンダーレイクを後にした。カインドアイの視線が痛い。
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投稿 by Murre Fri Dec 23, 2022 6:56 pm

2
湿っぽい空き地へ出ると、副長のレッドリーフがパトロール隊を募集していた。
このレイク族が暮らしている湖に、名前は無い。<シンボルレイク族に釣り糸を垂らす者達>に尋ねたらあるかもしれないが、レイク族は、抽象的に、シンボルレイク族の縄張りと呼んでいる。
湖の周りにはレイク族とロック族が暮らしていて、二部族の仲は良い。
……あのグループを除いては……
「マァーラーフェザーもパトロールに参加するか?今から、下ってくる川の方へ行くんだが」
「はい」
私は首を縦に振った。

「あ、タートルテイルとフィッシュスケイル、それにサンポー、こんにちは」
グラスポーが二匹に駆け寄って言った。
「あ、グラスポー!」
サンポーも駆け寄る。
向こうのパトロール隊も3匹だ。私達の部族は滅多に争わないため、あまり警戒しない。北方からやってきた鴉は、湖の周りでよく争う4つの部族がある、と言っていた。そことは大違いだ。
「ロック族は、どう?レイク族はもうすぐレインクラウドがお産なの!」
グラスポーが嬉しそうに喋る。
「ロック族は、スカイポーとリードポーが戦士になったの。いまは、スカイウィングとフロントリードなの!」
サンポーも楽しそうに話す。
「タートルテイル、フィッシュスケイル、おたくのダブルロックはどうだ。体調、優れないそうだな」
シルバーファングがどうしても尋ねたかったのだろう内容を切り出す。尻尾がそわそわと動いている。
「スカイウィング達に戦士名を与えたあと、インレイクの前で倒れた。もうすぐ、ラストロックが海へ沈む」
タートルテイルが深刻な顔をする。
ラストロックとは、ロック族の族長の9つの命のうちの、最後の1つを表す。
そうなのね……ダブルロックは私が小猫の時から族長だった。偉大な族長が最後の命を全うしていようとしているのを聞くと、なんだか心に石一つ分くらい穴が開いたかのように、虚無感がぼわんと広がる。
見習い達は、鼻面を触れ合わせた後、お互いの縄張りへ戻ってきた。
グラスポーの顔も暗く、ダブルロックの話を聞いたことが覗える。

太陽が橙色に染まった頃。
湖に、石を投げ入れた時のような波紋が広がった。
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投稿 by Murre Sat Dec 24, 2022 6:19 pm

3
「ブラックフェイスは明日、<2部族の椅子>へ向かうそうだ。空が白んだら出発すると言っていた。レイク族からも2匹、護衛を派遣する。これは栄誉なことだ。ストロベリーノウズ、オレンジポー、お前たちに任せる」
2匹は指導者と弟子同士だ。尻尾を振り、目を輝かせている。
私は、あの頃から、護衛論に反対している。あのグループの居る部族の族長を、何故守らなきゃいけないのか。
私はその場を離れようとした。もううんざりだった。いくら仲が良いからと言って、あの猫が強い権力を持っている部族に祝意を伝えるつもりはないからだ。
「そして、フラワーカラーの子供達が6ヶ月に達したので、命名式も行う」
「クレインキット、動かないで!」
フラワーカラーがクレインキットを叱りつけ、毛並みを整えようと試みる。
「だって、楽しみなんだもん!スノウキットも、ベルキットもそうでしょ?」
「僕はそう思わないよ。ベルキットもそうだよ」
イブニングレイクは、そんな子猫を微笑ましく見ながら、口を開いた。自分の娘息子が見習いなりたての状態を思い出して、頬が緩んだのだろう。
「スノウキット、君は今からスノウポーとなる。スターシェイプ、君指導者は亡きディープポンドだったな。彼に教わった知識、技能をよく伝えるように」
スノウポーとスターシェイプは鼻面を触れ合わせた。
「クレインキット、君は今からクレインポーとなる。マァーラーフェザー、君はウォーターシャドウから多くの知識や技術を学んでいた。そろそろ初めての弟子を持ってもいい頃だ」
クレインポーは鼻を近づけて来たけど、私は尻尾で彼女の腹を擦った。
彼女の顔に、衝撃と傷付いた表情が浮かんだことを、私のあの時の心に習い、頭から振り払う。
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投稿 by Murre Sun Dec 25, 2022 8:01 pm

4
予想通り、ベルポーはカインドアイの弟子になった。
カインドアイ……
私はあの猫は大嫌いだ。私のウミガラスの羽根の秘密を知っていたし、そもそも看護猫にいい思い出が無い。
前任のホークテイルは、蛇のように狡猾に動く尻尾の持ち主で、私の持つ能力を、母のブラッククロウと一緒に抑えようとしてきた。名前の長い薬草や、死のベリーを使ってー
…あの時は、南の方から飛んできた鷲が威嚇して助けてくれた。

私の居場所はレイク族有るのかな……

時々そう考える。
シンボルレイク族は、イブニングレイクと、私の大嫌いなカインドアイにだけ重大な情報を伝えて、直接私に語りかけてこない。
鳥のほうが素直だ。
「マァーラーフェザー、縄張り探検ですか?それとも…」
興奮しすぎてクレインポーの足踏みの音がものすごく大きい。これなら、キャンプの周りはともかく、ロック族の縄張りに生息する獲物まで身を隠してしまっただろう。
いい気味だ。あの猫達は餓死すれば良い。
「縄張り探検しましょう。広いから、体力使う!」
クレインポーの目がきらきら輝いたのは言うまでもない。

「ここが、下ってくる川ですか?流れが上から下だと分かります!」
クレインポーの声にはまだ興奮が見られる。尻尾もそわそわと動いている。
「そう。ここの横を上っていくと<二部族の椅子>があるの」
できるだけ、冷静に。本当は少し嬉しいなんて、ほんの少し前は子猫だったこの弟子に悟られないように。
「ストロベリーノウズとオレンジポーが行くところですね!どんなところなんですか?」
少しずつ登りながら話す。
「戦士の掟で、どんなところで何をするのか話してはいけないの」
「そうなんですね…あ、あれ、何ですかっ?!」
下生えに黒い影が通り過ぎた。空を見なくても分かる。あれは鳥だ。
「うーん、あれは…シジュウカラね。<シンボルレイク族に釣り糸垂らす者達>の家の近くの木から、クレインポーの声に驚いて飛び立ったのかしら」
首を傾げて言いながら、クレインポーの考えを読み取る。
私の秘密は気付かれてなさそう。弟子に初日でバレてたら私も流石に落ち込む。
「マァーラーフェザーは、鳥に詳しいですよね。フラワーカラーが教えてくれました」
フラワーカラー。私、あの猫に鳥のこと話したかな。心の中でこの子の母親に悪態をつく。
「そのシジュウカラっていう鳥、美味しいですか?」

私は彼女の質問を聞いていなかった。

あのグループが目に入ってしまった。
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投稿 by Murre Mon Dec 26, 2022 11:15 am

5
ロック族のウォーター・フェザー。
ロック族の中にあるグループの名前。
ロック族とレイク族は仲が良いけど、このグループだけ違う。
"水の羽根"
シャドウトゥース、ウォータークラウド、リーフブラック、ドーンウィングの4匹からなり、私達、レイク族を虐めてくる、酷いグループ。
「クレインポー、静かに後退して、下生えに姿を隠すのよ。絶対身体は動かしちゃ駄目」
私は鋭く言って、クレインポーを隠した。
クレインポーは、静かに這って退く。
「レイク族に何の用があるの。用も無いのに侵入するのは戦士の掟に背いている」
私は四匹を睨みながら爪を出した。
「おやまぁ、お前はマァーラーフェザー。俺らは今、とっても楽しいことを思いついちゃったんでね、第一被害者は、こいつとするかぁ」
歯の神経がやられていくつか黒くなっているシャドウトゥースがにやにやとほくそ笑みながら言った。
一体何をするって言うの……
私は尻尾をキャンプの方へ一振りして、クレインポーに帰るように伝えた。
後ろで下生えの擦れる音がした。
私は再びウォーター・フェザーを睨みつけた。
不意に唸り声がしたかと思うと、私の目の前に鋭く、鈍く光る爪が迫っていた。
素早さでは負けない。私は水のような動きをウォーターシャドウに教わった!
けど、一対四だ。私は悲しいほど呆気なく四方を囲まれた。いわゆる四面楚歌。初日の見習いの体力がどれくらいで、今何処に居るかも分からない。支援戦士は来ないと考えて妥当だろう。
私は、混合林を背にして立った。目の前にはシャドウトゥースと、下ってくる川がある。右にはシンボルレイク族の湖。
互いに睨み合う。
キャンプには手出しさせない。その為に、私は、戦うか、キャンプから離れたところへ走るか。
この4匹は何を仕出かすか、わからない。
『貴方はウミガラス。立派な羽を持っている』
耳に、柔らかい声が飛び込んできた。何処だと探ると、右だ、シンボルレイク族の湖からだ。
「フェザーライト【羽根の軽さ】?」
私は心の中で問いかける。もし、妹なら、私は喜んで湖へ入る。今、深い所にあるキャンプを離れ、私の近くま来ているかもしれないからだ。
心が締め付けられた。冷たい前足で、心臓を触られたような不快な悲しみ。こんな時に……
フェザーライトが懐かしい…
私はウミガラス。それが何を示すの?
頭の中が雷に撃たれたかのように活性化する。脳がぐるぐる回転する。
そうだ…!
私はシャドウトゥースを一瞥すると、背面の松に向けて飛び上がった。 
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投稿 by Murre Tue Dec 27, 2022 7:55 am

6
一番下の松の枝の分かれ目に腰を下ろす。
4匹は、跳び上がった私をぽかんと見上げている。
その4対の目は、すぐに怒りの色へ変化した。
私は、リーダーのシャドウトゥースを睨むと、そちらへ行くと目線だけ合わせておいて、湖の傍に居るリーフブラック目掛け、木の上から地へ、直滑降に、飛び降りる。
久しぶりに空を切った。
風が私の周りをきりきりと音を立てる。
ばしゃんと惨めにと音を立てず、滑らかに、慣れた体の動きで泳ぐ。子猫の頃から身に沁みている一連の動作。
勿論、ウォーター・フェザー達は追ってきた。しかし、ロック族はレイク族ほど泳ぎは得意ではない。
次々と泳ぐのを諦め、岸で唸り声を立てているのみだ。
やっぱり、最後まで追ってきたのは、リーダーのシャドウトゥースだった。
私はシャドウトゥースが、足の付かない深さまで必死に泳いだのを見ると、方向転換して一度沼地へ上がり、傷を多く勲章として持つ雄猫を湖へ置いてきた。
後ろで、ばしゃばしゃと藻掻く音。
残りの三匹をロック族の境界線まで威嚇し、追いやる。三匹は、後ろをちらちらと振り返りながら、自分の命を守ることに必死になっている。
後でシャドウトゥースから罰を下されればいい。
「レイク族を虐めないでっ!」
唸り声で、釘を刺す。
脚の速いドーンウィングを先頭に、三匹は逃げていった。溺れる危険を察知した三匹は、暫く私を相対しないだろう。
私はくるりと振り返った。
シャドウトゥースは溺れそうになりながらも、顔を歪め必死に浮き沈みしている。
基礎は知っているのね。
ロック族内で泳ぎが多少出来る猫が、この因縁の相手だったのに、対し、悔しくなる。
でも、湖が家族のレイク族に勝てると思うな!
心の中で叫び、現実では唸った。
足のばねを使って飛び込むと、雷のようなスピードで泳ぎ、シャドウトゥースのところまであっという間に追いつく。
水中で爪を出し、襲いかかる。
シャドウトゥースは水の中ではバランスが取れないらしく、私の攻撃をいっぱいに浴びた。
ロック族の縄張りの方の岸に追いやりながら、爪と歯を使って、殺さない程に攻撃を繰り返す。
遂にロック族側の岸にたどり着き、私は最後に、黒猫の上にのしかかるようにして飛び掛かった。
濡れて、傷だらけの相手は、一目散にキャンプへ帰った。
しばらく境界線に近づくな!
そう思った瞬間、私の体は地面に吸い寄せられた。
波が私の身体を攫う。 

もう、疲れた…
湖の中で戦ったのは初めてだ。
波に身を任せる。
砂を含まない、綺麗な青い湖。空をそのまま写しているのだろう。
私の体は、湖の中心付近で沈んでいく。肺の中に、水が大量に入ったのだろう。水が喉を通るとき、不思議と柔らかさを感じた。
シンボルレイク族の波は気持ちいい……
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投稿 by Murre Thu Dec 29, 2022 10:58 pm

7
「マァーラーフェザー、私よ、フェザーライト【羽根の軽さ】。あの……シンボルレイク族から話があるの」
フェザーライト、フェザーライト、私のただ1匹しか存在しない、愛おしい妹。
胸がきつく締めつけられる
私は助けてやれなかった…
思わず、回想にふける。
あの、血に染まった月夜。

丁度月が満月だった。
銀河の流れる空は、雲1つない、快晴で、そこにぽっかりと浮かぶ月は、見事で綺麗な輝きだった。
私達の寝ずの番は、私、兄のカープウィスカー【鯉のひげ】、妹のフェザーライト、3匹で行った。
……いや、正しくは4匹だった。
夕方の木陰を作る方向に聳える松に、前ウォーター・フェザーのリーダー、ナイトビースト【夜の獣】が潜んでいた。
月が地平線に隠れそうになった頃、最も松に近いところで目を光らせていたフェザーライトを襲った。
私は……私は、助けを呼べなかったし、自ら戦えもしなかった。喋ってはいけないと言われていたし、そもそも勇気がなかった。ただ見ていることしか出来なかった。
姉のくせに、ただの傍観者。爪は出ても、訓練時の半分しか出ない。妹の体から、心臓の鼓動に合わせ、どくどくどくと流れ出る血に怯み、見習いの訓練何一つ活かせない、情けない戦士初夜―
兄は、速かった。フェザーライトの上にのしかかって、彼女を鋭く引っ掻いているナイトビーストを引きずり下ろし、激しく殴った。
今思い返せば、兄の目には、一種の狂気のようなものがはっきりと現れていた。末の妹を救いたい、という感情を超えた何かが、兄には宿り、それが兄を突き動かしていた。

フェザーライトは、既に死んでいた。

カープウィスカーは、姿を消した。

キャンプには、2つの遺体が残った。

真っ黒い獣の遺体は、兄の爪によりずたずたに引き裂かれ、乾いたキャンプの地面はどす黒い血の湖になっていたようなものだ。

私は、フェザーライトの遺体に被さり、泣くことしか出来なかった……
自分の非力さと、臆病さ、数分の差で生まれた妹の死に直面出来ない、非現実さ、全てが私の肩に降り注いできて、私を土砂崩れの下敷きにしようと目論んでいるようだった。
後悔の念しか口から出ず、ただ自らを罵ることしか出来なかった。
いっそ、私もシンボルレイク族の元へ行きたかった。

レイク族にこの日、誕生した戦士は、1匹のみだった。

「お姉ちゃん、どうしたの?ぼーっとして…」
フェザーライトの体は、きらきら輝くベールに覆われている。シンボルレイク族に仲間入りしてから、妹に初めて会った。
「聞いて。大切なことなの。もうすぐ、<シンボルレイク族の湖に釣り糸を垂らす者達>が、勢力を広げてくるの。湖は、滅びてしまうかもしれない。ウミガラスの羽根。それは、誇るべきもの。お姉ちゃんの能力、それは必ず一族を助ける。カインドアイ、あの猫は注意。たとえ視力を失っていても、濁った目ですべてを見通してくる。カープウィスカー、ウォーター・シャドウに気をつけて。必ず貴方を捕らえに来る」
フェザーライト、どうしたの。貴女、そんなによく、喋る子ではなかった。
私も彼女と沢山喋りたいけど、急に口がからからになったような、声の出し方を忘れてしまったようなで、体への融通が効かず、声が出ない。
「私の居場所はシンボルレイク族の湖。貴方はウミガラス。海を見て。また、時期が近づいたらシンボルレイク族、族長が直々にお話する予定よ。そして、マァーラーフェザーとクレインポーがウォーター・フェザーに遭遇したのは、シンボルレイク族の思し召し。ありがとう、聞いてくれて。さあ、行って、ウォーターシャドウがアンダーレイクで貴方を呼んでいるわ」
「嫌だ、フェザーライトがいる場所が私の居場所。レイク族に私の居場所は無い。貴女が居ての私の人生。一緒に戻って、そして、私にあの時の事を謝らせて!」
半分泣きながら言ったけど、フェザーライトには全て聞き取れていた。
そして、申し訳無さそうに目を伏せながら、首を横に振った。

戻る前にもう一度、どこかでフェザーライトを感じたくて、彼女の澄んだ美しい青色の瞳を見つめる。
彼女の目には、生前には覗えなかった、気高さ、というか、自らを卑下する心を取っ払い、自分を誇りに思っている、まるで別の猫のような雰囲気が宿っている。
そして、フェザーライトがシンボルレイク族だと納得出来ている自分が悲しい。
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投稿 by Murre Fri Dec 30, 2022 6:42 pm

8
「マァーラーフェザー、意識が戻ったか!」
ウォーターシャドウだ。聞き慣れた優しい声。
「ウォーターシャドウが、貴方がシンボルレイク族の縄張りで浮かんでいるのを見つけたの。イブニングレイクは、捜索隊も出してくれたのよ。そして、クレインポーは無事」
カインドアイの偽りの優しさを醸し出す低い声。 
唸ってやりたいけど、我慢して、頷く。体が重く、疲れが溜まっている。節々は強張り、身体はまだ冷えている。泳ぐだけなら平気だけど、戦ったから。
「クレインポー、呼んできますね!」
ベルポーはさっとアンダーレイクを出ていった。尻尾が嬉しそうに揺れている。少しでも姉と会えるのが嬉しいのだろう。
部屋には、私の大嫌いなカインドアイと優しい元指導者のウォーターシャドウが残った。
「マァーラーフェザー、無事で良かったです!ウォーター・フェザーとか言うグループ、怖かったです。長老達にに聞いたより」
クレインポーのきらきらした黄金色の目に、恐怖の色が浮かぶ。
「クレインポー、あのグループに私の妹は殺されたの。十分注意してね。もう…あんな事は、起こさせない…」
沈黙と哀れみが空気を漂う。
クレインポーは、重々しい空気を振り切るように頷く。
「クレインポー、マァーラーフェザーは今日は静養が必要よ。訓れ…」
「カインドアイ、私が指導者なので、私が指示します。クレインポー、ウォームジェイの手が空いているはずよ。彼女に頼んで苔の取れる場所などを教えてもらって。部屋の苔を敷き替えるの」
そう言いながら、ウォーターシャドウに瞬きをする。
「分かりました。ウォームジェイを探してきます」
クレインポーは、アンダーレイクを出ていった。尻尾が垂れ下がっている。悲しんでくれている。カインドアイよりは。
ウォーターシャドウにも合図したので、クレインポーと一緒に部屋を後にした。
「カインドアイ、戦士部屋で寝てもよろしいですか。もしも眠れなかったらケシの実を取りに来るので」
カインドアイは、少し顔を顰めて、小さく唸る。
「分かったわ。行きなさい。イブニングレイクに顔を出すといいわ。心配してた」
自分は心配していない口調に聞こえるのは、多分私だけだ。
「お大事に」
ベルポーの綺麗な声が後を追ってきた。

「イブニングレイク、休ませて頂きますが、疲れはほとんど取れました。クレインポーはウォームジェイに頼みました。では、失礼します」
礼儀正しく会釈して、通り過ぎる。
イブニングレイクは、何も言わない。どうやら、カインドアイに嘘を吹き込まれたようだ。
ますます一族に居場所は無いと思ってしまう。
「マァーラーフェザー、おかえり!ゆっくり休んでね。ウォーター・フェザーと会ったのは、お気の毒に」
流石ロストアイ。盲目の戦士は、他の戦士の誰よりも速く私の気配を感知した。
「ありがとうございます。まだ疲れが残るので、休ませて貰います」
「マァーラーフェザーじゃあないか。怪我は無かったんだな!良かった」
ライクタイガーはもう戦士部屋に居た。私が部屋の入口を擦った音に目が覚めてしまったかもしれない。
「ええ、シンボルレイク族のご加護のお陰で」
ライクタイガーは力強く頷いて、再び頭を埋めた。
まだ太陽は白に近い橙色だったから、部屋で寝ている戦士は少ない。
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投稿 by Murre Sat Dec 31, 2022 4:04 pm

9
「フェザーライト、昨日の話さ……。私、いつ、どうやってウミガラスの羽を使えばいいの?」
フェザーライトの後ろ姿に問いかける。
「マァーラーフェザー、今度、今だっ、と思ったら、シンボルレイク族の湖へ来て。シンボルインディゴが貴方にお告げをくれる」
フェザーライトは、こちらを見ずに、明るい湖の底へ歩いていった。
フェザーライトの体が次第に輝き始める。
何も言えなかった。彼女のオーラが冷たかったから。
私も彼女に背中を向けて夢を後にした。

「マァーラーフェザー、レッドリーフが呼んでる」
「ありがとうございます、ブルーローズ」
彼女の艷やかな毛は朝日に照らされ、白っぽく見える。
今日も晴れそうだ。美しい青で澄んだ空は高いが、落ち葉の季節はまだ来ない。
空き地に出たら、背中に斜めに当たる日差しが暖かかった。
「おはよう、マァーラーフェザー。今日は仕事出来そうか?」
「はい、レッドリーフ。今日こそクレインポーと縄張りを回りたいので、できればパトロール隊に入れて頂きたいです」
「そうだな、分かってる。スターシェイプとスノウポーと一緒に行ったらどうだ?昨日あいつらは、南東の方で初狩りの練習をやってたと聞いたからな。」
レッドリーフに感謝と同意の瞬きをして、見習い部屋へ行く。
今日こそクレインポーの指導者として、一日を使ったしっかりした指導ができる。
私の部族内での居場所が少ししっかりするかもしれない。
期待は、希望は、持っておいたほうがいい。
遠い記憶、朧気な気配。誰かがそう言っていたな。

クレインポーとスノウポーは、兄妹でパトロールということで、とても楽しんでいる。ひげが擦れるくらい近くを走っている。
「スターシェイプ、昨日のスノウポーは、どうでしたか」
私は尋ねながら、熱心に指導者をやっている振りをする。
「スノウポーは、冬、立派な狩猟猫になるだろう。なんせ、真っ白いんだからな」
スターシェイプは、少し悲しそうな目をした。
彼は、最初の弟子を亡くしている。その子は私が見習いの時に怪物に轢かれた。
「あれ、あの川、湖から出て行く!なんでですか?」
クレインポーが振り向いて尋ねた。スノウポーは声には出さないが、気になっているようだ。
「あれは、下っていく川だ。ずっと辿って行くと、海という、永遠と水が消えない、広い広い湖があるんだ」
スターシェイプが答えた。私に向けて質問してたのは、気のせいかな。 
私、レイク族ではないのかも、と心の隅で思ったことは誰にも言えない。時々こんな事がある。
「 私、いつか海に行きたいなぁ」
ぽつっと呟いてみる。
スノウポーがちらっとこちらを見た。
顔がぼっと火照った。
スノウポーは何も言わなかったら良かった。
「ここら辺、獲物、捕れますか?」
スノウポーが真面目に質問する。
「いいえ、捕れない。沼地だから。その代わり、魚が捕れるから獲物が足りなくなることは無い」
少し冷たかったかもしれない。けれど、スノウポーがしっかり頷く。弟子のクレインポーは、冷ややかな目でこちらを見て、川へ近づいて行く。
昨日の命名式から冷たくしてたから、だんだん悟られてるはず。本能で分かっているはず。
私は冷酷だって。

フェザーライトが居たら違ったかもしれない。

フェザーライトが殺された日から、私は感情を抑えている。
この世界が馬鹿馬鹿しくなったから。
自分の信頼出来る猫が居なくなったから。

…元指導者のウォーターシャドウが今1番信頼出来る。
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投稿 by Murre Sun Jan 01, 2023 3:50 pm

10
下っていく川を引き返して、礫場へ向かった。
私はこの場所が好きだ。
大きめの青、黒、灰色、、その間の色、数え切れない程多くの色の石が散らばり、太陽に照らされきらきら輝いているからだ。
寄せては引いていく穏やかな波は白から空色、青色のグラデーションを描き、太陽の光を受け止めた所は眩しく輝いている。美しい。
それに、こちら側には敷地の半分ほどまで針葉樹林があるだけで、獲物を取りに来る猫がほとんど来ない。そのため静かだ。一匹で居れる。キャンプが窮屈に感じたら、ここに来るか、ここから湖に入水して泳ぐかしている。
「ここ、綺麗ですね」
波に耳を傾けながらクレインポーが言う。彼女の声は、心なしかうっとりしているように聞こえる。少なくとも、共感者はこの部族内に一匹は居たようだ。
スノウポーも湖に見とれながらひげをぴくっと震わせる。
段々と太陽が高くなる。私達は南側を向いているから、白い真っ直ぐな強光が目を刺す。
「そろそろ針葉樹林を案内しようか」
スターシェイプが最初に腰を上げた。スノウポーが一番早く彼に従う。
「針葉樹林!」

レイク族の縄張りは、ほとんど見せ終わっている。
もうすぐ、怪物の通る道を案内しなければならない。

「この腐ったような匂い、何ですか?鼻がひん曲がりそうです」
クレインポーが、鼻に皺を寄せる。
「狐。ほら、イブニングレイクがたまに注意を呼びかけているじゃない」
クレインポーが納得する。
「スリーイヤーから聞きました!猫より鼻が長くて、高くて、つんと尖ってて、尻尾がふさふさで、耳が縦に長くて、三角形で、ずる賢い目をしてるんですよね。私達、食べられないですよね、大丈夫ですか?」
「匂いをよく嗅いでご覧。古くなっている」
スターシェイプが鼻をひくひくさせた。
クレインポーが分からないと首を傾げる。
「まだ初めてだから分からないかもしれないけど、訓練を重ねるうちに直ぐ分かるようになる。じゃあ、この匂いは?」
東から吹いてきた風が微かに匂いを乗せてきた。
「ネズミ、ですか?」
「スノウポー、なんで分かったの?!」
「クレインポー、母さんがくれたの、覚えてない?」
「うーん…あ、覚えてる!」
この子、一つ一つの言動の幅が広くてが騒がしいけど、記憶力は悪くない。
自分の弟子をしっかり観察する。早く戦士にしてやりたい。
「ハタネズミだな。見てろ〜」
スターシェイプは、さっと体を屈め、じわじわ進んだ。
見習い達は息を殺している。
私は音を立てないように注意しながら、左右に視線を走らせ、獲物が居ないか探る。
居た!
柔らかい草の上で肉球を滑らせて、スターシェイプと反対の方を向く。そして、ブナの根本で落ちていた去年のドングリを噛じっているリスを狙う。
「捕った!」
スターシェイプが言葉を発したと同時に私も止めを刺す。
「スターシェイプ、マァーラーフェザー、お見事です!」
クレインポーが、目を丸くして褒めてくれる。
嬉しいかも。
「見習いは、こうやって獲物を捕らえたら、長老へ持っていくんだ。じゃあ、キャンプに戻って、見習いの仕事を教える」
スターシェイプの声に私はひげをぴくっ震わせ、合意した。
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投稿 by Murre Mon Jan 16, 2023 7:30 pm

11
獲物貯蔵穴にリスを落とし、長老部屋に入る。
ラージハートと、スリーイヤーは夕方の木陰を作る松の近くで昼寝をしていた。部屋には最高齢のロングライフが残っていた。
「ロングライフ、こんにちは!苔を取り替えに来ました」
クレインポーは、そう言うと同時に空いている苔を咥えた。スノウポーも入ってきて、クレインポーより多く咥える。
2匹は苔を引っ張り出したあと、新しい苔を取りに行った。スターシェイプが2匹について行った。
私はキャンプに残った。
湖を覗くと、魚が泳いでいた。鱗が光をあらゆる方向に反射させ、まるで魚そのものが光を放っているように思える。
反射的に前足を水面に突き刺した。
爪に魚が食い込み、湖に波と波紋が広がる。
「お見事。湖に自分の姿が映っていない、流石な姿勢だったぞ」
橙色に輝く毛皮を纏ったイブニングレイクがゆっくり歩いてきた。
「ありがとうございます」
もう力尽きた魚を波に攫われないところに置いて、頭を下げた。
「シンボルレイク族は何が言っていたか」
族長に見破られないよう、目から感情を消して言う。フェザーライトの事は教えない。
「いいえ、何も」
「マァーラーフェザー、取ってきました、あ、イブニングレイクもいらっしゃる」
クレインポーは口をもごもごさせる。
私はイブニングレイクへ頷き、岸のそばを立ち去った。
クレインポーの持って来た苔は乾いている。
対照的に私の心は陰り、湿ってきた。
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投稿 by Murre Sun Jan 22, 2023 9:50 pm

12
クレインポーと一緒に狩りをしたり、パトロールをしたりして一日一日を過ごした。
<2部族の椅子>まで遠出していたストロベリーノウズとオレンジポーも、無事帰ってきた。
ロック族では新たなる族長、ブラックロックが誕生した。
「ウォーターシャドウ、もうクレインポーを怪物の道へ連れて行って良いでしょうか」
頼れる先輩、元指導者に話を聞く。
「そうだな。もう、技術の基礎は全て伝え、あとは上達するのみなんだろう?僕はいいと思う」
水色がかった灰色の雄猫は、しっかり頷いた。
私は彼を見つめ返し、決心する。
あの道は、多くのレイク族の猫が犠牲になっている魔の道。そして、そのほとんどはウォーター・フェザーの仕業。
ロック族との境界線のパトロール時に、侵入者がいると唆され、怪物の通る道に誘き出され、後ろから突き飛ばされる。ロック族は、自分もやられるかもしれないと怯え、ウォーター・フェザーを処罰したりせず、見て見ぬふり。
一応ウォーター・フェザーもロック族、シンボルレイク族に忠実だが、いつ脆い忠誠心が廃れてしまうかは誰にも分からない。
「クレインポー、今日は、最難関の試練かもしれない、怪物の道へ行くわ。準備をして」
クレインポーは、フェアリーポーの隣で顔を上げ、複雑な表情をした。
フェアリーポーが何か耳打ちして、クレインポーのひげが震える。首の毛が逆立ったように見える。年長の見習いは、まだ若い見習いに、怪物の道の恐ろしさを伝えたのだろう。クレインポーの家族は怪物とウォーター・フェザーに大きな被害を受けている。クレインポーの父、シックスセンス【六感】と兄のフォックスボンド【狐の絆】がウォーター・フェザーに騙され、道へ誘き寄せられ、怪物に轢き殺されている。
フラワーカラーとライオンウィスカー、トライアングルポーが葦の壁の入口から出てきた。
私は複雑な気持ちを持ちながらクレインポーの母猫に近づく。
「フラワーカラー、今日、クレインポーを連れて怪物の道を案内しようと思います。きちんと監督しますので、安心してください」
彼女の目に不安の色が過ぎった。
当たり前だろう。そして、シンボルレイク族に仲間入りした連れ合いと息子の事を考えたのだろう。
もう、ウォーター・フェザーによる被害を増やさない。
私は心の中でシンボルレイク族に誓う。
フラワーカラーは、私の目を貫かんばかりの光を目にたたえて頷いた。母猫の目には我が子を守る気持ちが強く表れている。
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