捻じれた宇宙 1-2 作者:エルフ
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捻じれた宇宙 1-2 作者:エルフ
皆さんおはようございますこんにちはこんばんは。
どもどもエルフでございますよ~。
とりあえずキャラ紹介だけ。
キャラ紹介
メリフェス
四匹の中で唯一真面目。しかしつかみどころがない。
コドミカ
現実主義者。毒舌である。
ハルバード
気性が激しい。肉体派。
サラバンド
あまり感情を表に出すことがないが遊びが好き。
どもどもエルフでございますよ~。
とりあえずキャラ紹介だけ。
キャラ紹介
メリフェス
四匹の中で唯一真面目。しかしつかみどころがない。
コドミカ
現実主義者。毒舌である。
ハルバード
気性が激しい。肉体派。
サラバンド
あまり感情を表に出すことがないが遊びが好き。
エルフ- 見習い
- 投稿数 : 12
Join date : 2015/05/15
プロローグ
プロローグ
ついに、ついに完成したのだ!私が長年研究し、苦労に苦労を重ねやっとここまできたのだ。
社会に役立つかなんて考えたことはない。私は私自身のためにしか動かないからだ。
貯金も底をつき、膨大な借金を抱えてまで作り上げたこの芸術作品は私と一部のマニアしかその価値はわかるまい。
だがそんなことは関係ない。今私の目の前で夢が実現したことこそが重要なのだ。
これを起動すればおそらく世界レベルで災害が起こるだろう。しかしそんなことはどうでもいい。
世の中誰だって私利私欲に生きているではないか。神というものが存在するのならば「愚かだ」と言うのであろう。
しかし人間とは愚かな生き物なのだ。いまさら何を言う。
おっと、少し長く語らってしまったようだ。私の悪い癖である。
それでは始めようじゃないか、これは私にとってユートピアへの入り口であり世界にとってのカタストロフへの入り口であろう。
ついに、ついに完成したのだ!私が長年研究し、苦労に苦労を重ねやっとここまできたのだ。
社会に役立つかなんて考えたことはない。私は私自身のためにしか動かないからだ。
貯金も底をつき、膨大な借金を抱えてまで作り上げたこの芸術作品は私と一部のマニアしかその価値はわかるまい。
だがそんなことは関係ない。今私の目の前で夢が実現したことこそが重要なのだ。
これを起動すればおそらく世界レベルで災害が起こるだろう。しかしそんなことはどうでもいい。
世の中誰だって私利私欲に生きているではないか。神というものが存在するのならば「愚かだ」と言うのであろう。
しかし人間とは愚かな生き物なのだ。いまさら何を言う。
おっと、少し長く語らってしまったようだ。私の悪い癖である。
それでは始めようじゃないか、これは私にとってユートピアへの入り口であり世界にとってのカタストロフへの入り口であろう。
エルフ- 見習い
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01.不可思議
01.不可思議
暖かな夕暮れの日差しが木々の葉を通り抜けて優しく地に降り注ぐ。僕はこの季節が一番過ごしやすいから気に入ったいる。
ファイヤハートはいつも通りグレーストライプと共に狩りに出かけていた。ブルースターの命令である。
ふと木の根元でリスがドングリを齧っているのに気が付いた。相手はこちらに気づいていない様だ。
音を立てずに相手の背後に回り込み、ゆっくりと近づいた。幸いにもこちら側は風下である。
風向きが変わらない限り気づかれないだろう。十分に距離を詰めたところで飛び掛かり、喉に牙を突き立てた。
しかしこの季節なのにもかかわらず例年よりも獲物が少ない気がする。前のこの季節はもっとたくさん獲物がいたはずだ。
まあ今日はこれくらいでいいかな。グレーストライプとの待ち合わせ場所に向かうとしよう。
しばらく待っているとグレーストライプが茂みから現れた。
「ようファイヤハート。どうだった?」
「全然。そっちは?」
「こっちも全然。おかしいよな、いつもならもっと山盛り捕れるのに。」
「うん、でも仕方ないよ。」
どうやらグレーストライプも僕と同じような感じなのだろう。
「そろそろ暗くなるから戻ろっか。」
「だな。」
そう言って僕たちは捕まえた獲物を咥えてキャンプに向かって歩き出した。
「これしか捕れなかったの?」
キャンプにつくなりブルースターにダメ出しを食らった。ちくしょう。
「でもおかしいわね、他の皆もあなたたちと似たり寄ったりの量しか捕れなかったみたいなの。」
「俺たちもおかしいと思ってたんです。前よりも獲物の捕れる量が減ったって。」
グレーストライプが族長にいう。そうなのだ。ここ最近ずっとおかしい。そう、色々と。
前に比べて獲物に限らず草木の数も減った気がする。
「今度イエローファングにスター属と対話してもらわなきゃならないわね。あなた達はもういいわ。」
これで今日のお仕事は終了である。グレーストライプと共に獲物が置いてある場所まで行く。
少なからずとも多からず。と言った量の獲物が積まれている。しかしやはりこの季節に見合った量ではないだろう。
その中からファイヤハートとグレーストライプはハタネズミをそれぞれ取って自分たちのお気に入りの場所で食べることにした。
食べ終わり、グレーストライプとグルーミングしているとあたりには夜の帳がおりていた。
「いつもより、静かだね。」
「だな。」
そんなとりとめのない会話をしているうちに二匹は眠りに落ちた。
暖かな夕暮れの日差しが木々の葉を通り抜けて優しく地に降り注ぐ。僕はこの季節が一番過ごしやすいから気に入ったいる。
ファイヤハートはいつも通りグレーストライプと共に狩りに出かけていた。ブルースターの命令である。
ふと木の根元でリスがドングリを齧っているのに気が付いた。相手はこちらに気づいていない様だ。
音を立てずに相手の背後に回り込み、ゆっくりと近づいた。幸いにもこちら側は風下である。
風向きが変わらない限り気づかれないだろう。十分に距離を詰めたところで飛び掛かり、喉に牙を突き立てた。
しかしこの季節なのにもかかわらず例年よりも獲物が少ない気がする。前のこの季節はもっとたくさん獲物がいたはずだ。
まあ今日はこれくらいでいいかな。グレーストライプとの待ち合わせ場所に向かうとしよう。
しばらく待っているとグレーストライプが茂みから現れた。
「ようファイヤハート。どうだった?」
「全然。そっちは?」
「こっちも全然。おかしいよな、いつもならもっと山盛り捕れるのに。」
「うん、でも仕方ないよ。」
どうやらグレーストライプも僕と同じような感じなのだろう。
「そろそろ暗くなるから戻ろっか。」
「だな。」
そう言って僕たちは捕まえた獲物を咥えてキャンプに向かって歩き出した。
「これしか捕れなかったの?」
キャンプにつくなりブルースターにダメ出しを食らった。ちくしょう。
「でもおかしいわね、他の皆もあなたたちと似たり寄ったりの量しか捕れなかったみたいなの。」
「俺たちもおかしいと思ってたんです。前よりも獲物の捕れる量が減ったって。」
グレーストライプが族長にいう。そうなのだ。ここ最近ずっとおかしい。そう、色々と。
前に比べて獲物に限らず草木の数も減った気がする。
「今度イエローファングにスター属と対話してもらわなきゃならないわね。あなた達はもういいわ。」
これで今日のお仕事は終了である。グレーストライプと共に獲物が置いてある場所まで行く。
少なからずとも多からず。と言った量の獲物が積まれている。しかしやはりこの季節に見合った量ではないだろう。
その中からファイヤハートとグレーストライプはハタネズミをそれぞれ取って自分たちのお気に入りの場所で食べることにした。
食べ終わり、グレーストライプとグルーミングしているとあたりには夜の帳がおりていた。
「いつもより、静かだね。」
「だな。」
そんなとりとめのない会話をしているうちに二匹は眠りに落ちた。
エルフ- 見習い
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02.唐突
02.唐突
早朝のことである。ドン!そんな大きな音で僕は目覚めた。いったい何があったのだろうか?慌てて外へ様子を見に行ってみる。
戦士部屋を抜けるとキャンプのど真ん中に大きな亀裂が走っていた。
「いったい何ごと?」
ブルースターも族長部屋から顔をのぞかせた。そしてキャンプの状態を見て目を丸くする。
副長のタイガークローがブルースターのもとへ駆け寄った。現状を報告しているようだ。
他の戦士たちも続々と戦士部屋から出てきた。そしてグレーストライプが僕の方へ近寄ってきた。
「何があったんだ?」
「僕にもさっぱりわからない。大きな音がしたから外へ出てみたらこの有様だよ。」
ドン!また大きな音がシャドウ族の方から聞こえてきた。皆にホワイトストームが声をかけ励ましている。
「ファイヤハート、グレーストライプ!」
ブルースターが僕たちを呼んだ。タイガークローが悪意の籠った瞳で睨んでくるが気にしないことにする。
僕はもう戦士だ。堂々としていなくてはいけない。
「何でしょうか。」
グレーストライプが用件を聞いた。
「シャドウ族の方で大きな音がしたわね。その様子を見てきてちょうだい。」
「わかりました。」
「でも境界線を越えてはいけませんよ。あと無理もしないように。」
はい、と二匹で答えてシャドウ族の縄張りの方向へ向かう。
そこには信じられない悲惨な光景が広がっていた。
サンダー道がこちら側から向こうのシャドウ族の縄張りの方まで大きく陥没していたのだ。
何か巨大なもので抉り取られたような感じがするが周りにはそれらしきものは落ちていない。
二本足の匂いもシャドウ族の匂いもないのでおそらくキャンプにできた亀裂と同じく自然にこうなったのだろう。
「なんてこったい。」
やっとの事でグレーストライプが呟いたのはそんな一言だった。まったく同感だ。僕もきっと同じことを言っていただろう。
そこで嫌なことに僕は気付いてしまった。
「早くキャンプに戻ろう。たぶんシャドウ族もさっきの大きな音が聞こえてたはずだ。サンダー族のせいにされたらたまったもんじゃないぞ。」
「それもそうだ。」
二匹は足早に草木をかき分けキャンプへ戻った。
早朝のことである。ドン!そんな大きな音で僕は目覚めた。いったい何があったのだろうか?慌てて外へ様子を見に行ってみる。
戦士部屋を抜けるとキャンプのど真ん中に大きな亀裂が走っていた。
「いったい何ごと?」
ブルースターも族長部屋から顔をのぞかせた。そしてキャンプの状態を見て目を丸くする。
副長のタイガークローがブルースターのもとへ駆け寄った。現状を報告しているようだ。
他の戦士たちも続々と戦士部屋から出てきた。そしてグレーストライプが僕の方へ近寄ってきた。
「何があったんだ?」
「僕にもさっぱりわからない。大きな音がしたから外へ出てみたらこの有様だよ。」
ドン!また大きな音がシャドウ族の方から聞こえてきた。皆にホワイトストームが声をかけ励ましている。
「ファイヤハート、グレーストライプ!」
ブルースターが僕たちを呼んだ。タイガークローが悪意の籠った瞳で睨んでくるが気にしないことにする。
僕はもう戦士だ。堂々としていなくてはいけない。
「何でしょうか。」
グレーストライプが用件を聞いた。
「シャドウ族の方で大きな音がしたわね。その様子を見てきてちょうだい。」
「わかりました。」
「でも境界線を越えてはいけませんよ。あと無理もしないように。」
はい、と二匹で答えてシャドウ族の縄張りの方向へ向かう。
そこには信じられない悲惨な光景が広がっていた。
サンダー道がこちら側から向こうのシャドウ族の縄張りの方まで大きく陥没していたのだ。
何か巨大なもので抉り取られたような感じがするが周りにはそれらしきものは落ちていない。
二本足の匂いもシャドウ族の匂いもないのでおそらくキャンプにできた亀裂と同じく自然にこうなったのだろう。
「なんてこったい。」
やっとの事でグレーストライプが呟いたのはそんな一言だった。まったく同感だ。僕もきっと同じことを言っていただろう。
そこで嫌なことに僕は気付いてしまった。
「早くキャンプに戻ろう。たぶんシャドウ族もさっきの大きな音が聞こえてたはずだ。サンダー族のせいにされたらたまったもんじゃないぞ。」
「それもそうだ。」
二匹は足早に草木をかき分けキャンプへ戻った。
エルフ- 見習い
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03.来訪者
03.来訪者
キャンプでは既に集会が開かれていた。しかしこの異常事態である。特に案も出ないまま滞っている様だ。
予め決めていた通り僕がブルースターへ報告する。
「サンダー道が大きく陥没していました。」
「二本足は?」
「何の匂いもなかったので恐らくあそこの亀裂と同じようなものだと。」
としっぽで亀裂を指しながら報告する。
「わかったわ。もう戻っていいわよ。」
ファイヤハートは一礼してグレーストライプの隣へ向かった。
そしてブルースターが何か話そうとした時・・・
急に空が光りだした。それは太陽の光よりも明るい光だった。
その中に何か生き物のような姿が見える。ぐっと目を凝らしてみると猫の形をしているのが分かった。
光が消え、元の明るさに戻った時、その猫の頭の上に少し大きな細い輪っかが一つとそれよりもほんの少し大きい輪っかが一つ浮いていた。
毛皮の色はグレーストライプより薄い灰色。目は今まで見たことのない赤い色をしている。
するとその猫が背中の後ろで前足を組むという器用なことをやってのけながら言った。
「君たちに告ぐ今すぐこの場所を離れないと死者が出るそうなりたくなければ私に着いて来るがいい命の保証をしてあげよう。」
早口でそう言うとキャンプの出入り口の上までフヨフヨ浮いて行くと呆気にとられている僕たちを振り返る。
「どうしたんだね君たち自分たちの命が惜しくないのかね?」
僕たちはまだ口を開けずにいる。声から判断すると雄だろうか?答える暇も与えずまた赤目の猫が口を開く。
「ここはサンダー族と呼ばれる猫たちのテリトリーだそうだねぇ猫のくせに群れで生活するとはハッハッハ笑えてくる。」
どうしてそれを知っているんだろう?
「まあいい。君たち一族の長はブルースターというそうだねそこの一番高いところに居る君の事だろう?」
そう言いブルースターに視線を向ける。
「だ、だったら何だって言うの。」
威厳をもって答えてはいるが不信感と恐怖が伝わってくる。誰だってそうだ、族長に限ったことではない。
しかし相手もブルースター・・・いや、一族全員が自分に不信感と恐怖を抱いていることに気付いているのであろう。不敵に嗤い
「何も怯える事は無い私は君たちを救ってあげようと言っているんだ取って食おうとしている訳ではない。さぁ一族の長よ選択するんだ死者を出すのか出さないのかをね!」
と族長に迫る。族長もいくつか平常心を取り戻したのか冷静に応答する。
「突然現れたあなたを信用しろというの?」
「ここの地割れと言い向こう側の陥没と言い私が突然現れ空中浮遊している事と言い非日常的な事が起こりまくっている上でこの先を予言出来る者が君たちの上空に居てもおかしくはないと思うがねぇ。」
楽しむような微笑を顔に張り付けたまま赤目の猫は続ける。
「早くしろ時間がない君たちが助かる方法は今すぐこの場から離れ私に着いて来ることただ一つださぁ早く自分の一族に着いて来るよう命じたまえブルースターさん。」
族長の方へと皆の視線が注がれる。ブルースターはどうするのだろう?
「・・・・・・分かったわ。他に何もすることがない今、あなたに従う方が恐らく良いのでしょう。」
「賢明な判断だ君たちは良い長を持ったものだねぇ。」
それだけ言い、キャンプの外へ去り際に
「君たちが四本木と呼んでいる四つの部族の集会場で待っている。」
と言い残して行った。
「大丈夫なんですかブルースター。あんな奴信用して。」
タイガークローが抗議に出るがブルースターは首を振るばかりだ。
「大丈夫よ。私達はあいつの下に着いた訳じゃない。一時的な措置に過ぎないわ。」
そう言って皆をまとめ、四本木に向かう準備をし始めた。
「あたしゃ絶対に行かないよ。」
ただ一匹だけ反抗したのはイエローファングだった。
「困ります、看護猫のあなたがスター属の元へ旅立たれては・・・」
ブルースターの説得も空しく、イエローファングは首を縦に振らなかった。
「いつまで準備に時間を掛けているのだね君たちはここでそのしょうもない一生を閉幕させたいのかね?」
突然声がした方を見ると赤目の猫がそこに居た。
「いつの間に」
ブルースターが言い終わらぬ間にイエローファングが赤目の猫に食って掛かる。
「大体あんたは何者なんだい。突然空から豪勢な現れ方したと思ったらあたしたちに上からもの言って何様のつもりだい?」
「一ついいことをあなたに教えてあげましょう墓まで持って行くと良い。そもそも群れという生活において自分の親や年寄りは生物学的観点からみて群れ全体の足手まといにしかならない、年上を労わるのは人間とゴリラだけかと思っていたが割かしそうでもない様だ。」
「なんだって!?」
「高くなっていくのは年齢とプライドだけで餌を貪る生産性のない者は群れにとって邪魔だと言っているのだよ。幸いあなたは役職をもらっている様だがそれもいつまで続けられるのだろうねぇ。」
イエローファングが唸り、相手に飛び掛かった。しかし予想通りヒラリと躱されてしまった。
「君たちはいつまでここにのさばっているつもりだね早くいかないと本当に手遅れになりますよ。」
そういって赤目の猫はまた四本木の方へ行ってしまった。
「ふん、あたしの事なんかほっときな。」
そう言ってイライラをしっぽを揺らしながらイエローファングはキャンプへ戻ってしまった。
「まあイエローファングが正しかったときはその時よ。あたしが話を付けるわ。」
そう言ってブルースターは四本木へと歩き出した。
キャンプでは既に集会が開かれていた。しかしこの異常事態である。特に案も出ないまま滞っている様だ。
予め決めていた通り僕がブルースターへ報告する。
「サンダー道が大きく陥没していました。」
「二本足は?」
「何の匂いもなかったので恐らくあそこの亀裂と同じようなものだと。」
としっぽで亀裂を指しながら報告する。
「わかったわ。もう戻っていいわよ。」
ファイヤハートは一礼してグレーストライプの隣へ向かった。
そしてブルースターが何か話そうとした時・・・
急に空が光りだした。それは太陽の光よりも明るい光だった。
その中に何か生き物のような姿が見える。ぐっと目を凝らしてみると猫の形をしているのが分かった。
光が消え、元の明るさに戻った時、その猫の頭の上に少し大きな細い輪っかが一つとそれよりもほんの少し大きい輪っかが一つ浮いていた。
毛皮の色はグレーストライプより薄い灰色。目は今まで見たことのない赤い色をしている。
するとその猫が背中の後ろで前足を組むという器用なことをやってのけながら言った。
「君たちに告ぐ今すぐこの場所を離れないと死者が出るそうなりたくなければ私に着いて来るがいい命の保証をしてあげよう。」
早口でそう言うとキャンプの出入り口の上までフヨフヨ浮いて行くと呆気にとられている僕たちを振り返る。
「どうしたんだね君たち自分たちの命が惜しくないのかね?」
僕たちはまだ口を開けずにいる。声から判断すると雄だろうか?答える暇も与えずまた赤目の猫が口を開く。
「ここはサンダー族と呼ばれる猫たちのテリトリーだそうだねぇ猫のくせに群れで生活するとはハッハッハ笑えてくる。」
どうしてそれを知っているんだろう?
「まあいい。君たち一族の長はブルースターというそうだねそこの一番高いところに居る君の事だろう?」
そう言いブルースターに視線を向ける。
「だ、だったら何だって言うの。」
威厳をもって答えてはいるが不信感と恐怖が伝わってくる。誰だってそうだ、族長に限ったことではない。
しかし相手もブルースター・・・いや、一族全員が自分に不信感と恐怖を抱いていることに気付いているのであろう。不敵に嗤い
「何も怯える事は無い私は君たちを救ってあげようと言っているんだ取って食おうとしている訳ではない。さぁ一族の長よ選択するんだ死者を出すのか出さないのかをね!」
と族長に迫る。族長もいくつか平常心を取り戻したのか冷静に応答する。
「突然現れたあなたを信用しろというの?」
「ここの地割れと言い向こう側の陥没と言い私が突然現れ空中浮遊している事と言い非日常的な事が起こりまくっている上でこの先を予言出来る者が君たちの上空に居てもおかしくはないと思うがねぇ。」
楽しむような微笑を顔に張り付けたまま赤目の猫は続ける。
「早くしろ時間がない君たちが助かる方法は今すぐこの場から離れ私に着いて来ることただ一つださぁ早く自分の一族に着いて来るよう命じたまえブルースターさん。」
族長の方へと皆の視線が注がれる。ブルースターはどうするのだろう?
「・・・・・・分かったわ。他に何もすることがない今、あなたに従う方が恐らく良いのでしょう。」
「賢明な判断だ君たちは良い長を持ったものだねぇ。」
それだけ言い、キャンプの外へ去り際に
「君たちが四本木と呼んでいる四つの部族の集会場で待っている。」
と言い残して行った。
「大丈夫なんですかブルースター。あんな奴信用して。」
タイガークローが抗議に出るがブルースターは首を振るばかりだ。
「大丈夫よ。私達はあいつの下に着いた訳じゃない。一時的な措置に過ぎないわ。」
そう言って皆をまとめ、四本木に向かう準備をし始めた。
「あたしゃ絶対に行かないよ。」
ただ一匹だけ反抗したのはイエローファングだった。
「困ります、看護猫のあなたがスター属の元へ旅立たれては・・・」
ブルースターの説得も空しく、イエローファングは首を縦に振らなかった。
「いつまで準備に時間を掛けているのだね君たちはここでそのしょうもない一生を閉幕させたいのかね?」
突然声がした方を見ると赤目の猫がそこに居た。
「いつの間に」
ブルースターが言い終わらぬ間にイエローファングが赤目の猫に食って掛かる。
「大体あんたは何者なんだい。突然空から豪勢な現れ方したと思ったらあたしたちに上からもの言って何様のつもりだい?」
「一ついいことをあなたに教えてあげましょう墓まで持って行くと良い。そもそも群れという生活において自分の親や年寄りは生物学的観点からみて群れ全体の足手まといにしかならない、年上を労わるのは人間とゴリラだけかと思っていたが割かしそうでもない様だ。」
「なんだって!?」
「高くなっていくのは年齢とプライドだけで餌を貪る生産性のない者は群れにとって邪魔だと言っているのだよ。幸いあなたは役職をもらっている様だがそれもいつまで続けられるのだろうねぇ。」
イエローファングが唸り、相手に飛び掛かった。しかし予想通りヒラリと躱されてしまった。
「君たちはいつまでここにのさばっているつもりだね早くいかないと本当に手遅れになりますよ。」
そういって赤目の猫はまた四本木の方へ行ってしまった。
「ふん、あたしの事なんかほっときな。」
そう言ってイライラをしっぽを揺らしながらイエローファングはキャンプへ戻ってしまった。
「まあイエローファングが正しかったときはその時よ。あたしが話を付けるわ。」
そう言ってブルースターは四本木へと歩き出した。
エルフ- 見習い
- 投稿数 : 12
Join date : 2015/05/15
04.異変の始まり
04.異変の始まり
心地よい日差しが木々の葉の間を縫い、地面をまだらに照らしている草の生い茂った道をゆっくり進んでゆく。
そしてふとした瞬間に道が開ける。そこが四本木だ。
四本木に着くとそこには既に他の部族の猫が集まっていた。
不安そうな顔をした者、訳の分からない奴に従うのが不服でたまらない者、特に何も考えずにゆっくりしている者など様々だ。
そして他の部族にも同じ姿をした猫が三匹いた。
四つ子だろうか?本当によく似ている。しかしよく見ると頭の上の輪っかの色や浮遊している体制・体格、何となくの雰囲気が四者四様である。
サンダー族をここに来させた猫は今も前足を器用にうしろで組んでいる。
シャドウ族の元に現れたであろう猫は筋肉質で胸のあたりで前足を組んでいる。
ウィンド族の近くの木の上で休んでいる猫は真面目そうだが奥が見えない。
リヴァー族と少し距離を置いて隅の方にいる猫は・・・何を考えているのかよくわからない。
「他の部族のところにも似たような奴が現れたんだな。」
グレーストライプが耳打ちしてくる。どうやら僕と同じことを考えていたようだ。
「でもシャドウ族のところに居る奴はなんだかいかつそうだね。」
「だな。タイガークロータイプっていったところかな。」
そうこう無駄話をしていると匹の薄い灰色をした猫たちが四本木で休んでいる猫の元へ集まりだした。
「遅いぞコドミカ。ちんたらやってんじゃねぇぞ。」
いかつい薄い灰色の猫がサンダー族をここに連れてきた猫・・・コドミカに乱暴に言う。
「仕方ないだろう油汚れのように頑固なやつがいたんだから。」
「んでどうしたんだ?」
「置いてきた。」
「力を見せればすぐだろう。」
「今はまだ必要ないと思いまして。」
「でかい穴でも地べたに開ければ従うだろう。」
「あの道の穴はお前がやったのか!?」
「んなわけねぇだろ。」
最後にいかつい猫が野性的な笑みを浮かべたあたりで仲裁が入った。
「はいはいそこまで。コドミカ、無駄話はできるだけしないようにね?この世界での時間の進み方は違うんだから。」
「なぜ私が咎められなければならない!吹っかけてきたのはあっちじゃないか!」
「はいはい落ち着こうね。」
「これだからこいつらは嫌なんだ!」
真面目そうに見えた猫は意外と真面目ではないのかもしれない・・・。
そうファイヤハートが悟ると真面目そうな猫が場を進め始めた。
「ではではお集まりいただいたみなさん。改めましてこんにちは。まずは私たちの方から自己紹介をした方がよろしいでしょう。ではコドミカ、よろしく。」
訂正。他の猫に押し付けた。
「話し出したついでに全部済ませりゃいいじゃないか!」
コドミカが抗議するも真面目そうな猫は後ろ足で耳の裏をかいて知らんぷりをする。
「・・・、まぁいい。さっきも聞いた通り私はコドミカ。そこに居るなんちゃって真面目君はメリフェス。」
「どうも。」
「そこはちゃんと話すんだな。」
「・・・。」
「無視するなー!なんなんだ、一体私に何の恨みがある!」
「コドミカ、早く続けて。時間が足りなくなる。」
ワナワナと拳を握りしめながらもコドミカは自己紹介に戻る。
「えーと。あっちに居る筋肉ゴリマッチョがハルバードでそっちにいる不思議ちゃんはサラバンド以後お見知りおきを。」
「俺たちの紹介雑じゃないか?」
「うるさいな時間がないらしいんだよ!」
「そうでもないよ。」
「そうなの!?」
「嘘だよ。」
「嘘かよ!こうしてる時間が無駄なんじゃないのか。」
「・・・はっ!」
「今気づいたようなふりをするな白々しい!」
あの二匹の漫談はいつ終わるのだろうか。
誰もがそう思い始めた時、今まで口を開かなかったサラバンドが口を開いた。
「早く進めるのです。」
何気ない一言に聞こえたが一瞬でこのあたり一帯を凍りつかせるような冷たさと若干の怒気が含まれた一言にはここにいる全員が背筋を震わせた。
もちろん僕も含めて。隣のグレーストライプに限っては気絶しかけている。いや、気絶してる?
声からしておそらく唯一の雌だろう。あいつは怒らせるととんでもないことになるな。
先ほどまでふざけていたメリフェスとコドミカはしぶしぶといったように仕切りなおす。
一度咳払いをし、メリフェスが話し始めた。
「皆さん、私たちが何者なのか、ここに来た理由は何か・・・様々な疑問があることでしょう。そして近頃皆さんの生活を脅かしていた食糧不足。隠すことはありません、私たちはずっと見ていました。」
そうメリフェスが告げた瞬間四本木に居る猫たちがざわめき始めた。見ているとはどこから見ていたのだろう?さっきや今のように空に浮遊して見ていたのだろうか?いや、それだと誰かが気づくはず。では一体どこから。
「今皆さんの頭の中にある疑問は私たちの話をすればじきに解決するでしょう。」
その時・・・
サンダー族のキャンプの方角で大きな爆発音がした。
心地よい日差しが木々の葉の間を縫い、地面をまだらに照らしている草の生い茂った道をゆっくり進んでゆく。
そしてふとした瞬間に道が開ける。そこが四本木だ。
四本木に着くとそこには既に他の部族の猫が集まっていた。
不安そうな顔をした者、訳の分からない奴に従うのが不服でたまらない者、特に何も考えずにゆっくりしている者など様々だ。
そして他の部族にも同じ姿をした猫が三匹いた。
四つ子だろうか?本当によく似ている。しかしよく見ると頭の上の輪っかの色や浮遊している体制・体格、何となくの雰囲気が四者四様である。
サンダー族をここに来させた猫は今も前足を器用にうしろで組んでいる。
シャドウ族の元に現れたであろう猫は筋肉質で胸のあたりで前足を組んでいる。
ウィンド族の近くの木の上で休んでいる猫は真面目そうだが奥が見えない。
リヴァー族と少し距離を置いて隅の方にいる猫は・・・何を考えているのかよくわからない。
「他の部族のところにも似たような奴が現れたんだな。」
グレーストライプが耳打ちしてくる。どうやら僕と同じことを考えていたようだ。
「でもシャドウ族のところに居る奴はなんだかいかつそうだね。」
「だな。タイガークロータイプっていったところかな。」
そうこう無駄話をしていると匹の薄い灰色をした猫たちが四本木で休んでいる猫の元へ集まりだした。
「遅いぞコドミカ。ちんたらやってんじゃねぇぞ。」
いかつい薄い灰色の猫がサンダー族をここに連れてきた猫・・・コドミカに乱暴に言う。
「仕方ないだろう油汚れのように頑固なやつがいたんだから。」
「んでどうしたんだ?」
「置いてきた。」
「力を見せればすぐだろう。」
「今はまだ必要ないと思いまして。」
「でかい穴でも地べたに開ければ従うだろう。」
「あの道の穴はお前がやったのか!?」
「んなわけねぇだろ。」
最後にいかつい猫が野性的な笑みを浮かべたあたりで仲裁が入った。
「はいはいそこまで。コドミカ、無駄話はできるだけしないようにね?この世界での時間の進み方は違うんだから。」
「なぜ私が咎められなければならない!吹っかけてきたのはあっちじゃないか!」
「はいはい落ち着こうね。」
「これだからこいつらは嫌なんだ!」
真面目そうに見えた猫は意外と真面目ではないのかもしれない・・・。
そうファイヤハートが悟ると真面目そうな猫が場を進め始めた。
「ではではお集まりいただいたみなさん。改めましてこんにちは。まずは私たちの方から自己紹介をした方がよろしいでしょう。ではコドミカ、よろしく。」
訂正。他の猫に押し付けた。
「話し出したついでに全部済ませりゃいいじゃないか!」
コドミカが抗議するも真面目そうな猫は後ろ足で耳の裏をかいて知らんぷりをする。
「・・・、まぁいい。さっきも聞いた通り私はコドミカ。そこに居るなんちゃって真面目君はメリフェス。」
「どうも。」
「そこはちゃんと話すんだな。」
「・・・。」
「無視するなー!なんなんだ、一体私に何の恨みがある!」
「コドミカ、早く続けて。時間が足りなくなる。」
ワナワナと拳を握りしめながらもコドミカは自己紹介に戻る。
「えーと。あっちに居る筋肉ゴリマッチョがハルバードでそっちにいる不思議ちゃんはサラバンド以後お見知りおきを。」
「俺たちの紹介雑じゃないか?」
「うるさいな時間がないらしいんだよ!」
「そうでもないよ。」
「そうなの!?」
「嘘だよ。」
「嘘かよ!こうしてる時間が無駄なんじゃないのか。」
「・・・はっ!」
「今気づいたようなふりをするな白々しい!」
あの二匹の漫談はいつ終わるのだろうか。
誰もがそう思い始めた時、今まで口を開かなかったサラバンドが口を開いた。
「早く進めるのです。」
何気ない一言に聞こえたが一瞬でこのあたり一帯を凍りつかせるような冷たさと若干の怒気が含まれた一言にはここにいる全員が背筋を震わせた。
もちろん僕も含めて。隣のグレーストライプに限っては気絶しかけている。いや、気絶してる?
声からしておそらく唯一の雌だろう。あいつは怒らせるととんでもないことになるな。
先ほどまでふざけていたメリフェスとコドミカはしぶしぶといったように仕切りなおす。
一度咳払いをし、メリフェスが話し始めた。
「皆さん、私たちが何者なのか、ここに来た理由は何か・・・様々な疑問があることでしょう。そして近頃皆さんの生活を脅かしていた食糧不足。隠すことはありません、私たちはずっと見ていました。」
そうメリフェスが告げた瞬間四本木に居る猫たちがざわめき始めた。見ているとはどこから見ていたのだろう?さっきや今のように空に浮遊して見ていたのだろうか?いや、それだと誰かが気づくはず。では一体どこから。
「今皆さんの頭の中にある疑問は私たちの話をすればじきに解決するでしょう。」
その時・・・
サンダー族のキャンプの方角で大きな爆発音がした。
エルフ- 見習い
- 投稿数 : 12
Join date : 2015/05/15
Re: 捻じれた宇宙 1-2 作者:エルフ
サラバンドさん恐ろしいww
そしてグレー君しっかりw!
そしてグレー君しっかりw!
フロストテイル- 年長戦士
- 投稿数 : 139
Join date : 2015/05/17
所在地 : 月光の洞窟
Re: 捻じれた宇宙 1-2 作者:エルフ
フロストテイル wrote:サラバンドさん恐ろしいww
そしてグレー君しっかりw!
グレー君にはちょくちょくヘタレ具合を混ぜ込んでいきたいと考えています(`・ω・´)キリッ
サラバンドは数合わせ的なもので作ったので多分あまり登場しないかもなのです。
エルフ- 見習い
- 投稿数 : 12
Join date : 2015/05/15
05.残り香
05.残り香
ははは。
きっと何かの間違いだ。そうに決まってる。
考えてみなよ、キャンプが突然弾け飛ぶわけないだろう?
でもなんでだろう。細かい土の塊が少しだけこっちに飛んできているのは。
でもただの幻覚だと思う。変なことが起こりすぎたせいで少し頭がおかしくなってるんだ。
きっと変なことが起こりすぎて脳が処理できなくなってるんだそうだそうに決まってる疲れてるんだだって僕はファイヤハートで少し前にようやく戦士になったばかりでグレーストライプと寝ずの番をして少し成長した気がして普段あまり褒めることのない・・・
“イェローファング!”
ここでようやくファイヤハートは現実に戻ってきた。
「イェローファングが、ブルースター!イェローファングを助けに」
「そんなことわかってるわ!」
ファイヤハートが言い切る前にブルースターが遮った。きっとブルースターも動揺しているのだろう。
「ホワイトストームとタイガークローは私と一緒に」
「その必要はない。」
ふと声がした方を見上げるとコドミカが浮いていた。
小脇に何かを抱えて。
あれは、イェロー・・・ファング?
「だから着いて来るように言っただろう頑固者め。大人しくあなたの長に従ってここに来ていれば私がこんな面倒なことをすることも無かったのだこのおまぬけ看護猫。」
相変わらずの毒舌でコドミカが捲し立てる。
スッと音もなく地面に舞い降りたコドミカは口ぶりとは裏腹に丁寧に腰の抜けたイェローファングを降ろす。
するとブルースターがイェローファングの近くに駆け寄った。
「イェローファング、大丈夫ですか?お怪我などはありませんか?」
看護猫にけがの有無を聞くのもなかなかおかしな話だが本当に心配していたのだろう。
「ああ、なんともないよ。急にキャンプが上から見渡せるようになったと思ったら地面が吹き飛んでキャンプが跡形もなくなって。」
そこまで言うとイェローファングは改めて今起きたことが凄惨なことだと気づき、ハッと息をのんだ。
「やはりキャンプが。」
ブルースターが無機質に言った。
それを聞いた仲間たちや他の部族の猫もざわめき始める。
「うーん、そろそろバランスが崩れて崩壊が始まっているようだねぇ。」
「そのようだな。」
メリフェスの言葉にハルバードが深刻そうに同意する。何か知っている様だがファイヤハートに真実を尋ねる勇気はなかった。
ふとウィンド族の匂いがしたので後ろを振り返った。するとそこにはウィンド族の族長であるトールスターが立っていた。
ファイヤハートの横を通り過ぎざまに会釈するとそのままメリフェスの元へ歩いて行った。
「今こんなことを言うべきではないのかもしれないが…話の続きを聞かせてもらえないかね。」
そうだ、あまりにも非現実的なことが起こって忘れていたがメリフェスは何か話をしようとしていたのだ。
「ああ、そうだね。それではみなさん。先ほど起こった悲劇も含めて改めて私から話をさせていただきたいのですが。」
それほど大きな声を出している訳でもないのになぜかここに集まった猫たちは一斉にメリフェスの方を向いた。
その眼には様々な不安が浮かんでいた。
「まずは私たちは一体なんなのか。どこの誰なのかをお話しいたしましょう。」
一呼吸おいてメリフェスは話し出した。
「私たちは世界を、いや、宇宙全体を管理している者です。と言っても皆さんには通じないでしょうから別の言い方にしましょう。」
そこで一体どう説明すればよいのかとうーんとうなりながらふわふわと宙を行ったり来たりしている。やがて何か思いついたようにピタッと止まるととんでもないことを言い出した。
「私たちは君たちが信仰しているスター族よりもさらに上の存在です。」
ビシッ!と誰もいないところを指さして言い切った。
しかしそれを聞いた途端森の猫たちは一斉に抗議しだした。それもそうだ、スター族よりも上の存在があるなんてありえない。
「うるせーぞお前ら黙って聞きやがれ!」
ハルバードが一喝すると静まったがやはり今の説明で納得している猫はいないようだ。
メリフェスが咳払いをすると話を続けた。
「納得していただけていない様ですがこう説明するしかないのです。ま、納得しようがしまいがこの際どうでもいいです。話を元に戻しましょう。特に各部族の族長さん方は注意して聞くように。」
そう言って各部族の族長に…と言うよりもシャドウ族の族長であるブロークンスターに言ったようだが当の本人は知らんぷりである。
「えー、はっきり言ってあなたたちが住んでいるこの場所だけではなく、その他もろもろの他の場所でも同じようなことが起こっています。小動物たちは消え、大地が突然爆ぜ、樹木が何の前触れもなく倒れてきたり跡形もなく消滅していたりしています。」
それはにはよく心当たりがある。獲物がよく捕れる季節なのに雪が降る季節と…いやそれ以上に獲物が捕れない。昨日まであった木が突然無くなっていたし地面も謎の大爆発だ。
「それもこれも人間…二本足と言った方がいいかな。そいつが引き起こしたことです。」
やっぱりそうか。と言う声がどこからか聞こえてきた。だがいくら二本足でもここまでの事をやってのけられるのだろうか?いや、考えるのはよそう、思考を巡らせるだけ無駄に思えた。
メリフェスはざわつく森の猫たちをなだめ説明に戻る。
「二本足の一人が通常見つけることは出来ないはずのものを見つけてしまいました。それを使って意図的に世の中を破壊しようとしている様です。」
そこまで言い切って一番近くで聞いている族長たちにメリフェスは視線を落とした。
「そこであなたたちに頼みたいことがあります。」
と今までの余裕を持った目ではなく真剣な目つきで族長たちに言った。
「あなた達森の猫の中から二匹、旅に出させる猫を決めてほしいのです。一つの部族から二匹でも他の部族同士でも構いません。二匹です。選んでいただきたいのです。」
そう族長たちに告げた。旅?こんな非常事態の時にどこかへ出かけるというのだろうか。むしろこんな時だからこそかもしれないが。
「はっ、そんなのうちはごめんだね。うちの部族のものが突然現れたお前たちの言うことに素直に従うやつなどいるまい。ここへはしぶしぶ着いてきたが今度はそうはいかん。」
一番初めに発言したのはブロークンスターだ。確かにシャドウ族はどこかひねくれている奴が多そうだから旅には出ないでもらうのがむしろ一番いい。
「私の部族もご遠慮させていただきたいね。この非常事態に部族の猫を違う場所へと旅立たせるのは不安だ。」
トールスターが言うとそれに賛同すようにリヴァー族のクルキッドスターも頷いた。
残るはサンダー族のブルースターのみだ。辛辣そうな表情以外は何を考えているのかさっぱりわからない。
長い沈黙の末、ようやく決心したのかブルースターは顔を上げた。
「私の部族から二匹旅立たせます。」
そう言った途端、他の三匹の族長たちは自分たちの部族に面倒が持ち込まれなかった安心と同時に本当にいいのだろうかと言う心配もした。ブロークンスターを除いて。
「私たちのキャンプはなくなってしまいました。まことに残念なことです。帰るところは、安心してみなが寝つけるところはもうありません。ならば、今私たちにできることは一刻も早い原因の究明です。」
とメリフェスに話した。しかし僕たちサンダー族の皆に相談もしないでいいのだろうか?中には行きたくないものもいるだろう。
「旅に出る二匹は私とホワイトストーム。これでいいと思います。」
ブルースターがホワイトストームに視線を送るとホワイトストームは同意の眼差しを向けた。
「待ちなさい。」
そう声を発したのはイェローファングだ。
「残った者たちはどうするんだい?副長のライオンハートが残っているとはいえ一匹でいつ帰ってくるかもわからないあんたを待つには無理がある。」
「でも」
「自分が行きます。」
ファイヤハートは思わず声が出た。なぜだろう。特に何も考えていない。行きたいとも思っていなかった。しかし勝手に声が出たのだ。行きますと言ってしまった以上もう引き返せない。サンダー族の、いや、森の猫全員の視線が自分に注がれているのがわかる。
次に何を言ったらいいのかわからずしどろもどろしているとブルースターがこちらへ向かって歩いてきた。
ブルースターはファイヤハートの前で止まるとこう尋ねた。
「どうして行きたいの?」
ぎくりとした。行きたい理由なんてない。むしろ行きたくない。しかしなにか答えなければ。一度深呼吸をし、自分を落ち着かせてから
「何となく…です。直感と言いますか。」
ああ何を言っているんだ自分は。しかしブルースターの反応は違った。
「あなたはいつもそうね。」
優しそうな眼差しでファイヤハートに言った。
「あなたが森の猫になったのも単純な理由だった気がする。無駄に高い志とか、目標とかはなくて。ただなってみたいから。そんな感じの答えだった気がする。」
そう言われると自分でもなぜ森の猫になったのかわからない。なぜだろう?
「今はもういないけど、スポッティドリーフの言葉を思い出すわ。“炎は一族を救う”。このことだったのかしらね。」
そう一匹で昔の記憶に浸っていたブルースターだがすぐに視線をファイヤハートに戻した。
「本当にいいのね?」
「はい。」
はぁ、これでもはや後に引くことは出来なくなった。こうなったらやけだ。どうにでもなれ。
「それじゃ、ホワイトストームには残ってもらうことにするわ。」
「ブルースター。」
今度はすぐそばにいたグレーストライプが族長を呼んだ。
「どうしたの?」
「俺も…俺もファイヤハートと行きたいです。」
これにはさすがのブルースターも驚いたようだ。
「親友が行くって言ってるのに俺だけ留守番なんてできません。行かせてください。」
いつになく真剣なまなざしでブルースターを見つめる。
少し間を開けてからブルースターが言った。
「いいでしょう。二匹で頑張ってきなさい。」
さすがのブルースターもグレーストライプの決心を変えることは出来ないだろうと感じたようだ。
「本当にいいの?」
ファイヤハートはグレーストライプに小声で尋ねると
「まじ気絶しそう」
と素晴らしく頼りない返事が返ってきた。僕はより一層心配になってきた。
「それでは決まったようですね。」
メリフェスが満足そうに言うと他の三匹の元へ戻っていった。
「それではコドミカ、あとはよろしく頼んだよ。」
「…はああああああああああああ!?」
しばらくの沈黙の後コドミカが絶叫した。
「いやいやいやいやいや待ちたまえメリフェス君。君は一体何を言っているのだね。」
「いやだからこの後の事は任せたと。」
「そう言うことを聞いているんじゃなああああああい!なぜ私がそんなめんどくさいことをしなければならないのかと聞いているのだよ!」
「だって僕司会進行したし。」
「そんなこと関係あるのか!」
「あれ知らなかった?」
「少なくともそんな連絡は私のところには来ていないぞ!」
「うーむ、ドンマイ☆(テヘペロ」
「黙りたまえ!そもそもハルバードやサラバンドがいるだろう!」
そう言って振り返るとハルバードとサラバンドは各部族の子猫たちをいつのまにか一か所に集めて子守をしている。
ちなみにハルバードは腕や足に子猫たちをぶら下げてアクロバティック飛行を繰り返しておりサラバンドは地面にいろんな動物の絵を描いて子猫たちを楽しませている。
「まああんな感じで二人とも手が離せない様だし。手が空いてるのは君だけなんだよコドミカ。」
「私にだって子猫の相手ぐらい!」
「出来るの?」
コドミカが答えに詰まったどうやら姿かたちはあまり見分けがつかない四匹だがコドミカは子猫が苦手らしい。
「んじゃ、頑張ってね。それにどうせ空間調律魔方陣は三人で十分だし。」
そう言ってメリフェスはコドミカの方をポンポンとすると何かの準備に取り掛かった。
コドミカはその場で少しの間だけ浮遊しており、しばらくすると僕たちの方へやってきた。
「サンダー族の長よ、この二匹が安全に帰ってこれると思っていないだろうね。」
そうコドミカが言うとブルースターはまんざらでもないように答えた。
「ええそのつもりよ。あなたたち、しっかりやってきなさい。」
そう言って二匹を見つめるブルースターの目には少しだけ心配の色があったがこの二匹なら大丈夫だろうという楽観的な部分もあった。
「取りあえずその他もろもろの説明をせねばならん。だから場所を移そう。では君たちの仲間に別れを告げると良い。」
コドミカはファイヤハートとグレーストライプに言った。
僕が族長にあいさつしようと思った次の瞬間
「なんて親切なことをこの私が言う訳ないだろ!さらばだサンダー族の長よ。せいぜい生き延びたまえ!」
僕たちの足元には見たことも無い円形の紋章が現れ周りは真っ白な光に包まれた。
ははは。
きっと何かの間違いだ。そうに決まってる。
考えてみなよ、キャンプが突然弾け飛ぶわけないだろう?
でもなんでだろう。細かい土の塊が少しだけこっちに飛んできているのは。
でもただの幻覚だと思う。変なことが起こりすぎたせいで少し頭がおかしくなってるんだ。
きっと変なことが起こりすぎて脳が処理できなくなってるんだそうだそうに決まってる疲れてるんだだって僕はファイヤハートで少し前にようやく戦士になったばかりでグレーストライプと寝ずの番をして少し成長した気がして普段あまり褒めることのない・・・
“イェローファング!”
ここでようやくファイヤハートは現実に戻ってきた。
「イェローファングが、ブルースター!イェローファングを助けに」
「そんなことわかってるわ!」
ファイヤハートが言い切る前にブルースターが遮った。きっとブルースターも動揺しているのだろう。
「ホワイトストームとタイガークローは私と一緒に」
「その必要はない。」
ふと声がした方を見上げるとコドミカが浮いていた。
小脇に何かを抱えて。
あれは、イェロー・・・ファング?
「だから着いて来るように言っただろう頑固者め。大人しくあなたの長に従ってここに来ていれば私がこんな面倒なことをすることも無かったのだこのおまぬけ看護猫。」
相変わらずの毒舌でコドミカが捲し立てる。
スッと音もなく地面に舞い降りたコドミカは口ぶりとは裏腹に丁寧に腰の抜けたイェローファングを降ろす。
するとブルースターがイェローファングの近くに駆け寄った。
「イェローファング、大丈夫ですか?お怪我などはありませんか?」
看護猫にけがの有無を聞くのもなかなかおかしな話だが本当に心配していたのだろう。
「ああ、なんともないよ。急にキャンプが上から見渡せるようになったと思ったら地面が吹き飛んでキャンプが跡形もなくなって。」
そこまで言うとイェローファングは改めて今起きたことが凄惨なことだと気づき、ハッと息をのんだ。
「やはりキャンプが。」
ブルースターが無機質に言った。
それを聞いた仲間たちや他の部族の猫もざわめき始める。
「うーん、そろそろバランスが崩れて崩壊が始まっているようだねぇ。」
「そのようだな。」
メリフェスの言葉にハルバードが深刻そうに同意する。何か知っている様だがファイヤハートに真実を尋ねる勇気はなかった。
ふとウィンド族の匂いがしたので後ろを振り返った。するとそこにはウィンド族の族長であるトールスターが立っていた。
ファイヤハートの横を通り過ぎざまに会釈するとそのままメリフェスの元へ歩いて行った。
「今こんなことを言うべきではないのかもしれないが…話の続きを聞かせてもらえないかね。」
そうだ、あまりにも非現実的なことが起こって忘れていたがメリフェスは何か話をしようとしていたのだ。
「ああ、そうだね。それではみなさん。先ほど起こった悲劇も含めて改めて私から話をさせていただきたいのですが。」
それほど大きな声を出している訳でもないのになぜかここに集まった猫たちは一斉にメリフェスの方を向いた。
その眼には様々な不安が浮かんでいた。
「まずは私たちは一体なんなのか。どこの誰なのかをお話しいたしましょう。」
一呼吸おいてメリフェスは話し出した。
「私たちは世界を、いや、宇宙全体を管理している者です。と言っても皆さんには通じないでしょうから別の言い方にしましょう。」
そこで一体どう説明すればよいのかとうーんとうなりながらふわふわと宙を行ったり来たりしている。やがて何か思いついたようにピタッと止まるととんでもないことを言い出した。
「私たちは君たちが信仰しているスター族よりもさらに上の存在です。」
ビシッ!と誰もいないところを指さして言い切った。
しかしそれを聞いた途端森の猫たちは一斉に抗議しだした。それもそうだ、スター族よりも上の存在があるなんてありえない。
「うるせーぞお前ら黙って聞きやがれ!」
ハルバードが一喝すると静まったがやはり今の説明で納得している猫はいないようだ。
メリフェスが咳払いをすると話を続けた。
「納得していただけていない様ですがこう説明するしかないのです。ま、納得しようがしまいがこの際どうでもいいです。話を元に戻しましょう。特に各部族の族長さん方は注意して聞くように。」
そう言って各部族の族長に…と言うよりもシャドウ族の族長であるブロークンスターに言ったようだが当の本人は知らんぷりである。
「えー、はっきり言ってあなたたちが住んでいるこの場所だけではなく、その他もろもろの他の場所でも同じようなことが起こっています。小動物たちは消え、大地が突然爆ぜ、樹木が何の前触れもなく倒れてきたり跡形もなく消滅していたりしています。」
それはにはよく心当たりがある。獲物がよく捕れる季節なのに雪が降る季節と…いやそれ以上に獲物が捕れない。昨日まであった木が突然無くなっていたし地面も謎の大爆発だ。
「それもこれも人間…二本足と言った方がいいかな。そいつが引き起こしたことです。」
やっぱりそうか。と言う声がどこからか聞こえてきた。だがいくら二本足でもここまでの事をやってのけられるのだろうか?いや、考えるのはよそう、思考を巡らせるだけ無駄に思えた。
メリフェスはざわつく森の猫たちをなだめ説明に戻る。
「二本足の一人が通常見つけることは出来ないはずのものを見つけてしまいました。それを使って意図的に世の中を破壊しようとしている様です。」
そこまで言い切って一番近くで聞いている族長たちにメリフェスは視線を落とした。
「そこであなたたちに頼みたいことがあります。」
と今までの余裕を持った目ではなく真剣な目つきで族長たちに言った。
「あなた達森の猫の中から二匹、旅に出させる猫を決めてほしいのです。一つの部族から二匹でも他の部族同士でも構いません。二匹です。選んでいただきたいのです。」
そう族長たちに告げた。旅?こんな非常事態の時にどこかへ出かけるというのだろうか。むしろこんな時だからこそかもしれないが。
「はっ、そんなのうちはごめんだね。うちの部族のものが突然現れたお前たちの言うことに素直に従うやつなどいるまい。ここへはしぶしぶ着いてきたが今度はそうはいかん。」
一番初めに発言したのはブロークンスターだ。確かにシャドウ族はどこかひねくれている奴が多そうだから旅には出ないでもらうのがむしろ一番いい。
「私の部族もご遠慮させていただきたいね。この非常事態に部族の猫を違う場所へと旅立たせるのは不安だ。」
トールスターが言うとそれに賛同すようにリヴァー族のクルキッドスターも頷いた。
残るはサンダー族のブルースターのみだ。辛辣そうな表情以外は何を考えているのかさっぱりわからない。
長い沈黙の末、ようやく決心したのかブルースターは顔を上げた。
「私の部族から二匹旅立たせます。」
そう言った途端、他の三匹の族長たちは自分たちの部族に面倒が持ち込まれなかった安心と同時に本当にいいのだろうかと言う心配もした。ブロークンスターを除いて。
「私たちのキャンプはなくなってしまいました。まことに残念なことです。帰るところは、安心してみなが寝つけるところはもうありません。ならば、今私たちにできることは一刻も早い原因の究明です。」
とメリフェスに話した。しかし僕たちサンダー族の皆に相談もしないでいいのだろうか?中には行きたくないものもいるだろう。
「旅に出る二匹は私とホワイトストーム。これでいいと思います。」
ブルースターがホワイトストームに視線を送るとホワイトストームは同意の眼差しを向けた。
「待ちなさい。」
そう声を発したのはイェローファングだ。
「残った者たちはどうするんだい?副長のライオンハートが残っているとはいえ一匹でいつ帰ってくるかもわからないあんたを待つには無理がある。」
「でも」
「自分が行きます。」
ファイヤハートは思わず声が出た。なぜだろう。特に何も考えていない。行きたいとも思っていなかった。しかし勝手に声が出たのだ。行きますと言ってしまった以上もう引き返せない。サンダー族の、いや、森の猫全員の視線が自分に注がれているのがわかる。
次に何を言ったらいいのかわからずしどろもどろしているとブルースターがこちらへ向かって歩いてきた。
ブルースターはファイヤハートの前で止まるとこう尋ねた。
「どうして行きたいの?」
ぎくりとした。行きたい理由なんてない。むしろ行きたくない。しかしなにか答えなければ。一度深呼吸をし、自分を落ち着かせてから
「何となく…です。直感と言いますか。」
ああ何を言っているんだ自分は。しかしブルースターの反応は違った。
「あなたはいつもそうね。」
優しそうな眼差しでファイヤハートに言った。
「あなたが森の猫になったのも単純な理由だった気がする。無駄に高い志とか、目標とかはなくて。ただなってみたいから。そんな感じの答えだった気がする。」
そう言われると自分でもなぜ森の猫になったのかわからない。なぜだろう?
「今はもういないけど、スポッティドリーフの言葉を思い出すわ。“炎は一族を救う”。このことだったのかしらね。」
そう一匹で昔の記憶に浸っていたブルースターだがすぐに視線をファイヤハートに戻した。
「本当にいいのね?」
「はい。」
はぁ、これでもはや後に引くことは出来なくなった。こうなったらやけだ。どうにでもなれ。
「それじゃ、ホワイトストームには残ってもらうことにするわ。」
「ブルースター。」
今度はすぐそばにいたグレーストライプが族長を呼んだ。
「どうしたの?」
「俺も…俺もファイヤハートと行きたいです。」
これにはさすがのブルースターも驚いたようだ。
「親友が行くって言ってるのに俺だけ留守番なんてできません。行かせてください。」
いつになく真剣なまなざしでブルースターを見つめる。
少し間を開けてからブルースターが言った。
「いいでしょう。二匹で頑張ってきなさい。」
さすがのブルースターもグレーストライプの決心を変えることは出来ないだろうと感じたようだ。
「本当にいいの?」
ファイヤハートはグレーストライプに小声で尋ねると
「まじ気絶しそう」
と素晴らしく頼りない返事が返ってきた。僕はより一層心配になってきた。
「それでは決まったようですね。」
メリフェスが満足そうに言うと他の三匹の元へ戻っていった。
「それではコドミカ、あとはよろしく頼んだよ。」
「…はああああああああああああ!?」
しばらくの沈黙の後コドミカが絶叫した。
「いやいやいやいやいや待ちたまえメリフェス君。君は一体何を言っているのだね。」
「いやだからこの後の事は任せたと。」
「そう言うことを聞いているんじゃなああああああい!なぜ私がそんなめんどくさいことをしなければならないのかと聞いているのだよ!」
「だって僕司会進行したし。」
「そんなこと関係あるのか!」
「あれ知らなかった?」
「少なくともそんな連絡は私のところには来ていないぞ!」
「うーむ、ドンマイ☆(テヘペロ」
「黙りたまえ!そもそもハルバードやサラバンドがいるだろう!」
そう言って振り返るとハルバードとサラバンドは各部族の子猫たちをいつのまにか一か所に集めて子守をしている。
ちなみにハルバードは腕や足に子猫たちをぶら下げてアクロバティック飛行を繰り返しておりサラバンドは地面にいろんな動物の絵を描いて子猫たちを楽しませている。
「まああんな感じで二人とも手が離せない様だし。手が空いてるのは君だけなんだよコドミカ。」
「私にだって子猫の相手ぐらい!」
「出来るの?」
コドミカが答えに詰まったどうやら姿かたちはあまり見分けがつかない四匹だがコドミカは子猫が苦手らしい。
「んじゃ、頑張ってね。それにどうせ空間調律魔方陣は三人で十分だし。」
そう言ってメリフェスはコドミカの方をポンポンとすると何かの準備に取り掛かった。
コドミカはその場で少しの間だけ浮遊しており、しばらくすると僕たちの方へやってきた。
「サンダー族の長よ、この二匹が安全に帰ってこれると思っていないだろうね。」
そうコドミカが言うとブルースターはまんざらでもないように答えた。
「ええそのつもりよ。あなたたち、しっかりやってきなさい。」
そう言って二匹を見つめるブルースターの目には少しだけ心配の色があったがこの二匹なら大丈夫だろうという楽観的な部分もあった。
「取りあえずその他もろもろの説明をせねばならん。だから場所を移そう。では君たちの仲間に別れを告げると良い。」
コドミカはファイヤハートとグレーストライプに言った。
僕が族長にあいさつしようと思った次の瞬間
「なんて親切なことをこの私が言う訳ないだろ!さらばだサンダー族の長よ。せいぜい生き延びたまえ!」
僕たちの足元には見たことも無い円形の紋章が現れ周りは真っ白な光に包まれた。
エルフ- 見習い
- 投稿数 : 12
Join date : 2015/05/15
Re: 捻じれた宇宙 1-2 作者:エルフ
5月に読んで、続きが気になってましたが、やっと読めました。
イエローファングが無事で良かったw
イエローファングが大好き過ぎて、気になっていたのですw
イエローファングの頑固さが私に似すぎて好きなのですw
そして、ホワイトストームとブルースターはやっぱりいいですねw
それからファイヤ君とグレー君の度が楽しみですw
コドカミは昔の私に似てて、少し笑ってしまいましたw
イエローファングが無事で良かったw
イエローファングが大好き過ぎて、気になっていたのですw
イエローファングの頑固さが私に似すぎて好きなのですw
そして、ホワイトストームとブルースターはやっぱりいいですねw
それからファイヤ君とグレー君の度が楽しみですw
コドカミは昔の私に似てて、少し笑ってしまいましたw
戦士- 年長戦士
- 投稿数 : 152
Join date : 2015/05/15
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