紅色の星は惑い、決める

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紅色の星は惑い、決める

投稿 by ウィンターリーフ@冬葉 on Mon Mar 06, 2017 1:57 pm

                     “紅い星が一族を救う”



サンダー族にとある子猫が産まれました。その子猫は、珍しい色の瞳を持っていました。その色は紅。ピンクがかった紅です。今まで紅を持つ猫は見たことがなかったため、一族は驚いたり喜んだり恐れたり……とまあ、色々と騒がしかったのですが。


「スター族からお告げが降りたんだ」族長
「まあ……どんなお告げ?」 つれあい



というわけであって、そのお告げは族長並びにつれあい、副長のみが知る秘密となったのです。
そう、三匹だけが知る秘密、だったんですけど……


まさかの盗み聞きによって、子猫は知りました。自分のお告げについて。
けれどまあ、その子は生まれつき少々変な性格をしており……いや変というか大人びているというか、いや違うな……ま、そんなわけでして、子猫は言ったのです。






「え、私? え、え……? いや、救えるかわかんないよ、救えないかもよ? えっ、え? だいたい、なんで紅い星が目になるの…… ちょっ、スター族様やめて! 私にそんな荷を背負わさないで、お願いですからぁーー」





これは、少々変わった女の子が、自分の運命に向き合って行こうと頑張ってみる……ようなお話です。






(若干コメディ入ってますが、ちゃんとシリアスもあるので! ご安心ください)


最終編集者 ウィンターリーフ@復活宣言! [ Wed Mar 15, 2017 8:39 am ], 編集回数 4 回
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Re: 紅色の星は惑い、決める

投稿 by ウィンターリーフ@冬葉 on Mon Mar 06, 2017 3:15 pm

【登場猫紹介】






         *フロックスポー「キット」 (花魁草足) : 白い毛に胸と前足が茶。瞳はピンクがかった紅。細身でスラリとしている。他の猫を観察することが大好きで、面食い。不気味に悶えていたりします。基本、面倒くさがりや。




三期六巻の登場猫たちが登場します。オリジナルは主人公だけ、かな? 増え次第追加していきますので。
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Re: 紅色の星は惑い、決める

投稿 by ウィンターリーフ@冬葉 on Wed Mar 08, 2017 2:35 pm

第一話       “特別な日”








「フロックスポー!」
「うるさい!」

 今日で何度目だろうか。足を挫いてしまったファーンクラウドを診にきたジェイフェザーにぴしゃりと叱られるのは。何回も怒られたせいで耐性がついてきたので、てへっとばかりに舌を出すだけに終わる。

「フロックスポー! すてき!」
「だから……」

  懲りずにまた叫んだ私に、サンダー族の看護猫はため息をついた。
  ーーだってしょうがないじゃない。待ちにまった見習いになる日なんだもの!
 だからどんなに叱られようと、うるさがれようとも私は叫ぶのだ。キットからポーに変わるその瞬間! なんてすてきな響きだろう!


「あのな、フロックスキット」
「はあい」


 青い目がじっと私を見下ろす。見えていないとわかっていても見られているようで少しドギマギするのだ。


「君がそんなに叫んでいるとファーンクラウドの具合が悪くなってくるんだ。だから黙っててくれないか」
「そんなあ……」


 哀れっぽい声を出してしゅんと寝床にへたり込むと、それでいい、と言ってジェイフェザーは保育部屋を後にしてしまった。後には、落ち込んだ私と苦笑いするファーンクラウドのみが残される。


「ファーンクラウド、痛い?」
「いいえ、痛くないわ。あなたの命名式の日だもの、痛くても立つわよ」

 くすぐったくて少しはにかむ。一族生まれじゃない私にも、こんなに優しく接してくれる。
 しんみり思っていると、背後から重いものが乗っかってきた。その重みに耐えきれず「ぎゃっ!」と叫んで前に突っ伏すと、勝ち誇った声が上から降ってきた。

「たやすい獲物だったな!」
「不意打ちはずるいよ!」

 のっかっているバンブルキットの身体を押しのけ、いらいらと鼻を鳴らす。この子猫にしては大きい淡い灰色の雄猫は、加減というものを知らないらしい。私とあなたの体格差をかんがえてよ! と唸りたくなるのを堪え、フロックスキットは澄まして胸を張った。

「私は今日、見習いになるの!」
「僕たちだってそうじゃん」

 うっ……と呻いて横目で睨む。そうなのだ。悔しいことに今日の命名式は私だけじゃない。バンブルキット、ブライアーキット、ブラッサムキットの三兄弟も一緒なのだ。
 ーーもう。三兄弟と一緒なんて嫌なのに!

「悔しかったらかかってこいよ!」

 挑発の声を大人っぽく無視して、その場にうずくまる。
 ーー別に、三兄弟が嫌いってわけじゃない。むしろ好きだ。だけどーー

「私だけ、サンダー族生まれじゃないもの」

 それなのにサンダー族の、しかも仲の良い三兄弟と一緒など、並ぶと惨めになるから嫌なのだ。ことあるごとに一族生まれじゃないから、と噂されるに決まってる。

「なにぶつぶつ言ってんだよ? 獲物とってきてやらないぞ!
「けっこうよ」

 うるさいな、と尻尾を左右に振ると、バンブルキットは諦めたのかファーンクラウドの元に歩いて行った。
ーーなによ。母親のミリーがいるってのに。
 ファーンクラウドを取られた気がして更に苛立ちが募る。そんな自分にもイライラしたけれど。

「私も、一族生まれだったら良かった……」

 そうしたら。
 続けようとして言葉を飲み込む。今更考えても無駄なのに。


 ーー紅い目なんて、もたなくてすんだ。




**





「ーー自分で獲物を捕まえられる年齢の者は全員、ハイレッジの下に集合しろ。一族の集会をはじめるぞ」

 ファイヤスターの召集の声に、フロックスキットは期待と不安に身体を震わせた。側では飛び出そうとしたバンブルキットを止めるグレーストライプの姿がある。ざまあみろ! と思いながらキラキラと目を輝かせるブラッサムキットに身を寄せた。

「緊張してる?」
「うん、すっごく!」

 良かった、とホッとしながらそわそわとその場で足踏みをすると、ファーンクラウドが言った。

「フロックスキット。空き地に行くときは良識のある見習いらしく歩いて行きなさい。お行儀の悪い子猫みたいに走って行かないこと」
「はあい」

 のんびり返事をするとくすっと隣のミリーに笑われた。気恥ずかしさに顔がほてったところ、頭上からグレーストライプが見下ろしてきた。

「大丈夫、おまえならできるよ」

 優しい声とともに耳を舐められて、自然と笑顔が浮かんだ。ーーグレーストライプが本当の父さんだったら……
 慌てて考えを振り払い、空き地に目を向ける。そのころにはもう、サンダー族全員がハイレッジの下に集まっていた。

「さあ行きましょう。みんな待ってるわ」
「吐いちゃいそう……」

 気弱な返事をしながらも、フロックスキットは頭としっぽを高く上げて歩き出した。堂々とした態度、堂々と!
 と胸の中で繰り返し気持ちを落ち着かせようと試みる。

 ファーンクラウドに導かれて一族の集団に向かうと、待っていたみんながさっと道を開けた。さっきから自分を追い越そうとしてくるバンブルキットを蹴りたくなるのを堪え、ゆっくり進む。
 立ち止まると、横にバンブルキットが並び、その横にブラッサムキット、ブライアーキットが続いた。気づくと左にソーレルテイルが立っていて、励ますように頷かれる。

「此度は喜ばしいことに、見習いになる子猫が複数いる」

 ファイヤスターが話し始めた。炎の色の毛の族長は日の光も浴びてかとても立派に見える。今からファイヤスターの元に行くんだ……! そう思うと胸が震え、感激に涙が出そうになる。

「フロックスキット、バンブルキット、ブラッサムキット、ブライアーキットが生後六ヶ月に達し、見習いになるときが来た」

 族長はしっぽで二匹を招き「前へ来なさい」と言った。
 思わず興奮でぴょんと一族の輪のまんなかに飛び込んでしまい、一族の集団から笑いがさざ波のように起こった。かあっと顔が熱くなるのを感じながらも堪える。

 ーーうわあ、ブバンブルキットのその顔!

 ちらりと盗み見た雄猫の顔はざまあみろ! とでも言いたげだ。後で不意打ちしかけてやろう、と心に決め、族長を真っ直ぐに見上げる。

「フロックスキット」
「はあい!」

 元気良い返事が空き地に響く。ーーあれ、また笑われた。
 首を傾げているとファイヤスターが髭を震わすのが視界に入る。気恥ずかしくなって耳がぴんと立った。

「本日より、戦士名を取得するまで、おまえはフロックスポーという名前になる」
「「フロックスポー!」」

 一族のみんなが名前を呼ぶ声に嬉しさでぞくっとした。

「ダストペルト」

 ファイヤスターが焦げ茶色の雄猫を呼ぶのを聞いて、フロックスポーは驚きに目を真ん丸くした。
 ーーそんな大先輩に指導してもらえるなんて!
 しかも、前から密かに憧れていた先輩。嬉しくて喉を鳴らしそうだ。

「フロックスポーの指導者になれ。おまえの勇気と決断力をフロックスポーに授けてくれることを期待している」

 フロックスポーは風のような速さでダストペルトの元に駆けて行き、わくわくしながら戦士の琥珀色の目を見上げた。土色の戦士はおかしそうに笑うと、首をかがめて鼻を触れ合わせて来た。

「すごく頑張ります!」

 小声で囁くと、ダストペルトも笑って返した。

「ああ、頑張れよ」

 フロックスポーは誇らしい気分でダストペルトの隣に立ち、バンブルキットの命名を見つめた。
 耳には全く入ってこなかったが。






ーあとがきー

久々の本家絡みです。文章の一部は本家の文章から引用したりしながら書きました。誰が見習いがいないのか探すのがわりと大変で……今読み直していますw
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Re: 紅色の星は惑い、決める

投稿 by ウィンターリーフ@冬葉 on Fri Mar 17, 2017 12:54 pm

第二話      “訓練”




 鼻腔を満たす香しい花の香り。甘く甘く、どこまでも甘い。その甘さに酔わないうちに花から顔を上げ、新鮮な空気をめいいっぱい吸い込んだ。

「ん……」

 キャンプの時より森の爽やかさを感じ、うっとりと目を閉じた。吹く風も、舞い落ちる葉も、足の裏に感じる土の感触全て、フロックスポーを興奮させる材料となる。

「いつまで浸ってるんだフロックスポー。縄張りを見たくないのか」
「いえっ、もちろん見たいですダストペルト!」

 指導者の声に我に返り、いけないと頭を振る。ーー訓練初日からがっかりさせちゃうところだった。
 フロックスポーは紅い目をダストペルトに向け、小さく頷いた。

「よし。じゃあ行くぞ。俺から遅れるな」
「はいっ!」

 元気良く返事して、自分より一回り大きい指導者の横を歩く。脇腹に硬く引き締まった筋肉を見て、フロックスポーはぱあっと目を輝かせる。そしてきょろきょろと落ち着きなく辺りを見回し、新しい発見をして興奮し、立ち止まりたくなるのを堪えるのだ。

 ーーなんて素敵なんだろう!

 フロックスポーは嬉しくて尻尾を揺らした。こんなにも爽やかかつ、鮮やかなものだとは思わなかった! 
 空はどこまでも蒼く、白い雲は穏やかに流れていく。自分の毛を撫でる風は温かいし、春の香りをいっぱいに溜め込んだ草木はさざめく。

 ーーほんと、綺麗。

 目に映るもの全て、魅了の力でも持ってるのでは? なんて馬鹿なことを思い、フロックスポーは嬉しさに耐え切れずに飛び跳ねた。

「わあいっ!」

 指導者が驚いて目を真ん丸くするのを視界の端に映しながら、フロックスポーは上機嫌に木の枝を蹴飛ばした。ころころっと転がっていくそれを追いかけ、軽く爪で痕を付ける。無意味な行為だけれど、それですら楽しかった。気分が高揚していたからだ。

「フロックスポー!」

 高揚した気分のまま振り返り、満面の笑みで応えたフロックスポー。そのまま、さあっと青ざめた。

「はしゃぐな騒ぐな動き回るな。無駄に動くと途中でへばる」

 こくこくと頷き、フロックスポーは前足にあった枝を除けた。ーーダストペルト、怖い!
 怒りを琥珀色の目に宿したダストペルトは口調は穏やかでも恐ろしかった。思わず気圧されたほどだ。フロックスポーは指導者を怒らせないことを心に誓い、神妙にすることを務めた。


 境界線で、その態度は壊れたが。




**




 『紅い星が一族を救う』

 そのお告げを聞いたのは、見習いになる数日前だった。
 ああ、今度は私なんだ、とぼんやり思ったのを覚えている。そのあと酷く狼狽えたが。

『火が一族を救う』

 それは族長ファイヤスターに降りたお告げ。族長はお告げ通り、サンダー族を救った。飼い猫から一族の救世主へ。なんとも御伽噺のような話を、長老たちはしてくれた。

 族長は飼い猫生まれだったため、今まで辛い目にあってきたのだという。事あるごとに“飼い猫”だと言われ、さぞ悔しい思いをしただろう。


 ーーこれからは、私も同じ運命を辿る。


 お告げが降りたということは選ばれたということ。お告げが降りたということは険しい道を進むということ。
 その運命を、ああそうですか、と落ち着いて受け入れられるか。


 ーーそんなのできるわけないじゃん。


 そうは言っても運命は運命だから。大人しく受け入れ、地を這いずっても、お告げに従ってやろうじゃない。


 と、思った。
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Re: 紅色の星は惑い、決める

投稿 by ウィンターリーフ@夏…… on Tue Jun 13, 2017 10:51 pm

お久しぶりです。

何の因果かログインできなくなってしまいました。暫くうだうだやってましたが結局できず……もう未登録で行こうかなと。あ、小説についてですが、今はただ停滞しているだけですので。決して捨てたとか、そういう事ではないので、大丈夫です。
時間ができ次第、いろんなものの続きを投稿していきます。

ではでは。



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Re: 紅色の星は惑い、決める

投稿 by ウィンターリーフ@冬葉 on Mon Jun 19, 2017 10:37 am

あ、ログインできました。お騒がせしましたm(__)m
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Re: 紅色の星は惑い、決める

投稿 by ウィンターリーフ@冬葉 on Fri Aug 25, 2017 2:36 pm

第三話 “決意の理由”






どうして。
どうして私が、予言の猫なの?


まだフロックスポーとして人生を歩む前のことだ。海辺に住んでいた一団の年若い戦士として、フロックスポーは生きていた。その頃の名前は【海月】。闇のような黒い毛皮に金色の目を持った、それはそれは美しい雌猫であった。

【一団を脅かす黒き物を、夜空に輝く月が制すだろう】……予言により選ばれたのは海月だった。

海月はたった一匹で、恐ろしい穴熊の住処へと送り出された。まだ若い雌猫で、恋すらまだなのに。一団の運命をその華奢な背に全てを託され、その重みに毎夜喘ぎ、泣いていたことを、誰が知っているだろうか。

結果は予想できただろう。海月は完敗し、全身に凄まじい傷を負って、命からがら逃げたのだ。

暗い洞穴でひとり、痛みに呻きながら恐怖に震える日々。
どんなに怖かったか。どんなに悲しかったか。どんなに……予言を怨んだか。それを、ひとりでも考えた者がいただろうか?

死ぬ間際。先祖からの迎えに、海月は牙を剥いて抵抗した。全身に怨みと怒りを纏わせ、血反吐を吐きながら叫んだ。

『おまえたちのせいだ! おまえたちが、私ひとりに予言を託すから!! 私に一体何の力があった! ただひとりの雌猫にすぎなく、秀でた才能もない。足だってとりわけ速くもなく、戦闘能力が高い訳でもない。そんな私が、どうやってあいつらを倒せると思う?』

先祖たちは何も言わなかった。ただ、慈愛に満ちた笑みを浮かべるだけだった。
それが海月をより怒らせた。所詮、おまえたちはただ託すだけかと。

『私を選ぶなら、特別な力でも備えて欲しかった。なぜ、私がこんなに辛く酷い目に合っている? おまえたちが私を無作為に選んだからだ!!』

思えば、長も馬鹿だった。
選ばれたからと言って海月だけを送り出す必要はなかったのだ。仲間がいれば、運命は変わっていただろうに。長は深く考えもせず、ただ先祖の声に従っただけだったのだ。




死んで、海月は先祖の元へはいかなかった。
なぜか生まれ変わり、今はこうしてサンダー族の見習い・フロックスポーとして生きている。
だから、フロックスポーは予言を受けた今、考えるのだ。

かつて、まだ子供だった海月は、自分の運命を呪い、予言を怨むことしかできなかった。そのせいで、ただ死へと向かう羽目になったのだ。


ーー今生では、決して海月のようにはならない。


決意を固め、フロックスポーは感謝する。新たなる生を授けてくれた、海月の先祖たちへ。






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Re: 紅色の星は惑い、決める

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