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僕だって、一族を救えるヒーローになれるんだっ!

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投稿 by シャイニングナイト Thu Apr 15, 2021 6:37 pm

余計なもの作りましたごめんなさい。
息抜きにちまちま書きたいなぁと。
ウォーリアーズ読み返してたら本家よりの話が書きたくなったのが新しいのを作った理由。
他のやつ進めろって話なんだけどねごめんなさい。

良かったら息抜きにでも楽しんで下さい!!!
読んでくれたり感想くれたらめっちゃ嬉しいです!

戯言はここまでにします。どうぞ見てって下さい。
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投稿 by シャイニングナイト Thu Apr 15, 2021 8:02 pm

登場猫紹介

主人公 ウォルナットポー(クルミの足)♂
ホワイト族見習い。薄茶色の縞柄の雄猫。目は明るく淡い緑。皮肉っぽく怒りっぽい。耳が聞こえない。指導者はビックブレイズ。

戦士 ビックブレイズ(大きな炎)♂
ホワイト族戦士。目は大きく琥珀色。長い真っ赤な毛皮を持つ雄猫。とても大柄。ポジティブで若干脳筋。元気で前向きで一族の皆に元気を与える存在。皆からの信頼が厚い年長猫。声がめちゃくちゃ大きくてうるさい。

ホワイト族
族長 ピースカラー(平和な色)♂
小柄な白い雄猫。目は薄ピンク。温和でしっかりしている。見習い時目の色のせいでいじめられていたので絶対に差別をしない。

副長 バタフライフライト(飛ぶ蝶)♀
黄色の雌猫。目は緑。ビックブレイズの同期でビックブレイズの推薦で副長になった。優しく優秀。

看護猫 リリーベルスロウト(スズランの喉)♀
薄いクリーム色の雌猫。とても綺麗な声を持っている。命に関わる事になると性格が一変する。

戦士 グレースモーク(灰色の煙)♂
濃いめの灰色の雄猫。目は緑。良いやつだがどこか抜けている。

戦士 レインウェザー(雨天)♀
青っぽい淡い灰色の雌猫。目は紫がかった青。額にしずく模様がある。穏やか。若干ビビリだが謎に強がる。

戦士 ジャギッドファイヤ(ギザギザの火)♂
ギザギザの縞のある赤茶色の雄猫。目は銀色。物言いが鋭い。後輩に親分風を吹かせたがる。

戦士 バブルピューピル(泡の瞳)♀
金茶色の雌猫。目は美しい水色。しっかり者でみんなから人気がある。ジャギッドファイヤに一番後輩扱いされている。

見習い ヴォウルポー(ハタネズミの足)♂
茶色のぶち柄の雄猫。目は黄色。陽気で楽しい事が好きだがしっかり者なのでやる時はやる。友達思い。指導者はグレースモーク。

見習い ミズルポー(霧雨の足)♀
美しい青みがかった毛皮を持つ雌猫。目は淡い紫。美しく落ち着いている。元飼い猫だが飼い猫らしさはほとんどない。指導者はレインウェザー。

ブラック族
族長 レイヴンカラー(カラスの色)♂
真っ黒な雄猫。目は鋭く黄色。全てを見透かしているようで怖いと皆に言われている。他人を信用しない性格。

副長 ウッドテイル(木の尻尾)♀
焦げ茶色の雌猫。目は緑。尻尾が長い。ブラック族1しなやかな体を持っている。

看護猫 ソフトベリー(柔らかいベリー)♂
赤茶色の雄猫。目は青色。カラー族のお告げで看護猫にされた。荒っぽい。

レッド族
族長 フォックスカラー(狐の色)♂
薄茶色の雄猫。目は青色。鼻がいい事で有名。惚れっぽい。

副長 スカイリープ(跳ねる空)♀
青みがかった淡い灰色の雌猫。目は黄色。とても騒がしいが指導力がある。

看護猫 ウォーターフット(水の足)♀
足先だけ青い灰色の雌猫。目は琥珀色。かなり高齢だがボケてはいない。優秀な皆の憧れの的。

ブルー族
族長 オーシャンカラー(海の色)♂
青色の縞柄の雄猫。目は淡い海色。おちゃらけた雄猫で場を和ませるのが得意。争い事は大嫌い。

副長 アローソウル(矢の魂)♀
銀色の雌猫。目は黄色。背中に長い傷跡がある。トゲトゲしいし好戦的だがオーシャンカラーにとても忠実。

看護猫 シャープイヤー(鋭い耳)♂
金茶色の雄猫。目は青色。耳の先が鋭い。恋愛大好きマン。騒がしい。恋愛相談が得意。秘密は絶対に守る。


最終編集者 シャイニングナイト [ Wed Aug 04, 2021 11:59 am ], 編集回数 3 回
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投稿 by シャイニングナイト Thu Apr 15, 2021 10:33 pm

プロローグ

 僕はウォルナットキット。生まれつき、耳が聞こえなかった。でも、口の動きでだいたい何が言いたいか分かる。僕は、看護猫になりたかった。病気や怪我は力だけでは何ともならないけど、看護猫はそれを治すことが出来る。いくら狩りが得意でも、一族の看病は出来ない。いくら戦いが出来ても、一族に危険を教えられない。看護猫なら、看病も出来るしカラー族からお告げを貰って一族に危険を知らせることも出来る。戦士は何匹もいるが、看護猫はたった1匹のかけがえのない猫だ。皆に必要とされ、頼られる存在。そんな存在になりたくてたまらなかった。
でも、ウォルナットキットは、耳が聞こえなかった。

 ウォルナットキットは、族長部屋に向かった。後数週間で見習いになれる生後6ヶ月だからだ。
「ピースカラー?入ってもいいですか?」
ウォルナットキットは丁寧に呼びかけた。
「ウォルナットキットかい?お入り」
ピースカラーの優しい声がした。ウォルナットキットは耳が聞こえなかったのでそれが聞こえなかったが、族長が部屋の草のカーテンを揺らしたので入っても良いのがわかった。
「お話があるのですが」
暗がりに目が慣れて族長の口元が見えるようになってから言った。
「なんだい?」
族長がゆっくりと口を大きくハッキリ開けて話した。
「僕が見習いになる時になったら、看護猫見習いにして下さい」
ウォルナットキットは堂々としっかりした声で言った。
「か、看護猫見習い?」
ピースカラーが戸惑ったように聞き返した。
「そうです。看護猫見習いにして下さい」
ウォルナットキットは強い口調で言った。
「そ、そうか。考えておくよ……」
ピースカラーが無理やり顔に笑みを浮かべたのがウォルナットキットには分かった。族長は僕に看護猫は無理だと思ってるんだ!ウォルナットキットは毛を逆立てた。僕にだって出来る!

 キャンプ中が僕の噂でいっぱいになった。嫌な声がたくさん"見えるように"なり不愉快でたまらなかった。
「耳の聞こえない猫が看護猫?」
「緊急事態を知らせる鳴き声が聞こえなかったり、患者の急な容態の変化を知らせる微かな音が聞こえないじゃない」
「無理だ。そんなのに一族の命を任せられない」
見たくないなら見なければいい。でも、目に飛び込んでくる。何だよ!僕だって一族の命を救いたいんだ!ウォルナットキットはカッとして、辺りを見渡した。すると、胸がズキンと傷んだ。
「看護猫見習いはおろか、戦士見習いにもなれない猫が何を言ってるんだ」
そう言っている戦士がいたのだ。嘘だろう?僕を戦士見習いにしない予定だったのか?そんなのって、酷い。僕だって好きで耳が聞こえない訳じゃないのに。

 しばらくすると、何故か命名式が行われた。ウォルナットキットはイライラした。今からなんだって言うんだ。
「ウォルナットキットの命名式を始める。ウォルナットキット、君は今日からウォルナットポーという名になる。指導者はビックブレイズだ」
ピースカラーの口がそう動いた。ウォルナットポーはビックブレイズの方を見た。ビックブレイズは驚いたように大きな目を更に見開いて、立ち上がった。
「ビックブレイズ。君はとても優秀で忠実で、決して諦めない。君ならウォルナットポーを立派に育て上げられる」
ピースカラーの目が和らぎ、まるで自分の子供を見るかのような瞳になった。
「任せて下さい、ピースカラー。絶対に誰もが驚く素晴らしい戦士にしてみせます」
ビックブレイズは誇らしげに胸を張った。ビックブレイズがウォルナットポーに寄ってきた。僕は後ずさりした。僕は看護猫見習いになりたいんだ!戦士見習いじゃない!だが、周りの視線がチクチク刺さるかのように感じるし、ビックブレイズの大きな瞳いっぱいに傷ついた表情が浮かんでいる。ウォルナットポーはしぶしぶビックブレイズと鼻を触れ合わせた。
「「ウォルナットポー!ウォルナットポー!」」
一族が大声で叫んだ。本心じゃないくせに。ビックブレイズを応援にしているに違いないとウォルナットポーは苦々しく思った。
「よし。これから縄張りを見て回るぞ。着いて来い」
ビックブレイズは優しく、そして力強く言い、ウォルナットポーの横腹を尻尾で撫でた。
「子供扱いしないでください!」
ウォルナットポーは鋭く唸った。
「ハハハ!小さい時の俺みたいだ」
ビックブレイズは可笑しそうに笑うと尻尾をピンと立ててついてくるように合図した。ウォルナットポーはため息を着くとビックブレイズに続いてキャンプを後にした。
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投稿 by シャイニングナイト Sat May 01, 2021 10:11 am

第1章

 ウォルナットポーは夢を見ていた。ここはどこだろう。とても美しく、キラキラと輝く野原が広がっている。
「ようこそ、ウォルナットポー」
力強く、優しい声がした。星で縁取られているその雄猫は金茶色で、夜空をそのまま瞳に取り込んだような青い瞳をしている。
「驚いているかな?」
その雄猫は面白そうに囁いた。
「こ、声が聞こえる」
ウォルナットポーは震える声で呟いた。
「だってここは夢だ」
金茶色の猫はサッと尻尾を振った。
「失礼な事をお聞きしますが、貴方様はどちら様ですか?」
直感でカラー族様だと悟り、礼儀正しくお辞儀をして告げた。
「俺はピースカラーの前任の族長、フラッシュカラーだよ」
金茶色の雄猫もお辞儀を返した。
「えっ。ぞ、族長様が、な、何故僕なんかにカラー族様が……?」
僕はつっかえて聞いた。フラッシュカラーは可笑しそうに喉を鳴らした。
「驚き過ぎて文になってないよ、ウォルナットポー。君にどうしても言わなくちゃならない事があって来たんだ」
フラッシュカラーは優しく続けた。
「君の運命の鍵を握る猫が現れる。朝起きたら北に向かえ」
フラッシュカラーは突然真剣な声になって告げた。ウォルナットポーは不思議に思った。どんな猫が現れるのか訪ねたくてたまらなかったが、失礼なのでグッと堪えた。
「わかりました。……会いに来てくださってありがとうございます。僕、カラー族様に会ってみたかったんです」
ウォルナットポーは再び礼をした。
「ふふっ。やるべき事をしただけだよ」
フラッシュカラーは微笑んだ。それと同時にフラッシュカラーの姿がだんだんと薄れてきた。すると、ごつい前足でつつかれる感触がした。
「何ですか?」
ウォルナットポーは不機嫌な声で聞き、起き上がった。また無音の空間に戻っている。目の前には赤い大きな雄猫がいる。
「北の方へ狩りへ行きましょう」
ウォルナットポーはハッとして言った。
「何でだ???」
ビックブレイズは首を傾げた。
「そんなのはどうでもいいんです。行かなくちゃならないんです」
ウォルナットポーは思わず激しく言った。
「ハハハ!まぁそういう事もあるよな!」
ビックブレイズはいつも僕の事を分かっているような口振りで喋る。そういえば、北って何があったっけ?ブルー族の縄張りと〈二本足の住処〉があるな。運命の鍵を握る猫って、誰なんだろう。ウォルナットポーは期待に胸をふくらませた。素晴らしい猫だといいな。


最終編集者 シャイニングナイト [ Wed Jul 21, 2021 10:02 am ], 編集回数 1 回
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投稿 by シャイニングナイト Sat May 01, 2021 11:01 am

第2章

 ウォルナットポーが食事をする間を惜しんで出かけようと出入口でソワソワしていると、ヴォウルポーが走ってきた。
「そんなに焦ってどこ行きたいんだ、ウォルナットポー!」
ヴォウルポーが不思議に聞いた。
「別に、どこでもいいだろ?」
ウォルナットポーは唸り声で答えた。
「ビックブレイズはゆっくり食事をしてるぞ。いっそなら君もしたらどうだい?」
ヴォウルポーは尻尾を振った。ビックブレイズは尻尾で僕を手招いている。
「分かったよ」
ウォルナットポーはため息を着くと、獲物置き場から小さなトガリネズミを取った。そして、なるべく素早く食べた。隣ではビックブレイズが大きなウサギをガツガツ食べている。
「早くして下さい」
ウォルナットポーは怒鳴りそうになるのを堪えて唸った。
「食事ぐらいゆっくりさせてくれよぉ!」
ビックブレイズはハハハと笑った。
「笑い事じゃないです!!!これは僕の人生がかかってるんです!!!」
ウォルナットポーはカッとなって思わず怒鳴った。ビックブレイズは驚いた顔をする。
「分かった。行こう」
ビックブレイズはようやく分かってくれたようでそっと頷いた。ウォルナットポーは風を切るような速さで北へ向かった。そして、辺りを嗅いだ。猫の匂いがしないだろうか。すると、ブルー族の猫の匂いを感知した。
「こっちかもしれない!」
ウォルナットポーは呟くと、ブルー族との境界線に走った。だが、そこには猫1匹いない。ウォルナットポーはガッカリして肩を落とした。
「ブルー族に何か用があったのかい?」
ビックブレイズは追いついてたずねた。
「いえ。僕の間違いでした」
ウォルナットポーは悔しさで唇を噛んだ。すると、猫の悲鳴が聞こえた。こっちじゃなかったんだ!
「こっちです!今度は間違いなく!」
ウォルナットポーは叫んだ。何故か絶対だと確信出来た。自分の運命に関係ある猫だからかもしれない。だが、ついてみるとウォルナットポーは絶句した。
「飼い猫じゃないか!」
美しい青みがかった飼い猫が泥にはまってジタバタしていた。ここら辺は雨が降るとぬかるんで足をとられてしまうのだ。体の小さい猫から泥に埋もれて死んでしまう。その飼い猫には紫色の首輪が着いていた。僕は興奮が一気に冷め、ふんと鼻を鳴らした。
「飼い猫!僕らの縄張りに何しに来たんだ!」
ウォルナットポーは激しく言った。
「ご、ごめんな、さい。どうして、も、森に行きた、くて」
雌猫は泥の中から顔だけを必死に浮かせて告げた。助けてとは一言も言わない。自分が悪いのを分かってるんだ。図々しい事は言わないように心がけてるんだ。ウォルナットポーは胸が傷んだ。ウォルナットポーは泥に顔を突っ込んだ。ここだ。僕は雌猫の首筋をそっと咥えると、うんと体を反らせて持ち上げようとした。だが、泥をたっぷりと染み込ませた雌猫の長い毛はとても重くなっていた。
「今助けてやるからな」
ウォルナットポーは歯の隙間から声を出した。雌猫がゴホゴホと咳をする。ウォルナットポーは力を込めて力の限り引っ張った。雌猫は痛みに顔を顰めたが、それと同時に雌猫は泥から抜け出した。
「ありがとう……。ごめんなさい……」
雌猫はそう言って体を振って泥をはね散らした。
「おい!」
ウォルナットポーは唸った。
「ごめんなさい」
雌猫はそう言って僕の毛を舐め始めた。
「なぁ、僕耳が聞こえないんだ。口の動きでなんて言ってるか見てる」
ウォルナットポーは唐突に言った。
「あら。ごめんなさい!」
雌猫は驚いてゆっくりハッキリ口を開けてペコリと頭を下げた。
「構わないよ。慣れっこだ」
ウォルナットポーはぶっきらぼうに言った。
「やぁ、飼い猫ちゃん!」
ビックブレイズが茂みから出てきた。
「ウォルナットポーがどんな行動をとるか見てたんだ。正しい選択をしたね!」
ビックブレイズはウィンクした。
「どうでもいいです」
ウォルナットポーはそう言うと、飼い猫の首輪を噛みちぎった。
「何してるんだ、ウォルナットポー!」
ビックブレイズが驚いて叫んだ。
「こいつを部族猫にします」
ウォルナットポーは堂々と宣言した。
「まぁ!嬉しい!」
飼い猫は歓声を上げた。ビックブレイズは混乱して顔をしているが、何とか頷いた。空いた口がふさがっていない。
「名前は?」
ウォルナットポーは向き直って告げた。
「ミズルよ」
雌猫はウォルナットポーを見つめ返した。
「じゃ、ミズルポーだな」
ウォルナットポーは勝手に決めると、さっさと歩き出した。ビックブレイズはミズルポーに歩調を合わせ、色々説明している。フラッシュカラー、貴方様の言う通りにしましたよ。これでよろしかったですか?
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投稿 by シャイニングナイト Mon May 03, 2021 7:05 pm

第3章

 ウォルナットポーは、ごくりと唾を飲み込んだ。目の前には、険しい表情をした族長が座っている。
「で?」
ピースカラーは、部屋に呼び出されてから一言も喋らない僕に、喋るようにうながした。
「何か正当な理由はあるのかな?」
ピースカラーは淡々と続ける。
「こんな勝手な行動をとるよっぽどの理由が。誰が飼い猫を部族にいれていいなんて言ったんだ、ウォルナットポー」
カラー族様です、とウォルナットポーは心の中で言った。でも、声には出さなかった。何となく言わない方がいい気がした。
「困っている者は助ける事、と戦士の掟にあります」
ウォルナットポーは震える声で答えた。
「助けたのは良かった。でも一族に連れ込めと戦士の掟にある?あの飼い猫の飼い主が飼い猫を探しにここまできたらどうする?」
ピースカラーはゆっくりと、まるで子供に話しかけるように言う。
「連れ込まなきゃいけなかったんです!」
ウォルナットポーは怒鳴った。
「これは僕の運命なんです!この飼い猫を一族に入れるのが僕の役目だったんです!信じて下さい!」
僕は悲痛な声で叫んだ。カラー族様の事を伏せて話すと、絶対信じてもらえない。上手い言葉が見つからない。
「なぜ分かる?何の根拠があってそれを言ってるんだい?」
ピースカラーは立ち上がった。それが見習いが族長に対する態度か、と言いたげな目をしている。
「信じて下さい!!!!!」
ウォルナットポーは今まで出した中で1番の大声で叫んだ。ピースカラーが本気でびっくりする。そして、諦めようにため息をついた。
「分かったよ。とりあえずは置いておくとしよう。でも、役に立たなかったら、飼い猫には出ていってもらうよ」
ピースカラーはやれやれと言って座り直した。
「ありがとうございます。今日の夜中には、アイツの指導者を決めてやってくださいね」
ウォルナットポーはそう言うと族長部屋を出た。一族がざわざわしている。レッドブレイズから話を聞いたようだ。飼い猫はおどおどしたりせず、優雅な座り方で座りながら、落ち着いた笑顔でみんなを見ている。
「よぉ」
ウォルナットポーは飼い猫に駆け寄った。飼い猫は嬉しそうに目を輝かせる。
「ウォルナットポー!ここ、いいところね」
飼い猫━━もうすぐミズルポーになる猫━━が喉を鳴らした。
「そうだろ?」
ウォルナットポーは雑にうなずいた。ウォルナットポーは物思いにふけっていて、まともに話を聞いていなかった。カラー族様、本当にこれで良かったのですか?
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投稿 by シャイニングナイト Wed Aug 04, 2021 11:58 am

第四章

 「自分で獲物を捕まえられる年齢の者は全員、集合しろ!」
ピースカラーが大声を上げた。看護部屋でリリーベルスロウトを手伝って、薬草のえり分け作業をしていたウォルナットポーは、はっと顔をあげた。ミズルポーの命名式だ。すっかり忘れていた。自分の運命の鍵を握る猫の命名式を忘れていたことに後ろめたさを感じながらも看護部屋から出て空き地に座った。ミズルは族長のすぐ前に座っていた。命名式を受けるからだろう。毛並みは整えられて太陽の光を浴びて銀色にきらめいている。
「これより、ウォルナットポーが連れてきたこの飼い猫に見習い戦士名を与えたいと思う」
ピースカラーの声は、反論の鳴き声でかき消された。そのけたたましい反論の声の中、ひときわ大きな怒鳴り声が上がった。ウォルナットポーには、けたたましい鳴き声が聞こえなかったので、ピースカラーの言葉と、反論しようと立ち上がった雄猫の言葉に集中することができた。
「族長!本気で飼い猫を受け入れるおつもりですか?我々は食わせなきゃならない猫を増やしている場合ではありません!さっさと追い出しましょう!」
立ち上がったのはジャギッドファイヤだ。牙をむき出して赤茶色の毛を逆立てている。
「口を慎め、ジャギッドファイヤ。とりあえず試してみるだけだ。もちろん私は一族を最優先する。この飼い猫が役に立たなかった場合、一族の負担になるので追い出す。だが、役に立った場合は一族の負担を減らすことになる。違うか?それに私は生まれで誰かを差別したくない」
ピースカラーがピンクの瞳でジャギッドファイヤをにらんだ。シャギッドファイヤはおとなしく座ったが、隣のバブルピューピルに何やらぼそりと呟いたのが見えた。
「これよりこの飼い猫をミズルポーと命名する。指導者はレインウェザーだ」
淡い灰色の雌猫は慌てて立ち上がった。
「君はそろそろ初めての弟子を持っていいころだ。君の持っているすべてをこの猫に伝授してほしい」
ウォルナットポーは指導者になっているレインウェザーをうっとり見つめた。いいなあ。指導者になるってどんな感じだろう。きっと誇らしくて少し不安な気持ちなんだろうな。なんて想像をする。自分には絶対味わえない気持ちなんだろうなと苦々しく思いながら。考え事をしていたせいで、その後を見逃してしまった。気づくと、もう集会はお開きにされていた。
「ウォルナットポー!」
ビッグブレイズが大声で呼んだ。が、もちろんウォルナットポーには聞こえない。ビッグブレイズが駆け寄ってきた。突然目の前に真っ赤なデカイ姿が現れ、ぶつかりそうになる。
「パトロールに行くぞ!」
見上げると、ビッグブレイズの口がそう動いた。やった!初めてのパトロールだ!ウォルナットポーは尻尾を立ててしまわないように気を付けた。
「メンバーは、俺、お前、レインウェザー、ミズルポー、ジャギッドファイヤだ」
ビッグブレイズが尻尾でメンバーを指しながら言ってくれたおかげでわかりやすかった。だが、それと同時にジャギッドファイヤがいると聞いて一気に気分が下がった。
「早速行こう。ブラック族との境界線を見回りに行くぞ!」
ビッグブレイズがそそくさと行こうとしたので、ウォルナットポーは引っかかった部分を口にした。
「ミズルポーは今日見習いになったばかりなのにパトロールに参加するんですか?」
何だか少しずるい気がした。
「縄張りを教えて回るついでだ。パトロール隊と混合なら、レインウェザーの分の戦士を狩りに行かせることができる。その方が負担が減るってことだ。飼い猫が来たことで負担が増えないよう、族長は配慮してくださっているんだ」
ビッグブレイズがさっと尻尾を振った。早く来いと言われているんだ。ウォルナットポーはおとなしく指導者について行った。
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投稿 by シャイニングナイト Fri Aug 06, 2021 7:29 pm

第五章

 ウォルナットポーたちパトロール隊はブラック族との境界線へ向かっているところだった。少しするとビッグブレイズは立ち止まってウォルナットポーを試した。
「ここからどっち方向へ行くとブラック族の縄張りかな?そして、何か匂うか?」
皆の前でテストされ、ウォルナットポーはむっとした。それに、僕は戦士になどなれないと思っているジャギッドファイヤの前でなんて!
「古くなった狐のにおいがします。部族の縄張りのはずれへ匂いは続いているので恐らく巣穴はそっちにあるでしょう。それから、風に乗ってブラック族のにおいがします。ブラック族の縄張りから匂うのか、ぼくたちの縄張りで匂うのかはわかりません」
ウォルナットポーは素早く鼻をひくつかせると、落ち着いて堂々と答えた。
「よろしい。さすがウォルナットポーだ」
ビッグブレイズが喉を鳴らして、優しく目を細めた。その後、意味ありげにちらっとジャギッドファイヤを見た。そういうことか。ウォルナットポーは指導者の気遣いに感謝した。ビッグブレイズは僕は他の見習の誰にも劣らないということをジャギッドファイヤに示す機会を与えてくれたのだ。だが問題のジャギッドファイヤからは表情は読み取れない。

後で編集更新しまーす。
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