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湖の底、サボテンとアイビー猫2匹

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投稿 by サーモンテイル Sat Oct 22, 2022 10:26 pm

ハニドさんのお題で書かせて頂きました小説ですーー
こちらのお題ですね
✳
昔に湖で溺れた主人公。

その時助けてくれた猫がスター族ではないかと後に考え始める。

その猫にどうしても会いたくて、自殺などを考え、周りに止められ、色々ある話。

最後はハッピーエンドで。

変えてもいいです。
✳

完結までの見通しが立ったので載せます。完結はいつになるのやら、、さけおオリジナルよりは短めで作ってるのでこちらを優先して進めていきますつもりです、
設定は次のコメ
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投稿 by サーモンテイル Sat Oct 22, 2022 10:40 pm

世界観はさけおオリジナルの叶わない夢だったの方と基本同じです。
ざっと、今決まってる範囲での登場猫はこちら

主人公 カクタスファー(サボテンの毛)
琥珀色の目を持つ、黒い雄猫。夏の一族の戦士
スター族(ここでは四季の一族)  アイヴィーリーフ(蔦の葉)
緑の目を持つ、淡いトラ柄の雌猫。もと夏の一族

夏の一族
族長 ロングスター 青い目を持つ、ショウガ色の雌猫。
副長 リードストーク(葦の茎)  灰色に白のまだらがある、金色の目をした雄猫。
看護猫 シードサンシャイン(日差しの種)  レインディアーの妹。毛足の長い三毛柄の雌猫。
戦士
レインディアー(トナカイ) 茶色に白い斑点がある雌猫。

こんな感じかしら。必要だと思ったら随時追加していきます。


お題と違ってきたらごめんなさい!!!
私なりの解釈で書かせていただきますー!


追記:完結目前でミスに気づいたあんぽんたんさけおです。看護猫間違えてました。シードサンシャインが看護猫です。すみません。訂正しました。


最終編集者 サーモンテイル [ Sun Oct 30, 2022 4:08 pm ], 編集回数 1 回
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投稿 by サーモンテイル Sat Oct 22, 2022 10:42 pm

プロローグ


誰か!!!
助けて!!!
息ができない!!!
もがいてももがいても、上に上がることができない。
まるで、湖の底から引っ張られているみたいだ。
必死にもがいていた手足も、もう感覚がなくなってきている。
いつもならこれで上に上がれるはずなのに、どうして浮かべないんだろう?
逆に冷静になってきたところで、とっても眠くなってきた。
僕の命もここまでか、、。

意識を手放す寸前、光る猫が見えたような、気がした。
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投稿 by サーモンテイル Sun Oct 23, 2022 5:25 pm

第一章 目覚め

—き…て!!
ん、、?
—起き…!!
なにかきこえる、、?
—起きて…!!
起きて?

「起きて、カクタスファー!!!!!」

はっと目が覚める。声の主の方を見ると、そこにいたのは光る猫、、、
ではなく、同期のレインディアーがいた。
「良かった、、、!待ってて、今シードサンシャインを呼んでくるから!!」
まったく騒がしいやつである。看護猫を呼びに行った彼女を待っていると、他の猫もわらわらと集まってきた。
「カクタスファー!!良かった、目が覚めたんだな!!」
「生きているのは本当に奇跡だぜ?シーズン様のご加護があったんだな!!」
「生きてて良かった、、死んじゃったかと思ったんだから!!」
ようやく思い出してきた。そうだ、僕は湖で溺れて、、
思考を巡らせていると、それを断ち切るように看護猫であるシードサンシャインが駆け込んできて、僕のすぐ近くで急停止した。
「カクタスファー!!!良かった、目が覚めたのね!!呼吸は、、異常なし。熱も、、無さそうね。怪我は?ない?それは良かった。正に奇跡だわ。助けてくれた猫にお礼を言わなくちゃね」
一気にまくしたてると、暫く安静にするようにと言って、また外へと飛び出していった。
全く賑やかな猫である。そしてその姉であるレインディアーもまた賑やかな訳で。
「どうして湖なんかで溺れたの?あなた泳ぎは悪くないはずでしょ?わかった、調子に乗って水をかく足を減らしてみたんでしょ。私もこの前後ろ足だけで泳いだら全然泳げなくてさあ。あれ、ちょっと、聞いてる?」
お前とは違う、と言いたかったけれど、どっと疲れが押し寄せてただ黙っていることにした。
「ごめん、疲れてるよね。ゆっくり休んで。おやすみ」
レインディアーも察したのか、看護部屋を後にした。そして、残るは僕1匹。
そうそう、湖で、光る何かを見つけて潜ってみたんだっけ。
そしたら、何かに引っ張られてるみたいに上に上がれなくて。
明日は大集会だから、誰が助けてくれたのか聞いてみよう。そう思いながら眠りについた。
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投稿 by サーモンテイル Mon Oct 24, 2022 6:05 pm

2話 大集会

待ちに待った大集会。ロングスターが、みんなの前で話してくれるらしい。
助けてくれた猫にお礼を言わなきゃ。きっと優しい猫なんだろう。他の部族の縄張りに入るって、相当な勇気がいるし。確かに僕が溺れた場所は、どこの縄張りでもない広場の近くだったけれど。
そんなことを考えていたら、あっという間に大集会が行われる広場に着いた。
もう他の一族は揃っている。僕の一族がびりだ。
「サマーも来たな。よし、これより、大集会を始める!!」
今回の大集会は、秋の一族の族長、ストーンスターの号令で始まった。
「我々秋の一族は、特に不自由なく暮らせている。特に報告すべきことはない」
ストーンスターはそう言って、ウィンターに場を譲る。
「私たち冬の一族では、クリスタルキットが6ヶ月を迎え、クリスタルポーという見習いになりました。めでたいことです」
冬の一族の族長、スノウスターが嬉しそうに報告した。ウィンターの猫が新しい見習いを讃える声を出し始め、次第に全体がクリスタルポー!クリスタルポー!と歓声に包まれた。どんな見習いかなと首を伸ばすと、照れ臭そうに、しかし誇らしそうに胸を張っている白い子猫が見えた。
「スプリングでもめでたい事があった。我々、春の一族は母猫が1匹新しい命を身籠った。生まれ次第、また報告する」
めでたい報告が続き、場がほこほこと温まったところで、夏の一族の番がきた。
「我々、夏の一族では、1匹の戦士が広場の近くの湖で溺れました。が、誰かに助けられて今もこの場に来ることができています。助けてくださった方に感謝を示します!」
周りがざわざわと囁き声に包まれる。
「一度会ってお礼を言いたいのです。もしかしたら浮浪猫かもしれませんが、何か知っている方がいましたらサマーの誰かに言ってくださると嬉しいです」
そう言ってロングスターも下がり、ちょっとした雑談会のようなものがあった末、大集会はお開きとなった。
しかし今日が終わっても、次の日になっても、僕を助けた猫について知っている者は現れなかった。
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投稿 by サーモンテイル Tue Oct 25, 2022 11:46 pm

3話 どうしても会いたい

「うーん、、」
「どうしたの、思い詰めた顔して?」
ひょこっと効果音が付くような動きで、レインディアーが茂みから顔を出した。
「助けてくれた猫のこと、」
「ああ!!そういえば、まだ見つかってなかったんだっけね。やっぱり、浮浪猫のセンが怪しいんじゃない?でも、近くに猫の匂いがしなかったってのが謎よねえ、、」
そういって首を傾げる。
「それにしても、そんなに気になるものなの?命の恩猫って」
「気になるものだよ。一度会って、お礼を言いたいじゃないか」
ふうん、と呟いて彼女は空を仰いだ。何だよ、聞いておいて、と言おうとしたところでまた口を開いた。
「もしかして、シーズン様だったりして。シーズン様が、助けてくれたのかもよ」
にっ、と笑うレインディアー。
「っ、!そうか!!」
シーズン様か!!!これなら、最後に見えた光る猫も、シーズン様だったのかもしれないと説明がつく。猫の匂いがしなかったのも、説明がつく!
「わ、どうしたの、急に大声だして」
「ありがとう、レインディアー!!解決するかもしれない!!」
「ちょ、ちょっと、カクタスファー!?」
目を丸くしているレインディアーの横を駆け抜け、全力で走って湖へ向かう。
何でこんなに急いでいるのか、何故こんなに急ぎたいのか、分からないままに走り続けると、あっという間に湖についた。
息を切らしながら、空を見上げる。
「シーズン様!!僕を助けてくれたのはシーズン様ですか!?」
思いっきり叫ぶと、返事の代わりに、嗅いだことのない匂いが風に乗ってふわりと漂ってきた。
葉っぱ、、?何の葉っぱだろう?
でも、やっぱりシーズン様で間違いない。
どうやったら会える?
四季の一族に行けばいいのか。
どうやったら四季の一族に行ける?
命を、落とせばいいのか。
よし。

命の恩猫に会いたい一心で、湖に顔を突っ込んだ。
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投稿 by サーモンテイル Wed Oct 26, 2022 8:37 pm

4話 レインディアーがみたサボテン

急に駆け出したカクタスファーがやっぱり心配で、追いかけてきたは良いけれど。
「あいつ、足はっや、、、」
すっかり見失ってしまった。シーズン様の話をしていたから、木の上?広場の方?
、、あ。
「湖か、!」
なるほどなるほど、湖なら納得がいく。
大方、湖の近くであの時のシーズン様を探すのだろう。
そうと決まれば、と湖に足を運ぶ。
湖に近づくと、カクタスファーの声がした。
「シーズン様!!僕を助けてくれたのはシーズン様ですか!?」
やっぱりそうだ。私の推理は大当たりかな?そしたら、彼の隣で一緒にシーズン様を探してやろう。
そう思いながら茂みを抜け、湖の方へ顔を出す。
そこで目に留まったのは、湖に顔を突っ込んでいるカクタスファーの姿だった。
「カクタスファー!!!!!!!!!!」
小枝が足に刺さるのも気にせず、茂みから大慌てで駆け寄る。
「駄目だよ、カクタスファー!!!そんなに水の中にいたら、死んじゃうよ!!!!」
「ーーー」
無理矢理引き摺り出すと、当の本人は不服そうな顔をしてこちらを睨み付ける。
「何で止めるんだよ。僕はただ、彼女に会いたいだけなのに」
「この、ばかっっっ!!!」
思いっきり、カクタスファーの頬を叩いた。
「ーーー!何すんだよ!!!」
「こっちの気も知らないで!!!お願いだから、、お願いだから、命を粗末にしないでよ!
湖で溺れたと知った時、そして看護部屋で目を開けた時、どんな気持だったかも知らないで、勝手に死のうとしないでよ、、」
涙が出そうになって、慌てて駆け出した。
カクタスファーが自分を呼ぶ声がした、気がする。
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投稿 by サーモンテイル Fri Oct 28, 2022 5:48 pm

因みに10話完結で、エピローグという名の蛇足とあとがきという名の雑談がつきます。
念のため言っておくと
これはあくまで物語であって自ら命を絶つことをすすめる意図はありません
まあ、、そう捉える人ほぼいないと思うけど世界は広いので、、。


5話 初めまして


今日もシーズン様には会えなかった。レインディアーに止められてしまったのだ。
でも諦めるつもりはない。明日こそ。明日こそ、シーズン様に会うんだ。
そう思いながら眠りについた。

〈ねえ〉
〈ねえ、あなた、カクタスファーでしょ?〉
「だれ?」
〈ふふ、初めまして
貴方が探していたから、来てあげたの〉
「ー!もしかして、僕を助けてくれたシーズン様?」
〈そうよ〉
「あっ、えっと、あの、助けてくれてありがとうございます!!!」
〈敬語じゃなくていいよ。貴方と同じくらいの歳だから〉
「そ、そう?ねえ、君の姿を見せてよ。ここじゃ霧ばっかりで見えないんだ!!」
〈それは、まだ出来ない。想像してよ。緑の目をしたトラ柄の雌猫。〉
「何で出来ないのさ!僕、、僕、ずっと会ってみたかったんだ!!」
〈いつか会えるわ。いつか、四季の一族で会いましょう〉
「待って!!行かないで!!まだ君と話が」

、、。朝だ。
でも、夢でシーズン様に会え、、てないか。話をすることができた。綺麗な声の雌猫だった。しかも、落ち着いた性格の。そう、あいつとは違って。
「カクタスファー!!ねぼすけさんね!!貴方、パトロール隊に選ばれてたよ!!私と、貴方と、ニードルクローと、ブラックイヤー。ほら、もうすぐ出発よ!!」
全く、寝起きにこいつの声は頭に響く。
「わかったよ」
「ほら、早く!!」
渋々起き上がり、仲間と合流する。
パトロールが終わったら、もう一度湖に顔を突っ込んでみよう。あ、血を流すのもいいかも。
パトロールでは何も異常はなく、そんなことを考えていたらすぐ終わった。
そして、正午のグルーミングの時間。
毛繕いをし合う猫の間を抜け、キャンプの外に出る。
沼地を抜け、小川が流れる場所まで来た。そこで、自分の手首に鉤爪を食い込ませた。
「ーーーっ!!」
あまりの痛みに顔を顰めたが、彼女に会う為だと奮い立たせ、引っ掻く。
そして川に手を突っ込む。これで部族の仲間に血の匂いで嗅ぎつけられることはない。
だんだん視界がぼんやりしてきた。
今度こそ、彼女に、会える、かな。
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投稿 by サーモンテイル Fri Oct 28, 2022 5:56 pm

もいっこ載せます(((
今日はこれ含めて5と6を載せてます。

6話 募る想い


〈また会えたわね〉
「会えてないよ。君の姿が見えないもの」
〈貴方と話せて嬉しいわ〉
「へへ、僕も嬉しい。君に会う為に痛いのも我慢したんだ」
〈ああ、貴方に姿を見せられたらどんなに良いか!!〉
「そうだよ。僕も君を見たいんだ」
〈ふふ、でも私は、貴方のことをずっと見てるわ〉

目が覚めると、そこは看護部屋だった。左手首には蜘蛛の巣がぐるぐるに巻かれている。
「カクタスファー」
声の方に顔を向けると、そこには副長であるリードストークの姿があった。
「どうしてそんな事をしたんだ?何か悩みでもあるのか?」
低くて優しい声だった。それでいて、隠しても無駄だという力強さもあった。だからきっぱりと言った。
「悩みなんてありません。僕を助けてくれた、四季の一族の彼女に会いたいだけなんです」
リードストークは一瞬顔を顰めた後、少し考えてそうか、とだけ言った。
「でも、身体は大事にしろ。どうせみんな、いつかは死ぬんだから、早まる必要はない」
そう言い残し去っていった副長の背中を見ながら、言われた言葉について考えていた。
頭では分かっているけれど、抑えられないこの感情は何なんだろう?どうしても、どうしても彼女に会いたいんだ。
「カクタスファー?カクタスファー!!目が覚めたんだ!!良かった、無事で、、!」
はぁ。またお前か、レインディアー。
「何でそんなに身体を大事にできないの?!スプリングが呼びに来なかったら、貴方、死んでたのよ!!」
そうか、スプリングが助けたのか。境界線の近くは駄目だな。
「ほんとのほんとに、、。とにかく、あんたが倒れたら皆んなも余計な気苦労が増えるし、シードサンシャインも忙しくなるの。迷惑かけないでよね」
イライラしているのか、さっと尻尾を振って看護部屋から出ていった。
しかし何を言われても止めるつもりはなかったし、彼女に会いたいという想いは募るばかりであった。
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投稿 by サーモンテイル Fri Oct 28, 2022 11:58 pm

7話 2回めの初めまして

あれから2日。
今日は木から落ちることにした。
そうと決まれば勢いが大事。考えている暇なんてない。
森の奥の木に登る。
着地しないように気をつけなければ。
そう自分に言い聞かせ、足を踏み出す。
僕は真っ逆さまに落ちていって、そして意識が途絶えた。

〈こんにちは、カクタスファー〉
「シーズン様!!やっと、やっと会えたね!!姿が見えたのは初めてだ。2回めの、初めましてだね」
そう、今日は彼女の姿がぼんやりとであったが見ることができたのだ。
〈貴方がよりこちらの世界へ近づいたからね。うん、改めて初めまして、カクタスファー!〉
「ねえ、貴女の名前をまだ聞いてなかったよ。なんていうの?」
〈 アイヴィーリーフよ。ツタの葉。〉
「そっか!!じゃあ、これからそう呼ぶね」
〈カクタスファーと アイヴィーリーフ、お互い植物の名前で気が合いそうね。仲良くしましょ、カクタスファー!〉
「!!そうだね!!君とは気が合いそうだ。聞いてくれよ、レインディアーという猫がね、」
レインディアーのことを話すと、 アイヴィーリーフはふふふと笑って、本当に仲良しなのね、と言った。喧嘩ばっかで、仲良しじゃないのに。
そうやって、時間も忘れて暫くお喋りをしていたが、 アイヴィーリーフの体が薄れ始めてきた。
「待ってよ!行かないで!!」
〈ごめんね、カクタスファー。でも、貴方のお友達が貴方を助けることに必死なのよ〉

そして目が覚めた。今日は看護部屋じゃない。
「カクタス、ファー?」
そこにはやはり、レインディアーがいた。
怒っているかと思ったら、泣いていて僕は目を丸くした。
「カクタスファー!!!!!!!」
「痛いよ、そんなに強く抱きしめたら」
「ほんとの、ほんとに、しんじゃうかと思ったんだからぁ!!!カクタスのばかぁ!!!」
そう言ってわんわん泣き喚く彼女に戸惑ってしまう。だってそうだろ、目の前で泣かれると、まるで僕が悪いみたいじゃないか。良心が痛むぞ。
「そんなに泣くなよ。それとも、お前の名前はレインディアー(トナカイ)じゃなくてレインティアー(涙の雨)だったのか?」
泣き止んでもらおうと冗談を言うと、彼女は「馬鹿」と言って笑った。
「ねえ、四季の一族に行かなくても、こっちにも楽しいことは沢山あるよ。みんなとも会えなくなっちゃうよ。だからお願い、自分からシーズン様になろうとしないでよ、、。」
そう懇願する彼女を見ながら、僕は次どうやって アイヴィーリーフに会うかを考えていた。
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投稿 by サーモンテイル Sat Oct 29, 2022 10:55 pm

8話 告白

今日もまた、失敗した。
毎回、レインディアーが僕を連れ戻すんだ。
「カクタスファー、お願い、もうやめて!!自分を傷つけるなんて、シーズン様も望んでないよ!!」
「そんなことないよ。また近いうちに会おうって約束したんだ」
「どうしてそんなに、身の危険を冒してまで会おうと思うの!?それとも!一緒に過ごしたこともない猫に!恋してるっていうの!?」
レインディアーが怒鳴る。
それとは対象的に、そうかこの感情は恋か、と僕は妙に冷静に納得した。
「恋、、か。そうだね。そうかもしれない」
「、、、!しんっじらんない!!!もう知らない!勝手にすれば!!!」
レインディアーは怒りながら何処かへ行ってしまった。キャンプ内で見かけても、そっぽを向かれてしまう。何で怒ってるんだろう、と思ったが、彼女からは悲しんでいる匂いがした。

「ねえ、カクタスファー」
「?何のよう、シードサンシャイン?」
「レインの事なんだけど、」
「レインディアー?どうかしたの?」
首を傾げると、彼女の耳がぴくっと動いた。
「あのさ、、。あの子のこと、もうちょい尊重してやってくれないかな」
「何で僕が?」
シードサンシャインは焦ったそうに足をもぞもぞと動かす。
「とにかく、心配してるから。もうちょっと身体を大事にしてよ」
そう言って去っていった。
みんなどうしたんだ?随分とピリピリしているじゃないか。枯れ葉の季節が来るから、また病気でも流行るのかと心配してるのかな。
とにかく、シードサンシャインまであの様子じゃたまらない。レインディアーとの問題を解決しなければ。
善は急げだ、キャンプを飛び出て急いでレインディアーを探しに行った。

レインディアーは沼地の外れで、空を見つめていた。
「ねえレインディアー」
「何?」
冷ややかに答えているが、怒りではなく喜びと悲しみの匂いがした。
「どうしてあの時あんなに怒ったの?僕が誰を好きになろうか勝手じゃないか」
そう言ったら、強い怒りと悲しみが押し寄せてきた。
「何で、、何であんたは、自分の命を捨ててまで、仲間に迷惑をかけてまで、話したこともない会ったこともない猫とつれあいになろうとするの!?こっちの気も知らないで!!!!」
「知らないよ。君から聞いたことないし」
「、、っ!!あのね!!私は、、私は!!あんたのことが、、っ好きだったの!!!」
そう言って、大粒の涙をこぼして泣き始めてしまった。
僕がレインディアーのことはどうも思ってないこと、 アイヴィーリーフとは夢で会ったことがあるし話したこともあること、どうしても、命を捨ててでも、迷惑をかけてでも、彼女のことが好きなこと。それらを話すのは、きっと今じゃないのだろう。
それだけは、僕でも察することができた。
だから、僕はどうすることもできずに、ただ呆然とそれを眺めていた。
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投稿 by サーモンテイル Sun Oct 30, 2022 1:13 am

9話 愛してる

ああ、どうして君と一緒にいられないんだ。
どうして皆んな僕を止めるんだ。
君に助けてもらってから、半年近く経っている。
僕の体はもうぼろぼろで、傷跡だらけだ。
それでも、傷ついたって止められたって、
やっぱり君と一緒にいたい。

レインディアーに告白された後も相変わらず関係は変わらなかったし、僕の気持ちも変わらなかった。それでも僕の命を助けようとするのはいつも彼女だった。
ごめんねレインディアー、でも彼女は、それ以上の存在なんだ。

今日も僕は湖のほとりに座っていた。
そしたら、あの日みたいに光る何かが見えたんだ。
弾かれたように立ち上がって、急いで顔を突っ込むと、光る何かはアイヴィーリーフだった。
彼女は優しく微笑んで、僕に手招きをしている。
「アイヴィーリーフ!!会いたかった、会いたかったよ!!!!!」
〈私もずーっと、会いたかった!!〉
「うん、、!うん!!ずっと、ずっとこの時を待っていたんだ!!ああ、ああ、愛しいアイヴィーリーフ。ずっとずっと愛していた、そしてこれからもずっと」
〈私もよ、カクタスファー。ずっと一緒にいてくれる?〉
僕は優しく頷いて、アイヴィーリーフに抱きついた。
「これからずっと、一緒にいよう」
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投稿 by サーモンテイル Sun Oct 30, 2022 4:09 pm

10話 幸せの道

カクタスファーがいない。
これはいつものことで、私が探しに行くのもいつものこと。
でも今日は何かが違う気がした。
本当にカクタスファーがいなくなっちゃうような。
彼が行くなら、やはり湖だろう。
胸の鼓動を抑えながら、急いでキャンプを飛び出した。

沼を越えて森を抜け、茂みを抜けると、そこには湖の前に佇む副長の姿があった。
「リードストーク!!」
彼はゆっくりとこちらを向いた。その表情には悲しみが浮かんでいた。
「レインディアー」
まさか、
「カクタスファーは行ってしまったよ」
「ーー!」
「ぜんぶ、全部見ていた」
愕然とした。副長ともあろう猫が、仲間を見捨てるなんて。
「どうして、、!どうして、止めなかったんですか!!!!!」
「止めても無駄だったよ、きっと。彼はここにいても、心はずっと四季の一族にあっただろ」
確かに、彼はずっとぼんやりしていて、四季の一族の猫のことばかり考えて、仕事を終えてはそちらに行こうとしていたけれど、それでも仲間に変わりないのに。
「愛し合っていたんだ、あの2匹は」
「、なんで」
なんでシーズン様はカクタスを連れて行ってしまったの?
「ここの湖で」
「カクタスは半年前に溺れて、半年後にここで死んだ。運命は変えられなかった、とでも言いたいんですか?」
リードストークは静かに首を振る。
「昔、猫が溺れて死んだんだ。それも、仲間に殺されたらしい。きっとその猫が、カクタスファーを助けてくれたんじゃないか。
彼女は若い雌猫で、アイヴィーリーフといったんだ。彼女はまだ湖の底で眠っているけれど、生前は戦士の掟に忠実だった。助けてくれてもおかしくない」
「でも結果的にカクタスファーは死んだ。その猫が殺したようなものじゃないですか」
「それがカクタスの望みだったんだよ。だから、そう泣くな」
そう言われて初めて、自分の目から大粒の涙が溢れていることに気づいた。
リードストークは私の脇腹に身を押し付けて、長いしっぽで包み込んだ。

「さあ帰ろう。彼は望んでいた幸せに出会えたんだ」
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投稿 by サーモンテイル Sun Oct 30, 2022 4:22 pm

エピローグ

よく猫を見かけた。
カクタスファーという若い雄猫だ。
湖の底から、彼を眺めていた。
泳ぎが上手だったから、ちょっとだけ、私と一緒にいられないかな。そんな軽い気持ちの、悪戯だった。
光る体をうねらせると、彼は不思議そうにこちらへ潜ってやってくる。
息が持たなくなったのか、私がいる底には辿り着かず上に上ろうとした。その時、私は彼の足を掴んで引っ張った。
意識を飛ばした彼の虚な瞳は美しくて、彼をずっと眺めていれたら、なんて。
その日、私は彼に恋をした。

彼の夢に入ったりして、彼と会話を交わしていった。話せば話すほど可愛い雄猫で、つれあいになれたら、と思った。
でも私は四季の一族。
彼がこちらにくるまで待つしかない。
私が彼に心を奪われているように、彼もこちらに恋をしているようだった。
だからちょっとそそのかしたの。
そしたら彼はこちらに来ようと仲間の目を盗んでこちらに来るようになった。
来る直前の虚な瞳は出会った頃とおんなじで、とってもとっても美しかった。

半年くらい経ったかな。ぼんやりしていていつもこちらに来ることばかり考えている彼が愛しくて愛しくて、早く一緒になりたくて。
だから少し手助けしてあげることにした。
出会った時みたいに、光る体を動かせば、彼はぱっと立ち上がってこっちへ来た。
ああ、愛する愛しのカクタスファー!!
ようやく手の届くところにいる!!
これからはずっとずっと、永遠に一緒。
ずーーーっとずっと、湖の底で、2匹仲良く暮らそうね。

*

暗い暗い水の底、2匹の猫が抱き合うように、今も仲良く沈んでおります。

むかしむかしの部族のはなし。
命を越えて愛し合った、2匹の猫のはなしです。

*

ー湖の底、サボテンとアイビー猫2匹 完ー
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投稿 by サーモンテイル Sun Oct 30, 2022 4:23 pm

あとがき

ほんっっっっとーーーーーーにごめんなさい。
メリバ?かな?いや、カクタスファーとアイヴィーリーフは愛する猫と一緒になれてハッピーなのでハッピーエンドです((((
これでもハッピーになった方なのです。当初はもっとバッドエンドだった。というかもっと胸糞悪かった。一個もっと幸せな終わり方あったんですけど、そこまで繋げられず、、。これは私の実力不足ですね。
いやほんと、ハッピーエンドって言ってたのに、すみませんでした。

えっハッピーエンドですよねこれ????(洗脳)

因みにタイトルのサボテンとアイビーはカクタスファー(「サボテン」の毛)とアイヴィーリーフ(ツタ「=アイビー」の葉)を表してます。
花言葉で決めました。
アイヴィーリーフの過去についてもいつか語りたいですね。

素晴らしいお題を出してくださったハニドs、、ハニードロップさんに敬意を表します。ありがとうございました!!
そして謝罪!!!いや、あれは私的にはハピエンなんですとか言っとく((
すいませんした。
書いてて楽しかったです。読んで楽しいかは分かんないですけど。
少なくとも私は楽しいです。(((

最後に、主人公2匹サボテンとアイビーの花言葉。


サボテンの花言葉は枯れない愛、燃えるような愛

アイビーの花言葉は永遠の愛、死んでも離さない
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投稿 by Murre Sun Oct 30, 2022 4:23 pm

凄いラスト…!!!
凄すぎて鳥肌立ちました!!(褒め言葉)
カクタスファーとレインディアーの行き違う感じの気持ちの違いが凄い切なくて、悲しくなりました。そして、アイヴィーリーフの過去も悲しい😭
すっごい良かったです!!!!✨✨✨
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投稿 by サーモンテイル Sun Oct 30, 2022 4:31 pm

ひゃあーーーーーそう言っていただけて嬉しいですーーー!!!!
そうなんですよ〜レインディアー、、。いつかこの子の話も書きたい。

いやほんと感想送られてくる送ってくださるなんて思ってなかったのでめちゃくちゃ嬉しいです。幸せ。
改めてありがとうございます!!!!この気持ちは言葉では表せない〜
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