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レインボー族のあの子に、会いたい。

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投稿 by ファイヤウィング Sun Oct 30, 2022 2:59 pm

お題のやつです。
同じお題なので他の人と被っちゃうかもしれませんがそこはよろしくおねがいします。
星猫と同じ世界線です。
主人公
ウォーターリリー(スイレン)♀
サブキャラ
ヘイズジュピター(もやがかかった木星)♂
コメットフォール(落ちる彗星)♀
アイビスフライト(飛ぶトキ)♀

同じ世界線レベルじゃない。
もう登場猫も同じ。
本編でのウォーターボウが主人公ですね
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投稿 by ファイヤウィング Sun Oct 30, 2022 3:05 pm

プロローグ
ごぼごぼと、泡が水面へと逃げていく。
視界がチカチカと点滅し、息が続かなくなる。
抵抗する力もなくなり、流れに身を任せた。
上から鮮やかな猫の前足が差し出され、その前足は私を掴む。
そして、ぐいっと引っ張られる。
その猫は、見たことないほど輝き、美しかった。
一目でわかった。
その猫は、レインボー族だ。
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投稿 by ファイヤウィング Sun Oct 30, 2022 4:01 pm

第一章
「もー!心配したんだからね!ウォーターリリー!」
はっと目が覚めた。
ここは医者部屋。
目の前には、ヘイズジュピターとコメットフォール。
私とこの二匹は仲良し三匹。
いつものようにはしゃぐ元気はないけど・・・
「湖で溺れるなんて・・・泳ぎの訓練もしたほうが良いかしら。」
レッドスパイダーリリーのつぶやき声。
見習いたちの不満げな声。
いつもの光景。
「もう大丈夫。戦士の仕事に復帰しても良さそうだよぉ」
そろそろ一人前になるであろうシャイボウがゆっくりと言った。
三匹で外へ出ても、いつもの風景であり、何事もない。
なのに、何故か心に穴が空いたような気分だった。
湖の外に引き上げてくれたあの子。
急に寂しさが襲ってくる。
「どうしたの?顔色悪いよ」
ヘイズジュピターが覗き込んできた。
コメットフォールはそれを押し戻す。
いつもなら笑うが、今はそんな気分じゃない。
あの子にあう方法はないのかなぁ・・・
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投稿 by ファイヤウィング Sun Oct 30, 2022 4:56 pm

第二章
「大丈夫?なんかあった?」
コメットフォールは心配そうだ。
仕方ない。話すか。
「私が溺れたときに、鮮やかな猫の前足が現れて、私を引き上げてくれたの。その子、誰だったんだろうって」
会いたいという気持ちが私を突き動かす。
海に向かって、駆ける。
肉球に砂が食い込むのも構わずに。
そして、海に飛び込み、深く、深く潜る。
水の冷たさがしみる。
不意に、あの猫が現れた。
そして、小さい声が聞こえる。
最初は聞き取れなかったが、その声は大きくなり、怒鳴り声になった。
「あなたは、生きなければならないの!」
その途端、体がぐんと軽くなり、引き上げられた。
「何やってんの!ウォーターリリー!おかしくなっちゃった?」
コメットフォールが私の背に爪を引っ掛け、喚く。
うるさいなあ。私はあの子に会いたいのに。
なんで、邪魔するの?
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投稿 by ファイヤウィング Sun Oct 30, 2022 5:11 pm

第三章
寝床に戻っても、やはりあの猫の姿が頭に浮かぶ。
一言、お礼を言いたい。
あって、話したい。
でも、前はコメットフォールが邪魔した。
他の方法も試してみたけれど、やはり死ぬしか方法はないようだ。
再び、海へ向かう。
やはり、水がしみる。
体が浮力で押し上げられるが、抗い、無理やり潜る。
肺が持たなくなり、気分が悪い。
でも、あの子に会うためだ。
意識を手放し、視界が黒く塗りつぶされる。
すっと体が軽くなり、濡れたはずの毛が乾いている。
雲の上のような柔らかい空間。
向こうの方から、猫の影が近づいてきた。
間違いない。
あの時見た、美しい猫だ。
「会いたかったわ。あの時助けてくれてありがとう」
美しい猫は、鋭い目で睨んできた。
「なぜ自分から命を落とそうとするの!私が助けたという恩を忘れたの?私の努力を水の泡にする気?生きなさい!」
猫の姿が消え始めた。
「まって!あなたの名前は?」
慌ててきくと、その猫はため息を付いて答えた。
「アイビスフライトよ」
アイビスフライト。アイビスフライト。
私はその名前を心のなかで唱えながら浜辺に引き上げられた。
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投稿 by ファイヤウィング Sun Oct 30, 2022 5:23 pm

第四章
アイビスフライトに出会ってから数ヶ月経った。
あの時からあの子のことは考えないようにと努力していたがやはり会いたい。
あの子と喋りたい。
なぜこんなにもこの心は私を動かすのか。
不思議でならない。
そして、海に潜る手段はもうダメだ。
でも、他にどうすればいいのよ。
私は走って行って勢いよく崖から飛び降りた。
その下には川が流れている。
こうしたら死ねるはずだ。
激流に揉まれ、何度か岩に体をぶつけ、意識を失った。
再び来た、この雲のような世界。
きれいな桃色で、目の前が霞む。
アイビスフライトは、いつものように私の目の前に座って歯をむいている。
「なんでそう毎回毎回死のうとするの?私にあっても何の特にもならないくせに!」
背中を弓なりに曲げ、威嚇された。
流石にちょっと引いたが、仲良くなりたいという気持ちはなぜか揺らがない。
いきなり、体がずっしりと重くなり、息ができるようになる。
目の前で歯をむいているのは、アイビスフライトではなくスカーレットユラナスだった。
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投稿 by ファイヤウィング Sun Oct 30, 2022 5:35 pm

第五章
「お前は、なんでそんなに命を粗末にしようとする!何がそんなに気に食わない!崖から落ちるのが楽しいか?溺れるのが嬉しいか?命を楽しめ!そうじゃなかったら、帰ってくるな!」
初恋の相手にナイフのような鋭い言葉を浴びせられ、たじろいだ。
アイビスフライトには会いたいけれど、スカーレットユラナスに厳しく言われるのも嫌だ。
スカーレットユラナスにはスターグリッターがいる。
わかってる。わかっているのに。

どうしても諦めきれない。
レインボー族は、それを助けてはくれない。
私の心の苦痛を知っておきながら、死なせてはくれないのね。
レインボー族に仲間入りしたい。
生きろと言われても、死ぬのと同じよ。
ただ、アイビスフライトと一緒にいられるのなら、レインボー族に行きたい。
トボトボと集合場所に戻ると、ヘイズジュピターとコメットフォールが暖かく迎えてくれた。
「どこ行ってたの?ウォーターリリー」
「こいつさっき蛇捕まえたんだぜ。食べるか?」
仲間の能天気そうな笑みに、私も惹きつけられる。
それと同時に、怒りも覚える。
良いわね、あんたたちは幸せそうで。
いいわ、私は勝手にする。
アイビスフライトと、レインボー族で生きるわ。
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投稿 by ファイヤウィング Sun Oct 30, 2022 6:49 pm

第六章
アイツラを無視して、集合場所の外へ出る。
私は、やっぱりアイビスフライトに出会った湖で死ぬわ!
湖は、輝き、私を呼んでいる。
そして、飛び込む。
泡が私を包み込む。
すると、濁ったような茶色の色の毛の足が、私を湖の底へ引きずり込む。
その足は、私の足を引きちぎろうとグイグイ引っ張る。
圧力で潰れそうだ。
私を引っ張る猫の姿が見えた。
茶色の斑の姿。
目には光がなく、見たものを射すくめるような眼差しをしていた。
まるで、悪魔のように醜い。
慌てて浮かび上がろうと手足をばたつかせる。
だが、前足を離してくれない。
こんな猫に殺されるなんて、いや!
不意に、汚い猫の目が見開かれ、私を離した。
勢いよく水面に向かう私。
水面から顔を出すと、美味しい空気で肺が満たされる。
体力が持たない。
私は岸まで泳ぐと、たくさんの水を吐いた。
もう湖の中に入りたくない。
あの気味の悪い汚い猫がいるかも知れないから。
スカーレットユラナスに勘ぐられないようにしっかりと水を拭いてから帰ることにした。
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投稿 by ファイヤウィング Sun Oct 30, 2022 8:07 pm

第七章
やっぱり、無理だ。
アイビスフライトと話せないなんて、耐えられない。
ヘイズジュピターが、必死に懇願してくる。
「死ぬなんて、言わないでよ。僕はウォーターリリーが一緒にいないとだめなんだって」
ヘイズジュピターは、生徒時代の頃も真面目で、優等生。
だが、狩りが破滅的にできない。
戦いの訓練は上手かったが・・・
そして、コメットフォールは泳ぎが苦手だそうだ。
なので、狩りが得意な私がいないとバランスが保たれないのだそうだ。
そんなの私が知ったことじゃない。
好きにさせてもらう。
私は再び海に沈もうと、歩き出す。
浜辺に来た。
アイビスフライト、あなたにどうしても会いたいの。
我慢できない。
そう思うのは、なぜかしら?
問いかけても、何も答えは帰ってこない。
無防備な尻尾を引っ張られた。
後ろを振り向くと、湖で出会ったアイツがいた。
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投稿 by ファイヤウィング Sun Oct 30, 2022 8:30 pm

第八章
全身の毛がゾワワと逆立つ。
その猫は、最初にあったときと同じようにポッカリと空いた黒い目をし、濁った茶色の斑の毛をしていた。
最初と違うのは、その猫の毛が、泥だらけで濡れていることだろうか。
「ずっとお前を探していた。湖の底で。」
心のなかに直接響く気味の悪い声で、アイツは囁く。
今わかった。こいつはあの湖に沈んだ猫の一匹。
ずっと昔に死んだ猫だ。
なぜ、今になって私に構うの?
「お前を道連れにしてやる」
ゾッとした。
私、あの湖に溺れたくない!
だから、アイビスフライトは私を助けたのね。
この猫に目をつけられないように。
でも、私はアイビスフライトに会いたいばかりにあの湖に再び足を踏み入れてしまった。
だから、目をつけられてしまったのね。
アイツはすごい力で尻尾を引っ張ってくる。
こいつは、あの湖に私を連れていくつもりだ。
この力じゃ、抵抗するのも無駄だろう。
「ウォーターリリーはまだ生きなきゃならないの!放って置いて!」
まばゆい光がきらめき、アイビスフライトが現れた。
あの猫は、ぱっと尻尾を離し、背中を弓なりに曲げてうなり始めた。
そして、アイビスフライトに飛びかかる。
茶色の泥が飛び散り、戦いが始まった。
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投稿 by ファイヤウィング Sun Oct 30, 2022 8:48 pm

第九章
アイビスフライトは、あの猫の顔をひっかき、爪を出した足で容赦なく引っ掻く。
あの猫は、しつこくアイビスフライトに噛みつき、体力を削ろうとする。
私も加勢し、アイビスフライトととも攻め立てる。
あの猫は、無理だと判断したのか、茶色い足跡を残しながら不格好に逃げていった。
アイビスフライトは、肩で息をしている。
もしかしたら、降りてくるのに疲れたのかな?
「ウォーターリリー、生きて。それだけが私の願い。もう、私に会おうとしないで。諦めなさい。他にもいるでしょう?あなたを必要としている猫が。」
そう言った途端、アイビスフライトのいるレインボー族に行きたいという気持ちがすうっと別のところに言った気がした。
「私に会うのは、あなたの寿命が尽きてから。」
アイビスフライトはウィンクすると、海に飛び込んだ。
そのきらめく体が沈んでいく。
私はアイビスフライトにサヨナラし、集合場所に戻った。
もう、あの二匹に対する怒りの気持ちはない。
「あーっ!ウォーターリリィ!どこ行ってたのよ!探したよぉ!」
「もー!今日僕達で一緒に遊ぼうって行ったじゃん!まさか、またレインボー族に行こうとしてたの?」
そう呼びかける二匹の顔を見ても、怒りはわかない。
ただ、おかしさと、安堵感。
私は、アイビスフライトとの約束を果たすために、仲間たちのもとへ飛び込んだ。
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投稿 by ファイヤウィング Sun Oct 30, 2022 8:49 pm

あとがき
一日で終わった!
史上最速!
ありがとうございました!
お題で小説書くの、楽しい!
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