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冷たい街に、春が来るまで  <三期六巻>

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冷たい街に、春が来るまで  <三期六巻> Empty 冷たい街に、春が来るまで  <三期六巻>

投稿 by ティアーミスト Tue Jul 21, 2015 3:08 pm

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                         冷たい街に、春が来るまで

                ーIn the cold town, until the spring comesー





       「あなたたちと一緒にいると、もしかしたら って本気で思えてくる。

                今度はわたしが、みんなを守るから──────」 





            ※このお話はウォーリアーズ本編とは関係ありません※




                            ★あらすじ★


内気な少女のソウラは、雪の多い小さな町で、ほかの陽気な猫たちと平和な毎日を送っていた。そんなあ
る日、縄張りの中で犬と遭遇してしまう。次第に牙をむく脅威、深まるソルの謎。ソウラは、大好きな仲間達を守るため……。

   「太陽の溺れる場所」に向かう途中に出会った街猫のジンゴたちの、誰も知らないもう一つのお話。





                            ★登場猫紹介★



                                   ロイド

  青い瞳を持つ、大柄な濃い灰色の雄猫。やや大雑把なところもあるが、正義感が強く、つつみこむような心の持ち主。
    新しく入ってきたソルダを実の妹のように思っていて、守ってやらねばという責任を感じている。
             「そんなの朝飯前だ!」 「そんな暗い顔するなよ、俺まで悲しくなっちゃうじゃん」


                                  ソルダ

緑の瞳を持つ、純白の華奢な雌猫。頭がよく危険を感知するのが速いが、引っ込み思案なうえ強度な人見知り。
     一緒に暮らす仲間に深い感謝を感じていて、みんなのために少しでも役立とうと奮闘中。
            「あなたがそう言うのなら」 「ごっ、ごめんなさい!わたしこういうの苦手で……」          



    ジンゴ────こげ茶色の雌猫。野良猫たちのリーダー。行動的でオープンな心の持ち主。
                「いいわ、私に任せておいて!」

   ジェット────黒い雄猫。非常に短気。
             「なっ、なんでそんなことお前にいわれなきゃいけね―んだよ!」

   フザール───肩幅の広い、灰色の雄猫。気まぐれでのんき。
             「ふぇっ、あっ、ごめん。今ちょっと魂抜けてた」

   スペックル──斑点のある茶色の若い雌猫。努力家で優しい。心配性な一面も。
             「きっとどうってことないわよ…でしょ?」

   フリッツ────片耳が裂けた、白黒斑の雄猫。小食で気弱。
             「ぼ、僕は…えと…どちらでも大丈夫です」

   ポッド─────黄色い瞳を持つ、茶色の雄猫。年長だが老いを感じさせない鋭さがある。
             「お前には頭が付いてんだろ?なら、ちゃんと使えよな」

     フラワー────キジトラの、若くてきれいな雌猫。生まれつき病弱だが、強い心を持っている。
              「こんな身体じゃ、生きていくのに苦労するわよ」

   ペパー────ジェットの兄。濃い灰色の雄猫で、包容力のある穏やかな性格。弟とは正反対。
             「ほらほら、落ち着いて。一緒に考えようか」

   ソル──────手足の長い三毛猫の雄。野良猫たちを陰で動かしている。深い響きのある声と月の様な瞳を持つ。
             「私でよければ、君の望みを聞いてあげよう…」






                      ★作者あとがき★

  おひさしぶりです、HAPPYSUMMERVACATION! 今回はジンゴたちの世界を舞台にしてみました(´・ω・`)
           スペックルの子どもたち・メリー・チャープといったキャラクターは後から登場します。

      エリン・ハンターさんに今一度感謝を述べたいと思います。本編始動をお楽しみに!!

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最終編集者 ティアーミスト [ Wed Nov 30, 2016 3:12 pm ], 編集回数 6 回
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冷たい街に、春が来るまで  <三期六巻> Empty Re: 冷たい街に、春が来るまで  <三期六巻>

投稿 by ティアーミスト Tue Jul 21, 2015 3:36 pm

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                                    第1章

                   ー戦いは、静かに迫っているようですー


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そのとき季節は冬でした。
 



雪が、こんこんと積もっています。

リンゴと絹織物を生業とした美しい街、ソナチネはいま、闇と静けさに包まれていました。

木々はすっぽりと雪をかぶり、並んだ家々の窓からは人工的な淡い光が地面にこぼれています。


さくっ、さくっ、さくっ


灰色の猫が一匹、雪に足を沈ませながら軽快に歩いています。

たくましい体つきの青年の青い瞳はまるで、透き通った氷の破片のようでした。


彼は名を、ロイドといいました。


ロイドはこの迷路のような街をパトロールしています。

昼間、道路に犬の糞らしきものが発見されたからです────犬は危険で、恐ろしい存在なのでした。


鋭い牙と血走ったベリーのような目。

猫をまるでおもちゃのように振り回し、踏みつぶし、切り裂く……出会ったらもう命はないものだ、

ロイドの亡き母は全身の毛を逆立ててそう語りました。






舗装された道路が途切れると、道の向こうに大きくて立派なクスノキが見えてきました。

ロイドと、彼の仲間たちが暮らす家の目印です。



ロイドは前からたびたび街で迷子になりかけた事がありましたが、

あまたの屋根のあいだから顔を出すこの木のおかげで命拾いをしたのでした。


頭上では、切れかかった電灯がカチカチと雪をオレンジ色に染めています。





さくっ、さくっ、さくっ



肉球の裏が、冷たさでピリピリ痛みます。


2階建ての家の窓にはぬいぐるみが並べられています。人間の子どもの住みかです。

どこからかワインの甘ったるい香りが流れてきます。


一段と冷え込んできました。

早く温かい寝床へもぐりたい、とロイドはおもいました。


冷たい風がひゅうと吹きます。

くしゅん!

青年は、鼻をすすります。


────いつのまにか、我が家が目の前まで迫っていました。

即、扉へ駆け込みます。



雪はみぞれに変わっていました。


遠くの方で犬の遠吠えが響いています────








────のちに、この遠吠えが自分たちを脅かす存在になると言うことを

                                                ロイドはまだ、知りませんでした


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最終編集者 ティアーミスト [ Wed Nov 30, 2016 3:15 pm ], 編集回数 2 回
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冷たい街に、春が来るまで  <三期六巻> Empty Re: 冷たい街に、春が来るまで  <三期六巻>

投稿 by ライトハート Wed Jul 22, 2015 5:44 pm

新小説おめでとうございます!なんだか、文章がいいですね。いつもと違う感じがします^^*
そして、ジンゴのいる所が舞台でしたか…!ワクワクします!お互い頑張りましょう!
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投稿 by ティアーミスト Fri Jul 24, 2015 9:00 am

コメントありがとうございます‼(へっどばんきんぐ
今回は敬語の語りに挑戦してみたのです……!
(不安でたまりません……ww

らいとsの小説も応援しております☆☆頑張ってくださいっ
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投稿 by フラワリングハート@ふらわり Fri Jul 24, 2015 5:48 pm

新小説おめでとうございます!
おお、ジンゴたちの物語!ティアーさんはやはり目の付け所が違う!w
プロローグは冬の静けさと紛れ込んできちゃった感じの恐怖でいい感じに引き込まれますね…w
濃いキャラ達が出てくるのも楽しみです!執筆頑張ってください!
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投稿 by ティアーミスト Sat Jul 25, 2015 11:46 am

コメントありがとうございます‼
わたしにはもったいないお言葉です(´・ω・`)
冬の静けさと紛れ込んできちゃった感じの恐怖、出せていましたでしょうか?w
引き込まれるだなんて…光栄ですが、ふらわりさんにはまだまだ劣ります^p^
お互い頑張りましょう!
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投稿 by ティアーミスト Sat Jul 25, 2015 12:38 pm

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                                  第2章

          ペパーとジェット、真夜中の攻撃



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その古い家は、アーリーズホーム(野良の家)と呼ばれていました。

部屋の隅には蜘蛛の巣が行く重にも重ねて張られており、まるでやわらかい雲の中にいるように感じさせます。


力強い木目をあらわにした側面の壁からは隙間風が音をたてて吹きこみ、質素な一部屋にぽつんとある

ソファーの下で身を寄せるわたしたちを、きんきんと冷やすのでした。



 アーリーズホームの仲間入りをしてわずか3日のわたしはひっこみじあんでよくからまわり────

それでも、人間に怯えながら暮らしていたあの時よりはずっと良い生活を送らせてもらっております。




ふいに、家の南に面しているきしんだ扉が押し開かれました。

飛び込んできたそのシルエットが、こちらへ一歩踏み出すたびに特徴的にとがった耳とすらっとした脚を浮き上がらせます。

わたしより2つ年上の、ロイドさんです。


彼はジンゴさんとポッドさんとの間にある、わずかな隙間に滑り込むと、ふぅっと雪の匂いと、

夜の空気の匂いがしました。





「……ぐぶっ、ぐぅ……ぐがぁ…」

突然聞こえ始めた、この世にも奇妙な音は、ペパーさんのいびきです。

彼は冬になると鼻詰まりがひどいそうです。

……それにしても、わたし以外のみなさんが眠っているのが不思議でなりません。


これが「慣れ」というものなのでしょうか。



ペパーさんのたくましい前足が、わたしの脳天を直撃しました。


「みぎゃあ!」


思わず飛び上がります。大きな石か、枝が直撃したような衝撃です。

「おい、ソルダ? 悪い夢でも見たのか?」ロイドさんが、眠そうな声でたずねました

「は、はい、そうなんでしゅ」

急いで誤魔化します。寒さで舌がしびれてしまい、うまく回りません。

思いっきり噛みましたが、ロイドさんは感づいていない様子なので、特に訂正せず体を丸めなおします。

恥ずかしさで身体が火照っています。




ソファーの上では、わたしたちのリーダーであるソルさんがゆったりと寝そべっています。

そこはソルさん専用の場所であるようで、彼以外は誰も登ろうとはしないのです。


うとうと。眠くなってきました。少しだけ、お腹もすいてきました。


わたしは、まぶたを閉じました。






…と、一分ほどたった時でしょうか。再び何者かの脚がわたしの脳天にヒットしました。

「ぎゃわぁ!」

視界が見事に一回転します。あぁ、目の前で星が飛んでいる……


そろそろ、頭が壊れてしまう頃でしょうか。ずきん、ずきんといたみます。たんこぶの出来た可能性大です。

犯人は、ジェットさんでした。しかも後ろ足…どうりでいたいわけです。

わたしはむにゃむにゃと気持ち良さそうに眠るジェットさんを鬼の形相で睨みました。

まったく、寝相の悪い兄弟です。




攻撃を避けるため、スペックルさんの隣へ移動しました。ここなら一安心です───

とろんとしたまぶたをとじて彼女の規則正しい呼吸に身を任せているうちに、わたしはいつのまにか、深い眠りについていました。







「冷たい街に、春が来るまで」

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最終編集者 ティアーミスト [ Wed Nov 30, 2016 3:22 pm ], 編集回数 2 回
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投稿 by ライトハート Sat Jul 25, 2015 1:43 pm

内容を読んで、題名?になるほどwと思ってますwww
ソル専用のソファーとは…!羨ましいですねwww←
そして最後の終わり方が素敵です!お互い頑張りましょう!
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投稿 by ティアーミスト Sun Jul 26, 2015 4:46 pm

コメントありがとうございます(´・ω・`人)
なるほどw、と思って下さったのなら嬉しいのです(ˇ⊖ˇ)
ふぉお最後の終わり方ですかwありがとうございますっ
((ソル専用のソファーうらやまですよね…!))

らいとsの小説も応援しております‼
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投稿 by レパードクロー Fri Aug 07, 2015 8:08 pm

遅いですが初コメ失礼しますっ!
敬語の文章........一時期憧れました^^とてもおもしろくてすらすら読めますね!
物語の構成も普通の日常から始まってすぐに引き込まれます(*^^*)
ソ、ソル専用ソファーとは.............(驚
頑張って下さい!応援しています!
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投稿 by ティアーミスト Sat Aug 08, 2015 5:15 pm

コメントありがとうございます‼
ソルさん専用のソファーです、ソルのくせになまいきなっ((謎
すらすらと読んで頂けたなんて…とても嬉しいのです^^
豹sの小説もせいいっぱい応援しております‼
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投稿 by ティアーミスト Sat Aug 08, 2015 6:23 pm




                            第3章──それは、たしかに──




わたしが目を覚ました時には、日はたかくのぼっていました。

ひびがはいり、くすんだ窓から明るい光がいっぱいに差し込み、雪の花を咲かせたクスノキの枝の間から、

すんだ青空がのぞいています。


まだゆめの続きをみたいところですが、わたしはぼさぼさの頭のままゆらりと立ち上がります。

のびのついでに猛獣のような大あくびをすると、寝ぼけた身体に新鮮な血液が廻り、徐々に頭が働いてきました。



「……む?あれ、みなさんどこへ……?」

白くて細い足先でまぶたをこすります。


なにか……なにかたいせつな事を忘れている気がしてなりません。

わたしだけ、アーリーズホームでひとりぼっちなのはおかしいのです。


なんだっけ────?



とりあえず、ひどいねぐせを丁寧に、ていねいに直します。人前で恥をかかないように、変な目で見られると困りますから、ね。

と、そのときです。突然、わたしは思い出しました。


あああ朝ごはん!



わたしは今日、皆さんの朝ごはんをとってこなければならなかったのです。

久し振りに雪がやんだため皆さん外に出ているのでしょう。そして、酷くおなかをすかせているに違いありません。

何という失態を!わたしは寝床から飛び出し、扉へ向かって猛ダッシュしました。


するとそこへ、ロイドさんが入ってきました。




────どすんっ




「ひゃあっ!」

止まり切れず、ロイドさんの胸元へ飛び込んでしまいました。

わたしたちはその衝撃で後ろへ倒れこみます。


もう、パニックです


涙のたまったひとみを、恐る恐るあげるとロイドさんはやさしく笑いました。

「お前、ソルダ、だったよな…大丈夫?」

気遣うような、温かい声。

「だ、大丈夫でござる!」

「ござる?」

あせりまくって変に応答したわたしを、きっと彼は「変わってる」と思ったに違いありません。

きのうの『そうなんでしゅ』はごまかせても、今日の『ござる』は不可能でした。




・・・・・・

わたしたちは一緒に外へ出ました。

うっとりとするほど美しいつららが町の屋根という屋根を飾っています。



「あんまり気持ち良さそうに寝てたから、俺が朝ごはんとってきちゃったんだけど……」

ロイドさんはすまなそうな顔をして、右足で地面をひっかきました。

「えっほんとですか?いやその申しわけございませんでした!」

なんと、こんなところに救世主がいたとは!…でも、わたしの仕事なのに…すまない気持ちで心がいっぱいになってしまい、

ぺこぺこお辞儀をします。

「そんなに謝らなくても!暇だったし」

彼は首を横に振って、気にするなよ、とほほ笑みかけました。つられてわたしもにこりとはにかみます。



たったいま、はじめてお友達ができました。

風がミントにも似た、さわやかな雪の匂いを運んできます。

足元はぴりぴりするほどつめたいのですが、わたしは話に夢中で、その事にもあまり関心が行きませんでした。

人見知りなはずのわたしも、ロイドさんとはどうやらうまくやっていけそうです……



────そのときでした。

道路を挟んだところにある茂みの中から、巨大な体が姿を現しました。

「……!」

犬です。こげ茶色で汚れた毛皮に血走った黒い目がぎらりと光っています。

わたしは犬と目があってしまいました。数秒でしたが、それは何時間にも感じられました。

その瞳には狂った殺気がめらめらと燃えていたのでした。

こちら側に飛んでくるタイミングをはかっているかのように。そして猫に襲いかかる作戦でも立てているかのように。


「どうしたソルダ?」

突然黙りこくったわたしに、ロイドさんが不思議そうな顔をします。

「いぬ……が」

小刻みに震える前足で、道の向こうの茂みを指しますが、いつの間にかソレは消えていました。

「はあ?お前まだ寝ぼけてるんじゃないのか?」

ロイドさんはおかしそうに言いました。でも、その青い目は笑っていません。

わたしは少し心配になりました。ロイドさんも、わたしとおんなじくらい犬を怖がっているようです…。



本当は犬の存在を信じたくないのでしょうか。

信じなければ、この家に襲いかかってくる心配さえも「気のせい」で終わらせられるのでしょうか。



「そうですね」

わたしは精いっぱいの作り笑いを浮かべ、再び会話へと戻りました。




────でも、それはたしかに

              たしかにわたしたちを脅かす存在だということを、わたしはすでに、予感したのです。











                                          「冷たい街に、春が来るまで」


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冷たい街に、春が来るまで  <三期六巻> Empty Re: 冷たい街に、春が来るまで  <三期六巻>

投稿 by フェグワンヴィレッジ Sat Aug 08, 2015 8:51 pm

おっここはソルを捜しにいったところが物語の場所ですねw
楽しみにしてます、がんばってください!
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冷たい街に、春が来るまで  <三期六巻> Empty Re: 冷たい街に、春が来るまで  <三期六巻>

投稿 by ティアーミスト Mon Aug 10, 2015 11:40 am

コメントありがとうございます‼
そうですここはソルさんを探しに行ったところですw
た、楽しみにしてくださっているとは…光栄です
フェグワンさんも執筆頑張って下さいね!
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投稿 by ティアーミスト Tue Nov 29, 2016 4:48 pm

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                               第4章

                            変わらない朝に


-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+




 こころというのは恐ろしく、疑い、怖がり、憎みなどを生み出します。

それも意志とは違い、常に周りに影響され、不安定な状態でありつづけています。

また、独りよがりな感情を生み出すのですから、こころは自分が閉じ込められた密室だともいるでしょう。

そこからのぞく世界は自分の都合のいいようにできていて、相手を敵にするか味方にするかさえも決めかねません。


 それならいっそ、こころを持たない微生物にでもなってしまいたい……そうしたら、悩みごとなど何一つない、ただただ食べて寝

るだけの人生だったのに!


 そんなぐだぐだした思考を整理できないまま、雪の薄く積もった地面を歩いているわたしのこころは今、灰色の渦がぐるぐるぐる

ぐるまわっていました。数秒前に見た犬のことを思い起こしたからです。


あれは、ほんとうに寝ぼけていたために見えたものだったのでしょうか。

ロイドさんは、どうしてそんなに震えた声をだしたのでしょうか。


 不安でどうしようもなくなって無意識にロイドさんを見上げると、彼はまるでさっきのことなどなかったかのように青い瞳でまっす

ぐ前を見据えていました。


きっと、彼のみている世界とわたしの見ている世界は違う。わたしはそう思いました。

考えすぎは頭にも身体にもよくありません。

それに、余計な心配をするよりわたしにはもっと大切な問題があるのですから。仲間と打ち解ける、とか。


 わたしとロイドさんは無言のままアーリーズ・ホームの角を曲がりました。朝になるといちばん陽のあたる東側───そこに、み

んなはいました。

 ツタがびっしり張り付いたれんがの壁は、太陽の光をあびるととてもあたたかく、冬の救世主と言えるでしょう。

壁に背を向けて、雌猫たちは噂話に花を咲かせ、雄猫たちはがつがつと獲物をほおばったり肩をつつき合ったりしています。

いつも私たちはこんな感じです。やることないから。


 ノラネコたちが暮らすこの家には、現在11匹の住人がおります。


 語り手であるこのわたし。

 ここのリーダーでもある、ジンゴさん。

 友だちになったロイドさん。元から暮らしていた猫たち。


 最後にソルさん。彼に関してはわたしも含めてみんな正体をよく知りません。

ただ、ここに来た時にジンゴさんから聞いた話では、雨宿りをしにきたついでに居候しているのだとか。

今でも不思議な雰囲気をまとい、若干なじめないでいます。


ただ、ソルさんはそんなことは気にしていないようすで、あたたまった岩の上に大きな体をしずかに横たえています。


 平穏でした。

 眠っているフラワーさんの鼻先にあおられて、白い煙が幽霊みたいにちらちら揺れているのがきれいでした。


  ハトの最後の一口をかぶりつき、満足そうに伸びをしたジンゴさんがこちらに気付いてしっぽを振ります。


 「おはよう、ロイド。気持ちのいい朝ね!」

 「ああ、雪がやんでほっとしたよ」

 「でもまだまだ寒い。春が待ち遠しいわ。」


 きらきらした黄緑色の瞳をロイドさんからこちらへ向けて、ジンゴさんはわたしににこっと笑いかけました。

 「ソルダ、調子はどう?」


  わたしは面食らったようにぱちっと目を瞬きました。

どうしてそんなことを聞くのでしょう。そんなに病弱そうに見えるんですかね? 

色素とかの関係で白猫は弱いっていいますけど寒さには強いんですよ? ……っとそれはおいといて。


 わたしははにかみながらコクリとうなずいて、元気だということを伝えました。

それから、わずかに息を吸います。

 「あの……今日はすみませんでした」


 体を縮めてあやまると、ジンゴさんはからからと笑いました。

 「いいのよ、気にしないで! 冬眠の冬だもの、みんな眠っちゃうわ」


  近づいてきたジンゴさんに背中をぱしっと叩かれて、うわっ、と目を丸くしたわたしをロイドさんがおかしそうに見つめます。

 「おいおい、困らせたらだめだろ」


  おどけたように肩をすくめてみせたジンゴさんは、わたしの目にはまぶしすぎて、思わず視線をそらして遠くの屋根を見つめま

した。


  彼女はここのリーダーで、ロイドさんは兄のような頼りになる存在。

 みんなそれぞれに輝ける場所があるのに、わたしはまだ、自分がなにものかすらわかっていない───。


 そんなわたしの横顔を、ソルさんがじっとみつめていました。




                                           

                                               冷たい街に、春が来るまで


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おはようございますこんにちはこんばんは!霧涙です。

更新が一年振りになってしまった……( ´・ω・` )  すみません、たいへんご無沙汰しました。

なぜこのような事態になったかと言いますと、突然この小説への愛情が復活し、放置しておけねえ!と思い立ったからなんです;;

ただ、せめてもの救いは、前のわたしもぐうたらで三章しか書いていない事です。お話はほとんど進んでいません。

短編になっても、きっちり完結させたいです。

ゆっくりになったときは、睡眠の秋、冬眠の冬ですから……ティアーさん寝てるんだなあと思ってください。 


この章を最後まで読んで下さったそこのあなた。本当にありがとうございます!

長くなりました、失礼しました!
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冷たい街に、春が来るまで  <三期六巻> Empty Re: 冷たい街に、春が来るまで  <三期六巻>

投稿 by ウィンターリーフ@冬葉 Fri Feb 17, 2017 6:44 am

遅くなりました、コメント失礼します。

章ごとのタイトルが素敵だなあ、と思いました。今回はこれ……ってどういう意味だろう? ……ああ、なるほど! ってなるので読んでて楽しかったです^^
あとソルダが可愛くてほっこりします。『そうなんでしゅ』や『ござる』、前者は可愛いと思いましたけど、後者は笑っちゃいました!


執筆ふぁいとです、応援してます!
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投稿 by ティアーミスト Fri Feb 17, 2017 8:34 pm


>ウィンターさん

こんにちは、コメントありがとうございます!( ・ᴗ・ )

読んでいて楽しくなる、そんな文章を目指して書いているので、とっても嬉しいです♫ ソルダの可愛さはこれからも磨いてい

きたいですね笑 ウィンターさんの心が洗われるような小説に癒されながら、ゆっくり更新していきます^^

いい意味で裏切られるような物語を編みたいなと思っているところです。乞うご期待‼←

応援ありがとうございます。お互いがんばりましょうねー!
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