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竜の唄を響かせて    <完結>

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投稿 by エーテルレイン@停止中 Fri Oct 02, 2015 11:38 pm

プロローグ




生きてほしいから

決して諦めないで欲しいから

高く舞う竜は知っている

この世で最も大切なものを

光れ
世界よ




少女の歌は時に傷ついた者を癒し

時に争いを招き

時に優しさをつくり

時に悲しみを呼び

時に笑顔にして

時に破壊を起こし

時に命を生み

時に死を知らせ



時に愛を奏でた






少女は唄う



竜の唄を・・・


最終編集者 エーテルレイン [ Sun Nov 15, 2015 3:19 pm ], 編集回数 8 回
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竜の唄を響かせて    <完結> Empty Re: 竜の唄を響かせて    <完結>

投稿 by エーテルレイン@停止中 Fri Oct 02, 2015 11:46 pm

登場猫紹介

主人公
アイリーン   ♀
白と三毛柄。
目は淡い桜色と金色のオッドアイ。


アラステア   ♂
白の多い三毛猫。
目は藍色。
アイリーンの兄。

ララ   ♀
灰色の毛に濃い縞のある猫。
目は緑。
アイリーンの妹。

リビー   ♀
焦げ茶色の虎猫。
目は黄金色。
アイリーンの母。

ラルフ  ♂
くすんだ黒い毛。
目は黄色。
竜族の長的な存在。



デューンホーク(砂山の鷹)   ♂
こげ茶色の体に濃い縞がある。
目は藍色。
旅猫。
顔に複数の傷があり左耳が裂けている。
右耳にリングピアスをしている。


<デューンホークの仲間達>
エンハンブレフレイム(星屑の炎)
アンバーズオッド(琥珀の奇石)
ブリッツショット(電撃の衝撃)
クラッシュハート(ぶつかり合う心)
登場猫は・・・随時更新です


最終編集者 エーテルレイン [ Fri Oct 09, 2015 10:25 pm ], 編集回数 9 回
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竜の唄を響かせて    <完結> Empty Re: 竜の唄を響かせて    <完結>

投稿 by エーテルレイン@停止中 Fri Oct 02, 2015 11:57 pm

_____説明_____





ねぇ、唄って。竜の唄を・・・




彼女の一族は竜族と呼ばれ利用され殺されていった。

竜族は滅びたものと思われた。

だが生き残ったものが僅か数匹いたのだ。

アイリーンは竜族の血を引く猫。

アイリーンは誰かの前で歌うことを堅く禁じられた。

もしも竜族が生きているとばれたら間違いなく殺される。

竜族のものが『滅びの唄』を唄えば世界は忽ち消えてしまう。

無論竜族の者は決してそんなことはしない。

竜族は世界に忌み嫌われていた。

















世界を滅ぼす竜族



これはアイリーンの悲しい物語・・・


最終編集者 エーテルレイン [ Fri Oct 09, 2015 4:53 pm ], 編集回数 1 回
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竜の唄を響かせて    <完結> Empty Re: 竜の唄を響かせて    <完結>

投稿 by エーテルレイン@停止中 Sat Oct 03, 2015 12:04 am

アイリーンは唄わない変な子だった。

唄ってはいけないの。

唄えば私は殺されるから。

なのに・・・

何故あんなことをしてしまったんだろう・・・。
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竜の唄を響かせて    <完結> Empty Re: 竜の唄を響かせて    <完結>

投稿 by エーテルレイン@停止中 Sat Oct 03, 2015 5:55 pm

第一部



竜族

「アイリーン!」

後ろから駆けてくるのは兄のアラステア。

みんなアラと呼んでいる。

「アラ!どうしたの?」

竜族は今数が減り15匹しかいない。

「今日は移動の日だろ?」

移動か・・・。

竜族は同じ場所へ行き留まらない。

年に数回移動をするのだ。

自分たちの居場所がばれないために。

「そうだったわ。」

「支度しろよ。」

「うん。」

最近移動が多い。

しかたないけれど・・・。

「ララ、この間の怪我治った?」

この間アナグマに襲われてララは大怪我を負ったのだ。

「ううん。まだ完全じゃないよ。」

「こっち来て。」

また今日もどこかで泣いているの
誰か助けてって・・・
痛いよ
怖くて辛いんだって
でもね・・・
そんな思いは癒してあげる
傷の痛みもやがて和らいでいく
心に負った傷でさえ癒えていく
さぁ、立ち上がって
進みなさい
もうこの傷は過去のもの
ほぅら、もう傷は消えた


アイリーンが唄い終えたときにはララの傷は癒えていた。



これが竜族の力なのであった・・・


最終編集者 エーテルレイン [ Sat Oct 10, 2015 2:00 pm ], 編集回数 1 回
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竜の唄を響かせて    <完結> Empty Re: 竜の唄を響かせて    <完結>

投稿 by エーテルレイン@停止中 Sun Oct 04, 2015 9:35 pm

「ありがとお姉ちゃん!」

この力の欠点といえば自分には効果がないということだけだ。

「いいのよ。ほらもう行くってよ!」

竜族は別名旅する部族と呼ばれた。

「アイリーン、ララ!行くぞ!!」

「ほら、行きましょ!」

アイリーンたちは旅をする。

新たな安全な地を求めて。

だがこれがアイリーンにとってみんなとする最後の旅になってしまうことに気づくはずはなかった・・・。
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竜の唄を響かせて    <完結> Empty Re: 竜の唄を響かせて    <完結>

投稿 by エーテルレイン@停止中 Wed Oct 07, 2015 4:26 pm

竜族の次の目的地はシルクガーデン。

別名『琥珀の森』。

かつて竜族が繁栄していたころ暮らしていた土地だという。

だがここで行われた『琥珀狩り』によって半数もの竜族の猫が殺されていったのだ。

だけど何故ラルフは琥珀の森に戻ろうとしたんだろう・・・。

とても恐ろしい場所なのに。

「お母さん。」

「なあにアイリーン。」

聞いてもいいのかな?

「琥珀の森ってお父さんが殺されたところ?」

「・・・。」

「ごめんなさい。そんなつもりじゃなくて・・・。」

「いいのよ、えぇそうよ。お父さんは今も琥珀の森で眠っているわ。」

お父さんのこと知らないけど。

立派だったと聞いているわ。

「もう一ついい?」

「えぇ。」

母リビーは耳を傾けた。

「どうして虐殺が行われた琥珀の森に戻ろうとしているの?」

琥珀の森に行くのが少し怖かった。

「あなたには分からないわ。」

「でも知りたいの。」

「抑えることも必要よ?その好奇心が悲劇を呼んだりだってするのだから。」

知るのはイケナイことなの?

私だって知る権利はあるのに・・・。

教えてよ。

わざわざそんな場所に戻る理由を。

「あと琥珀狩りで何をされたか知りたいわ。」

「ラルフに聞いてみなさい。母さんは話したくないの。」

ラルフは今休憩のため木陰で休んでいた。

教えてくれるかな?

アイリーンはラルフの元へ行った。

「ラルフ、聞きたいことがあるのですが・・・。」

「何だ?」

「2つ答えてください。まず琥珀狩りで何を竜族がされたのか、なぜその琥珀の森へ戻ろうとするのですか?」

「リビーに聞かなかったのか?」

お母さんは・・・

「聞いたわ。でも教えてくれなかった。」

「そうか。では教えてあげよう。」

アイリーンはしっかりと聞いた。
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竜の唄を響かせて    <完結> Empty Re: 竜の唄を響かせて    <完結>

投稿 by エーテルレイン@停止中 Wed Oct 07, 2015 11:38 pm

琥珀狩りとは・・・竜族の猫を標的と定め一匹ずつ殺していく。
さらに逃げたもの、脱走したものは殺されず利用されていく生き地獄を与えられる。
利用されたものは生きることを苦に思い自ら命を絶つという。


「そんな残酷なこと・・・。」

「俺たちの力と命にはそうされるほどの価値がある。唄うことで世界すら滅ぼせる。それを恐れてるんだ。」

破壊の唄を唄ってしまえばたちまち世界は滅びるという。

「そんなことしないのにね。」

「たとえ俺たちが唄わないと言い張っても信じないだろうよ。」

だから琥珀狩りが起きたのね。

「じゃあ次に何故戻るかを教えよう。」

「はい。」

「俺が故郷に戻ると決めたのは旅を終わらせるためなんだ。」

ずっと。

物心がついたときから旅をしていた。

それが終わる?

アイリーンは尻尾を揺らした。

「何故・・・。」

「竜族はそろそろ消えたと思われていてもおかしくはない。だから定住して安全に暮らそうと思う。」

消えた・・・。

そうか、私たちは生きていることを知られてはいけない。

知られれば竜族に琥珀狩りの脅威が向けられる。

恐ろしいことになるからだ。

生きることを誰かに制限されるなんて嫌だな・・・
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竜の唄を響かせて    <完結> Empty Re: 竜の唄を響かせて    <完結>

投稿 by エーテルレイン@停止中 Thu Oct 08, 2015 8:42 pm

3日間旅を続けシルクガーデンへ辿り着いた竜族。

年長の者は皆懐かしそうにしている。

琥珀の森・・・。

まるで琥珀の中に閉じ込められたような場所だった。

木々は美しく枝を揺らし、川はサラサラと流れる。

竜族が唄った慈しみの唄の効果で今もなお琥珀の森は美しさを維持しているのだそうだ。

「久しぶりに唄おうではないか。」

ラルフは提案した。

竜族の全てが頷いた。

そして唄う。


我は想う
この姿がやがて煌くことを
何故こんなにも
それは美しいのだろう
それがもつ内なる可憐さに
我は想った
永久にこの美麗が続くことを
永遠にその優雅さが灯ることを
儚き時を生き抜いたものだから
こんなにも美しい
我はそんなものに憂いて
慈しみ
愛しむ
消えるな
輝きよ




植物は勿論川までもがよりいっそう美しさを増した。

竜族全員が唄ったため効果は何倍もあった。

竜族ここに留まることを決めたとき。















悲劇まであと数日・・・
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竜の唄を響かせて    <完結> Empty Re: 竜の唄を響かせて    <完結>

投稿 by エーテルレイン@停止中 Thu Oct 08, 2015 10:00 pm

悲劇の森、琥珀の森に戻ってきた。

竜族は生きるために再びこの地を選んだ。

生きていく。

竜族のような周りから嫌われ生きることが困難な部族だからこそ強くなれるのだ。

「さぁ、元キャンプへ行こう。」

ラルフ先導で向かう。

「キャンプかぁ。」

どんなキャンプかな?

竜族が長らく暮らしてきた場所。

だが若いアイリーンは知らない。

物心ついたときから旅をしていた。

同じ場所に定住したことはない。

いつも簡易な寝床と囲いを作っていただけだった。

「すごいのよ?」

「お母さん本当?」

母は楽しみにしていなさい。とだけ言いました。

そして・・・

「わぁ!!」

ララが歓声を上げた。

「すごいな。」

アラステアも驚いていた。

キャンプは森同様言葉では言い表せないほど美しかった。

だがアイリーンだけは異変を感じ取っていた。

綺麗すぎる・・・。

まるで何かを消そうと必死に洗い流したみたい・・・。

そしてにおうのは恐怖と血。

琥珀狩りがここで行われた。

生き残った者たちはきっとその痕跡を消そうとしたんだ。

だから汚れがないんだ。

血の匂いは消えていない。

ここで、どんな悲劇が起きたか想像できる。

残酷な現状にアイリーンは吐き気がした。

琥珀狩りはいつ起きてもおかしくない。

















琥珀狩り再来まで残り僅か数日・・・
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投稿 by エーテルレイン@停止中 Fri Oct 09, 2015 12:46 am

琥珀狩り


竜族がこの地に来て3日。

だんだんと慣れ始めてきた。

アイリーンは今のんびり狩りをしていた。

ここの獲物は大きい。

「きっと唄のせいね。」

竜族の唄が獲物にも効果を発揮したのだろう。

アイリーンの成績は上場。

さらに獲物を狙う。

と、そこへ大きなウサギが通りかかった。

アイリーンはすぐに狙いを定めた。

そして一気に飛び掛った。

「やった!」

見事しとめ喜ぶアイリーン。

アイリーンは狩りを終え、獲物をくわえてキャンプに戻った。

「お帰り。」

アラステアが迎えた。

「まだ置いてきたのがあるから手伝って?」

「いいぞ。」

アイリーンは獲物を隠した場所へ向かった。

「これとこれ!」

アイリーンは獲物を兄に差し出した。

「お前こんなに捕ったのか?」

「うん。」

アラステアは獲物を運んでいった。

アイリーンも後を追おうとしたそのとき・・・

「お姉ちゃん!」
















この出会いが後に悲劇を呼ぶことになるとはアイリーン自身気づくはずもなかった
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投稿 by エーテルレイン@停止中 Fri Oct 09, 2015 5:44 pm

まだ小さな子猫。

親とはぐれてしまったのだろうか?

アイリーンは躊躇うことなく子猫に話しかける。

「どうしたの?」

「お姉ちゃんがいなくなっちゃった・・・。」

「一緒に捜してあげるから泣かないで。」

「うん。」

子猫とともに子猫の姉を捜す。

でも子猫は泣き止まなかった。

「お姉ちゃぁん!!」

不安で泣くのだろう。

アイリーンは悩んでいた。

唄を唄う?

でも竜族の猫以外の猫の前で唄うなと言われているし・・・。

この子は泣き止まない。

しかたなくアイリーンは悩んだ末・・・

「いい。今からすることを誰にも言わないと約束してくれる?」

「うん・・・。」

アイリーンは久しぶりに唄う唄を選んだ。


月よ教えて
この世界のどこに私の捜す彼がいる?
離れてしまったら分かち合えないものばかり
一生がつまらなくなるわ
だから教えて再会の場所を・・・
きっとまた逢えたそのときに
何かを見つけられるはず
そしてなによりも
逢えたことに喜びを感じ
再び離れてしまわぬよう
この手で全てを握り締め
再会に歓喜をもち続けたい



「おねえさん何したの?」

「もうじき来ると思うわ。」

今唄ったのは再会の唄。

この子の耳に唄が入っていればこの子が一番会いたい者に会えるのだ。


数分後・・・


「お姉ちゃん!!」

子猫は2匹の雌猫に駆け寄った。

「すいません。」

「弟が世話かけて悪かった。」

2匹が頭を下げてきた。

「しかし不思議だな。」

「えぇ。」

やっぱ不自然に思っちゃうのよね、この唄の効果。

「捜していたら急にここにいるんじゃないかと気づいたんだ。」

「気のせいよ。」

アイリーンは隠した。

本当のことを。

「おねえさん!ありがとう!!」

3匹のきょうだいは仲良く帰っていった。

あとはあの子が黙っていてくれるのを信じるしかない。

きっと大丈夫よ。

信じて良いわ。

アイリーンはキャンプへ戻っていった。














その頃。

「おねえさんすごかったんだよ!」

「何が凄かったの?」

「あのね!おねえさんがうたったらお姉ちゃんたちがむかえにきてくれたの!」

「どういうことだい?」

「おねえさんはまほうのうたをうたったんだ!」
















その噂が広まるのに時間はかからなかった・・・。
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竜の唄を響かせて    <完結> Empty Re: 竜の唄を響かせて    <完結>

投稿 by エーテルレイン@停止中 Fri Oct 09, 2015 5:54 pm

ねぇねぇ。

何?

竜族が生きてたらしいよ?

それ本当?

ほんとっぽいよ?

怖いなぁ。

だよね。

世界を滅ぼすかもしんないじゃん!

あんなのが生きてていいわけないよね。

そうそう。

あんな血が継がれていったらいつか世界を滅ぼされちゃうもん。

めんどくさいけど・・・。

やるしかないよね。

琥珀狩りを起こそう。

そうだね、それが一番だよ。

じゃあ早速収集をかけるよ。

頼んだよ?

うん!自分たちのためだもん!

命を守るために・・・


竜族には滅びてもらわないと・・・。


最終編集者 エーテルレイン [ Sat Oct 10, 2015 8:39 am ], 編集回数 1 回
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投稿 by エーテルレイン@停止中 Fri Oct 09, 2015 7:15 pm

竜族は自分たちに危機が迫っているのも知らずに何気ない時間を過ごしていた。

「アラー!」

「ララ!」

「アイリーン!」

3匹のきょうだいは母に呼ばれた。

母は3匹にあるお願いをした。

「薬草が足りないわ。ネズとマリーゴールドを採ってきてくれる?」

竜族の猫たちは生き残るために全ての猫に治療法、薬草のことなどが教えられるのだ。

「分かったよ母さん!」

アラステアが答えた。

3匹はキャンプを出て教えられたところへ向かった。

「なぁ、見つけたら唄おうぜ!」

唄えば植物は大きくなる。

そればかりか植物が持つ効力も強くなるのだ。

「いいね!」

ララも乗り気だ。

アイリーンはあまりやりたくなかった。

「怒られるわよ。」

「んだよ。いいじゃんか!」

「お姉ちゃん心配しすぎ!」

分かってよ。

なんか胸騒ぎがするの。

今朝からずっと。

「お!あったぞ!」

「じゃあ唄お!」

2匹は唄った。

まさか・・・

2匹にとってこれが最後の唄になるとは思ってもいなかった。

唄い終わったときだった・・・。

ガサガサガサ・・・

「!!」

近くの茂みから数十匹の猫が現れた。

「やはり植物が育ったぞ!!こいつらは竜族だ!!捕らえて始末しろ!!」
























これが悲劇の始まりであった。
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投稿 by エーテルレイン@停止中 Fri Oct 09, 2015 10:05 pm

「逃げるぞ!!」

アラステアが妹たちを押した。

「追え!!」

猫たちは追ってくる。

今の3匹には恐怖しかなかった。

殺される。

アラステアが立ち止まった。

「アラ!!」

アイリーンは驚いた。

「俺が止める!お前らはみんなに知らせるんだ!!」

「アラは!?アラはどうなるの!」

アラステアは俯いた。

「生きろ。竜族の血を絶やすな!!」

アイリーンとララにはその言葉に従うことしか出来ない。

この精神状態ではしかたないだろう。

「アイリーン!ララ!!・・・生きろ!竜族を頼んだ!」



竜族の戦士アラステアは琥珀狩りの脅威に呑まれ死んだ・・・



「アラ、アラ!!」

泣きながら走る2匹。

とにかく兄の死を無駄にしないように走り続けた。

兄の望み。

竜族の生存。

それを成し遂げるために・・・。

「ララ!!」

後ろでララが捕まった。

「お姉ちゃん!!!いいから!行って!!」

ララの真剣な眼差しに・・・

「ごめんなさい!」

「お姉ちゃん、生きて!」

振り切るようにアイリーンは走り出す。



妹ララは琥珀狩りの第二の犠牲者となった。



「ララ!!アラ!ごめんなさい!ごめんなさい!!」

森を疾走してキャンプへ飛び込む。

「アイリーン!どうしたの?」

「琥珀狩りが!!」

「何だ!何があったんだ!!」

ラルフが大声で聞いた。

「うぅぅ・・・アラとララが・・・・・琥珀狩りで・・殺された・・・。」



















アイリーンは兄と妹を亡くした。

だが、これから失うものはそれだけではなかった・・・。
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投稿 by エーテルレイン@停止中 Sat Oct 10, 2015 9:23 am

「何ィ!!」

ラルフが恐怖と驚きの混じった声で叫んだ。

「アイリーン!!」

母が向かってきた。

「アラステアとララが死んだですって!!?」

「お母さん・・・逃げて・・・・・」

アイリーンは気が動転してそれしか言えない。

「逃げて!!」

アイリーンの言葉に不安を駆られる竜族の猫たち。

「急げ!!脱出しろ!!」

ラルフの一言でキャンプから這い出す竜族。

だがそこには・・・

「竜族を排除しろぉ!!!」

たくさんの猫の姿で囲まれていた。

数はこちらの4倍。

とても敵わない。

「先日、我が部族の子猫がここに迷い込んだ。そのときにある猫に助けられたそうだ。」

それって・・・

「その猫が唄った唄で子猫は再会を果たせたと言っていた。」

「私・・・。」

「竜族が戻ったことを我らは確信した!!」

「私のせいだ・・・。」

聞こえないようにぼそっと呟いた。

するとラルフが

「一瞬の隙をつくる。お前は逃げ出せ!」

「私・・・だけ?」

「お前が灯火になれ!竜族の血はお前に託した!!!」

ラルフが1匹の猫に飛び掛った。

続けてほかのみんなも対抗する。

「行け!!アイリーン!!」

アイリーンは動けない。

みんな死のうとしてる。

私だけが助かるなんて・・・。

「行きなさい。アイリーン!」

母がアイリーンの首を咥えて走り出した。

そして猫たちの囲いから放り出した。

「行け!!!アイリーン!生きるんだ!」

アイリーンに気づいた猫が追ってくるも竜族の戦士によって制止された。

アイリーンは走った。

どこまでも・・・。

後ろを振り返ることもなく。

「うわぁぁぁぁん!!」

叫び声が響いた。

もう独りになってしまった。

琥珀狩りの脅威は全てを呑み込んだ。

「私のせいだぁぁぁ!!」

竜族を見捨て生きてしまった自分を恥じて嘆く。

もとはといえばアイリーンが子猫を助けるために唄ったことが原因だった。

唄ってはいけないと言われていたのにもかかわらず唄ってしまった。

アイリーンは泣いた。

涙は留まることを知らずに・・・。

失くしたものが大きすぎて。

失ったものが多すぎて。








そのころ・・・。

「我らの血は・・・滅びない!!」

「残念だ。戦士ラルフよ。お前で最後だ。」

ガシュッ・・・

琥珀狩りは終わった。

竜族はアイリーンに全てを託し死んだ。

「竜族は・・・・・ま・・だ・・・生きて・・・い・・・・・る・・・・・・・・」

ラルフは力尽きた。

琥珀狩り終了。

「竜族は死んだのだ。」

だがまだ生きていると言っていたな。

まぁ、ただの負け惜しみだろう。






















竜族は悲劇の部族と化した。

アイリーンはもう・・・
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竜の唄を響かせて    <完結> Empty Re: 竜の唄を響かせて    <完結>

投稿 by エーテルレイン@停止中 Sat Oct 10, 2015 12:52 pm

私のせいで!

何が奇跡の唄よ!!

何も守れないで

何もできないで!!

唄ったせいで家族(竜族)は死んだのよ!!



もう二度と唄うもんか!!

この先唄うことなんかしない!!

声も出さない!

そうやって生きるんだ!



アイリーンの涙は自らの頬を濡らした。

ポタポタと足元に落ちる雫。

唄ったせいで・・・

アイリーンが唄ったせいで全てはなくなった。

生きようと・・・

竜族が前を向いて生きようとした矢先に悲劇が起きた。

再会の唄は悲劇の唄と化した。

それでも竜族は唄わなかった。

滅びの唄を・・・。



竜族はアイリーンを選んだ。

この先の辛い未来を生きる灯火に選択したのは若い雌猫。

アイリーンは生きることを誓った。

兄の望み。

妹の望み。

母の望み。

そして竜族の望み。

それがアイリーンの生存だった。

アイリーンはこれからも生きるだろう。

望みという願いを叶えるため。






























それから2年の歳月が過ぎた。

その2年間。

アイリーンは誰とも接することなくひっそりと暮らしてきた。

一言も声を発さずに・・・
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投稿 by エーテルレイン@停止中 Sat Oct 10, 2015 2:46 pm

第二部


孤独

(マリーゴールドが足りないわ)

アイリーンは立派な大人になっていた。

声の出し方をすっかり忘れて・・・

アイリーンは琥珀の森に戻らなかった。

希望はない。

分かっていた。

もう竜族の生き残りは自分だけになったことも。

アイリーンは薬草に詳しくなった。

見たことのない葉っぱもどんなことに効果があるのか見た目やにおいだけで分かるようになった。

母と同じ生まれつきのものだった。

母も同じことが出来たのだ。

アイリーンはその後小さな森に移り住んだ。

日も中々当たらず影でいっぱいのこの森に。

だから2年間ここで生きられたのだ。

そしてこれからもここで暮らすんだろうと思っていた。



(あったわ)

アイリーンはマリーゴールドを見つけた。

優しく摘み取った。

_痛いよぉ_

(ごめんなさいね)

アイリーンが声を封印したかわりにある声を聞き取れるようになった。

植物の声。

母が以前言っていたことだった。

『声を出さないようになると植物の心が分かるようになるのよ。でも再び声を発すると聞こえなくなるの。』

竜族の血筋だからできることだった。

『そして声を出しても植物の心を解りたいって思ったときに再び聞こえるようになるの。これを・・・』

覚醒。

という。

アイリーンはまだ分からなかった。

だってこれからもずっと聞くことになるから。

これからも声を出すつもりなんてないわ。





















永遠にね
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投稿 by ティアーミスト Sat Oct 10, 2015 3:42 pm

いまさらながら初コメ失礼致します!
アイリーンの悲しい過去と、きれいなストーリーが大好きですw
執筆、陰ながら応援しています^^
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投稿 by エーテルレイン@停止中 Sat Oct 10, 2015 4:34 pm

師匠!ありがとうなのです!w

キレイなストーリーとは・・・w
うれしいですw
無駄に平凡はつけずにスピーディーで内容が分かり易いものを目指しておりますので・・・w
ですがだんだんドロッドロな悲しい話になっていきます。
応援うれしいです!








この話はですね。
バットエンドにしようと思っているのですw
ですので苦手な方も多いと思いますが応援してくださると幸いです。
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投稿 by エーテルレイン@停止中 Mon Oct 12, 2015 1:42 pm

アイリーンはこの森に名を付けた。

孤島の森。

誰にも知られない。

誰も寄り付かない。

まさに孤島のような場所だったからだ。

(これでよしと)

アイリーンは採ってきたマリーゴールドを以前見つけた岩の隙間に蓄えた。

アイリーンはこの岩にも名を付けた。

薬草庫と。

そして古くなった薬草をかき出した。

(ナツシロギクが足りないわ)

もったいないけど捨てないと。

でもナツシロギクは代用するものがなく採れる時期も決まっていた。

今は採れない。

(どうしよう)

熱でも出したら大変だし・・・。

唄は自分には効果がない。

だから癒しの唄で治すことは不可能なのだ。

どうしてもナツシロギクが必要なのだ。

(しかたないわ別のものを見つけましょう)

そして植物に問いかける。

(ナツシロギクの変わりになるものっている?)

_教えないよ_

(じゃあ抜いちゃうわよ)

_分かった分かった!_

(教えて)

_ドクダミがいいよ_

(毒なんでしょ)

_ドクダミは毒じゃないよ_

(本当?)

_でも使いすぎたら毒になる_

(どこにあるの?)

_知らないけどにおいがキツイからすぐ分かるよ_

(どうもありがとう)

アイリーンはドクダミを探す。

においがキツイって言ってたっけ?

ドクダミって聞いたことないな。

でも使えそうね。

(これかしら?)

においが一際キツイ薬草だった。

そしてまた問いかける。

(あなたはドクダミ?)

_そうだよ_

(少し頂くわね)

必要な分だけもらった。

_痛いよ!_

(ごめんね)

アイリーンは孤独。

でも寂しくはなかった。

植物たちと仲良くしてたから。
























でもそんな平凡は長くは続かない・・・
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投稿 by エーテルレイン@停止中 Mon Oct 12, 2015 3:06 pm

悲劇は起きる。

それが生まれ持った運命だから。

変えられない。

自分で選ぶことも描くこともできない。

アイリーンの生きた先には幸せはあるのだろうか。



幸せ・・・。

あるのかな?

孤独で幸せ?

幸せって何?

楽しいのかな?

幸せってどんな気持ちになるものなの?

もう・・・
















分からないわ。
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投稿 by エーテルレイン@停止中 Wed Oct 14, 2015 4:45 pm

信頼


ある日の昼下がり。

アイリーンは薬草庫をあさっていた。

(ないわ)

探しているのは半年前に見つけた種。

見つけたときは何か分からなかったけど今なら分かる気がするのだ。

(ないならいいわ)

アイリーンは諦めて住処へ戻った。

茨で小さく囲まれた場所。

そこには簡素な苔の寝床があるだけだった。

アイリーンは居眠りしてしまった。







(ここはどこかしら?)

夢だというのは分かっていた。

でも見覚えがない場所で驚いた。

小さく小高い丘で独り。

そよ風が全てを包んでいる。

すると・・・

「おーい!!」

聞き覚えのある懐かしい声がした。

振り返ると・・・

(アラ!!)

兄のアラステアが駆けてきていた。

後ろから妹のララ、母のリビー・・・。

二度目の琥珀狩りで命を落とした竜族のみんながどんどん集まってきた。

「やっと会えた!!」

そうね・・・。

2年ぶりかしら?

そしてその猫たちに囲まれた。

「俺らはお前に言いたいことがあって来たんだ!」

(言いたいこと?私を恨んでいるとか・・・?)

琥珀狩りを引き起こした原因を作ったのがアイリーンなのだ。

「生きろって伝えたくて。」

(生きろ・・・?)

「お姉ちゃんは私たち最後の生き残りなんだよ?だから絶対に死んじゃだめ!」

温かい言葉に胸打たれたアイリーン。

(えぇ、生きるわ)

「お前の運命は予測できない。普通ならこっちで見ることができるものなんだが、お前のものは不可能だった。」

「これから何が起ころうともあなたには生きていてほしいの。」

ラルフが言ったのは、アイリーンの運命は決まっていなかったということだ。

おかしい。

母が優しい眼差しで語ったことにも何かを感じ取った。


変えようとしている・・・。


アイリーンの運命はすでに決められていた。

悲しい結末が・・・。

母たちはそれを捻じ曲げようとしている。

なんとかしてアイリーンを生かそうとしている。

運命を覆すなんて不可能なのに・・・。

「どうか・・・生きて・・・・・。」

やがてみんなの姿は見えなくなった。























アイリーンは知らなかった。

隠された運命が悲しい結末を迎えるなんて・・・
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投稿 by エーテルレイン@停止中 Sat Oct 17, 2015 2:23 pm

昔、母に伝えられていた唄があった。

破壊の唄だった。

どうかこの想いがあなたに届きますように
と、何度も星に願った
でももうそんなことはしない
だってあなたはもういないから
私に命を渡して飛び去った
運命という逆らえない流れに翻弄され私は自由を失くす
消えそうな火は悲しく揺らめく
可憐に舞う花びらは儚く
私も孤独に囚われ散っていく
ここから立ち上がることもできないまま
ただ何かを眺めてる
自分の居場所がわからない
自分の存在意義を知らない
自分に愛をくれる者もいないで
生きるために必要な何かを私は持っていない
I'm broken slowry


唄ってはいけない。

そう言われた。

なのにどうして教えるの?

そう聞いても母は答えてはくれなかった。

唄えない唄。

それは口伝えで教えられた。

アイリーンは夢で唄っていた。

決して現実では唄えない唄を。

涙に乗せて張り裂ける思いで唄った。

辛く悲しい思いをかき消すかのように・・・
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投稿 by エーテルレイン@停止中 Sun Oct 18, 2015 8:31 pm

「デューンホークさん知ってますか?」

エンハンブレフレイムが話しかけた。

「んぁ?何をだ?」

デューンホークは起き上がって言った。

「琥珀狩りが行われたそうです。」

「!!いつだ?」

「いえ・・・かなり前らしいですよ?最近入った情報でしたので・・・。」

エンハンブレフレイムは慌てて答えた。

「そうか・・・。」

エンハンブレフレイムは知っていた。

デューンホークが琥珀狩りのような迫害を嫌うことを。

デューンホークは看護猫だ。

しかもかなり腕が利く。

「エンハンブレフレイム。」

「はい!」

「出発するぞ。」

「あ、でもまだアンバーズオッドが狩りから帰ってませんよ?」

先ほど狩りにフラフラと行ってしまったのだ。

「ブリッツショットとクラッシュハートは?」

「えーと・・・ってあいつらもいません!!」

「はぁ・・・。このまとまりのなさ。なんとかしておけよ・・・。」

いつもなのだ。

一匹いなくなってはまた一匹と・・・。

「叱っておくので・・・。」

「いや・・・。」

そこまでしなくていい。

「俺があいつらを旅に誘ったのは自由に生きるためだ。」

「ですが・・・。」

「そこで俺が制限してもよくないだろ?」

「では注意だけしておきます。」

エンハンブレフレイムとは一番長い付き合いだ。

エンハンブレフレイムはデューンホークの一番の理解者であった。

デューンホークは旅先で出会った猫を自分について行きたいと言った者だけ連れて行くのだ。

アンバーズオッドもブリッツショットもクラッシュハートも皆、デューンホークに助けられた者たちだった。

「まぁいい。俺は急いでいるのではないからな。」

「弟さん、見つかるといいですね・・・。」

デューンホークの旅の目的は生き別れた弟を見つけることだった。

「あぁ。」

幼いころ、人間によって引き離されてしまったのだ。

デューンホークの顔の傷はそのときに人間によって与えられたのだ。

耳の左耳も同じく、右耳のピアスも人間が面白がってつけたのだ。

「俺は人間が嫌いです。」

エンハンブレフレイムもまた人間により兄弟を殺されたのだ。

「好きなやつなんかいねぇさ。」

「俺も兄弟が生きてるって少しでも希望があれば・・・。」

「俺はそういうことは治せない。体の傷は治せても心の傷は専門外だ。」

「いえ・・・。」

どんな誰もが心に傷を負っている。

決して癒せない深い傷を・・・
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