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MAGIC☆WORLD~未来を取り戻す旅~【完結】

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それぞれのお話(過去の話など)をどういう風に見たい?

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投稿 by ライトハート Wed Mar 01, 2017 2:26 pm

【第十六章 シャイニングの想い】



ようやく外へ出た時は、旅をしてから三日が経った頃だった。

外は暗く、夜になっていた。月明かりのおかげでまわりがよく見えた。

ここはもう無人島になっており、使われていない建物、すくすく育った植物たち。

姿は変わったが、何もかも懐かしい景色にホクは思えた。

ホクは目を見張った。昔を思い出す。嫌な記憶が一気によみがえった。

『逃げて!ホク!生きのびて!』

『父さん!母さん!姉さん!嫌だ!』

『お願い。私達のためよ』

姉の顔は思い出せなかったが、確かあの時、安心させるように微笑んでいた。

「大丈夫?」ルフィーナが傍に来て、ホクを慰めた。

「俺………わかった気がする。あの時、生きのびた理由」

ホクは<シャイニングスター>を取り出した。

「そして、これをお守りにしていた理由………俺は未来を救う為に、生きのびた…………?」

「そうだ、ホク。お前は未来を救う為に生きのびたんだ」

低い声に、ホクはぎくっとした。新しい声が、どこからか聞こえてくる。

カール博士が近づいてきて、興味深そうに<シャイニングスター>を見つめた。

「まさか……」

「ふっ。よくわかったな、カール博士。そのまさかだ」

「シャイニング!?」

一同は大きな声をあげた。

「しゃ、シャイニング!?あ、あの伝説のヒーロ!?」ファイトが感激した声をあげた。

「そんなにはしゃぐな。俺は伝説のヒーロ―なんかじゃない」

シャイニングは少し悲しそうな声で言った。

「シャイニング、<シャイニングスター>に意識を飛ばしておるのか?」

「察しがいいな、カール博士。その通りだ。星の猫から許可を……俺も星の猫だが……もらった。だがあんまり長い事喋れねーんだ」

シャイニングはそういうと、苦しそうに咳をし始めた。

「大丈夫ですか?」クラルテがおどおどした。

「心配いらない。ところで、ホク」

「俺?」

「……お前はな、昔は独りだった。独りで生きのび、独りで____」

「やめてくれ、シャイニング。いくらあんたでも過去の話は………」

「最後まで聞け__お前は独りだったが、こうして仲間が出来た。お前は独りで生きていける、強い奴だ。

だがな、仲間が出来、ある感情を手に入れた。それが何か知りたいか?」

ホクが答える間もなく、シャイニングは続けた。

「優しさだ」

「この俺が……?」

「お前はこいつらと出会って、たくさんの猫を助けた。国から追い出されたルフィーナを助けた。<ダークホール>に吸い込まれそうになったアイビス達、

ファイトにいじめられていたクラルテを………」

ルフィーナ、アイビス、ファイト、クラルテが視線をかわした。

「今のお前に一番必要なのは優しい心だ。この感情を忘れるな。そうすれば、必ず____」

シャイニングは言葉が途切れ、さっきよりも激しい咳をした。

「俺にはその優しさなんてなかった。だからその罪を償い、未来の英雄に託したかった__そろそろ時間みたいだな。俺の身体も…限界だ。

もっと伝えたかった事があったんだが」

シャイニングはとぎれとぎれに咳をしながら言うと、これきり喋らなくなった。

「シャイニング!」ホクは<シャイニングスター>にむかって叫んだ。

「ホク……」

「絶対、未来を救ってみせる。シャイニングの想いは無駄にできない」ホクの目つきは真剣になった。「急ごう、虹の城へ!」

虹の城は、光の島の中央で、虹色に輝いていた。



                            ☆

「間に合ったようだな」

白い雌猫が、虹の城の入り口を見あげた。

「残念だな。もうこの世界は終わりだ。未来はもう、存在しない」

白い雌猫は不気味な笑みをうかべ、虹の城へ入っていった。

いつもよりも強い負のオーラをまとっていた。

白い雌猫が虹の城へ入ったのと同時に、満月はだんだん、赤色に染まっていった。
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投稿 by ライトハート Wed Mar 01, 2017 2:35 pm

【第十七章 黒い光と赤い月】



虹の城の階段をひたすら登り続けた。カール博士が言うには、頂上に<精霊の石>を収める精霊の像があるらしい。

窓から見えた月を見て、ホクはあっと声をあげた。

「月がいつの間にか赤くなってる………?」

「嘘っ!?」ルフィーナも目を丸くした。

少し上にいたファイトが深刻な表情をした。「おい、見て見ろよ。様子、おかしくないか?」

じっとよく目を凝らすと、<水の国>のところが黒い光で光っていた。その光はだんだん強くなり、じわじわとこちらの方へやってきている。

「もうすぐこの世も<暗黒の世界>になるんだ……」

「そんなっ」ルフィーナが半泣きになった。「嫌よ、そんな事」

「ああ。はやく急ごう」

「カール博士、大丈夫ですか?」アイビスが歩けなくなったカール博士を心配そうに見ていた。

「悪いが、お前さんたち……先に行っててくれ。ジジイにはもう無理じゃ」

ファイトが困った顔をした。

すると、クラルテがカール博士のところへやってきた。

「博士、カフェ屋さんで売っている、これ、食べてください」

「それは、元気飴じゃな?」

「はい。体力がつき、疲れが吹き飛ぶんです。皆さんも、食べてください」

ホクはその飴を食べた。「凄いぞ、クラルテ」

「必要かと思って、こっそり持って来たんです」クラルテは少し照れたように言った。

「よし、先を急ぐぞ!」

ホクは気合を入れ、階段を駆け上がった。


                              
                                ☆


ホク達はついに頂上にたどり着いた。

階段を登りきると、ステンドグラスがたくさんある部屋についた。

火の精霊、草の精霊、水の精霊をイメージしたステンドグラスが輝いていて、豪華なシャンデリアがぶら下がっていた。

部屋の中央に、精霊の像とみられるものがあった。

ホクは鞄から<精霊の石>達を取り出し、選ばれし者達に渡していった。

「いよいよね」ルフィーナが言った。「これで本当に未来を救えるの?」

「当たり前だろ」ファイトが言った。

ホク達は精霊の像に近づこうとした。

すると、急にシャンデリアの光が消え、部屋が薄暗くなった。

「何事ですか?」アイビスが怯えた匂いを発した。

ホクはごくりとつばをのみ、<シャイニングスター>を取り出した。

「お前達、ご苦労だった」

声がどこからとなく聞こえてきた。不気味な笑い声が、聴こえてくる。

「何……?」

目の前に、黒い煙があがったかと思うと、一匹の白い雌猫が現れた。

顔に傷が入ったが、それでも恐ろしいほど美しい雌猫だった。オッドアイの目は濁り、どんよりとしている。

その雌猫は負のオーラをまとっていた。

「あの時のッ!」

ルフィーナが声をあげた。

「覚えていたのか」雌猫が鼻で笑った。

「あの時って……?」ホクは戸惑った。

「ほら、<精霊の石>をホクが勝手に持ち込んだ時よ。あなたはこいつに操られていたの!」

「……ッ………!!」

「ご機嫌いかが、ホク?あれから随分と時間が流れたわ。でも、ここで時間は止まる」

「あいつが<闇の精霊>じゃ……!」

「ふふっ。当たり。まあ、精霊の博士なら、当然の事よね?」

見下すような表情をしながら、彼女は喋った。

「クソッ……」

「みんな、精霊の像に行くわよ」

ルフィーナがそう言い、ぱっと駆け出した。

「そうはさせない!」

<闇の精霊>は叫び、呪文を唱えずに攻撃をしようとした。

危険な植物が地面から飛び出し、ルフィーナを捕まえようとした。

ホクはルフィーナを守り、植物に捕まった。

「うっ……」

「ホク!」

ルフィーナの泣き叫ぶ声が聞こえた。

「ちょうどいい。唯一私を倒せる相手を一番に懲らしめてやる」

<シャイニングスター>を取り出し、呪文を唱えようとするが力が入らない。

巻きつく力が強くなり、ホクは悲鳴をあげた。

「もうおしまい?」

「負けてたまるか………」ホクは無理やり力を入れた。

「光の精霊よ、我に力を与えよ!ライトソード!」

<シャイニングスター>の杖が剣に変わり、ホクはどうにか植物を切り裂いた。

ホクは<シャイニングスター>を構えた。

地面に着地する前に、こいつをライトソードで引き裂く。

前足を振り上げたその時、シャイニングの言葉を思い出した。

『今のお前に一番必要なのは優しい心だ。この感情を忘れるな。そうすれば、必ず____』

『俺にはその優しさなんてなかった。だからその罪を償い、未来の英雄に託したかった__そろそろ時間みたいだな。俺の身体も…限界だ。

もっと伝えたかった事があったんだが』

ホクは<シャイニングスター>をしまいこんだ。

するとその時、雌猫の身体の中に黒い宝石が見えた気がした。

ホクは黒い宝石に意識を集中させた。

ホクは植物にまた捕まったが、気にしなかった。

「ホクッ!」

ルフィーナは叫び、ホクを助けだそうと駆け出したが、カール博士に止められた。

「彼に任せるんじゃ、ルフィーナ。<闇の精霊>を倒せるのは、彼だけじゃ」
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投稿 by ライトハート Wed Mar 01, 2017 2:38 pm

【第十八章 心の中】


ホクは目をつぶり、黒い宝石に前足をゆっくりとあてた。

その時身体がしびれたが、ぐっと歯を食いしばってこらえた。

「<闇の精霊>は本来存在してはならない精霊だった。だが、俺は違うと思う。お前がいるから、俺たちも成長できる………。

辛かったんだろ?負の感情自信も。独りで居場所なんてなくて。その感情は俺にはわかる。でも、もう大丈夫だ。俺が居場所を見つけてやる。

その居場所は、心の中だ。猫達は時には負の感情も必要だ。もう、独りになる必要なんてない。

共に成長すればいいんだ。そうすればそのうち心は負の感情も受け入れる」

黒い宝石が割れる音がした。痛みもなくなっていき、植物から解放された。

ホクは雌猫とゆっくりと地面に降りた。

雌猫にはもう負の感情はなかった。

黒い宝石の光は、空高く登っていき、穏やかに消えた。

ホクはそれを完全に見送った。

雌猫はどさりとホクにもたれかかった。

ホクは雌猫を支えた。そして雌猫の顔を見た瞬間、ホクの奥底に眠っていた記憶が蘇った。

「もしかして…………」

「ホクっ!大丈夫?」

「ルフィーナ!」

仲間達がホクのまわりにやってきた。

「やったね、ホク!<闇の精霊>を倒せたわ!」

「これで世界も平和になりましたね」アイビスがにっこりと笑った。

クラルテとファイトが嬉しそうにほほ笑みあった。

「お前さんたち、喜ぶのはまだはやい。その<精霊の石>を」

「わかってるって」ファイトはそう言い、<精霊の石>をもった三匹を呼び寄せた。

そして三匹は精霊の像の前にいき、くぼみにはめこんだ。

すると、今まで輝きのなかった虹の城が、虹色に光輝き、満月も元通りに戻った。

マジックワールドもまた、ゆっくりと光を取り戻し始めた。

英雄たちは嬉しそうに笑った。

「これで未来を救えたね!」

はしゃいでいると、さっきの雌猫がゆっくりと目を開けた。

「大丈夫か?」

「………ここは………」

その声を聞いたホクは思い出した。

この雌猫は、ずっと前にあの事件で別れた

「姉さんッ!」

「姉さん!?」

姉さん__アルバニアだった。
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投稿 by ライトハート Wed Mar 01, 2017 2:40 pm

【第十九章 再開、そして・・・・】



アルバニアは起き上がり、ホクを抱きしめた。

「ホク、生きていたんだな……両親の最後の望みを、叶えてくれたんだ」

「姉さんだって………でも、あれからどうして生きのびたんだ?」

「実験室から逃げて、<水の国>行きの船に乗り込んで光の島から逃げたんだ」

「とりあえず、無事でよかった………」

ホクの目に涙があふれた。

アルバニアはホクから離れた。「<シャイニングスター>も愛用しているんだな」

ホクはうなずき、<シャイニングスター>を取り出した。「もちろんだ」

仲間達が微笑ましそうに姉弟の再開を見つめていた。

アルバニアは悲しそうな顔をした。

「迷惑をかけてすまなかった、みんな。私はいつの間にか、<闇の精霊>に取りつかれていたんだ」

誰もがアルバニアを許すように、安心させるように微笑んだ。

「大丈夫ですよ。世界は平和になったのですから」

「ホク、言い忘れていた事がある」

急に<シャイニングスター>が喋り出し、ホクはぎくっとした。

「シャイニング?」

「お前は………未来へ帰らなくちゃいけない。未来を救ったら、未来は変わる。そしてお前は………」

喜んでいた空気の中、誰もが黙り込んだ。

「すまない。言いたかったのだが、この事実のせいで世界を救うのを拒むと思って」

「ホク、せっかく会えたのに」アルバニアが涙を流した。

ルフィーナ、アイビス、ファイト、クラルテ、カール博士が集まった。

「楽しかったよ、ホク。ホクに会えなかったら、魔法学校になんていけなかった。全部、ホクのおかげ!」

ルフィーナは涙を浮かべたが、にっこり微笑んだ。

「私も、まだまだ恩返ししきれていないのに………ホクさんの事は一生忘れません」とアイビス。

「その、喧嘩とかしたけどよ………お前の事、正直好きだったぜ。友達になれてよかった」ファイトは少し恥ずかしそうに言った。

「あの時は、助けてくださりありがとうございました……僕、ホクさんに出会って頑張ろうって、思えるようになりました」

クラルテが言った後、カール博士は言葉にもできないのか、何度もうなずいた。

「俺も、みんなの事、感謝している。未来に行っても、またどこかで会えるって、俺は信じている。本当にありがとう」

ぶっきらぼうで素直ではなかったホクも、この時は素直に言えた。

アルバニアがホクの前足を握った。

「今回はさよならって言えるから……寂しいけど。ホク、元気で」

「アルバニアもな」

「__そろそろ時間のようだな」シャイニングがかすれた声で言った。

ホクの足先から順に、どんどん光となって消えていく。

「みんなに出会えて、よかった」

ホクはつぶやき、白い光につつまれた。

ホクがいたところに、<シャイニングスター>が地面にぽつんと置かれていた。

<シャイニングスター>は、永久に失う事心配もなくなった満月の光に照らされて、輝いていた。




                     END
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投稿 by ライトハート Wed Mar 01, 2017 2:45 pm

【あとがき】


こんにちは、ライトハートです。

MAGIC☆WORLDは無事、完結することができました!

未来へ帰ったホク。ホクと共に未来を救った仲間たちは、また自分の目標へ向かって突き進みます。

最初のページやアンケートでスペシャルエピソードなどを書こうと思うといいました。

内容が思いついたら、また投稿させていただきます。

今までMAGIC☆WORLDの応援ありがとうございました!

そして他の小説もまた、応援よろしくお願いします!
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