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~希望のクローバーと欠けた月~

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~希望のクローバーと欠けた月~ Empty ~希望のクローバーと欠けた月~

投稿 by ミッシングピューピル Mon Jan 09, 2017 7:58 pm

希望のクロウバーと欠けた月


☆はじめに☆
はじめましての方ははじめまして!またお前かよって方はこんにちは!(ミッシングピューピルという者です!
Twitterではいつもお世話になっています()これからよろしくお願いします!ミッシングは初心者なので色々間違えたりしてしまうかもしれないのでそのときはあたたかい目で見守ってやってください
さてさて、挨拶はこのくらいにしといてこの物語は【ネタバレ注意(五期のキャラがでてきます)&更新ペースめちゃくちゃ遅い(まず完成するかどうかもわからない)】\_(・ω・`)ココ重要!
これが無理って方は絶対みないd(殴
五期のサンダー族(その他追加するかも)の名前の読み方や意味はグーグル先生に聞いたものなのであってるかどうかわかりません。

表紙(ミッシングポー)↓
~希望のクローバーと欠けた月~ DCcYeSsUMAAq8JO

・・・★・・・・・★・・・・・★・・・・・★・・・・・★・・・★・・・・・★・・・・・★・・・・・★・・・・・★

地図
~希望のクローバーと欠けた月~ DCcgR9SUMAEXY8l

・・・★・・・・・★・・・・・★・・・・・★・・・・・★・・・★・・・・・★・・・・・★・・・・・★・・・・・★
登場猫紹介(全ての猫が登場するとは言ってない←)
サン族
族長*フィンチスター[アトリ星]((ショウガ色と黒いぶちの雌猫
副長*ホークアイ[鷹の目]((茶色い毛をした鋭い琥珀色の目をもつ雄猫
看護猫*アイスイヤー[氷の耳]((耳だけ真っ白な黒い雌猫
戦士猫*ブランブルファー[イバラの毛]((短く茶色のトラ柄の雄猫。弟子はジャッカルポー
    フォレストソング[森の歌]((緑の目をした茶色い雌猫。弟子はレパードポー
    レッドオーク[赤い木]((赤っぽいオレンジ色と茶色い縞柄の雄猫。弟子はスノウポー
    ブロークンハート[壊れた心]((片目を失明している茶色い雄猫。弟子はジェイポー
    ダークエンブレム[暗い証]((真っ黒の雄猫
    ニードルテイル[針しっぽ]((灰色の毛でぴんとしたしっぽの雌猫
    ホワイトタイガー[白い虎]((白に黒のトラ柄の雄猫
    ライトニングアイ[稲妻の目]((琥珀色の目をもつショウガ色の雌猫
    アルダーリーフ[ハンノキの葉]((こげ茶色の雄猫
    バードフライト[飛ぶ鳥]((明るいショウガ色の雌猫
    スネークウィスカー[ヘビのひげ]((ヘビのようなひげをもつ三毛の雌猫
    メイプルフット[楓の足]((足がオレンジ色の雌猫
    クラウドノウズ[雲の鼻]((白い鼻をした白い雄猫
    アントファング[蟻の牙]((こげ茶色と黒のぶち柄の雄猫

見習い*レパードポー[ヒョウ足]((斑点模様の雄猫
    ミスティポー[かすみ足]((青っぽい灰色の雌猫
    スノウポー[雪足]((白いふわふわういた毛の雄猫
    ジェイポー[カケス足]((青っぽい灰色の黒のトラ柄の雄猫
    ジャッカルポー[ジャッカル足]((淡い茶色で背中に黒い斑点模様の雄猫

母猫*ホリーペルト[モチノキの毛皮]((黒い毛の雌猫。ホークアイとのあいだに三匹の子がいる
 子*ブラックキット[黒い子猫]((黒い雄猫 マーシュキット[沼子猫]((茶色い雌猫 ライオンキット[ライオン子猫]((黄金色の雄猫
   スクワーレルテイル[リスしっぽ]((オレンジ色の雌猫。アルダーリーフとのあいだに三匹の子がいる
 子*シャインキット[輝く子猫]((黄金色と茶色のぶち柄の雌猫 クルキッドキット[曲がり子猫]((茶色い縞柄の雄猫 ホープキット[希望子猫]((黄金色の雌猫

長老*フォーリングフォックス[落ちるキツネ]((黄金色の雄猫
   ネトルリーフ[イラクサの葉]((緑の目をもつ黒色の雌猫

・・・★・・・・・★・・・・・★・・・・・★・・・・・★
ムーン族
族長*ブリザードスター[猛吹雪の星]((緑の目をもつ真っ白な雄猫
副長*シダーペルト[スギの毛皮]((濃いこげ茶色の雌猫
看護猫*ロングファー[長い毛]((琥珀色の目をもつ茶色い毛の長い雄猫
戦士猫*ダスクハウラ[夕暮れの鳴き声]((琥珀色の目をもつ黒い雄猫
    ブルームハート[咲く心]((白っぽい灰色の雌猫
    スラッシュタロン[ツグミのかぎ爪]((薄茶色の雄猫
    クリアクラウド[透明な雲]((真っ白な雄猫
    タイドプール[潮溜り]((鮮やかな水色の目をもつ灰色の雌猫
    ランニングマウス[走るネズミ]((灰色の雌猫
    ボルテックスファイヤー[炎の渦]((濃いショウガ色と黒いぶち柄の雄猫
    イーグルピューピル[ワシの瞳]((薄茶色の縞柄の雄猫
    ファーンリーヴス[シダの葉]((灰色と白のぶち柄の雌猫
    バウンシィペブルズ[弾む小石]((小柄な灰色の雄猫

見習い*ライトポー[光る足]((ショウガ色の雄猫
    ドーンポー[夜明けの足]((こげ茶色の雌猫
    シャドウポー[影足]((黒い雄猫
    ムーンポー[月足]((ショウガ色の縞柄の雌猫
    スタンピーポー[短い足]((足の短い黒と白のハチワレの雌猫

母猫*サンドペルト[砂の毛皮]((ショウガ色の雌猫。ダスクハウラとの間に三匹の子がいる
 子*スパイダーキット[クモ子猫]((しっぽの細い黒い雄猫 ナイトキット[夜子猫]((黒っぽいこげ茶色の雌猫 リーフキット[葉子猫]((緑の目をもつ茶色と濃いショウガ色のぶち柄の雄猫

・・・★・・・・・★・・・・・★・・・・・★・・・・・★
サンダー族
族長*ブランブルスター[イバラ星]
副長*スクワーレルフライト[飛ぶリス]
看護猫*ジェイフェザー[カケスの羽]((弟子はアルダーハート
戦士猫*ブラクンファー[ワラビ毛]
    クラウドテイル[雲しっぽ]
    ブライトハート[明るい心]
    ソーンクロー[とげ爪]
    ホワイトウィング[白い翼]
    バーチフォール[落ちるカバノキ]
    ベリーノウズ[ベリー鼻]
    マウスウィスカー[ネズミのひげ]
    ポピーフロスト[霜におおわれたケシ]
    シンダーハート[消し炭色の心]
    ライオンブレイズ[ライオンの炎]
    ローズペタル[バラの花びら]((弟子はラークポー
    ブライアーライト[イバラの光]
    ブラッサムフォール[散る花]
    バンブルストライプ[マルハナバチの縞]((弟子はリーフポー
    アイヴィープール[つたの池]((弟子はトゥウィッグポー
    ダヴウィング[ハトの翼]
    チェリーフォール[落ちるさくらんぼ]((雌猫
    モウルウィスカー[モグラのひげ]((雄猫。弟子はハニーポー
    スノウブッシュ[雪の草むら]((雄猫
    アンバームーン[琥珀色の月]((雌猫
    デュノウズ[露鼻]((雄猫
    ストームクラウド[嵐雲]((雄猫
    ホリータフト[モチノキの房]((雌猫
    ファーンソング[シダの歌]((雄猫
    ソーレルストライプ[栗の縞]((雌猫
    スパークペルト[火花の毛皮]((雌猫

見習い*アルダーハート[ハンノキの心]((雄猫
    ラークポー[ひばり足]((雄猫
    リーフポー[葉足]((雌猫
    ハニーポー[蜂蜜足]((雌猫
    トゥウィッグポー[小枝足]((雌猫

母猫*デイジー
   リリーハート[ユリの心]((雌猫

もくじ

・プロローグ
・第一章[月の輝き]
・第二章[タカの影]
・第三章[幸せ]
・第四章[不思議な力]
・第五章[大集会]
・第六章[スター族]
・第七章[月の滝]
・第八章[ ]
……………更新中
※フィンチスターの性別ミスってましたスミマセン
※もくじ追加(いらねえ…←)&シャインキットの色が思ったより見にくかったのでオレンジに変更&ネタバレ注意を赤色に変更
※表紙&地図追加


最終編集者 ミッシングピューピル [ Wed Aug 02, 2017 2:45 pm ], 編集回数 7 回
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投稿 by ミッシングピューピル Tue Jan 10, 2017 9:45 pm

プロローグ


驚くほど眩しく輝く星々が真っ暗な森を明るく照らしている。炎のようなオレンジ色の毛をした雄猫が、その星の一つから真っ暗な森へと飛びおりてきた。そのあとから続いて、ショウガ色の雌猫、灰色の雄猫、黒色の雄猫、茶色い雄猫が飛びおりてきた。
「ファイヤスター?どこへ向かってるんだい?」灰色の雄猫がおびえた声をもらした。
「遠く離れた部族のところへ向かってるんだ、グレーストライプ」ファイヤスターは顔をしかめた。
「スカイ族のことかい?なにかあったのか?」黒い雄猫は首をかしげた。
「違う」ファイヤスターはしゅっとしっぽを振った。
「わざわざ暗黒の森をを通らなくたっていいだろ?」茶色い雄猫はぶつくさ文句を言った。
「あらダストペルト、もしかして怖いの?」ショウガ色の雌猫がからかった。
「サンドストーム」ダストペルトは目をぐるりとまわした「そんなわけないだろ、ばか。俺はなんでこんな前の見にくいところをわざわざ通るのかって聞いてんだ」
「今からムーンに会いに行く、だからここを通らなくちゃいけないんだ。我慢してくれ」ファイヤスターがうなり声で言った。
「ムーンって誰だい?」黒い雄猫がが聞いた。
「月の…まあスター族みたいな存在の猫だよ、レイヴンポー」ファイヤスターは答えた。

・・・★・・・・・★・・・・・★・・・・・★・・・・・★

しばらくして、ファイヤスターはピタッと足をとめた。
「ここからはムーンのなわばりだ。くれぐれも失礼のないように」ファイヤスターは早口で仲間に伝えた。
グレーストライプがおそるおそる足を踏み入れようとした瞬間、怒鳴り声が草むらからとんできた。
「おい、待て!お前らとまれ!!!」グレーストライプが驚いてひっくり返った。
サンドストームはグレーストライプに踏まれないようにさっとわきへ避けた。
「支えてくれたっていいじゃんか」グレーストライプは鼻をならした。
草むらから黒と白のハチワレの琥珀色の目をした雄猫がとびだしてきた。
ファイヤスター以外は警戒して毛を逆立てていた。
「こんばんは、ムーン。俺は元サンダー族の族長、ファイヤスターだ。隣にいるのはグレーストライプ、後ろにいるのはサンドストーム、レイヴンポーとダストペルトだ」ファイヤスターは軽く頭を下げた。
「ファイヤスターか…」ムーンは顔をしかめて後ろにいる猫達を睨みつけた「…何の用だ?」
「落ち着いてくれムーン、大事な話なんだ」ファイヤスターは辺りを見渡した「サンはここにいないのかい?」
「ここは俺のなわばりだからな、呼んでくるか?」相変わらず警戒した目をしている。
「ああ頼む」ファイヤスターが答えると、ムーンはヒョウのような速さでなわばりの奥へと消えていった。
「あいつがムーン?シャドウ族の戦士みたいだな」グレーストライプがおもしろそうに言った。
「こらっ!そんなこと言ったらムーンにボコボコにされちゃうわよ」サンドストームがうなった。
そのとき、ムーンが去っていった草むらから低い声が響いた。
「ファイヤスターか?」
「こんばんは、サン」ファイヤスターは頭を下げた。
「真夜中に呼び出したりするくらいだからそうとう大事な話なんだろうな?」サンとムーンが草むらから現れた
「ああ、大事な話だ」ファイヤスターは姿勢を正した「今我々の部族はまた危険な状態になりかけている。それを救えるのは“四葉のクロウバーが欠けた月に照らされたとき希望をもたらしてくれる”と予言がおりた」ファイヤスターは言葉をきった。
「それで?俺たちに何の関係があるんだ?」サンは耳をピクリと動かした。
「その予言の猫たちがサン族とムーン族にいるんだ…」ファイヤスターはサンとムーン
を交互に見つめた「…その子たちにお告げを送ってほしいんだ」
「俺たちの部族の猫がお前らを助けて何の得がある?」サンが口を開くよりも先にムーンがうなった。
「森にはもともと七つの部族がそろって暮らしていた。そのひとつが欠ければ部族は成り立たなくなる」サンがムーンに向かって言った。
「よかろう、ファイヤスター。なるべく早めにお告げを送れるように努力するよ」サンは早口で言い、ムーンが反論する暇も与えず「またな、ファイヤスター」と言って、ムーンを引きずりながら去っていった。
「面白いやつらだな」レイヴンポーがおかしそうにひげを震わせた。
「私たちを連れてきた意味はあるの?」サンドストームはうなった。
「そうだよ、ファイヤスター。それに危険と予言ってなんのこと?」グレーストライプもうなり声で言った。
「四葉のクロウバーが欠けた月に照らされるとき希望をもたらしてくれる」ファイヤスターはただその言葉を繰り返しただけだった。
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投稿 by ジェイホープ Tue Jan 10, 2017 10:27 pm

こんにちはー!それからこちらでは初めまして、ジェイホープと申します(*'ω')
とても読みやすい文章で、キャラの特徴をよく掴めているなぁお思いました。ファイヤスター達5匹の会話も自然で、彼らが見習いの頃に戻ったかのような冗談の掛け合いに懐かしさを感じます…!
それから、サン族、ムーン族とは…森には七つの部族がいた…!?予言にも色々隠されていそうでどきどきです笑
続きをわくわくしながらまっています(´ ˘ `∗)更新がんばです!
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投稿 by ミッシングピューピル Wed Jan 11, 2017 9:18 pm

ジェイホープ wrote:こんにちはー!それからこちらでは初めまして、ジェイホープと申します(*'ω')
とても読みやすい文章で、キャラの特徴をよく掴めているなぁお思いました。ファイヤスター達5匹の会話も自然で、彼らが見習いの頃に戻ったかのような冗談の掛け合いに懐かしさを感じます…!
それから、サン族、ムーン族とは…森には七つの部族がいた…!?予言にも色々隠されていそうでどきどきです笑
続きをわくわくしながらまっています(´ ˘ `∗)更新がんばです!
こんにちは!!返信ありがとう!!ジェイホープよろしく!!(馴れ馴れしくてごめんちゃい←)
そんなに褒めていただけるとは…嬉しい通り越して驚きです()ありがとう!!
更新遅くなっちゃうけど気長に待っててね(汗
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投稿 by ミッシングピューピル Sat Feb 11, 2017 4:32 pm

第一章[月の輝き]

星がこうこうと輝いてる中、森を勢いよく駆け抜けてる一匹の黄金色の雌猫が大きな岩にぶつかった。
「痛いっ!!」その雌猫は目に涙を浮かべながら大きな岩を見た。岩というより岩の壁だ。
「こんなところ見たことない、ここどこ?」雌猫は辺りを見渡した。多くの猫のにおいがする。リスのようなにおい…もしかしてここ、キャンプ?においや足音、声も聞こえるが姿が見えない。雌猫は怖くて逃げだそうとしたが、キャンプの周りがイバラだらけで出ることができない。
「助けて!!誰か助けて!!!」
「何を助けろって?シャインキット?」
シャインキットはゆっくり目を開けた。そこには黄金色の毛をした雌猫…ホープキットがいた。
「なんでもない…」シャインキットはあくびをして答えた。
気持ちを落ち着かせるために胸の毛を懸命になめる。まだ震えがおさまらない、あそこはいったいどこだったの?
「大丈夫?シャインキット、震えてるじゃない」母のスクワーレルテイルが心配そうに言った。
「悪い夢を見ただけ」シャインキットは腹立だしげにうなった。
「よかった!!今日で僕ら子猫を卒業できるんだよ?そんなときに風邪ひかれてもらっちゃ困るもん!!」クルキッドキットがとび跳ねた。
今日で…僕ら…そうだ、今日は私たちの命名式だ。シャインキットは夢のことを頭の片隅に押しやり、興奮で目を輝かせた。母がクルキッドキットの毛並みを整えはじめていた。
「こらっ!おとなしくしなさい!!いつまでも子猫みたいにふるまってないで!!見習いになりたくないの?」スクワーレルテイルがクルキッドキットを叱った。
「シャインキットたちだけずるい!私たちももうこんなに大きいのに!!ほら、シャインキットより大きいんだよ!」マーシュキットがそう言ってシャインキットに体当たりした。
シャインキットは保育部屋の隅のほうまで吹っ飛ばされたが、きれいに着地した。たしかにこの中で一番小さいのは私だ…シャインキットはしゅんとした。
「マーシュキット!そんなこと言ったらいつまでたっても見習いにしてもらえないわよ、シャインキットに謝りなさい」ホリーペルトが自分の娘を睨んだ。
「ごめんなさーい」だが、マーシュキットはちっとも反省していなっかった。
シャインキットは怒りが込み上げてきた。あんたより絶対に強い戦士になってやる!!今に見てろ。
そのとき空き地のほうからフィンチスターの声がした。
「自分で獲物を捕まえられる者は全員このトールツリーに集合しろ、一族の集会をはじめます!!」
シャインキットは緊張で震えてきた。
「本当に見習いになるの?」ブラックキットが羨ましそうに目を光らせた。
「そうよ、ほら早く!お父さんが来てるわよ!!」スクワーレルテイルが子猫たちをしっぽでつついた。
「フィンチスターが待ってるぞ」父のアルダーリーフが保育部屋の出入り口で待っているのが見えた。
シャインキットとクルキッドキットとホープキットはあわてて空き地へと走った。そよ風が気持い、まるで木々や木の葉まで私たちが見習いになるのを祝ってくれているかのようにささやいている気がした。
「シャインキットとクルキッドキットとホープキットが生後六カ月に達し、見習いになるときがきた」いつのまにかフィンチスターがしゃべっていた「前へ来なさい」
やはり、トールツリーをまじかで見ると凄く大きかった。アナグマ二匹…いや三匹分くらいの高さがある。
「クルキッドキット、本日より戦士名を取得するまで、あなたはクルキッドポーという名前になります」
シャインキットは兄と妹の名前が変わるのを見て、ぞくぞくした。本当にこれでいいのかな…。シャインキットはこの日まで看護猫見習いになるか戦士猫見習いになるか悩んでいた。
でももう決めた。私は戦士になって族長になってみせる、今の族長よりずっといい族長に。
「シャインキット」フィンチスターの声にシャインキットは飛び上がりそうになったがこらえた。「本日より戦士名戦士名を取得するまで、あなたはシャインポーという名前になります」
「シャインポー!」一族の声がシャインキットの耳の中でうるさく響いた。だが、さっきより叫んでいる者が少ない。何故だ?私に恨みか何かあるのか?シャインキットは不安そうに目を見開いた。
「ホークアイ、あなたはアントファングを立派に育て上げてくれました。次の弟子をとってもいいころでしょう。シャインポーの指導者になりなさい」
シャインポーは驚いて新しい指導者のそばへ行った。副長の弟子になるって?なんて運がいいのだろう。顔を上げると、ホークアイはあきらかにいやそうな顔をしていた。シャインポーはとたんにやる気が失せた。
どうしてみんなそんなに嫌そうな顔をするの?私に戦士になってほしくないの?シャインポーは悲しくなった。みんなと何も変わらないのに…
「よろしくな」ホークアイが小声で言った。
「こちらこそ」シャインポーは冷ややかな声で返した。
すでにクルキッドポーとライトニングアイ、ホープポーとダークエンブレムが鼻を触れ合わせている。
「シャインポー、ホープポー!クルキッドポー!」一族の声がさっきよりもうるさく聞こえる。
こんなにうるさいのによくみんな耐えられるわね。
「もうひとつ知らせがあります」一族が静かになるとフィンチスターは話し出した。
「なわばり内にオオカミがいるらしい、くれぐれも一匹で行動しないように。子猫は外へ出てはいけません。いい?必ず二匹以上でこうどうしろ」フィンチスターはギロッと一族を睨みつけた。注意する前から約束を破る者がいるといわんばかりだ。
シャインポーはそんな族長が嫌いだった。私が族長になればきっとライオン族のような立派な一族になるだろう…きっと…
集会がお開きになるとシャインポーはホークアイの隣にじっとすわっていた。一族のほとんどがホープポーとクルキッドポーだけにお祝いの言葉をかけている。
シャインポーはうなり声をこらえた。どうしてみんな私をよそから来た部族猫のように扱うの?シャインポーは不思議でたまらなかった。
「今日は…」シャインポーのこらえていたうなり声がもれかけた「今日は何をするんですか?」とホークアイに聞いた。
「なわばり案内だ」ホークアイはさっとしっぽをふった。
「きょうだいたちと一緒に行こう」そう言ってホープポーとクルキッドポーに目をやった。
「さっそくでかけるぞ」
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投稿 by ミッシングピューピル Fri Mar 03, 2017 9:47 pm

第二章[タカの影]

クルキッドポーとライトニングアイ、ホープポーとダークエンブレムとシャインポーはホークアイを先頭に一列でゆっくり歩いていた。若葉の季節のそよ風が心地よい。
「ここがアウルオークだ」ホークアイが立ち止り太く高い木をしっぽでっ示した。
「すぐそこの川がムーン族との境界線だ。においも覚えておけ、これから戦いになるかもしれないからな」
「なぜですか?」クルキッドポーが不思議そうに聞いた。
「昨日の大集会でムーン族の族長、ブリザードスターがアウルオークは俺たちのなわばりだと主張したからだ。いつ襲われてもおかしくないからな」ホークアイは警戒したまま言った。
「そんな!もともと私たちのなわばりなのに!」ホープポーがうなった。
「でも主張したんだ」ダークエンブレムがもっと低くうなった。
「さあここは危険だ、大集会を行うスカイロックを見せてやる」ホークアイがいそいでなわばりの奥へ入って行った。

 そこまで遠くに行かないうちに、一匹の叫び声がすぐそばで聞こえた。シャインポーは恐怖で一瞬固まったが指導者の指示も待たずに駆けだした。今のは…誰の声だ?シャインポーは川のそばですべって止まった。後ろから皆の足音がする。
目の前に見えたのは…あれは…タカだ。タカのかぎ爪に私と年が変わらないくらいの子がぶら下がっているのが見える。タカは大きく翼をはばたかせている。シャインポーはためらわずに大きくジャンプしてタカの足に噛みついた。タカが悲鳴をあげ、つかんでいた猫を落とした。シャインポーもおりようとしたが怒ったタカに捕まえられた。
「助けて!!」下を見るときょうだい達と指導者達、私が助けた猫が小さく見える。
「いやだ!!助けて!!まだ死にたくない!!!」シャインポーはぞっとして泣き叫んだが、皆の姿が小さくなっていくのをただただ見つめることしかできなかった。
そんなにたたにうちに、タカに落とされた。シャインポーはほっとしたのと同時に体に鋭い痛みが走った。とげが刺さったのだ。
とにかく逃げたくてシャインポーは暴れた。だが、どんなに暴れてももがいても出ることができない。シャインポーの片耳はずたずたになっていて、耳の中に血が入って音が聞こえずらい。
タカはどこだ?シャインポーはすっかり混乱して目がまわった。世界がくるくるまわって見える。そのとき、また体に鋭い痛みが走った。ドスン、木から落ちたのだ。
シャインポーはどす黒い血にじゃまされて、目も鼻も耳も何も使えなかったがとにかく走った。何度も何度も木にぶつかったが、足を止めることはなかった…


最終編集者 ミッシングピューピル [ Sat Aug 05, 2017 11:14 am ], 編集回数 1 回
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投稿 by ミッシングピューピル Mon Apr 10, 2017 8:43 pm

第三章[幸せ]

いつまで寝ていただろうか、目を開くとシャインポーはいつか見たあのキャンプのひとつの部屋の中に母猫と子猫と一緒にいた。外では猫の唸り声や犬の唸り声まで聞こえた。
「母さん!僕たちも戦えるよ!!母さんを守りたいんだ!頼むから戦わせてよ!!」となりにいた自分とよく似た黄金色の毛をした雄猫が言った。
「ダメよ、絶対にダメ。」母猫は唸り声で答えた「シャイニングキット、トイガーキット、グリントキット」シャインポーは首をかしげた。どうしてこんな場面を見なきゃいけないの?早くキャンプに帰らないといけないのに…
そのとき、外から雷の光が一瞬差し込んできて母猫の姿が見えた。ふわふわした灰色の毛をして青い瞳をきらっと不安げに輝かせてる。
「行こう!シャイニングキット、グリントキット!父さんを手伝いに行こう!!」トイガーキットが大声で言った。
「母さん邪魔!!」シャイニングキットが母猫をおしのけてトイガーキットと一緒に空き地へ行ってしまった。
「ダメ!!!」母猫は私をおいてシャイニングキット達のあとを追って、全速力で部屋を出て行ってしまった。
そのとき、すれ違いに大きな犬がよだれをたらしながら部屋に入って来た。シャインポーは恐怖で固まった。今度は犬かよ!!すると、突然犬が悲鳴をあげた。
「グリントキット逃げろ!キャンプから出るんだ!!」また雷の光が一瞬差し込んできた。琥珀色の目をもつ、黄金色のトラ柄の雄猫が犬と戦いながらどなっている。
「早く!!」__________

「起きて!!!」シャインポーは飛び上がった。そして着地するときに全身に鋭い痛みが走った。目の前には母のスクワーレルテイルが憎々しげにシャインポーを睨みつけていた。
すると、なにやら口をパクパクさせはじめた。何か言ってるようだが聞き取れない。そこではっと気付いた。片目が見えない。耳が聞こえてない。シャインポーはショックのあまりボーっと母を見つめた。
だんだん周りの状況がわかってきて、母の言っていることはいくつかは聞き取れた。
「………育てなきゃよかった………………あんたなんか……死んでしまえば………………」シャインポーは驚いて母を見つめた。どうしてそんなこと言うんだ?
「スクワーレルテイル!!!」耳元で怒鳴り声が急にしたのでシャインポーは驚いて飛び上がった。
「死ねばよかったですって?頭がどうかしちゃったの?」振り向くとアイスイヤーがスクワーレルテイルを睨んでいた。
「この子はホープポーとクルキッドポーの父…私が愛していた猫を殺したのよ!!!!忘れたとは言わせないわ!!!」シャインポーはだんだん意識がはっきりしてきて、本当は怒鳴って大声で言っている言葉をはっきりと聞き取ることができた。
「この子を助けるために亡くなったのよ!」アイスイヤーは耳をねかせた。シャインポーは首をかしげた。父はアルダーリーフじゃないの?
……もしかして…シャインポーは寒気がした…私は部族猫の生まれではないの?どうして?でもまだ決まったわけじゃ…そう思った瞬間一番言ってほしくない言葉をスクワーレルテイルは吐き捨てるように言った。
「この子はただの浮浪猫が捨てて行った汚れ者なのよ!!そんな奴を助けないわよ!!殺されたの!!!」スクワーレルテイルはアイスイヤーの肩ををひっかいた。シャインポーの足元に、血が飛び散った。
「今すぐこいつの名前を変えるべきだわ。そうね両耳ともボロボロで片目も見えてない汚れ者だからミッシングポー[欠けた足]なんていいんじゃない?今のこいつはちっとも輝いてないんだもの、ねえ?」シャインポーはそれ以上なにも聞かずに、耳を塞ぎながら空き地へ走った。
「シャインポー!大丈夫?生きてた…」ホープポーが駆け寄ってきて声をかけてくれたが、シャインポーにはほとんど聞こえなかった。
「シャインポー?」気づくとホープポーが心配そうにシャインポーの瞳を覗き込んでいた。
「お母さん、お父さん…!!」私はホープポーおしのけてそう叫びながら外へ出て行こうとした。「なんで私を捨てたの??どうして…」シャインポーはクルキッドポーにぶつかった。
「おい!」クルキッドポーは怒って振り向いたがはっと動きを止めて「シャインポー!無事だったのか!」と言った。
シャインポーはクルキッドポーにぶつかった痛みでぺたんと座ってしまった。
「大丈夫か?」クルキッドポーは私の頭をせっせとなめた。
シャインポーはボーっと空き地を見つめた。部族仲間全員がこちらか看護部屋のほうを見つめてなにやらぼそぼそ言っている。
耳の中が気持ち悪くて音が聞き取れない。きっと血が詰まってしまったんだろう。シャインポーは悲しみと不安を頭の隅におしやろうとした。
だが、さっきの光景が目に浮かんでしまう。母だと思っていたスクワーレルテイル。怒ったアイスイヤー。『ミッシングポー』…。ああスター族様…どうしてですか?どうしてこんなことになるのをとめようとしなかったんですか?
「…___お前をミッシングポーという名前にする」気づくと目の前にはフィンチスターが怒りで目をぎらつかせてこちらを睨んでいる姿があった。
後ろには毛を逆立てたスクワーレルテイル。その右隣りにアイスイヤーが族長を睨みつけていた。
「フィンチスター、私はそろそろ弟子をとってもいい頃です。ミッシングポーは戦士になれなくなってしまったのでちょうどいいと思います。」アイスイヤーが空き地にいる猫全員に聞こえる大声で言った。
「それはミッシングポーを看護猫の弟子にするということ?浮浪猫にスター族のなにがわかるっていうの?」フィンチスターが燃えるような目つきでアイスイヤーを睨んだ。
「スター族からお告げがあったんです。」アイスイヤーは相変わらず族長を睨んでいたが声は落ち着いていた。
「そうなの?」
「えぇ」
「…好きにしなさい」フィンチスターがさらっと答えた。
なんなんだ?雌猫って?スター族がすべてなのか?さっきまであんなに激しく怒ってたのに。
みんなはどうやら僕の耳が全く聞こえてないと思っているらしい。まあそう思わせといたほうがいいかな。そのとき、誰かがミッシングポーの肩をたたいた。
「貴方の耳、まだ聞こえてるんでしょう?」アイスイヤーが鋭い小声で聞いてきたので危うく聞き逃すところだった。
ミッシングポーは軽くうなずいた。
「儀式はもう終わったわ、今日からあなたは私の弟子よ」アイスイヤーは優しく言った。
が、ミッシングポーは怒りで体を震わせた。
「そんなの嫌だ!僕は戦士になりたいんだ!!」怒鳴ってからしまった、とミッシングポーは思った。
まだ周りにいる戦士達がはっとこちらを振り向いたのだ。
「誰の声だ?」レッドオークが聞いた。
「さあ」アイスイヤーはとぼけてしっぽでミッシングポーについて来いと合図した。
『まったく、まだ慣れないようね』ミッシングポーはまたもかっとなって歩きながら怒鳴った。
「仕方ないじゃないですか!急にいろんなことが起こったんですよ!!わかりませんか?」
アイスイヤーが驚いて振り向いた。
『あなた、私の言ってること…いえ、考えてることがわかったの?』
「えっ?喋ってないんですか?」ミッシングポーはきょとんとした。
頭の中にアイスイヤーの声が怪物が悲鳴を上げたくらいうるさく響いたのに?
「誰と喋っているんだい?ミッシングポー?」アルダーリーフの声が聞 こ え た。
ミッシングポーが口を開こうとした瞬間、アイスイヤーにしっぽでふさがれた。
『まだ動揺してるんじゃないかしら、あんなことがあったから…』
『そうか…元気出せ…ミッシングポー』アルダーリーフがしっぽでミッシングポーの背中をなでようとしたが、ミッシングポーはさっとよけてうなった。
「あんたに同情されてたまるもんか、父親でもないくせに」ミッシングポーはかぎ爪に力を込めた。
アルダーリーフが驚いて後ろへ一歩あとずさった。
『そんなつもりはないただ…』
「どっか行って!!僕にかまうな!!」ミッシングポーは怒りと悲しさが爆発した。
驚いているアルダーリーフをおしのけて看護部屋に入った。
どいつもこいつもなんなんだ?僕を苦しめて何が楽しいんだ?ああ!あの猫さえ助けなければ…!助けなければもう少し幸せな日々が続いたのかもしれない。
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投稿 by ミッシングピューピル Wed May 03, 2017 5:47 pm

第四章[不思議な力]

「おい!何度言ったらわかるんだ?爪を立てるな!訓練なんだぞ?」指導者のダークエンブレムが牙をむいた。
ホープポーは思わずあとずさった。
「も、申し訳ありません。つ、つい…」
「指導者の俺の言うことは一度で聞け、ホープポー。でないとお前はいつまでたっても見習いのままだぞ」
ホープポーは身を縮めた。戦いに集中しちゃうとすぐ爪を出す癖をなんとかしてなおしたい。
「お前の妹だったミッシングポーのことが気になるのか?」ダークエンブレムが馬鹿にしたように笑った。
「あいつはお前の実の父さんを殺したんだ。心配するんじゃなく、恨むべきだ。」ホープポーはかっとなった。
「血がつながってないから、父を殺したからなんだというんですか?あの子は誰が何と言おうと私の妹です!妹がそんなことするわけないじゃないですか!!」
「こりゃまた面白いこと言う娘だな、残念ながらあいつがいなければお前の父さんは死んでなかった。あいつが殺したんだ」
「ならなぜわざわざ隠してる必要があったんですか?おかしくないですか?」
「なら何故教えなきゃいけないんだ?知らなくたって関係ないだろ?」
「いいえ」ホープポーは歯ぎしりした。
「少しは我慢できるようになったか?」ダークエンブレムがふんと鼻をならした。
「ぺちゃくちゃしゃべってないで体を動かせ」
「あんただって」ホープポーは心の中で返した。


『あなたもう薬草全て覚えたのね…』アイスイヤーの声が聞こえた気がした。自分の能力にまだ慣れていないミッシングポーはぎこちなくうなずいた。
『なんで昨日から口をきいてくれないのかしら…』
「喋る必要なんてありますか?」ミッシングポーはひからびたネズの実を慎重にくわえた。
『そのうち口が凍るわよ…』アイスイヤーしゅっとしっぽをふった。
「勝手に言ってろ」ミッシングポーは指導者には聞こえない声でうなった。
『ミッシングポー?そろそろ終わりにして食事にでも行ってきたら?あとは私がやるわ』その声は不自然に焦っているようにも聞こえた。
ミッシングポーは頭をふった。きっと気のせいだ。まだ疲れがとれてないのかな。
「ありがとうございます。行ってきます」そう言ってからとたんに食欲が失せた。
また愚痴られるのか、空き地で食べたくないな。ミッシングポーはゆっくり獲物置き場に向かった。
『見ろよ、あいつが来たぜ』年長の見習い、レパードポーがスノウポーに小声で言った。
『なんでそんな小声で言う必要がある?あいつ耳がないんだぜ?』スノウポーが馬鹿にして笑った。
いいや、残念ながらあるんだな。ミッシングポーは怒鳴り返したいのをこらえた。ミッシングポーはレパードポーたちを避けて獲物置き場からハタネズミを一匹とった。そして、二、三口でたいらげて看護部屋にむかった。
足が重い。こんな生活にいつまで耐えられるだろうか?もうすでに心がズタボロに引き裂かれている気がする。あああ!早くキャンプからでれるようにならないかなあ…
そのとき、誰かがミッシングポーの足に噛みついた。ミッシングポーはぎゃっと叫び、振り向いた。驚いたことにそこには兄だと思っていた猫。クルキッドポーがミスティポーと一緒に毛を逆立ててたっていた。
『裏切り者!殺し屋!』クルキッドポーが大声で言った。
ミスティポーはその声に合わせてうなった。すると、獲物置き場にいたレパードポーとスノウポー達も声に合わせて叫んできた。
『『裏切り者!裏切り者!浮浪猫!耳なし!!』』
ミッシングポーは顔をしかめた。こいつらは何が言いたいんだ?僕がそんなこと知らないとでも思っているのだろうか?わざわざ教えてくれてんのか?わあ、嬉しいなあ。ありがとよ。ミッシングポーはかぎ爪に力を込めた。耳は聞こえないけど襲いかかることはできるからな、覚悟しとけよ。
『ちょっと!なにしてんのよ!』誰かが僕の隣にすべりこんできた。
後ろを振り返ると姉だと思っていたホープポーがクルキッドポーに牙をむいていた。
『そいつを守ってなにになる?』クルキッドポーが馬鹿にしたように笑った。
『からかってなにになんのよ?そんな暇があったら長老の世話でもしてきたら?こんなに時間を無駄にするなんてどうかしてんじゃないの?お兄ちゃん?』ホープポーが一歩踏み出した。
『全くどうかしてるわあなた。ミッシングポーとは血がつながっていないのよ?なんでそんなにむきになって守る必要があるのよ』ミスティポーがしっぽをさっとふった。
『いきましょ、ここにいても時間の無駄だわ』ミスティポーはホープポーを睨みつけながらクルキッドポーに言った。
クルキッドポーはうなって返事をし、背を向けてキャンプを出て行った。
『大丈夫?けがは…』ホープポーはそう言ってからはっと口をつぐんだ。
そっか、そうだった。みんなは僕の耳は完全に聞こえないと思ってるんだったな。まあ実際そうだが。うん?まてよ…だとしたら僕はどうやって音が聞こえてるんだ?考えれば考えるほど頭がぐちゃぐちゃになったので、ミッシングポーは考えるのをやめた。なんだっていいじゃん、聞こえりゃなんだっていいんだ。
「足が痛いだけ、気にしないで」ミッシングポーはぼそっと返事を返した。
ホープポーが驚いているのがわかる。
『耳、聞こえるの?』ホープポーが首をかしげた。
「いいや、でも…」ミッシングポーは毛を逆立てた。
『ホープポー。浮浪猫と油を売ってる暇があるなら仕事をしなさい。』フィンチスターがホープポーとミッシングポーを交互に睨んだ。
『申し訳ありません、フィンチスター今すぐ狩りをしてきます。』そう言い、戦士部屋へと駆けて行った。
しばらくして、フィンチスターが口を開いた。
『あなた、耳聞こえるんでしょう?』フィンチスターがにやけた。
「いいえ」ミッシングポーは睨み返した。
『聞こえているじゃない』フィンチスターは爪を出したりひっこめたりした。『何故嘘をつくの?』
「聞 こ え はしません、感じるんです」ミッシングポーは耳をぴくっと動かした。「耳は完全に聞こえません。喋っている言葉のほかに心の中の言葉だって何を言っているのか理解できます。ほら今だって…」ミッシングポーはフィンチスターの心の声に怒りをおぼえた。
「スパイしてほしいんでしょう?ムーン族のことを」フィンチスターがぎくっとしたのがわかった。
『何故わかった』フィンチスターの声がきつくなる。
「知りません。聞えちゃうんです」ミッシングポーはさらっと答えた「さあ、もう用はないでしょう?看護部屋に戻りますね」
『待って』ミッシングポーが背を向けた瞬間、しっぽをつかまれた。『今夜は大集会よ。貴方も一緒に来て、必ずよ』
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投稿 by ミッシングピューピル Sat May 20, 2017 8:54 pm

第五章[大集会]

『フィンチスターはどうかしてるぜ、耳の聞こえない浮浪猫を大集会につれて行くなんて』クラウドノウズがアントファングにぼそっと言ったのがわかった。
『ほんとに!片目も見えてないのに…ムーン族に弱い部族だと思われたら嫌よね』メイプルフットがわってはいった。
ミッシングポーはうんざりした。戦士ってあんな馬鹿みたいな奴らしかいないのか?
『今何て言った?』ミッシングポーの後ろで低い声がしたのでびくっとした。振り返ると傷だらけの片目のないブロークンハートが若い戦士たちを睨みつけていた。
若い戦士たちはそろって竦み上がった。
『僕たち…』アントファングが勇気を出して口を開いたが、ブロークンハートの唸り声を聞いて口を閉じた。
『目が見えてないから弱いというのか?俺も弱いか?なんなら今戦ってズタボロにしてやろうか?え?』ブロークンハートが全身に力を込めた。とびかかるつもりなんだろう。
「やめてください。そんなことしてもこいつらの口はふさがりませんよ。」ミッシングポーが言った。
『浮浪猫のお前が何を言ってるんだ?』クラウドノウズがからかった。
『馬鹿ね、こいつは耳が聞こえないのよ』メイプルフットが馬鹿にしたように笑った。
『待て、じゃあなんで今の会話にあったような発言をしたんだ?俺達の話声が聞えるのか?』アントファングが不思議そうに言った。
やっぱり馬鹿だなこいつら。ミッシングポーは心の中で笑った。
『大集会に行くの?行かないの?』気付くと、一族のみんながこちらをじろじろ見ていた。
『もっ申し訳ありませんっ!フィンチスター!!!』若い戦士たちが頭を深く下げた。
『これだから最近の若いやつは…』ブロークンハートはうなり声で馬鹿にした。
ミッシングポーは辺りを見渡した。日はもうかたむきはじめている。ミッシングポーはいつも以上に興奮していた。今日ははじめて大集会に参加するんだ!それになわばりの隅々まで見れるチャンスだ。
『ミッシングポー!おいてくわよ!』ホープポーがキャンプの入り口で足踏みをしている。一族のみんなは先に行ってしまったみたいだ。やばい、そう思ったミッシングポーは全速力でキャンプを出た。


サン族のにおいが濃い。さっきここを通ったんだ。ミッシングポーはキャンプからだいぶ遠くまできて道に迷っていた。ホープポーともいつの間にかはぐれていて、焦っていたのだ。
ミッシングポーはほっと息を吐いた。やっと追い付いた。大集会はまだはじまっていないかな?不安に思いながら先へと急いだ。
『遅いわ、ミッシングポー。やっと着いたのね』フィンチスターが目の前に立っていた。
「も、申し訳ありません…」ミッシングポーはフィンチスターにしか聞こえない声で言った。
『今回は許してあげる。次からはちゃんとついてくるのよ』フィンチスターはそれだけ言うと、しっぽをさっと振って茂みの奥へ消えた。
そのあとから戦士たちが次々とフィンチスターが消えた茂みに入って行った。
『ミッシングポー!やっと見つけた!!』振り向くと、ホープポーが息を切らしながら歩いてきた。
『全く、どこ行ってたのよ。探したわよ?』
「ごめん…」ミッシングポーはうわの空で答えた。
ああ…早く大集会がどんなものか見てみたい。
ホープポーは深いため息をついた。
『いいわ、行きましょ。案内してあげる』ホープポーが言い、顔をよせてきた。『貴方の耳のこと、誰にもしゃべらないでね』
そういうと、しっぽをミッシングポーの肩にのせ、先導してくれた。だが、ミッシングポーは唸り声で「歩くことくらいできるよ」と言った。
『いいからいいから…あっ!!あそこにいる子!!このあいだ貴方が助けた猫よ!えっとたしか名前は…』
『リーフポーだよ』ミッシングポーはびっくりして振り向くと、毛が白く、しっぽの細い黒いすらりとした雄猫が立っていた。
『貴方は?』ホープポーが首をかしげた。
『スパイダーポーだ。リーフポーの兄貴だ』スパイダーポーがこちらを向いて、頭を下げた。『先日は弟を助けてくれてありがとうシャインポー。本当に…』
ミッシングポーは耳を寝かせた。あいつを助けたせいでこんな姿になったんだ。あんな奴、顔もみたくない。
『ごめんなさい。この子耳が…』ホープポーがうつむいて返事をした。
『あっ!お兄ちゃん!!誰?その子たち?』スパイダーポーの隣に黒っぽいこげ茶色の雌猫がすべりこんできた。
その後ろからリーフポー…そう、僕が助けた猫がついてきていた。
『き、君が助けてくれたんだよね?ありがとう!本当に!君は僕の命の恩人だよ!!』
『うるさいお前ら、シャインポーはもう…耳が…』スパイダーポーはさっきホープポーが言おうとしたことをちゃんとわかっていたようだった。
『それともうシャインポーじゃないの、ミッシングポーと呼んで』ホープポーは悲しそうにこちらをちらっと見た。
三匹そろって息をのんだ。
『どうして、そんな酷い名前に?何があったの?』黒っぽいこげ茶色の雌猫が好奇に満ちた目で話しかけてきた。
『こらっ!ナイトポー、失礼なこと言うなよ』リーフポーがどなった。
『リーフポーの言う通りだ、ナイトポー』スパイーダーポーがナイトポーを睨んだ。
やめてくれ。ミッシングポーは心の中でぼやいた。
そのとき、族長たちの開会の唸り声が空き地に響いた。ホープポーはみんなにじゃあねと言ってから部族仲間のところへ駆けて行った。ミッシングポーは看護猫仲間のところへ走った。
もう一度唸り声が聞えた。あたりはたちまちしんとなり、みんなグレートロックのほうを向いた。ミッシングポーもアイスイヤーとムーン族の看護猫のロングファーにはさまれながらそちらを向いた。
ムーン族の族長、ブリザードスターがフィンチスターに軽く頭を下げ、グレートロックから空き地にいる猫達を見下ろした。
『ムーン族から報告することはあまりない。』ブリザードスターはミッシングポーに目を向けた。ミッシングポーは思わずあとずさった。『先日、わが一族の見習いがタカにさらわれた。助け出してくれた勇敢なサン族の見習い猫に感謝する』
そう言ったとたん、空き地が騒ぎ出した。ミッシングポーは口をあんぐり開け、ブリザードスターを見つめ返した。僕に感謝するって?それもほかの部族の族長から?冗談じゃない。
『あ?お前さんがリーフポーを助けてくれたのかい?』隣に座っていたロングファーが驚いてびくっと体をおこした。
『ええ、そうなの。そのせいで耳と顔がボロボロなのよ』アイスイヤーが返した。
ミッシングポーは今の言い方にいらっとした。失礼にもほどってものがあるだろ、バカ指導者。
『もうひとつ知らせがある、アードキットとエコーキットが新しく一族にくわわった。二匹はブルームハートの子供たちだ』あたりにあたたかい祝福の声が響き渡った。
その声がやむと、フィンチスターがブリザードスターと同じしぐさをして一歩前へでた。
『貴方がほかの部族に感謝をするなんて、アナグマに頭を殴られたの…?』フィンチスターは本気で驚いているようだ。『まあいいわ、新しく見習いになった子たちがいます。クルキッドポーとホープポー。ミッシングポーです』最後の僕の名前が空き地に響いたとたん、ざわめきだした。
『シャインキットはどうなったんだ?』
『死んだのか?』
『ミッシングポーって誰?』
『『静かに!!!!』』フィンチスターが怒鳴った。『シャインポーはミッシングポーに名前を変えました。』そういうとさっき座っていた位置に戻った。
みんなの視線が自分にふりかかる。ミッシングポーは緊張で毛が逆立った。
『なんだあ、ありゃあ。まるでアナグマが猫と仲良く喋っている姿を見ているような顔をしてるな。』ロングファーが不思議そうに耳をかいた。
『昔にも名前が変わった猫がいるんですか?』ミッシングポーは胸の毛を舐め気持ちを落ちつかせ、思い切って聞いてみた。
『あ?あぁ、長老猫にはよくあることだ。たまに戦士猫にもそういう奴がおる』ロングファーは眠そうにあくびをした。
そうなのか、じゃあ何故みんな不思議そうにこっちを見るんだ?あ、ロングファーは長老猫と戦士猫って言ってたな。見習い猫にはめずらしいことなのかも…
『ミッシングポー?またボーっとしてるわよ!!そろそろ出発よ』気付くとアイスイヤーが隣でミッシングポーの肩をつついていた。
『も、申し訳ありません!今行きます!』ミッシングポーは飛び上がった。
『ミッシングポー、困ったことがあったらわしにも頼ってくれてかまわんからな。これからよろしくな』ロングファーはゆっくりと立ち上がりながら言った。
『は、はい!今日はありがとうございました、ロングファー。月の滝でお会いしましょう。』ミッシングポーはおじぎをした。
『ああ、じゃあな』そういうと。ミッシングポーの体をかすって空き地の反対側、ムーン族のところへよたよたと歩いて行ってしまった。
ミッシングポーは顔をしかめた。ロングファーはもう年だからそろそろ弟子をとらなくてはいけなくなっている。今日発表していた子猫たちから選ぶのかな…?ミッシングポーは何故かわくわくしてきた。見習い仲間ができるのっていいかも。
『ミッシングポー!!!』アイスイヤーの声がまたした。
ミッシングポーは頭を振り、部族仲間のところへ駆けて行った。
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投稿 by ミッシングピューピル Tue Jun 13, 2017 9:53 pm

「何があったんですか?!」

「どうして?戦いは終わったのに!!」

「僕たちがしてきたことはなんだったんだよ?!」

「いいや、終わってなかったんだよ」

「暗黒の森は完全には消されなかったんだ」

「どうして、わかる?」

「ファイヤスター達が動き始めている」

「ジェイフェザー、僕たち四つの部族は滅びてしまうんですか?」

「そうよ!どうなっちゃうの??」

「太陽と月が重なるとき、戦いが始まる…」

「…四葉のクロウバーが欠けた月に照らされるとき希望をもたらしてくれる」

「ファイヤスターがおっしゃったのか?」

「いいえ、ブランブルスター。」

「じゃあいったい誰が…?」

「ムーンとサンだ」

「誰?」

「初代族長の二匹が現れて予言したんだ」

ジェイフェザーは見えない鋭い目でみんなを見まわした。

「また戦いに備えるの?もううんざりよ!!それにその予言って何?もう私たちには希望も何も残ってないのよ!!!!」

「落ち着け、ダヴウィング。予言されたんだ、希望はまだある」

「あの、その予言…もしかして…」
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投稿 by ミッシングピューピル Sat Jul 08, 2017 10:23 am

第六章[スター族]

アルダーハートは見覚えのない森に独りぽつんと立っていた。
猫達の話声が聞える。だが姿は見えない。
ここはどこだ?まわりを見ると大きい岩があった。そういえば父が言ってたな、昔の森にグレートロックっていう今のグレートオークみたいなものがあったって。だがここには四本の木がない。
じゃあここはどこなんだ?

「アルダーハート!!!さっさと起きろ!」
アルダーハートはびっくりして飛び上がった。そして、ジェイフェザーとおもいっきりぶつかった。
「「痛いっ!!!!」」ジェイフェザーは床を転げ回った。
「申し訳ありません!!!!!大丈夫ですか?!」アルダーハートはふらふらする頭でむりやり体を起こした。
「大丈夫なわけないだろ!!この馬鹿!!!」ジェイフェザーは涙目で怒鳴った。
そのとき、誰かが看護部屋に入ってきた。
「朝から騒がしいのよ、全く」
「お、おはようございます。ダヴウィング!!」アルダーハートはめまいがしてきた。
「おはよう、アルダーハート。ジェイフェザーどういうことですか?貴方の弟子が倒れてるわよ?」ダヴウィングがジェイフェザーをつついているのが見えた。
「うるさいっ!うるさい!ケシの実100個食わせろ!そして永遠に起きてくんな!」
アルダーハートはついに目が開けられなくなり、眠りに落ちた。

今度は猫の姿がはっきり見えた。きらきらと毛が輝いている黄金色と茶色のぶち柄の美しい雌猫とその猫と似ている黄金色の雌猫。その隣には緑の目をした茶色と濃いショウガ色のぶち柄の雄猫がいた。
「なんで僕らが選ばれたんだ?」黄金色と茶色のぶち柄猫が言った。
僕…?雄だったのか…?
「馬鹿ね、ミッシングポー。部族仲間と離れられてよかったじゃないの?」黄金色の雌猫が返した。
「そうだけどさ、ホープポー。僕すごく嫌な予感がするんだよ、あの予言」ミッシングポーがうなった。
「そんなことよりその男口調なんとかならないのか?」茶色と濃いショウガ色のぶち柄の雄猫が首をかしげた。
「うるさいな!リーフポー!!しかたないだろ!」ミッシングポーが怒鳴った。
「怒んなくたっていいじゃん…」リーフポーがぼそっと言った。
アルダーハートは何故かほっとした。よかった、雌猫なのか…って、そうじゃなくてこの猫たちはいったい誰なんだ?そしてここはどこだ?まわりは岩だらけで進むにも一苦労だ。そんなところに何故猫が?しかもこの猫達は部族仲間と言っていた…もしかして……スカイ族?この猫達はわざわざそんな遠いところから来たのか?予言ってなんのことだろう?

「アルダーハート!族長が呼んでるぞ!早く来い…って…なにがあった?ジェイフェザー?」
アルダーハートはぴくっと耳を動かしてゆっくりと起きた。
「知るか」ジェイフェザーはしっぽ一本分離れたところで使えない薬草を取り除いていた。
「す、すみませんでした」アルダーハートは耳を垂れた。
「そんなにカリカリすんなよ。アルダーハートを少しの間借りるだけだ」ライオンブレイズが笑った。
「はいはい、わかったよさっさと行ってくれ」ジェイフェザーは顔も上げようとしない。
「行くぞ、アルダーハート」

アルダーハートはライオンブレイズのあとから族長の部屋に入った。
「よお、アルダーハート」父が自分の寝床で伸びをした「ライオンブレイズ、悪いが出て行ってくれないか?二匹だけで話し合いたいんだ」
「うん。わかった」ライオンブレイズはそういうと部屋を出て行った。
前から気になっていたけどジェイフェザーとライオンブレイズは族長…僕の父でもあるブランブルスターになぜ敬語を使わないのだろう?僕たちの兄でもないのに…
「アルダーハート」ブランブルスターの声にはっと我に返った。
「最近スター族からお告げはなかったかい?」
アルダーハートははっと思い出だした。今さっきまで見てた夢…あれはお告げだったりして…?でも何の意味があるというんだ?猫三匹が話し合っているだけの夢じゃないか。意味もわからないのに族長に話すのはどうかしている。せめて指導者に話してからにしよう。
「いいや」間をとりすぎて怪しいと思われただろうか?そう思ったアルダーハートは「見ていたとしても先に指導者に相談するよ。意味もわからないのに教えるわけにはいかないよ」と付け足した。
「そうか…そうだな…わかった。ありがとうアルダーハート助かったよ。相談して意味がわかったら教えてくれ。必ずだからな。」ブランブルスターは顔をそむけてしっぽをそっと振った。
なにか…隠してるんだろう…何だろう?アルダーハートは耳をぴくっと動かした。
「ブランブルスター!!」部屋の入り口から誰かの声が響いた。
「入れ」
「ブランブルスター!!!あの、あの…」入って来たのはアイヴィープールだった。酷く息を切らし、片耳は血だらけだ。「あいつらが…あの犬と狼の集団がまたやってきました…このままじゃキャンプに侵入されてしまいます…」
「なんだと?」ブランブルスターははじかれたように立ち上がった。「アルダーハート、今すぐジェイフェザーのところへ行っ…いやお前はウィンド族に助けを求めに行ってくれ。早く!!」ブランブルスターが叫んだのと同時に部屋を出た。
キャンプのすぐそばの空き地で戦士たちの叫び声が聞こえる。アルダーハートは目を見開いて耳をふせた。そして、全速力で犬達と猫が戦っている空き地をぬけた。ウィンド族ウィンド族、アルダーハートはとにかく足を思いきり動かした。
ウィンド族の境界線のところまで来ると、アルダーハートは一度止まって小川を飛び越えまた走り出した。
「アルダーハート!!!」後ろから誰かが呼んだ。アルダーハートは急停止して振り返った。
「フェザーペルト…?」全速力で走ったせいで足が震える。
「ええ、こんなところで何してるの?ウィンド族に何か用?」アルダーハートは混乱しきってる頭を振って答えた。
「ああ、ヘアスプリングに…いやウィンド族に用があるんだ。早く案内してくれ!!サンダー族が大変なんだ!」
「もうヘアスターよ、アルダーハート。ついてきて」フェザーペルトは全速力でキャンプへ向かった。
アルダーハートはすでに肉球が痛くなってきていた。もうだめかも、そう思ったとき、フェザーペルトが足を止めた。
「ヘアスターを呼んでくるわね。ここで待ってて。あ、クロウフェザー!この子を見てもらってていいですか?」フェザーペルトが走りながらクロウフェザーに声をかけた。
「わかった」クロウフェザーはそれだけ言うと、こちらに近づいてきた。
「何しに来たんだ?」
「キャンプが犬に襲われているんです。応援を頼みにきたんです。」クロウフェザーは驚いて目を見開いた。
「またか?」
「ええ」アルダーハートがうなったの同時にヘアスターが来た。
「よし、話は聞かせてもらった。行け、ナイトクラウド、クロウフェザー、ブリーズペルト、フートウィスカー、エンバーフット、セッジウィスカー、ヘザーテイル」
「私も行きます」フェザーペルトが申し出た。
「わかった、お前も行け」ヘアスターがしっぽを振ったのと同時に、応援部隊がキャンプを出て行った。アルダーハートはフェザーペルトと並んで走った。
「大丈夫?疲れてない?」フェザーペルトが心配そうに言った。
「…あ…ぁ…」息を切らしながら答えた。肺が燃えるように熱い。
そのとき、あたりに悲鳴が鳴り響いた。今のは…アルダーハートは震えて立ち止まった。ブラクンファーの声だ!
「ブラクンファー!!!」アルダーハートはそう叫ぶと、さっきよりも速度を上げて突っ走った。
倒木を飛び越えるとそこはもうやられた後だった。
「そんな…」クロウフェザーがぽつりと呟いた。
「ジェイフェザー!ジェイフェザー?ブラクンファーは?ジェイフェザー?」アルダーハートは必死に落ち着きをなくさないよう胸の毛をすばやくなめた。
「落ち着けここだ。僕は他の戦士たちをみてまわるからブラクンファーのそばについててくれ」ジェイフェザーはそういうと族長の様子を見に行ってしまった。
アルダーハートはブラクンファーを見てぞっとした。首から血を流していて、今にも死にそうだ。
「ブラクンファー…」シンダーハートの泣きそうな声にアルダーハートははっと我に返った。
前足でおそるおそる血に染まった蜘蛛の巣を取り、新しい蜘蛛の巣に変えた。もうあとはスター族にまかせるしかない。
『心配しないで、ブラクンファーは私が連れて行くから』隣からふわりとスター族のにおいが漂ってきた。
このにおいは…そうソーレルテイルだ。ブラクンファーのつれあい。
「でも…僕はまだ…」もう何を言っても無駄だとわかったときにはすでにブラクンファーは動いていなかった。
『ありがとう』
ブラクンファーとソーレルテイルは風とともに消えていった。スター族がいなくなると急に寒気がした。
「ブラクンファー」サンダー族とウィンド族の戦士たちは泣き叫びはじめた。
「ブラクンファーの命を奪うなんてスター族はいったい何を考えているんだ?」クラウドテイルがその泣き声に負けないくらい声を張り上げた。
あたりはたちまちしんとなり、クラウドテイルを見つめた。
「どうして、そんなことが言えるの?クラウドテイル、ブラクンファーの命を奪ったのはあの凶暴な犬たちよ?スター族じゃないわ」ブライトハートがポツリとつぶやいた。
「ブラクンファーは命を懸けて戦士らしく立派に死んでいったんだ褒めてやるべきですよ」ライオンブレイズが静かに言った。
クラウドテイルはただ鼻を鳴らしてその場を去った。
アルダーハートは不安で足が震えた。もしスター族が助けてくれなかったら、もしスター族がいなくなってしまってたら僕たちは生きていけるのだろうか…


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投稿 by ミッシングピューピル Wed Aug 02, 2017 2:44 pm

第七章[月の滝]

「月の滝に行くまでの道のりってこんなにきつかったのか?」ミッシングポーは辺り一面岩しかない小山を登っていた。前には指導者のアイスイヤーがミッシングポーを導き、ミッシングポーの後ろからロングファーが危なっかしくついてきている。落ちたらひとたまりもないだろう、ミッシングポーはそう思いぞっとした。
『文句言わないの、ほら、あそこまで登ったらあとは暗闇のトンネルに入るだけよ』アイスイヤーが山の頂上を耳で示した。
『全く、年をとるこんな小山もきつく感じちまうなんて』ロングファーがため息をついた
『年よりくさいこと言いますね!』アイスイヤーがふふっと笑った。
「弟子はとるんですか?」ミッシングポーは前から気になっていたことを聞いてみた。
『今すぐとりたいくらいだ。ブルームハートの子供たちのどちらかが看護猫になりたいと言ってくれればありがたいんでが』ロングファーは息を切らしながら答えた。
『少なくとも一ヶ月はまたなきゃだめですね』アイスイヤーがさっと尻尾を振ってロングファーを支えるために隣に行った。
「やっとついた!」ミッシングポーはふうっと息を吐きだして辺りを見渡した「すっごーい!!!」
僕たちの暮らしている森とムーン族が暮らしている森が見え、奥のほうには大きい山があり、とてもきれいに見える。
『若者は元気だなぁ』ロングファーはおかしそうにひげをぴくぴくさせた。
『ミッシングポーいったん休みましょう』アイスイヤーたちがやっとのことで登り切って暗闇のトンネルの前で止まった。
ミッシングポーは急に不安になってきた。スター族が看護猫になることを認めてくれなかったらどうしよう?僕は何をして生きていったらいいのだろう?
『ミッシングポー。怖いのか?』いつのまにかロングファーが隣に座っていて、昇り始めている月を見ながらそっと聞いた。
「え、えぇまあ…看護猫見習いとして認めてくれるかどうか心配なんです」ミッシングポーは正直に言った。
『心配することないさ、スター族はみな優しい。認めなかったらっその時はその時だ。別の道を選ぶしかない。』
「僕の場合はそんな単純なことじゃないんです。耳が聞こえないんですから」ロングファーが驚いてこちらを向いた。
『わしの声が聞こえてるじゃないか』
「ええそうです。でも僕には風の音、雨の音、獲物が動き回る音…会話以外の音は聞こえないんです」ミッシングポーはそう言って言葉を切った。アイスイヤーがこちらに近づいてきたのだ。
『そろそろ行きましょう。今日は大切な儀式があるのだから』アイスイヤーがそういうとロングファーが立ち上がり、暗闇のトンネルに入っていった。そのあとからアイスイヤーが入り、ミッシングポーは見失わないように急いで後を追った。
しばらく暗闇が続き、不安が増してきて、方向感覚が全くなくなってしまった。くねくねと曲がりくねっていて下へ下へとトンネルが続いている。ロングファーは何に導かれているんだろう?スター族?どうして道がわかるんだ?ミッシングポーは首を振った。考え事をしていたら迷子になってしまいそうだ。
そのとき、水の音が耳に飛び込んできた。変なの、僕はもう耳が聞こえないのに。気になったミッシングポーは耳をそばだててよく聞き取ろうとした。驚いたことに、水の音が声に変っていった。
「ようこそ」
「まってたよ」
「早く、早く来ないかな」
「会いたいよ」
答えようとした瞬間、目の前がぱっと輝いた。あまりの眩しさに目が慣れるのに少し時間がかかった。
目が慣れるとだんだんと周りの風景がわかった。ここは洞窟で、目の前には輝く大きな岩があり、その周りにはきらきら輝いた水たまりがあって、その奥には滝がものすごい勢いで流れ落ちていた。
『スター族様!』アイスイヤーが声を張り上げた『弟子のミッシングポーをつれてきました。かつて私を認めてくださったように、どうかこの子を見習い看護猫として認めてください!!』
そういうと、ロングファーとアイスイヤーは浅い水たまりを少しなめた。ミッシングポーも真似をして水たまりを一口なめた。氷のように冷たかったが感じたのはほんの一瞬だった。
まもなく、ミッシングポーは眠気に襲われた。
目を開けると、きらめく森の中に一匹ぽつんと立っていた。驚いたことに、川の音や、森の音が聞こえ、両目とも見えている。
「スター族様?いらっしゃいますか?いたらどうか返事をしてください!お願いします!!」ミッシングポーは不安になって叫んだ。
「落ち着け、ここにいるよ」がっしりとした琥珀色の目をもつ黄金色のとら柄の雄猫とすらりとした琥珀色の目をもつ黒と白のハチワレの雄猫が草むらから現れた。
「ど、どなたですか?」ミッシングポーは毛を逆立てた。
「私はサンだ。初代サン族の族長だ」黄金色のとら柄の雄猫が低い声で答えた。
「そして俺はムーン。初代ムーン族の族長だ」黒と白のハチワレの雄猫は細いしっぽをひゅっと振った。
「 初 代 族長?なぜこんな僕に会おうなんて思ったんですか?」ミッシングポーはよけい落ち着かなくなってきた。
「お前にやってもらいたいことがある」サンが一歩前に出た。
「お前たちだろ、サン」ムーンがサンを押しのけた。
「はいはいわかったから、時間がないんだ」サンは首を振ると真剣な目でこちらを見つめてきた。
「雷、風、川、影が今、お前たちを必要としている。お前たちの祖先はそいつらのせいで森を失ったが、部族は離れていても必ず七つの部族は存在していなければならない。」サンは一度ため息をついた。
「雷?風?川?影??なんのことですか?それにお前たちとは?僕とだれが必要なんですか?それに、それに森を失った…?わけがわかりません」
「とにかく聞け、娘」ムーンが牙をむいた。
ミッシングポーは耳を寝かせた。
サンはムーンをギロッと睨みつけてからしゃべり始めた。
「お前ならその答えを見つけられる。今は時間がないんだ。いいかい、よく聞け、太陽の沈む方向へ向かえ、そして海に会え、そうすれば答えは見つかる」サンとムーンが消え始めた。
「海…?まってください!行かないで!また会いにきてください!」ミッシングポーは叫んだ。
「四葉のクロウバーが欠けた月に照らされるとき希望をもたらしてくれる」サンとムーンは完全に消えてしまっていたが声はしっかりと聞こえていた…
ミッシングポーははっと目を覚ました。まだ、滝の音がうるさく響いている。隣にうずくまっていたロングファーとアイスイヤーが身動きをし始めた。
ミッシングポーは夢で見たことを他の看護猫に喋ろうとしたが、思い直した。月の滝で体験したことは誰にも言ってはいけないのだ。
ロングファーが仲間に軽くうなずくと、アイスイヤーとミッシングポーはロングファーを先頭に昨日通ったトンネルに入っていった。
「じゃあなミッシングポー、待っているぞ」
ミッシングピューピル
ミッシングピューピル
見習い
見習い

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