Re: 道を外れた雷族 ～榧の正義の物語～ [完結！]【感想やアドバイス、お願いします！】

[明日輝]

❀その後のおはなし　　―榧の正義の物語０３―

　　　イーグルクローはひんやりとした夜の空気に震え、目を覚ました。

　　　今年は枯葉の季節が一段と辛そうだ。

　　　もう少し先の自分を思いやってため息をついた。ネズミとツグミのはいった腹を肉球でなでると自分の幸せをしみじみ感じる。

　　　だめだ…眠い。

　　　イーグルクローは睡魔と引き換えに消えた幸福感を名残おしそうにあくびをすると、寝床に倒れこんだ。



　　　いつまでたっても世界を渡れそうにない。目が冴えて仕方がない。

　　　眠たいのに眠れない不思議な現象に困りつつ、それとなく部屋の中を見回した。

　　　ここは、見習い部屋とは違い、その、いつも緊張してしまう。やはり慣れの問題なのか。

　　　イーグルクローは先輩戦士に怒鳴られ、同期の猫に笑われている自分を想像し、小さく身震いをした。気を付けないと。今日の俺は随分と弱気のようだ。

　　　もういい、寝よ。なんて、目をぎゅっと閉じてみる。

　　　しかしやはり眠れない。なぜか？

　　　そんなの初めからわかっている。



　　　あいつがいないから。

　　　一体どこに行ってんだか。はあ、と底のないため息をつくとキャンプの入り口の方を見る。

　　　イーグルクローは夢の世界を諦め渋々立ち上がった。



　　　＊



　　　トリアテイルの匂いを辿って夜道を歩く。匂いからして、そこまで時間はたってないはずだ。



　　　夜の森というのはなんとも不気味なものだと今更ながら実感する。

　　　小枝を踏んだ音に驚く自分が恥ずかしく、トリアテイルの奴、と呟く。

　　　しかし、暫くすると、驚く余裕もなくなってきた。

　　　心のなかで黒くもやっとした予感が渦を巻く。匂いは着実にその渦の中心へと向かっている。

　　　次第に駆け足になって足で飛び出した茂みの先に、弟の姿があった。

　　　渦は予感から事実となってイーグルクローを襲った。

[明日輝]

❀その後のおはなし　　―榧の正義の物語０４―

　　　「トリアテイル！」イーグルクローは噛みつくような勢いで叫んだ。

　　　ゆっくりと振り返った黄金色の頭は虚ろな瞳をくっつけていて、いつもの弟ではなかった。

　　　「こんな夜中に何やってんだ」

　　　答えはわかっていた。だからといって放っとくわけにはいかない。

　　　イーグルクローは引きずってでもこっちの世界に連れ戻そうとトリアテイルに近づいた。

　　　「兄貴」トリアテイルは妙に静かで感情のこもってない声で言った。

　　　イーグルクローはぴくっと体をはねさせ、強気な足を止めると、続きを待った。

　　　「俺さ、耐えられなかったよ」

　　　駄目だったよ、と悲しそうに笑う。

　　　「タイガースターに耐えられなくて殺して、その上やっと手に入れた幸せまで耐えられないなんて。ほんとダメだよな」

　　　トリアテイルは涙目になって無理に笑いながら言った。

　　　そんなことない、イーグルクローの声はのどでかき消された。よくわからないけど、体がかき消した。



　　　「ごめんな、兄貴。ごめん…」

　　　トリアテイルは一歩後ろへ下がった。

　　　イーグルクローは声の出し方を忘れてしまったように息を詰まらせ、宙をあえいだ。



　　　星々がトリアテイルの毛を金色に輝かす。

　　　トリアテイルはイーグルクローの瞳を見つめると、にかっと笑った。

　　　ずっと前までは当たり前だった、心からの笑顔。イーグルクローは声にかかった魔法が解けた気がした。

　　　「謝らないでよ」本当に今日は弱気なようだ。

　　　トリアテイルはきょとんとすると、笑顔を綺麗にたたんだ。

　　　「兄貴、ありがと」




　　　黒い世界がトリアテイルを飲み込んだ。

[明日輝]

❀その後のおはなし　　―榧の正義の物語０５―

　　　「兄貴、ありがと」

　　　トリアテイルは地面蹴った。ふわっと体が宙に浮き、風をきる音がする。



　　　走馬灯、のようなものは見えないが、いつもより音が鮮明に聞こえる気がする。

　　　風の音、

　　　梟の鳴き声、

　　　心臓の跳ねる音。



　　　あーあ。星を見上げながら思う。

　　　意外とつまらなかったかな、とか気楽なことを考える。

　　　でもまあ、誰かの役にたってればいいってことかな…

　　　伸ばした手は星に届きそうだった。気のせいか、いつもより淡く、白い星々は笑っているように見えた。



　　　トリアテイルは手を戻し、星に願いをこめるともう一度だけ息を吸い込んだ。

　　　サンダー族に白い幸せが来ますように、って。自分勝手な願いを、心から吐き出して。





































　　　トリアテイルは静かに目を閉じた。




　　　　　　　　　　　　　　　　ｅｎｄ

[レパードクロー]

あああああああ！！！！！
トリアテイルぅぅぅぅ！
グスン…………でもおもしろかったです。
完結、おめでとうございます>∀<

[フラワリングハート@ふらわり]

や、やっぱりだったあ！！
お兄さんが引き止めなかったこともまた一種の優しさ…
トリアテイル…自らの正義感故に耐えられなかった…うー(´；ω；｀)

面白い上に更新頻度も高くて尊敬です…完結おめでとうございます！！

[明日輝]

あああああああ！！！！！
トリアテイルぅぅぅぅ！
グスン…………でもおもしろかったです。
完結、おめでとうございます>∀<

　　　ありがとうございます！

　　　トリアテイルぅ！と叫んだら戻ってきてくれるかもですよｗ
　　　お空に向かって大声で←

[明日輝]

や、やっぱりだったあ！！
お兄さんが引き止めなかったこともまた一種の優しさ…
トリアテイル…自らの正義感故に耐えられなかった…うー(´；ω；｀)

面白い上に更新頻度も高くて尊敬です…完結おめでとうございます！！

　　　ありがとうございます！

　　　やっぱり当たってましたか！
　　　お兄さんはかわいそうですね…

　　　更新頻度が高いのは内容がスカスカだからなのですｗ
　　　私の方こそ尊敬しております！ｗ

[明日輝]

❀あとがき

　　　終わりました！

　　　やぁ、早かったですねぇ

　　　もともと早く終わる予定でしたがそのうえ途中から新ＢＢＳで最初に完結する！というどーでもいい目標が付け加わってしまい…

　　　最後の方が駆け足になってしまいましたｗ←



　　　さて、裏話をひとつ

　　　初め、イーグルクローはいませんでした。

　　　トーニーペルト、ブランブルクロー、トリアテイルの三人兄弟の予定でした。

　　　しかし！

　　　それでは時系列がくるってしまう、と直前で気が尽きましてｗ

　　　なんでそれまで気が付かなかったんだという話になりますがｗ

　　　ということで急遽トリアテイルにお兄さんが誕生したのです。

　　　そしてこのままだとブランブルクローたち誕生しませんねー、はい

　　　その後も、直前での変更を繰り返し、結果的にこのような形になりました！

　　　機会があったらいじってみたいと思います



　　　えー、今まで、こんな駄作を読んでくれた皆様、ましてはコメまでしてくれた方々、本当にありがとうございました！

　　　これからも明日輝をよろしくお願いしますm(__)m！

[ライトハート]

完結おめでとうございます！トリアテイルが亡くなったのは凄く寂しいです。
面白く、終わり方も素敵でした！これからも応援します*

[明日輝]

完結おめでとうございます！トリアテイルが亡くなったのは凄く寂しいです。
面白く、終わり方も素敵でした！これからも応援します*

　　　ありがとうございます！

　　　これからもとは…嬉しいですっ、私も光鈴さんのこと応援してます！
　　　今頑張ってネタ練っていますｗ
　　　投稿した時には気が向いたら覗いてくれると嬉しいです

[サンダースパロウ]

完結おめでとうございます＾＾
最初から最後まで一気に読ませて頂きましたが、中盤の中だるみとかもなく、読みやすかったです。内容もどの章も面白かったです。
これからも面白く感動できる最高な作品を作ってください！応援しています♪

[明日輝]

完結おめでとうございます＾＾
最初から最後まで一気に読ませて頂きましたが、中盤の中だるみとかもなく、読みやすかったです。内容もどの章も面白かったです。
これからも面白く感動できる最高な作品を作ってください！応援しています♪

コメありです！

読みやすいなんてとんでもない！
このｇｄｇｄな文章ですよ？←

最高の作品だなんて…この足りない脳みそでは無理なのであります(´・ω・)
ありがとうございます、にびいろtaleの方もよろしくお願いします

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