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   過ちが産んだ赤

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投稿 by レングティームーン Thu Oct 14, 2021 11:52 pm

昔書いた 溺れるように のリメイクを兼ねた自創作のお話です
ゆっくり更新します。

バレー族の基本設定はこちら  (私の創作サイトに飛びます)

時間軸はちょっと未来よりかも。。?
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投稿 by レングティームーン Fri Oct 15, 2021 6:23 am

登場猫紹介

族長 ロアスター(星の咆哮) 

副長 スコーチ (焦げる)

看護猫 アップルポー(りんご足)

戦士 

ウィンド ハシバミ色の瞳をもつ綺麗な雌猫

ラシット

スワロウ

ジンジャー 薄茶色の毛皮に黄金色の瞳を持つ雌猫。弟子はスノウ

ファーン

ホワイトベリー しろいふわふわの毛皮に赤い瞳をもった雄猫

リーフ 赤みがかったこげ茶と白い毛皮。雌猫。

リリー 

見習い

スノウ 体格以外は親のホワイトベリー瓜二つ。雌猫。

ウィーゼル 枯れた草みたいな色をした雄猫

リ―プ

その他
アウルテール 虹色の翼と前髪をもった雌猫。一族の相談役として梟の洞くつでニート生活している。
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投稿 by レングティームーン Fri Oct 15, 2021 6:48 am

少しだけ、寒さが厳しくなったように感じる。
山に囲まれたこのバレー族の縄張りは若葉の季節にはとくべつ暑く、枯葉の季節には小池が凍てしまうほどに寒くなる。

「寒くなったね。」

見習い部屋から出たところで空を眺めていたスノウの肩越しにリープが話かけてきた。

「そうね。ほら見て!朝は息が白くなっちゃう!」

スノウは冷たい空気を胸いっぱいに吸って、空気中へ優しく吐いた。

スノウの吐息はあさの冷え込む空へ白くきらめきながら溶けていった。

「今年の枯葉の季節があまり厳しくないといいわね」

ほんと、その通り。スノウが生まれた冬の終わりには風が大流行し、獲物も取れなかったうえ、風の影響で死の霧が縄張りの大部分に広がってしまい、たくさんの猫がなくなってしまったという。

自分はそのことを経験してないけど、何回も母親のリーフに言われてきたことでまるで自分のことのようにその出来事を言える。

リープと一緒にふとったネズミをほおばっていると指導者であるジンジャーがウィンド、リープの指導者だ。と一緒に今日は狩りの指導をしましょう。といった。

あわててネズミを飲み込んで、少しグルーミングを行った後、4匹がキャンプの出入り口から出ようとすると、空き地を見張っていたロアスターから声がかかった。

「ジンジャー、今日の風向きは大丈夫そうだが万が一ということもある。あまり中心で行動はしないように、それとついででいいからファーンがいるかどうか探してきてくれ」

「ファーン?彼女がどうかしたの?」

「実は昨日の夜から行方不明でな」
ぼけるほどまだ老いてないとは思ってたんだが。とロアスターは言った。

「了解です、今日は山の近くで狩りをしますね。」とウィンド
もちろんファーンの件も。彼女がいないか耳をそばだてておきます。


「じゃあ行きましょう。今日は山の狩りを教えるわよ」
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   過ちが産んだ赤 Empty Re:    過ちが産んだ赤

投稿 by レングティームーン Sat Oct 16, 2021 12:20 am

訓練を終えてキャンプに帰った二匹は声もださずに、見習い部屋へかけていき、寝床にどさっと崩れおち、それぞれの寝床でくるっと丸くなった。

リープの寝息はすぐに聞こえてきたが、スノウは興奮してなかなか寝付けない。

今日は本当にすごかった!!2匹だけで鷹と、ネズミと、ウサギを捕まえることができた。

ウィンドとジンジャーが二匹のとった獲物を見て、自分の弟子の腕前に関心する表情を思い出してスノウは誇らしさと満足感で胸がいっぱいになった。

きっと私とリープは素晴らしい戦士になるわね!スノウは頭の中で、引きしまったからだ、頭脳明晰で次々と敵や困難を払いのけ、一族からたたえられる自分を思い浮かべ、にやついた。
ああ、その時が早くくればいいのに。

まだ私はちっちゃな見習いだ。まだまだ学ぶことがあるんだろう。


今日の記憶が鮮明なうちにこの誇れる狩りの記録をスノウは誰かに話してしまいたかった。
おそらく指導者はおぼえておいてくれるだろうが、スノウはほかの見習いに自慢したかった

が、見習い部屋にいたのはスノウとリープと、ウィーゼルだけだった。

リープは今日の疲れがどっと出てきたらしくもうしっぽを自分の鼻にかけてくるっと寝床で丸まり、すやすやと寝息を立てている。これじゃあたとえ目の前に大声で叫ぶスワロウ、、彼女は声が非常に大きい、がいても目を覚ましたりはしないだろう。

リープより奥の方に丸まっているウィーゼルの方に目線を映した。

長いまつげがひたり、と閉じられている。いつもはよく動いている耳は寝ている間は静かにしているようだ。

スノウはちょっとした出来心でウィーゼルの近くへと移動し、彼の顔をよく観察した。さっきまであんなにも重かった足とまぶたの感覚は嘘のように消えている。

最近、スノウはウィーゼルのことを考えると胸が高鳴ることに気が付いていた。
これが恋なのか、とも何度も思ったが未だに確信を持てずにいた。

でも、こんなにも至近距離で彼のことを見つめているとこれは、この特別な感情はきっと恋なのだろうともまた思っている。

彼のにおいが強く感じる。スノウは彼と一緒にこのくぼみで体を寄せ合って、彼の体温と匂いに体をあずけてしまいたい欲を必死に抑えようとこらえた。

私はバレー族の辛抱強く誠実な猫よ、勝手にほかのねこを襲ったりしたら、だめ。

いつか彼が自分のものになったら、、その時はきっとみんなが彼と一緒の寝床で丸まることを許るしてくれるだろう

だからそのときまでまつのよ。
スノウは何度も自分にそう言い聞かせた。

時を忘れて彼の寝顔を見つめているとそのうちに体力が限界になったらしく、足が震えだしたのでいい加減寝ようと全身をぐったりとさせながらスノウは寝床へと戻った。

彼のきれいな顔を瞼の裏で思い起こすと、スノウは幸せな気持ちでいっぱいになり、睡魔に襲われても意識が抵抗することはなかった
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投稿 by レングティームーン Sat Oct 16, 2021 11:44 am

スノウは夢の中でウィーゼルと狩りをしている夢を見た。
若葉の季節らしく丈の長い草とまばらに見える木々は青々としている。
あたりは草花と山の冷え切った風、獲物や鷹、そして仲間たちのにおいで満ちていた。

しなやかな引き締まった体で飛び跳ねて、ネズミやウサギを鋭い爪で仕留めていく。面白いようにとれる獲物にスノウは舌なめずりをした。

隣にはウィーゼルがいた。彼はたくましい足で大地をけってスノウと一緒に狩りをしている。

なんて気持ちがいいの!私たちなら空に住む鷹や鷲だってかなわないわ!
永遠にこのすばらしい時間を過ごしたかったが、その思惑はリープのささやき声によってかき消された。

スノウの寝床まで近寄ってきて耳元でささやくリープに
「うーん、私まだ眠いから夜中の散歩なら別の猫を誘ってちょうだい」もごもごとスノウがいうと、リープはあきれたようにくるっと目を動かした。尻尾がぴくぴくと動いている。

「聞こえなかったの?ロアースターが集会を開いたの。さ、行きましょ」
「そうだったの!今起きるね」

寝床から跳び起きてスノウは見習い部屋に二匹以外の猫がいないことに気が付いた。
おっと。私が一番の寝坊助さんみたいね。

二匹は一緒に見習い部屋からでて、ロアースターのまわりに円を描くようにして集まった一族の猫たちに加わった。
日がは完全に沈み、猫たちのくらす盆地は昼とは比べ物にならないほどの寒さに覆われている。

「冬毛に生え変わってもないこの時期の寒さが一番骨にしみるわね。。」
「そうね、、あっもしかしてあの猫ってアウルテールじゃない?」
リープの視線の先にはたしかにそれらしき姿があった。

空を飛ぶ鷹や鷲のような翼がアウルテールの背中にはついていた。色はアウルテールのまっしろい毛皮と同じ色だが羽先はうっすらと虹色を帯びている。こちら側から彼女の顔をみることはできなかったが、アウルテールの後ろ姿は同じ猫とは思えないほど神秘的で美しく、スノウはこの猫に興味を抱いた。

アウルテールはおとぎ話の存在だったが、スノウの父親であるホワイトベリーが見習いだったころに梟の洞くつから突然現れたらしい。一族の猫の名づけの儀式にはアウルテールは毎回出席しているはずなのでスノウは幼いころこの猫に会ったはずだが、その姿は初めて見るように感じた。
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投稿 by レングティームーン Sat Oct 16, 2021 11:49 pm

どうしてアウルテールはキャンプに来ているのかしら。
彼女は普段梟の洞くつから出てくることはない。食事や水は一族の戦士が交代制で洞くつに運んでいる。

「どうしてアウルテールがいるのか、知ってる?」
リープも同じことを同じことを思ったらしくひそひそ声でスノウに話しかけてきた。

「さぁ。でもすぐにわかるんじゃない?ロアースターが話を始めるみたいよ」

スノウの予想どおり、彼は話し始めるようでまず自分の周りに座った猫たちに向かって静かに、と尻尾を振った。

猫たちのざわめき声がおさまると満足そうにひげを動かし、彼はよく通るはっきりとした威厳のある声で語り始めた。

「まず、集まってくれてありがとう。今日はうれしいお知らせと悲しいお知らせがある、、。」彼はつづけた「まずはうれしい方から行こうか」

ロアースターは一息つくとスノウの方をまっすぐに見つめた。

「スノウ、やっとお前を戦士にする時が来たようだ」

うそでしょ!?

ロアースターがそういった瞬間にスノウの胸はうれしさと誇らしさ、また自分のことを見つめる猫たちの視線ではちきれそうになった。

「うそ!スノウ、あなたこの話を知ってたの!?」リープが興奮した声で自分のことを見つめている。
「まさか!」

スノウはそう答えると、ロアースターがこちらにおいでというように尻尾をふった、彼の目の前へと進んでいった。

ロアースターのほかの猫よりも数倍大きな体と、たくましい体の前に並ぶとスノウは自分が小さな子猫になったように感じた。瞳がスノウの顔をまじまじと見つめている。

立派な誇れる族長に見つられたことにスノウはとても緊張した。するとそのことは族長に伝わったらしく、ロアースターはやさしく緊張しないでいいよと声をかけてくれた。

「バレー族のみんな、この見習いは今日、一族と協力して鷹をはじめとする多くの獲物を捕らえた。ジンジャーはスノウをもう戦士にしていいだろう、とのことだ。明日、梟の洞くつで彼女の昇級式を執り行おう。どうか、この聡明でかぎ爪のするどいスノウを戦士として認めてくれ」

ロアースターが言い終えないうちに一族からわっと歓迎の声があがった。

スノウは自分をほめたたえる猫達の群れにぎゅうぎゅうに圧迫され、く、くるしい、、と声を上げた。

ロアースターがしずかにと声をかけるまで猫たちの歓迎の声が尽きることはなかった。

ああ、なんて幸せなの!まさか自分がジンジャーに戦士として認められたことがいまだに信じれなく、幸せな気持ちですべてが私を歓迎しているように感じる。

明日の昇級式が待ちきれない!
私が戦士になったということはもうウィーゼルやリープも戦士になるだろう。そしたらもう胸をはって堂々とみんなと夜間外出も鷲や鷹のいる山の高い場所を好きに探索することができる。

「さぁ、次の話だ。アップルポー、スコーチ、前に出てきてくれ。」
どうしてロアースターは自分で話さないのかしら?

だがスコーチがくわえていたものを見てそんな疑問など吹っ飛んでしまった。

アップルポーが不自由な足をこわごわと動かして一族の前に立った。

「残念なお知らせです。ファーンが遺体で見つかりました。」

母親のリーフの母親であるファーンにはお世話になった。その彼女の冷たくなった姿を見て、スノウはさっきまでの高揚感とは裏腹に谷に突き落とされたかのような深い絶望を感じた。
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投稿 by シャイニングムーン Sun Oct 17, 2021 12:08 am

ファーンがどうして遺体で見つかったのか…?
気になります!気になりすぎて今日は夜しか眠れません!
(なんで12時なのかは聞かないでくれ…これでもめっちゃ早いんだから。←少し前まで2時に寝ていた人)

シャイニングムーン
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投稿 by レングティームーン Sun Oct 17, 2021 12:56 pm

夜しか眠れないなんて……!!そんな……!!!(すっとぼけ)
そのうち死因わかるので、是非楽しみにしてください〜
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投稿 by レングティームーン Sun Oct 17, 2021 4:29 pm

ファーンの遺体を見てキャンプ中がざわめきに包まれた。
「死因は?」「どこで見つけたんだ!」

口々に疑問を投げかける一族に対して、「今、スコーチが説明してくださるので、聞いてください」とアップルポーは冷静に言い、一歩下がって代わりにスコーチが前に出た。

「俺とラシットとスワロウで捜索隊を組んで、ファーンのことを一日かけて探していたのは知っている猫がいると思う。夕暮れ時に山まで登って探したんだが、結局見つからなくて帰ろうとしたときだったんだ」

スコーチはそこですこし合間を開けてから続けた

「死の霧の中に、なにかがあるってラシットが言ってくれてな、幸い死ぬほどの濃さじゃなかったで見に行ったんだ。そしたらそれがこの、ファーンだった」

スコーチは軽く顎を遺体の方向に向けた。

じゃあファーンは中毒死だってことかしら。。スノウはそう思ったが違和感を感じた。

バレー族の猫なら死の霧の恐ろしさは子猫だって知っているし一番最初に習うことは死の霧についてだ。風向きが変わったことに気が付かなかったりどうしても外せない用事がない限り死の霧の中にはいくことなどないだろう。



たとえそうだとしても死ぬほど長時間死の霧にいた、ファーンの目的はなに?

「どうして?」「なんてことだ、、」「まだ若かったのに!」、、等々一族の猫たちが口々に叫ぶ中、リーフがひときわ大きい声でスノウの思いを代弁してくれた。

「どうしてファーンが死の霧にいたんですか!」

その疑問にはアップルポーが答えた。

「そうです。バレー族の猫でわざわざ死の霧に入るような馬鹿な真似、子猫だってしません、、。ファーンが自殺したとは考えらえないですし、、」

その通り、と一族の猫はうなずいた。

「なにより、目の充血やのどの荒れが見当たらなく、死の霧が原因で亡くなったとは考えにくくて、そこで詳しく遺体を調べてみたら、口の中にこれが入っていました」

アップルポーが枯葉に乗せて持ってきたものは赤いベリーらしきなにかだった。ぐちゃぐちゃの状態でファーンの口の中から掻き出されたことが分かった。

「なんだこれは?」スワロウがそう呟いて、よく見ようと身をかがめるとアップルポーは「近づかないで!!」と歯をむいてうなった。

激しい剣幕でうなる彼女の様子にお調子者であるスワロウも怖気づいたらしく、すぐに言うことを聞いた。

アップルポーはため息をつくと話を再開した。

「バレー族の縄張りには生えていないのでみんな知らないでしょうけど、これは死のベリーと言って、、、食べたらどんな猫だってすぐに死にます。」

「じゃあそのベリーがファーンを殺したんだ!」一族の誰かが叫んだ。

その方向にうなずいてアップルポーはそうです、といった。
「ただ、これはバレー族の縄張りには生えるはずがなくて、、。そこがふしぎなんですよね。」




ロアースターが皆に得体のしれないものに注意しろ、と呼び掛けたところで集会はおわり、ファーンの通夜が始まった。

みんなでファーンの思い出話を語り、彼女と最後のお別れをした。

スノウはみんながファーンの遺体をかこんでグルーミングをしている合間にあのアウルテールと話そうと流れに逆らって彼女のもとへ近づいた。

「あの、こんばんはアウルテール、、さま。」
自分を呼ぶ声に振り返ったアウルテールを見てスノウは思わず感嘆の声をあげた。

やわらかな毛でおおわれた顔には丸く、ぱっちりとした鮮やかな夕焼け色の瞳がついていた。それを縁取るようにしてのびたまつげは長くはないが彼女の明るさと美しさにちょうどあった良い長さに見える。右目をおおうようにしてのびたさらさらの前髪は彼女の背中についた羽と同じく、うっすらと虹色を帯びている。

「様、はつけなくて大丈夫よ、スノウ。昇級おめでとう。そして、ファーンの件はご愁傷様です。」
前髪に隠れていないまるい瞳がぱちり、とまばたきをした。

「私の名前、知っているんですか!」

「もちろん。ホワイトベリーの娘さんでしょう」アウルテールはのどを鳴らした。

「ええ、父と仲がいいんですか?」スノウがそう聞くとアウルテールの瞳が一瞬曇った。

「まぁ、ね。いろいろあって。」この話はしたくなさそうだ。二匹の間にはなにがあったのだろう、、スノウはそう考えているとアウルテールが翼をばさばさと動かした。

「あなた、ファーンの孫娘でしょう、お別れを言いに行きましょう。私もそのために来たのだから。」

ファーンの遺体を見るとまたスノウはとても深い悲しみに覆われた。ファーンの遺体によりそっているリーフは二匹の組み合わせを意外だ、とでもいうように目をうごかしたが、特になにも言わなかった。

あらためて近くで見ると遺体は綺麗な状態で、いまにも目を開けて動き出しそうだ。

でも彼女の肩にそっと鼻面をおしつけると体温がまったくなく冷たい状態であることがわかり、悲しさは増した。
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投稿 by レングティームーン Sun Oct 17, 2021 9:22 pm

ファーンのまわりにはたくさんの猫が集まっていたが、夜が更けるにつれ一匹。また一匹と寝床へと帰っていった。

月が真上に上り、少し傾きだすころにはファーンの周りにいた猫はスノウとアウルテールとリーフ、ジンジャー、そしてホワイトベリーだけだった。

スノウはみんなと一緒にファーンの毛つぐろいをしていたがそのうちフッと襲ってきた眠気に勝つことはできず、寝床に戻っていった。


スノウが朝起きるともう一族は動き出していたらしく、見習い部屋には誰もいなかった。ファーンの死で忘れていたが明日から私は戦士部屋で寝ることになる。

スノウは複雑な思いで見習い部屋をあとにした。

いつもどおり猫たちは働いていたが空き地の真ん中にはまだファーンの遺体があった。

どうやらリーフが折り重なるようにして寝てしまったため、埋葬に行けないのであろう。

「リーフ、起きてください!もう朝ですから。お母さんを埋葬する時間です。」アップルポーがリーフの肩を軽く噛んで引きはがそうとしている。がリーフはまったく動く様子もなく寝ている。

アップルポーはしばし考えた後、看護部屋に行き、なにをしているかと思うとノコギリソウを一束くわえて、リーフの鼻におしつけた。

リーフの体がぴくぴくっと動いた後、目を覚ましたらしく耳をぴんと立ててにおいの元であるアップルポーの方を見た。

しばらく時間がたつと状況を理解したらしい、母の遺体からあわててどいてから、どうぞというように埋葬場所まで運ぼうと集まった猫たちに場所を譲った。

運ばれていくファーンの遺体にスノウはこうべをたれた。

お疲れさま、ファーン。どうか一族を見守っていてください。

昇級式は夜に行われる。すこし狩りをしてから、寝ることにした。いろいろあって、昨日の疲れがまだ抜けていない。




「一族のみんな!これから、昇級式を始めよう。」
ロアースターがそう大声で告げた。

猫たちの歓声があたりに響く。
今宵は一族が私のために梟の洞くつの入り口に集っている。

洞くつの奥はとくべつな場所で、儀式、看護猫、アウルテール関連以外で無意味に入ることはゆるされない。

スノウは一番洞くつに近い場所で座っている。今日は私が主役である。
いつもはがらんとしていてわびしくも恐ろしくもある洞くつだが今日は私のための特別なステージだ。

「スター族のみなさま、この見習いは一族に尽くすべく今日まで訓練にはげんできました。。。彼女はもう、成長し一人前として一族に全員から、認められました。どうか、彼女を皆様も認めてください。」
ロアースターの良く通る声はきらめく銀河に向かって吸い込まれていく。

一族のだれもがこの声に耳を傾け、一匹の見習いを祝福している。銀河でさえも、うつくしい星がひとつひとつか輝いてスノウのことを祝福している。

「さぁ、スノウ洞くつで一晩を過ごして、戦士になってこい。。。」

スノウが一族に見送られ、梟の洞くつに足を踏み入れると奥からアウルテールが迎えにきてくれていた。
「ついてきてちょうだい。」柔らかな声で彼女は言った。

アウルテールについていきくねくねとした洞くつを進んでいき、そして目の前に積み上げらえた苔の山がある場所に来ると翼をはためかせて苔をさした。

「ここで寝て。スター族が来てくださるわ。」

それだけ告げるとアウルテールは音もなく洞くつを引き返していった。

今やスノウの心臓の鼓動以外の音は聞こえない。

スノウはその苔に体をよこたえた。苔はふかふかとしていて、想像以上に体が沈んでスノウはびくっとしたが、苔はよくかわきふわふわですぐにねることができた。



ようこそ、スノウ。聞きなれた、でも懐かしい声にスノウの意識は呼び起された。
目の前に、星の光をまとい、美しく健康的な姿のファーンがたっていた。
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投稿 by レングティームーン Tue Oct 19, 2021 9:00 pm

「ファーン!」
スノウは嬉しさから思わず叫んで、彼女のふさふさとした胸に飛び込んだ

ファーンも嬉しそうに孫娘の肩を尻尾で撫でている。

2,3回頬ずりしたのちに、スノウはあっと思い、胸毛から顔をあげた。

戦士昇格のお祝いを受けるために来たんだった!ずっとファーンの毛皮に顔を押し付けているわけにはいかない。

「その、ファーン、また会えてとっても嬉しいです!私、戦士昇格の祝いを授けてくれる猫がファーンでよかったです!!」

いった後にこれじゃあ私がファーンの死に喜んでるみたいということに気が付いてスノウは顔を真っ赤にした。
「えっと、その、今のはファーンが死んでよかったなんて意味ではなくて、そのーー」

「大丈夫。わかってるわよ。」
ファーンは必死に弁明しようとするスノウの口を尻尾でおさえた。ひげが可笑しそうにぴくぴく動いている。

そうだ。あれも聞かないと、、
「ファーンどうしてあなたは死んだんですか?なにか怪しいものを食べたんでしょう?」

スノウが口早にそう問うのをみて、ファーンは悲しそうに顔を横に振った。

「残念だけど、そのことを伝えてはならない、とほかの戦士にいわれたの」ファーンはそう言ってから尻尾でついてきて、と合図した。
「時間はないの。あなたに見せなきゃいけないものがある、、、そうスター族はおっしゃっているわ。」

どんどんとスター族の狩場である草原を進んでいくファーンについてきながらスノウは
どういうこと?と思った。

見習いは戦士昇格の祝いに、たくさんのスター族から今までの功績をたたえられる、と聞いていた。前を進む猫はファーンだけだし、ほかの猫が潜んでいる気配もまったくない。

仕方なくファーンについて歩いてからしばらくたつと、見覚えのある場所にスノウは来た。
山の切り立った岩肌にぽっかりと裂けるようにあいた洞くつだ。

梟の洞くつだわ!どうしてここに?
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