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絡まった地下の関係〜水と炎の予言〜

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マァーラー2作目の小説、期待をお聴かせ下さい!

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投稿 by Murre Sat Jan 15, 2022 3:26 pm

某弟と妹が考え付いたキャラクターなどを元にした小説です。温かい目でご覧下さい。そして、名前が被ってしまったらごめんなさい!
 
マウンテン族 Mountain Clan
族長 ハンドライフ(手の命)
   大きな白黒の猫。毛の長い赤っぽいオレンジ色の雄猫

副長 ブラックストーン(黒い石)
   黒い塊のような濃い毛で、濃い灰色の目をした雄猫。    
   弟子は赤っぽい猫で前脚後ろ脚ともに長く、琥珀色の   
   目をしたブレイズポー(炎の足)

看護猫 グリーンハート(緑の心)
    緑色の目をした灰色の雌猫。弟子はペルシャのよう
    に毛足の長い白い毛で、オレンジに近い黄色い瞳の
    シシャイニングスノウ(輝く雪)

戦士猫 ウォーターテイル(水の尻尾)
    青と水色がかった毛をしている雌猫で、深い紺色の
    目をしている。弟子は妹で全身的に淡い水色の雌猫
    で藍色の目をしたウォーターポー(水の足)

    デンジャラスクロー(危険な爪)
    赤い目の黒と灰色の毛のトラ猫。爪が、最も鋭い
 
    リフレッシュテイル(爽やかな尻尾)
    茶色と白の雌の三毛猫で、白がかった緑の目をして
    いる。 
   
    オークウィング(オークの翼)
    よく毛が固まる黄土色の長毛の雄猫。茶色の目をし
    ている。弟子は薄い空色の毛をした濃い黄色い目の
    雌猫であるフライトポー(飛ぶ足)

    ラットペルト(ネズミの毛皮)
    灰色と藍色の間の色の目をした白い毛の雌猫

    ヴァルケイドレインジ(火山山脈)
    一族の中では最も大きな体の雄猫で、ナイトスカイロック
    の裏にあるスタールームに入ることができない。背
    中側が白だが腹側は山脈のようなこげ茶。山脈に僅
    かに生える草のような緑色の目。弟子は頭が赤っぽ
    く体は黒っぽい茶色をした雄猫で、オレンジがかっ
    た茶色の目をしたクレーターポー(火口足)

    アイスファー(氷の毛)
    氷のような透明に近い水色の毛をした淡い紺色の目
    の雌猫。弟子は、輝く淡い黄色い目をし、淡い水色
    と白の混ざったぶちのカメットポー(彗星の足)

    アイランドスパイダー(島の蜘蛛)
    顔に横に走る白いラインの入ったトラ猫で、腹は白
    く、体は金茶色。オッドアイで右は赤、左は黒をし
    ている雄猫。弟子は目が黄色で短い灰色の毛をした
    雌猫のシーサイドポー(海岸足)

母猫 ハッピーパール(幸せな真珠)
   桃色に近い白と、白のぶちの猫。目は真珠のような
   白。最高齢の母猫で、デンジャラスクローのつがい。
   子はラットペルト、アイスファー、イーグルキット、
   クリスタルキット、アッシュキット

   ベリーフラワー(ベリーの花)
   白い毛に灰色の縞が入るトラ猫で優しい。ヴォルケイ
   ドレインジのつがいで、赤紫色の目をしている。初め
   てのお産

長老 ビッグテイル(大きい尻尾)
   小柄だが尻尾が太く、大きい雄猫。赤褐色でクリーム
   色の斑点が背中に入る。琥珀色の目をした猫。かつて
   ハンドライフの指導者だった。

   ダブルテイル(2つの尻尾)
   淡い栗色の尻尾の先が割れている雌猫で、背中に1か
   所毛のむしられた跡がある。橙色の診目をしていて小
   柄。ブラックストーン、オークウィング、ラットペル
   トの指導者だった。アイランドスパイダーの母で、ブ
   ラックストーンのつがい。

   ビッグスモール(大きい小さい)
   頭が小さいが体は標準よりやや大きい。オレンジ色の
   毛皮に紺色の目をしている雄猫。
   
えっ?!改行がおかしいっ!!
モバイル版、改行がおかしくなっているので、ぜひ、ウェブ版にしてご覧下さい。


最終編集者 マァーラーフェザー [ Sun Jan 16, 2022 4:47 pm ], 編集回数 1 回
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投稿 by Murre Sat Jan 15, 2022 9:47 pm

絡まった地下の関係〜水と炎の予言〜 16422512
絡まった地下の関係〜水と炎の予言〜 16422513
著作権フリーのイラストに色を塗っただけ。
主人公達のイメージカラー
大きさの違いは気にしないでください
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投稿 by Murre Sun Jan 16, 2022 1:42 pm

ウェザー族 Weather Clan
族長 
ミントライフ(ミント命)
爽やかな三毛の雌猫で、ミントのような色の目をしている。

副長 
スカイブレイク(空を破る)
腰の毛が伸び、翼に見える雄猫。淡い空色の毛で、黒っぽい目をしている。弟子は長毛で黄褐色の雄猫で灰色に近い黒の目をしているアバンダントポー(豊富な足)

看護猫 
エヴリワンズドクター(みんなの医者)
茶色で長毛の雄猫で、トラ猫。琥珀色に近い黄色の目。
 
戦士猫 
ワールドブリッジ(世界の橋)
目が地域にみられる湖と森のような右濃い緑、左濃い青のオッドアイの雄猫で銀色の毛。弟子は松葉と同じ色の目をしたこげ茶のトラ猫であるパインポー(松の足)

ゴッドエンペラー(神の皇帝)
金色の毛をし、黄金色の目をした長毛の雄猫で、毛を<二本足>に狙われている。

ステムテイル(茎の尻尾)
硬い尻尾をした全体的に茶色い雌猫。色素の薄い黄緑色に近い瞳をしている。弟子は金茶色とクリーム色のぶちで濃い緑色の雌猫、エメラルドポー

ホエールウェーブ(鯨の波)
声が太く、大きいがっしりとした雄猫。全体的にグレーだが、所々に黒が入るぶちで、青みがかかった紫の目。

ゼリーフィッシュポイズン(クラゲ毒)
光が当たると白く輝き、透明にも見える毛の色をした紫色の目の雌猫。弟子は柳のような色をした目で、青がかった黒い雄猫のオリエントポー(東洋足)

レインクローバー(雨の四つ葉)
濃い灰色の体に白い線の入った雄猫。短毛でよく泳ぐため、毛が濡れていることが多い。春の草のような柔らかな黄緑色の目。

ヒルヴァイオレット(丘のスミレ)
光に当たると薄い紫色に反射する白っぽい毛の雌猫。青みがかった紫色の目をしていてオリエントポーとエメラルドポーの母親。ワールドブリッジのつがい。

母猫 
バタフライパウダー(蝶の粉)
クリーム色の雌猫で、所々に濃い黄色の斑点がはいる。漆黒の目をしている。ゴッドエンペラーのつがい。スウィートキットとペイルキットの母猫。

長老 
ピーカックフェザー(雄のクジャクの羽)
青みが強い灰色の雄猫で、鮮やかな緑色の目をしている。ワールドブリッジ、ミントライフの指導者。最高齢

ピーヘンビーク(雌のクジャクのくちばし)
ピーカックフェザーの双子の妹で、同じく最高齢。薄い金色の目で、体は全体的に茶色。エヴリワンズドクターの母。
 
ギンコウイェロー(イチョウの黄色)
薄いトラ柄の雌猫で、鮮やかな黄色。青葉の季節のイチョウのような緑色の目をしている。


最終編集者 マァーラーフェザー [ Wed Mar 23, 2022 9:54 pm ], 編集回数 1 回
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投稿 by Murre Mon Jan 17, 2022 9:55 pm

ホウル族 Hole Clan
族長 
オリジナリーリターンライフ(元に戻る命)
灰色と黒のぶちの雌猫。怪しげな光を放つ黄色の瞳をしている。

副長 
ダークフロムオゥベイパースン(闇から守る者)
足が黒く、体は黒茶色のトラ柄の雄猫。不思議な群青色の目をしている。弟子はホワイトフィーリングホウル(白い感情の穴)で全身白いが尻尾の先と左目の周りだけ黒い。瑠璃色の目をしている。

看護猫 
ランプセイヴ(魂を救う)
真っ白い雌猫で、目は青緑色をしている。小柄で若い。

戦士猫 
ゼイファイト(彼たちが闘う)
赤い三毛猫の雄猫。目は陰った山吹色をしている。

フロムヒューマンオゥベイ(<二本足>から守る)
茶色の雌猫。腹はクリーム色で淡い桃色の目をしている。

メンバーオブホープライト(光を望む者の一員)
”外”の世界に憧れる濃い灰色の雌猫。目は白っぽく光を反射させる。弟子はディープブルーホウル(深い青い穴)。深い灰色の体をした濃い青の目の雌猫。

クロウリブズインウェスト(カラスは西に住む)
体の左側だけ黒い、紫に近い青の目の雄猫。その他の部分は白い。

ハイスピードアタッカー(速いスピードで襲う者)
素早い動きの攻撃を繰り出す雄猫。黒っぽいトラ猫で、澄んだ琥珀色の目。弟子はモーニンググローリホウル(朝顔の穴)でロシアンブルー。

ロングテイルフリップ(長い尻尾弾き)
長い尻尾が特徴の赤茶色をした単色の雄猫。目は淡い緑だが、瞳は濃く深い緑をしている。

母猫 
シェイクウィロウフェイス(揺れる柳の顔)
見習いの時につけられた3本の傷が顔に残っている若い雌猫。柳色の目をしていて、グレーと青みがかったグレーと白のぶち。ディープブルーホウルとモーニンググローリホウルの母で、今も身ごもっている。ロングテイルフリップのつがい。

整備猫 
ダストシャワーラビット(土を浴びたウサギ)
白い体に幾つもの黄土色の斑点が散っている雄猫。淡い赤をした目。

フォールメイプルラッグ(落ちるカエデのじゅうたん)
ほぼ全身が赤とオレンジの三毛猫で、尻尾が白い雌猫。カエデの木から出てくる蜜のような黄金色の目をしている。ダークフロムオゥベイパースンとの子を身ごもり、ゼイファイトとハイスピードアタッカーの母。

フライイングピジョンシェイプ(飛んでいる小型のハトの形)
小柄な灰色の雄で、右前足が外側に曲がっている。戦士猫を途中で諦め、整備猫になった。首には白い模様が入り、目は輝く緑をしている。

長老猫 
エレファントトランクテイル(象の鼻の尻尾)
尻尾に毛がなく、しわがある。灰色の雄猫で、黒い線が何本か入っている。目が見えないため、耳、鼻、ひげが鋭い。

マァーラー、タイピング練習のため、パソコンで最近打っている。(いらない報告)

整備猫とは、地下の穴の中に住んているホウル族特有の役割で、戦士猫になれなかった猫などが、穴などが崩れないように整備する猫たちの事。
ホウル族は、他の部族から穴掘り族と、蔑んで呼ばれる事が多い


最終編集者 マァーラーフェザー [ Wed Mar 23, 2022 9:56 pm ], 編集回数 2 回
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投稿 by Murre Sun Jan 23, 2022 10:52 am

ウォーター族 Water Clan
族長 
ウォーターライフ(水の命)
青みがかった水色の雌猫。目は美しい濃い青をしている。弟子は青みのかかった灰色の雌猫で、藍色の瞳をしているインディゴウポー(藍の足)

副長 
スプラッシュヘルプ(しぶきよ助けて)
灰色の毛に所々水色の毛がある雄猫で、目は濃い水色。

看護猫 
リヴァーサイド(川岸)
薄い水色で目は濃い水色をしている。スプラッシュヘルプの妹。

戦士猫 
ウォータースプラッシュハート(水しぶきの心)
白い斑点模様のある長毛の灰色の雌猫。弟子は艶々した青みのかかった黒の毛を持ち、黄緑色の目をした雌のドルフィンポー(イルカ足)

リヴァースウィム(川を泳ぐ)
大きくて水と色が似ている雄猫。よく泳ぎ、透明に近い水色の目をしている。白い丸い模様がある薄い灰色のバブルポー(泡の足)が弟子で、灰色の目をしている。

ビューティフルレイク(美しい湖)
青みのかかった灰色の輝く毛に、水色と青の間の色をした目をしている雌猫。

ウォータースカイ(水の空)
水のような色の空の日に戦士になったこげ茶の虎猫。黄緑色に近い黄色の目をしている雄猫。弟子は白い縞の入った灰色の雄猫で、白っぽい水色の目をしたストリームポー(流れ足)

スネークスワンプ(蛇の沼)
濁った緑色の目をした黒に近い灰色の雄猫。体に曲がりくねった
薄い白い線が入っている。

コールドロウタス(凍ったハス)
水色と桃色を混ぜたような目をしていて、体は白い。尻尾の先が水色。

母猫 
ポンドインフラワー(池の中の花)
フィッシュキット、リードキット、ビューキットの母猫で、緑色の目をした三毛猫。

長老猫 
フライスケイル(飛ぶ鱗)
耳の先や尻尾の先、背中が銀色の毛をした雌猫。緑色の目をしていて、スプラッシュヘルプやウォータースプラッシュハートを指導した。

ライトフィッシュ(軽い魚)
小柄で細い雌猫。くすんだ灰色の毛をしていて、ウォーター族最高齢。白っぽい目をしているが、濁ってきている。

ウィスカーストリーム(ひげの流れ)
体と平行に何本も青い線が入る水色の雄猫。淡い琥珀色の目をしている。ウォータースカイの指導者。


最終編集者 マァーラーフェザー [ Wed Mar 23, 2022 9:56 pm ], 編集回数 1 回
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投稿 by Murre Sun Jan 23, 2022 11:19 am

どの部族にも所属しない猫
ウィートフィールド(小麦畑)
枯葉の季節にウェザー族に獲物を分けてくれる。ウェザー族の縄張り内の空き家に住んでいる。小麦色の目をした茶色の雌猫。

ティン(錫)
<二本足>のことをホウル族に教えてくれている雌猫。胸の毛がクリーム色で、体が淡いベージュと、灰色と黒の間の色をしたシャム猫。

猫以外の動物
ロングファー
<二本足>が言うヤギ。野生と<二本足>のものの二種類がいる。マウンテン族の縄張り内の山に住んでいる。

ワイルドファー族
野生のロングファーで、マウンテン族の縄張り内の山の高い方に住んでいる。百年前、マウンテン族族長と条約を交わし、以来、守り続けてきた。

縛られた毛の群れ
<二本足>の小屋に飼われている。青葉の季節になると毛が刈り取られる。


最終編集者 マァーラーフェザー [ Wed Mar 23, 2022 9:57 pm ], 編集回数 1 回
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投稿 by Murre Sun Jan 23, 2022 11:31 am

地図!
絡まった地下の関係〜水と炎の予言〜 Dsc_0013
手描き感満載笑
切れてたら、クリックしといてくださーい


最終編集者 マァーラーフェザー [ Fri Feb 25, 2022 10:33 pm ], 編集回数 1 回
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投稿 by Murre Sat Jan 29, 2022 3:41 pm

ティン
絡まった地下の関係〜水と炎の予言〜 Sketch10


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投稿 by Murre Thu Feb 03, 2022 10:19 pm

プロローグ
 百年程前、マウンテン族が山に辿り着いた。
 若い者達が弱い者達を助けながら山を登っていく。
 自分達が去ってきた森が点のように見える高さまで登ると、見たことのない動物が居た。長いもつれた毛をしていて、頭には長い牙がある。顔の近くに蝿が飛んでくると耳をぶるぶると震わせ、硬い石のような爪がついた脚をしていた。
 彼らは山羊といった。
 俺達は野生の山羊の群れを‘‘ヤギ族’’、<二本足>に飼われている山羊達を‘‘縛られた毛の群れ’’と呼ぶことにした。後者の方は、滅多に木で囲われた縄張りから出て来ることは無い。
 俺、マウンテンライフは残り一つの命を懸命に生きていた。俺達がここへ辿り着いたのは枯れ葉の季節で、ネズミの尻尾さえも見当たらなかった。
 俺達は生きる為に、ヤギ族と一つの条約を定めた。あの日から季節が二巡りした。
 「我らマウンテン族は獲物が良く獲れる季節は君たちヤギ族を襲わない。獲物が冬眠する季節は、野生の君達の仲間が欲しい。しかし、二日に一頭までとする。代わりに青葉の季節な間に干しておいた草を渡そう。」
 ヤギ族の長は、少し戸惑いながらも了解してくれた。
 この条約は、他の部族に知られることなく、百年守ってきた。お陰で俺の部族は枯れ葉の季節でもウォーター族のように艶やかな毛並みで、ウェザー族のようにたくましい体力で、穴掘り族のように力強い体でいられる。

 しかし!今この時も状況が変わってきている。<二本足>がヤギ族まで獲り尽くしてしまった。
 昨年の枯れ葉の季節に山からヤギ族が消えてしまった。<二本足>は馬鹿だから、ヤギ族をいくら獲っても消滅しないと思っている。
 俺の部族の猫達は、獲物をろくに食べることができなくなってしまった。

 「あなたはマウンテンライフ。偉大なるこちらでの初代族長ですね。」
 灰色の雌猫が緑色の目を閉じ、恭しく頭を下げる。
 俺は頷き、若いマウンテン族の看護猫に重大なお告げを伝えた。
 『<二本足>を倒しなさい。水と炎の戦士が誕生する。水と炎に続き、一族で立ち向かいなさい。そうすれば平和は取り戻せる。』
 グリーンハートは目を丸くして、戸惑った様子で答えた。
 「水と炎は対照的な関係です。必ず水が勝ってしまいます。」
 俺は目を細めて、子孫のこの子を温かい目で見つめる。
 「水と炎は、対等な関係にもなれるんだ。」
 看護猫の体は薄れていき、ルナクランの縄張りには身を隠していた仲間のみが残った。
 「マウンテンライフ、水と炎と仰っていましたが、マウンテン族は水と近い存在にはありません。」
 当時副長だったレインジライフが困った顔で見つめてくる。
 「ヤギ族が関係しているのはマウンテン族だけだが、秘密というものは全て地下でつながっているものなんだよ。」
 彼にそう言い残し、現在の世界から目を離した。

 半年後、美しい水色の雌猫と、赤っぽく力強い雄猫が誕生した。
 山の平和とヤギ族を取り戻すため。そして、現在の縄張りの初代族長が言った秘密を見つけ出すため。
 一族と<二本足>の戦いが、今、始まるー-----!
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投稿 by Murre Fri Feb 04, 2022 8:55 pm

第一章 前半
 「これから、命名式を行う。」大きな白黒の雄猫が大きな木の上から大勢の猫達を見下ろして声を張り上げた。
 大きな木がどすんと真ん中に生えている島にやってきた猫は、未曽有の出来事に驚きの声を上げている。
 「そんなの前代未聞だ!」穴掘り族副長のダークフロムオゥベイパースンが、鋭い目つきで他部族の猫を見据えながら反対の声を上げる。
 ホウル族は怒っている。
 「これは、全部族の族長で同意したの。」オリジナリーリターンライフが目に怒りをたたえながらも冷静に説得する。
 黒茶色の副長は渋々座った。その時、穴掘り族族長の怪しげな光を放つ黄色の瞳に射抜かれ、私は思わず身をこわばらせた。
 黄色の光に解放され、近くに座っていたブレイズポーを見ると、彼も興奮したような、戸惑ったような目をしていて、私と同じ気持ちでいることが分かった。
 わくわくしちゃう。
 おずおずとルナツリーの前に立つと、ウォーター族族長のウォーターライフが困ったような目で見つめてきて、心が痛んだ。

 私とブレイズポーが見習いになった時、青葉の季節の真っ盛りだった。シダの茂みは生き生きと輝き、強い日差しに川は眩しいくらいにきらきら輝いていた。
 「いいな。ウォーターキットとブレイズキット、今日から見習いになるんでしょ?あたしも早く訓練したーい!なんでダメなの?」濃い黄色の目がきらきら輝いていたが、フライトキットは、まだ生後1か月程だ。
 彼女の母であるラットペルトがフライトキットの妹であるカメットキットを連れて出てきた。
 「あなたはまだ生後1か月でしょう。ウォーターキットとブレイズキットは、保育部屋でのお姉さんお兄さんになったから、お父さんが見習いにしていい、と判断なさったのよ。」
 フライトキットとカメットキットはハンドライフの子供だ。
 「早く見習いになれるように、おとなしくしよ。」冷静な判断ができる頭つきのカメットキットが姉をなだめる。
 「そうね...じゃあ、カメットキット、狩りの練習をしよ!」フライトキットは言うと同時に保育部屋から苔を引っ張り出してきた。寝床の一部をかきむしってきたのであろう、苔のくずが辺りにぽろぽろと散らばっている。
 「ウォーターキット、もうすぐ月が高くなるよ!」興奮して毛がふわっと逆立っているブレイズキットがナイトスカイロックの近くで私たちの母であるアイスファーの横で毛並みを整えてもらっている。
 「お母さん、私も!」同じ毛の色をした母に近づき、空いた腹の前に座る。
 「はいはい。」優しく舐める舌の感触がし、毛艶が、太陽に照らされた雫より輝き始めた。
 「僕たちの指導者、誰だろうね?」弟のブレイズキットがわくわくそわそわしながら私の目を覗き込んでくる。
 「私、ハンドライフがいいな!族長みたいに立派になりたい」目を輝かせて言うと、姉のウォーターテイルがやってきて、やんわりなだめた。
 「族長が指導するのは、殆どが副長の子供なのよ。」尻尾をそわそわ揺らし、視線を左右に動かしつつ言う。
 「そっか...」ブレイズキットも肩を落とす。
 「はい。一族の前で式をするんだから、しっかりね。」母が言う。
 「あ、ハンドライフ!」フライトキットの甲高い声がしたかと思うと、ナイトスカイロックの裏のスタールームから白黒の大きな猫が出てきた。
 ブレイズキットがぱたぱたと岩の前へ駆け寄る。
 徐々に一族が集まってきた。
 「ムーンクランに照らされた一族の仲間たちよ。一族の集会を始めよう。」


※ムーンクラン=スター族
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投稿 by Murre Sat Feb 05, 2022 4:28 pm

第一章 後半
 族長はナイトスカイロックの上から全員が集まったことを確認すると、私とブレイズキットを尻尾で招いた。
 初めて大きなナイトスカイロックに上った。少し大変だったけれど、ブレイズキットに抜かされるのは悔しいから、とっても頑張った。
 高いところから一族を見渡すと、年長見習いのリフレッシュポーとフォレストポーが緑色の目を輝かせているのが見えた。今、見習い部屋はリフレッシュポー、フォレストポー、クレーターポー、シーサイドポーしかいないため、場所が多く余っている。
 ブレイズキットも岩の上で落ち着いたことを確かめると、ハンドライフは聞いたことのある言葉を言い始めた。
 「マウンテン族の一員であるウォーターキットとブレイズキットは生後6か月に達しました。ルナクランの皆様、私ハンドライフはこの2匹を見習いへと昇格させることを決定しました。ウォーターキット、お前は全ての知識を受け継ぎ、立派な戦士になるための努力を惜しまないことをルナクランに示してくれ。今からウォーターポーに昇格する。ウォーターテイル、お前はこの子の姉であり、一族に身を捧げる賢い戦士だ。もう1匹目の弟子を持っていい頃だ。亡きフローズンムーンの精神をこの子に受け渡せるように。」
 ウォーターテイル!
 短い足でぴょこぴょこ近づくと、ウォーターテイルは首をかがめて私と鼻づらを触れ合わせた。嬉しくて岩の下で跳ねていたら、ブレイズポーの命名式を聞き逃してしまった。
 慌てて目をやると、ブレイズポーは副長のブラックストーンと鼻づらを触れ合わせていた。
 「ウォーターポー、ブレイズポー、ウォーターポー、ブレイズポー!」
 一族のみんなが私と弟の新しい名前を呼んでくれて、なんだか誇らしくなった。
 月が太陽の沈む方向に向かっていく。一族も散り、キャンプ内は静まった。
 ルナクランのキャンプが星々の散りばめられた深い紺色の夜空にぽっかりと浮かび、私たちを見守ってくれている。
 「ウォーターポー、明日、一緒に縄張り探検をする、ってブラックストーンが言ってたよ。」
 月明りで桃色っぽく見えるブレイズポーが私の隣に並んだ。
 ウォーターテイルとブラックストーンはナイトスカイロックの下で相談している。
 アイスファーが駆け寄ってきて、私たちの耳をさっと舐めた。
 「2匹とも、頑張ってね。立派な戦士になれるのを期待しているわ。」
 嬉しさで胸がいっぱいになっったので、感謝の眼差しを送った。
 「ウォーターポー、ブレイズポー、見習い部屋へようこそ!」  
 リフレッシュポーがやんわりと私たちを迎え入れてくれた。部屋を覗くと、先にフォレストポーとシーサイドポーが休んでいた。
 ちらっと指導者の方を伺うと、姉はさっと頷いて、戦士部屋に向かった。
 「ウォーターポー、ここで寝ようよ。」
 ブレイズポーが端に空いた苔に腰を下ろした。
 私も近づき、1つリフレッシュポーに質問する。
 「クレーターポーはどこ?」
 リフレッシュポーは部屋の入り口に目をやって、こちらに向き直った。
 「夜明けのパトロールのために、食事をしているんじゃないかしら。」
 気のせいかもしれないが、緑色の目に不安がよぎった様に感じた。
 「ありがとう。」そう言うと眠気が襲って来た。
 フォレストポーとシーサイドポーはもう目を閉じている。
 ブレイズポーと体をくっつけると、弟の温もりがじんわりと伝わってきた。
 リフレッシュポーも自分の寝床に体をおちつけ、毛づくろいを始める。
 睡魔が私を包囲した。
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投稿 by Murre Sun Feb 06, 2022 2:31 pm

第二章 前半
 「ウォーターポー、ブレイズポー、いつまで寝てるんだ。ハリネズミにでもなったのか。」副長の声がした。
 アイスファーに近寄ろうとしたが、見習い部屋だということを思い出した。
 がばっと跳び起き、ブラックストーンを見つめ返した。
 ブレイズポーもびくっと体を起こし、今日から始まる訓練にひげをぴくぴくさせた。
 「ブラックストーン、まず、どこへ行くのですか。」
 ブレイズポーが尋ねている間、ウォーターテイルも合流した。
 「砂場、訓練場を通り,丘へ行こう。そこからなら、境界線も覚えられるし、丘から縄張りを見渡すこともできる。」
 幾つかウォーターテイルやアイスファー、長老達から聞いたことのある場所の名前が出てきて、一層楽しみになった。
 この目で縄張りを見れる!
 ルナクランの皆様が私達に目を与えてくださったことに感謝した。
 一族が大集会の時に使っている出入り口の近くに、さらさらした土の粉が山になっている場所があった。
 「ここ、毛についたマダニを取るために転がる砂場ですか?」
 興奮で上ずった声で訊くと、ウォーターテイルが肩をすくめた。
 「本当にあなたは大きな声ね。丘にいる獲物が全部逃げちゃう。」
 「心配するな。いずれ、静かに辺りを窺うことも身につく。」
 私の短所を指摘した姉を、副長が宥める。
 私、そんなに大きな声を出してたのかしら。そう思いつつ、ブレイズポーに目をやると、迷惑そうな目でこちらを見ながら耳を塞いでいた。
 ごめんなさい、と心の中で謝り、子猫の時には味わったことのない感触を体験する。砂は、太陽の熱で温まり、ほんわか気持ちいい。さらさらしていて苔とは違う寝心地だったけれど、体を起こすと毛の間に砂が入り込み、体を振っても3匹に嫌な顔をされるだけだった。
 近くにあった短い草の広がる地面で背中を擦るとようやく取れた。
 指導者の方に視線をやると、こちら側へ向かってくるのが見えた。
 「ウォーターポー、初めてキャンプの外に出たんだから、私たちの傍にいなさい。身勝手な行動をする戦士など、マウンテン族にいないわ。」
 姉が激しく尻尾を振り、目にはあまり見ない苛立ちを露わにしていた。
 初弟子だから、気が立っているのかな。
 申し訳なさの気持ちでウォーターテイルの水色の脇腹に鼻を押しつけると、尻尾が私の耳を撫でた。
 「俺達が戦闘の訓練をする、訓練場を案内してやろう。」
 ブラックストーンは尻尾を一振りすると、私達よりずっと速い駆け足で走り出した。ブレイズポーも驚いて駆けだすけれど、指導者との距離はウサギ3匹分程離れていた。
 「私達も行くわよ。」
 ウォーターテイルに負けないように走ったけれど、水色の尻尾はみるみる離れ、息が苦しくなった。
 私達の間がキツネ3匹分に広がった時、さっきからちらちら動いていた物がはっきりと見えた。
 シーサイドポーとアイランドスパイダーが闘う訓練をしていて、金茶色と灰色が1筋の線のようにあちこちに動き回っている。
 ブレイズポーも素早い動きに目を丸めていて、私が着いたのを見ると、小さく呟いた。
「僕もあんなに速くなれるかな。」
 まだ正午前だというのに辺りは暑く、からからしている。ブレイズポーの赤っぽい毛は、土埃にまみれて、薄汚れている。そして、弟はこれまでのことに背中を丸めていた。
 「シーサイドポーを見て。アイランドスパイダーと同じくらいの体格をしている。私達も、ブラックストーンやウォーターテイル、アイランドスパイダーのように素早く、速く、力強くなれるわよ。」
 尻尾で弟の耳をぴっと弾き、指導者たちを見る。
 ブレイズポーは驚いたようにこちらを見て、嬉しそうに頷くと、視線を硬い土のフィールドに戻した。
 「シーサイドポー、この前より素早く、正確だったぞ。」
 ブラックストーンの褒め言葉に、シーサイドポーはぱっと顔を明るくする。
 ウォーターテイルは先輩のアイランドスパイダーに会釈して、私達を小高い草地の方へ招いた。訓練場は窪地にあるため、丘が一層高く感じられた。
 キャンプに生えている下生えよりも短く,ちくちくした草が小高い山を覆っていた。
 太陽が真上に昇り、背中が焼かれているように熱い。出来るだけ速く走ったが、かかってくる風は生温かった。
 「あっちに見えるのが、ウォーター族の縄張りよ。」
 ウォーターテイルは耳をそっちへ傾けた。その途端、はっと身をこをわばらせた。
 見慣れない猫が4匹、こちらを見ていた。
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投稿 by Murre Mon Feb 07, 2022 6:06 pm

第二章 後半
 「ウォーター族のパトロール隊だ。」
 追いついたブラックストーンが、私達にそっと耳打ちした。
 「こんにちは。私はウォーターライフよ。あなたたちは、新しい見習いさん達ね。」
 ウォーターライフ、と聞いて、どきりとした。隣のウォーター族の族長だ。話は沢山聞いている。
 「こんにちは、ウォーターライフ。私はウォーターポーです。」
 深く会釈して挨拶をする。おずおずと顔を上げると、族長は温かい目でこちらを見ていた。
 「ブレイズポーです。」
 弟も会釈をして、ウォーター族の正午のパトロール隊に向けて緊張しながら自己紹介をした。
 「よかったですね。ルナクランもお喜びだろう。」
 マーキングしなおしている斑点で長毛の雌猫の横で、年長の戦士であろうこげ茶の虎柄の雄猫が、弟子をちらっと見て、私達をしげしげと眺める。
 ブラックストーンはさっと頷いて、私達を丘の上まで走らせた。
 ウォーターライフの視線が私と姉に突き刺さっているのを感じ、少し居心地が悪くなった。
 「ウォーターライフも他の猫達も、縄張りも、水の染みついたにおいでしたね。」
 弟が指導者に向けて学んだことを発表する。
 丘の上で風を受け止めていた。さらさらと耳や毛を撫で、短い草が揺さぶられる。
 「ウォーター族は年中魚を食べていて、獲物には困らない部族だ。長毛の雌猫はウォータースプラッシュハート、こげ茶の雄猫はウォータースカイ、見習いは彼の弟子のストリームポーだ。」
 副長が丘より低い位置にあり、密生した葦で覆われた高台を見つめながら言う。
 ひぇ。戦士って、他部族の猫を全員覚えているのかしら。
 ウォーターテイルが私の驚きを読み取った様に―実際に顔ににじみ出ていたのかもしれないが―苦笑しながら大きく、高く、太い木の方を尻尾で指す。
 背の高い名前の知らない草が島をぐるっと囲むように生えていて、さわさわと踊っている。その向こうに目を凝らすと、漠々とした荒れ地のような茶色い地面が広がっていた。
 「私たち、全ての部族の猫を知っているわけではないわ。晴れた満月の夜だけに行う大集会でも、毎月顔を合わせたことのない猫達が大勢いる。向こうの、ホウル族がそう。」
 ホウル族。そう聞いて首をかしげた。そんな名前の部族は聞いたことがない。
 風向きが変わり、登ってきた方の反対側から、おいしそうなウサギのにおいが漂ってきた。副長はおかしそうに目を輝かせながら、良く肥えたウサギを私たちの方に寄せた。
 上目遣いで指導者の方を見ると、頷いてくれたから、一口かぶりついた。
 ブレイズポーも涎を垂らす。
 「俺達はホウル族のことを穴掘り族、と呼んでいるんだ。」
 ブラックストーンがやんわり指摘する。ウサギが捕れて気分がいいのか、ちくちくする草を軽く引っ搔いている。
 穴掘り族なら聞いたことがある。アイスファーや長老たちがよく話してくれた。
 「ホウル族が、どうかしたんですか。」
 ウォーターテイルの続きを促すように1口目を飲み込んだブレイズポーが身を乗り出す。
 太陽がさんさんと照っていて、ウサギの血は喉が潤された。
 「穴掘り族は毎回、大集会には族長のオリジナリーリターンライフ、副長のダークフロムオゥベイパースン、看護猫のランプセイヴの3匹しか来ないの。穴掘り族は更にほとんどしゃべらないから、私たちにとっては謎の部族ね。」
 どれだけの数が居るのかわからない、穴を掘って地下で暮らしている部族。少し興味を持ったけれど、直ぐにもっと重要な言葉が飛び出していたことに気づく。
 さっき頬張った肉を飲み込んで、口の周りを舐める。
 「大集会!」
 気が高ぶってそれしか言えなかったけれど、弟には十分伝わった。
 「昨日、月が真ん丸に近かったから、明日かな!」
 ぶるっとひげを震わせて、目をきりっと吊り上げる。琥珀色の目に、火が宿った。
 ウサギを片付けながら、姉は弟の肩にそっと尻尾をかける。
 「残念。今、ルナクランの縄張りは枯れ葉の季節に入ったのよ。獲物と縄張りが小さくなる。けれど、ルナクランの季節はハヤブサよりも速く過ぎていくから、直ぐに青葉の季節に戻るわ。」
 歩き出したブラックストーンに遅れるまいと速足で進んでいるブレイズポーに並んで、ルナクランの話を伝えた。
 ルナクラン。朝にも昼にも夜にも私達を空から見守っていて、どの時間帯に姿を現すかは気まぐれ。また、朝や昼は白い気配をしていて、夜は濃い紺色に映える煌めく黄色をしている。私達の先祖の猫達が境界線なく暮らしていて、ルナツリーで族長や看護猫と触れ合う。グリーンハートは、彼らは、目の中に星のような光を宿していて、体には月の光のような淡く、儚い煌めきの衣を纏っているという。

 青葉の季節の中で最も暑い時間帯は、族長はスタールームで副長の報告を聞き、他の者達は日陰でグルーミングをしていた。
 私とブレイズポーも、ナイトスカイロックの近くでグルーミングをした。
 山の方にある保育部屋の中にきらっと光る物が見えた気がしたので、首を斜め前に進めた。
 たたたたっと小さな毛の塊が転がってきて、ブレイズポーに衝突した。
 あわわっと大げさに声を出し、はしゃいでいるフライトキットの耳を舐めた。
 カメットキットもだるそうに入り口から顔を出し、フライトキットを渋々追いかける。
 「ねー、ねー、どうだった?戦った?」
 「いいえ。戦ってはないわ。けれど、ウォーター族の族長と戦士を見たの!」
 嬉しかったことを報告してやると、フライトキットは目を大きく見開き、青い色が消えつつある色を太陽に捧げた。目はきらきら輝き、羨望の意が全身から溢れている。
 私達は体験したことを全て話してやった。
 ラットペルトは暑そうに保育部屋へ戻った。
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投稿 by Murre Fri Feb 25, 2022 11:01 pm

第三章 前半
 ウォーターポーがあんなことを言い出したのは、初めて丘に行った日の、次の日だった。ウォーターテイルとブラックストーンは他の見習いと指導者の訓練の様子を見に行き、リフレッシュポーとフォレストポーが戦士になれるかどうかを判断しに行った。腕前が認められれば、マウンテン族に新たな戦士が誕生するだろう。
 ウォーターポーに朝早くつつかれ、薄く目を開き、小声で尋ねた。
 「ウォーターポー、どうしたの。今日は僕達、長老の世話だよ。」
 「ええ、知ってる、ブレイズポー。新鮮な獲物をたっぷり届け、苔を替えたら、暇でしょ?」
 くだらない、と聞き流しながら、僕は目を閉じた。
 「ほら、行きましょ。涼しいうちに。」
 何かを含んでいるような上ずった声で、見習い部屋の入口を擦らないようにひけで大きさを測る。
 ウォーターポーは止まらない。
 少しずつ温まってきているキャンプの真ん中は、シダや木の葉がまばらになっている。眩しい朝日に目を細めると、昨日は使わなかった方の出口からウォーターポーの水色の尻尾の先がちらりと揺れて、シダで隠れた。
 姉は何を仕出かすか分からない、と、直感で分かっているから、慌てて駆け出す。朝日に当たったお陰ですっかり目は覚め、視界がはっきりしてきた。

 「ウォーターポー、まだ僕達は見習いになりたてなんだよ?二日目から戦士の掟を破るようじゃ、ハンドライフも呆れちゃうよ。」
 必死になって止めようとするけれど、リスを埋めている姉は意思を変えない。
 「二日目だからこそ行くのよ。昨日聞いた、穴掘り族の縄張りを見に。ねぇ、ルナツリーのある島から眺めるだけでもいいでしょ?」タイガの森の中で鼻をひくひくさせながら許可を求めてくる。
 「だめだ。母さんやブラックストーン、ウォーターテイル、ハンドライフがどう思うか考えてみたか?」
 水色の姉は、さっと腰をかがめて、ネズミとの距離を測る。いらいらと尻尾を振って、ウォーターポーに背を向けた。ルナツリーの方を向いて、仕方なく意識を小動物の気配に向けた。
 タイガの森の終わり付近は下生えがなく、乾いた土に無数の足跡が付いていた。日差しのせいかもしれないが、足跡の近くは動物の体温が置いていかれたかのように温かい。
 「ブレイズポー、勝手にうろつかないで!」
 「勝手にうろつき始めたのは、そっちだろ!」くるりとウォーターポーの方に向き直り、歯をむき出して威嚇する。ウォーターポーは僕の反応に驚いたのか、こちらを見つめたまま固まった。
「ようやく弟の僕の言うことを聞く気になったんだね。今まで自由にさせすぎた。ウォーターテイルを見ろよ。姉なのにウォーターポーと違ってとっても…」姉を黙らせる事が出来て有頂天になって、つい、口が多く回ってしまった。
 「ブレイズポー!」ウォーターポーが唸った。
 なんだよ、文句でも有るのか。
 よく見てみると、ウォーターポーの目は奥の何かに向けられていた。後ろを見ると同時に鋭いかぎ爪が眼前に迫り、慌てて首を屈めたけれど、耳の毛が空を舞った。
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投稿 by Murre Sat Feb 26, 2022 7:56 pm

第三章 中盤
ウォーターポーが軽い体で相手に乗っかったけれど、容易く払われ、乾いた地面に土埃を上げて横滑りした。僕は相手に抑え込まれ、身動きができなくなった。姉が小さな体で毛を逆立てているけれど、ふわふわした毛はまだ威厳がない。
 相手は雌猫で、嗅いだことのないにおいがする、と考えた途端、息ができなくなった。爪の出ていない大きな手で喉を押され、潰れるかと思った。
「弟を放して!」
ウォーターポーの方に辛うじて眼球を動かすと、激しく尻尾を振っているのが見えた。相手は来た時と同じようにぱっと脚を離すと、僕達を睨みつけた。
「私の存在を見たようね。ただじゃあ置けない。こんな、二日目の見習いに見つかるなんて、私も落ちぶれたのね。」
聞いたことのないくらい高く、清らかな声で発される内容には、時々聞いたことのない調子で、マウンテン族では感じたことのないオーラがびんびん伝わってくる。
でも、なんで僕達が見習い二日目だって分かったんだ?
どうにか立ち上がると、ウォーターポーは大きな雌猫にくわえ上げられていた。
「ちょっと、放してよ!」
「静かにしなさい。さもなくば、弟がどうなるか分かっているわよね。」
白くひらひらした物が先の方で枝分かれしている尻尾でこちらを指され、竦み上がった。姉はさっとこちらに目をやると、おとなしくぶら下がった。
「ねえ。」僕の声にはたと雌猫が足を止める。
「僕たちが君を見たことは、悪いことなの?」雌猫はちょっと歩いて近くの穴に姉を押し込んだ。姉は言いつけを守り、おとなしい。
「ルナクラン様が私達を引き寄せた。これは”戦い”に必要なことなんだわ。」
言いながら尻尾で来いと命令されたので、軟らかい窪んだ地面に雌猫の肉球の大きさを感じながら歩き出す。「先に行って。どの道を通るかは、私が指示するわ。変な動きをしたら族長に引っ張り出すわよ。」
軽い脅しに尻尾を振って応えた。しかし、ウサギの巣穴は暗く、空気の出入りが少ないためか、乾燥し、歩くたびに埃っぽいにおいが鼻をついた。目が慣れるまでに幾分かかかったが、それでも殆ど見えないに等しい。雌猫は僕達より何回りも大きいため、抵抗しようがないし、くらく、来たことがない細い道なので逃げ出しようもない。
尻尾一本分を歩く姉も、僕と同じことを考えているのか、怖いのか、何が現れるかわからないカラスの羽よりも黒い闇を警戒している。ウサギの巣穴を入り口とした通路は、迷路のように入り組み、この雌猫のにおいと、嗅いだことの無い集団の猫のにおいが染みついていた。
「そこ、左。」
「右に曲がって。」
覚えようとしたけれど、右、左、と彷徨っているうちに方向感覚が麻痺した。
「私が先に行くわ。あなた達は、多分、捕虜となるでしょう。」
捕虜?僕たちは一体、何に捕まったんだと思い、タイガの森の近くで、この雌猫のにおいをかぎ、足跡を見つけてしまったことに後悔した。縄張り内に足跡が無数についていることは当たり前なのに、と今更思う。
雌猫の分岐点が有る尻尾が一つの穴に消えていき、中からざわざわと怯え、警戒するような大勢の猫の唸り声が聞こえ、岩壁にぼわんと響いている。
「ティン、知らないにおいがするぞ。」一匹の雄猫の声が反響して耳に届いた。
「はい。マウンテン族の入り口が見つかってしまったので、口封じのために連れてきました。」
ティン、と呼ばれたあの雌猫が説明する。
あのウサギの巣穴は見つけてはいけないものだったのか。けれど、僕達、あの穴がホウル族につながる道だなんて知らなかった…!
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投稿 by Murre Mon Feb 28, 2022 10:16 pm

第三章 後半
「ある意味、穴掘り族の縄張りを見に来れたわね。」ウォーターポーがそっと耳打ちする。
「けれど、帰れないかもしれないよ。」僕が言い返すと、姉は言葉に詰まった。
「聞こえてるわよ、ウォーターポー、ブレイズポー。判断は、族長が下すわ。入りなさい。」どうやら、ティン達穴掘り族の猫達は恐ろしく耳がいいようだ。
前にいた姉がそろそろと頭を低くして入る。
水色のしっぽが穴の中に消えたのを確認すると、僕もぱさぱさした地面を這うようにかがみ穴堀り族のキャンプに入る。
「ようこそ。」僕の見た限りでは、腹が白っぽい色で赤に近い色の目をした猫が、ぼそっと
こちらを見透かすように見ながら、呟いた。賛成の声が幾つか上がる。
穴掘り族は、親交的だ・・・と思った瞬間、頭が地面に打ちつけられて、目に星が散った。
「族長、こいつらを生かしておくわけには、いきません!ホウル族の秘密を、こんな小さな見習いに暴かれて、くやしくないんですか!」
僕を押さえている、 暗間にまぎれて黒とほとんど見分けがつかない猫が、群青色の目をかっと開いて歯をむき出す。
「族長はそろそろ来るはずだ。まあ、判断は族長下すから、手は出さない方が良いぞ」珍しい三毛の雄猫が、この猫をなだめる。
「私たちは、ウサギの巣穴を見ただけなのに。」ウォーターポーが、小さな体で抜け出そうとするが、 姉を押さえている、体の右側が光を発するように白い雄猫は当たり前のように力が強く、のがれられるはずが無い。右側が白い雄猫にうなられ、姉はおとなしくなった。
「ティンこれはどうゆうこと。マウンテン族ね。」
惑わされそうな黄色い光が雌猫の目から放たれ、体が凍りつく 。
「すみません、オリジナリーリターンライフ。」
「謝れとは言っていない。事情を説明して。」ティンの謝罪には目もくれず、私たちを睨みつけた穴掘りーホウル族の族長は、とてつもなく冷たかった。
「マウンテン族の入り口で、この2匹に見つかったので、捕虜として、族長に裁いていただきたく思いました。」 ティンの鼻は、地面にこすれるくらい低く保たれている。
「優秀な戦士だから、飼い猫の柄に近いあなたを偵察猫として、ただ一匹、認めていたのに。あなたには失望だわ。」
オリジナリーリターンライフはティンを突き放した。
「ねえ、これどうゆうこと?」姉が聞いてきたけれど、答えない。穴掘りの耳がとてつもなく良いのを学んだからだ。案の定、姉を押さえている猫がしっぽで姉の鼻を弾いた。
「いてっ」姉は不貞腐れた。
第一、ウォーターポーが穴掘り族の縄張りを見たいとか言うからこんなになったんだ。
「ダークフロムオウベイパースン、看護部屋に来なさい。ティン、罰としてこのマウンテン族の見習いを捕虜部屋へ連れて行き、監視してなさい。これから処分を下す。」穴掘り族の族長は、さっとしっぽを振って副長を従えた。
ぼくたちを押さえていた猫も足を放し、ティンも族長達と異なる暗い穴へ向かう、枝分かれした尻尾までだらんと垂れている。
「いこう。」姉の頬をしっぽで擦る。
「僕が先に行くよ。」姉は、悲しくうなずいた。
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投稿 by Murre Thu Mar 03, 2022 4:08 pm

第四章 前半
「ティン、私達、どうなるの?」あの広い部屋からいくらか離れた所まで来た時、ウォーターポーがそっと呟いた。この部屋はとてつもなく暗く、少し湿っている。
 「ティン...。」シャム柄の雌猫は背中を丸め、塞ぎ込んでいる。
 「私は、ダメだったのよ...。ホウル族の戦士はもうこりごり。偵察猫なんか、一匹でやってられない。」壁に向かってぶつぶつ悪態をついている。
 「そんなに良くないこと言って大丈夫なの?ほかの仲間に聞こえちゃうよ?」そっと宥めてみる。
「もういいのよ!黙って!」鋭い声がきーんと壁に当たり、反響する。ティンはこちらを薄く見られる格好で蹲り、沈黙がおとずれた。
ウォーターポーが僕にすり寄ってくる。ここは日が当たらず、地下にあるため地上よりいくらか寒い。
お互い何もせずにじっと座っていると、奥からペとペと地面を歩く音とティンに似たなまりの声が微かに聞こえてきた。何を言っているのか気になり、耳を入り口の方へ向けると、ティンが尻尾で二、三度地面を叩いたので、やめた。雌猫は苛立っている。
「あら、ティン、お帰りなさい。今日はどの部族を偵察してきたの?」少しお腹の膨らんでいる雌猫が、お淑やかに話しかけた。ティンは立ち上がり、雌猫と鼻づらを触れ合わせた。
「マウンテン族。」そう言うと、またもとの位置に戻った。
「あら、こんにちは。私はフォールメイプルラッグよ。戦いになるの楽しみね。」
随分と友好的な猫だな、と思った。しかし、なぜ戦いが起こることを喜ぶのだろう?平和が一番じゃないか。
「あの雄の見習い、戦いは嫌だと思ってる。絶対。」
三毛猫の後ろから嫌味な低い声が飛んできた。
「フライイングピジョンシェイプ、そこに泥が落ちてる。」その後ろからも声がした。
 穴掘り族は僕らが想像した以上に数が居る。
 「ティン、それか、フォールメイプルラッグ、あなたたちは何をやっているの?」ティンはもちろん答えず、フォールメイプルラッグはぴくりとひげを動かした。
 「あなたたちには他部族へ知られてはいけない秘密があるでしょう?私達もそれと一緒。やすやすと他部族に漏洩したら、族長に何をされるか!」三毛の雌猫は黄金色の目を可笑しそうに回し、ティンと目配せする。視線をたどると、ティンは僕の目線に気が付き、青い目で睨んできた。
 「ティン、頑張ってね。」フォールメイプルラッグはティンと目を交わすと、僕達にさっと尻尾を振った。あの声が遠ざかっていく。
 再び暗闇に取り残された。
 「ティン。」
 「ん。」姉の声に反応が返ってきた。目はすっかり閉じている。
 「私、戻りたい。」どこまでもわがままな姉だなと思った。
 「あなたたちのような猫を、一度捕らえたことがあるわ。」
 質問とかみ合っていない答えが返ってきた。マウンテン族は何度も穴掘り族のあの穴を見つけているのか。ティンは言っていることが毎回抜けている。
 ティンがいきなり立ち上がり、空気が上に動く。
 「処分が決まった。来い。」
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投稿 by Murre Sat Mar 05, 2022 8:05 pm

第四章 後半
 群青色の目がここの族長に負けないくらい冷酷に光り、体が闇と同化して目が二対、魂のように浮かんでいる。確か、この猫はダークフロム何とかで、僕を抑えていた奴だ。僅かな記憶の破片を詰めた。
 「ダークフロムオゥベイパースン。」ティンが僕達を先に行かせる間、ぼそっと言った。
 あの猫は片耳を動かした。
 また捕虜としてぱさぱさした洞窟通路を歩く。ティンの時より歩調が速い。
 頑張って姉の水色の尻尾を追いかけていると、少し明るく、色々なにおいが絡み合った、天井の高い部屋に出た。看護部屋だろう。そこには、二匹の猫がいた。あの恐ろしい族長とまだ見ていない真っ白い雌猫だ。静かに目を閉じている。
 「マウンテン族、まずお前らからね。」族長の口が開かれ、周りがぴりつく。
 目が回りそうな黄色の瞳が、並ぶ僕と姉を交互に見つめ、多分山があるのであろう方向に目を向ける。
 「まあ、喜びなさい。族長と、そうねーもうすぐ戦士の子達が助けに来てくれるわ。そうしておく。」
僅かに口端を持ち上げ、見下す笑みを投げかけてくる。姉と顔を見合わすと、看護猫がくすっと笑った。
 「ティン。」空気がびりびりと破かれ、ティンの心臓をいつもより速く打たせる。
 「あなたが一番苦しい罰にした。これからも偵察猫を一匹で続けなさい。」
シャム柄の雌猫の瞳孔が一瞬きゅっとなってから、頭を地面にこすりつける。
「わかりました。」尻尾が力なく地面に落ちた。
「ダークフロムオゥベイパースン、クロウリブズインウェストをルナツリーに派遣して。ゼイファイトに、ハイスピードアタッカーとモーニンググローリホウル達を引き連れて戦闘部隊を組むように伝え、あなたも加わりなさい。ランプセイヴ、あなたはフォールメイプルラッグとともにマウンテン族の入り口の近くの溜まり場に必要な物を運びなさい。」
 副長は族長が看護猫に指示を出す間にこの広い部屋を出て行った。ランプセイヴと呼ばれた白猫もさっと駆けて白い点になった。族長はティンに一、二言掛けると看護部屋を出た。ティンは僕達をまた引き連れて通路に出た。
さっき言い渡された刑の重みの程度、軽いのでは、と考えながら歩いていると、ティンが止まった。
ぱっと顔を上げると、淡いしょうが色に見える雌猫が僕らに飛びかかってきた。
「ライトシャイン、やー」
やめてと言おうとしたのだろうティンの言葉が止まった。ライトシャイン(明かりが照らす)と呼ばれたこの猫も、僕達が何故ここにいるのかを理解すると、さっと分岐点に戻った。
だが、遅かった。
「そこにいるのは、ティンね!」どこかで聞いたことのある声がして、ウォーターテイルだと思った。
左の暗がりから現れたのは、姉のウォーターテイル―ではなく、ウォーター族族長のウォーターライフだった。ティンはウォーターライフの触れ合いに応えず、一歩身を引いた。
ウォーターライフはその反応に気づき、間があって僕達が居ることにも気が付いた。
「ウォーター、ライフ。」なぜここにいるの、とは言えなかった。
族長の後ろから腰の毛が長い空色の雄猫も現れた。とっさに状況を判断し、自分が見られたことに焦っている。
「ティン、これは、どういうこと?」ウォーターライフは姉から目を離さない。
「もう、時期が来たの?」裏返りかけた小さな声で、族長は問い掛けるが、ティンは答えない。
「申し訳ございません、ウォーターライフ、スカイブレイク。捕虜が居ることは知らず...。」ライトシャインが何度も頭を下げる。
「俺はまだ話さないぞ。」初めてスカイブレイクと呼ばれた雄が口を開いた。
「そうよね。」まるで夫婦みたいなやり取りをする。
ライトシャインはまだ狼狽えている。
「ブレイズポー、どういうことだと思う?」
「わからないよ!」分からない展開がありすぎて、つい姉に怒鳴ってしまう。姉はうなだれた。
「ごめんよ。ただ、戸惑っちゃって…。」
「ううん、いいの。私もだから。」姉はさっと僕の頬を舐めた。
「ウォーターライフ、今日は戻ろう。」スカイブレイクが静かにささやく。ウォーターライフも頷く。
「スカイブレイク、ゼイファイトを呼んでくるので、この先を右に曲がった部屋で待っていてください。」
空色の雄猫は水色の族長に優しい別れの眼差しを送ると、通路の暗闇に溶け込んだ。
「ライトシャイン、お願い。」ウォーターライフは僕達の方―特にウォーターポー―にさっと目を向けて、ライトシャインに導かれて帰った。
「二匹とも、来なさい。」ティンも歩き出す。
頭になかには、クエスチョンマークが犇めいている。
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投稿 by Murre Mon Mar 07, 2022 4:00 pm

第五章 前半
 また黙っていたら、喉が渇いてきた。穴掘り族の縄張りは、植物が育つのが大変そうなくらい乾燥しているし、口で呼吸していたからだろう。辺りを数回見ても、水はない。
 ティンはまだ引きずっていて、役に立ちそうにない。ブレイズポーは眠っていた。多分、今地上は夜で、ルナクランの縄張りが煌々と光っているだろう。
 段々と具合が悪くなってきた気がする。めまいと頭痛に襲われ、二、三度目の前が暗くなる。目の前のごつごつした岩壁も歪み、渦を巻き、私は誰かの夢を見た。壁には、一匹の猫が映し出される。

 これは夢?それとも、誰かの記憶?
 後者が正答だった。私はウォーターライフの人生を見ていた。今と比べるとずっと幼いウォーターライフはきっと見習いのころだろう。
 「リヴァーサイドポー!」聞いたことの無い声だ。見ると濃い灰色の雌猫で体つきがしなやかであることから戦士猫と予想した。
 「ブルーバードライフ、私、もうすぐ戦士になれるのですか?」ウォーターライフーリヴァーサイドポーと呼ばれていた―は飛び跳ねそうなくらいうきうきしている。こんなお茶目なウォーターライフは初めて見る。そもそも二回しかウォーターライフを目にしていないが。
 やがて日は暮れ、ルナクランの縄張りが細く輝きだした。今日は三日月だ。
 「リヴァーサイドポー、あなたは戦士の掟を理解すべく必死に訓練しましたね。今、輝くルナクランの下、あなたに戦士名を授けたい。リヴァーサイドポー、あなたはどんな時でもウォーター族に身を尽くすことをルナクランに誓いますか。」
 リヴァーサイドポーは間をおいて「誓います。」と冷静に言った。
 「よろしい。あなたは今からリヴァーサイドアネスティ―パースン(川岸の正直者)という名になります。今夜は一匹で寝ずの番をしなさい。」
 「リヴァーサイドアネスティ―パースン、リヴァーサイドアネスティ―パースン!」
 ウォーター族からの歓声に彼女は一礼した。

 ぐるぐると季節が巡り、枯れ葉の季節の景色が映し出された。

 「ブルーバードライフ、目を開けてください!」リヴァーサイドアネスティ―パースンは、泣いていた。
 「あぁ、私の頼りなる副長。猫には、命には、限りがある物なのよ。私はルナクランで狩りをしながら、あなたとウォーター族のことを、月が出ていなくても、見守っているわ。心配しないで。」
 当時のウォーター族族長の脇腹はぱっくりと裂け、血がどくどくと海のように溢れている。
 「リヴァーサイド!」
 「族長は、旅立ちました。」
 「ブルーバードライフ!」水色の雌猫の嗚咽が部屋の中でする唯一の音だ。枯れ葉の季節であるはずなのにリヴァーサイドアネスティ―パースンのお腹はふっくらとしている。
 彼女はその晩、族長の通夜をしていた。月の陰影が、また一つ、増えた。

 「副長を任命したら、ルナツリーへ行ってきます。」新米族長はぎこちない。
 「大丈夫だよ。」通夜を共にしていた看護猫が優しく声をかける。
 「ブルーバードライフの遺体の前で発表しましょう。彼女の魂が私の選んだ者を認めてくださるように。」
 淡い灰色の夜明け、全ての猫が起きていた。
 「スプラッシュヘルプ、あなたを副長に任命します。あなたは亡きブルーバードライフが最も信頼していた。」
 飛ばれた猫は、はっと驚き、注目されて足をそわそわ動かし、胸の毛を舐める。
 「ありがとうございます。」歩み、リヴァーサイドアネスティ―パースンの脇腹に鼻づらを押しつけた。

 時が飛び、ルナツリーを見上げる格好で二匹の猫が座っていた。月はそろそろ高くなり、星々は優しく光を地上へ振り撒く。
 「時が来た。」看護猫のリヴァーサイドが尻尾をぴんと立てて立ち上がった。それにつられて族長も腰を浮かす。しなやかな体で四、五本一気に登り、頂上へ行く前に一息ついた。水色の看護猫も後から登り、太い枝に二匹の水色の雌猫が並ぶ。
 リヴァーサイドはそこでバランスを取りつつ座り、リヴァーサイドアネスティ―パースンはずんずん登る。
 風がさあっと毛を撫で、葉はさわさわと彼女らを歓迎した。
 リヴァーサイドアネスティ―パースンは、一度天に前足をかざすと、楽な姿勢で眠りについた。

 ふっとルナツリーが消え、ちょろちょろと流れる水の音が辺りを取り巻いた。
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投稿 by Murre Wed Mar 09, 2022 7:02 pm

第五章 後半
 「リヴァーサイドライフ。」そっと声をかけた看護猫は、身をこわばらせた。族長は泣きはらした目をして、猫としてはゆっくりと枝を伝って降りてくる。
 「リヴァーサイドライフ?」私の問いかけに、族長は優しく尻尾で口を指した。
 「私はルナクランから、ウォーターライフという名を与えられた。未来の戦士を讃えて。」
 私は首をかしげた。ルナクランの猫達は、亡くなっているから過去の戦士だ。それに、よく見ると族長はさっきと比べてすらりとしている。私が夢でルナクランのお告げに耳を傾けている間、何があったのだろう、という疑問は胸の中に仕舞った。ルナツリーでの出来事は、話してはいけない。
 ウォーターライフと名を改めた雌猫は、きびきびと歩き出し、自分の縄張りと島の間の川を軽々しく渡った。
 毛が僅かな月光に照らされ、輝く淡い水色となって映し出されている。

 ルナツリーに取り残された私は、子猫が鳴いているのを見た。もうウォーターライフとリヴァーサイドの姿はなく、ルナツリーの島は再び静寂と化した。
 しゃらん、と音がして、水色の子猫は一瞬鳴き止んだ。私もつられて音のした方を見ると、今となっては見慣れタ雌猫が、ひょこっと草の間から顔を出した。
 「ティン!」私の声は、彼女の耳には届いていない。だって、これは誰かの記憶だ。
 シャム猫は、さっと子猫を舐めると、子猫の前に体を落ち着けた。水色の子猫はティンにずりずり近寄っていき、お乳を飲み始めた。ティンは産後だった。
 子猫がお腹いっぱいになり、うとうとまどろむと、ティンはその子を咥え上げ、重い体を精一杯動かし始めた。

 月が地平線にそろそろ隠れそうだ。夜明けの空は夜と違ってどんより暗く、月の方には雲がかかりそうだ。
 丘の上は風がよく動き、右からの風だと思ったら、逆方向から吹いてきたりする。気紛れだ。
 ティンはミーミー母を探す子猫をちくちくする草の上に寝かせ、丘の下からマウンテン族のパトロール隊がやってきたことを確かめると、背後の湖に身を沈めた。黒い影は流れに沿ってルナツリー、穴掘り族の縄張りの方へ遠ざかっていった。
 再び置いていかれた子猫をまじまじと見ていると、当時の副長であり、ハンドライフやハッピーパールの同期であったフラッグアンドウィンド(旗と風)という雄猫が近づいてきた。彼は私が生後四か月程の時に戦いで命を落としている。
 ほかに、アイランドスパイダーとビッグスモール、リフレッシュポーが一団に加わっていた。四匹は直ぐにこの子猫を見つけ、この場のリーダーである副長に判断を委ねた。
 彼は水色の子猫を咥え上げ、一匹キャンプへ戻り、他三匹はウォーター族との境界線へ向かった。
 こっそりフラッグアンドウィンドの隣を歩いたら、ウォーター族と、スカイブレイクのようなウェザー族のにおいがして、一瞬身を引いた。直ぐにこの子猫だとわかり、謎に思う。
 なぜ、この子猫はウォーター族とウェザー族のにおいがし、マウンテン族に捨てられたの? 
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投稿 by Murre Fri Mar 11, 2022 6:54 pm

第六章 前半
 「おい、ウォーターポー、ウォーターポー、起きて?」
 姉はひげをぴくぴく動かし、眠っている。悪い夢でも見ているのだろうか。
 今、丁度ホウル族がマウンテン族に僕達の事を報告しに行っているのだろう。月明りに照らし出される仲間の姿がありありと思い浮かぶ。
 「ティン、マウンテン族は本当に戦うと思う?」姉をつつきながら入り口の雌猫に尋ねる。
 「ええ。デンジャラスクロー、あの猫は怒りっぽくていつも爪を研ぎ、戦いが好きだから、必ずこちらを襲う。そうなったら私達は正当防衛に当たるのね…。」ティンはふっと笑った。
 「もうすぐ真夜中ね…。クロウリブズインウェストがマウンテン族にあなたたちがここにいると伝え、ルナツリーで待っていると伝える。ルナツリーでは、ゼイファイト達が待っている。そこで話し合いが行われるうちにデンジャラスクローの逆鱗に触れ、戦いの火蓋が切られる…。」
 「それは、本当に必要なことなの?」ティンは口を閉ざした。
 「おいで。」尻尾で雌猫の隣を叩いていたので、一度眠っているウォーターポーを見て、静かに近づく。動いて、腹が減っていたことにようやく気が付いた。
 「ホウル族はね、ここのすべての部族と、月のルナクラン、全てを支配しようと思い始めたの。全て、すべて、オリジナリーリターンライフのせいだわ…。私はこんなこと望んでいなかった。戦士猫になる為、他の猫より何倍も努力して、身勝手なことしないで、戦士の掟も絶対守ってきたのに。偵察猫に任命されてから、何もかもが変わった。」
 ティンは目に涙を浮かべて、澄んだ青い目でこちらを見つめてくる。僕はティンに近寄り、体を押しつけた。
 「あなたに、話してもいい?悩み、秘密、抱えるのは、もう辛い…。あなたには重荷になるかもしれないけれど、それを押しつけるようだけど…。」
 「もちろん。たとえ敵部族でも、一匹で困っている猫が居たら、助けるのは、戦士として当たり前でしょ?」
 まっすぐ見つめ返すと、ティンは口をぎゅっと結んで頷いた。


区切り悪いのて短めに切りました
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投稿 by Murre Sat Mar 12, 2022 5:46 pm

第六章 中盤
 私は、<二本足>の家で生まれた。母が飼い猫だったのね。父はホウル族の戦士で、戦士の掟を破ってまで母を愛していた。私が幼いころ、族長に殺されちゃったんだけどね…。
 父は私が生まれて一、二週間すると、ホウル族へ連れてきたらしいの。よく覚えていないけど。私はフォールメイプルラッグにゼイファイトとハイスピードアタッカーと一緒に育てられたの。彼女はよそ者の私を、とてもよくしてくれた。
 しかし、全員が私を部族猫として扱っていたわけではないわ。
 族長はもちろんそう。私を飼い猫として見てきたわ。鬱陶し気な目で。族長と関わりが深い副長のダークフロムオゥベイパースンやよそ者大嫌いのクロウリブズインウェストも見習い達に悪印象を植え付けた。
 指導者はレボリューションカーレントブレイクアウト(革命は今に起きる)よ。彼は私を嫌っていたから、私は、他の猫より何倍も訓練して、必死でホウル族に忠誠心を見せようとしたの。
 おかげで、戦士猫にはなれたけれど、ホウル族の誇りである長い戦士名はもらえなかった。
 ん?私の見習い名はティンホウルよ。ホウル族は見習い名にホウルが付くのよ。
 悲しむ私をフォールメイプルラッグ達は慰めてくれたけれど、族長はもっと酷い罰を与えたのよ!
 私を偵察猫という、これまで存在していなかった所属につかせたの。
ホウル族の縄張りは大昔に通っていた川が削って四方八方に張り巡らされた形になったの。
私を偵察猫に任命したのはオリジナリーリターンライフ。彼女は副長のころから全部族を統合し、自分が最高のリーダーになることを望んでいるの。その為に私に全部族の出来事を全て見張らせているの。あなた達の事を知っていたのも、理由はこれ。
偵察猫をやっていると、どうしても全ての秘密が目から耳から入ってくるの。
例えば…まあ、この事実をあなたがどう感じるかはあなた次第だけど…。
あなたの父親は、ゼイファイト。三毛のあの戦士よ…。
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投稿 by Murre Sun Mar 13, 2022 2:50 pm

第六章 後半
 ティンの声が渦を巻いて耳をぐわんと震わせた。
 僕は、マウンテン族と穴掘り族の混血なのか?
 「ティン…?」
 「そう驚くわよね。まあ、聞いて。アイスファーもあなた達のように偶然ウサギの巣穴がホウル族の縄張りだということに気づいてしまったのよ。そこで、ゼイファイトと恋に落ちてしまった。あの子は自分の過ちを恥じ、あなたを引き取る代わりにホウル族の秘密は誰にも明かさず、ゼイファイトと会わないことをルナクランに誓った。」
 ティンは気の毒そうにウォーターポーの方を向いた。
 「ウォーターポー、ウォーターテイルも、ゼイファイトの血が…。」
 口がふさふさした尻尾で塞がれた。
 「あの二匹の運命はあなたと関係ないの。自分の直感を思い出してみなさい。」
 ティンは少し持ち場を離れた。
 じっと、姉だと信じていた水色の猫を見る。それから知っている猫の姿を思い浮かべる。マウンテン族、ホウル族、ウォーター族…。ウォーター族?
 ウォーターライフは、考えてみればウォーターテイル、ウォーターポーにそっくりだ。いや、違う。ウォーターテイル達がウォーターライフにそっくりなんだ。そして、水色の毛は、あの雄猫…スカイブレイクからも受け継いでいたんだ!
 自分の直感が他者の秘密を暴いてしまい、少し後ろめたくなった。また、血のつながりのない同い年の雌猫や美しい戦士猫を姉と思い込み、共に行動してきたことに、違和感を覚えた。マウンテン族の血半分流れる僕はまだしも、ウォーター族とウェザー族の混血であるウォーター姉妹は、何故マウンテン族に?
 詰めたい流れを感じ、頭から絡まった思考を振り落とす。ティンが水を含んだ苔を持って戻ってきた。近づくとティンは囁いた。「ウォーターポーを起こしなさい。」
 「でも、ウォーターポーに出生の秘密を教えないと。」
 「彼女はルナクラン様が夢という手段を使って伝えてくれた。飼い猫出身だからと言って、ルナクラン様がついていない、というわけではないのよ!」
 鋭いうなり声で返してきた。
 「ウォーターポー。」
優しくつつくと、水色の見習いは鼻をひくっと動かし、「水!」といい目を開けた。目にも水がついている。ティンは激しく苔を舐めるウォーターポーの背中をさすりながら見守っていた。
「ブレイズポー、ウォーターポー。私はホウル族を抜け出す。マウンテン族の縄張りに行くから、直ぐに副長に戻ったことを伝え、族長に無意味な争いを止めるように言ってもらいなさい。見習いが言っても、逆鱗に触れるだけよ。そして、ホウル族の秘密は漏らさない。ルナクラン様に誓って。」
 「誓います。」
 僕とウォーターポーはティンに顔を上げていった。雌猫は頷き、苔に乾いた砂をかけた。
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投稿 by Murre Mon Mar 14, 2022 5:25 pm

第七章 前半
 ブレイズポーは急にそっけなくなり、私と尻尾一本分以上距離を置くようになった。
 もしかして、ブレイズポーもあの夢を見たの?
 ルナクランはしびれを切らして私の出生の秘密を見せてくれた。あの丘に捨てられていた水色の子猫は私で、私はウォーターライフとスカイブレイクの部族の境界を越えた猫だった。しかもティンによってマウンテン族に連れてこられた。
 しかし、私はなぜマウンテン族へ?ウォーター族やウェザー族では駄目だったの?
 ティンは乳の香りがしたけど、ティンの子供はどこへ行ったの?ウォーターテイルとは血がつながっているの?
 洞窟を出た瞬間、暗く乾燥した穴掘り族のキャンプ周辺に比べ、はるかに明るい月明りと星の光が瞳孔を刺激し、きゅっと小さくなったのが分かった。
 「ティン、どこに行くの?」鼻づらを触れ合わせながら尋ねる。
 シャム猫は青い目にさっと怯えと不安をよぎらせて、更に強く鼻づらを押してけて来た。
 「オリジナリーリターンライフに見つからないところよ。」
 「マウンテン族に来ない?私、ティンが居るのが当たり前になって…。」
 ティンは嬉しそうに驚いた。ブレイズポーが私の耳を強く弾いてきた。
 「マウンテン族に居たって、必ず見つかる。それに、ハンドライフが許すかどうか…。」ブレイズポーは何故かいきり立っている。
 「ハンドライフなら、許すわよ。かつてのウォーターポーを受け入れたように。フラッグアンドウィンドを見てきたように…。」
 ティンは元副長のフラッグアンドウィンドを挙げ、更に語尾を濁した。そして、私がマウンテン族の純血ではないことをブレイズポーにあっさりとばらした。ブレイズポーは秘密を聞いても表情を変えなかった。
 もしかして、知っていたの…?
 「じゃあね。さあ、早く戻ってブラックストーンに伝えなさい。ハンドライフに、無意味な戦いを終えるように、と…。」
 ティンは背を向け、白い分岐先のある尻尾を一振りした。
 「マウンテン族は、あなたを歓迎する。ルナクラン様が、あなたと、あなたのお子さんの行く道を照らしてくださいますように…。」
 私の言葉にティンははたと足を止め、耳を震わせた。それから、マウンテン族の縄張り内のタイガの森に姿を消した。
 「ウォーターポー、行こう。」
 ブレイズポーはもう歩き出していた。ふさふさの尻尾はだらんと垂れている。
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投稿 by Murre Tue Mar 15, 2022 5:30 pm

第七章 後半
 「ブレイズポー、ウォーターポー!戻ったのね!」
 空き地の真ん中で目を閉じていたグリーンハートが大きな緑色の目をこちらへ向け、私達のにおいを嗅ぐ。少し驚いたように見えたのは、見間違いだろうか?
 ブラックストーンが出入り口付近から出てきたが、私の指導者の姿は見えない。
 「ブラックストーン、ハンドライフたちに、戦いを止めるよう言ってください。」
 「自ら捕らわれておいて、何を偉そうに!」
 副長は鋭く唸り、弟子を頭ごなしに????りつけた。ブレイズポーの体は委縮する。
「ブラックストーン、話や説教は後でゆっくりしてください。まずは、ルナツリーの負傷者を減らすことです。」
 グリーンハートは賢く諭した。副長もさすがに看護猫には歯向かわず、残っていたオークウィングと一緒にルナツリーへ向かった。黒い毛が月と星というスポットライトに当たり、銀色に輝いている。
 二本の尻尾が消えた出入口の葉の揺れが収まると、看護猫の瞳が私達の脳内を透かし見ようとしているように瞳孔が広がった。
 「看護部屋においで。アイランドスパイダー、キャンプを頼むわ。」
 キャンプには、アイランドスパイダーしか戦士はおらず、ラットペルトは子を連れて保育部屋にこもり、長老は部屋の隙間にせっせと葉を詰めていた。アイランドスパイダーの弟子のシーサイドポーは指導者についてキャンプの外に耳をそばだて、クレーターポーは出入り口付近で座っていた。姉弟そろってキャンプの護衛のようだ。全ての猫やキャンプ内の葉の一枚一枚までもが月光により銀色に煌めいている。
 キャンプの静寂と正反対の看護部屋では、毛足の長いシャイニングスノウがせっせと薬草の予備を確認していた。
 「ウォーターポー、ブレイズポー!無事だったのね!怪我は…無さそう。」
 グリーンハートは弟子の見解に頷き、私達を苔の上に座らせた。苔は乾きふわふわで、久しぶりの感触にキャンプに、縄張りに、戻れたことがようやく実感できた。さらに、周りは穴掘り族の洞窟内と異なり、湿っている。グリーンハートは不思議に目をきらっと光らせた。
 ブレイズポーがちらっと目配せしてきたから、頷き、ティンとの約束を守りながら穴掘り族に捕らわれていたことを話した。灰色の看護猫は身動き一つせず聞いていた。ブレイズポーも耳やひげを動かすだけで何も口出ししなかった。
 「ハンドライフが戻ってきたら、もう一度自分達の口から話しなさい。公正な罰を受けるべきよ。」
 賢い看護猫は私達の状況を理解した。
 「グリーンハート!」
 静けさを破ったのはシャイニングスノウだった。白い雌猫は慌てて看護部屋の奥へ駆け込んだ。
 「フォレストポーが、リフレッシュポーが!」
 見習い看護猫は右腕にぐるぐるとクモの巣を巻き、空き地へ再び出た。グリーンハートもクモの巣を持ち、マリーゴールドも持って大急ぎで走っていった。
 気になってブレイズポーと一緒に出る。
 むっとする血のにおいが風に運ばれここまで届いた。キャンプは赤黒い生々しい血があちこちに飛び、子猫や長老の怯えたにおいが立ち込める。
 戦士になれるはずだったフォレストポーとリフレッシュポーがハンドライフ、デンジャラスクロー、ブラックストーン、オークウィングに運ばれてきた。
 もしかして、この戦いで犠牲者が出てしまったの?


お詫び…(半分言い訳)
妹が、鈴=ティン、と言っていたので、そのまま利用したら、後日ティン=錫だと判明したしました。弟、妹と共同制作(文章は全てマァーラー)しておりますので、このようなことがしばしば起こりえます。そこのところは、温かい目でご覧ください。m(_ _)m
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