サンダー族の見習い策士が一族を救う話
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サンダー族の見習い策士が一族を救う話
あらすじ
時は暗黒の森との戦いを終えて、四部族が活力を取り戻し始めた頃。
サンダー族に突然、シャドウ族とウィンド族の連合が攻めてくる。
窮地に立たされたサンダー族。その時、取るに足りない存在と思われていた見習いがある提案をする。
その提案は負傷者を出さずにシャドウ族とウィンド族の連合を打ち破るという戦略だった……。
果たしてその戦略は何だったのか。
そしてサンダー族を窮地から救うことはできるのかーー?
短編小説になります
タイトルは考え中なので、今ほかのサイトに投稿してるラノベモドキっぽいタイトルにしてます
ダサいから変えると思うけど
よろしくお願いします
時は暗黒の森との戦いを終えて、四部族が活力を取り戻し始めた頃。
サンダー族に突然、シャドウ族とウィンド族の連合が攻めてくる。
窮地に立たされたサンダー族。その時、取るに足りない存在と思われていた見習いがある提案をする。
その提案は負傷者を出さずにシャドウ族とウィンド族の連合を打ち破るという戦略だった……。
果たしてその戦略は何だったのか。
そしてサンダー族を窮地から救うことはできるのかーー?
短編小説になります
タイトルは考え中なので、今ほかのサイトに投稿してるラノベモドキっぽいタイトルにしてます
ダサいから変えると思うけど
よろしくお願いします
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Re: サンダー族の見習い策士が一族を救う話
登場キャラ
サンダー族
族長:ブランブルスタ―
副長:スクワーレルフライト
看護猫:ジェイフェザー
リーフプール
戦士:ブラクンファー
アイヴィープール 弟子はスノーポー
クラウドテイル
以下省略
見習い:グレイシャルポー
****************
シャドウ族
族長:ブラックスター
副長:ロウワンクロー
****************
ウィンド族
族長:ワンスター
副長:ヘアスプリング
サンダー族
族長:ブランブルスタ―
副長:スクワーレルフライト
看護猫:ジェイフェザー
リーフプール
戦士:ブラクンファー
アイヴィープール 弟子はスノーポー
クラウドテイル
以下省略
見習い:グレイシャルポー
****************
シャドウ族
族長:ブラックスター
副長:ロウワンクロー
****************
ウィンド族
族長:ワンスター
副長:ヘアスプリング
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プロローグ
雪に覆われた森は無音の静寂に包まれていた。
木の枝の上の溶けかけの雪からしずくがしたたり落ち、地面を覆う雪に音もなく吸い込まれる。
雪が全ての音を吸収し、支配する世界。
木の根元に微動だにせず座っている銀色の猫も、この空間の小物にすぎない。
時の流れすら止めてしまったかのような白い森が、他の色に染まることなどありえないように思える。
不意に銀色の猫が立ち上がった。雪の森に時が再び流れ出した。
まだ子猫かと思われるほど小さな体だが、理知的な光をたたえている氷のような薄青色の目は彼が相当な切れ者であることを語っていた。
「族長!」
平穏は長く続かない。銀色の猫は常にそう思っていた。
先程、彼に向かって呼びかけた黒猫が木々の間を駆けてくる。
「アナグマがいます」
黒猫は焦った様子で報告した。
キャンプから近いこの場所を、アナグマにうろつかれるのは危険だ。
旅長と呼ばれた銀色の小柄な猫は、無言で一つうなずくと黒猫が案内する場所へと急いだ。
森の中の小さな空き地で一頭のアナグマを二頭の猫が遠くから囲うように 鑑視していた。
銀色の猫はすばやく考えを巡らせた。
アナグマはもともと下向きの姿勢なので喉を狙いにくい。
普段なら巣穴にこもっている時期なので動きは鈍っているかもしれないが、だからと言ってやみくもに攻撃すれば負傷者が増えるだけだ。
「フライトスラッシュ、このあたりの小枝をくわえて そこの木に登り、上からアナグマの上に落とせ」
族長はすばやく黒猫に命令を下した。
黒猫は小枝をくわえてするすると木の上に登り、ちょうどアナグマの真上あたりから小枝を落とした。
アナグマが頭上から落ちてきたものに気をとられ、頭を上げるわずかな瞬間、無防備な喉があらわになる。
銀色の猫は身をかがめた姿勢のまま、蛇のように素早くアナグマの喉もと目がけて襲い掛かった。
血しぶきが木々の間から見える薄青色の空を赤く染め、アナグマの苦悶の叫びが森を切り裂く。
小柄な銀色の猫が身をひいたとき、アナグマは先ほどまで森を統治していた静寂の一部となっていた。
最終編集者 आकाश प्रकाश [ Wed Dec 27, 2023 4:09 pm ], 編集回数 2 回
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第一部 第一章
「戦士になることだけが、一族に奉仕する方法ではないわ」
保育部屋の前で一匹で座っていたグレイシャルキットのもとに、リーププールがやって来て言った。
「つまり看護猫に なれと?」
グレイシャルキットはリーフプールを見上げた。
「強要しているわけではないの。でも、もうすぐ命名式でしょう?それまでに考えておいてほしくて」
そういうとリーブプールはグレイシャルキッ トに背を向け、看護部屋の入り口に姿を消した。
調合したばかりの新鮮な薬草の香りがリーフプールの後を追いかけて行く。
看護猫になるつもりはない。
グレイシャルキットは、リーフプールが消えた看護部屋の入り口をまばたきもせず見つめていたが、やがて、突然何かを思いたったかのように立ち上がり 保育部屋に戻った。
グレイシャルキットは生まれつき、体が小さかった。もうすぐ生後6ヶ月で、見習いになる年頃だが、まだ生後4ヶ月の子
猫として変わらない大きさだった 。
力も弱く年下の子猫と組み合ってもすぐにに押さえつけられてしまう。
だからリーフプールは看護猫になることをすすめてきたのだ。
だが、グレイシャルキットは力が弱くとも自分が無能だとは思っていなかった。
取っ組み合いでいつも負けるからといって自信を失ったこともなかった。
「敵を力で押さえつけることが全てではないってことだ」
グレイシャルキットは小さな声で呟いた。
その声は誰もいない部屋の空気に氷を投げ入れたように冷たく響いた。
明日はおそらく命名式を執り行うだろう。
グレイシャルキットの口もとがかすかにゆるんだ。
保育部屋の前で一匹で座っていたグレイシャルキットのもとに、リーププールがやって来て言った。
「つまり看護猫に なれと?」
グレイシャルキットはリーフプールを見上げた。
「強要しているわけではないの。でも、もうすぐ命名式でしょう?それまでに考えておいてほしくて」
そういうとリーブプールはグレイシャルキッ トに背を向け、看護部屋の入り口に姿を消した。
調合したばかりの新鮮な薬草の香りがリーフプールの後を追いかけて行く。
看護猫になるつもりはない。
グレイシャルキットは、リーフプールが消えた看護部屋の入り口をまばたきもせず見つめていたが、やがて、突然何かを思いたったかのように立ち上がり 保育部屋に戻った。
グレイシャルキットは生まれつき、体が小さかった。もうすぐ生後6ヶ月で、見習いになる年頃だが、まだ生後4ヶ月の子
猫として変わらない大きさだった 。
力も弱く年下の子猫と組み合ってもすぐにに押さえつけられてしまう。
だからリーフプールは看護猫になることをすすめてきたのだ。
だが、グレイシャルキットは力が弱くとも自分が無能だとは思っていなかった。
取っ組み合いでいつも負けるからといって自信を失ったこともなかった。
「敵を力で押さえつけることが全てではないってことだ」
グレイシャルキットは小さな声で呟いた。
その声は誰もいない部屋の空気に氷を投げ入れたように冷たく響いた。
明日はおそらく命名式を執り行うだろう。
グレイシャルキットの口もとがかすかにゆるんだ。
最終編集者 आकाश प्रकाश [ Sat Jan 06, 2024 6:41 pm ], 編集回数 1 回
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第ニ章
「グレイシャルキット、今の瞬間よりお前はグレイシャルポーという名前になる 」
ブランブルスターが宣言した。
「指導者はブラクンファーだ」
あの後、リーフプールが再び看護猫になることを勧めてくることはなかった。
ブランブルスターからそのような話を持ち出されたこともない。
もう一匹の看護猫、ジェイフェザーが考えたとも思えない。
それどころか、 ジェイフェザーはリーフプールの提案に肯定すらしないだろう。
ただでさえ、看護部屋を出入りする猫が増えることを嫌っているというのに。
つまり、看護猫が向いているとかいう話はリーフプールが勝手に考えたに違いない。
ブラクンファーがグレイシャルボーの前に立ち、身をかがめて小柄な見習いと鼻を触れ合わせた。
「普通なら、このあとなわばりを見てまわるところだが、今日、見習いになる猫はお前しかいない。だからといって私と二人で行動するのはシャドウ族 やウインド族との関係が緊張している今は危険だ。だからクラウドテイルの率いるパトロール隊といっしょにウィンド族との境界線のあたりまで見てまわろうと思う」
ブラクンファーがそう説明した。
「分かりました」
グレイシャルボーは短く答えた。
「パトロールに行く準備は整いましたか?」
アイヴィープールがやって来て聞いた。
ブラクンファーがうなずく。
クラウドテイルは、既にキャンプロ入リロに立って待っていた。
「お前、ちゃんとついて来れるのか?」
アイヴィープールの弟子であるスノーポーがグレイシャルポーを上から見下ろしながら言った。
ついていけるから何も問題ないと虚勢を張るつもりはなかった。
虚勢を張ったところで、何も良いことは起こらないからだ。
「キャンプの外に出たことはないから、そんなことは分からない」
グレイシャルポーはスノーポーを見上げ、冷たく言った。
「ふうん」
「スノーポー、はやくして」
スノーポーはアイヴィープールに呼ばれて駆けて行った。
グレイシャルポーもあとに続く。
スカイオークのあたりまで来たとき、スノーポーが声をあげた。
「獲物がいます!」
「逃げていく獲物、がな」
クラウドテイルが不機嫌に言った。
それでもスノーポーは獲物が逃げていった方向に走っていった。
しかしグレイシャルポーは他のことに気をとられていた。
どこからかぎ慣れない猫のにおいがしたのだ。
ウィンド族との境界線の近くまで来ているため、ウィンド族の戦士だろうか。
微かにだが、近くで気配も感じられる
グレイシャルポーは身を低くしたまま 下生えの間を駆け抜け境界線の小川が見えるところまで来た。
今までキャンプから出たことはなかったが、 小川のこちら側がサンダー族のなわばりだと聞いている。
だが、小川からだいぶサンダー族のなわばりに入ったところに見知らぬ猫かいた。
口にはツグミをくわえている。
「不法侵入を犯しているようですね」
グレイシャルポーはそう言いながらウィンド 族の猫の前に姿を現した。
ブランブルスターが宣言した。
「指導者はブラクンファーだ」
あの後、リーフプールが再び看護猫になることを勧めてくることはなかった。
ブランブルスターからそのような話を持ち出されたこともない。
もう一匹の看護猫、ジェイフェザーが考えたとも思えない。
それどころか、 ジェイフェザーはリーフプールの提案に肯定すらしないだろう。
ただでさえ、看護部屋を出入りする猫が増えることを嫌っているというのに。
つまり、看護猫が向いているとかいう話はリーフプールが勝手に考えたに違いない。
ブラクンファーがグレイシャルボーの前に立ち、身をかがめて小柄な見習いと鼻を触れ合わせた。
「普通なら、このあとなわばりを見てまわるところだが、今日、見習いになる猫はお前しかいない。だからといって私と二人で行動するのはシャドウ族 やウインド族との関係が緊張している今は危険だ。だからクラウドテイルの率いるパトロール隊といっしょにウィンド族との境界線のあたりまで見てまわろうと思う」
ブラクンファーがそう説明した。
「分かりました」
グレイシャルボーは短く答えた。
「パトロールに行く準備は整いましたか?」
アイヴィープールがやって来て聞いた。
ブラクンファーがうなずく。
クラウドテイルは、既にキャンプロ入リロに立って待っていた。
「お前、ちゃんとついて来れるのか?」
アイヴィープールの弟子であるスノーポーがグレイシャルポーを上から見下ろしながら言った。
ついていけるから何も問題ないと虚勢を張るつもりはなかった。
虚勢を張ったところで、何も良いことは起こらないからだ。
「キャンプの外に出たことはないから、そんなことは分からない」
グレイシャルポーはスノーポーを見上げ、冷たく言った。
「ふうん」
「スノーポー、はやくして」
スノーポーはアイヴィープールに呼ばれて駆けて行った。
グレイシャルポーもあとに続く。
スカイオークのあたりまで来たとき、スノーポーが声をあげた。
「獲物がいます!」
「逃げていく獲物、がな」
クラウドテイルが不機嫌に言った。
それでもスノーポーは獲物が逃げていった方向に走っていった。
しかしグレイシャルポーは他のことに気をとられていた。
どこからかぎ慣れない猫のにおいがしたのだ。
ウィンド族との境界線の近くまで来ているため、ウィンド族の戦士だろうか。
微かにだが、近くで気配も感じられる
グレイシャルポーは身を低くしたまま 下生えの間を駆け抜け境界線の小川が見えるところまで来た。
今までキャンプから出たことはなかったが、 小川のこちら側がサンダー族のなわばりだと聞いている。
だが、小川からだいぶサンダー族のなわばりに入ったところに見知らぬ猫かいた。
口にはツグミをくわえている。
「不法侵入を犯しているようですね」
グレイシャルポーはそう言いながらウィンド 族の猫の前に姿を現した。
最終編集者 आकाश प्रकाश [ Thu Jan 04, 2024 6:12 pm ], 編集回数 1 回
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第三章
見知らぬ、おそらくウィンド族の猫がぎょっとしたように目を見開いた。
体の大きさから考えて戦士ではない。
だがグレイシャルポーが見上げなければならないほど相手は彼にとって大きかった。
「お前こそ、子猫のくせに勝手にキャンプを抜け出して何をしているんだ。ここはウィンド族のなわばりだぞ」
ウィンド族の見習いは相手が自分よりかなり小さな子猫だと言うことに気づき、自信を取り戻すとはったりを言った。
「仔猫に見えるだろうが、僕は見習いだし、小川のこちら側がサンダー 族のなわばりだということも教わっている」
グレイシャルポーが答えた。
「もしそうだとして、ここがサンダー族のなわばりだとして、おれのことをどうする気だ?もちろんお前には何もできないだろう。そんなに小さいのではな。だから黙ってキャンプに戻れ」
見習い は傲慢に言った。
「他部族のなわばりに入ったことを白状して逃げるのか。僕を攻撃する勇気もないように思われる。まぁ、ここはお前のなわばりではないから、逃げ腰になるのは当然か。そうだよな。泥棒子猫」
グレイシャルポーは相手が我を忘れて襲いかかってくることを狙ってわざと煽った。
「お、お前こそチビ子猫のくせに」
ウインド族の見習いは怒りの滲んだ甲高い声を上げ、グレイシャルポーにとびかかった。
グレイシャルポーはすばやく身をひるがえすとすぐそばの木の根が半円をかくよう に曲がって地面との空間ができているところに滑り込んだ。
小さな体のグレイシャルポーは木の根と地面とのすき間を何の苦も無くくぐり抜けたが、後から追ってきたウィンド族の見習いはそうはいかなかった。
グレイシャルポーと同じようにくぐり抜けようとしたとき、一瞬、腰が木の根につかえた。
その瞬間をグレイシャルポーは見逃さなかった。
見習いの上に馬乗りになり、その首筋にかみついて動きを封じる。
ウインド族の見習いはじたばたもがいたが、木の根の下からも、グレイシャルポーの下からも抜け出すことはできなかった。
「何するんだ。離せ」
「何を言っているんだ。何をするってお前を捕えるためにこうしたんだ。離すわけないじゃないか」
「もうすぐおれの仲間がくるぞ」
「それはちょうどいい。わざわざ呼びに行く手間が省ける」
「呼びにいくってお前、どうするつもりだったんだ?」
グレイシャルポーは答えなかった。 小川を渡ってウィンド族の戦士がこちらにやってくるのが木々の隙間から見えたのだ。
体の大きさから考えて戦士ではない。
だがグレイシャルポーが見上げなければならないほど相手は彼にとって大きかった。
「お前こそ、子猫のくせに勝手にキャンプを抜け出して何をしているんだ。ここはウィンド族のなわばりだぞ」
ウィンド族の見習いは相手が自分よりかなり小さな子猫だと言うことに気づき、自信を取り戻すとはったりを言った。
「仔猫に見えるだろうが、僕は見習いだし、小川のこちら側がサンダー 族のなわばりだということも教わっている」
グレイシャルポーが答えた。
「もしそうだとして、ここがサンダー族のなわばりだとして、おれのことをどうする気だ?もちろんお前には何もできないだろう。そんなに小さいのではな。だから黙ってキャンプに戻れ」
見習い は傲慢に言った。
「他部族のなわばりに入ったことを白状して逃げるのか。僕を攻撃する勇気もないように思われる。まぁ、ここはお前のなわばりではないから、逃げ腰になるのは当然か。そうだよな。泥棒子猫」
グレイシャルポーは相手が我を忘れて襲いかかってくることを狙ってわざと煽った。
「お、お前こそチビ子猫のくせに」
ウインド族の見習いは怒りの滲んだ甲高い声を上げ、グレイシャルポーにとびかかった。
グレイシャルポーはすばやく身をひるがえすとすぐそばの木の根が半円をかくよう に曲がって地面との空間ができているところに滑り込んだ。
小さな体のグレイシャルポーは木の根と地面とのすき間を何の苦も無くくぐり抜けたが、後から追ってきたウィンド族の見習いはそうはいかなかった。
グレイシャルポーと同じようにくぐり抜けようとしたとき、一瞬、腰が木の根につかえた。
その瞬間をグレイシャルポーは見逃さなかった。
見習いの上に馬乗りになり、その首筋にかみついて動きを封じる。
ウインド族の見習いはじたばたもがいたが、木の根の下からも、グレイシャルポーの下からも抜け出すことはできなかった。
「何するんだ。離せ」
「何を言っているんだ。何をするってお前を捕えるためにこうしたんだ。離すわけないじゃないか」
「もうすぐおれの仲間がくるぞ」
「それはちょうどいい。わざわざ呼びに行く手間が省ける」
「呼びにいくってお前、どうするつもりだったんだ?」
グレイシャルポーは答えなかった。 小川を渡ってウィンド族の戦士がこちらにやってくるのが木々の隙間から見えたのだ。
最終編集者 आकाश प्रकाश [ Thu Jan 04, 2024 6:12 pm ], 編集回数 1 回
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第四章
グレイシャルポーはウィンド族の見習いの首筋を咥えたままドクドクと脈打つ喉元にかぎ爪を当てた。
「動くな。動いたらお前の喉をかき切る。僕は本気だ」
グレイシャルポーは冷厳な声で鋭く言った。
見習いはごくりと喉を鳴らしただけだった。
「何をしている!」
ウィンド族の戦士の一頭が叫んだ。
「最近のウィンド族の戦士には目から入った情報の処理能力がないのかな」
グレイシャルポーはぼそっとつぶやいた。
「フートポーを離しなさい!」
黒い雌猫がどなり、グレイシャルポー に飛びかかった。
「動くな!動いたらこいつの候をかき切る」
グレイシャルポーが声を張り上げ、少しかぎ爪を突き立てた。
ホートポーの小さな悲鳴に黒い戦士猫が動きを止めた。
「動くな」
グレイシャルポーは操り返し、かぎ爪を緩めた。
黒い戦士の憎悪に満ちた視線がグレイシャルポーの体に突き刺さる。
ウィンド族の黒猫は、グレイシャルポーがホートポーの息の根を止める前に飛びかかって引き離せるかどうか測りかねているようだった。
だが、黒猫からグレイシャルポーまでは一跳び以上の距離があった。
黒猫はそれ以上は動こうとせず、ただ腹立たしげにうなっただけだった。
そのときサンダー族のパトロール隊が下生えの向こうから飛び出してきた。
「グレイシャルポー」
ブラクンファーはホートポーを押えつけている小さな銀色の子猫を見て目を丸くした。
「サンダー族のなわばりに侵入してきたウインド族のパトロール隊を捕えました」
グレイシャルポーは金茶色の指導者を見すえて言った。
「お前が......ウインド族のパトロール隊 を丸ごと......」
「それよりもお前たちはなぜ、勝手にサンダー族のなわばりに入ったのか、説明 してもらおうか」
クラウドテイルがブラクンファーのわきから進み出てきて言った。
「ホードポーを助けるためよ。彼を離すようにその子猫に言って」
黒猫がどなった。
クラウドテイルは一瞬、考え込むようにクレイシャルボーを見た。
「そいつ、その見習いはサンダー族のなわばりで何をしていたんだ?」
クラウドテイルがグレイシャルポーに聞いた。
「動くな。動いたらお前の喉をかき切る。僕は本気だ」
グレイシャルポーは冷厳な声で鋭く言った。
見習いはごくりと喉を鳴らしただけだった。
「何をしている!」
ウィンド族の戦士の一頭が叫んだ。
「最近のウィンド族の戦士には目から入った情報の処理能力がないのかな」
グレイシャルポーはぼそっとつぶやいた。
「フートポーを離しなさい!」
黒い雌猫がどなり、グレイシャルポー に飛びかかった。
「動くな!動いたらこいつの候をかき切る」
グレイシャルポーが声を張り上げ、少しかぎ爪を突き立てた。
ホートポーの小さな悲鳴に黒い戦士猫が動きを止めた。
「動くな」
グレイシャルポーは操り返し、かぎ爪を緩めた。
黒い戦士の憎悪に満ちた視線がグレイシャルポーの体に突き刺さる。
ウィンド族の黒猫は、グレイシャルポーがホートポーの息の根を止める前に飛びかかって引き離せるかどうか測りかねているようだった。
だが、黒猫からグレイシャルポーまでは一跳び以上の距離があった。
黒猫はそれ以上は動こうとせず、ただ腹立たしげにうなっただけだった。
そのときサンダー族のパトロール隊が下生えの向こうから飛び出してきた。
「グレイシャルポー」
ブラクンファーはホートポーを押えつけている小さな銀色の子猫を見て目を丸くした。
「サンダー族のなわばりに侵入してきたウインド族のパトロール隊を捕えました」
グレイシャルポーは金茶色の指導者を見すえて言った。
「お前が......ウインド族のパトロール隊 を丸ごと......」
「それよりもお前たちはなぜ、勝手にサンダー族のなわばりに入ったのか、説明 してもらおうか」
クラウドテイルがブラクンファーのわきから進み出てきて言った。
「ホードポーを助けるためよ。彼を離すようにその子猫に言って」
黒猫がどなった。
クラウドテイルは一瞬、考え込むようにクレイシャルボーを見た。
「そいつ、その見習いはサンダー族のなわばりで何をしていたんだ?」
クラウドテイルがグレイシャルポーに聞いた。
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第五章
「ここで、ツグミをくわえているのを 見つけたので、捕えました。」
「ちがう!そのツグミはこの上に乗っかってる保育部屋から出てきたばかりの子猫が捕まえたやつをぼくが盗んだみたいに言っているだけだ!」
ホートポーがすかさず抗議した。
「お前の言っていることは矛盾しているよ」
グレイシャルポーは言った。
「今、僕のことを保育部屋から出てきたばかりの子猫と言ったよな。でも、狩りも教わったことのない子猫がツグミみたいにすばやくて空を飛ぶ鳥を捕まえられるわけないじゃないか」
「だからそれは......」
「だからそれは僕のことを過大評価してくれているんだと受けとっておくよ。どうもありがとう。僕は自分が狩りをしたこともないのにツグミを捕えられ るような優秀な猫に見られるとは思ってもいなかったよ」
「ぼくはただうっかり境界線を越えてしまっただけだ」
ホートポーはツグミの件については否定することも白状することもなく話を変えた。
「うっかりってどころじゃないくらいサンダー族のなわばりに入りこんでいると思うけど」
グレイシャルポーはちらりと向こうの方に見える小川を見た。
「いったい何回"うっかり"してここまで入ってきたんだ?」
「とにかく、お前がサンダー族のなわばりに入ってきたことは事実だろう」
クラウドテイルがホートポーの言い訳とそれに皮肉なほど真摯に答えるグレイシャルポーとの会話に終止符を打った。
それから口の端をゆがめてつけ加える 。
「獲物を盗んだのもな」
「どんな理由があるにしろはやくサンダー族のなわばりから出ていって。そして 二度と入ってこないようにおたくの見習いに言い聞かせておいて」
アイヴィープールが言った。
「無傷でいられることを幸運に思っておいた方がいい」
とブラクンファー 。
「グレイシャルポー、ウインド族の見習いを離してやれ」
ブラクンファーがグレイシャルポーのそばに来て言った。
グレイシャルポーが離すとホートポーは、うなって毛をふくらませ、グレイシャルボー に飛びかかろうとしたが、ブラクンファー が割って入った。
「仲間のところへ戻れ」
「次に会ったらただじゃおかないから覚悟しておけ」
ホートポーは捨て台詞を吐き、仲間のところへ戻った。
「ただじゃおかれない立場なのは君だよ」
しかし、ホートポーが戻ってもウィンド族のパトロール隊はその場を動かなかった。
「このまま退くことなんてできないわ」
黒猫がこちらをにらみつけて言った。
「やるっていうのか。いつでも相手をしてやるぜ」
クラウドテイルが毛を逆立てて曇になった。
「ナイトクラウド、ここはサンダー族のなわばりだ。一旦戻ろう。」
ウィンド族のもう一匹の戦士がナイトクラウドと呼ばれた黒いメス猫を説得した。
それでもナイトクラウドは退こうとしない。
クラウドテイルがかぎ爪を出した。 地面に傷が刻みこまれる。
「おーい、何のさわぎだ」
後方からサンダー族の狩猟部隊が飛び出してきた。
狩猟部隊を率いてきたライオンブレイズがウィンド族の戦士の姿を見つけ、 ぐっと目を細めた。
グレイシャルポーは仰ぎ見るほど大柄な黄金色の戦士を見上げた。
流石に勝ち目がないと思ったのか、ナイトクラウドは最後に一度、サンダー族の戦士をにらみつけると仲間に合図をして彼らのなわばりに戻って いった。
「逃がしていいんですか?」
ライオンブレイズが聞いた。
「グレイシャルポーが散々な目に合わせたからもう放っておけばいい」
ブラクンファーが答えた。
「えっこいつがですか?」
ライオンブレイズが驚いたようにグレイシャルポーを見下ろした。
「かぎ爪と歯でというよりかその口で」
とクラウドテイル
「はぁ......」
「さて、彼らがちゃんとなわばりから出ていったか確認しようか」
ブラクンファーがそう言ってグレイシャルポーの方を向いた。
振り向きざま、ブラクンファーの瞳が木々の間から差し込む光を反射して黄金色に光った。
グレイシャルポーはブラクンファーの瞳の奥で踊っている光を見つめながら頷いた。
第一部 [完]
「ちがう!そのツグミはこの上に乗っかってる保育部屋から出てきたばかりの子猫が捕まえたやつをぼくが盗んだみたいに言っているだけだ!」
ホートポーがすかさず抗議した。
「お前の言っていることは矛盾しているよ」
グレイシャルポーは言った。
「今、僕のことを保育部屋から出てきたばかりの子猫と言ったよな。でも、狩りも教わったことのない子猫がツグミみたいにすばやくて空を飛ぶ鳥を捕まえられるわけないじゃないか」
「だからそれは......」
「だからそれは僕のことを過大評価してくれているんだと受けとっておくよ。どうもありがとう。僕は自分が狩りをしたこともないのにツグミを捕えられ るような優秀な猫に見られるとは思ってもいなかったよ」
「ぼくはただうっかり境界線を越えてしまっただけだ」
ホートポーはツグミの件については否定することも白状することもなく話を変えた。
「うっかりってどころじゃないくらいサンダー族のなわばりに入りこんでいると思うけど」
グレイシャルポーはちらりと向こうの方に見える小川を見た。
「いったい何回"うっかり"してここまで入ってきたんだ?」
「とにかく、お前がサンダー族のなわばりに入ってきたことは事実だろう」
クラウドテイルがホートポーの言い訳とそれに皮肉なほど真摯に答えるグレイシャルポーとの会話に終止符を打った。
それから口の端をゆがめてつけ加える 。
「獲物を盗んだのもな」
「どんな理由があるにしろはやくサンダー族のなわばりから出ていって。そして 二度と入ってこないようにおたくの見習いに言い聞かせておいて」
アイヴィープールが言った。
「無傷でいられることを幸運に思っておいた方がいい」
とブラクンファー 。
「グレイシャルポー、ウインド族の見習いを離してやれ」
ブラクンファーがグレイシャルポーのそばに来て言った。
グレイシャルポーが離すとホートポーは、うなって毛をふくらませ、グレイシャルボー に飛びかかろうとしたが、ブラクンファー が割って入った。
「仲間のところへ戻れ」
「次に会ったらただじゃおかないから覚悟しておけ」
ホートポーは捨て台詞を吐き、仲間のところへ戻った。
「ただじゃおかれない立場なのは君だよ」
しかし、ホートポーが戻ってもウィンド族のパトロール隊はその場を動かなかった。
「このまま退くことなんてできないわ」
黒猫がこちらをにらみつけて言った。
「やるっていうのか。いつでも相手をしてやるぜ」
クラウドテイルが毛を逆立てて曇になった。
「ナイトクラウド、ここはサンダー族のなわばりだ。一旦戻ろう。」
ウィンド族のもう一匹の戦士がナイトクラウドと呼ばれた黒いメス猫を説得した。
それでもナイトクラウドは退こうとしない。
クラウドテイルがかぎ爪を出した。 地面に傷が刻みこまれる。
「おーい、何のさわぎだ」
後方からサンダー族の狩猟部隊が飛び出してきた。
狩猟部隊を率いてきたライオンブレイズがウィンド族の戦士の姿を見つけ、 ぐっと目を細めた。
グレイシャルポーは仰ぎ見るほど大柄な黄金色の戦士を見上げた。
流石に勝ち目がないと思ったのか、ナイトクラウドは最後に一度、サンダー族の戦士をにらみつけると仲間に合図をして彼らのなわばりに戻って いった。
「逃がしていいんですか?」
ライオンブレイズが聞いた。
「グレイシャルポーが散々な目に合わせたからもう放っておけばいい」
ブラクンファーが答えた。
「えっこいつがですか?」
ライオンブレイズが驚いたようにグレイシャルポーを見下ろした。
「かぎ爪と歯でというよりかその口で」
とクラウドテイル
「はぁ......」
「さて、彼らがちゃんとなわばりから出ていったか確認しようか」
ブラクンファーがそう言ってグレイシャルポーの方を向いた。
振り向きざま、ブラクンファーの瞳が木々の間から差し込む光を反射して黄金色に光った。
グレイシャルポーはブラクンファーの瞳の奥で踊っている光を見つめながら頷いた。
第一部 [完]
最終編集者 आकाश प्रकाश [ Sat Jan 06, 2024 6:42 pm ], 編集回数 1 回
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第二部 第六章
ひんやりとした夜風が銀色の子猫の頬をなでていった。
子猫はそっと見習い部屋を抜け出し、足音も立てずにキャンプを 横切っていった。
寝沈まったキャンプの乾いた地面を一陣の風が回りながらすべっていった。
グレイシャルポーはキャンプの入り口に着くと、トンネルで見張りをしていたブラクンファーが驚いたような顔をした。
「どうしたんだ?寝れないのか」
「なんとなく嫌な予感がするので、なわばりを見回ってきます」
グレイシャルポーがブラクンファーのそばを すり抜けて外に出ようとすると、ブラクンファーはあわてたように言った。
「おい、ちょっと待て、一匹で行くのを許すわけないだろう」
「でもみんな寝てますよ」
「そろそろ見張りの交代の時間なんだ。だからバーチフォールと交代して私がついていってやるから少し待て」
ブラクシファーが戦士部屋に駆けていった。
見張りをバーチフォールと交代してキャンプを出るとグレイシャルポーはブラクンファーを見上げた。
「ブラクンファーは寝なくていいんですか」
「お前は私の弟子だからな、無責任に一匹で森を歩かせるわけにはいかないだろう。まだ戦い方も教えてやれてないのに」
しばらく進んだとき、前方から音がしたように感じ、グレイシャルポーは立ち止まって耳をそばだてた。
見上げるとブラクンファーも険しい顔をしていた。
明らかな物音が耳に飛び込んできた。
「かなり大勢いる」
ブラクンファーは低い声でつぶやくとグレイシャルポーをくわえあげ、近くの木に登った。
枝の上に伏せるとすぐ、暗闇から猫の集団が姿を現した。
「ブラックスターだ」
先頭に立っている大柄な猫を顎で示し、ブラクンファーがささやいた。
「それから……ウィンド族…………?」 数日前に出会ったばかりのため、グレイシャルポーもウィンド族のにおいを覚えていた。
「ウインド族とシャドウ族が我がキャンプ に向かっている。これはまずいぞ」
子猫はそっと見習い部屋を抜け出し、足音も立てずにキャンプを 横切っていった。
寝沈まったキャンプの乾いた地面を一陣の風が回りながらすべっていった。
グレイシャルポーはキャンプの入り口に着くと、トンネルで見張りをしていたブラクンファーが驚いたような顔をした。
「どうしたんだ?寝れないのか」
「なんとなく嫌な予感がするので、なわばりを見回ってきます」
グレイシャルポーがブラクンファーのそばを すり抜けて外に出ようとすると、ブラクンファーはあわてたように言った。
「おい、ちょっと待て、一匹で行くのを許すわけないだろう」
「でもみんな寝てますよ」
「そろそろ見張りの交代の時間なんだ。だからバーチフォールと交代して私がついていってやるから少し待て」
ブラクシファーが戦士部屋に駆けていった。
見張りをバーチフォールと交代してキャンプを出るとグレイシャルポーはブラクンファーを見上げた。
「ブラクンファーは寝なくていいんですか」
「お前は私の弟子だからな、無責任に一匹で森を歩かせるわけにはいかないだろう。まだ戦い方も教えてやれてないのに」
しばらく進んだとき、前方から音がしたように感じ、グレイシャルポーは立ち止まって耳をそばだてた。
見上げるとブラクンファーも険しい顔をしていた。
明らかな物音が耳に飛び込んできた。
「かなり大勢いる」
ブラクンファーは低い声でつぶやくとグレイシャルポーをくわえあげ、近くの木に登った。
枝の上に伏せるとすぐ、暗闇から猫の集団が姿を現した。
「ブラックスターだ」
先頭に立っている大柄な猫を顎で示し、ブラクンファーがささやいた。
「それから……ウィンド族…………?」 数日前に出会ったばかりのため、グレイシャルポーもウィンド族のにおいを覚えていた。
「ウインド族とシャドウ族が我がキャンプ に向かっている。これはまずいぞ」
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Re: サンダー族の見習い策士が一族を救う話
一団が木の下を通り過ぎるとブラクンファーが切羽詰まった声で言った。
「キャンプまでの近道はありますか?」
グレイシャルポーが聞いた。
ブラクンファーがうなずく。
ブラクンファーはグレイシャルボーをくわえたまま木から飛び下りた。
「急ごう。彼らははっきりとサンダー族のキャンプの場所を記憶しているわけではないはずだから近道で戻れば先回りできる」
グレイシャルポーはブラクンファーについて、 必死に走ったが、徐々に遅れはじめた。
ブラクンファーは心配そうに振り返ると 同時にグレイシャルボーをすくい上げた。
「僕をくわえてたらキャンプに知らせるのが遅くなってしまいます。僕をおいて知らせに行ってください」
グレイシャルポーはブラクンファーにくわえあけられたまま顔を傾むけてなんとか金茶色の戦士の顔を見ようとしながら言った 。
「いいや。お前は軽いから問題ない 」
キャンプが見えてきた、襲撃された気配はない。
キャンプに飛び込むとキャンプで見張りをしていたバーチフォールが驚いて飛び上がった。
「何事だ?!」
ブラクンファーはグレイシャルポーを下ろすとバーチフォールの方を向いた。
「シャドウ族とウィンド放が攻めてくる」
「いったいどれくらいですか」
バーチフォールが目を見開いた。
「はっきりと数は分からない。ブランブルスターに知らせてくるからお前は戦士部屋に行って全員を起こしてこい」
ブラクンファーが低い声で指示を下し、グレイシャルボーの方を向いた。
「攻めてくる気配があれば知らせろ」
ブラクンファーは族長の部屋に続く岩棚を登っていった。
グレイシャルポーはキャンプの外から音が聞こえないか耳をそばだてた。
すぐにブランブルスターが部屋から飛び出してきて、戦士部屋やその他の部屋からも 続々と部族仲間が姿を現した。
ウィンド族と、シャドウ族が手を組んだという ことは、わざわざサンダー族の数に合わせて攻めてくることはないだろう。グレイシャルポーは考え込んだ。 手を組んだのはサンダー族を数で圧倒するためにちがいない。つまりサンダー族は二倍近い数を相手にしなければならないことになる。
まわりを見回すと皆、興奮気味ではあるがその中に不安を隠しきれてはいなかった。
「ウィンド族とシャドウ族の連合が攻めきたようだ。我が部族は死力を尽して応戦する。やつらをキャンプの外で迎え討つため、部隊を3つ作る」
ブランブルスターがハイレッジに立ち、声を張り上げた。
「ブランブルスター少し発言させてもらってもよろしでしょうか」
グレイシャルポーの声は大きくはなかったが、 キャンプのざわめきの中を氷の鈎爪が切り裂くように響いた。
「キャンプまでの近道はありますか?」
グレイシャルポーが聞いた。
ブラクンファーがうなずく。
ブラクンファーはグレイシャルボーをくわえたまま木から飛び下りた。
「急ごう。彼らははっきりとサンダー族のキャンプの場所を記憶しているわけではないはずだから近道で戻れば先回りできる」
グレイシャルポーはブラクンファーについて、 必死に走ったが、徐々に遅れはじめた。
ブラクンファーは心配そうに振り返ると 同時にグレイシャルボーをすくい上げた。
「僕をくわえてたらキャンプに知らせるのが遅くなってしまいます。僕をおいて知らせに行ってください」
グレイシャルポーはブラクンファーにくわえあけられたまま顔を傾むけてなんとか金茶色の戦士の顔を見ようとしながら言った 。
「いいや。お前は軽いから問題ない 」
キャンプが見えてきた、襲撃された気配はない。
キャンプに飛び込むとキャンプで見張りをしていたバーチフォールが驚いて飛び上がった。
「何事だ?!」
ブラクンファーはグレイシャルポーを下ろすとバーチフォールの方を向いた。
「シャドウ族とウィンド放が攻めてくる」
「いったいどれくらいですか」
バーチフォールが目を見開いた。
「はっきりと数は分からない。ブランブルスターに知らせてくるからお前は戦士部屋に行って全員を起こしてこい」
ブラクンファーが低い声で指示を下し、グレイシャルボーの方を向いた。
「攻めてくる気配があれば知らせろ」
ブラクンファーは族長の部屋に続く岩棚を登っていった。
グレイシャルポーはキャンプの外から音が聞こえないか耳をそばだてた。
すぐにブランブルスターが部屋から飛び出してきて、戦士部屋やその他の部屋からも 続々と部族仲間が姿を現した。
ウィンド族と、シャドウ族が手を組んだという ことは、わざわざサンダー族の数に合わせて攻めてくることはないだろう。グレイシャルポーは考え込んだ。 手を組んだのはサンダー族を数で圧倒するためにちがいない。つまりサンダー族は二倍近い数を相手にしなければならないことになる。
まわりを見回すと皆、興奮気味ではあるがその中に不安を隠しきれてはいなかった。
「ウィンド族とシャドウ族の連合が攻めきたようだ。我が部族は死力を尽して応戦する。やつらをキャンプの外で迎え討つため、部隊を3つ作る」
ブランブルスターがハイレッジに立ち、声を張り上げた。
「ブランブルスター少し発言させてもらってもよろしでしょうか」
グレイシャルポーの声は大きくはなかったが、 キャンプのざわめきの中を氷の鈎爪が切り裂くように響いた。
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Re: サンダー族の見習い策士が一族を救う話
「戦闘に関係のあることか。どうしてもというなら言ってみろ。ただし、それほど時間はないぞ」
ブランブルスターがグレイシャルポーを見下ろして言った。
「お言葉ですが、わざわさ迎え討つ必要はないかと思います」
ブランブルスターは何を言い出すのかという顔をしただけで何も言わなかった。
キャンプに小さなざわめきが走る。
「呼ばずとも、彼らはキャンプに向かってくるんです。だから迎え入れてはどうかと思います」
「四つの部族がが友好的だった時代は終わったんだ。お前の頭の中はお花畑なのか」
ソーンクローが口を挟んだ。
「やつらをキャンプに入れたら部屋はめちゃくちゃにされてしまう。長老や母猫はどうする?いったいお前は何がしたいんだ?」
ブランブルスターが困惑といらだちが混じった口調で言った。
「誰もいないキャンプに招き入れるんです」
「キャンプをただで明け渡すっていうのか?!」
ソーンクローの声が裏返った。
グレイシャルポーはかまわず続けた。
「彼らがキャンプに入ったらすぐに入り口をイバラと岩で封鎖します。 入口のトンネルは傾斜になっていて、一度に通れるのも一匹ほどなので、たとえ入り口の障害物を取り除こうとしても外から押さえつけて見張っているサンダー族の方が優利です」
キャンプは静まり返った。
前代未聞の計画だった。
「キャンプに閉じこめられた彼らは降伏しない限り、飢えるか日干からびるのを待つだけとなります。まぁ、降伏しても一日か二日は閉じこめておくのが良いかもしれません。痛い目に合わせるために。こちらには誰もいない二本足の家という仮の住まいもありますし」
ブランブルスターは決めかねているようだった。
「今回は2つの部族を相手にしなければならない。過去にもそのようなことはあったが、サンダー族は厳しい戦いを強いられた。だから今回も真正面から迎え打って勝算がどれほどあるのか分からない。もしその計画が上手くいけば、それに超したことはないだろう」
「でもやつらは腹いせにキャンプをめちゃくちゃにするに決まっている!」
ソーンクローが声を上げた。
「では、部族仲間の毛皮がめちゃくちゃに引き裂かれるのと、部屋がめちゃく ちゃに引き裂かれるのとではどちらかがいいんですか、ソーンクロー」
グレイシャルポーが言った。
ソーンクローは腹立たしげに鼻を鳴らしただけだった。
「異論はないなら、グレイシャルボーの 計画を実行することにする」
ブランブルスターが一族を見下ろしながら言った。
「ブラクンファー、ライオンブレイズとバンブルストライプ、グレーストライプはキャンプの入り口 を塞ぐイバラを戦士部屋から切り取って入り口近くに置き、近くから岩も探してきてくれ」
「そのあとは木の上で待機してもらえるといいかと......」
グレイシャルボーが言った、
「そうしょう」
ブランブルスターがうなずいた。
「スクワーレルフライト)
ブランブルスターが副長の方を向いた。
「その他のみんなをキャンプの側面の森で待機させろい。ウィンド族とシャドウ族がキャンプに入ってきたら、ソーン クローとバーチフォールも入り口の援護に行ってくれ」
「キャンプからは入り口以外にも看護部屋の裏あたりから岩壁を登って出れる場所があるけれど。そこから閉じこめた。 敵が出てきたらどうするんだ?」
ライオンブレイズが誰にともなく言った 。
「そこにキャンプの外で待機する全員が集まっておけばいいんじゃないか」
ベリーノウズが言った。
「だめです。そこにサンダー族が待機していれば、彼らは一番にその場所の軟点見つけて登ってこようとするでしょうから。出口があると教えるようなものです」
グレイシャルボーがすかさず言った。
「その場所にも5匹ほど単戦士を待機 させておくのが良いかもしれない。もうろん入ってきた敵から見えないように。ブラッサ厶フォール、モウルウィスカー、ローズペタル、スパイダーレッグ、アンバーボー は看護部屋の裏の登ることが可能な岩壁を見張れ」
ブランブルスターがハイレッジから飛び降りた。それを合図に一族はキャンプの入口へ向かった。
ブランブルスターがグレイシャルポーを見下ろして言った。
「お言葉ですが、わざわさ迎え討つ必要はないかと思います」
ブランブルスターは何を言い出すのかという顔をしただけで何も言わなかった。
キャンプに小さなざわめきが走る。
「呼ばずとも、彼らはキャンプに向かってくるんです。だから迎え入れてはどうかと思います」
「四つの部族がが友好的だった時代は終わったんだ。お前の頭の中はお花畑なのか」
ソーンクローが口を挟んだ。
「やつらをキャンプに入れたら部屋はめちゃくちゃにされてしまう。長老や母猫はどうする?いったいお前は何がしたいんだ?」
ブランブルスターが困惑といらだちが混じった口調で言った。
「誰もいないキャンプに招き入れるんです」
「キャンプをただで明け渡すっていうのか?!」
ソーンクローの声が裏返った。
グレイシャルポーはかまわず続けた。
「彼らがキャンプに入ったらすぐに入り口をイバラと岩で封鎖します。 入口のトンネルは傾斜になっていて、一度に通れるのも一匹ほどなので、たとえ入り口の障害物を取り除こうとしても外から押さえつけて見張っているサンダー族の方が優利です」
キャンプは静まり返った。
前代未聞の計画だった。
「キャンプに閉じこめられた彼らは降伏しない限り、飢えるか日干からびるのを待つだけとなります。まぁ、降伏しても一日か二日は閉じこめておくのが良いかもしれません。痛い目に合わせるために。こちらには誰もいない二本足の家という仮の住まいもありますし」
ブランブルスターは決めかねているようだった。
「今回は2つの部族を相手にしなければならない。過去にもそのようなことはあったが、サンダー族は厳しい戦いを強いられた。だから今回も真正面から迎え打って勝算がどれほどあるのか分からない。もしその計画が上手くいけば、それに超したことはないだろう」
「でもやつらは腹いせにキャンプをめちゃくちゃにするに決まっている!」
ソーンクローが声を上げた。
「では、部族仲間の毛皮がめちゃくちゃに引き裂かれるのと、部屋がめちゃく ちゃに引き裂かれるのとではどちらかがいいんですか、ソーンクロー」
グレイシャルポーが言った。
ソーンクローは腹立たしげに鼻を鳴らしただけだった。
「異論はないなら、グレイシャルボーの 計画を実行することにする」
ブランブルスターが一族を見下ろしながら言った。
「ブラクンファー、ライオンブレイズとバンブルストライプ、グレーストライプはキャンプの入り口 を塞ぐイバラを戦士部屋から切り取って入り口近くに置き、近くから岩も探してきてくれ」
「そのあとは木の上で待機してもらえるといいかと......」
グレイシャルボーが言った、
「そうしょう」
ブランブルスターがうなずいた。
「スクワーレルフライト)
ブランブルスターが副長の方を向いた。
「その他のみんなをキャンプの側面の森で待機させろい。ウィンド族とシャドウ族がキャンプに入ってきたら、ソーン クローとバーチフォールも入り口の援護に行ってくれ」
「キャンプからは入り口以外にも看護部屋の裏あたりから岩壁を登って出れる場所があるけれど。そこから閉じこめた。 敵が出てきたらどうするんだ?」
ライオンブレイズが誰にともなく言った 。
「そこにキャンプの外で待機する全員が集まっておけばいいんじゃないか」
ベリーノウズが言った。
「だめです。そこにサンダー族が待機していれば、彼らは一番にその場所の軟点見つけて登ってこようとするでしょうから。出口があると教えるようなものです」
グレイシャルボーがすかさず言った。
「その場所にも5匹ほど単戦士を待機 させておくのが良いかもしれない。もうろん入ってきた敵から見えないように。ブラッサ厶フォール、モウルウィスカー、ローズペタル、スパイダーレッグ、アンバーボー は看護部屋の裏の登ることが可能な岩壁を見張れ」
ブランブルスターがハイレッジから飛び降りた。それを合図に一族はキャンプの入口へ向かった。
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Re: サンダー族の見習い策士が一族を救う話
グレイシャルポーは部族仲間と共にキャンプの側面で待機していた。
「現われたぞ」
スノーポーが低い声でささやいた。
夜の森に猫の集団が現われる
先頭に立ったブラックスターは一瞬立ち止まったのち、引き連れてきた集団を振り返り、合図を送ると一気にキャンプへなだれ込んだ。
キャンプに駆け込んだシャドウ族とウィンド族の連合部隊は、入口に一番近い部屋に突入する。
そこは戦士部屋だったが、もちろんその中には誰もいない。
ブラックスターたちが戦士部屋から出てき たとき、一番キャンプの入り口に近いところに立っていた戦士が驚きと怒りの声を上げ、キャンプの出入り口へ駆け込んでいった。
入り口に駆け込んだ戦士は戻ってきて叫んだ。
「閉じこめられました!あいつら、俺たちを罠にはめたんです」
シャドウ族とウィンド族の猫で埋めつくされたキャンプがざわめいているのがグレイシャルポーのいるキャンプの側面まで聞こえてくる。
再び、何匹かが束になって入り口に押しかけて行った。
だが、一匹しか通れないトンネル内で身動きがとれなくなったらしい。
イバラのトンネルがたわみ、何匹かはトンネルから押し戻されただけだった。
「サンダー族!どこにいる?!」
ブラックスターが声を張り上げ、キャンプの岩壁を見上げてなめるように視線を走らせた。
「この恥知らずめ。罠にはめるとはどこまでも卑怯な奴らだ」
ワンスターが怒鳴った。
「お前たちこそ、戦士の掟破りではないか」
ブランブルスターが三日月の光を背に、キャン プの岩壁の縁に姿を現した。
「他の部族と手を組んで一つ部族のなわばりに攻め入るとは。それで我々のことを言えるのか。我々は卑を使ったお前たちに対して正当防衛をしたまでだ。降伏しないのなら、ここで飢えるか干からびるか、そのどちらかの道をたどることになるぞ」
ブランブルスターがどすのきいた声で言った。
ロではそう言っているものの、ブランブルスター はもともと残酷な戦士ではない。
おそらく彼らがたとえ降伏しなくても、死ぬ前に開放してやるだろう。
グレイシャルポーは思った。
ブラックスターは岩壁の上に立つグランブルスターをにらみつけていたが視線をそらし、一瞬、ワンスターと目配せしたのをグレイ シャルボーは見逃さなかった。
何かがおかしいと感じた。
彼らは穴の隅に追い詰められたねずみも同然。
なのになぜ、あれほど平然としている?
まるでまだ、逆転のチャンス が残っているかのように。
いや、実際、そうなのだ。
グレイシャルポーは、ブラックスターとワンスター の背後の戦士の集団の猫の数が森で見たときよりも減っていることに気づいた。
背筋を冷たいものが走り抜けて行き、周りの空気がしんと冷たくなったように感じた。
キャンプの中にいるシャドウ族とウィンド族の連合は今日、サンダー族を攻めてきた 全員ではない。
彼らはまだ他に、サンダー 族のなわばりのどこかにいる。
その結論に達するのと銀色閃光が夜闇に瞬いたのはほぼ同時だった。
「現われたぞ」
スノーポーが低い声でささやいた。
夜の森に猫の集団が現われる
先頭に立ったブラックスターは一瞬立ち止まったのち、引き連れてきた集団を振り返り、合図を送ると一気にキャンプへなだれ込んだ。
キャンプに駆け込んだシャドウ族とウィンド族の連合部隊は、入口に一番近い部屋に突入する。
そこは戦士部屋だったが、もちろんその中には誰もいない。
ブラックスターたちが戦士部屋から出てき たとき、一番キャンプの入り口に近いところに立っていた戦士が驚きと怒りの声を上げ、キャンプの出入り口へ駆け込んでいった。
入り口に駆け込んだ戦士は戻ってきて叫んだ。
「閉じこめられました!あいつら、俺たちを罠にはめたんです」
シャドウ族とウィンド族の猫で埋めつくされたキャンプがざわめいているのがグレイシャルポーのいるキャンプの側面まで聞こえてくる。
再び、何匹かが束になって入り口に押しかけて行った。
だが、一匹しか通れないトンネル内で身動きがとれなくなったらしい。
イバラのトンネルがたわみ、何匹かはトンネルから押し戻されただけだった。
「サンダー族!どこにいる?!」
ブラックスターが声を張り上げ、キャンプの岩壁を見上げてなめるように視線を走らせた。
「この恥知らずめ。罠にはめるとはどこまでも卑怯な奴らだ」
ワンスターが怒鳴った。
「お前たちこそ、戦士の掟破りではないか」
ブランブルスターが三日月の光を背に、キャン プの岩壁の縁に姿を現した。
「他の部族と手を組んで一つ部族のなわばりに攻め入るとは。それで我々のことを言えるのか。我々は卑を使ったお前たちに対して正当防衛をしたまでだ。降伏しないのなら、ここで飢えるか干からびるか、そのどちらかの道をたどることになるぞ」
ブランブルスターがどすのきいた声で言った。
ロではそう言っているものの、ブランブルスター はもともと残酷な戦士ではない。
おそらく彼らがたとえ降伏しなくても、死ぬ前に開放してやるだろう。
グレイシャルポーは思った。
ブラックスターは岩壁の上に立つグランブルスターをにらみつけていたが視線をそらし、一瞬、ワンスターと目配せしたのをグレイ シャルボーは見逃さなかった。
何かがおかしいと感じた。
彼らは穴の隅に追い詰められたねずみも同然。
なのになぜ、あれほど平然としている?
まるでまだ、逆転のチャンス が残っているかのように。
いや、実際、そうなのだ。
グレイシャルポーは、ブラックスターとワンスター の背後の戦士の集団の猫の数が森で見たときよりも減っていることに気づいた。
背筋を冷たいものが走り抜けて行き、周りの空気がしんと冷たくなったように感じた。
キャンプの中にいるシャドウ族とウィンド族の連合は今日、サンダー族を攻めてきた 全員ではない。
彼らはまだ他に、サンダー 族のなわばりのどこかにいる。
その結論に達するのと銀色閃光が夜闇に瞬いたのはほぼ同時だった。
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Re: サンダー族の見習い策士が一族を救う話
「彼らはキャンプの中にいる者たちが全員ではありません。他にもサンダー族のなわばりのどこかにいます」
グレイシャルポーはトンネルの前で待機している者の中からブラクンファーを見つけて言った。
「なぜ分かった?」
「森で見たときよりも明らかに数が減っています」
「ブランブルスターに知らせなければ」
ブラクンファーはキャンプのふちに立っているブランブルスターに向けて小石を蹴って彼の注意をひいた。
小石に気づき、族長が振り向く。
そしてさりげなくあとずさってブラクンファーのもとへ来た。
「どうしたんだ?」
「グレイシャルポーが彼らの数が森で見 たときよりも減っていることに気づいた。 おそらく他にもサンダー族のなわばりをうろついているだろう」
「なら、すぐにやつらを見つけなければ」
ブランブルスターが緊迫した声で言った。
「キャンプの側面で待機している者たちが攻撃にあったらたらひとたまりもない」
そういってブランブルスターはちらりとグレイシャルポーを見下ろした。
「僕が残りの奴らがどこにいるのか聞くことにします」
グレイシャルボーが言った。
「聞いたところで正直に言うはずがないぞ、ほらを吹かれるのが落ちだ」
ブラクンファーが暗い声で言った。
「大丈夫ですよ、必ず答えさせます。そうしなければ。時間がありません」
グレイシャルポーは2匹の戦士を見上げて言った
「おい」
グレイシャルボーはキャンプのふちに立ち、 シャドウ族とウィンド族の連合を見下ろした。
そして岩を伝ってくる音が聞こえやすいように張り出した岩のそばに立った。
「お前たちは途中でかれた仲間たちが、 助けにくることを期得しているのだろうが、残念ながらそのようなことは起こらない」
グレイシャルボーは言った。
「残りのお前たちも、一匹残らず捕まえ、二本足の家に閉じ込めた」
ワンスターの顔に信じられないという表情が浮かんだ。
「そんな早くべきるはずがない!」
ウィンド族の族長は声を上げた。
「お前たちば不慣れな土地をさまようことになっていたかもしれないが、サンダー族はそうではない。お前たちのことなどすぐに見つけられる」
グレイシャルボーは答えた。
「特に、シャドウ族が大きな音を立てて歩きまわっていたし」
「シャドウ族とウィンド族は、分かれて行動している。お前たちが捕らえたのが我々の他の全員だとは限らないぞ」
「なるほど」
グレイシャルボーは下にいる敵には聞こえない声で呟いた。
ワンスターの背後ではシャドウ族とウィンド族の言い合いがはじまっていた。
シャドウ族が大きな音を立てていたという件について、ウィンド族の戦士はシャドウ族に一言言わなければ気が済まなかったらしい。
「これだからシャドウ族は。湖の近くで別れたときも注意したのに」
ウィンド族の誰かが言った。
「お前たちだってここに来るまでにまるで ライオンが行進しているような物音を立てていたじゃないか」
シャドウ族の誰かがどなった。
表面上は手を組んでいても、戦士たちー匹一匹の心はそうではない。
結局はライバル同士。
脆い集団だ。
グレイシャルポーはほそく笑み、キャンプ内の論争に耳をかたむけた。
やがて得たい情報を得て、その情報を頭の中で整理するとグレイシャルポーはブラクンファーとブランフルスターのもとにもどった。
「彼らは途中でウィンド族とシャドウ族とで分かれたようです。それから、ワンスターがそんな早く自分たちを見つけられるはずがないと言っていたのと、湖の近くで分かれたと言っていたので、彼らの移場所は大体想像がつきます」
グレイシャルボーは報告した。
「討伐部隊を形成しよう」
とブランブルスター
「いえ、その必要はありません」
グレイシャルボーがすばやく言った。
「ウィンド族とシャドウ族には同士討ちをしてもらいます」
グレイシャルポーはトンネルの前で待機している者の中からブラクンファーを見つけて言った。
「なぜ分かった?」
「森で見たときよりも明らかに数が減っています」
「ブランブルスターに知らせなければ」
ブラクンファーはキャンプのふちに立っているブランブルスターに向けて小石を蹴って彼の注意をひいた。
小石に気づき、族長が振り向く。
そしてさりげなくあとずさってブラクンファーのもとへ来た。
「どうしたんだ?」
「グレイシャルポーが彼らの数が森で見 たときよりも減っていることに気づいた。 おそらく他にもサンダー族のなわばりをうろついているだろう」
「なら、すぐにやつらを見つけなければ」
ブランブルスターが緊迫した声で言った。
「キャンプの側面で待機している者たちが攻撃にあったらたらひとたまりもない」
そういってブランブルスターはちらりとグレイシャルポーを見下ろした。
「僕が残りの奴らがどこにいるのか聞くことにします」
グレイシャルボーが言った。
「聞いたところで正直に言うはずがないぞ、ほらを吹かれるのが落ちだ」
ブラクンファーが暗い声で言った。
「大丈夫ですよ、必ず答えさせます。そうしなければ。時間がありません」
グレイシャルポーは2匹の戦士を見上げて言った
「おい」
グレイシャルボーはキャンプのふちに立ち、 シャドウ族とウィンド族の連合を見下ろした。
そして岩を伝ってくる音が聞こえやすいように張り出した岩のそばに立った。
「お前たちは途中でかれた仲間たちが、 助けにくることを期得しているのだろうが、残念ながらそのようなことは起こらない」
グレイシャルボーは言った。
「残りのお前たちも、一匹残らず捕まえ、二本足の家に閉じ込めた」
ワンスターの顔に信じられないという表情が浮かんだ。
「そんな早くべきるはずがない!」
ウィンド族の族長は声を上げた。
「お前たちば不慣れな土地をさまようことになっていたかもしれないが、サンダー族はそうではない。お前たちのことなどすぐに見つけられる」
グレイシャルボーは答えた。
「特に、シャドウ族が大きな音を立てて歩きまわっていたし」
「シャドウ族とウィンド族は、分かれて行動している。お前たちが捕らえたのが我々の他の全員だとは限らないぞ」
「なるほど」
グレイシャルボーは下にいる敵には聞こえない声で呟いた。
ワンスターの背後ではシャドウ族とウィンド族の言い合いがはじまっていた。
シャドウ族が大きな音を立てていたという件について、ウィンド族の戦士はシャドウ族に一言言わなければ気が済まなかったらしい。
「これだからシャドウ族は。湖の近くで別れたときも注意したのに」
ウィンド族の誰かが言った。
「お前たちだってここに来るまでにまるで ライオンが行進しているような物音を立てていたじゃないか」
シャドウ族の誰かがどなった。
表面上は手を組んでいても、戦士たちー匹一匹の心はそうではない。
結局はライバル同士。
脆い集団だ。
グレイシャルポーはほそく笑み、キャンプ内の論争に耳をかたむけた。
やがて得たい情報を得て、その情報を頭の中で整理するとグレイシャルポーはブラクンファーとブランフルスターのもとにもどった。
「彼らは途中でウィンド族とシャドウ族とで分かれたようです。それから、ワンスターがそんな早く自分たちを見つけられるはずがないと言っていたのと、湖の近くで分かれたと言っていたので、彼らの移場所は大体想像がつきます」
グレイシャルボーは報告した。
「討伐部隊を形成しよう」
とブランブルスター
「いえ、その必要はありません」
グレイシャルボーがすばやく言った。
「ウィンド族とシャドウ族には同士討ちをしてもらいます」
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