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Omen of the blood/Shadow Rising

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投稿 by リーフストーム Tue Sep 24, 2024 10:18 pm

こんばんは、リーフストームです。
新たな小説を投稿しようと思います。
四つの一門と都市に住む猫の一団の話になります。
読んでいただけると幸いです!
注意事項(?)
・本家ウォーリアーズよりも残虐な描写を書くかもしれません。
・不定期に投稿すると思うので長い期間投稿出来なかったり、途中で更新停止する可能性があります。
・キャラクターの名前被りなどがあった場合はすみません…
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投稿 by リーフストーム Tue Sep 24, 2024 10:24 pm

用語など
〈水/みず〉の一門:亡くなった一門の猫が行く場所。
〈波紋/はもん〉の一門:湖のある平たい土地に住んでいる一門。
〈波/なみ〉の一門:海の近くのくぼ地に住んでいる一門。
〈露/つゆ〉の一門: 水が流れている洞窟に住んでいる一門。
〈流/ながれ〉の一門:川が流れている空き地に住んでいる一門。

役職
長:一門の長。
副長:長の代理を務める猫。
狩猟猫:基本的に一門のために狩りをこなす猫。
決して狩猟だけをするわけではなく、縄張りの警護、必要とあれば戦いもこなす。
治療猫:仲間を治療し、〈水〉の一門からお告げをもらう猫。
修行猫:早くて生後4か月〜6ヶ月のうちに子猫は長に指導者を決めてもらい、狩猟猫(医療猫)の弟子となる。

名付け

子猫、修行猫時→風
狩猟猫名(医療猫名)→風花[風に吹かれる花]
別例
子猫、修行猫時→桜
狩猟猫名(医療猫名)→桜[散っていく桜の花びら]
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投稿 by リーフストーム Tue Sep 24, 2024 10:25 pm

一門の掟
・自分の一門を守る。命に代えてでも守ること。別の一門の猫と友情関係を持つことはできるが、自分の一門への忠誠心を変えないこと。いずれ一門同士で戦うことがあるため。

・他の一門の縄張りに侵入したり、狩りをしたりしないこと。

・長老と母猫、そして子猫が、修行猫や狩猟猫たちよりも先に食事をすること。特別な許しがない限り、修行猫たちは長老に獲物を運ぶ前に食事をしてはいけない。

・獲物を殺すのは食料だけのため。それ以外の理由で獲物を殺してはいけない。〈澄んだ水〉の一門にその獲物の命への感謝の意を届けること。

・一門の長は子猫が6ヶ月を越す前に修行猫として指導を開始させること。

・最低1匹の修行猫の指導をしていない限り、副長になることはできない。

・副長は、長が死んだ、あるいは引退した時、新しく長になる。

・長は、副長が死んだ、あるいは引退した時、新しい副長の選択を真夜中になる前に済ますこと。

・満月の夜に、4つの一門が一斉に集まり、休戦となる。戦いは許されない。あくまで平和的に行うこと。

・なわばりの境目は毎日しっかりパトロールし、マーキングをすること。侵入してきた猫がいれば戦って追い払うこと。

・仕事に差し支えるため医療猫はつれあい、そして子どもを持ってはならない。

・医療猫は子猫が自分から志願した場合、もしくは医療猫としての素質を見出せる猫にのみ指導をすること。

・長の言葉が狩猟猫の掟である。

・一門の猫なら、苦しんでいたり危険に陥っている子猫を見て見ぬ振りをしてはならない。ほかの一門の子猫でも同じく。

・正しい一門の猫は決して、どの一門だとしても、たとえ敵であろうと、母猫や子猫を襲わない。

・正しい一門の猫は決して医療猫を襲わない。

・正しい一門の猫は相手を殺さずに戦いに勝つ。自分を守るとき、やむをえない時以外相手を殺してはいけない。

・掟を破った猫には必ず罰を与える事。
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投稿 by リーフストーム Tue Sep 24, 2024 10:32 pm

序章
月が空の真上を向き、仲間はもう皆寝静まっていた頃、2匹の猫だけは起きていた。長い草を編んで作られた小さな部屋はツンとする薬草の匂いで満ちている。
部屋の静寂を破っているのは銀色の子猫が鳴らす寝息だけだ。
「白銀の具合はどうですか?葉月」白い毛の雌猫がたずねた。
「血は止まってるし、もう明日には保育部屋に戻してやってもいいと思うんだ。翼たちが寂しがってるだろうし…この傷がきっと一生残る事になることも早く氷目に言ってやらなきゃな。」葉月と呼ばれた灰色の雄猫は銀色の子猫を見ると、ため息を吐いた。
「そういえば、おれの指導者の事をきみに話した事はなかったな」葉月は白猫に向きなおった。
「おれの指導者も掟を破って追放されたんだ。だが、身内が追放されるなんて…さぞかし辛いだろう」
「正直、兄が掟を破った事をまだ信じられないんです」白猫は呆れたように笑った。
「本当はこんな事思っちゃだめだというのはわかってますが…この子が嘘をついてたらいいのに…」白猫は規則的に寝息を立てている銀色の子猫を見つめた。
しばらく沈黙が続いた。
「桜、今日は色々とあって疲れたろう。おれがこの子の容態を見ておくよ」
「ありがとうございます」桜はコケの寝床に横たわると、すぐに眠りについた。

太陽が森一面を照らす。桜の目の前には小さな水たまりがあった。水たまりに突然二枚の羽根が水たまりに落ちた。桜が水たまりを見ていると、水たまりはどんどん赤くにごり、血に染まっていく……

桜がぞっとして目を覚ますと、医療部屋に入って来る葉月が見えた。何かをくわえている。外はまだ暗く、月はまだ真上を向いていた。
「今さっき不思議なものを見たんだ…これはきっと―」
「私もです!不思議な夢を見ました。私もお告げだと思います」桜は葉月を遮って言った。
「水たまりに二枚の羽根が落ちて、その後すぐに水は血で染まっていきました」 
「ふむ…やはりどちらにも〈水〉の一門さまからのお告げが来たのか」
「葉月は何を見たんですか?」
「キャンプから出れるシダのトンネルがあるだろう?そこのすぐ上を通った2匹の鳥がいたんだ。その鳥の影は2匹の猫の影のようだった」
「で、トンネルに行ったらこの2枚の羽根が落ちていたんだ。きみがみた羽根もこれか?」桜にはよく見えなかったが、少なくとも色は一致していた。
桜がうなずくと、灰色の雄猫は話し始めた。
「これはおれの考えだが、きっとこのお告げの意味は…」葉月は言葉を切った。
「『鳥と影。それはどちらも一門を血に染めるだろう』」



不気味なほど明るいネオンの灯りが真夜中の都市全体、路地裏までも照らしている。その光が当たらない薄茶色の四角い寝床の中で、白猫は目を覚ました。目を覚ます原因となった猫の叫び声はもう聞こえず、都市は静寂に満ちていた。
隣で寝ていた赤茶色の雄猫と濃い灰色と白のぶち模様の雌猫も起きてしまったようで、もぞもぞと2匹は体を動かし、頭を上げた。
「さっきの叫び声、聞いたか?誰か戦ってたのかな」白猫は2匹にたずねた。
「血の匂いがするし、きっと戦いが起きたんだ」隣で寝ていた赤茶色の雄猫のロンが耳を寝かせてつぶやいた。
「なんでこんな時に…よく寝ないといけないってのに、明日はぼくたちの昇格試験なんだから…」白猫はため息を吐いた。
「どうせクロスは合格するでしょ?」妹のフートがあざけるように鼻を鳴らし、寝床にもう一度横たわった。
「そうとは分からないだろ…」クロスはうなって答えたが、妹はもう瞳を閉じていた。ロンもウトウトとまどろんでいた。
やがて2匹のリズミカルな寝息が聞こえてきたが、クロスはまだ眠れなかった。

しばらく経った頃、こちらに近づいてくる足音をクロスは聞き取った。寝床から顔を出すと、青灰色の雌猫がクロスを少し驚いたように見つめていた。
「シロウ?どうしたんですか?」とクロスが問いかけると、シロウは「ちょうど良かった」と言って安心したように息を吐いた。
「テラーがあなたのこと、呼んでるわ。着いてきて」シロウがしっぽで真っ暗な路地を指し、歩き出した。クロスはシロウについていきながら路地を見渡した。ここだけは光が当たらず地味な場所で、仲間の寝床からも離れているので他の猫に盗み聞きもされずらい。
真っ暗な路地の中で薄茶色の雄猫は座っていた。
「テラー、どうしたのですか?」クロスが問いかけると、薄茶色の雄猫は話し始めた。
「私はずっと一門への復讐を心に誓っている事は分かるだろう?私はこのために〈シャドウグリム〉という一団を作り、賛同する猫や一団の仲間入りをしてくれた猫も多数現れた。そして私…私たち〈シャドウグリム〉は…今から四つの季節が巡り終わるまでに一門を襲撃しようと思っている」薄茶色の雄猫は言葉を切った。
「そこで、おまえには一門にスパイをして欲しいんだ、この子を連れて」テラーの前足に隠れていた青灰色の雌猫のアジャーがひょっこりと顔を出した。
「あと1つ理由があるのだが…私は自分の身が安全ではないと思っているんだ。この一団を作り率いてからな」
「実際、さっき裏切り者に襲われたところだ」薄茶色の雄猫はため息をついた。
「あぁ、やはり…」
「そして、私の家族に爪を向ける卑怯者がいるかもしれない。少なくとも、一門の方が襲われる心配がなく、安全ではある」
「だから私や家族に何かあったら、アジャーに〈シャドウグリム〉のリーダーの座を継がせてやってくれ」
「分かりました」
「それとあと一つ…こんな事をするなんて本当に申し訳ないと思っているのだが…」テラーが突然前足を振りかぶり、クロスの首に向かって前足を突き出した。
クロスは突然の攻撃に対処しきれず、攻撃をもろにくらい、倒れこんだ。首の傷は致命傷になるほど深くはなかったが、決して浅い傷ではなかった。傷口から血が滴り、クロスの白い毛皮を赤く染める。
「お前を傷つけた事は申し訳ないが…一門の猫に簡単に仲間入りさせてもらうにはこの方法しかないと思ったんだ」テラーは近くにあった、二本足がいつもつけている布を切り裂いた。
「森に着く前にはがしておいてくれ」テラーが前足で器用に傷口に布を貼ると多少はクロスの首の傷の痛みが和らいだ。
「森までの道はアジャーが知っている。こいつは頭がいいから、間違えて覚えている事もないだろう」
「クロスはしっかり着いてこれるの?」アジャーがたずねた。さっきの光景を見たはずの青灰色の子猫は動じてすらいなかった。やっぱりリーダーの娘なんだ。一切物怖じしていないアジャーを見てクロスはやっとそう実感する事が出来た。
クロスは少しふらつきながら立ち上がり、テラーをみすえた。
「アジャーを頼む」テラーはそう言ってクロスの肩に鼻を触れ合わせた。クロスは返事代わりにうなずき、テラーの瞳をしっかりと見返した。
「ついてきて」アジャーはそう言いながらクロスの前へと歩き始めた。暗い路地から出ると明るいネオンの光が目に当たり、目がチカチカした。
「アジャー、寂しくないのか?」クロスはアジャーに問いかけた。
「ううん。もうお別れは言ったから…それより、痛くないの?」青灰色の子猫は首を振った。
「あぁ、森への先導をお願いな」白猫はうなづき、2匹の猫は森に向かって駆け出した。
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投稿 by リーフストーム Tue Sep 24, 2024 10:43 pm

登場猫
〈波紋〉の一門

長 柳水/リュウスイ [柳の葉から垂れる水]
緑色の瞳をした薄茶色の雄猫。

代理 霧風/キリカゼ [霧の中を吹く風]
緑色の瞳をした、白に近い灰色の雄猫。弟子は夜。

医療猫 葉月/ハヅキ[月明かりに照らされる葉]
小柄な薄灰色の雄猫。

桜/サクラ[散っていく桜の花びら]
つややかな毛をした、真っ白な雌猫。視力が悪い。

狩猟猫 
嵐心/ランシン[嵐のように強い心]
琥珀色の瞳の灰色の雌猫。弟子は疾風。

爪斬/ソウザン[斬り裂く爪]
珍しい、黒と茶色が混ざり合った模様の雄猫。目は濃いスミレ色。弟子は白銀。

氷目/ヒョウメ[氷の色をした目]
つややかな毛をした、白い雌猫。目は薄青色。弟子は翼。

暗影/アンエイ[暗闇に溶け込む影]
日に焼けた砂のような瞳をした、黒い雄猫。

月牙/ゲツガ [月にきらめく牙]
手足の長い、銀色の雄猫。目は濃いスミレ色。

斑/マダラ[斑点模様の石]
白と灰色の斑点模様の雌猫。

螺旋/ラセン[螺旋のとら柄]
暗い茶色の雄猫。

青羽/アオバ[青い鳥の羽]
青い瞳をした、黒に近い灰色の雄猫。

修行猫 白銀/シロガネ
薄青色の瞳をした、白と銀色の虎柄の雄猫。
ひたいから鼻づらにかけて傷がある。

翼/ツバサ
こげ茶色のとら柄の雌猫。目は黄緑。

夜/ヨル
琥珀色の瞳をした、黒い雌猫。

疾風/シップウ
薄茶色のとら柄の雄猫。

〈波〉の一門 以下長、代理、医療猫のみ

長 雨水/アマミズ [雨から降る水]
濃い灰色の斑点模様のある雄猫。

代理 月影/ツキカゲ [月光を浴びてできる影]
濃いスミレ色の瞳をした、淡い銀色と白のとら柄の雄猫。

医療猫 白星/シロボシ [白色の輝く星]
白い毛の雄猫。目は黄色。
〈露〉の一門

長 豹水/ヒョウスイ [ヒョウの毛から滴る水]
琥珀色の瞳をした、黄金色の雄猫。

代理 柊葉/シュウハ [落ちるヒイラギの葉]
青みがかった薄灰色の雌猫。

医療猫 風音/フウネ [吹く風の音]
薄灰色のとら柄の雌猫。

灰尾/ハイオ [灰色の長い尻尾]
緑色の瞳の黒い雄猫。しっぽが灰色。

〈流〉の一門

長 霜水 /ソウスイ[霜が溶け出して出来る水]
薄青色の瞳をした、淡い灰色の毛の雌猫。

代理 影目/カゲメ [影を見通す目]
緑色の瞳をした灰色の雄猫。

医療猫 砂風/スナカゼ [風が巻き起こす砂]
淡いショウガ色の雄猫。

都市猫/〈シャドウグリム〉

リーダー テラー[解読者]
青い瞳をした、大柄の薄茶色のとら柄の雄猫。

戦闘猫
インジュード[傷ついた]
傷だらけの淡いショウガ色のとら柄の雄猫。テラーを殺してリーダーの座を奪おうとしたが返り討ちに片目を失った。

ラトル
暗い灰色のとら柄の雄猫。しっぽの先の毛がない。

ウィード[雑草]
緑色の瞳をした白い雄猫。

ヴェール
灰色の毛の雌猫。元飼い猫。

カニング[狡猾]
薄青色の瞳をした、黒い毛の雄猫。

アレク
茶色と白の斑の雄猫。

ルナ
黒い毛の雌猫。元飼い猫。

ティック
青い瞳をした、黄金色の雄猫。元飼い猫。

レパード[ヒョウ]
金茶色の斑点模様の雌猫。目は濃い橙色。

シェード
緑色の瞳をした、黒い雄猫。

エクリプス[日食]
珍しい、黒と茶色が混ざった模様の雄猫。

スリフト
ほっそりとした体の黒い雌猫。

タフト
大柄な雄猫。

修行猫
フート[あざけり]
濃い灰色と白のぶちの雌猫。

ロン
濃い緑色の瞳をした、赤茶色のとら柄の雄猫。元飼い猫。

母猫
シロウ
琥珀色の瞳をした、青灰色の雌猫。
子どもは薄茶色の雌猫のファズ、白に近い灰色のとら柄の雄猫のフリズル、青灰色の雌猫のアジャー[紺碧]。

シエナ[黄褐色]
琥珀色の瞳をした、茶色い毛の雌猫。
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投稿 by リーフストーム Mon Oct 14, 2024 11:54 pm

一章
「姉さん!姉さんってば!」
弟の疾風に体を揺さぶられ、夜は目を覚ました。
「訓練があるんでしょ?」夜はハッとして薄茶色の雄猫を見つめた。そういえば昨日、弟に「起こしてほしい」って頼んだんだった!「ありがと、疾風」
夜が軽く辺りを見渡しても銀色の雄猫が見当たらず、「あれ、白銀は?」と夜は弟に言いかけたが口をつぐんだ。
白銀はヒースのカーテンをくぐって修行部屋から出るところだった。その事によかった…っとほっとしてしまう自分が嫌になった。
白銀は頭も良くて、強くて…狩りも上手だし、素晴らしい修行猫だ。羨ましいとは思ってるけど嫉妬じゃない事はあたしでも分かってる。夜は白銀のひたいに痛々しく残った傷を見つめた。ただ、兄さんが白銀のことを傷つけたから関わるのは気が引けてしまうだけだ。
姉の翼はヒースのカーテンをくぐって去っていく銀色の雄猫をうっとりと見つめていて、白銀が去った後もヒースのカーテンを見続けている。姉さんは白銀の事しか頭にないみたいだ。
夜は呆れて目をくるっと回してヒースのカーテンをくぐって修行部屋から出ると、指導者である霧風、そして青羽がいた。
「ちょうど良かった、今おまえに戦闘訓練をしに行くから起こしに行こうとしてたんだ」げっ、戦闘訓練!狩猟訓練が良かった…
「今回は狩猟猫である青羽が相手だ。きっとおまえにも、青羽にもいい経験になるはずだ。」
戦闘訓練は苦手だ。特に修行猫相手じゃなく狩猟猫が相手の時は。ま、少なくとも青羽は気のいい狩猟猫だからいいけど。いまいち気が乗らないまま訓練場に着くまで夜はとぼとぼと歩いた。
やりたくないな…訓練だとしても、一門の仲間に攻撃なんて出来るわけない!そう考えていると、霧風に話しかけられた。
「夜、おまえは敵のなわばりに攻め込む役だ。で、青羽はなわばりを守る役をしてくれ」
「はい」夜はためらいがちに身をかがめ、飛びかかる準備をした。
青灰色の雄猫は夜を見すえるとからかうように「フゥーッ!」とうなってみせた。
「始め!」霧風の声が訓練場に響くと同時に、夜は大きく飛び跳ねて青灰色の雄猫が技を避ける前に背中に爪を立てないようにしてしがみついた。噛みついて押さえ込もうとしたが、夜の頭の中に一つの考えがよぎった。もし噛みついてけがさせたらどうしよう。
夜がためらっているうちに青羽は体を揺さぶって夜を振り払った。夜はやわらかい地面にころがったがすぐに立ち上がってもう一度飛びかかり、青羽の目に向かって前足を目に当てないように気をつけて突き出した。
「そんな動きじゃまともに戦えないよ!」青羽は簡単に技をかわし、高く飛び上がって夜に襲いかかった。夜はスピードを生かして青羽が突き出した前足を避け、青灰色の雄猫に向き直って前足を爪を出さないようにしてためらいがちに突き出そうとした。
「甘いな!」青羽があざけるように言い、夜ははっとした。
しまった!後ろ足!
青羽に後ろ足で蹴られ、夜は「うわっ!」っと声を上げて横にふっとんだ。夜の体は受け身が取れずにやわらかい地面に激突し、そのままヒースの茂みまで転がった。
夜が立ちあがろうとする前にこちら側に近づいてくる青羽の足音が聞こえ、夜は降参して体の力を抜いた。
「おれの勝ちだな」青羽がクックッと笑った。青色の瞳がきらりと光る。
「次こそは勝ちますよ、先輩!」夜がわざとうなって言うと、青灰色の雄猫はのどを鳴らした。
「夜。何度も言っているが、攻撃にためらうな!本当の戦いでは誰も躊躇なんかしない……だが、急所である目を狙ったのはいい判断だった」霧風がこちらに歩いてきて言った。
少なくとも褒めてくれただけましか。夜はぶるっと身を震わせ、毛にひっついたヒースの花を振り払った。


日が暮れ、月が夜空に輝き出した頃、夜は修行部屋の寝床で伸びをした。何度も戦闘訓練をして、しかも狩りをしたせいで疲れ果ててへとへとだったから、出来る限り早く寝たかった。姉達はパトロールに行っていたり狩猟猫達と獲物を分け合ったりしていたので修行部屋には誰もいなかったので、夜は一足先に寝ようとしていた。
だが夜が眠りにつこうとした時、修行部屋の外から小さな話し声が聞こえ、誰が話しているのか分かった時、夜の眠気は完全に覚めた。霧風と青羽の声だ!
夜はヒースの花で編まれたカーテンから顔を出さないようにして目を凝らした。2匹はキャンプの端で話していて、耳をすますと、2匹の会話が聞こえてきた。
「___で、どう思った?」霧風が問いかける。
「夜は…あいつはやっぱり副長が指導をしているからか狩猟猫並みに攻撃を避けたりするスピードは早いもんですし、技もしっかり覚えてるように感じたんですけど…明らかに力が出てません。いや、出てないというより力を抜いてるんですよ!」青灰色の雄猫は信じられないとでも言うように体を震わせた。
「このままにしておけば本当の戦いでまともに戦えませんよ!」青羽ははっきりと言った。
夜は不安でぶるっと身震いした。青羽の言う通りだ。
本当の戦いでまともに戦えなかったらどうしよう。
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投稿 by リーフストーム Tue Oct 15, 2024 12:03 am

夜と霧風と青羽の絵です、過去絵だけど
Omen of the blood/Shadow Rising Img_2610
Omen of the blood/Shadow Rising Img_0212
Omen of the blood/Shadow Rising Img_0213
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投稿 by バザードウィング Thu Oct 17, 2024 6:27 pm

全部読めていない俺が言うことでもない気がする。アイデア(?)みたいな…
スパイトフル(いじわる)
ブルータル(残酷)
トラッシュ(ガラクタ)
ディム(暗がり)
息吹/イブキ(若葉の息吹)
銀翼/ギンヨク(月に輝く銀色の翼)
東雲/シノノメ(東の空に浮かぶ雲)
北風/キタカゼ(北の地を駆け抜ける風)
紅牙/コウガ(紅の血に染まる牙)
飛沫/シブキ(激流の飛沫)


多分使われないかと、はい。使っていいですよ。

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投稿 by バザードウィング Thu Oct 17, 2024 8:25 pm

リーフストームさーん!全読みしました!いやーほんと漢字で名前作るのいいですね(やりやすいだけだな、うん。おめえがだらんとしてるからだぞ、バザードウィング)。
なんかちょっかい出したくなっちゃいます。リフストさんのアイデアが斬新。
スクリーム(悲鳴)真っ黒げ毛がつんつんしているのでまっくろくろすけって言われる。
白魔/ハクマ(洞窟に住む白い魔獣)純白の雄猫。夜に戦いを教えるが死んでしまう。
龍鱗/リュウリン(怒りの龍の鱗)灰色にうねるような黒い模様がある。隻眼。
赤雪/アカユキ(血が染みて赤くなった雪)耳の先が赤褐色の白猫。
白蘭/ビャクラン(雪で白くなった蘭の花)白魔の妹。夜には敵対している。
幻虎/ゲンコ(幻の漆黒の虎)こげ茶色の大柄な雄の虎猫。
雷真/ライシン(真っすぐに突き進む雷)薄茶色とクリーム色が混ざった感じの毛と深みのある青い目を持つ。


かまってちゃんで済みません(おい、図々しいぞ)。

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投稿 by バザードウィング Thu Oct 17, 2024 8:29 pm

黒桜(コクオウ)なんてどうでしょう

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投稿 by バザードウィング Fri Oct 18, 2024 9:54 pm

リーフストームさん。不定期にもほどがあります。

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投稿 by リーフストーム Sun Oct 20, 2024 8:59 pm

バザードウィングさん、名前のアイディアありがとうございます。そして小説の投稿が不定期な点においては私の私生活が多忙なこと、そして私が小説を書くペースが早いとは言えないため小説の更新が不定期になる事に関しては把握して頂きたいです。
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投稿 by バザウィ Yesterday at 3:50 pm

わかりました

バザウィ
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