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ブレイズソード【炎の剣】

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投稿 by Murre Thu May 26, 2022 6:52 pm

~34~
と、今気づいたかのようにダウトフラッシュが、ここにいる経緯を話し出した。
「そうなのね…」
シャイニングクローソードの言葉に、私は副長を叱るかと思った。ただ一言、言っただけだった。子猫を救う方法を、考えましょう」
副長は何も言われなかった方が、堪えたようだ。オッドアイの目には傷ついた表情が浮かび、背を向けた。
「グレイジャーの要塞は、あの氷山だ」
ブラックフォートエンペラーが族長と共に氷河の大きい滝側の、盛り上がった氷を見た。
「助けに行きましょう」
二匹の母猫を尻尾で撫でながら私は進言した。王が片方の翼を上げた。
「神殿に行こう。フレキメデスキングダムの王なら、助けてくれる」
「そんな…!時間がかからない?」
ボヘミアンワックスウィングフェザーが震える高い声で蹲った。ケシの実が、いやショックを抑えられるものなら何でもいい。私達の声だけでは落ち着かせられない。
「時間はかからない。それに、救出部隊以外はそこで夜を明かせられるかもしれない。フレキメデスキングダムはグレイシャーよりよっぽど親切だからな」
王は母猫二匹に顔を近づけ、何かを囁いた。小さくて聞き取れなかったが、母猫の震えは収まった。二匹はスノウクリスタルに連れられ、ヒゲワシの背中に乗った。
「サリテュードファイヤーワークス、シャイニングクローソードとスィンアイスストレッチに、巨木の森について話せ。シルクストゥリング、見習いを数名の戦士を乗せ、いち早く神殿へ行け」
私は大人しくワシに掴まれた。左脚には族長だ。
「フレキメデスキングダムは、まじないが使えるんです。巨木の森には巨体に見えないようにするまじないが掛けられている。まじないの理由は、後で分かる」
カンムリワシは王に続けてスピードを上げた。指先に力を入れないと落ちてしまいそうだ。
「グレイシャーキングダムは、猫も食べるのよね?」
話し終えたサリテュードファイヤーワークスに、私はそっと聞いた。彼の背中に乗っているクールウィンドが「えっ」というのが聞こえた。
「自らに利益が無いと判断したら。人質のように使えると分かっている間は、殺しはしない。痛めつけはするかもしれないが…」
カンムリワシは高度を下げた。巨大な根がよく見えるようになる。
「猫のようなにおいがするのね」
ぼてっと落とされた族長が鼻を上げた。確かにこの森の中は、猫に似た獣のにおいがする。
「そこ、入って」
「どこ?」
「そこ」
カンムリワシは木の、これまた大きな洞を指した。
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投稿 by Murre Fri Jun 10, 2022 5:53 pm

小猫をブラックフォートエンペラーの上から見つけて「シャイニングクローソード、あれ!」って言ってるシーン
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投稿 by Murre Fri Jun 10, 2022 9:04 pm

~35~
「族長!」
ひょこっとダウトフラッシュが顔を出し笑顔になったが、自分の判断の過ちを思い出し、目を反らした。
「ここ、入れるのです…」
小さな声で言った副長は直ぐに引っ込んだ。フロンタルウォーリアーが一番に入り、クールウィンドとディープグリーンフレームが続いた。
「族長行きましょう」
カンムリワシが見ている中、私は木に爪を立て、木の、苔の生えた洞の淵に爪を掛けた。暗い中を覗くと虹彩が広がるのが分かった。入り口から先は段状になっていて、猫でも降りれる。
「これはサーベル用の段なんです」
サリテュードファイヤーワークスが後ろから説明した。ぼわんと反響し、山彦のように跳ね返ってくる。
「この木、全く腐ってないわ。害虫もいない…」
「まじないです」
カンムリワシは私達の頭上を越えながら言った。尾羽の先も地下に消えた。
「族長、見てください!壁が、大理石です!」
私はとんと壁に触れた。族長の黄色い目も灰色の壁に目が行く。
「これが、”神殿”…!」
段が終わり、大理石の壁に、大きな実をくりぬいて作られた、仄かな光を放つランプが掛けられている長い廊下に入った。気づけば床も土で所々汚れた鈍い大理石に変化していた。
「シャイニングクローソード!」
暗がりがぱっと明るくなり、ひょこっとブラックフォートエンペラーが顔を出した。
「これが、”神殿”なのね?」
「ええ。セイクリッドパァレスエンペラーはこっちだ。俺と一緒に話すぞ。スィンアイスストレッチも来い。君はサボテン占いのような位だと、理解している」
ヒゲワシは族長と私に向かって頷くと、翼で右方向を指した。ピラミッド要塞のような幾つもの部屋に分かれているらしい、この地下神殿も。
ワシが余裕で床と平行に飛べる幅の、大きな廊下を抜けると、年老いた大木のにおいが鼻をゆっくりと湿らせた。
貫禄のある背中がゆっくりと、ゆっくりと、回転した。クマタカの目は、鋭かった。
「こんにちは、シャイニングクローソード。我はセイクリッドパァレスエンペラーである」
クマタカが一礼した。影がくり抜かれた大木内に作られた部屋の、苔の生えた壁に伸びた。
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投稿 by Murre Sat Jun 11, 2022 2:18 pm

~36~
改めてみるシャープクローグレイシャーキングダムの縄張りは、感情が無く、冷たかった。
「陸路が完全に落ちてる」
族長が深い谷の底を覗き、粉々に砕けた元橋を目視した。私も覗いていると、川に押し流され切っていない氷河の屑も残り、少ない日の光を受けて半透明になっていた。
「亀裂をこれから見ることにしよう」
溜息をつくようにブラックフォートエンペラーが言った。私の脳裏には、ドヤ顔をするステルスディザスターの顔がふっと浮かび、雪崩に搔き消された。
「滝の方まで回ろう」
族長は谷底から目を離し、ヒゲワシの言葉に頷いた。爽涼と走り出し、背中の一本線がしなやかに波のようにうねった。
「あれ?」
しばらく弾力のある草に足裏を馴染ませていたら、族長が声を上げた。目は大きく開かれる。
「並ぶ板が消えてる!」
あの振動で崩れたのだろう巨体製の並ぶ板は、原形を留めていなかった。
「サーベルが来れなくなってしまう…」
ブラックフォートエンペラーが肩を落とし、先ほど出てきた巨木の森をちらっと見る。
私達が出てきた神殿には、ダウトフラッシュ達ブレイズソードの一族とセイクリッドパァレスエンペラー、その他タカ達が居、セイクリッドパァレスエンペラーは私達に向け、特殊な、滅多に使わないまじないを使っている。
私達はあの神殿で挨拶をしただけで話が通じた。何故かは薄々分かった。あの大木の部屋の中心へ行くへほど、磁石のような説明しようのない紫色のような見えない力が全方向に働いているのを感じたからだ。それは王から発されていて、王の目には私達の顔以外の者も映っていた。
「話は読んだ。我はここからシャイニングホライズンを操作しよう。早く行って、子猫達を戻しておいで。子猫達は、必ず生きて連れてきてくれ」
その言葉に、何かが含まれていたか計り知れないが、賢いことだけは分かった。
「分かりました」
ヒゲワシが頭を下げ、、さっと部屋を出て行った。
「ありがとうございます」
シャイニングクローソードは深々と礼をし、部屋を去った。最後に私は、彼が「シャイニングクローソードとその仲間、森の者達が守ってくださいますように」と天を仰ぐのを見た。視線の先に空はなく、実のランプが隠れるように吊るしてあっただけだった。
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