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空のキオク─ Look up at the blue sky with you ─

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投稿 by ジェイホープ Sat Apr 09, 2016 2:39 pm

第18章__空虚



「私はスカイポーを信頼している。あの子を今、マリンウィンドの代わりに守ると誓ったの」

ブルースターの真剣な目、そしてこれまでの話を聞きどんなに族長が自分を信頼してくれているかがわかった。
青色の瞳に嘘はなく、ファイヤポーもじっと見返してそれを受け止めた。

「さぁ、狩りに戻りましょうか」

いつしか正午に達し1日の中で最も暖かい時間に近づいていた。
重苦しい沈黙と木陰から逃げ出し、2匹は再び身体いっぱいに日を浴びた。ぶるっと体を振り、強張った足を伸ばした。この調子ならたくさん獲物が獲れるだろう。ファイヤポーは気持ちを切り替えてブルースターを見た。族長も耳を澄まし、早くも獲物を探し始めようとしていた。

その時だった。

「待ってください」

どこからかスカイポーが現れた。

「スカイポー?あなたどこに…」

「族長は嘘を言っていますね」

ブルースターの言葉を遮ったその声は怒りに満ちて震えていた。困惑した目で見つめるブルースターをスカイポーは冷たい目で見返した。ファイヤポーも突然のことに声を発することもできず、たちまち辺りの空気は凍ったように冷たくなった。

「あなたは、母さんを救おうとはしなかった」スカイポーはぐっとカギ爪に力をこめ、悲しむように言った。

スカイポーは話を聞いていた?一瞬でファイヤポーの脳内が混乱に陥った。ブルースターとスカイポー。二匹にしかわからない空気にファイヤポーは立ち尽くすしかなかった。

ブルースターはゆっくりと目を伏せ、瞬きをした後、やっと口を開いた。

「そんな事無いわ。決して。信じてスカイポー。私はマリンウィンドもラピスラズリアイズも大好きだった。心から信頼していたの」

族長の目には迷いや動揺は一切浮かんでいないように見える。ただただ純粋な後悔や悲しみだけが残って見えた。

「…ッ嘘ですよね!あなたは1度も私を守ろうとしなかった。皆が私を嫌い、憎み、嫌がらせをしている事をあなたは知っていたはずだわ!

私を守る?ふざけないで。母さんを裏切ったくせに。兄さんが殺されるのなんて目に見えていたのに。私達を助けなかったのは紛れもなくあなたなの!!!
……知ったような口を聞くな。母の慟哭も、父の涙も兄の苦悩も……全部全部知らないくせに!」

スカイポーの口から迸り出た言葉には、今まで見せたことのない"感情"が入っていた。前半は冷たく保っているように見えた態度も、今やバラバラだ。
バッと燃え上がった怒りの炎がスカイポーの瞳を恐ろしいほど深く鈍く輝かせている。

静かなそよ風と鳥のさえずりだけが三匹の間を通り抜け、消えていく。その張りつめた空気に森さえも動くことをやめてしまったかのようだった。


永遠と思える1秒間、ブルースターの瞳に後悔と言い返さない__否、言い返せない と言う感情が映るのを見た私は弾けたように走り出した。

消えてしまいたいと強く感じた。何も感じなくていい。このまま……どこか遠くへ。感情なんていらない。何も入っていない空っぽの猫になりたい____

ブルースターに何を言うつもりもなかった。彼女の気持ちもわかっている。
言いたくなかった。けれど、強い憤りを覚えた自分を抑えられなかった。怒り、悲しみ、恐怖、一度だって抑えられなかったことなんてない。ずっと胸の内に秘めたままで生きてくることができたのに__

あぁ……今まで創り上げてきた自分がボロボロと崩れていく。

誰にも弱さを知られたくなくて。
毎日が怖くて。
でも助けてって言えなくて。
自分が嫌いで嫌いでたまらなくて。
消えたいって願って。

素直じゃない心は、思ってる事と反対のことをして。やっと光に出られるチャンスさえ、自ら逃したんだ。

なんでだろう。今までこれでも何の不自由もなかったのに。
ただ、また独りになるだけで…
また自分を殺して。それだけだったのに。

なのになぜ…?なんで…?
炎が現れてから自分の中の歯車が狂って……
おかしくなって。

多分、自分が誰かの世界にいる事を__知りすぎてしまったんだ。
独りじゃない、燃え盛る火の暖かさを知りすぎてしまったんだ。

もう、私は元には戻れない。今まで隠してきた私の感情が戻ってきてしまったから。


_____________
スカイポーの闇が酷いですね…www
そして、誠に勝手ながらキャラ募終了させていただきましたごめんなさい(´・ω・`)
拙い文ですが読んで下さると嬉しいで!できればコメも(殴


最終編集者 ジェイホープ [ Sun Mar 05, 2017 8:14 am ], 編集回数 2 回
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投稿 by ヘザーストーム Sat Apr 09, 2016 3:59 pm

コメント失礼します。
スカイポーが可愛すぎて新しい章が出てくるたびに吐血しておりますw
執筆がんばってください!

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投稿 by ジェイホープ Sun Apr 10, 2016 7:39 am

ヘザーストーム@秋の極上な夕焼け wrote:コメント失礼します。
スカイポーが可愛すぎて新しい章が出てくるたびに吐血しておりますw
執筆がんばってください!

コメントありがとうございます!!それから初めまして^^
吐血…w(#Д#) アワアワ可愛いと言ってもらえて嬉しいです(*>`ω´<*)
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投稿 by ジェイホープ Sun Apr 10, 2016 7:39 am

第19章__感情



_______死にたい?

__________消えたい。

_______本当に?

_________ええ。

_______まだ、何か償えば…

___________今更もう遅いわ

______正義として生きていけば…?

_______こんな私が


憎悪の中に隠れていた小さな前向きな私は……

正義を持って償え、弱い者を守り、償ってひたすら生きていけと私に囁いた。

でも、私はそれを受け入れなかった。


__________また逃げるの?


______そこまでして生きたいの?


______そんなのただの言い訳でしょう


_______私の穢れは


____私の生命を持って償え



今まで、死にたがりの癖勇気のない私の代わりにロンリースカイは私を傷付けてくれていたのかもしれない。
"死にたくない"私はそれから必死に逃げようとしていた。そう、死にたくない、ただ正義としていきたい。他を助け笑顔を咲かせる花になりたいという願いは私にもあった。

自分が全くわからない。二つの私はせめぎあい、ただ何の判断も下せぬまま時だけが過ぎていく毎日で…

"死にたい"自分が本当?

"死にたがらない"自分が本当?


もう、どっちだっていいよね……言う事成すこと全て矛盾しているのもわかっているけど……














サヨナラ


最終編集者 ジェイホープ [ Sun Mar 05, 2017 7:18 am ], 編集回数 1 回
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投稿 by ジェイホープ Sun Apr 10, 2016 7:44 am

第20章__蒼い涙


「……スカイポー!」

呆然とするブルースターを横にファイヤポーは叫んだ。繋ぎ止めなくては消えてしまう。そんな気がしてたまらなく怖かった。
でもその声は静かな森へ空しく響き、スカイポーの走り去った闇へ吸い込まれていく。

「スカイポー……っ」

叫ぶだけでは駄目だ。スカイポーを追いかけなくちゃ。焦りと不安に急き立てられるようにファイヤポーは立ち上がり、鼻をきかせ、そして駆け出そうとした。

「待ちなさい」

しかし、ブルースターは呟くようにファイヤポーに命令した。うつむいた表情は衝撃が波紋のように広がっていく様子を表していた。ギュッと閉じられた瞳からは感情を読み取ることはできない。

ファイヤポーはハッと足を止め、はやる気持ちを抑えて座り込んだ。風が流れてゆく。その風になってスカイポーの元まで行けたならどんなに良いだろう。
あんな様子の彼女を見て放っておきたいとは思わなかった。苦しみ傷ついてそのままあの猫が何をしてしまうかなんて目に見えている気がする。

「何故ですか?!」

このまま放っておいて族長は後悔しないんですか?
不安から湧いてきた怒りのままに言葉をぶつけてしまう前に、ファイヤポーは小さな嗚咽を耳にした。

大粒の雫が幾つもいくつもその蒼灰色の頬を伝って落ちていく。
それが、族長の流す哀しみの涙だとわかるのに、ファイヤポーは時間がかかった。

ファイヤポーは触れたら壊れてしまいそうな1人の族長を___否、後悔に震える1匹の雌猫を見つめていた。

「感情的になってしまってごめんなさい。スカイポーなら大丈夫」

ブルースターは言った。”大丈夫”そんな言葉信じられないことを2匹はわかっていたが、努めていかにも信じているといった表情を浮かべた。

「狩りに戻りましょう」

ブルースター顔を上げた時には、再び賢者のような聡明な光をたたえた族長に戻っていた。

「それとも戦いの練習にする?」

ファイヤポーのやる気を誘うようにブルースターは無理にきらきらと目を輝かせて話を進めた。
しかし、その目が決して自分に向けられていない事にファイヤポーは気付いていた。

「はい」

ファイヤポーもそれに合わせて頷いた。わざわざ族長の哀しみをえぐる事なんてしたくない。

____戦いの訓練をする目は虚ろだった。

その瞳に目をつぶってファイヤポーは熱心に訓練に取り組んだ。心の底にあるショックにファイヤポーも浸りたくなかった。
その感情に流されてはだめだ。触れればきっとまたなにか起こってしまう。全てが壊れてしまう。

ピンと張った緊張の中で、2匹はそれぞれ必死に心を蝕む感情に浸らないように務めていた。


最終編集者 ジェイホープ [ Sun Mar 05, 2017 7:58 am ], 編集回数 2 回
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投稿 by ライトハート Sun Apr 10, 2016 10:44 am

あああスカイポー…!彼女は生きているのでしょうか…戻ってきてほしいです!
そしてマリンウィンド出してくださり、ありがとうございます!w
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投稿 by ジェイホープ Sun Apr 10, 2016 6:14 pm

ライトハート wrote:あああスカイポー…!彼女は生きているのでしょうか…戻ってきてほしいです!
そしてマリンウィンド出してくださり、ありがとうございます!w

コメありです!!マリンウィンド、スカイポーのお母さんとして使わせていただきました!!素敵なお名前ありがとうございました^^
壊れてしまったスカイポー、これからどうするんでしょうか…w彼女はどの道を選んだのか、そしてファイヤポーはどうなるのか、楽しみにしていただけたら嬉しいですw
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投稿 by ジェイホープ Wed Apr 13, 2016 5:18 pm

第21章__時は流れて止まることを知らずに


「スカイポーは大丈夫」

その言葉を信じられたらどんなに良かっただろう。
”大丈夫”その言葉がスカイポーは死なない。そんな意味合いを指していたのならばそれは、間違いではなかった。
だが、スカイポーがすぐに帰ってくるという意味合いだったならば……それは自分の知る限り初めて、ブルースターが強い感情に任せて言った嘘だといえる。
嘘、と言えばいささか語弊があるかもしれないが、賢いブルースターがこんなにも根拠のないことを願ったのは初めてのことだったはずだ。

今ではこんなことも思う。もしも、これが__スカイポーの記憶の物語が__ただの幻想で、どこかで誰かが作ったシナリオ通りのお伽噺ならば……
孤独なヒロインを、勇気のある主人公が救ったハッピーエンドだっただろうか?
そんな夢物語になっただろうか。

あの日あの時、スカイポーを追いかけていたとしても運命は変わらなかった。定められた運命はあまりにもあの少女に対して残酷だった。
彼女のハッピーエンドは存在しなかった。それは今でも、涙が出るほどに不運で哀れな真実だ。


___そう、スカイポーは帰ってこなかった。

スカイポーを何度も探しに出た。ブルースターは捜索隊を組んだ。あの丘にも何度も行った。

スカイポーは皆から嫌われている。その事実も壁となり、スカイポー捜索の行く手を阻んだ。
本気で探してくれたのは、ホワイトストームを始めとした一部の戦士、そしてグレーポーやレイブンポーだけだった。

見つかるはずもない。寧ろ見つからない方がいい。そんな愚かな感情など、見たくなかったのに。

やがてキャンプで、スカイポーの事を心配するものはいなくなった。彼女は空気のように透明な存在になった。今まで通り。誰にも触れられず。
それを喜んでいた者が少なからずいたことに、ファイヤポーは怒りの情を覚えることもあったのだが、それは仕方のないことでもあった。

スカイポーを待ち続けている間、キャンプでさえ色褪せた遠くの空間に見えた。
もしかしたら、自分はスカイポーに恋をしていたのかもしれない。そう思った日もあった。だが、スカイポーよりもその若さからは考えられないほど深い知性をたたえた琥珀色の瞳で__三毛柄の美しい雌猫の方が魅力的に見えたのも事実だ。

スカイポーを待ち続けるファイヤポーをグレーポーは慰めた。同じようにスカイポーを探して遠くを見つめるブルースターをホワイトストームは慰めた。
一族の長が悩むその中でも、運命はまた目の前に立ちはだかり、道を塞いだ。

サンダー族に新たな脅威が迫ってくる。
そう、ブロークンスターだ。

子猫がさらわれ、看護猫が殺され、大切な猫が疑いをかけられた。
ファイヤポーは必死に立ち向かった。

やがて、戦士になる。

新たな名前はファイヤハート〈火の心〉。
事が再び動き出したのは___自分が戦士になってから少しの、あの日だった。

______________

はいw一気に時をぶっ飛ばしましたよwwさあさあ今度は戦士となったファイヤハートと帰ってこないスカイポーの物語ですw
しかし、現在ファイヤポーが戦士になった後、原作2巻が手元にないので…しばらく更新できないかもです!ごめんなさい!


最終編集者 ジェイホープ [ Sun Mar 05, 2017 1:15 pm ], 編集回数 5 回
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投稿 by ちくわ猫 Thu May 12, 2016 6:09 pm

コメ失礼します。
ああスカイポー、どうなってしまうのか心配です。・・・そして、スカイポーの家族を殺した
のは、だれ・・?続きが気になります!!
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投稿 by ジェイホープ Fri May 20, 2016 6:55 pm

第22章__最後の決意



私は、母を殺した。母の名はマリンウィンド。薄く透き通ったすみれ色の右目に空色の左目、いわゆる〈魔ノ目〉の雌猫でした。
柔らかでしなやかな体には細い足がとてもとても似合っていました。

母は私を抱きとめました。ぎゅっとぎゅっと。

「貴女は視えてしまうのね」

細くても力のこもったその前足は私を包み込んで守ってくれました。

私は父を殺しました。優しくて穏やかな父でした。がっしりとした手は大きくて優しくて母も兄も私の事も全てを守る強い父でした。
いつも正しい道を貫いて、悪でさえいつか正になると信じていました。

「知ってるか。空は広いんだ。僕らに見えるよりずっとずっと遥か遠くまで。お前の目もそうだ」

父はそう言って青い青い地平線を見据え、私に名をくれました。

私は兄を殺しました。闘争心の欠片もないただひたすらに穏やかな平和主義の兄でした。
兄は天の川のように煌めく瞳でした。その瞳にはいつだって誰にだって優しくできる心が見えていました。私達が、母が、父が、責め立てられてもただ守るだけで下劣な彼らに怒鳴ることはありませんでした。

「ずっと傍にいるから。もう心配ないよ。僕が必ず」

語尾を呟くように空気に滲ませて、兄は初めてその優しい瞳を紅く蒼い冷たい炎に燃やしました。


そう…私が家族を殺しました。たくさんの猫も殺しました。

片方の目に映る世界が皆と違う事に私は気づいていませんでした。

運命が動かせない鎖でも、抗えば何かが起こったかもしれない。
私はそんな事を少し思っています。

全てを棒に振ったのは……たくさんの猫の死を変えられたかもしれないのに変えなかったのは私だと思います。
皆みんな私が見殺しにしたんです。

「はははっ」

笑いが止まりません。
生きる価値のない猫が、今まで逃げて繋いできた命はもうあまりにもボロボロでした。

1番卑劣で、1番卑怯なのは私です。この世で一番猫を殺したのは私です。


_______________


「平和が訪れる。驚くほど静かな平和が。」


母と父と兄は勇敢です。
私も勇敢になれるでしょうか?

ボロボロの私が選んだ道は…少しの償いです。
もちろんこれが償いになるとは思いません。

これから正義を通して生きていけば…?償いになるのではなんて淡い希望は捨てました。
私は自分の存在を死を持って償うべきだと思っています。
今この瞬間もついに死ねる瞬間だと歓喜さえしたのですから。

でも最後だけ__不必要かもしれないけれど、邪魔かもしれないけれど__善を行いましょう。
それで死ぬ事になれば、それはそれで本望です。

何も出来ない忌まわしい私がたった一つの勇敢な行動を起こします。

私は走りました。

____________
お久しぶりでっす!!!
テストになんやらかんやら忙しくて((
そしてこれからキャンプっていう( ˘ω˘ )
なるべく頑張って更新します!w
応援よろしくです。


最終編集者 ジェイホープ [ Sun Mar 05, 2017 1:25 pm ], 編集回数 2 回
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投稿 by ジェイホープ Fri May 20, 2016 6:58 pm

ちくわ猫 wrote:コメ失礼します。
ああスカイポー、どうなってしまうのか心配です。・・・そして、スカイポーの家族を殺した
のは、だれ・・?続きが気になります!!

こめありですっ!深まる謎と、スカイポー。時が進む中で彼らがどうなっていくのか、スカイポーが出した答えとは、なんなのか楽しみにしていだだけると幸いです(*`・ω・*)ゞ
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投稿 by ジェイホープ Mon Jun 06, 2016 3:58 pm

第23章


____幼い頃を思い返そうか。


私は頭の中でそっと想った。
少しでも生きた日々を忘れぬよう。

嫌われ者として生まれても、私がどんなに穢れた存在でも、子猫の頃、私は少し純粋だったと思う。


ただ、子猫にしては気味が悪いほど大人しかったのかもしれない。

「あの子いつもあそこにいるね」

レイヴンポーは昔から周りをよく見れる子だった。
保育部屋の隅、母がいない間ずっと何もせずにそこにいる私に気づいたのもレイヴンポーだけだった。

「だめよ。あの子は穢れた存在」

レイヴンポーの母親ではなかった気がする。誰か母猫が、私に歯を向いて唸りながら。
その時、自分がこの一族に1番要らない存在なのを悟ったのを覚えている。

___最も古い記憶は、生まれた時の記憶だ。

何かほのかに明るく、温かい場所から眩いばかりの白い世界へ出たのが始まりだった。

あの頃から私の運命は決まっていたのだろう。ここで生まれ落ちてしまったことが人生最悪の出来事であり、後悔であり、間違いだ。

1番最初に未来を見た時は、母と父が殺される所だった。
幼い私はそれがよく理解出来なかった。
眠ってもいないのに見えない目に独りでに映像が浮かび、現実を見ていた瞳はいつのまにか何も見えておらず…

怖い夢だと思った。

父の叫び声、母の悶え苦しむような声。犯人は影のような黒くがっしりとしていた猫であったことしか覚えていない。

誰にも言わなかった。言えなかった。
その日は母と父が死ぬ何か月も前の話だったから、いつの間にか忘れかけていた。母と父の葬式で、あれが未来予知だったと思い出した時には涙が止まらなかった。

でも初めて未来を見れると気づいた日は恐ろしいほど自分の力が嬉しかった。猫の死を予知するわけではないから、これから日常に訪れる他愛もないこと、時系列もバラバラだったから遠い未来を視たりして楽しかった。
また、狂おしい程自分が特別だという事が嬉しかった。それくらい自分に酔ってもいた。

勿論嫌われ者で構わなかった。それぞれの未来が続いていくことを見れるだけで、本当にどこか嬉しかったのだ。

しかしそれは長くは無かった。

成長するにつれ、死を見ることが怖くなった。幼い頃は悪い夢なんだ、私にはどうすることもできないのだと言い聞かせ、振り払えたものも森に出ればそうもいかない。
それぞれ死んだ魂が、私に語りかけてくるようだった。

「何故、助けてくれなかった?」

「お前なら行動が起こせたはずだっただろう」

実際に聞こえることなんてないのに、想像の中の責め立てる声に耳を塞ぐようにして生きた。

恐かった。

1度だけ、運命に抗おうとした。

その日は慌ただしく行動を起こし、1人で戦地に出向き、その猫の横で敵の猫がとどめを刺そうとするところを待った。

直前に引き剥がして、爪をかけるつもりで。

「 ___っ…?」

喉元に噛み付こうとする敵に爪を立てた。

その瞬間殴られるような衝撃を受けて、自分が背後の茂みに吹き飛ばされた。

母はその傷を見て全てを悟り、ただ私をキャンプ裏で抱きしめた。

その日からだろうか。

全ての死が見えて、運命に抗えないとわかっていても全ての責任が自分にかかっている気がしたものだ。

それは日に日に強くなり、一時期は見えない右目を抉りだそうとした。

駄目だ。


____わかってる。それでもまだ、続いて行く運命を変えなくては


最終編集者 ジェイホープ [ Sun Mar 05, 2017 2:31 pm ], 編集回数 1 回
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投稿 by ジェイホープ Thu Jun 23, 2016 3:19 pm

第24章



ロンリースカイという名の悪魔が現れたのは晴天のあの日。

空の眩しいほどの青さが目に染みる暑い夏の日だった。

急に恐怖に襲われた。そこまでは普通だった。

私はその頃、幾度と無く自殺未遂を繰り返していたし、珍しくは無かった。

爪が反射的に出た。

いつもは風のように空気に馴染んで消えていく自分の声が、がさがさと霞んで厳つくなった。

身体が重くなった気がした。

自分を引っかいた。

己の意思でそうする事はあったし、理性をあったけれど、意識を失うほど無我夢中でただただひたすらに「死」に向かって傷つけ続けた事は無かった。

そんな自分がもっと嫌いになった。

「私な名はロンリースカイ。貴方の《憎しみ、嫌悪感、虚無》全てから生まれたのよ」

そんな声が脳に響き渡ると同時に、全身の毛がぞわりと逆立った。

悪寒と吐き気、眩暈に悩まされ、自傷に走る毎日を何とかやり過ごして生きた時。

最後の肉親であった兄がいなくなった時からの事だった。


「全部全部お前のせいね」


高笑いするロンリースカイの声は、私を苦しめる度に歓喜に満ちて、とても自分だとは思えなかった。


誰かに気づいてほしかった。


誰かの愛が欲しかった。


孤独という暗い鎖に繋がれた自分を哀れに思う自分もいたのかもしれない。


私は自分に酔っていたのかもしれない。


そんな自分も嫌いだった。


残された道はただひとつ、死で。


私はその道の上でずっともがき続けた。


それは、苦しみから解放を求める自分と、自分が嫌いな自分、ロンリースカイとの戦いだった。


でももう、わかってる。


どうやっても運命からは逃げられないのが。


私はもう駄目なんだ。


最期ぐらい、優しい猫でいさせてくれますか?


善を行って最期を迎えることで、報われるとは思いません。思いたくありません。

たとえ何をしようと私の生まれてきた罪は、生きてきた罪は償えません。

それでも、これを望むというのは

私が最後にやるべき事だから。




醜くて性格の悪い獣は、もう抑えられない。


死に向かっていくこの思いはもう生きている限り変わることは無いの。




だから最期だけ、少し残った弱々しい私の心を残させてください。

たった一つでいいのです。

誰の記憶にも残らなくていいから。


この望みを叶えたら、私が1番求めていた物が手に入ると思います。






_____私はまだ駆け続ける。


_______________
はあああああっやっとテスト終わって開放感を味わってるジェイです、こんにちは´ω`*
まぁ色んな意味で終わりましたがね(´^p^`)
ってそんな事はどうでもいいですね(´^p^`)

久しぶりの更新、遅くなってごめんなさい!
いよいよラストスパートです!楽しんでいただけると嬉しいです!
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投稿 by ジェイホープ Fri Jun 24, 2016 4:51 pm

第25章


澄み渡った空が、美しく森へ映える。


数カ月までは鮮やかな群青色に染められていた空も、今は淡く薄い空色が柔らかな夜明けの光に彩られて澄んでいた。


___僕は若い戦士になった。

自分の名が変わったあの瞬間から、戦士になった。

まだ見習いに毛が生えた程度、いや、まだ毛も見習いのままだろうか___。それでも、勇猛果敢に部族の世界を生き抜き、名を連ねてきた素晴らしい戦士達の原点に立っていることが嬉しかった。


夜通し続いた見張りは、一言も喋ってはいけない事になっている。

寝ずの番で喋ってもいいのは、侵入者の対処だけだ。

勿論、グレーストライプは疲れきったように欠伸をすると、眠たげに目を半分閉じている。

明るくなってきた空と、照らされる森を見ながらファイヤハートはぐっと眠気を堪えた。

声をかけられるまではいくら空が明るくても、任務終了にはならない。

ファイやハートは目を盛んに瞬きし、眠気を払いながら遠い木々や揺れる茂みに目を走らせた。


「ファイヤポー、グレーポー」

突然の声にファイヤハートは飛び上がった。


高く澄んだ美しい小鳥のようなふわふわとした声___グレーストライプも同じく飛び上がっている。

しかし、喋っている猫は見当たらない。

その声はどこか聞き覚えはあっても、誰のものかわからなかった。

トンネルがガサゴソと動いた。猫が通ってきている。

「誰だ」

喉の奥から低く唸り声を出して、グレーストライプは姿勢も低くしながらトンネルへ回り込んだ。


「私よ…っ」

弾んだ声とその姿にファイヤハートは心を奪われた。

幻想的で神々しい風が彼女の周りに吹いている気がする。

細い足先、しなやかな体、整った顔立ち、長い毛____

弾んだ声とは対照的に表情は暗く、足取りは速いがその足はイバラや棘が刺さって血が出ていた。

彼女はトンネルから可憐に忍び寄ってきた。しかし、その雰囲気は前とは違う。

蒼と翠の一対の目は、確かに前を向いて耀いていた。


「スカイポー!!!」


「ファイヤハート、グレーストライプ、ね。」


スカイポーは初めて正面を向いて、ふっと笑って見せた。

柔らかい花のような可愛らしい笑みだった。


「ま、まさか帰ってくるなんてな。お前急にどうしたんだよ 」

グレーストライプは動揺したように尻尾を膨らませると自分の足にきちんとかけて座った。

スカイポーは曖昧な視線を投げただけで何も言わず、ハイロックの上に立った。

「何してるんだ?」

「気にしないで。日が完全に登ったらまた喋りましょう」

スカイポーは遠い声で言うと、一心に森を見つめた。

グレーストライプとファイヤハートのそわそわが頂点に達した頃にスカイポーは大きく息を吸い込んだ。

ブルースターとホワイトストームが起きてきた。

「寝ずの番は終わりだ…ん…?あの猫は」

ホワイトストームは眩い光に包まれたスカイポーに目を細めた。

「スカイポー…!」

ホワイトストームが驚くと同時に、族長も駆け寄ってきた。

「ファイヤハート、スカイポーは何故あそこにいるの?」

落ち着いていても驚きを隠せない声だった。

「んんーっ。もう2度と太陽は登ってこないかと思った」

グレーストライプは興奮しながら場違いな冗談をかますと、スカイポーを見つめた。

それを聞いたサンドポーとダストポーが見習い部屋から跳ねるようにして出てくると、嫌味を言った。

しかし、彼女等もハイロックを見てぴたりと動きを止めた。

「何あれ、幽霊…??」

サンドポーの本気とも取れる呟きが口から漏れた。

朝陽に照らされる1匹の少女はこれまでの彼女とは全く違う存在に見えたからだ。

すいっと伸びる1本の木のように、彼女は堂々たる姿で___まるでスター族のように__鎮座していた。

「夜明けに…彼女がキャンプに来ました」

ファイヤハートにはそんな簡単な説明しかする事ができなかった。

あの時の行動を懸命に思い起こすが、言葉も、記憶も出てこなかった。

族長は吸い寄せられるように、ハイロックへ行くと、スカイポーの横へ立った。

その声は聞こえなかったが、スカイポーは短く答えたきり、何も返していないようだ。

ブルースターが困惑気味で、ハイロックの下に降りると、スカイポーは顔を上げて再び深呼吸をする。

「サンダー族の皆さん」


大きな声。これでは、縄張りの端にいるネズミも起きてしまうのではないかとさえ思った。

1族の大半が、顔を顰めて寝床から顔を突き出した。

それぞれ、訝しげな表情がすぐに驚きと動揺に変わっていく。

「____っ!!!何故お前がここにいる?!穢れた存在価値もない猫が」

タイガークローはスカイポーを見るなり激しい口調で怒鳴ると、その逞しい脚であっという間にハイロックを駆け上った。

「そこは族長の場所だ」

ファイヤハートと同じく、その一瞬の出来事に一族の猫は唖然とし声すら出なかった。
しかし、タイガークローがスカイポーに飛びかかったのを見ると、毛を逆立てた。

「何故そこまでする必要がある」

やっとの事でホワイトストームがタイガークローを止めようとした。

「こいつは…穢れた存在だろう。皆もそう思っているに違いない」

タイガークローがぎらついた目で周りを見渡す。
勿論異議を唱えられるものなどいない。

一族の中で中心的存在の戦士が__短気だとわかっていても___そこまで怒る理由がわからない。

ほかの猫はただ不安気に視線を交わしている。

「やめなさい 」

ぴんと張り詰めた冷たい空気の中、毅然とした声が静寂を破った。
ブルースターだ。

「タイガークローが彼女に何を思おうと、一族の仲間を殺せば罪に問われるわ。あなたに彼女が何をしたかは知らないし、知ろうとも思わない。私には関係ないのだから。

そして少なくとも私はわかる。彼女が重大な知らせを持ってきたという事を」

ブルースターはタイガークローを厳しい目で捉えると、タイガークローはおずおずと下がった。ハイロックから飛び降りる。

その傲慢な表情に怒りがちらつくのをファイヤハートは見た気がした。
そして、彼がスカイポーに注ぐ憎悪の視線に疑問と不安でいっぱいだった。

いくら、今まで彼女を嫌っていたとしてもタイガークローがこんなに感情的になるのは見たことがない。

スカイポーとタイガークローにも何かあったのだろうか____

しかし、その後のスカイポーの言葉にファイヤハート達はタイガークローの起こした一連の行動などすっかり忘れるほどだった。

「ごめんなさい。私は帰ってきました。何故でしょうか。私にも_わかりません」

「何故でしょうか。何故忌み嫌われて来た部族に…言葉と暴力で家族を息のない体にした部族に…帰ってきたんでしょう」

___一族に向かって、苦しげに吐き出された言葉には誰もが、一瞬で悟れるほどの苦悩と哀しみが詰まっていた。

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投稿 by ライトプール Sat Jun 25, 2016 10:12 am

おもしろいです!
スカイポー、笑いましたね!!
タイガークローが、なぜあんなに怒ったのか、気になります!
続きが楽しみです♪がんばってください!!!

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投稿 by ジェイホープ Sat Jun 25, 2016 8:03 pm

第26章



一族がざわめくのが見えた。牙を剥き出して唸る戦士や、爪を突き立て冷たい視線を投げる戦士。

__しかし、その中にはただ、ただ静かに下を向いているものもいたのだ。

「私や、母、父、兄に、皆さんは何を言いましたか」

怒りを含んでいた。

「私は生まれてきてから罵詈雑言を浴びせられてきました。存在を否定され、1度だって私に心からの気持ちをくれた事はありませんでしたね」

一族の猫は一塊にきゅうと身を縮めてなにも言えないでいる。それが事実だからだ。

「その野蛮な心が、私の家族を殺しました。それだけはわかっていてほしい。実際に息の根を止めなくても、喉元に噛み付かなくても、貴方達の心が私達を苦しめ続けた事」

「家族を殺したのはこの一族だと言いましたね。私は。それは、軽蔑や怨恨の視線だけではないです。

勿論、他でもないこの一族の中に、肉体的に彼等の命を奪った物がいるからです」

いよいよざわめきたった一族を苦しげに見つめ、スカイポーはその瞳に何が浮かぶのかをじっと見ていた。

___罪悪感。多くの猫にそれが浮かび上がった時、目尻が不覚にも熱くなるのは感じていた。

私はこうやって、罪を擦り付けてもいるのに。

ただ、家族を見殺しにしたのは自分でもあるのに、ずっとずっと家族を殺した奴らが憎かった。

私が悪い。わかっていても責めるのをやめられなかった。

いざ、口に出せば一族の猫が本当は心から自分に謝ってくれることが悲しくもあった。

心を決め、ヒュウッと息を深く呑むと驚きと動揺、疑いの心___嘘だと貶して責めていいのか。全てがありありと浮かぶ視線が刺さった。

不思議だ。どんな戦でも最前線を駆ける屈強な戦士や、心の強さでしたたかに子猫を守る母猫。
強くて精悍で、信念を持った彼ら。それが一気に子猫に戻ったように…あどけなく弱々しく見える。悲しい程に素直な、子猫の瞳になんと似ているのだろう。

「ティスルクロー」

亡き戦士の名を呟いた。

「ブルーファー」

栄光を手にした猫の過去の名を呼んだ。


それで伝わった。

声が震えた。果てしなく空虚な何かが、突き上げてきた。

混乱は起こらなかった。

寧ろ、今までの話が行動が、突飛すぎて。何もわからないのかもしれない。驚く気力なんてないだろう。

「ブルースター」

掠れた声が零れた。


ハッとした蒼い瞳が何を映したかなんて____







あれ、可笑しいな。私は全部見えた筈なのに。


なんで貴方がそんな顔をする?


なんで?



それでもまだ、正義を被っているのですか?




中途半端なその心が僕に何を思わせるかなんて



わかってるんでしょ。




だから僕は貴方が大ッ嫌いだ。
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投稿 by ジェイホープ Sat Jun 25, 2016 8:06 pm

ライトプール wrote:おもしろいです!
スカイポー、笑いましたね!!
タイガークローが、なぜあんなに怒ったのか、気になります!
続きが楽しみです♪がんばってください!!!

ありがとうございます!!帰ってきたスカイポーとタイガークロー。
これから何が起こるのか、是非是非楽しんでいただけるとうれしいです!
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投稿 by ジェイホープ Sun Jun 26, 2016 10:21 am

第27章



なんで?なんで?


可笑しいよね。その顔。


なんで泣かない?




叫べよ。私が殺しましたって。

貴方の思いを、苦しみを、理由を、全部全部正直に語って欲しいだけなの。




ねぇ…!


ねぇ……っ!!!


「貴方は…私を見誤ってるわ」


静かな声が響いた。




「私は自分のやったことをわかってる。あれを理由にして、私は貴方に赦しを請うつもりなんてないのよ。」


言って欲しかったことと違う。





全部私に言うって___嘘だったんだ。



知ってたのに。

決意。




見えてるの

一族の前で冷静に判断しようとして、隠す心が。



心底嫌いなんだ。そういうの。面と向かって言えないほど、本当の気持ちを出せないほど貴方は落ちぶれてはいないはずなんだからね。


「あははっやめてよ。



わかってるならなんで隠すの?



貴方ならわかってくれると思ってた!!」


理性が弾け飛んだ。駄目だよ。己の憎しみに全て任せちゃ。


ごめんなさい。ブルースター。

貴方のやった事はしょうがないかなと思ってた。
その事で貴方が私にしようとしてくれたこと。

それで貴方を許せると思ってたのに。

嘘のない言葉で




でもね今の反応は許せない。



ごめんなさいブルースター。


本当は貴方は悪くないのに。

私が運命を変えられなかった、家族を見殺しにしてしまっただけでもあるのに。


ごめんなさい、許せない…
醜く歪んでいるね。少しはわかってくれるといいな、私の思い。


ぞわりと首筋の毛が逆だった。冷たいものがスッと私の中を落ちていくような静かで気味の悪い嫌悪感だった。

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投稿 by ちくわ猫 Sun Jun 26, 2016 10:23 am

ス、スカイポー?スカイポーはどうなってしまうのでしょうか?
続きが気になります!!
がんばってください!!
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投稿 by ジェイホープ Sun Jun 26, 2016 10:25 am

結構終わりに近づいてきていますwどうなんでしょうこんな駄作読んで下さる方がいらっしゃるのか…
それから、閲覧1800超えました!本当感謝です目が飛び出ます(((
コメ待ってます(小声)
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投稿 by ヘザーストーム Sun Jun 26, 2016 10:29 am

スカイポーが、これからどうなってしまうのか…気になります。
更新頑張ってください!ひっそり応援してます…

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投稿 by ジェイホープ Sun Jun 26, 2016 10:29 am

ちくわ猫 wrote:ス、スカイポー?スカイポーはどうなってしまうのでしょうか?
続きが気になります!!
がんばってください!!

コメありです!!!!スカイポー、彼女これからどうするんでしょうね(*´艸`*)
数多くの謎を残したまま結構な急展開ですが続き待っててくださいw
一応1日一更新で進めていきます└(’ω’)┘
頑張りますっ!ありです!
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投稿 by ジェイホープ Sun Jun 26, 2016 10:34 am

ヘザーストーム wrote:スカイポーが、これからどうなってしまうのか…気になります。
更新頑張ってください!ひっそり応援してます…

コメありです!!彼女が自分に迷い、悩んだ果にどこにいくのか。これから彼女は何をするつもりなんでしょうね…ww
先の見えないような繊細な物語を目指して書いてますがww応援ありがとうございます´ω`*
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投稿 by ジェイホープ Thu Jun 30, 2016 5:16 pm

第28章



蒼い目に哀しみが過ぎるのは見えた。ただその表情さえ一瞬で、私はいら立ちと嫌悪感と悲しみを覚えた。

私は知っている。だから、悲しいの。

貴方が本音を隠すなら、此処で貴方に憎しみをぶつける。私が思う貴方の想いが本気ではないなら、私は心底貴方を嫌う。失望する。

「私は此処で貴方を捌きます。罪を。」

_____そして己の罪も


「ちょっと待て。まさかブルースター…」

ホワイトストームから小さな呟きが漏れたこと以外、誰も口を開かなかった。
ただ、瞳は敬愛する族長に向いている。

「ブルースターは私の家族を殺しました。


優秀で逞しくて、綺麗で。表でこそ、話すことはなかったかも知れませんが、母とブルースターは仲が良かったそうです。

母がラピスラズリアイと結ばれた時も、ずっと友でいてくれました。

私の両親が死ぬ前までは。

私が生後2ヶ月に達した頃、ブルースターの元に戦士が来ました。
彼は、もう亡くなったはずの戦士でした。
通夜も埋葬も済まされたはずの戦士が、生身の状態で現れました。
彼の名はティスルクローと言い、その昔ブルーファーと副長の座を争った猫でした。

ティスルクローは私の母と父を恨んでいました。意味もなく、自分の連れ合いが死んだのは私達の性だと思っていました。
自分の手で殺せなかった事を悔やんでいました。

そこでティスルクローはブルースターにある取引を持ちかけることにしたのです。

ブルースターには大きな秘密がありました。

___ここでは言いません。彼女の名誉に関わります。

ティスルクローは、脅しました。

ブルースターが私の両親を殺さなければ、その秘密をばらしお前の最も愛するものを殺そうと。
また、その秘密だけではなくたくさんの脅しを並べました。
勿論、ブルースターは信じませんでした。
しかし、血塗られた牙を喉に突きつけられました。大切な物がすべて消えていく夢を見せ、精神状態と共に彼女の体を乗っ取ろうともしました。
ティスルクローはもうこの世の物ではありませんでした。

ブルースターはティスルクローに乗っ取られて私を殺そうとした事も幾度となくありました。

ブルースターは自分が喰われていく感覚に恐怖を感じ、ティスルクローの取引を受けてしまいました。

あの雨の日。

母に、父と狩りにでも出かけなさいと言い、ティスルクローが安易に命を奪えるように手回しをしました

それから少し、孤独なミルキーウェイに母の友達として語りかけ信頼を得ると、当時子猫だった私のことは自分が面倒を見るので息抜きしなさいと言い、狩りに出かけさせました。


こうしてブルースターは手回しをして、私の家族を殺しました。」


溢れ出した言葉は全てを語り終わる迄止まることは無い。

___辺りの静けさに私は目を閉じた。


「本当は、ブルースターは私に全部全部言ってくれる予定でした。

心の底から悔やんでいること、悲しみ、自分に対する怒り、全てが私に伝わるように話してくれる予定でした。

だから私は彼女を許すつもりになりました。

でもさっき、私が彼女が殺したと言った時。ブルースターは私に全てを言おうとはしてくれませんでした。
言うのには最適なタイミングだったのに。

自分の罪を沢山の猫の前で晒すのを恐れたのでしょうか。自分の体面を恐れる、欲深な心を持っていたのでしょうか。その時私は失望しました。」

ブルースターの瞳に涙が盛り上がった。
勿論図星だ。

「何故この事を…なんで全て知ってるの?」

____________
1日一更新で目指すとかいいつついきなりの3日放置ですごめんなさい(
夏には完結させられる…かな…?w
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投稿 by ちくわ猫 Thu Jun 30, 2016 7:48 pm

そ、そういうことだったのですね!(驚きのちくわ!
まさかティスルクローがそんな風に登場するなんて、思いもよりませんでした。
ドキドキしながら待っています!
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