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オネガイトキヲトメテクダサイ 【完結】

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オネガイトキヲトメテクダサイ 【完結】 - Page 2 Empty Re: オネガイトキヲトメテクダサイ 【完結】

投稿 by ペインヒール Fri Dec 25, 2015 3:21 pm

『トレワヴァスさん。』


「名前で呼べって言ってんだろうが。・・・で、何だ?」


『向こうから猫の集団がやってきてるんだけど・・・。』


わざと穏やかに笑って。


その焦りもない言葉に、ノアを除く全員の動きがとまった。


何度も思考錯誤して彼女の言葉を繰り返す。


そしてようやくロンがその方向を見て顔を歪めた。


ノアはゆっくりと立ち上がると不敵な笑みを浮かべて伸びをした。


「敵襲だな、あれは・・・ッチ、ブレイクじゃねェか。」


『知ってるの?』


「まぁな。あいつとは因縁しかないが。」


『私の初参戦ね。』


「お前は来るな。茂みに隠れてろ。」


人質にされかねない。


私だって化け猫よ。


どうして?


考えても分からなかった。


『じゃあ・・・気をつけてね。』


「あァ。」


『何かあったら・・・』


「何もねェよ。」


私の居場所はあなただけなの。


もう二度と会えない。


そんなことが起きるかのようにそっと彼の耳を舐めた。


酷く驚いているのか、ノアの口が小さく開き黄金色の瞳がカッと開いた。


だがすぐに正気を取り戻して普段の顔に戻った。


(行かないで・・・)


ずっとこのままでいてほしい。


そう思いながらもそっと彼から身を引いた。


近くの森に入る途中、姿を影のように変え、霧のように消えた。


無意識に震えている両前足を見つめた。


小刻みに痙攣しているように見える。


不自然にククッと笑みが零れた。


(あぁー可笑しい)


『あの猫は・・・トレワヴァス・ノアは・・・』


私の中でこんなに大きな存在だったなんて。


彼を失ってしまうのがこれまで感じたことのない恐怖なのだ。


今すぐにでも森を飛び出したいと思うのは。


彼らと共に戦いたいと思うのは。


ノアが生きて帰って来ないのでは?


という空想を恐怖が生み出しているから。


_不安は募るばかり_
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オネガイトキヲトメテクダサイ 【完結】 - Page 2 Empty Re: オネガイトキヲトメテクダサイ 【完結】

投稿 by ペインヒール Fri Dec 25, 2015 3:25 pm

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オネガイトキヲトメテクダサイ 【完結】 - Page 2 Empty Re: オネガイトキヲトメテクダサイ 【完結】

投稿 by ペインヒール Sat Dec 26, 2015 12:56 pm

森の中に隠れていても聞こえてくる激しい怒号と、戦闘音。


彼が死んだらどうしよう・・・と、私はギュッと目と瞑り前足に力を込めた。


(胸が痛いよ・・・)


涙が溢れる涙。


グレンフレアの影は、今は静かに揺らめいているが、胸の痛みに襲われると同時に荒々しく動いた。


見渡しても木々しか見えない殺風景な森。


『ラフェエル、ロン、ネイト・・・』


トレワヴァス・ノア・・・。


無事を祈りながら胸に留まった息を吐き出す。


ねェ、神様・・・これ以上私から何も奪わないで・・・・・。


『助けに・・・行きたい。』


見えた敵の数は相当だった。


4匹だけじゃ足りないに決まっている。


せめて外へ出ずに敵を殺せたらいいのに。


影の中を移動して、姿隠して、敵に近づいて。


私の力なら簡単なはずよ。


『バレなきゃいいのよ。』


私は悪戯に笑って立ち上がる。


_ヴェリィエーシェン_


足元に纏った漆黒の影が私を覆う。



そしてその影の塊は近くの木の影に入り込んだ。


真っ暗な空間の中、見上げればそこは戦場だった。


敵からは・・・もちろんノアたちにもだが、私の姿は見えない。


好都合・・・なのだが。


(ただし・・・)


この技は体力の消耗が激しく、使った後は体が思うように動かなくなる。


大きなメリットもある代わりに、それ相応のデメリットもあるものだ。




_まずは雑魚から片付けよう_
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投稿 by ペインヒール Sun Dec 27, 2015 3:36 pm

「倒れた奴らは運べッ!」


『ノアッ・・・!!』


彼の姿を見つけ、私は聞こえない程度に彼の名を呼ぶ。


敵を斬ったときの血飛沫をを浴びて血まみれになったノア。


私の目に映る彼は戦い、殺して命を奪うことを楽しんでいる。


(あぁ)


目を奪われるその勇姿に。


小さく息を吐いた。


目を覚まさせるように首を振る。


そして待機している敵の塊を見た。


ノアの仲間より多い猫たちがノアたちを見下して笑っている。


「こっちにゃあまだまだ戦力はあんだァ!」


「死ねェ!ガキ共!!!」


『・・・汚い』


生きる価値のない者たちだと思った。


心が冷めていく。


静かに沸き起こる殺意にひとり身震いして。


私は不敵な笑みを浮かべて小さく_シェード_と呟いて敵襲をかける。


『守らせて、みんなを。』


仲間を、ノアをそんな汚い視線で汚すな。


_シェード・ソーン_


影から鋭い針を出し、敵を後ろから突き刺して行く。


何が起きているのか分からないという混乱が徐々に広まった。


そして身を包んでいた影からゆっくりと這い出た。


「何者だ貴様ァ!!!」


『戦士の心と意志を持たない見せ掛けだけの兵士たち。』


「何を!!!」


『下劣な戦士だわ、あなたたちは。』


そう呟いて影を出す。


_シェード・ブレード_


漆黒の剣を作り出し、部下に囲まれている猫の首を跳ねた。


_あなたの夢を追わせて_
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投稿 by ペインヒール Sun Dec 27, 2015 4:03 pm

森に戻ったグレンフレア。


ノアと同じように赤黒い血を浴びた私はそれを拭った。


辺りに血生臭さが立ち込めている。


(バレること・・・ないよね。)


そのときだった。


《何してくれてんだ、雌猫ォ》


『____ッ!!』


ドスの利いた声が頭に響いた。


その声の相手が化け猫だということも。


普段は使わないが、遠くにいる相手に意思の言葉を飛ばすことができる。


今現在も相手が使っているのは明確だ。


《お前、なにモンだ?》


『そちらから、』


《ハハハッおもしれえ奴だ。俺はオールディス・エンペラー・ライドだァ。》


『ッ!!!!』


まさかこんな状況でノアの過去に影響した猫と出会うなんて・・・。


しかもこの猫は!


(”エンペラー”の称号を持つ化け猫か・・・!!)


裏社会で影響を及ぼす化け猫。


全てを支配することを許され、力を与えられた者。


それがエンペラー(帝王)なのだ。


何を考え、何を企んでいるのか知ろうにも知れない。


いい噂は聞かないのだ。


『か、風花。』


本名は名乗らないことにした。


頭に響く小さな笑い声。


切ろうと思えば遮断できる。


だがライドはそれを見抜いているかのように”切るなよ”と低い声で言い放つ。


『・・・何か用が・・・・・?』


《大アリだァ。俺の部下共を全滅させやがって。》


『こ、攻撃してきたのはそちらですよ。正当防衛では・・・?』


私は足が小刻みに震えているのが分かった。


動揺してはならない。


(大丈夫・・・ノアのことは知られていない)


《ひとりで殺ったのかァ?》


『ご、ごめんなさい、みんな弱くって殺しちゃったの。』


《やはり貴様はおもしろいガキだァ。》


ノアがエンペラーの称号を持つこの猫に知られてはならない。


あくまで全員自分が殺したということにしておけばノアはのこ猫に追われることはない。


ノアの何倍も強い気迫が声だけで伝わってくる。


_ノアを犠牲にしたくない_


最終編集者 ペインヒール [ Fri Jan 15, 2016 9:00 am ], 編集回数 1 回
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オネガイトキヲトメテクダサイ 【完結】 - Page 2 Empty Re: オネガイトキヲトメテクダサイ 【完結】

投稿 by ペインヒール Sun Dec 27, 2015 4:17 pm

(ノアと対峙させてはいけないっ!!!)


『私を、殺す?オールディス・・・』


《あァ、その小生意気な顔に苦痛が滲むのを想像してるよ》


『・・・ッ』


《今すぐにも手足捥ぎ取ってぶち殺してェ・・・だが》


『・・・?』


《気に入った》


迎えに行ってやるよ、この俺が。


一瞬何を言っているのか分からなかったが、沈黙の時間と共にじわじわと冷や汗が流れてきた。


『結構よ!!!』


そして完全に遮断した。


『ハ・・・ァ・・・ッ・・・・・』


恐怖と不安で右前足が痙攣した。


『逃げなくちゃ・・・っ!!』


もう、みんなと居られない。


彼に迷惑をかけてはならない。


あの猫に近づかせてはならないと。


私はすぐに森の反対側へ走ろうとした。


だがそこへ帰ってきた血塗れの仲間たち。


「おい、グレンフレア!!どこ行く気だよ!!」


「グレンフレア?」


ノア以外の全員が驚愕で目を見開いている。


ノアは静かに見つめる。


できればこれから先一生、その瞳に私を映していてほしかった。


(ごめんなさい・・・どうか許して・・・・・)


本当はあなたの傍にずっといたいの。


そう思いながらもグレンフレアは影を操る。


ノアと仲間たちを影で縛る。


彼が何か言いかけたのも構わず口を塞ぐ。


・・・これ以上あなたの声を聞いていたら・・・・・。


「んんんっ!!!」


_『ごめんね、ノア。でも全部あなたのためなんだ・・・』_


最終編集者 ペインヒール [ Fri Jan 15, 2016 9:02 am ], 編集回数 1 回
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オネガイトキヲトメテクダサイ 【完結】 - Page 2 Empty Re: オネガイトキヲトメテクダサイ 【完結】

投稿 by ペインヒール Sun Dec 27, 2015 4:32 pm

影で模った剣で自分の肩口に突き刺す。


瞳を大きく見開いて、切なそうなまなざしを向ける彼を見ていられなくて。


そしてそっと彼の両目を隠した。


肩口を刺したのも、涙と自分を誤魔化すため。


『嫌いになったわけじゃないの。・・・寧ろ大好きよ』


心の底からアイシテル。


肩から滴る血の雫を影に浸した。


『私に関わるモノから逃げて』


影はその言葉を呑み込んでノアの頭に消えた。


そして仲間を包む黒い影を光らせる。


『全て記憶から滅せよ。忌まわしき私を記憶から消せ』


「_______ん゛っう゛!!!」


『足跡、声、像・・・全て全て全て___!』


(私は魔女。風花だけあるでしょう?)


_メモリーエレィゥシャー_


呪いのような言葉を呟いて。


暴れていた仲間たちはフッと意識を失って倒れる。


『解除。』


涙を堪えて解放した。


『ノア・・・』


さようなら。


_愛しい彼へ、アイシテル_
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投稿 by ペインヒール Sun Dec 27, 2015 4:42 pm

第三章~霞風


私に関わるものから。


逃げて、消し去って、失って。


すべてはあなたのためだけに。


ノアに思い焦がれ、悲しんで、嘆いた末。


立ちはだかった正義も悪も倒した。


相手に敵意がなくても、降参していても、悲しみを掻き消すのに必死で。


どんな命乞いも、耳には届かなかった。


そんな荒れ狂った日々を過ごしていたら。


彼の噂をよく聞くようになった。


正義を掲げる者たちの間での通り名は<狂気にとり憑かれた魔女>


ユニコーン族でのことがバレ、追われるようになった。


正義にも、悪にも、あのライドにも。


裏で命を狙われ逃げ、殺す日々。


(愛しいあなたは、今どこにいるの?)


ここはミストフォレスト。


霧の森。


私の住処。



_ようやく、玩具をミィツケタ・・・_


最終編集者 ペインヒール [ Tue Jan 12, 2016 2:55 pm ], 編集回数 1 回
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オネガイトキヲトメテクダサイ 【完結】 - Page 2 Empty Re: オネガイトキヲトメテクダサイ 【完結】

投稿 by ペインヒール Sun Dec 27, 2015 4:45 pm

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オネガイトキヲトメテクダサイ 【完結】 - Page 2 Empty Re: オネガイトキヲトメテクダサイ 【完結】

投稿 by ペインヒール Tue Dec 29, 2015 9:52 am

霧の深い森ミストフォレスト。


ここは過去に謎の死を遂げる呪われた森と呼ばれていた。


そのせいで今では誰も寄り付かない。


少しだが、微かに血の臭いが残っている。


(今でも臭うなんて、酷い戦場だったに違いないわ。)


『気味悪いけど、ここが一番安全地帯かな。』


誰かに追われる生活。


安らげる場所なんて何処にもなくて、走って走って走った。


目立たない場所を探して、ようやく短い休息が与えられる。


自分の身を守るために、新しい技も見つけた。


荒れ狂っていた初期のころよりは、いくらかマシにはなったと思う。


このミストフォレストに身を隠して早半年。


この森の向こうで今も旅を続けている彼。


思い焦がれても会うことは許されない。


守るため。


だが、毎日ノアの無事を祈って送る日々はこんなにも幸せだとは思わなかった。


「あっ!ラズベリーだわ!!」


甘くて酸っぱい味のするベリー。


グレンフレアの好物だった。


こんな毎日がずっと続いてくれたらいいのに。


そんなことを思いながらラズベリーを食べ始めた。


_早く攫っちまいてェな_
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投稿 by ペインヒール Tue Dec 29, 2015 9:59 am

ようやく見ツケタ。




新しい玩具。




気を張った化け猫。




俺を見たら彼女はどんな顔をするだろうか。




きっと逃げようとするだろうなァ。



その銀色の前足を引きちぎりたい衝動を抑えて。




掴んで引き寄せて。




壊したい衝動を抑えて。




俺のモノにしてしまおう。









逃がしはしない。















_迎えに来たぜ、風花_
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投稿 by ペインヒール Tue Dec 29, 2015 10:22 am

ラズベリーを一房加えてすま住処へ向かっていた。


茨で囲われた小さなキャンプ。


入ろうとして足を止めた。


足跡・・・。


ゾワッと首筋に寒気が走る。


本能が激しく警告している。


早く遠くへ逃げろ、と。


ここにいては危険だ、と。


『・・・・・・は・・・ぁっ!!』


(アイツが・・・ライドがこの森にいる!!!)


霧が濃い森を駆け抜ける。


ラズベリーはキャンプの前に部造作に置き去りに。


無我夢中で、全力疾走した。


どうしてここにることがバレた!!?


今まで・・・上手に逃げ切ってきたはずなのに!!


(抜かった!!)


しかも今回は当の本人。


部下でもない。


オールディス・エンペラ-・ライドが相手となれば厄介だ。


『はぁっ・・・あ゛、ゲホゲホッ・・・!!』


肩で息をする時間すら惜しい。


急に跳ね上がった心拍数。


それに付け足しプレッシャーで死んでしまいそうだった。


捕まれば殺されるに決まっている。


フラフラになりながら森の出口へと歩んだ。





「何処に行く気だァ?・・・風花。」


全身の血の気が引いた。


あの日から、初めて言葉を交わした日からずっと頭の中をこだましていた低い声。


瞳孔が開ききったまま声の聞こえた方を向く。


『ひっ・・・あ・・・・・ぁ・・』


掠れた悲鳴を上げれば彼は愉しげに笑うばかり。


『こっ、来ないで・・・!!』


「何だよ、連れねェなァ・・・?」


『来ないでって言ったの!!!』


歩みを止めようとしない彼に前足を突き出した・・・


・・・はずなのに、体が凍りついたように1ミリも動かない。


ハッとして彼を見ると、口角を吊り上げながらこちらに前足を向けていた。


迂闊だった。


と顔を歪めるとライドはさらに笑った。


「まァ、そういう顔をするなよ。お前を迎えに来たんだぜ?」


『む、かぇ・・・!?』


「あァ。」


『なっ、んで・・・』


_「お前みてェな最高な玩具、他にいねェからなァ!!」_
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投稿 by ペインヒール Tue Dec 29, 2015 10:44 am

全く動かない体では無力。


ライドはゆっくりと近づき大きな体で私を見下した。


声だけで圧迫された存在感が目の前にある。


動けないことをいいことに、ライドは私の首に鉤爪を立てた。


その冷たい感触に悲鳴が上がる。


『イヤァッ!!』


「選択肢をやろう。」


ライドが出した選択肢はこうだった。


1・今ここでライドに殺される
2・絶対服従を条件に生きる
3・正義隊に引き渡される
4・全て嫌で自殺する


正義隊とは、旅をしながら悪徳を倒して行くもの。
いくつかの隊に分かれているため、一日歩けば出くわすだろう。


『全部嫌よっ!!』


「生きたいのなら、選択肢は一つだぜェ・・・?正義隊はお前を追っている。捕らえれば即処刑だろう。」


『あぁぁっ!!』


___風花、ずっと俺の傍にいろ。


かつてのノアの言葉。


(・・・ノア・・・・・・)


ノアに私の記憶がなくっても。


もう一度会いたい、死ぬ前に・・・。


封じ込めていた思いが死を前に溢れ出す。


私は体力をなくし崩れ落ちた。


そして彼を見て不敵に笑ってみせる。


『いいわ、従ってあげる。』


生きていればいつかきっと・・・


そしてこの猫のモノになりながらも密かにあなたを捜す。


自分から離れたくせに・・・ほんと私ってバカ。


でもよく言うでしょう?


<失って、大切なモノに気づく>って・・・


_一生可愛がってやるよォ_


最終編集者 ペインヒール [ Sun Jan 10, 2016 10:08 am ], 編集回数 1 回
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投稿 by ペインヒール Tue Dec 29, 2015 10:46 am

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投稿 by ペインヒール Tue Dec 29, 2015 10:58 am

「リーダー!目的地見えました!」


「あァ・・・」


『ノ、ァ・・・《ザザザッ》逃げ《ザザッ》・・・』


ノイズ紛れで思い出せない記憶・・・?


ここ最近、何か大切なことを忘れている気がしてきた。


目を瞑れば砂嵐で遮られた映像と、ノイズの酷い音声が頭に流れる。


そして遂には夢にも現れた。


「なぁ、ロイ・・・リーダーどうしたんだ?」


「変な夢に魘されてんだよ・・・」


「ふーん。」


一体あの化け猫は何なんだっ!!


真っ赤な目に涙を溜めて、ギュッと唇かみ締めて・・・


何かに耐えるような表情をしていた雌猫が頭から離れない。


それはあまりにも現実味を佩びている。


「お前に・・・、覚えはない。」


俺の中から消えてくれ。


ビュォォと強い風が吹く。


ノアは風の方向を見つめた。


_____ノア・・・


「・・・ッ!!?」


背後から声が聞こえ、戦闘態勢をとった。


だがそこには仲間たちしかおらず、ノアを凝視していた。



_完全に記憶を消すことなんて、できずに・・・_
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投稿 by ペインヒール Tue Dec 29, 2015 11:05 am

第四章~花風


抜け出せない底なしの沼


這い上がって光を掴めない


時間をかけて作り上げた理想も


運命の前では刃が立たない


完全に沈んでしまう前に


必死に足を動かしている


そんなことをしても届かない想い


キミの傍に、ずっといるって


隣で微笑み続けるって


離れないって


守らせてって


心の中で誓った小さな願いさえ、届かずに・・・


私はここにいる


この鎖を断ち切って、必ず戻る


大好きよ・・・


風に乗せた好きなキミへの想いは、途中で無残に書き換えられた
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投稿 by jay heart Tue Dec 29, 2015 11:19 am

すごく遅いですが新小説おめでとうございます‼
ハラハラする流れでとても先が楽しみです‼
頑張ってください‼

jay heart
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投稿 by ペインヒール Tue Dec 29, 2015 11:26 am

jay heart wrote:すごく遅いですが新小説おめでとうございます‼
ハラハラする流れでとても先が楽しみです‼
頑張ってください‼


ありがとうございます。
最近更新を怠っていたためかなり更新していると思います。
ハラハラしていただけたようで何よりです。
話は全て出来上がっているので更新はしていきます。
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投稿 by ペインヒール Tue Dec 29, 2015 11:43 am

『いやっ!!!』


「お前を殺さない条件は絶対服従だろ?」


グレンフレアは恐怖で目を見開いた。


「お前はアウスラになるんだよ・・・」


『来ないでっ!!嫌よ!!!』


ここのアウスラ・・・即ち幹部たちはみな、右脇腹にバツの傷がある。


そんなもの付けられたら一生消えない。


体の動きを止められて襲い来る恐怖に耐えるしかなかった。


そしてズッと皮膚を切り裂く鋭い痛みが走った。


『あ゛、いっ・・・ぁ・・ぁ・・・・・ッ』


「ふハハハッ、お前は俺のアウスラだ。」


目に涙を浮かべ、倒れた。


ノアの体にも一本だけだが同じ傷がある。


『き、聞きたいことが・・・ある。』


「その前に手当てしろ。おい、エイルマー!」


エイルマーと呼ばれた猫が薬草を持ってやってきた。


私は治療を受けながらライドに言葉を投げかける。


『トレワヴァス・・・という猫を知らない・・・っ?』


「ノアか・・・何故お前が・・・・・」


『以前戦った。そのときにそいつの過去にお前が・・・見えた。』


こうすれば私とノアの関係が薄くみえるでしょう?


「なるほどな。あいつは俺のお気に入りだった。」


この猫は・・・ライドは猫を玩具のように見ている。


「だが、裏切った俺の娘が逃がしちまった・・・報復はしたがな。」


『娘?』


「裏切った罪で殺したさ。」


その言葉で背筋が凍る。


実の娘に手をかけるほど残虐な猫。


権力と力で全てを服従させる。


_自由への出口は狭い_
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投稿 by ペインヒール Wed Dec 30, 2015 3:19 pm

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投稿 by ペインヒール Wed Dec 30, 2015 3:37 pm

「お前も哀れだな・・・」


エイルマーに言われて驚いた。


「ライド様はお前を離す気などないぞ。」


『分かってる・・・』


「また明日診る。」


エイルマーはライドに頭を下げると下がった。


ライドは何を知らいいのか分からないグレンフレアにそっと近寄る。


「ずっとここにいればいい。」


『ここ以外に私を自由にすることないくせに。』


「俺がお前を守って、愛してやる。だから___」


_ずっと、俺の傍にいろよ。_


ノアと同じ言葉。


同じ・・・。


『どこにも行かない。ここにいる。』


「それでいい。お前は俺の近くにいればいい。」


何故・・・?


私は今同情している。


殺したいほど憎んで、ここを逃げ出すつもりだったのに。


「信用してもいいと思える奴になれ。俺は今、ここの奴ら全員信用なんざしてねェ。」


あぁそうか。


この猫は似ているんだ。


私たちは結局、


_同じ穴のムジナだから_
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オネガイトキヲトメテクダサイ 【完結】 - Page 2 Empty Re: オネガイトキヲトメテクダサイ 【完結】

投稿 by ペインヒール Wed Dec 30, 2015 3:43 pm

あなたのいう<愛>とは何ですか?


愛する者のために何かを全力ですることだと、私は思うのです。


見返りを求めずに、ただ一途に想う。


愛されるより愛すること。


それが<愛>だと思う。


私の行動には彼に対する愛がある。


ノアだけをただ愛している。


ライドへ、向けているのはただの虚愛、同情。


伝えることのできないノアへの想いを向けているだけの代用。















仮初の愛情だなんて知ってるさ。


だが俺はお前を気に入った。


最初は玩具として。


今は相手として。


知ってるさ。


こいつには想い猫がいる。


だれが何と言おうと分かることだ。


だが俺はお前を離さない。


_一生俺のモノなんだぜ_
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投稿 by ペインヒール Wed Dec 30, 2015 3:53 pm

「必ず帰れ。」


『逃げないわ。目障りな浮浪者を殺しにいくだけ。』


信用してないじゃない。























「やめてくれ・・・」


頭から血を流し、動けない戦士。


いつものありきたりな台詞。


変らない情景に私はただ退屈そうに見下ろした。


『なんで?喧嘩売ってきたのはあなたたちよ。』


ドスッ


影が体を突き抜けた鈍い音。


戦士は苦痛に顔を歪めて呻いた。


私はその呻き声を無視して影で形成した剣で首を切り落とそう振り下ろした。


『さようなら、お元気で。』


「やめっ_____」


ピチャッと顔にかかる鮮血。


生温かく、今の今まで生きていた証拠。


影を消すと、後ろで殺されるのを待っている戦士猫に向き直る。


冷たい赤の瞳で。


「バケモノっ!!!」


『私はバケモノ。』


ユニコーン族から浴びた罵声を呟く。


魔女、ケモノ・・・


じゃあ私は・・・?


もう普通の猫じゃない。


『バケモノ・・・?』


殺しに何の躊躇いもなくなっている自分は・・・


真っ赤な血のような瞳で血に飢えた私は・・・


自分を見失っていく。


_歯車が糸に絡み、狂っていく_
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投稿 by ペインヒール Wed Dec 30, 2015 4:00 pm

私は小さく笑い、自分の足元から出ている自身の影を見つめた。


心なしか、それは私を嘲笑っているように見える。


____かわいそう・・・


内なる声が聞こえ始め、ビクッと体を震わせる。


うるさい黙ってて。


これは私が望んだことなの。


全部全部、どんなに苦しくても進むって決めたんだ。


____本当に?


ズズズッ・・・


『・・・ッ!!?』


猫の形をした、漆黒の影が・・・


私の命令なしに、自我を持って動いている。


____なんで、そんな顔してんのさぁ・・・・・。


『なんで動いて・・・っ!』


対立する2匹の猫。


焼けるように冷たい体。


触れた瞬間に痛みの幻覚が走る。


___自分を見失っても大丈夫だよ、ワタシがいるから・・・。


『・・・っ!!』


___だからグレンフレア、カラダを頂戴。


_心が蝕まれていく_


最終編集者 ペインヒール [ Wed Dec 30, 2015 11:11 pm ], 編集回数 1 回
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投稿 by ペインヒール Wed Dec 30, 2015 4:12 pm

視界が薄れてきて、影の前足が私の片方の瞼を閉じさせた。


影に拘束され、痛む両足に、火傷したように熱い喉。


まだ見える片方の目で自分の後ろ足を見る。


『・・・・・ッ!!?』


肉球があり、鉤爪があり、毛皮のあるはずの足。


だがそこにあったのはさらに太く、まるで鳥のような・・・。


恐ろしくなって抑えられた前足を動かそうとして絶句した。


翼が、そこにあった。


幻鳥グリフォンがそこにあった。


『あ・・・』


___意識を渡すのは嫌?もう無理よ。


_『言ったじゃない。カラダを頂戴って・・・』_
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