猫の談話室ー月猫sideー【完結】

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【第六話】

投稿 by フロストテイル on Fri Feb 19, 2016 9:05 am

【第六話】

翌朝、談話室で睦月は待っていた。
決着をつける為、結末を見る為に。

長月「おはよウ。連絡見たヨ?相談ってなぁニ?」

睦月「ん、あぁおはよう。悪いな急に呼び出して。」

睦月は長月の姿を見ると少しすまなそうに笑みを浮かべる。
そして、前足で床を撫でながら言葉を続けた。

睦月「いきなりで悪いけど俺とかけっこで勝負しないか?」

長月「かけっコ?何デ?」

不思議そうに聞く長月に睦月は答える。
出来るだけそれらしい言葉を並べて。

睦月「いやぁ、最近体鈍った気がしてさ、一度長月と競争して自分のスピードを確認しようかなぁ..って。
   一番早い長月の方が競争相手にベストでさ。」

長月「ふーン、なるほどネ。いいヨ!やろうやろウ!」

訝しげな顔の長月だったが、にぱっと笑って長月は部屋の隅へと移動する。
その様子はとても楽しげで見ている睦月も思わず頬が緩む。
睦月はルールを話し始めた。

睦月「先にこの部屋を三周した方が勝ちってことで良いよな?」

長月「オッケー!負けないヨ?」

睦月「俺だって!」

二匹は位置につく。
長月の呼吸音が聞こえてくる。
胸が高鳴り、心音が乱れる。睦月は眼を閉じ、呼吸を整える。

睦月「3」

長月「2」

睦月「1」

長月・睦月「「.....GO!!」」

同時に走り出す二匹。スピードはほぼ互角であった。
長月と並走する睦月の脳裏に、いつの日かの記憶がふと浮かんでくる。

(待ってヨ睦月ィ〜!速いヨ〜!)

一周目が終わる。二匹は互角だった。

(ヒドいヨ睦月。ボクの足の速さ知ってるくせに手加減しないんだかラ。)

二周目が終わる。少し長月が前に出始める。

(む〜つ〜キ!遊ボ!かけっこ以外デ!..かけっこ以外デ!!)

三周目が..終わる。長月は睦月より狐二匹分前に居る。
胸が苦しい。それは走っているからか...それとも..。

(あ〜ァ...後狐六匹分は速くならないと睦月に追いつけないヨ..。先は長いナァ.....ドヤ顔するなヨ、バカッ!)

競争の勝者は長月だった。
長月は振り返り笑う。

長月「...やったァ!ボクの勝ちダ!睦月も速かったけド、ボクの敵じゃないネ!」

睦月「....あぁ..速いな。追いつけないな。.....やっぱり..そうなんだな。」

長月「ン?何ガ?」

きょとんとした顔で長月が言う。
睦月は声を出し渋る。
もし、長月がワルンなら、ワルンが長月に成り代わっているなら..。長月は...もう..。
目を細め、睦月は声を絞り出すように発する。
真実を明らかにするため。

睦月「なぁ...知ってるかワルン。長月は..足が月猫で一番遅いんだぜ?」

睦月の言葉の終わりと共に、どこからか20cm程の大きさの氷塊が飛んで来て長月の腹部へと直撃する。
鈍い音をたて、長月は体勢を崩した。

長月「んぐっ..ア”..ア”ガ”ッ..!!い..いってぇ...!」

苦痛で長月の表情が崩れ、それと一緒に化けの皮が剥がれていく。
元々黒かった体毛は更に黒くなり、金の瞳は体毛と同じく闇に染まっていく。
ワルンが姿を現した。

葉月「おはようワルン。ご機嫌いかが?」

氷塊の飛んで来た方向から葉月と師走、弥生が歩いてくる。
それを見たワルンは痛みに表情を崩したまま笑う。
それは余裕か、諦めか。
葉月はそんなワルンの前で止まり、一言だけ発した。

葉月「おやすみなさい...ワルン。」
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【第六話Ⅱ】

投稿 by フロストテイル on Sun Feb 21, 2016 4:39 pm

【第六話Ⅱ】

別れの言葉を発すると共に葉月の前足に氷の塊が出現する。
それは形を自在に変えていき、まるで刃のように美しく研ぎすまされていく。

ワルン「ふふっ..久しぶりに見たよ..。君の能力...氷系統だったよね?」

葉月「覚えてくれてるなら光栄だわ。まぁ、覚えていてもいなくても..私にはどうでも良いことだけれど。」

ワルン「ねぇ..は..づき。僕らの能力と、条件......わか..る?」

葉月「...相手の能力を奪う能力。ワルンには重ねて殺害した相手の姿も奪う能力がある。条件は相手の影を踏んだ状態でないと能力が奪えないこと。」

ワルンからの問いに答え、葉月は刃を振り上げる。

葉月「こんなに繰り返せば流石にわかる。だからこそ私は今、貴方に影を踏まれないように位置どって居るのよ?お得意の能力を披露出来ずに残念ね?」

刃は、ワルンへと一気に振り下ろされる。
空を切る音。見開かれるワルンの眼。
同じく見開かれる葉月の眼。
響く甲高い笑い声、そして黒い笑顔。

ノルン「あはっ♪あははははっ♪あっはっは...あぁ〜っはっはっは♪」

狂ったように笑いながら、ワルンの妹は己の前足から飛ばした氷塊で葉月を吹き飛ばす。
葉月の体は壁まで飛び、そのままぶつかる。

葉月「ぐはっ...の、ノルン..。」

ノルン「いやぁ間一髪!?ギリギリだったわよねワルン?流石のアタシも焦ってびっくらポンって感じ?
    ちょっと余裕なくしかけたけどよく考えればワルン全然ピンチじゃなかったわね?
    たはぁ〜!こりゃまいったわ〜もう少し様子見てから「私参上!」すれば良かったかもね!でもでもでもでも!良いよね良いわよね!?
    破壊の女神である(嘘)アタシがさっさと出てくればその分早く終わるもんね!終わるなら早い方が良いもんね!?
    そうでしょそうでしょ?そうなんでしょ!?早い方が良いことってたくさんあると思うの!
    例えば例えばね!あ、ほらバーゲンセールも早く場所陣取って周りの奴らの首を刈り取れば勝ちだし
    運動会だってそう!早めに陣取って周りの奴らの首を刈り取れば勝ち!
    だからそうなのそうなのよ!今回も....。」


ノルン「貴方達の首を刈り取ってあげる。」

葉月に向かって飛ぶノルン。
眼は爛々と輝き、語尾の軽さがないことから本気であることが推察される。
師走は葉月の前に立ち、ノルンを迎え撃つ。

師走「ふん!」

前足に電撃を貯め、ノルンに向かって放出する。
ノルンは舌打ちをしてそれを避け、一度ワルンの元へ寄る。

ノルン「お久しブラザー♪」

ワルン「...お久シスター。」

ノルン「ほら、立ちなさいよ♪いつまで弱ったフリしてんの♪」

葉月「弱った...フリ?それに..影を踏まずにどうやって私の能力を..。」

葉月が己の体を気遣うように立ち上がると、ノルンが笑う。

ノルン「あぁ、そうだったね。ちゃんと説明しなくちゃね。訳も分からず能力使えなくなったら混乱しちゃうもんね。」

少し息を吸い込むノルン。
次第にその顔は恐ろしく歪んでいく。
ケタケタと笑いながら言ったその言葉は、葉月を絶望の淵に立たせることとなった。

ノルン「残念!今まで全部!ナメプでしたぁぁぁあ!!」

ノルン「わざわざ影を踏んでから能力を奪っていたのはそういう条件だって思わせるため!っていうかそうでもしないとアタシ強過ぎてゲームになんないじゃん!」

葉月「...え...ぁ..ぁ....。そ、そん..な。」


愕然とする葉月。それを見てノルンは笑う。
満足したかのように、ざまぁみろとでもいうかのように。

師走「言いたいことはもうないか?」

雷光がノルンを包む。
すぐ背後には雷を身にまとった師走の姿があった。
ノルンは甲高い叫びとともに崩れていく。
周囲には焦げ臭さが残った。

師走「確かに..強過ぎてゲームにならんな。」

葉月「師走..。」

師走「葉月、絶望にはまだ早いんじゃないか?」

微笑む師走に葉月も笑みを浮かべる。
そんな二匹をよそにワルンはゆっくりと起き上がった。
のんびりと、伸びをしながら。

ワルン「あぁ..ノルン..。死んじゃったのかな?油断快適ってやつ?ん?何か違うな。」

師走「油断大敵か?」

ワルン「あぁ、それそれ。」

師走「今のお前も油断しているように見えるが?」

ワルン「油断?違う違う...余裕だよ。僕一匹になってもそれは変わらない。」

師走は瞬時にワルンの背後に移動する。
そして先ほど同様ワルンにも雷を浴びせる。
...しかし。

ワルン「甘いね。」

師走の視界にワルンは映っていなかった。
ワルンは師走の背後に居た。
衝撃とともに師走の腹部を氷が貫く。ノルンが消えた時に葉月へ戻った能力を、ワルンが更に自分のものとしていたのだ。

師走「...。」

睦月・弥生・葉月「師走っ!!」

ワルン「まず、一匹かな。」
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【第六話Ⅲ】

投稿 by フロストテイル on Sat Feb 27, 2016 5:34 pm

【第六話Ⅲ】

氷に貫かれ床へと崩れ落ちる師走。
その体からは次第に赤い波が広がっていく。
ワルンはそれを無表情で見ていた。

弥生「しっ...師走!師走、師走っ!!」

弥生が慌てて師走へと走る。
しかし師走の傍に立つワルンがそんな弥生に前足を向ける。
前足には段々と氷の結晶が集まり、猫の頭ほどの大きさへ形を変えていく。

ワルン「はい。二匹目。」

無表情のままワルンは言い、狙いを定め...攻撃を放とうとする。
瞬間、師走の眼が開き倒れたままの姿勢でワルンの前足を蹴り上げる。
氷塊は天井へと当たり、ヒビを作る。
師走は蹴り上げた足でそのままワルンを蹴りとばすと、ゆっくりと立ち上がった。

ワルン「おっとっと。まだ動けたのかい?」

師走「当然...だ。」

ワルン「そう。まぁ、だからどうしたって話だけどね。手負いが二匹に無能力が二匹。いや、葉月の能力は僕が使ってるから実質無能力は三匹か。」

ワルンは無表情のまま言う。
師走の横には弥生が寄り添い、傷の具合を確かめている。
その二匹に葉月が苦しそうにしながらも近づいていく。
ワルンの表情が次第に崩れていく。ゆっくりと、見下すように。

ワルン「また、僕の勝ち..だねぇ。葉月。」

ワルンは三匹に前足を向ける。
するとワルンの周囲に氷塊が出来上がっていき、大きな球体状の氷が無数に現れる。

ワルン「今回の最後は君の能力で終わらせようか。」

葉月「....くっ。」

ワルン「さようなら。....またね。」

菜月達への攻撃を始めようとワルンが前足を下ろそうとする。   その瞬間だった。

睦月「秘天!十二月華!!」


いつの間にかワルンの後方へと移動していた睦月が前足をワルンへとかざし叫ぶ。
睦月に気付いたワルンはとっさに攻撃用の氷を己の周りへ集結させ、防御の姿勢をとる。
しかし、叫びの後には何も起きずに数秒が流れる。

ワルン「.........。」

睦月「........何も起きねぇよ。ばーか。」

にやっと笑う睦月。
それと同時に雷がワルンの腹部を貫いた。
倒れ込みながら振り返るワルン。その視界には葉月と弥生に支えられながらもしっかりと立つ師走の姿があった。
その顔には勝利を確信した輝きがあった。

ワルン「あぁ..こりゃ一本取られた。...けど。」

倒れたままワルンは笑う。
己の勝利を確信して。
視界に居る“四匹”を見つめて。

ワルン「ノルン。」

ノルン「おっけぇ〜ぃ!」

ワルンの声と共に師走と弥生..葉月を背後から切り裂くのは、先ほど師走に黒焦げにされて倒れていたはずのノルン。
ケタケタと笑いながら踊るように三匹を一蹴するその様は、少しだけ悲しそうに見えた。

睦月「み、皆!」

叫ぶ睦月の足下に、何かが転がってくる。
生暖かくて、それでいて徐々に冷たさを帯びていくもの。

睦月「あ...あぁ..。」

見てはいけなかった。見たくなかった。とっさに眼を閉じてしまった。
なぜならそれは...それは......。

ノルン「君も、そろそろ寝る時間だよ♪」

呼吸が止まる。
身体が止まる。
時間が止まる。
世界が止まる。

また、死んだ。
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【第六話Ⅳ】

投稿 by フロストテイル on Sun Feb 28, 2016 1:00 pm

【第六話Ⅳ】

真っ暗な世界。消える白。
眠くて眠くて仕方がない。

?「..き..む..つき。」

....何か聞こえる。

?「む..き...お..ろ..。」

...呼び声?誰かが俺を..呼ぶ声。

?「.....。」

.....?

?「起きろ!睦月ぃ!!」

突然の大声に、驚いて目を開く。耳が痛い、頭も痛い。
ここはどこ、俺は誰?
混乱した頭を抑えつつ声の主を探すと、そいつはニヤニヤと赤い瞳を光らせてこちらを見ていた。

?「おー、起きた起きた。グットナイト!」

睦月「...如月..それを言うならグッモーニン。」

それは就寝の挨拶だバカ。
毎回間違えやがって、と少し苛つきながら目の前の如月に言葉を返.....す。
俺は如月の顔に少しある白い部分も黒く染めてやろうか?と考えつつ自身の白い体を整える。..寝癖がヒドい。

如月「もうすぐ時間だから起こしてやったんだ。優しい俺に感謝しな!」

埋めるぞ。
そう思いつつ周りを見渡す。
全面真っ白な部屋の中、中心に置かれたカラフルなクッション達、壁にかかった時計の音が静かな部屋に鳴り響く。

如月「もうすぐ時間なのに誰もこねーんだよ!ヤバくね?ヤバくね?」

ごめん違う静かじゃなかった騒音発生源が傍にいた。
前回といい今回といい相変わらずうるさ..い....。

睦月「....まぁ、少し落ち着きなよ。そのうち来るさ。」

そういって時計を見る。
時計からは振り子のリズミカルな音が流れている。
その音を聞きながら時計を眺め続け..........そして気付いた。

睦月「会議までまだ2時間あるじゃねーか!」

優しい俺は、如月にたんこぶというプレゼントをあげることにした。感謝し....な...?
 
睦月「あ..れ?」

毎回間違えやがって?前回、今回?相変わらず?何のことだろう。思い出せない。
まぁ、良いか。思い出せないということは思い出さなくても良いことでもあるのだろう。
とりあえず、俺は如月にたんこぶをプレゼントした。優しい俺に感謝しな。
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【第六話Ⅴ】

投稿 by フロストテイル on Sun Feb 28, 2016 3:51 pm

【第六話Ⅴ】

睦月(いや、違う!!)

思い出さなくていいはずがない。忘れてはいけない。
忘れちゃいけない。また、最初からにする訳にはいかない。
なぜなら....なぜなら...!!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

睦月「まだ、俺は死んでないっ!!!!」

眼を見開き、首元を狙ったノルンの攻撃をかわす。
そのまま後ろ足を振り上げノルンの顎を蹴り上げると、足下に落ちていたソレを拾って葉月達の体の元へと向かう。

睦月「悪いな葉月。心を死なせて、また最初に逃げちまうところだった。」

ゆっくりと添えるようにソレを体の横に置く。
眼を背けてはいけない。逃げてはいけない。今を生き抜くしかない。

睦月「『絶対に忘れない。もし忘れても思い出すから、君を、覚えているから。』.....ここで、終わらせるから。」

いつだか言われたその言葉、恐らくいつかの自分が葉月に言ったのを今回葉月が言ったのであろう。
それを思い...そっと微笑み、立ち上がる。
振り返った睦月はワルンとノルンを見やり、言い放つ。

睦月「もう、繰り返す訳には...いかない。」

ノルン「あ、っは...じゃぁ今回が最後って訳かしら♪」

ワルン「もう最初からは選べないってことなのかな?」

睦月「言っただろう?終わらせるって。」

ノルンとワルンは笑う。片方は狂ったように、片方は静かに。
この後の己の勝利を確信しているかのように。
睦月が自分達に勝てる訳がないと言うように。

ノルン・ワルン「「そうだね。終わらせようか。」」

勝利という選択肢、敗北という選択肢..。
どちらかが勝ち、どちらかが負ける。
運命が今、分岐しようとしていた。

ワルン「分岐?違うね!」

ノルン「運命はもう既に決まっている!」

ワルン「僕らは負けない!」

ノルン「負けるのはアンタ!」

ノワール『君はココでGAME  OVERだよっ!!』

ノルンとワルンの姿が重なり、大きく変貌していく。
おぞましく、恐ろしく。
猫の形をしていた頃の面影は既にない、化け物そのものだった。
大きく黒い球体の中心に大きな目玉が突出し、球体の周囲に10個の目玉が出現する。

ノワール『中心の目玉ト周囲の目玉、合わせて11コ!何だか分カる?ねぇネぇ分かル?
     答えハ君達かラ奪った能力の数!まァ、君からは一度も奪ったこトなイから使えないけどネ!だって君一回も能力使ってナいもの!』

睦月「一回も...?..っ!?」

睦月が言葉を発した直後に周囲の目玉の一つから雷が発せられ、睦月の足下を威嚇するように撃つ。
続けて他の目玉から氷塊が撃ちだされ、睦月はそれを危うくかわす。

ノワール『まァ、君がただ単に無能力ナだけじゃナいの?最後に残った希望とやラガこれじゃ、仲間も残念だロうね!!』

土塊、突風、氷、雷、炎が続けざまに睦月を襲う。
それらは全て仲間の能力、仲間の思い。

睦月「俺の...能力は..。」

睦月の眼が、輝き始める。

睦月(今なら...思い出せそうな気がする。俺がリーダーである理由の一つ。)

ノワール『ばいバい!睦月ぃィぃぃぃイ!!』

周囲の眼が攻撃準備を始める。
順に攻撃が降り注ぐ。
それを、睦月は全てかわした。
そのまま高く飛び、目玉を一つ、切り裂いた。

ノワール『ア”ア”ア”ァッ!!!!』

睦月「俺の能力..それは!......。」

不意に、違和感に気付く。
お腹の辺りが何かおかしい。
見ると、そこには鎖が突き刺さっていた。目玉から伸びる一本の鎖が。

ノワール『ざ・ん・ね・ン・で・シ・た。』

ノワールは睦月ごと鎖を振り回し、天井、床、壁へ何度も何度も叩き付ける。
何度も何度も、何度も何度も。
最後に一番遠くの壁に叩き付けた後、鎖を回収し高らかに笑う。

ノワール『目玉を一個ヤらレたのは痛かったケど、やっぱ最後に勝つのは僕だヨね!アハはハは!』

睦月の眼から次第に光が消えていく。
まぶたが閉じていく。

ノワール『安心しなヨ。コレで終わりジャない。また、またマた最初かラ遊ベるからサ?優シいデしょ?』

ノワール『この夢は..コの悪夢は終ワらナい。何度も続くンだよ。それじゃぁ、まタね。』

また、駄目だった。
勝てなかった。終わってしまった。...悪夢は..終わらなかった。
睦月は、全てを諦めて...瞳を閉じきった。

  
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あとがき

投稿 by フロストテイル on Sun Feb 28, 2016 4:01 pm


 絶望で終わった猫達の物語はいかがだったでしょうか?
しかし、これはほんの分岐点の先の一つ。

 何回も何回も繰り返すことできっと最後には幸せが待っているかもしれない。
もしくは待っていない可能性もある。

 だが、彼らの心が死なない限り..運命は再構築される。

 では、この続きはまたの機会に...。
次回作『猫の談話室-season2-』をお楽しみに。
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【EXTRA STAGE】

投稿 by フロストテイル on Mon Feb 29, 2016 5:27 pm

【EXTRA STAGE】

        絶望で終わった?

                       何回も繰り返す?
  
     続きはまたの機会?

                                     次回作?

何を言っているんだ?

                   俺の闘いはもう終わったのか?

          俺は死んだのか?

                                                 絶望してしまったのか?

                 勝てないのか?

                        貴方の心は、もう死んでしまったのかしら?

   あぁ、死んでしまった。

             本当に?諦めてしまったの?

                           また勝てなかった。勝つチャンスだった。

             まだ終わってはいないんじゃないの?

   無理だ。

                                              あら、弱気なのね。

俺一人の力ではやつに勝てないよ。

                          一人じゃない。

                                                 え?

   一人じゃないわ、一匹よ。

                   あ、うん。

                                          冗談よ。貴方は一人でも一匹でもない。

                           .....。

           ・・・・・・私が傍に居る。

 うん。

            貴方があの目玉から解放してくれた。

                               ...うん。

                                           私一匹だけでは不満?

        うん。

 貴方後でぶっ飛ばすから覚悟しなさいな。

                          ....うん。

            ほら、私一匹で不満なんでしょ?とっとと皆も解放してあげなさい。

    .....うん。

                                        大丈夫。この私がついてるのよ?存分に闘いなさい。援護してあげる。

            .......ありがとう。..葉月。

                             ......どういたしまして。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

終わらない悪夢?

   絶望?

 何回も繰り返す?

     またの機会?

                 次回作?

勝てない相手?

      希望なんてない?

   そんなもの。

         そんな運命。

                 そんな結末。


                   絶対にお断りだ!

                    [img][/img]
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【EXTRA STAGE】

投稿 by フロストテイル on Thu Mar 03, 2016 7:56 pm

【EXTRA STAGE】

体中に力が湧いてくる。
心に光が宿り始める。
絶望は薄れ、希望が輝く。
君の心は、希望で満ち始めた。

ノワール『あれぇ?何で生キテんの?ちゃンと殺したはずだけドなぁ..。』

ゆっくりと立ち上がる睦月を見て、ノワールは不思議そうに言う。
だが、すぐに何でもないような声色で笑いながら体を揺らす。

ノワール『まァ、良いか。何度立チ上がっても..何度でモ殺してあゲるから。』

言うが早いか、目玉から火球が放たれ睦月へと襲いかかる。
しかし、睦月に当たるかと思いきや火球は、突如として現れた氷の盾に当たって消えた。

ノワール『ア?』

葉月(さぁ、行きなさい!アイツの攻撃は私が防いであげる!)

睦月「あぁ!」

睦月は頷き、ノワールへと駆け出す。狙うは仲間の解放。
目玉からは次々に火球が撃ちだされるが、全て葉月の氷によって消滅して行く。
苛立つ声を出すノワールに向かい、大きく飛ぶ睦月..その振り下ろそうとかかげた前足には氷のかぎ爪が形作られる。

葉月(あ、そういえば如月から聞いたのだけれどニンジンって英語でキャロットって言うらしいわよ?知ってた?)

睦月「今言うことかっ!?」

ツッコミと共に目玉の一つを切り裂く。
更に追撃をしようと振り返る睦月であったが、思い直して急いで間合いをとる。
すると、先ほどまで睦月が居た場所に水の弾丸がぶち当たり大きな音を立てる。

葉月(当たると痛いわよ。気をつけなさい。)

睦月「いや、そうは言ってもな!」

慌てる睦月。
その眼前には水の弾丸による弾幕が展開されていた。
しかし弾幕が撃ち出される瞬間、睦月の眼に一本の道が表示される。
そして聞こえる新たな声..。

文月(その道を辿るように駆け抜ければ、全ての攻撃が回避出来ますよ。)

睦月「文月!!助かる!」

先ほど切り裂いた目玉にはどうやら文月が居たらしい。
礼もそこそこに、弾幕の中を睦月は駆ける。
急ぐように、焦るように、楽しむように、踊るように、希望をつかみ取るように。
弾幕をスレスレで避ける睦月の姿にノワールが叫ぶ。

ノワール『グォォォオ!なゼダ!ナゼあタらナい!』

怒り狂うノワールの背後へと導くかのように更なる道が睦月の眼に浮かぶ。
文月の能力【見極眼-ミキワメ-】は全ての攻撃を予測し、己を導く。
睦月は導かれるままにノワールへと向かった。

睦月「葉月!」

葉月(OK!)

ノワールの背後に躍り出た睦月は、再度氷を前足に宿らせる。
そのまま狙いをつけ、跳ぶ。

文月(あぁ、そうそう。如月君から聞いたのですがニンジンを英語で言うとキャロットだそうですね。知ってましたか?)

睦月「さっき聞いたぁぁぁあ!!」

切り上げるように目玉を裂き、着地をする。
部屋中を叫び声が埋め尽くし、ノワールは怒声を上げる。
目玉の一つが輝きを増していく。電撃だろうか。

葉月(まずい!電撃がくる!)

睦月「だったら見極眼で..!」

文月(いや、避けられない!)

睦月は気付く。
先ほどの弾幕のせいで床がどこもかしこも水浸しだ。
ノワールが笑う。

ノワール『BAD END-黒焦げの猫-....ヒャハハハハ!!!』

言葉の終わりと共に、部屋は光に包まれていった。
睦月の視界は黒く染まり、周りにはバチバチという音だけが響いていた。
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【EXTRA STAGE】

投稿 by フロストテイル on Wed Mar 09, 2016 2:52 pm

【EXTRA STAGE】

弾けるような電撃音、真っ暗な視界。
しかし、不思議と体に痛みはなかった。

弥生(ふぅ..間一髪ですね。)

睦月「その声は、弥生か?」

弥生(はい!睦月さん。解放、感謝いたします。)

睦月「この暗闇はお前の能力か?」

弥生(はい、私の能力で土をドーム状に形成し、睦月さんを覆っています。)

微笑むような声色で弥生は言い、能力を解除する。
暗闇は頭上から崩れていき、視界が明るくなる。
眼前では敵を仕留められなかったノワールが怒りを見せ、次の攻撃を繰り出そうとしていた。

弥生(睦月さん!お願いします!師走を解放してあげてください!)

睦月「任せろ!」

飛んで来た火球を氷の盾で防ぎながら睦月は駆け出した。
狙うは先程電撃を出した一つの目玉。

ノワール『サせルかぁァあ!!』

叫びとともに別の目玉から鎖が伸び、睦月の足に絡み付く。
バランスを崩し倒れる睦月を、鎖はそのまま壁へと投げ飛ばした。
睦月は壁に弥生の能力で柔らかい土壁を作り、そこにぶつかる。

睦月「いでっ!」

葉月(鈍臭いわね。しっかりしなさい。)

文月(動きが遅いですね。もっと早く動けないんですか?)

弥生(睦月さん!さっさとしてください!)

睦月「当たり強くない!?」

飛んでくる水弾を見極眼でかわし、睦月は再び走る。
上に右に左に右にまた上に。
襲いくる電撃は全て弥生の土壁で防ぎ、目玉の真下に到着する。

弥生(師走!)

睦月「どりゃぁぁぁあ!」

氷の槍で目玉を一突き。
目玉は砕けるように消滅し、すぐに声が聞こえる。

師走(弥生。)

弥生(師走!)

睦月「あとっ!七匹!」

弥生(睦月さん。ありがとうございます!後ニンジンは英語でキャロットと言うらしいですよ。如月さんが言ってました。)

睦月「このタイミングでソレ言うとは思ってなかったよ。」

師走(睦月、我も如月から聞いた..。ニンジンは...。)

睦月「もういいよっ!シリアス台無しだよ!」

叫びながら睦月は近くの目玉を電撃で撃ち抜く。
最大の攻撃力を誇る師走の力を奪い返され、ノワールの余裕は消えていた。
強風を吹き出し、睦月の動きを制限する。
さらに、能力を切り替え連続で火球を放つ。

睦月「やばっ!」

急いで見極眼を使おうとする睦月。
しかし、その体は急に沈み出し...床の中へと消えていく。
消えた箇所に火球が被弾していき、ついには辺りは火の海と化した。
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【EXTRA STAGE】

投稿 by フロストテイル on Thu Mar 10, 2016 8:45 pm

【EXTRA STAGE】

薄暗い黒の海。
頭上では火の海が獲物を求めて踊りを見せる。
ここは床の中だろうか?そう睦月が考え足を動かすと泳ぐように前へ進める。
口を開けると、どうやら呼吸もできるらしい。
ふと、声が聞こえてくる。

長月(やァ、睦月。気分はどうだイ?)

睦月「長月?ここはどこだ?」

問いかける睦月に長月は微笑む。
子供のように、あるいは愛おしそうに。

長月(ここは床の影の中、僕の能力【影潜み】の効果で影の中を自由に動けるようにしたのサ。)

睦月「なるほど。」

長月(行動は十字キー、浮上はAボタンで潜るときはBボタンだヨ。)

睦月「お前を殴るときは?」

長月(ヤダ!睦月のエッチ!ボクにランボーするつもりでショ!森の中デ!森の中デ!)

睦月「.....二重の意味でしないからさっさと行くぞ。」

ふざける長月を置いてノワールの背後を目指して泳ぎ出す。
少し間を置いて長月が寄り添うように泳ぎ出し、スピードが増す。
そのままの勢いでのワールの背後に音もなく飛び出る。

長月(攻撃コマンドは→ → A ↑ ↓ B ニンジン=キャロットだヨ!)

睦月「最後おかしくね!?」

近くにあった目玉を二つ一気に切り裂き着地すると転がるようにその場を離れる。
もう少しで全員助けられる。
そうすれば....。

ノワール『アグァ...ゴガガァ!!』

不意にノワールが大声を上げる。
そこにはもう理性は残っておらず、ただの暴れる怪物と成り下がっていた。

ノワール『ゴァァァァァア!!』

怒声と共に炎が波のように押し寄せてくる。
恐らく葉月の氷では溶かされ、弥生の盾でも蒸し焼きにされるだろう。

睦月「だったら見極眼で..。」

文月(見極眼は避けれることが前提の技です!これには効果がないですよ!)

睦月「なら長月!」

長月(一回使うと一分待たないと使えないヨ!)

睦月「役立たず!」

長月(ウワァァァァ!睦月のバカ!ランボー!)

目の前まで襲いくる炎。
しかし、突如として吹き荒れる強風が全ての炎を吹き消した。
そして聞こえてくる笑い声。

?(ハァッハッハッハッハー!天が呼ぶ!地が呼ぶ!風が呼ぶ!戦場に巻き起こる大嵐、可憐な乙女皐月!突風のように強烈に参上!)

睦月「うるさいから如月だと思った。」

皐月(何だよー助けてやったのに。)

神無月(アハハ。ドンマイだよ皐月ちゃん。)

葉月(あら神無月。成仏しなかったの?)

神無月(ひどいな葉月ちゃん。)

文月(騒がしくなってきましたね。)

長月(どうでも良いけど攻撃くるヨ?)

がやがやと睦月の周りが騒がしい中、火球が飛んでくる。
これを土壁で防ぎ、睦月は敵の様子をうかがう。
次の攻撃は来なかった。

睦月「ん?」

攻撃が来ない代わりに、世界の終わりが来た。
部屋の壁が、床が、概念が歪み消えていく。
辺りの景色が宇宙空間のように姿を変える。
体が浮く感覚がする。先程の長月の能力内のような感覚だ。

長月(あぁン。影がなくなっちゃっタ!能力使えないヨ!)

葉月(睦月、ココからラストスパートよ。気合いを入れなさい。(`0ω0))

睦月「だったら気合い抜けるような顔文字やめろよ。」

結末が近づいている。
皆は気合いを入れなおした。(σ0ω0)σ

睦月「お前も気合い入れろよ。」
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【EXTRA STAGE】

投稿 by フロストテイル on Thu Mar 24, 2016 8:30 am

【EXTRA STAGE】

睦月「後、四匹!行くぞ!」

葉月(待ちなさい。)

安定しない体を浮かせながら睦月が敵を見る。
しかし、葉月はそれを引き止める。

葉月(ここからは更にキツい攻防になる。ちゃんと使うべき能力を見極めるのよ?)

睦月「使うべき能力...。」

長月(あ、ここ何か影がないからボクの影潜みは使えないヨ。ごめんネ。)

弥生(私の能力も土がないので...すみません。)

申し訳なさそうにする二匹に「気にするな。」と言いながら睦月は思考を巡らせる。
さっきまで談話室だったこの場は今ではまるで宇宙空間のように変化し、睦月の体のバランスを崩してくる。
どうやら呼吸は出来ることから擬似的な空間なのだろう。
しかし、影潜みも土壁も使えないとなると、敵の攻撃を防ぐには見極眼と氷壁くらいしかない。

文月(しつこいようですが見極眼は避けれることが前提の能力なので...この空間を走り回れないとなると..。)

睦月「...やばいかな?」

前方ではノワールの周りに火球が集まり始めている。
それは徐々に一つとなり大きく成長していくかのように膨らんでいく。

皐月(睦月!ここはアタシに任せな!)

睦月「皐月?お前の能力でって...っ!なるほどな!」

巨大火球が睦月めがけて放たれる。
瞬間、睦月は風を起こして自分自身を吹き飛ばす。
自身に風を当てることでその勢いを利用し、この空間を動き回る。

睦月「これは良い!まるで泳いでるみたいだ!」

次々と飛んでくるノワールの攻撃をかわしつつ、睦月は遠距離から狙いを定める。
その構えた前足に握られているのは拳ほどの氷。
そして氷に対し、瞬間的に雷を当てることで銃弾の如く氷を発射させた。

ノワール『ァァアァァァアアアアアア!!!』

睦月「良し!あと三匹!」

卯月(...あれ?ここは?)

文月(どうやら卯月君が解放されたようですね。)

卯月(あ!睦月さん。え、えっと..ニンz..。)

睦月「言わんで良い。」

卯月の言葉を遮り、次の氷を撃ち出す。
だが今度は炎で氷が溶かされ、ノワールまで届かない。

睦月「ちっ..仕方ない。近接攻撃で..!?」

時が止まった。いや、流れが遅くなったのが自分でも分かった。
しかもどうやら遅くなったのは自分だけでノワールは平然としている。
全身が鉛に包まれているかのような重さを感じた。

葉月(しまった!これは霜月のっ!)

葉月が口を動かすも、睦月に聞こえた言葉はココまで。
水弾が睦月の腹部を貫いたのは、ほぼ同時の出来事であった。
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【EXTRA STAGE】

投稿 by フロストテイル on Fri Mar 25, 2016 5:18 am

【EXTRA STAGE】

睦月「はっ!?」

気付けば時の速度は戻っており、次なる攻撃が火球となって飛んでくるのが見える。
睦月は風を起こし、間一髪回避した。

睦月「あれ、俺..確か腹を..。」

卯月(ぼ、僕が治しました...。)

不思議そうに己の腹部を確認する睦月に、卯月がおずおずと答える。

卯月(ぼ、僕の能力は成長ですから...。その、傷口付近の細胞などを..えっと、成長させて傷を塞いだんです。)

見れば傷口は塞がってはいるものの、塞ぎ口は不自然だ。
しかし血は完全に止まっているようで、痛みもない。

睦月「助かる。..それにしてもさっきのは一体?」

葉月(霜月の能力、スロウよ。対象の周囲空間の時間速度を一定時間遅くする。)

睦月「厄介な,,でも何で最初から使わなかったんだ?」

葉月(厄介な能力には欠点が付き物よ。ご覧なさい。)

言われて敵を見やる。するとどうだろうか。
今度は能力を使用したノワール自身の時が遅くなっているではないか。

ノワール『グァ..ガッ!?』

葉月(霜月の能力は使用した約1分後、3分の1の確率で使用者の時も一定時間遅くする!チャンスよ睦月!)

睦月「おぉ!」

しかし、ノワールとの間には若干の距離がある。
急いで向かおうとしても間に合うかどうかだ。
すると神無月が笑う。

神無月(俺の能力を使えばすぐさ。)

睦月が神無月の能力を発動させると、前足から一本の鎖が発射されノワールの体に刺さる。
突き刺さった鎖は発射主を引き寄せるかのように縮む。
これなら早い。

睦月「射程距離OK!行くぞ!残り3匹...返しやがれぇぇぇえ!!」

怒声とともに周囲に強烈な電撃を放つ。
それは残り3つの目玉を破壊し、ノワールを孤立させる。
もう、ノワールを守るものはいない。

霜月(にゃははぁ〜やぁ睦月〜元気ぃ?)

水無月(ん...。睦月、助ける、遅い。)

如月(じれったかったぜ!ずっと囚われってのは趣味じゃねぇ!!)

霜月(ん?どうしたの睦月〜?)

睦月「あ、いや..。何でもない。」

オレンジ色の物体が一瞬垣間見えた気がしたが気のせいだろう。
睦月はノワールに向き直る。
ふと、どこからか声が聞こえてくる。

?(夢を、見続ければ良いじゃない。いつまでも終わりのない夢を..。)

?(現実なんて辛いだけじゃないか。本当の死がないだけまだ悪夢の方が良いじゃないか。)

?(幸せな夢なんていらないわ...必要ない。)

?(幸せはすぐに壊れてしまう。僕達の様に。)

?(私達の幸せ...あの人との時間....。)

?(壊した奴らにもいつか教えるんだ。その為には、力が..。)

?((力が!必要だぁぁぁぁ!!))

脳内に響き渡る声と一緒に、ノワールが向かってくる。
それを軽くいなして睦月は呟いた。

睦月「俺達の能力は、守る為に使うべきものだ。復讐の為じゃない。お前らに協力することはできない。...そして。」


そろそろ夢から覚める時間だ。


己の能力で皆の能力を繋げ、エネルギーへと変換する。
前足を目標に向け、別れを告げた。

睦月「お休み。ノルン、ワルン。良い夢を。」

光がノワールを包み込み、浄化を始める。
むせび泣くような声が二重になって響く。
光が消えると、そこにはもうその姿はない。あったのは浮かぶ小さな光の球体が2つ。

葉月(やったわね。)

睦月「...あぁ。そうだな。」

弥生(この球体は何ですか?)

睦月「魂だよ。浄化されたあいつらのな。」

空間を泳ぐようにして、球体の元へと向かう。
それを大事そうに抱えると睦月は微笑んだ。

睦月「浄化完了だな。」

真っ暗な宇宙空間のような景色に、白い亀裂が入り始める。
どうやら夢の終わる時間が近づいているらしい。
ここで葉月が問う。

葉月(そういえば、何で悪夢なんか見続けることになったのかしら?)

師走(いや、思い出せんな。)

睦月「ま、終わったんだし良いだろ?」

如月(そうだな!)

世界が崩れていく。しかし、終わる訳ではない。
これから始まるのだ、いや、再開する。現実と、再会する。
どこからか、小鳥のさえずりが聞こえてきた気がした。
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【最終話】

投稿 by フロストテイル on Mon Mar 28, 2016 9:50 pm

【最終話】

白い天井、白い壁、家具の揃った室内。平凡な普通の部屋。
目が覚めて最初に見たのは、そんな自分の部屋だった。
長い時間寝ていたような感じがして体が重く感じられる。

睦月「ん...あぁ..。」

俺はベッドの上で大きく伸びをして、ついでにあくびを一つ。
床に後ろ足をつけ、ドアへと歩き出す。
毛並みが結構乱れている気がするが気にしない。

睦月「おはよー。」

ドアを開けながら寝起きの挨拶をする。
自室のドアを開けた先、そこには皆が集まる談話室がある。
俺が起きる頃には大体いつも2〜3匹が既に起きているはずだ。

葉月「おはよう。..まぁ、もう夕方なんだけれどね。」

見るとそこには薄紫色の毛並みをなびかせながら、同色の瞳を柔らかくこちらに向ける雌猫の姿がある。
雌猫..葉月は己の頭を撫で、睦月の寝癖の位置を教えてくる。
そしてゆっくりと起き上がり、周りを見渡す。
つられて見ると、睦月が出て来た部屋の他、合わせて12の部屋と出入り口のドアで計13のドアが眼に映る。

葉月「皆、とっくに出かけていったわよ?鈍った体を動かしたいんですって。」

睦月「元気だなぁ。」

葉月「ふふっ、私達も行くべきじゃないの?それとも、今日はもう動けないかしら?」

睦月「いや、行こう。まだ、俺達の助けを必要としている奴らがいる。」

俺は笑って、出入り口に向かう。
次の救済をする為に。

葉月「ねぇ。」

睦月「ん?」

唐突に葉月が体を寄せてくる。
葉月の体温が伝わり、呼吸がヒゲを揺らす。
視線と視線が交わり、数秒が経過する。
すると、葉月は笑って俺の前に歩きだし、振り向き様にこういった。

葉月「お仕事お疲れさまであります!...なんてね。」

睦月「....どういたしまして。...なんてな。」

二匹で並んで歩き出す。
ドアを開ければそこは外。
キレイな夕焼けが草原を包み、黄昏の訪れを知らせる。
少し離れた場所では、他の月猫達が各々運動をしているようだ。

葉月「そういえば、今回の件..事の発端は誰が起こしたか知ってる?」

睦月「ん?そういえば知らないような...覚えてないような?」

葉月「そう、私はさっき思い出したのだけれど..知りたい?」

俺は頷き、葉月を見つめる。
葉月は草原の月猫達を見て、一匹の炎を吹き出している猫を尻尾で指す。

葉月「どっかのバカが穢れを溜め込んだアノ子達の魂をどっかから拾って来て「救済だー!」とか言って談話室で叩き割ったのが原因よ。
   そのせいで談話室ごと、その場に居た私達があの世界..悪夢にご招待されたってわけ。」

睦月「............。」

俺は、ゆっくりと..ゆっくりと歩き出す。
その横に葉月が毛が擦れそうな程近く並び歩幅を合わせる。
行き先はどこかのバカの場所。
別に怒っているわけじゃない。
その証拠に、俺達は顔を見合わせ笑いながら歩いていた。

そう、怒ってるわけじゃない。
ただ.....ほら。

一発くらいは..殴っても良いと思わないか?

燃える炎の様な夕焼け。明日もきっと良い天気になりそうだ。
草原に断末魔が響き渡る中、俺はそんなことを考えていた。


[img][/img]                    


                           Fin.
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あとがき的なもの

投稿 by フロストテイル on Mon Mar 28, 2016 9:56 pm


 最後まで読んでいただきありがとうございますw
駄文の寄せ集めのような小説でしたが、完結まで書ききれることができましたw
このお話はここで終了となりますが、他の作品も書く予定なのでよろしければそちらもよろしくお願いしますw(宣伝)

では、次のお話でお会い出来ることを願っておりますw
 
                           
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Re: 猫の談話室ー月猫sideー【完結】

投稿 by DCD on Mon Mar 28, 2016 11:12 pm

完結おめでとうございます!!絶望のラストのあとのこのEND、とても面白かったです。次の話も楽しみにしています!

DCD
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Re: 猫の談話室ー月猫sideー【完結】

投稿 by フロストテイル on Mon Mar 28, 2016 11:13 pm

DCD wrote:完結おめでとうございます!!絶望のラストのあとのこのEND、とても面白かったです。次の話も楽しみにしています!

ありがとうございますw
次回作も頑張らせていただきますw!
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Re: 猫の談話室ー月猫sideー【完結】

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