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太陽と月 〜入り乱れた予言〜

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投稿 by サンウィング Sun Sep 13, 2020 7:44 pm

第17章

サイドウェイズ族の戦士達がいっせいにサンダーギャラクシーに飛びかかっていった。
「みな!この者達を取り押さえろ!」サンダーギャラクシーはサイドウェイズ族の戦士の下からか逃したようともがきながら叫んだ。ジェッドブラック族の戦士達が飛びかかっていった。
「やめて!!!」ムーンナイトが大声で叫んだ。もがくサンダーギャラクシー以外は全員動きを止めた。
「サンダーギャラクシー、ムーンナイトの意思次第で連れて帰ります」ダンデリオンギャラクシーがサンダーギャラクシーに言った。「ムーンナイト、サイドウェイズ族に戻りたい?それとも、ジェッドブラック族に残りたい?」
「もちろん、サイドウェイズ族に帰りたいです!」ムーンナイトは目を輝かせた。
「では、ジェッドブラック族の皆さん、ムーンナイトは連れて帰ります」ダンデリオンギャラクシーが宣言し、ジェッドブラック族のキャンプから出て行った。すぐ後ろにティスルファーとグラススプラウトが続き、次にムーンナイトが続く。
「お、おい!俺がまだ認めておらん!!」サンハートとメイプルポーが出ようとする直前にサンダーギャラクシーが叫んだが、ダンデリオンギャラクシーにはきこえていなかった。


最終編集者 サンウィング [ Wed Apr 14, 2021 11:33 am ], 編集回数 1 回
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投稿 by シャイニングナイト Mon Sep 14, 2020 9:52 pm

第18章

ムーンナイトは悔しがっているジェッドブラック族をチラッと見て、満足気に歩き出した。これで我が家に帰れる!
「ただいま、一族のみんな」
ダンデリオンギャラクシーが言った。
「おい、おい。混血が帰ってきたぜ!」
フレイムペルトが馬鹿にして笑いながら隣のクリアウォーターにそう言うのが私には聞こえてしまった。
「あーあ」
バザードウィングが私の横を通る時にわざとらしく聞こえるようにそう告げた。クリアウォーターはただただ睨んでくる。
「集会を始めます!」
ダンデリオンギャラクシーが大声で言った。
「ムーンナイトを連れ戻してきました。ですが、サンダーギャラクシーは納得していませんでした。なのでまた連れ去りに来るかもしれません。油断しないように。しっかりとキャンプの警備をしてちょうだいね」
ダンデリオンギャラクシーは一族を見渡した。
「お言葉を返すようですが、ムーンナイトのために一族が戦う羽目になるかもしれないって事ですよね?なら大人しくジェッドブラック族に渡した方が賢明では?コイツは混血ですし」
フレイムペルトは反論の声を上げた。
「ジェッドブラック族の言いなりになりたいの?」
ダンデリオンギャラクシーはそう言うと、反論させる暇を与えずに集会をお開きにした。
「ムーンナイト!」
ダンデリオンギャラクシーが呼んだ。
「あなたはフレイムペルトと特に仲が悪いようね。内輪で揉めている場合じゃない。明日の朝、2人で狩りの任務につきなさい」
ダンデリオンギャラクシーが厳しく言った。
「嫌です!きっと何かされてしまいます!」
ムーンナイトは反論した。
「ごめんなさい。でももしかしたら仲良くなれるかもしれない。あまり知った中では無いんでしょう?お互いを知れば混血なんて理由でいじめられないかもしれない」
ダンデリオンギャラクシーは少しでも希望を持ちたいようだ。
「.......分かりました」
ムーンナイトは不満だったが、族長の命令なので、しぶしぶうなずいた。そして、嫌々ながらフレイムペルトに報告しに行った。明日の朝に2人だけで狩りの任務に行かなければならなくなった、と。
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投稿 by サンウィング Tue Sep 15, 2020 8:24 pm

第19章

サンハートは看護部屋で夢を見ていた。
「ようこそ」急に後ろから声をかけられ、サンハートは飛び上がる。おそるおそる振り返ると星をまとった白い雄猫がいた。ダンデリオンギャラクシーの前任族長、パールギャラクシーだ。ということは、ここは夢の中!
「今日は、ムーンナイトがフレイムペルトと共に狩りに行くのだが、フレイムペルトがやらかしそうでな」パールギャラクシーが心配そうな顔になる。「少し監視してくれぬか。もちろんダンデリオンギャラクシーにはいってくれ」そういってパールギャラクシーの姿は薄くなりはじめた。
「ひ、一騒ぎ起こるとは?」サンハートがきいたときにはもう、パールギャラクシーは消えていた。

「サンハート、大丈夫ですか?お告げでしょう?」目を開けるとメイプルポーの濃い茶色の毛が見えた。「あと、リーフがいません!」
「え・・・?リーフ・・・?」寝ぼけていたサンハートはいわれた直後にはわからなかったが、すぐに飛び起きた。「え!?リーフ!?」
リーフというのはサンハートの飼っているリスで、なぜかメイプルポーのほうになついている。
「お告げ、どんな内容だったんですか?」メイプルポーがきく。サンハートは驚く。お告げのことがわかるの!?
「えと、無理なの。教えられない」サンハートは答え、リーフより優先するべきことをやる。
「わたし、ダンデリオンギャラクシーに用があるから!よろしくね!」サンハートは看護部屋を出ていきながら後ろに叫ぶ。
「え!?あ、は、はい!」メイプルポーは戸惑いながらも返事をくれた。
パールギャラクシーによると狩りに行くのは朝だ。すぐにダンデリオンギャラクシーにいわなきゃ、監視のこと!
「ダンデリオンギャラクシー!ちょっといいですか!」サンハートは族長部屋に駆け入る。
「ええ。どうしたの、サンハート?」ダンデリオンギャラクシーがきく。
サンハートはお告げのことをはなし、監視の許可を求めた。ダンデリオンギャラクシーは許可してくれたが、戦士を一匹連れて行けと言われた。サンハートはブルーアイを連れて行くことにした。ブルーアイは快く一緒にきてくれた。すぐにムーンナイト達の姿を探した。
「おい、混血!」フレイムペルトの怒鳴り声がきこえ、そちらを見るとフレイムペルトがしっぽをふくらませ、ムーンナイトに話しかけていた。ムーンナイトはしかめっつらで、きいているのかきいていないのか。きかないほうがいい、とサンハートは思った。
サンハートはじぃっとフレイムペルトを見つめる。最近はよくフレイムペルトの考えをみるなあ、と思いながら。そして、思いや考えが頭に浮かんできた。
『混血と狩りなんて、とてつもなくいやだ!』強く思っているのはこれらしい。
『たとえ副長だろうと殺してやる。二人きりはいやだが、いいチャンスだ!』サンハートはこの考えを見た瞬間、パールギャラクシーのいっていたことはこれか、と納得した。
「サンハート?なにフレイムペルトを見つめてぼーっとしてるの?看護猫だから恋愛はしちゃだめだからね?」ブルーアイに邪魔されてしまった。声をかけられた瞬間、頭に浮かんでいた考えが消えていった。
「ううん、なんでもない」サンハートは笑ってごまかした。
「行くわよ」ムーンナイトとフレイムペルトがキャンプを出ていった。
サンハートとブルーアイは後を追ってキャンプを出た。ばれないように気をつける。


最終編集者 サンウィング [ Sat Feb 20, 2021 6:53 pm ], 編集回数 1 回
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投稿 by シャイニングナイト Wed Sep 16, 2020 7:20 pm

第20章

ムーンナイトはふと立ち止まった。耳をピクっと動かして、振り返った。だが、誰もいない。なのに視線を感じるのはなぜ?
「おい!サッサと行くぞ!」
フレイムペルトのイラだった叫び声がした。
「そんなに急いでどうするのよ」
私は小さな声でボソッと言うとフレイムペルトの横に立った。
「私はあっちの小川の近くで獲物を狙うから、あんたは森の方で獲物を探して」
ムーンナイトはそう指示すると、小川に向かって歩き出した。ようやくフレイムペルトを追い払ったわ!族長の命令には背くが、さっきまでの間にもフレイムペルトは1度も友好的な態度を見せなかった。すると、フレイムペルトのにおいがした。
「何?」
私は振り返ってたずねた。
「ここで獲物を狙おうと思って、な」
フレイムペルトはニヤッと嫌な笑いを浮かべた。
「獲物はこの辺りには居ないわ」
ムーンナイトは後ずさりながら言った。
「獲物はお前だ!!!」
フレイムペルトは叫ぶと、牙と爪をむき出して襲いかかってきた。ムーンナイトは突然の出来事に驚き、受け身が取れずにもろにくらい、無様に倒れ込んだ。
「私の何が気に食わないの?!混血が気に食わないなら混血を産んだお母さん━━ダークネスケーブ━━も恨むはずじゃないの?!なぜ私だけなのよ!」
ムーンナイトは押さえつけられながらも叫んだ。
「そんなのお前が副長だからだ。俺の方が優秀だった。今だって俺にあっさり負けてるじゃないか。なのにお前が副長になった。俺より優秀だったり俺より年上の猫が副長だったら恨まなかったさ。でも副長になったのは俺より年下、俺よりは不優秀、混血。俺は戦士の掟に忠実な戦士だ。他部族恋愛は禁止という戦士の掟を守るため、俺はお前を一族に受け入れるべきでは無いと訴えた、追放すべきだと。でも誰一人として話を聞かない!全てお前のせいだ!」
フレイムペルトは悲しみと憎しみの入り交じっている血走った目をこちらに向けている。私は少し同情を覚えた。フレイムペルトの主張はほぼ間違っていない。いじめてきた事を許す気にはなれない。だが、仲を何とかするなら今だ。
「私だって.......、私だって自分が副長になったなんて驚きだったわよ。自分が無能なことぐらい自分が1番分かってる。あなたの主張はほぼ間違っていない。でも、1つだけ間違っているわ。それは、だからって私をいじめること。いじめるなんて卑怯極まりないわ。それは、素晴らしい戦士とは言えないと思う」
ムーンナイトは落ち着いて答えた。フレイムペルトの目に驚きの表情が浮かぶ。
「卑怯.......か」
フレイムペルトはつぶやいた。最後の方はは余計だっただろうか?これで失敗したらどうしよう.......。
「やっぱり気に食わねぇ.......」
フレイムペルトはボソッと言うと、私を離した。何とか上手くいったようだ。ダンデリオンギャラクシーは初めからこれを予想していたんだろうか?まあ、とにかく。フレイムペルトにも変化が現れた。これからの態度が少しでも変わることを祈るしかないわね。私はふと思い出した。そういえば、途中で感じた視線はなんだったのだろうか?
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投稿 by サンウィング Wed Sep 16, 2020 8:11 pm

第二十一章

サンハートはどきどきしながら見ていたが、フレイムペルトがムーンナイトを離したのでほっとした。それにしても、ムーンナイトが途中でこっちを見たのにはもっとどきどきした。見つかってはまずい。「俺はあっちに行くから、おまえはあっちに行け」フレイムペルトが偉そうにいった。サンハートはまた考えをのぞこうとしたがやめた。さっきのぞいたとき、フレイムペルトは見られているのを感じたのか、顔をしかめたのだ。あれはのぞかれているとき限定の症状だ。少しだけ普通のしかめっつらとは違う。
「ムーンナイトが、危なかった!ダンデリオンギャラクシーに!」隣でブルーアイが大きめな声を上げた。サンハートはまずい、と思った。慌ててブルーアイの口にしっぽをあてる。
ムーンナイトがこっちを向く。「今何か声がしたような・・・・・?」そういってこっちに来る。サンハートは慌てた。このままじゃばれちゃうよ!
サンハートはすぐにブルーアイに「狩りのふり!」と小声で耳打ちし、茂みを飛び出してななめ後ろにあった茂みに飛び込んだ。
「!?」ムーンナイトが驚いた顔をする。ブルーアイもそうだ。
「あれ、ブルーアイ、なにやってるんですか?」ムーンナイトがブルーアイに気付き、きいた。
「か、狩りよ」ブルーアイがいった。演技力が無いんだから!
「そうなんですか。獲物、多く獲れるといいですね!」ムーンナイトはそういって狩りをしにこっちに来た。サンハートはぎょっとした。が、ムーンナイトは素通りしてくれた。た、助かった・・。
サンハートはゆっくり茂みから出て、キャンプに向かった。
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投稿 by シャイニングナイト Thu Sep 17, 2020 7:11 pm

第22章

ムーンナイトはウサギとクロウタドリ、ネズミをくわえてフレイムペルトと合流した。さすがに共に帰らないとまずいだろう。別々に狩りをしていた事がバレたらまずい。フレイムペルトの口をチラッと見ると、ネズミとハタネズミが口からぶら下がっている。
「これ、やろうか?」
フレイムペルトがもごもご言いながら太ったハタネズミを見せた。ムーンナイトはどう返答すべきか考えた。
「自分の獲物ぐらい自分で捕れるわ」
ムーンナイトは強気な態度をとることを選択した。すると、フレイムペルトは押し殺した唸り声をあげた。気に触ったんだろうか?唸り声を抑えようとしているが、抑えきれていない。もしかすると、少し仲良くするという考えが生まれたんだろうか?
「まあ、一族全員に行き渡ったあとなら」
ムーンナイトは慌てて付け足した。すると、低い唸り声がした。フレイムペルトを見ると、違うというように首を横に振った。ツンとするキツい嫌なにおいが漂ってきた。
「キツネだ」
フレイムペルトが獲物を落とし、サッと地面に埋めた。私も慌てて自分の分を埋めた。キツネはゆっくり近づいてきた。鋭い牙と爪を光らせて唸りながら向かってくる。デカい雄ギツネだ。後ろから気がたっている雌ギツネも現れた。腹が膨らんでいないのを見ると、もう出産済みのようだ。
「ブルーアイ?!いない?」
ムーンナイトは加勢を頼もうと思い、声を張り上げた。だが、返事はない。キツネはその大声を威嚇ととらえたようだ。そのキツネ夫婦は身を躍らせて襲いかかってきた。私は向かってきた雄ギツネの鼻面を引っ掻いた。フレイムペルトは雌ギツネの首筋に噛み付いている。
「誰かいない?!パトロール隊は?!」
ムーンナイトは甲高い声で叫んだ。確かこの辺りにもパトロール隊を用意したはずだ。その声が更にキツネを刺激していたようだ。雄ギツネが私の尻尾に食らいついた。
「は、離しなさいよ!!!」
ムーンナイトはクルっと振り返り、雄ギツネから尻尾を引き抜こうとした。だが、更に痛みが増しただけだった。私は雄ギツネに放り投げられた。思い切り地面に叩きつけられる。私は意識がだんだん薄らいでくるのを感じた。私は大きく飛んで襲いかかろうとする雄ギツネと、やや躊躇った後で私を助けるために走り出したフレイムペルトを最後に目を閉じた。
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投稿 by シャイニングナイト Thu Sep 17, 2020 7:11 pm

(死にません!)
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投稿 by サンウィング Thu Sep 17, 2020 8:01 pm

第23章

サンハートはキャンプに帰って薬草のえりわけをしていたが、甲高い声がきこえ、はっとあたりを見回した。だが、キャンプは静かだ。
「さ、サンハート!今の―」「ええ、きこえた!」メイプルポーがぎょっとした顔でいったが、サンハートがさえぎって答えた。
サンハートは看護部屋の出入り口から外をのぞいたが、他の猫にはきこえていなかったようだ。でも、メイプルポーもきこえていたのだから、サンハートの聞き間違いではないことは確かだ。
「・・・・・みんな!キャンプの外にパトロール隊を!」サンハートは力いっぱいいった。キャンプの猫達がいっせいにサンハートを見た。
「パトロール隊?」いつのまにか戻っていたブルーアイがいった。
「うん」サンハートは焦った口調でいった。
「看護猫がそういうのなら送り出しましょう!先程のパトロール隊、行って!」ダンデリオンギャラクシーが指示した。「サンハート!案内!」

「多分、こっちです」サンハートはいった。サンハートは口を開けて息を吸った。フレイムペルトとムーンナイトのにおいがする!「こっちです!!」
サンハートは駆けていくと、そこには、地面に力なく横たわっている黒い猫―ムーンナイト―と、必死で戦うフレイムペルトがいた。
「フレイムペルト!応戦に来たよ!」フラワースマイルがフレイムペルトに駆け寄り、並んで戦う。トールツリーも一緒に戦いに行った。
看護猫のわたしにできることはただ一つ。ムーンナイトの処置!サンハートはムーンナイトに駆け寄ると首筋をくわえて近くの茂みの中に引きずって行き、けがを見た。気を失っているようだ。でも、生きている。しっぽを噛まれたのか、血が流れている。耳の先が裂けている。
「ん・・・」ムーンナイトがうっすら目を開けた。まだ意識がぼーっとしているようで、目はうつろだ。「サンハート?わたし・・・・」
「ムーンナイト!よかったぁ!」サンハートはほっとして大声でいってしまったが、すぐに口を閉じた。キツネが来ちゃう!だが、来なかった、よかった。
「そうだ!キツネは!?」今度はムーンナイトが大声を出した。サンハートはしーっと合図した。
「キツネは今戦士達が片付けてるから、あなたはここで身を隠していて。わたし、見てくる」サンハートはそう告げて茂みの間から外からのぞいた。雌ギツネはいなかったが、雄ギツネがまだ戦っていたが、弱っていた。
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投稿 by シャイニングナイト Fri Sep 18, 2020 7:54 am

第24章

ムーンナイトは茂みから出て行った。「あなたはここで身を隠していて」とサンハートに言われたが、副長が隠れていて他の者だけに戦わせるなんて有り得ない。
「子ギツネがいるはずよ」
ムーンナイトはゆっくり進んで告げた。
「なぜ分か.......」「出てきちゃダメよ!安静にしてなきゃ」
フレイムペルトが口を開いたが、サンハートがさえぎった。ムーンナイトは首を横に振った。
「いいえ、私だけが安静になんてしてられない。私も戦うわ、副長だもの。さあ、子ギツネを探しましょう」
ムーンナイトは歩き出した。足に激痛が走る。だが、その足をかばって無理に歩いた。
「なぜ分かる?」
フレイムペルトがイライラした様子でたずねた。
「逆に分からなかったの?雄ギツネと雌ギツネは私たちを殺したいというよりはこの先へは行かせないというような感じだった。そして、雌ギツネのお腹は膨らんでいなかったし、乳のにおいがした」
ムーンナイトは振り向かずに答えた。
「どこにいるか、分かるのか?」
トールツリーが不思議そうにたずねた。ムーンナイトは目を閉じた、みんなにバレないように。ジェッドブラック族との境界線近くの木のうろに子ギツネ達が親を探して鳴いている。そこで、私は意識を戻した。
「こっちよ」
ムーンナイトは再び歩き始めた。フラワースマイルが「なぜこんなに自信満々なのかな?」とトールツリーにたずねている以外は静かすぎるぐらい静かだ。そして、木のうろについた。
「うえっ!キツネのにおいだ」
フレイムペルトが文句を言った。
「子ギツネをどうするの?」
サンハートがたずねた。
「もちろん、追い払うわ」
ムーンナイトは言い、近くにいたネズミを素早く捕まえた。みんなは怪訝な顔をしている。だが、私は気にせずにネズミを木のうろから少しだけ離れた場所に置いた。すると、子ギツネ達が餌を求めて全員うろから飛び出してきた。
「今よ、かかりなさい!」
ムーンナイトは1番大きな子ギツネに飛びかかった。その時だ。ズキンと足が痛んだ。子ギツネがしっかりと食らいついている。私はそいつをすぐに振り払い、脇腹を引っ掻いた。子ギツネはキャンキャン言いながら一目散に逃げていった。子ギツネ退治はたやすかったわね。ムーンナイトは当たりを見回した。ちょうどフラワースマイルが最後の子ギツネを追い払ったところだ。
「やったわね。さ、キャンプに帰りましょう」
ムーンナイトはそう言うと、キャンプに向かった。このキツネの事で、後に問題が出来ることを知らずに━━。
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投稿 by サンウィング Fri Sep 18, 2020 8:18 pm

第25章

サンハートはキャンプに帰ってムーンナイトを看護部屋で手当てしながらメイプルポーからの説教を受けていた。年近いからいいけど。
「看護猫なのにあまり看護猫の仕事をしていないじゃないですか!弟子からで申しわけありませんが、副長の手当てが終わったらクモの糸を採ってきてください!フレイムペルトの怪我に使ってしまったので」と、メイプルポーがあーだこーだともうしばらく指導者に説教していた。
サンハートは目に反省の色を浮かべ、メイプルポーをじっと見た。反省じゃなく、考えを見るつもりだ。相手は看護猫だから慎重に。
『看護猫の仕事しなくて看護猫といえるか!?』
もっと奥を見てみる。『サンハートは何か秘密をムーンナイトと持ってるような気がする』
やばっ、ばれそう。特別な力が。サンハートはもう少しだけ深く探ってみよう。
『ダンデリオンギャラクシーもサンハートと副長とよく話すし・・・・』
サンハートはのぞきをやめた。そろそろ看護猫だと気付いてしまうだろう。
「サンハート、クモの糸!聞こえないんです!?」メイプルポーがイライラしながらいった。のぞきをやめた直後は意識がぼーっとする。
「あ、うん、オッケー、採ってくるね。誰に対してもそんなふうに偉そうにするんじゃないよ!」サンハートはそういって看護部屋を出た。ムーンナイトが苦笑いしながら見送ってくれたのがサンハートの振り返っていた視界の端に見えた。

サンハートはクモの糸を片方の前足にどっさり巻き付けてキャンプに帰った。これだけあればまた戦いがあってもクモの糸は足りるだろう。
「サンハート」フレイムペルトが声をかけてきた。「ムーンナイト、大丈夫?」サンハートは驚いた。フレイムペルト、ムーンナイトを嫌っているのに!戦いの前に何かあったの?
「ええ、大丈夫。しっぽの傷跡は後遺症として残るかもしれないけど命にはかかわりないわ」サンハートは答えた。
「そうか。ならいい。時間とってすまなかった」フレイムペルトはサンハートの答えをきいて少しほっとした表情をしたが、返事の声はそっけなかった。
サンハートはフレイムペルトの変わりように驚きながら看護部屋にクモの糸を置きにいった。
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投稿 by シャイニングナイト Sat Sep 19, 2020 9:41 am

第26章

キツネ騒動から1日経った。尻尾はまだ痛むが、狩りやパトロールぐらいなら大丈夫だとサンハートに言われた。
「見て!混血が出て来たわ!」
クリアウォーターがフレイムペルトの横で聞こえよがしに叫んだ。バザードウィングが遠くからこちらを睨む。フレイムペルトはいつもなら嘲ってくるはずだが、今は視線をずらしただけだ。ダンデリオンギャラクシーがそれを見て少し驚いたような表情を見せた後、満足そうな顔をした。
「トールツリー、ジェッドブラック族との境界線側をパトロールしてきて」
ムーンナイトはいつもの副長の仕事を始めた。
「ティスルファー、先輩は狩りへ行ってください」
ムーンナイトは丁寧に告げた。トールツリーとティスルファーが仲間を呼びに行ったので、これで何匹か仕事を持てただろう。
「後の者は自由に過ごして」
ムーンナイトはそう言い、自分はどうしようかと考えた。
「混血副長は何もしない気かしら」
クリアウォーターが馬鹿にして笑った。
「あんたこそ、私なんかに構ってないでサッサと何か仕事をしたらどう?」
ムーンナイトは切り返した。そうだ、ライオンポーの指導をしよう。私は見習い部屋へ向かった。すると。
「ムーンナイト!いつまで僕の訓練を放棄するつもりだったんですか?!僕を忘れてたわけじゃないだろう?まったく、ムーンナイトは指導者としての自覚が足りてないよ!だいたい、ムーンナイトは.......!」
ライオンポーはどうだのこうだのと説教を始めた。まるでメイプルポーみたいだ、と私は思った。だが、私はサンハートではない。
「指導者に向かって説教しないで」
私は途中でさえぎった。
「なら、早く訓練の遅れを取り戻しましょう」
ライオンポーは私をつついた。
「分かった、分かったから」
ムーンナイトはそう言って弟子と共にキャンプを出た。
「じゃあ、行くわよ」
ムーンナイトは訓練をする場所まで来ると、飛びかかった。ライオンポーの背中に乗っかる。そして、そのまま転がり、木に向かって投げ飛ばした。ライオンポーは驚いた顔をする。
「てっきり背中に乗ってきて爪を立てると思いました!」
ライオンポーは感心と尊敬で目を輝かせている。
「ええ、でも意外と簡単よ。大柄な相手でも転がった勢いで投げ飛ばすからある程度なら投げ飛ばせる」
ムーンナイトはさっきの技をもう一度やって見せた。今度はライオンポーを相手にせずに動きだけで。
「なるほど.......!」
ライオンポーは見よう見まねでやった。
「なかなかいいわね!じゃあ、次は.......」
ムーンナイトは今日1日弟子の訓練をして過ごした。今日はかなり疲れた。でも、何だか爽快な疲れだ。私は戦士部屋に入ると、すぐに眠気が襲ってきた。私は誰かが隣にきて、リズミカルにグルーミングされて気持ちよくなり、眠りに落ちた。その誰かがフレイムペルトだった事は、フレイムペルトしか知らない。
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投稿 by サンウィング Sat Sep 19, 2020 10:20 am

第27章

キツネ騒動から2日たった日。
サンハートはダンデリオンギャラクシーの思いをのぞこうとしていた。ダンデリオンギャラクシーはキツネ三匹分ほど離れたところにいる。
「サンハート?どうかしたの?」サンハートがのぞく前にダンデリオンギャラクシーが声をかけてきた。じっと見られていたらそりゃ何かと思いますよね、はい。
「なんでもないです」サンハートは答えた。すると、メイプルポーが駆け寄ってきた。
「ライオンポーが咳しているんですが、コフ系の病気じゃないですよね?」メイプルポーが伝えた。「見なければわからないけど、まだ枯れ葉の季節ではないからコフ系ではないと思う」サンハートは答えた。「風邪だと思う」と、付け足した。
「よかったです!」メイプルポーはほっとした表情をして、ライオンポーの寝ている見習い部屋に入っていった。
「サンハート。ムーンナイトにライオンポーのテストをしてもいいんじゃないかと伝えてくれる?」ダンデリオンギャラクシーがいった。サンハートがうなずくと、ダンデリオンギャラクシーは満足げに去っていった。
サンハートはムーンナイトを探し、族長部屋の前で仕事のわりあてしているムーンナイトを見つけた。「ムーンナイト!ライオンポーのテストをしたらどうかってダンデリオンギャラクシーがいってたよ!」サンハートは伝えた。
「わかった」ムーンナイトは小さくうなずくとまた仕事のわりあてに戻った。
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投稿 by シャイニングナイト Mon Sep 21, 2020 8:14 am

第28章

ムーンナイトはライオンポーを早朝に叩き起した。あの日はライオンポーが咳をしていたので1日安静にさせた。
「なんですか.......」
ライオンポーは寝返りを打った。
「狩りのテストするわよ!」
ムーンナイトはイライラしたように言った。なによ、昨日は訓練、訓練って言ってきたくせに!
「てすとぉ.......?.......テスト?!」
ライオンポーは眠そうに言った後、飛び起きた。
「ごめんなさい、すぐにしましょう!」
ライオンポーは慌てて毛繕いを始める。
「戦いのテストは狩りのテストが終わった後キャンプにいた暇そうな戦士に声をかけましょう」
ムーンナイトは言った。
「クリアウォーターとフレイムペルトはやめてくださいね。クリアウォーターは無駄に厳しいし、フレイムペルトは偉そうだし」
ライオンポーが言った。
「クラウディストーム辺りが望ましいけれど、暇かどうかは分からないわ」
ムーンナイトは肩をすくめて歩き出した。ライオンポーが慌ててついてくる。
「じゃあ、今から私はこっそりあなたを監視しておく。なるべくたくさんの獲物を捕えてきて」
ムーンナイトはサッと尻尾を振った。ライオンポーはうなずくと、すぐに茂みに消えた。さて、そろそろ私も追いかけなくちゃ。ムーンナイトは足を滑らせて無音で茂みの中を動いた。今はライオンポーはコマドリを狙っている。ライオンポーは見事なタイミングで飛びかかり、仕留めた。それから、ライオンポーはネズミを2匹捕まえた。上出来ね。すると突然、ライオンポーは口を開けて辺りのにおいを嗅いだ。
「ムーンナイト!どこですか?!」
ライオンポーは鋭い声で私を呼んだ。私はライオンポーのすぐ側の茂みから這い出してきた。
「ジェッドブラック族が我々の縄張りに侵入しています。多分、かなりの数です。キャンプに向かってます!」
ライオンポーは早口で一気に喋った。私は返事をする間も惜しんでキャンプに走り出した。そして、振り返らずにライオンポーに言った。
「パトロール隊や狩り部隊を連れ戻してきて!」
ムーンナイトは叫んだ。ライオンポーは踵を返して森の中へ駆け戻った。私はキャンプにつくなり、叫んだ。
「ジェッドブラック族よ!襲撃よ!」
一族が驚きながらキャンプの真ん中に集まってきた。ちょうどその時、ジェッドブラック族が入ってきた。
「俺たちの縄張りにキツネを追い込むとは何事だ、サイドウェイズ族!キツネを使って我々を弱らせて縄張りを盗ろうなんぞ、無理な話だぞ」
ジェッドブラック族の族長、サンダーギャラクシーは唸った。ダンデリオンギャラクシーは前へ進み出た。
「あなた達を弱らせようとも、縄張りを奪おうとも思ってないわ。キツネを追い込んでしまった事は申し訳な.......」
ダンデリオンギャラクシーは丁寧に謝罪を始めた。が、その言葉が終わる前にサンダーギャラクシーは飛びかかった。ジェッドブラック族も襲いかかってくる。戦いは突然始まった。卑怯者!
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投稿 by シャイニングナイト Wed Sep 23, 2020 7:54 pm

第29章

私は飛びかかってきた焦げ茶の雄猫を投げ飛ばした。キャンプは敵で溢れかえっている。何匹かのジェッドブラック族の戦士がこちらを見ている。私はもう二度とジェッドブラック族なんかに行かないぞ!私はひたすら敵を片付けていった。その時、横から誰かに体当たりされ、押さえつけられた。誰だろうかと見上げると、そこには青みがかった薄い灰色の猫が━━クリアウォーターが━━勝ち誇ったような顔をしている。
「これは戦士の掟に反する行為よ!」
ムーンナイトは叫んだ。クリアウォーターはそんな私の声などまるで聞こえていないかのように喋りだした。
「これはフレイムペルトが考えた作戦よ。あなたが副長になった日に計画した作戦。戦いに紛れてあなたを襲うというね」
クリアウォーターは淡々と言う。
「戦士の掟に反する行為よ。それに、混血という理由だけで襲うなんて族長が怒るわ」
ムーンナイトは繰り返した。
「何言ってるの?族長も戦士達も看護猫も、弟子でさえもがあなたが副長になるべきではないと思ってるわ」
クリアウォーターが馬鹿にしたような驚いたような表情をした。私はショックだった。絶望のどん底に落とされた気分だった。
「嘘.......。嘘をつかないで.......」
ムーンナイトは嘘であって欲しいと願い、絞り出すように言った。
「嘘なんかじゃないわ」
クリアウォーターはハッキリと告げた。
「逃げなさい、一族から消えなさい。どうせここにいても辛いでしょう?新しい住処を探しなさいよ」
クリアウォーターが囁いてきた。私はショックのせいで思考が鈍っていた。私が一族に忠誠を誓う意味は?ここで生きる意味は?いじめに耐える意味は?私が力を手に入れた意味は?私が生まれてきた意味は?もう分からない.......。
「分かった?」
クリアウォーターが再び聞いた。私は走り出した。全てに裏切られた。私の今までの努力が全て踏みにじられてしまった。
「おい、そこの嬢ちゃん。お前はこの辺りの猫の仲間かい?」
ツンとする腐った獲物のにおいを漂わせている猫が聞いた。
「仲間に裏切られたから逃げてきたの」
ムーンナイトは惨めな気持ちで答えた。
「じゃあ、俺たちに協力してくれ」
臭い息を吐きながらソイツは言った。私にはもう全てがどうでもよく感じていた。
「なんでもいいわ」
私は虚ろな目を空に向けた。その空は私の気持ちとは裏腹にとても綺麗な青空だった。

キャンプはボロボロで修復が必要な状態だったが、なんとか戦いには勝った。ムーンナイトに言ったみんなはムーンナイトを悪く思っているなんてもちろん嘘だ。殺さずにムーンナイトという存在を消すための嘘。その時、フレイムペルトが言った。
「ムーンナイトはどこだ?」
フレイムペルトの声はキャンプ中に響き渡った。みんながキョロキョロし始める。すると、トールツリーが口を開けた。
「クリアウォーターがムーンナイトをキャンプから逃がしていました」
みんながいっせいにこちらを向く。面倒ね.......。でもキチンと言い訳は用意してある。
「ムーンナイトは私に襲いかかって来ました。不忠実な行いだったので一族から追い出しました」
クリアウォーターは丁寧に頭を下げた。
「ムーンナイトがそんな事をするはずがないわ!」
サンハートが反論した。
「静かに。クリアウォーター、勝手な判断は良くない。ムーンナイトの言い分を聞きましょう。捜索隊を出します」
ダンデリオンギャラクシーは落ち着いて告げた。バザードウィングは清々した、という顔をしている。私は嬉しさを隠しきれない、ムーンナイトがいなくなったのだ!だが、フレイムペルトはうつむいていた。結局ムーンナイトは見つからなかった。

「真夜中になりました。新しい副長を指名します。.......ただし、ムーンナイトが帰ってきて言い分を聞いて無実だった場合、副長はムーンナイトに戻します」
ダンデリオンギャラクシーは沈んた声で言った。少しだけ間が空いた。まるで新しい副長を指名するのを躊躇っているかのように、ムーンナイトを懐かしがっているかのように。
「ティスルファーを新しい副長に指名します」
ダンデリオンギャラクシーはようやく告げた。灰色の戦士は驚きながらも立ち上がった。
「ま、まさか選ばれるなんて夢にも思わなかった。ムーンナイトの分までしっかり頑張ろうと思う」
ティスルファーはうやうやしく頭を下げた。そして、今日という日は終わった。
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投稿 by サンウィング Wed Sep 23, 2020 7:59 pm

間違いです!無視で!


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投稿 by サンウィング Wed Sep 23, 2020 8:16 pm

第30章

ジェッドブラック族との戦いの翌日。
サンハートはこっそりムーンナイトを探していた。ムーンナイトが仲間に襲いかかるわけがない。あのとき、クリアウォーターの頭をのぞいた。
『あいつが消えてせいせいしたわ!今ごろどこで泣いているでしょうね!』と、ばかにしていた。
サンハートはムーンナイトのにおいをたどい、今、なわばりではないところにきていた。これで雨が降ったら最悪だ。
と、そのとき声がした。「協力って、なにをすればいいの?」ムーンナイトの声だ!
サンハートが声のした方法を見ると、茂みがあり、茂みの中からきこえてくるようだった。サンハートは草と草の間からのぞいた。
「嬢ちゃん、やることは簡単だぜ」サンハートの知らない茶ぶちの雄猫がにやっとした。この猫へ悪だくみを考えているわ!
「ムーンナイト」サンハートは茂みの中に顔を突っ込んだ。二匹が目を見開きながらこっちを見る。「帰ってきて。あと何が起こったのかはなして」サンハートはそういった。ムーンナイトがしばらくサンハートを見つめていた。
「サンハート。クリアウォーターに襲われて出ていったの」ムーンナイトはゆっくり低い声で話した。絶望のどん底にいるようだ。
「………とりあえずキャンプに帰ってダンデリオンギャラクシーに話して」サンハートはムーンナイトをまっすぐに見つめた。茶ぶちの雄猫が珍しい物を見るかのようにサンハートとムーンナイトを交互に見ていた。
「…わかった。わかったけど、クリアウォーターには会いたくない」ムーンナイトはしばらく考えたのち、口を開いた。サンハートはやった、と思った。
二匹は、茶ぶちの雄猫を置いてキャンプに帰った。
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投稿 by シャイニングナイト Fri Sep 25, 2020 7:59 am

第31章

ムーンナイトはおぼつかない足取りで歩いた。サンハートが心配そうにこちらを見てくるが、きっと偽りだろう。
「捜索が足りないわ!なぜもっと真剣に探さないの?!どうして捜索隊を出さないの?探し方が足りないわ!」
ダークネスケーブの取り乱した声がする。
「ムーンナイトを連れてきました!」
サンハートがみんなに聞こえるように叫んだ。みんながいっせいにこちらを向く。全員が驚いている。
「ムーンナイト?あなたを言い分を聞かせて」
ダンデリオンギャラクシーはうながした。
「私はクリアウォーターに襲いかかられました。「あなたは誰にも必要とされていない」と言われました。「逃げなさい」と言われたので逃げました」
ムーンナイトは淡々と告げた。
「なぜ言いなりになったりしたの?」
ダンデリオンギャラクシーは落ち着いてたずねた。
「みんなに信用されていないならいる意味が無かったからです」
ムーンナイトは小さな声で答えた。
「信用しているに決まってるでしょう?」
ダンデリオンギャラクシーは優しく言った。私はゆっくりと顔を上げる。優しい眼差しがいくつもある。何匹かは別の表情をしていたが、今は気にならなかった。
「本当ですか?」
ムーンナイトは聞き返した。
「本当よ。ティスルファー、貴方には悪いけど、副長はムーンナイトに戻すわ」
ダンデリオンギャラクシーは告げた。
「俺はそれで構わないよ」
ティスルファーもムーンナイトが戻ってきて喜んでいた猫の1匹だ。ムーンナイトは嬉しさと同時に2つの怒りが湧いた。クリアウォーターが嘘をついたことへと、その嘘を見抜けなかった自分への怒りだった。
「おかえり、ムーンナイト」
フレイムペルトが言いにくそうに言った。私は嫌な気分になった。誰のせいでこんなことになったと思っているの?元々あんな酷いことをされていたのを私は許してないわ。私は無視してサンハートに連れ戻しに来てくれてありがとうと伝えるために看護部屋へ向かった。だが、フレイムペルトの傷ついた顔が頭から離れなかった。
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投稿 by シャイニングナイト Mon Oct 19, 2020 8:43 pm

第32章

がさりと音を立てて私は看護部屋に入った。サンハートが直ぐにこちらを向いた。
「あ、ムーンナイト!」
サンハートはにこやかに迎えた。
「私を迎えに来てくれてありがとう」
ムーンナイトははにかんで告げた。
「当たり前じゃない!」
サンハートは勢いよく言った。ああ、私は馬鹿じゃないのか?サンハートが信用出来る事も、優しい事も、自分が1番よく知っているじゃないか。
「あのさ。クリアウォーターはさ.......」
ムーンナイトは囁き声でクリアウォーターに告げられた話をした。サンハートは驚く。
「クリアウォーター、なんてずる賢いの!殺さずにムーンナイトの存在を消す方法を考えるなんて!それに、フレイムペルトが提案してるからクリアウォーターは絶対に大罪にはならないんだわ」
サンハートは吐き捨てるように言った。
「そうよね。あ、話を聞いてくれてありがとう。いくらかスッキリしたわ。またね」
ムーンナイトは愛想良く尻尾を振って看護部屋を出た。

ムーンナイトは衝撃のあまり悲鳴をあげた。
「あんた!なんで戻って来た?!戻ってきてなんかいい事ある?!私達にいじめられるだけじゃない!私達だってあんたがいると嫌なんだし!そのまんま消えれば良かったのに!!!」
クリアウォーターが私を押さえつけて怒鳴っている。
「離せよ、告げ口されたら厄介だろ」
バザードウィングがボソッと言った。
「バザードウィング、確かにそうだけど、まだ言いたいことがあるの!最後に1つだけ!!!」
クリアウォーターはバザードウィングに向かって叫ぶと、キッとこちらに向き直った。
「ムーンナイト、フレイムペルトに何を吹き込んだ?!あんたと2人で狩りに行ってからすっかり様子が変わっちゃったじゃない!」
クリアウォーターは私の脇腹に爪を突き立てた。鋭い痛みが走り、私は抵抗したが、クリアウォーターの力は凄かった。
「あんたは目障り!目障りよ!!!混血の癖に副長になるわ、フレイムペルトの心を奪うわ。本当に消えてよね!!!」
クリアウォーターは言い終えるなり私を突き飛ばした。私は木にぶつかる。バザードウィングとクリアウォーターは静かに立ち去った。無力な自分に腹が立つ。私はいら立ちのあまり、グッと唇をかみ締めた。
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投稿 by シャイニングナイト Sun Oct 25, 2020 11:46 am

第33章

ムーンナイトが帰ってから1ヶ月ほど経った。
「ムーンナイト。ちょっと良い?」
クリアウォーターが珍しく微笑んで告げた。
「な、何」
私は警戒して聞いた。
「一緒に狩りに行きましょう」
クリアウォーターは私を尻尾で軽く叩いた。
「どうして」
私は一切警戒を解かずにたずねた。
「いいから」
クリアウォーターの声がキツくなった。私は断る理由が見つからなかった。一族から信用してもらうためにも行かなくては。

「ムーンナイト」
クリアウォーターはキャンプから十分離れると言った。
「あんたが生きる意味は?」
クリアウォーターはたずねた。
「それが答えられるなら、私はあんたをいじめない」
クリアウォーターは続けた。
「あんたが生きる意味は?あんたが私達のいじめに耐えながら暮らす意味は?あんたが生まれてきた意味は?」
クリアウォーターは私に詰め寄った。
「一族に尽くす為.......よ」
ムーンナイトは力なく答えた。
「あんたが一族に尽くす意味は?あんたが私達のいじめに耐えながら一族に尽くす意味は?」
クリアウォーターはゆっくりと言い直して見せた。
「そ、それは.......」
分かるようで分からない質問をされ、ムーンナイトは口ごもった。クリアウォーターは勝ち誇った声を出した。
「ね?意味が見つからないんでしょ?」
クリアウォーターが馬鹿にするように言い、茂みの中へ消えていった。ムーンナイトは考えた。でも、上手く考えをまとめられなかった。答えが.......見いだせない。
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投稿 by シャイニングナイト Mon Nov 23, 2020 10:05 am

第34章

私は一通り副長の仕事を終わらせた所だった。クリアウォーターのいじめは日に日に酷くなっていった。初めはフレイムペルトが1番酷いいじめ方をしてきたのに。原因は自覚している。フレイムペルトだ。クリアウォーターとフレイムペルトはとても仲が良かったし、よく考えが合うので基本的に一緒にいていた。クリアウォーターはフレイムペルトに惚れていたのだろう。だが、あの日1度私と狩りに行っただけで気持ちが私に向いてしまい、クリアウォーターは一切構って貰えなくなったのだ。私はちょっと申し訳なく思った。私が余計な事をしなければ二匹は幸せになっていたのだろうか。二匹がお互いのことや子供のことで忙しくなれば、いじめも止んでいただろうか。そんなことは分からない。
「よぉ、ムーンナイト」
フレイムペルトが駆け寄ってきた。
「何?」
私はキツい声を出した。
「いや.......その.......」
フレイムペルトは途端に口ごもった。
「また.......一緒に狩りに行かないかって」
フレイムペルトは目を逸らしながら言った。すると、クリアウォーターがこちらをギロりと睨んでいるのが見えた。
「やめておく。クリアウォーターを誘ったら?」
ムーンナイトは断った。その後ちょっと後悔したが、気にしないよう務めた。フレイムペルトは傷ついた顔をした。
「ただ狩りに行きたいわけじゃないんだ。"君と"狩りに行きたいんだ」
フレイムペルトは食い下がった。
「クリアウォーターを見て。私のいじめを酷くしたいの?」
ムーンナイトはそう言い残してキャンプを出た。フレイムペルトがゆっくりとクリアウォーターの元に寄っていくのが見えた。クリアウォーターは目を輝かせた。だが、クリアウォーターは次の瞬間、驚いた顔をし、こっちを見て睨んだ。何があったかは知らないが、帰ったらまたいじめられるんだろうな.......。私は憂鬱な気分で歩いた。気がつくと、自然と縄張りの外れの崖の近くに立っていた。ここから死ねるわ.......。私はゆっくりと足を踏み出した。すると、後ろから凄まじい叫び声がした。
「ムーンナイト!!!」

サンハートだった。
「何やってるの?」
サンハートは心配そうにたずねた。
「死ぬの」
ムーンナイトは淡々と答えた。
「ダメだ!」
別の声が割り込んできた。フレイムペルトだ。
「クリアウォーターと狩りに行ったんじゃないの?」
ムーンナイトは驚いてたずねた。
「ムーンナイトをいじめるのはよそうって言いに行ったんだ。そしたら引っかかれた」
フレイムペルトは頬の引っかき傷を見せた。
「私を探していたらムーンナイトを見つけたのね?」
サンハートが続きを言った。
「帰ろうよ」
サンハートが強く言った。すると、フレイムペルトがギョッと目を見開いた。恐怖に耳を寝かせている。私は恐る恐る振り返った。そこには〈二本足〉がいた。私たちを掴もうとでかい手を伸ばしてくる。逃げようとしたが、間に合わず、3匹とも捕らえられた。
「クソっ!離せ〈二本足〉!」
フレイムペルトは〈二本足〉の腕に爪を立てた。すると、〈二本足〉は怒り狂ってフレイムペルトの頭を力いっぱい叩いた。フレイムペルトはうめき声を上げ、大人しくなった。私たちはオリの中に入れられ、怪物の腹の中に入れられた。怪物が動き出す。見慣れた住処が遠ざかる。あ、でも。これで良かったのかもしれない。ムーンナイトはそう思って遠くを見つめた。
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投稿 by シャイニングナイト Sat Nov 28, 2020 9:22 am

第35章

私はどこかから差し込んでくる光が顔に当たって起きた。一瞬、戦士部屋で寝ているのだと思った。戦士部屋からも日が差してくる場所があったから。だが、この場所は揺れ動いている。そうだ。そこでハッと思い出した。私たちは怪物に乗せられているんだった。
「いってぇ.......」
何やらつぶやきながらフレイムペルトが頭を起こした。昨日に〈二本足〉に殴られた頭がまだ痛むらしい。
「大丈夫?」
いつの間にか起きていたサンハートがたずねる。
「まぁ、多分」
フレイムペルトがボソッと言った。
「これからどこに連れていかれるのかしら?」
ムーンナイトはつぶやいた。
「飼い猫にされるんだろ」
フレイムペルトが答えた。
「私たちがバラバラの場所に連れていかれないことを願うばかりだわ」
サンハートが心配そうに言った。
「助けてください、ギャラクシー族様」
私は静かに祈りを捧げた。
「ギャラクシー族様はそんなにあちこちに目を配れるんだろうか。もしかしたら今は見守って下さってないかも」
フレイムペルトが不安げに最悪な話を口にした。
「暗い話はやめてよ、フレイムペルト!」
サンハートがピシャリと言った。
「すまない」
フレイムペルトはボソッと言った。すると、怪物はピタリと止まった。目的地に着いたんだろうか。〈二本足〉は私たちは奇跡的に同じカゴに入れられ、どこかへ連れていった。猫の入ったカゴがたくさん積んである場所に、私たちも積まれた。
「よぉ。また会ったなぁ嬢ちゃん」
隣からしわがれた嫌な声がした。
「あぁ、あなたも連れてこられたの」
ムーンナイトは茶ぶちの雄猫の方を向いた。
「ここは〈ペットショップ〉だぜぇ」
耳障りな声で雄猫は続けた。
「ぺっとしょっぷ?」
サンハートが聞き返した。
「ペット━━━━つまり飼い猫━━━━━にするための猫たちがいる場所さ。他の動物もいるらしいがここにはいねぇ」
茶ぶちの雄猫は言った。
「飼い猫!!!」
吐き捨てるようにフレイムペルトは叫んだ。
「ちなみに〈二本足〉は多頭飼いは好きじゃねぇからお前さんらが一緒になれる確率はゼロに近いぜ」
茶ぶちの雄猫はサラッと酷いことを言った。
「逃げ出すぞ」
フレイムペルトが力強い声を出した。
「ええ。必ず住処に戻ってみせるわ!」
サンハートが勢いよく立ち上がった。
「待ってよ。私は住処に帰りたくない」
ムーンナイトは絞り出すように答えた。
「「え???」」
2匹の声が重なる。口の中がカラカラになった。こんなこと言ったら怒られてしまうだろうか。
「私たちだけで暮らさない?他の猫を見つけて私たちの群れを作るの。そうしたら.......そうしたら私も幸せに暮らせる」
ムーンナイトは言った。怒鳴られるだろうか、殴られるだろうか、見捨てられるだろうか。
「.......ばっかじゃねぇの」
フレイムペルトが静かに告げた。想像通りだな。そう思った。そうしたらフレイムペルトは予想外の行動を取った。私にピタリとくっついた。
「お前が幸せかじゃなくて、サイドウェイズ族のみんなが幸せかを一旦考えてみろ。みんな寂しがる。俺が責任持ってクリアウォーターを何とかする。俺が.......俺がお前を幸せにする。それでどうだ?」
フレイムペルトは私の耳元で囁いた。何となく、信じていい気がした。というか、信じていたいと思った。今までいじめてきたフレイムペルトを許す気になった。
「分かった。帰る」
ムーンナイトはしっかりした眼差しを向けた。
「それでこそムーンナイトよ」
サンハートがニコリと笑った。
「なんかいい感じのとこ、悪いがどうやってこっから出るつもりだい?」
茶ぶちの雄猫の声に私たちは現実に引き戻された。目の前には鉄の棒がある。出られっこない。私は絶望した。


最終編集者 シャイニングナイト [ Sun Jun 27, 2021 4:12 pm ], 編集回数 1 回
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投稿 by シャイニングナイト Tue Jan 12, 2021 7:06 pm

第36章

「なぜ抜け出せないの?」
サンハートは茶ぶちの雄猫にたずねた。
「鍵がかかってるからさ。硬い銀色の四角いやつが鍵さ」
茶ぶちの雄猫は欠伸をしながら前足で鍵を指した。
「絶対抜け出してやる!」
フレイムペルトは鉄の棒の間から前足を伸ばして鍵穴に鉤爪を突っ込んで動かしたりした。すると、フレイムペルトが顔をひきつらせて前足を引っ込めた。鉤爪が折れている。
「鉤爪が折れちまった.......」
フレイムペルトが辛そうに言った。ムーンナイトは言葉を発さずにフレイムペルトの前足を自分の方へ引き寄せて舐めた。フレイムペルトが照れているのが分かる。サンハートはニコニコしながら見ている。
「もう!無理しないの!抜け出すために作戦を考えましょう」
ムーンナイトはちょっと照れくさくなり、フレイムペルトの前足を舐める力を強めた。
「痛い、痛い!」
フレイムペルトが慌てて前足を引っ込めた。
「ごめん」
ムーンナイトはボソッと言った。
「無闇に出ようとしても無駄って事は分かったわ」
ムーンナイトはサンハートの隣に座ってから言った。
「そうねぇ.......。ギャラクシー族様が何か教えて下さるかも知れないわ。夜までとりあえず何も出来ないわね.......」
サンハートは考えてから言った。
「さすが看護猫のサンハート!」
ムーンナイトはサンハートに冗談っぽく言った。少しでも暗い雰囲気を明るくしたかった。サンハートが凄いと思っているのは本心だ。
「ムーンナイトがそんな言い方をするなんて珍しいわね!」
サンハートは驚いたように、でも嬉しそうに言った。
「すっかり元気になったわね。絶望からは立ち直った?」
サンハートは優しく微笑みかけてきてくれた。
「えぇ。こんな素晴らしい親友が出来たんだもの。クリアウォーターなんかに負けないわ!」
ムーンナイトは愛情を込めてサンハートの額に額をくっつけた。そしてしばらくした頃、私の腹の虫が鳴った。私は顔を真っ赤にしてうつむいた。
「嬢ちゃん、腹減ったのかい?」
可笑しそうに茶ぶちの雄猫が言った。
「朝から何も食べてないものねぇ」
サンハートがこくんとうなずいた。
「そこに食いもんがあるぜ」
茶ぶちの雄猫が尻尾でカゴの端っこを指した。そこには小さな入れ物があって、中には粒状の硬そうな物があった。
「こんなもん食えるのか?」
フレイムペルトが眉をひそめた。
「食べたくなきゃ食べなきゃいいじゃない。一応食べられるんだから生きるためには食べなきゃ」
サンハートがしっかりした口調で言った。
「私は食べるわよ」
ムーンナイトはそう言って1口頬張ってみた。固くてパサパサしていて、口の中が乾くし何より美味しくなかった。こんな危機的状況だから食べるけど、そうじゃなかったら絶対食べないな、と私は思った。
「うえぇ」
フレイムペルトが1口食べて文句を言った。
「そこのオレンジの奴はうるさいなぁ」
茶ぶちの雄猫が耳をピクっと動かして餌箱とは反対の端っこに丸まった。
「俺はもう寝る。こんなもん食う気にならない」
何口かだけ食べた後フレイムペルトはそう言い、丸まった。
「おやすみ、サンハート。ギャラクシー族様から何かお言葉がありますように」
ムーンナイトは寝る体勢になり、片目を開けてそう囁いた。
「おやすみ、ムーンナイト。素晴らしい明日になりますように」
サンハートはウィンクを返し、目を閉じた。サンハートの言う通り、素晴らしい明日になるといいな、と思いながらムーンナイトは眠りに落ちた。


最終編集者 シャイニングナイト [ Sun Jun 27, 2021 4:13 pm ], 編集回数 1 回
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投稿 by サンウィング Mon Feb 15, 2021 7:29 pm

第37章

サンハートが目を開けるとそこは海の近くの砂浜だった。あれ?わたしは〈二本足〉に捕まったんじゃかったの?
「サンハート。ようこそ」後ろで声がしてサンハートが振り向くとそこにはパールギャラクシーがいた。…ということはここは夢の中。
「パールギャラクシー!」サンハートはパールギャラクシーに駆け寄ると質問攻めにした。「教えてください!わたしたちはどうすればサイドウェイズ族のところに帰れますか?あの鉄の棒を出る方法は?」
「落ち着け、サンハート。お前にでも教えてやれないことはある。だが、助言はできる。……お前たちはサイドウェイズ族のもとに帰れる。鉄の棒は…頭を使え。お前たちは出られる。じゃあな」パールギャラクシーが最後の言葉をいうとすぐにパールギャラクシーの体が薄れ始めた。

「サンハート?起きて、朝よ!」ムーンナイトの声がしてサンハートは目を覚ました。
「ん……」サンハートはゆっくり体を起こして座った。そしてすぐに夢のことを思い出した。
「見た……、見たわ!ギャラクシー族様のお言葉!」サンハートは大声でいった。ムーンナイトとフレイムペルトは顔を輝かせた。
「本当?なんていってた?」ムーンナイトがきいた。
「詳しくはいえないけど……、出られるだろう、頭を使え…って」サンハートは伝えた。
「それだけか?マジか!じゃあ頭を使ってみるか?」フレイムペルトが肩をすくめてから考えるような顔をしはじめた。
「しょうがない、考えるしかないわね…」ムーンナイトも考えだした。
サンハートはギャラクシー族様からまたなにかあるかと思い、寝ようと思ったがあれしかお言葉がなかったからきっとないね、と思い直した。
「私は少し鉄の棒を調べてみるね、どこか通れるところがあるかも!」サンハートはなるべく明るくいって、出入り口に行き、調べはじめたのだった。
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投稿 by サンウィング Tue Feb 16, 2021 10:01 pm

第38章

「ムーンナイト!フレイムペルト!」サンハートは大声で二匹を呼んだ。「<二本足>よ!」
<二本足>は鉄の棒を少しいじって扉をあけた。そして<二本足>は袋を振って茶色の粒を餌箱にいれるとなにかいった。だが猫達にはわからない。
「危害を加えに来たんじゃないみたいね」ムーンナイトが小声でいった。
<二本足>はまた鉄の棒をいじった。が、光る何かを落とした。<二本足>がどなった。
「サンハート!ムーンナイト!今だ、出るぞ!」フレイムペルトがいった。
サンハートは<二本足>がいじっていたところへ駆け出した。ムーンナイトとフレイムペルトも並んで走っているのがわかった。
<二本足>が走り出した猫達に気付いて慌ててしゃがんで落ちたものを拾った。<二本足>はまた鉄の棒をいじろうとした。が、ムーンナイトが<二本足>の手を押しのけて出た。
「急いで!」ムーンナイトが急かす。
サンハートも駆け抜けて出た。<二本足>は扉を閉めようとした。フレイムペルトはぎりぎりのところで駆け抜けた。
フレイムペルトは「あそこに行くと扉が自動で開くんだ、行くぞ!」といって左に曲がった。
サンハートとムーンナイトもそれに習った。
そして地面が固い地面からざらざらしたところになると前の透明なものがなくなった。
三匹の猫は外にでた。
だが、帰る道がわからない。どうすればいいのだ?
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投稿 by シャイニングナイト Wed Feb 17, 2021 6:27 pm

第39章

ムーンナイトは呆然と立ち尽くした。〈ペットショップ〉とやらからは出られたけど、帰りようがない。何しろ遠くまで来てしまったのだから。ギャラクシー族様に助けを求めたい.......。でもギャラクシー族様に頼りっきりだと情けない副長になってしまう。
「どうしよう.......」
思わず私はそう言った。結局戻る事は出来ないのだろうか。
「俺達に特殊能力があれば帰れたのにな」
フレイムペルトがボソリとつぶやいた。そこで、ハッと思い出した。
「そうよ!それよ、フレイムペルト!」
ムーンナイトは大声で叫んだ。フレイムペルトもサンハートも驚いた顔をしている。
「特殊能力よ!」
私は繰り返した。サンハートはそれで理解した。
「特別な力!そうよ忘れてた!」
サンハートは尻尾をピンと立てた。
「どういう事だ?なんの話をしている?」
フレイムペルトがイライラと言った。
「私達はギャラクシー族様から特別な力を貰ってるのよ!サンハートは何でも分かるの。私は何でも見通せる。だから私が遠くを見通して住処への道を辿るのよ!サンハートも何でも分かるんだから危険な場所や近道なんかも分かるわ!」
ムーンナイトは興奮して早口で一気に喋った。
「そうか。.......俺は、何も役に立てないな」
フレイムペルトが最後は呟くように言った。
「何言ってるの?役に立てるわよ。この中で戦いが1番強いのはあなたよ、フレイムペルト。私達を守って」
ムーンナイトはそう言い、フレイムペルトにウィンクした。サンハートも頷きかけた。
「任せておけ。絶対に守る」
フレイムペルトはしっかりと姿勢を伸ばした。頼りになる仲間がいて良かった。心からそう思った。住処に帰ったらまたいじめられるかもしれないなどという考えは、もはや頭から消え去っていた。空は、雲ひとつない綺麗な快晴だった。
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