ウォーリアーズオリジナル小説 ー不穏な影ー
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Re: ウォーリアーズオリジナル小説 ー不穏な影ー
第13章
「スター族がお怒りだ」
スプリングフィンチが叫んだ。
すぐ近くから聞こえてくる声のはずだが、ずいぶん遠くから聞こえた気がした。
呆然と立っていたウルフストームは、岩の方に駆けていったスペースドリームが、横を通っただけで倒れそうになった。
「お前がスター族が間違っているなんて言うからこんなことになるんだ」
とスプリングフィンチがうなった
ウルフストーム返事をしなかった。今、現実に起きたことがあまりにも信じられなかった。
「また一匹仲間を失ってしまった」
いつのまにかシャイニングムーンがそばに来ていた
ウルフストームは振り向き食ってかかった。
「あなたがあのお告げを受けたりしなければ...あんな風に解釈しなければスノーシェイドが」
「ウルフストーム」
シャイニングムーンがなだめるように、ウルフストームの逆立った首筋をやわらかな尾で撫で、鮮やかな黄緑色の目で見つめてきた。「私はあのお告げはスノーシェイドにおりたものとは解釈していなかったわ。私は、あのお告げを...」
そこでシャイニングムーンは、ウルストームから目を逸らしキャンプに視線を走らせた。
シャイニングムーンの視線の先を辿ると、こちらを見つめている ヴィーゼルスターと目が合った。その表情は捉えがたい。
その時、キャンプの入り口のイバラが揺れ、ネズミを二匹を咥えたシンニングエアがキャンプに入ってきた。
ウルフストームの父親であるその戦士は、岩を見て驚いたように目を見開いた。岩の下からのぞいているスノーシェイドのだらんとした前足に気付いた様子はない
スペースドリームがシンキングエアに駆け寄った
起きた悲劇の一件を話しているのだろう。
なぜ 族長はシンキングエアが揃っていなかったのに、集会を開いて、それもあんなに重大なことを話したのだろう。ウルフストームは疑問に思った
「ねえ、まだ落ちてきそうになっている岩があるということじゃないの?」
フローズンスカイがこちらに向かってきて言った。
「でも、あれは、スター族からの印なんだろう。だったらもう落ちてこないんじゃないか?」
「そうよね。でも...」
「どうしたんだい?」
ウルフストーム不安気なフローズンスカイの目を覗き込んだ。
「岩落ちてきた後、キャンプの縁に何か動く影は見えた気がしたの」
「動く影?」
ウルフストームは驚いて聞き返し、思わずキャンプの縁の方を見た。
「わからない。気のせいだったかもしれないし…」
フローズンスカイは自信なさげに語尾を濁した。
「僕が確かめてくるよ。」
ウルフストームはいった。
「待って。一人じゃ危ない。何が潜んでるかわからないし私も行く。」
フローズンスカイが慌てて引き止めた。
「わかった。一緒に行こう」
ウルフストームは妹にこっちへ来るように尾で招いた
「スター族がお怒りだ」
スプリングフィンチが叫んだ。
すぐ近くから聞こえてくる声のはずだが、ずいぶん遠くから聞こえた気がした。
呆然と立っていたウルフストームは、岩の方に駆けていったスペースドリームが、横を通っただけで倒れそうになった。
「お前がスター族が間違っているなんて言うからこんなことになるんだ」
とスプリングフィンチがうなった
ウルフストーム返事をしなかった。今、現実に起きたことがあまりにも信じられなかった。
「また一匹仲間を失ってしまった」
いつのまにかシャイニングムーンがそばに来ていた
ウルフストームは振り向き食ってかかった。
「あなたがあのお告げを受けたりしなければ...あんな風に解釈しなければスノーシェイドが」
「ウルフストーム」
シャイニングムーンがなだめるように、ウルフストームの逆立った首筋をやわらかな尾で撫で、鮮やかな黄緑色の目で見つめてきた。「私はあのお告げはスノーシェイドにおりたものとは解釈していなかったわ。私は、あのお告げを...」
そこでシャイニングムーンは、ウルストームから目を逸らしキャンプに視線を走らせた。
シャイニングムーンの視線の先を辿ると、こちらを見つめている ヴィーゼルスターと目が合った。その表情は捉えがたい。
その時、キャンプの入り口のイバラが揺れ、ネズミを二匹を咥えたシンニングエアがキャンプに入ってきた。
ウルフストームの父親であるその戦士は、岩を見て驚いたように目を見開いた。岩の下からのぞいているスノーシェイドのだらんとした前足に気付いた様子はない
スペースドリームがシンキングエアに駆け寄った
起きた悲劇の一件を話しているのだろう。
なぜ 族長はシンキングエアが揃っていなかったのに、集会を開いて、それもあんなに重大なことを話したのだろう。ウルフストームは疑問に思った
「ねえ、まだ落ちてきそうになっている岩があるということじゃないの?」
フローズンスカイがこちらに向かってきて言った。
「でも、あれは、スター族からの印なんだろう。だったらもう落ちてこないんじゃないか?」
「そうよね。でも...」
「どうしたんだい?」
ウルフストーム不安気なフローズンスカイの目を覗き込んだ。
「岩落ちてきた後、キャンプの縁に何か動く影は見えた気がしたの」
「動く影?」
ウルフストームは驚いて聞き返し、思わずキャンプの縁の方を見た。
「わからない。気のせいだったかもしれないし…」
フローズンスカイは自信なさげに語尾を濁した。
「僕が確かめてくるよ。」
ウルフストームはいった。
「待って。一人じゃ危ない。何が潜んでるかわからないし私も行く。」
フローズンスカイが慌てて引き止めた。
「わかった。一緒に行こう」
ウルフストームは妹にこっちへ来るように尾で招いた
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第14章
「ここに白い木が引っかかっている」
岩が落ちてきた辺りのキャンプの縁まで来たところでフローズンスカイが喫驚した声で言った。
見るとし君に白い毛が一束引っかかっていた手足が長いな
「毛足は長いな」
ウルフストーム毛の束に触れて言った。
「お父さんの毛みたいな長さね」
フローズンスカイが言った
「そうだな。シンキングエアみたいな感じの被毛を持つ猫のものみたいだ」
とウルフストーム
「やっぱり...」
フローズンスカイは言いかけて続けるのをやめてまた痕跡の捜索を始めた。
結局毛の束以外に何も見つからなかった。
「ヴィーゼルスターに報告するほどでもない。」
キャンプの入り口のイバラをくぐりながら、ウルフストームは言った。
「ねえ、お父さんに相談してみない?」
ウルフストームはうなずいた。
キャンプの入口の前でリスを咥えて戻ってきた、シンキングエアと鉢合わせた。
「父さん」
フローズンスカイが声をかけたが、シンキングエアはこちらを見ず、茨のトンネルに入っていった。
ウルフストームとフローズンスカイは顔を見合わせた。
ウルフストームは肩をすくめると、シンキングエアの後に続きキャンプに入った。
「父さん待ってよ」
今度はウルフストームが呼びかけたが、父である淡い灰色の戦士は、うるさそうに耳はピクリと動かしただけだった。
「僕ら、岩が落ちてきたあたりを調べてきたんだ。」
シンキングが立ち止まらないので、ウルフストームは仕方なく後を追いながら続けた。
「そうしたら、茂みに引っかかってる毛の束を見つけたんだ。」
ウルフストームがそう言った途端シンキングエアがピタリと立ち止まった
「そんなくだらないことばかり詮索している暇があったら、狩りに出て一族の役に立つきとをしたらどうだ」
シンキングエアはくるりと振り向き、低い声で怒鳴った。ウルフストームは慌てて立ち止まった。
すると、フローズンスカイがウルフストームの横をすり抜けて、シンキングエアと向かい合った。
「あの一件と...スノーシェードに岩が落ちてきたあの一件と...お父さんは本当に関係ないの?」
ウルフストームはフローズンスカイが何を言いたいのかわからず、シンキングエアの顔色を伺った。
その水色の目に浮かんでいるのは恐怖?
「何が言いたいんだ」
シンキングエアはぶっきらぼうに言った。
「だって、ほら、お父さんはあの時キャンプになかったじゃないーー」
「俺はあの時、狩りに行ってたんだぞ 」
シンキングエアはフローズンスカイを遮り、声を荒げた。「少なくとも一族の役に立つことをしていた。お前達と違ってな」淡い灰色の戦士はこちらを睨んだ後、物置場へ向かって歩いて行った。
ウルフストームは、ただ呆然とその後ろ姿を眺めるしかなかった。
父がなぜあんなにいらついているのか、ウルフストームには理解できなかった。
「ここに白い木が引っかかっている」
岩が落ちてきた辺りのキャンプの縁まで来たところでフローズンスカイが喫驚した声で言った。
見るとし君に白い毛が一束引っかかっていた手足が長いな
「毛足は長いな」
ウルフストーム毛の束に触れて言った。
「お父さんの毛みたいな長さね」
フローズンスカイが言った
「そうだな。シンキングエアみたいな感じの被毛を持つ猫のものみたいだ」
とウルフストーム
「やっぱり...」
フローズンスカイは言いかけて続けるのをやめてまた痕跡の捜索を始めた。
結局毛の束以外に何も見つからなかった。
「ヴィーゼルスターに報告するほどでもない。」
キャンプの入り口のイバラをくぐりながら、ウルフストームは言った。
「ねえ、お父さんに相談してみない?」
ウルフストームはうなずいた。
キャンプの入口の前でリスを咥えて戻ってきた、シンキングエアと鉢合わせた。
「父さん」
フローズンスカイが声をかけたが、シンキングエアはこちらを見ず、茨のトンネルに入っていった。
ウルフストームとフローズンスカイは顔を見合わせた。
ウルフストームは肩をすくめると、シンキングエアの後に続きキャンプに入った。
「父さん待ってよ」
今度はウルフストームが呼びかけたが、父である淡い灰色の戦士は、うるさそうに耳はピクリと動かしただけだった。
「僕ら、岩が落ちてきたあたりを調べてきたんだ。」
シンキングが立ち止まらないので、ウルフストームは仕方なく後を追いながら続けた。
「そうしたら、茂みに引っかかってる毛の束を見つけたんだ。」
ウルフストームがそう言った途端シンキングエアがピタリと立ち止まった
「そんなくだらないことばかり詮索している暇があったら、狩りに出て一族の役に立つきとをしたらどうだ」
シンキングエアはくるりと振り向き、低い声で怒鳴った。ウルフストームは慌てて立ち止まった。
すると、フローズンスカイがウルフストームの横をすり抜けて、シンキングエアと向かい合った。
「あの一件と...スノーシェードに岩が落ちてきたあの一件と...お父さんは本当に関係ないの?」
ウルフストームはフローズンスカイが何を言いたいのかわからず、シンキングエアの顔色を伺った。
その水色の目に浮かんでいるのは恐怖?
「何が言いたいんだ」
シンキングエアはぶっきらぼうに言った。
「だって、ほら、お父さんはあの時キャンプになかったじゃないーー」
「俺はあの時、狩りに行ってたんだぞ 」
シンキングエアはフローズンスカイを遮り、声を荒げた。「少なくとも一族の役に立つことをしていた。お前達と違ってな」淡い灰色の戦士はこちらを睨んだ後、物置場へ向かって歩いて行った。
ウルフストームは、ただ呆然とその後ろ姿を眺めるしかなかった。
父がなぜあんなにいらついているのか、ウルフストームには理解できなかった。
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第15章
直と、ウルフストームは目を覚ました。戦士部屋を誰かが出ていった気がしたのだ。
入り口の枯れ草が揺れている。暗闇に目が慣れるとシンキングエアの寝床が空であることに気づいた
どこに行ったのだろうか。
昼間、あんなに怒鳴られたにも関わらず、彼のことが気になって立ち上がった。
戦士部屋から顔を覗かせると、ちょうどハイレッジに猫のシルエットが消えたところだった。空き地に誰もいないことを確かめると、足早にキャンプを横切り、ハイレッジ陰に回った。
「俺は精一杯、上手くやりましたよ」
族長の部屋から声が聞こえてきた。シンキングエアだ。
ウルフストームは、もっとよく聞こうと岩に耳をつけた
「何が精一杯、上手くやっただと」
ヴィーゼルスターが吐き捨てるように言うのが聞こえた。
一体何の話なんだ?
「だったら、あのフローズンスカイが言っていたことは何なんだ?毛の束がどうとかいう。」
ヴィーゼルスターが恐ろしいほど穏やかな声で言った。
一瞬沈黙が流れた。
ウルフストームは息を詰めて、シンキングエアの返事を持った。
「手の束くらい、仕方ない」
「ふざけるな」
ヴィーゼルスターが怒鳴った。
「それに匂いも痕跡も、他には何も気づきませんでしたよ」
シンキングエアが怯まず返した。
父さんは一体、何をやったんだ?ウルフストームはまさかという考えを持ち始めていた。
岩を故意に落としたのは父なのか?いやそんなわけない
ウルフストームは、すぐにその考えを振り払った。いくらぶっきらぼうで、実の子供にさえ、あまり触れ合わない父だとはいえ、そんなことをする猫のわけがない
しかし、心の隅に残ったわだかまりは消えなかった。
「そうか?フローズンスカイが勘付いていたのじゃないか?お前がやったことを」
「ありえない。俺が岩を落として、スノーシェイドを殺ったなんて、そんなこと、疑うわけがない。」
ウルフストームの背筋が冷たくなった。
「父親のことを疑うわけがない」
シンキングエアがその言葉を放った瞬間。ウルフストームの中で何かが弾けた。怒り、悲しみ、失望...気が付くと、ウルフストームをハイレッジの上の、族長の部屋の入り口に立っていた。
直と、ウルフストームは目を覚ました。戦士部屋を誰かが出ていった気がしたのだ。
入り口の枯れ草が揺れている。暗闇に目が慣れるとシンキングエアの寝床が空であることに気づいた
どこに行ったのだろうか。
昼間、あんなに怒鳴られたにも関わらず、彼のことが気になって立ち上がった。
戦士部屋から顔を覗かせると、ちょうどハイレッジに猫のシルエットが消えたところだった。空き地に誰もいないことを確かめると、足早にキャンプを横切り、ハイレッジ陰に回った。
「俺は精一杯、上手くやりましたよ」
族長の部屋から声が聞こえてきた。シンキングエアだ。
ウルフストームは、もっとよく聞こうと岩に耳をつけた
「何が精一杯、上手くやっただと」
ヴィーゼルスターが吐き捨てるように言うのが聞こえた。
一体何の話なんだ?
「だったら、あのフローズンスカイが言っていたことは何なんだ?毛の束がどうとかいう。」
ヴィーゼルスターが恐ろしいほど穏やかな声で言った。
一瞬沈黙が流れた。
ウルフストームは息を詰めて、シンキングエアの返事を持った。
「手の束くらい、仕方ない」
「ふざけるな」
ヴィーゼルスターが怒鳴った。
「それに匂いも痕跡も、他には何も気づきませんでしたよ」
シンキングエアが怯まず返した。
父さんは一体、何をやったんだ?ウルフストームはまさかという考えを持ち始めていた。
岩を故意に落としたのは父なのか?いやそんなわけない
ウルフストームは、すぐにその考えを振り払った。いくらぶっきらぼうで、実の子供にさえ、あまり触れ合わない父だとはいえ、そんなことをする猫のわけがない
しかし、心の隅に残ったわだかまりは消えなかった。
「そうか?フローズンスカイが勘付いていたのじゃないか?お前がやったことを」
「ありえない。俺が岩を落として、スノーシェイドを殺ったなんて、そんなこと、疑うわけがない。」
ウルフストームの背筋が冷たくなった。
「父親のことを疑うわけがない」
シンキングエアがその言葉を放った瞬間。ウルフストームの中で何かが弾けた。怒り、悲しみ、失望...気が付くと、ウルフストームをハイレッジの上の、族長の部屋の入り口に立っていた。
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Re: ウォーリアーズオリジナル小説 ー不穏な影ー
第16章
彼の青色の目には、シンキングエアとヴィーゼルスターの驚いた顔が写っていた。
「あんたがスノーシェイドを殺した」
ウルフストームはかすれ声で叫び、シンキングエアと顔を突き合わせた。「あんたは父親らしいことをしたことなんか、ない。ただの一度も。あんたに僕たちの父親だと称する権利はない!」
ウルフストームを激しくうなった。睨みつけたシンキングエアの目が部屋にかすかに差し込む月光を受けてキラリと光った。
突如として、淡い灰色の戦士はウルフストームに飛びかかり、殴り飛ばした。
ウルフストームは岩の地面に体を打ち付け、鈍い音を立てて倒れた。
「お前こそ、俺の子供なんかじゃない」
シンキングエアは目を憎しみギラつかせながら、ウルフストーム押さえつけた。「俺はお前たちをずっと憎んでいた。ナーシサスファーが死んだのはお前たちのせいなのだから」
「なんで母さんが死んだのは僕のせいなんだ」
ウルフストームは、逃れようと身体をよじった。
しかし、シンキングエアの体はびくともしない。
「ナーシサスファーはお前たちが生まれてきたから死んだ。スノーシェイドが死ねば、お前たちは嘆ずると思った。ナーシサスファーがお前たちのせいで、お前たちを産んだせいで死んだ時の俺のように」一度口をつぐみ牙を剥く。「俺はお前たちを苦しませたかった。産まれてきた罰として」
シンキングエアは狂気じみた水色の目で、ウルフストームの瞳を覗き込んだ「分かっているな。お前は殺されなければならない。口封じのために」
シンキングエアの牙が喉元で光った
こんなやつの牙にかかって死ぬのは嫌だ
ウルフストームはシンキングエアの肩を引っ掻いた
「離してやれ」
不意にヴィーゼルビアスターが言った
彼の青色の目には、シンキングエアとヴィーゼルスターの驚いた顔が写っていた。
「あんたがスノーシェイドを殺した」
ウルフストームはかすれ声で叫び、シンキングエアと顔を突き合わせた。「あんたは父親らしいことをしたことなんか、ない。ただの一度も。あんたに僕たちの父親だと称する権利はない!」
ウルフストームを激しくうなった。睨みつけたシンキングエアの目が部屋にかすかに差し込む月光を受けてキラリと光った。
突如として、淡い灰色の戦士はウルフストームに飛びかかり、殴り飛ばした。
ウルフストームは岩の地面に体を打ち付け、鈍い音を立てて倒れた。
「お前こそ、俺の子供なんかじゃない」
シンキングエアは目を憎しみギラつかせながら、ウルフストーム押さえつけた。「俺はお前たちをずっと憎んでいた。ナーシサスファーが死んだのはお前たちのせいなのだから」
「なんで母さんが死んだのは僕のせいなんだ」
ウルフストームは、逃れようと身体をよじった。
しかし、シンキングエアの体はびくともしない。
「ナーシサスファーはお前たちが生まれてきたから死んだ。スノーシェイドが死ねば、お前たちは嘆ずると思った。ナーシサスファーがお前たちのせいで、お前たちを産んだせいで死んだ時の俺のように」一度口をつぐみ牙を剥く。「俺はお前たちを苦しませたかった。産まれてきた罰として」
シンキングエアは狂気じみた水色の目で、ウルフストームの瞳を覗き込んだ「分かっているな。お前は殺されなければならない。口封じのために」
シンキングエアの牙が喉元で光った
こんなやつの牙にかかって死ぬのは嫌だ
ウルフストームはシンキングエアの肩を引っ掻いた
「離してやれ」
不意にヴィーゼルビアスターが言った
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Re: ウォーリアーズオリジナル小説 ー不穏な影ー
第17章
「えっ?!」
シンキングエアが驚いて振り返ったすきにウルフストームは淡い灰色の戦士から逃れた
次の瞬間、ヴィーゼルスターが突然獰猛な唸り声をあげてシンキングエアの喉もと目掛けて飛びかかった。
淡い灰色の戦士の体ががくっと崩れ落ちた。
ヴィーゼルスターが噛み付いていた喉を離した
シンキングエアの首から血がほとばしる
彼は苦しげに喘ぎ族長を見上げた
「なぜ...」
その言葉を最後にシンキングエアは息絶えた
「なぜ?」
ウルフストームは息絶えたシンキングエアと同じ言葉を呟き、ヴィーゼルスターを見つめた。
「ここに役立たずの居場所はない」
ヴィーゼルスターはそう言ってシンキングエアの遺体を蹴り飛ばした。「こいつはしくじった」
「さて、聞きたくはないのか、ウルフストーム」
ヴィーゼルスターがウルフストームの耳元でいった
ウルフストームは黙って考えを巡らせた
ヴィーゼルスターもまた、全部族を支配しようという野望を持っているに違いない。ウルフストームはそう思った。どの時代にも野心家は存在する。部族が存在する限りそういう猫が雲散霧消することはないのであろうか
「あなたの企みは分かっています」
ウルフストームは恐れもせずヴィーゼルスターと対した
「ほう」
ヴィーゼルスターはさぞ興味深げにいった
「サンダー族を支配し、全部族を支配する気なんでしょう」ウルフストームはいった「愚か者はいつの時代にも存在するんです」
「考えが甘いな若い戦士さん」
ヴィーゼルスターは愚かと言われたにも関わらず、憤慨することもなく、にやりと笑った
「サンダー族を支配する?全部族を支配する?」ヴィーゼルスターがいった。「俺の目的はそんなんじゃない」
「じゃあ何なんです?」
考えが外れたことに少し狼狽しながらウルフストームはいった
「知りたいか?」ヴィーゼルスターがぐっとウルフストームに顔を近づけた「お前の考えはむしろ逆だな。俺はサンダー族を滅亡させたいのさ」
夏休み中完結させます
「えっ?!」
シンキングエアが驚いて振り返ったすきにウルフストームは淡い灰色の戦士から逃れた
次の瞬間、ヴィーゼルスターが突然獰猛な唸り声をあげてシンキングエアの喉もと目掛けて飛びかかった。
淡い灰色の戦士の体ががくっと崩れ落ちた。
ヴィーゼルスターが噛み付いていた喉を離した
シンキングエアの首から血がほとばしる
彼は苦しげに喘ぎ族長を見上げた
「なぜ...」
その言葉を最後にシンキングエアは息絶えた
「なぜ?」
ウルフストームは息絶えたシンキングエアと同じ言葉を呟き、ヴィーゼルスターを見つめた。
「ここに役立たずの居場所はない」
ヴィーゼルスターはそう言ってシンキングエアの遺体を蹴り飛ばした。「こいつはしくじった」
「さて、聞きたくはないのか、ウルフストーム」
ヴィーゼルスターがウルフストームの耳元でいった
ウルフストームは黙って考えを巡らせた
ヴィーゼルスターもまた、全部族を支配しようという野望を持っているに違いない。ウルフストームはそう思った。どの時代にも野心家は存在する。部族が存在する限りそういう猫が雲散霧消することはないのであろうか
「あなたの企みは分かっています」
ウルフストームは恐れもせずヴィーゼルスターと対した
「ほう」
ヴィーゼルスターはさぞ興味深げにいった
「サンダー族を支配し、全部族を支配する気なんでしょう」ウルフストームはいった「愚か者はいつの時代にも存在するんです」
「考えが甘いな若い戦士さん」
ヴィーゼルスターは愚かと言われたにも関わらず、憤慨することもなく、にやりと笑った
「サンダー族を支配する?全部族を支配する?」ヴィーゼルスターがいった。「俺の目的はそんなんじゃない」
「じゃあ何なんです?」
考えが外れたことに少し狼狽しながらウルフストームはいった
「知りたいか?」ヴィーゼルスターがぐっとウルフストームに顔を近づけた「お前の考えはむしろ逆だな。俺はサンダー族を滅亡させたいのさ」
夏休み中完結させます
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Re: ウォーリアーズオリジナル小説 ー不穏な影ー
「サンダー族を滅亡させたい?!」
ウルフストームは驚いて聞き返した
ヴィーゼルスターは不気味な笑みを浮かべている
「でも…なぜ?」
「知りたいかね」ヴィーゼルスターが少し顔を方向け、ウルフストームの顔を覗き込んだ。「俺がバジャーファングの兄だということは知っているな?」
族長はウルフストームが頷くのも待たず話し始めた
「俺達がまだ見習いだった頃、バジャーファング、あいつだけが目立っていた」
遠くを見るような目で忌々しそうに言う。
「あの頃、俺は指導者に反抗していた。だから真面目に狩りや戦いの練習に取り組まなかったのさ。一方バジャーファングはみるみるその腕をあげていった。あいつの指導者は随分自慢気だったさ。だが、俺も指導者の前でこそ反抗していたが、影で戦いの技の練習をしていた。指導者の指導なしでも立派な戦士になれるということを証明してやろうとな。」
「立派な戦士ではなくて残忍な戦士でしょう。」
ウルフストームは思わず唸った
ヴィーゼルスターは一瞬毛を逆立てたが、すぐに何事もなかったような顔つきになった。「好きなように言うがいい」うるさそうに耳をピクリと動かす。
「しかし、俺の指導者は、狩りで大物を捕らえようと、戦い訓練でバジャーファングを負かそうと俺のことを褒めることはなかった。それどころか、バジャーファングのことをわざとらしくほめたたえ、俺と比較した。ついに俺は指導者と口も聞かなくなった。そんな俺に指導者はますます腹を立てた。そしてある日、指導者は突然、一族の集会で発言したのさ」
ヴィーゼルスターはどこか遠くの方を睨みつけ憎らしげな目をしていた。
ウルフストームは驚いて聞き返した
ヴィーゼルスターは不気味な笑みを浮かべている
「でも…なぜ?」
「知りたいかね」ヴィーゼルスターが少し顔を方向け、ウルフストームの顔を覗き込んだ。「俺がバジャーファングの兄だということは知っているな?」
族長はウルフストームが頷くのも待たず話し始めた
「俺達がまだ見習いだった頃、バジャーファング、あいつだけが目立っていた」
遠くを見るような目で忌々しそうに言う。
「あの頃、俺は指導者に反抗していた。だから真面目に狩りや戦いの練習に取り組まなかったのさ。一方バジャーファングはみるみるその腕をあげていった。あいつの指導者は随分自慢気だったさ。だが、俺も指導者の前でこそ反抗していたが、影で戦いの技の練習をしていた。指導者の指導なしでも立派な戦士になれるということを証明してやろうとな。」
「立派な戦士ではなくて残忍な戦士でしょう。」
ウルフストームは思わず唸った
ヴィーゼルスターは一瞬毛を逆立てたが、すぐに何事もなかったような顔つきになった。「好きなように言うがいい」うるさそうに耳をピクリと動かす。
「しかし、俺の指導者は、狩りで大物を捕らえようと、戦い訓練でバジャーファングを負かそうと俺のことを褒めることはなかった。それどころか、バジャーファングのことをわざとらしくほめたたえ、俺と比較した。ついに俺は指導者と口も聞かなくなった。そんな俺に指導者はますます腹を立てた。そしてある日、指導者は突然、一族の集会で発言したのさ」
ヴィーゼルスターはどこか遠くの方を睨みつけ憎らしげな目をしていた。
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Re: ウォーリアーズオリジナル小説 ー不穏な影ー
第19章
「族長発言したいことがあるのですが良いでしょうか?」
族長が集会を閉じようとしたとき、俺の指導者が突然声をあげた
「言ってみろ」
族長は妙に素直にうなずいた
事前に族長と打ち合わせずに突然集会で発言しようとする者には必ず、今話さなければならないことなのかと聞くのに、俺は不思議に思った
「みんなも知っての通り私の弟子のヴィーゼルポーは、指導者の言うことを聞こうとせず、全く訓練の成果が見られません。このような猫はサンダー族の一員としてふさわしくありません」
シルバーファングがそこで言葉をきると、周りの何匹かが深くうなずいており、長老達は、彼らたちでひそひそ話していた。
「それはあんたがまともに指導しようとしないからだろ」
俺は怒鳴った
「私の言うことを聞かない猫にどう指導しろっていうの?」
シルバーファングがいった
「俺はあんたの指導を受けなくったって、立派な戦士になれる!むしろあんたの指導を受けない方が。」
「お黙り!」
シルバーファングに鋭く唸った
「お前の腕はバジャーポーの半分にも満たないだろ。」
年長の見習いがあざ笑った
俺は無視した
「確かに、シルバーファングのいう通りだ」
族長は言った。「なぜお前は真面目に学ぼうとしない?サンダー族に忠誠を尽くす気はあるのか?」
俺は黙っていた
「何か言わないか。ヴィーゼルポー。正直なところサンダー族にお前のような猫は必要ないのだぞ」
その言葉を受けた瞬間、俺がサンダー族に対して抱く感情は憎しみ唯一となった。それと同時に、俺の脳中である考えが発意した
「これからは真面目に訓練に取り組みます。」
俺は素直にこういった
今、この瞬間、思い立った計画を成功させるために
※ヴィーゼルスターの回想章です
「族長発言したいことがあるのですが良いでしょうか?」
族長が集会を閉じようとしたとき、俺の指導者が突然声をあげた
「言ってみろ」
族長は妙に素直にうなずいた
事前に族長と打ち合わせずに突然集会で発言しようとする者には必ず、今話さなければならないことなのかと聞くのに、俺は不思議に思った
「みんなも知っての通り私の弟子のヴィーゼルポーは、指導者の言うことを聞こうとせず、全く訓練の成果が見られません。このような猫はサンダー族の一員としてふさわしくありません」
シルバーファングがそこで言葉をきると、周りの何匹かが深くうなずいており、長老達は、彼らたちでひそひそ話していた。
「それはあんたがまともに指導しようとしないからだろ」
俺は怒鳴った
「私の言うことを聞かない猫にどう指導しろっていうの?」
シルバーファングがいった
「俺はあんたの指導を受けなくったって、立派な戦士になれる!むしろあんたの指導を受けない方が。」
「お黙り!」
シルバーファングに鋭く唸った
「お前の腕はバジャーポーの半分にも満たないだろ。」
年長の見習いがあざ笑った
俺は無視した
「確かに、シルバーファングのいう通りだ」
族長は言った。「なぜお前は真面目に学ぼうとしない?サンダー族に忠誠を尽くす気はあるのか?」
俺は黙っていた
「何か言わないか。ヴィーゼルポー。正直なところサンダー族にお前のような猫は必要ないのだぞ」
その言葉を受けた瞬間、俺がサンダー族に対して抱く感情は憎しみ唯一となった。それと同時に、俺の脳中である考えが発意した
「これからは真面目に訓練に取り組みます。」
俺は素直にこういった
今、この瞬間、思い立った計画を成功させるために
※ヴィーゼルスターの回想章です
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Re: ウォーリアーズオリジナル小説 ー不穏な影ー
第20章
「で、その計画っていうのがサンダー族滅亡計画ですか」
ウルフストームは鼻を鳴らした
「必ず成功させるさ」
ヴィーゼルスターが言った「もちろんお前が成功したところを見るとこはない」
ウルフストームにもその言葉の意味は分かっていた
ヴィーゼルスターの計画にウルフストームは邪魔でしかないのだ
真実を知ってしまった今は特に
「僕が生きている限り、あんたの計画が成功することはない」
ウルフストームは挑んだ
すると突然、ヴィーゼルスターは部屋を飛び出した
「どこへ行く―」
ウルフストームは慌てて後を追った
ヴィーゼルスターは何を企んでいるんだ・・・?
キャンプを出たところでウルフストームは族長を見失った
必死に地面に残ったにおいをたどっていく
何をするつもりかは分からないが、何としてでも止めなくては
そして部族仲間にヴィーゼルスターの恐ろしい計画を伝えなければ
不意に、キャンプの淵のあたりで、族長のにおいが途絶えた
ウルフストームはかすかな痕跡も見逃すまいとあたりを歩き回った
その時だった、頭上で気配を感じ、ウルフストームはハッとして顔を上げた
見ると木の上から黒い影がとびかかってくるところだった
ヴィーゼルスターだ
ウルフストームはかわそうとしたが気づくのが遅すぎた
耳の後ろをがつんと殴られ、地面に押さえつけられたウルフストームは喘いだ
「これでもお前は戦士か?」
ヴィーゼルスターがあざけるように耳元で言った「俺の跡をたどることに必死でほかのことに注意を向けるのを忘れていたとはな」
ウルフストームは愚かな自分を罵った
なぜ、ヴィーゼルスターが襲ってくるかもしれないと考えなかったのだろうか
自分が命を狙わっれているとこは分かっていたはずなのに
しかし、後悔しても、もう遅い
ウルフストームはこげ茶色の戦士の下からはい出そうともがいたが、ヴィーゼルスターはびくともしない
「誤ったなウルフストーム。諦めろ」
ヴィーゼルスターの牙が喉元でぎらりと光った
自分は、極悪非道なこの戦士に致命傷すら与えられずに殺られるのか
部族仲間に危険を知らせるとこもできずに
喉にヴィーゼルスターの爪が食い込んできて息ができない
視界に黒い点が散り始めた
次の瞬間、体にかかっていた重みがふっと消え去った
今日は小説の調子がいい(?)
「で、その計画っていうのがサンダー族滅亡計画ですか」
ウルフストームは鼻を鳴らした
「必ず成功させるさ」
ヴィーゼルスターが言った「もちろんお前が成功したところを見るとこはない」
ウルフストームにもその言葉の意味は分かっていた
ヴィーゼルスターの計画にウルフストームは邪魔でしかないのだ
真実を知ってしまった今は特に
「僕が生きている限り、あんたの計画が成功することはない」
ウルフストームは挑んだ
すると突然、ヴィーゼルスターは部屋を飛び出した
「どこへ行く―」
ウルフストームは慌てて後を追った
ヴィーゼルスターは何を企んでいるんだ・・・?
キャンプを出たところでウルフストームは族長を見失った
必死に地面に残ったにおいをたどっていく
何をするつもりかは分からないが、何としてでも止めなくては
そして部族仲間にヴィーゼルスターの恐ろしい計画を伝えなければ
不意に、キャンプの淵のあたりで、族長のにおいが途絶えた
ウルフストームはかすかな痕跡も見逃すまいとあたりを歩き回った
その時だった、頭上で気配を感じ、ウルフストームはハッとして顔を上げた
見ると木の上から黒い影がとびかかってくるところだった
ヴィーゼルスターだ
ウルフストームはかわそうとしたが気づくのが遅すぎた
耳の後ろをがつんと殴られ、地面に押さえつけられたウルフストームは喘いだ
「これでもお前は戦士か?」
ヴィーゼルスターがあざけるように耳元で言った「俺の跡をたどることに必死でほかのことに注意を向けるのを忘れていたとはな」
ウルフストームは愚かな自分を罵った
なぜ、ヴィーゼルスターが襲ってくるかもしれないと考えなかったのだろうか
自分が命を狙わっれているとこは分かっていたはずなのに
しかし、後悔しても、もう遅い
ウルフストームはこげ茶色の戦士の下からはい出そうともがいたが、ヴィーゼルスターはびくともしない
「誤ったなウルフストーム。諦めろ」
ヴィーゼルスターの牙が喉元でぎらりと光った
自分は、極悪非道なこの戦士に致命傷すら与えられずに殺られるのか
部族仲間に危険を知らせるとこもできずに
喉にヴィーゼルスターの爪が食い込んできて息ができない
視界に黒い点が散り始めた
次の瞬間、体にかかっていた重みがふっと消え去った
今日は小説の調子がいい(?)
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Re: ウォーリアーズオリジナル小説 ー不穏な影ー
第21章
太陽が降ってきたのか。ウルフストームは思わずそう錯覚した
一筋の閃光のごとくヴィーゼルスターに飛び掛かったシルエットは、高くのぼった月光を浴びてまぶしいばかりに輝いた
ヴィーゼルスターの驚きと怒りが混じった声が聞こえた
二頭は何やら怒鳴りあっているが、意識が朦朧としているせいで良く聞き取ることができない
頭を振り意識をはっきりさせると、ウルフストームはよろよろと立ち上がった
二つの影はもみ合いながらキャンプの淵の崖に近づいていく
ウルフストームはぞっとした
このままだと二匹ともキャンプの淵の崖から落ちてしまう
ヴィーゼルスターに飛び掛かった猫が誰かは分からないが、助けなければ
ウルフストームは前に飛び出した
しかし、またもや遅かった
ヴィーゼルスターと謎の猫は絡まりあったまま、キャンプの遥か下の暗闇に吸い込まれていった
断末魔の叫びを響かせながら
太陽が降ってきたのか。ウルフストームは思わずそう錯覚した
一筋の閃光のごとくヴィーゼルスターに飛び掛かったシルエットは、高くのぼった月光を浴びてまぶしいばかりに輝いた
ヴィーゼルスターの驚きと怒りが混じった声が聞こえた
二頭は何やら怒鳴りあっているが、意識が朦朧としているせいで良く聞き取ることができない
頭を振り意識をはっきりさせると、ウルフストームはよろよろと立ち上がった
二つの影はもみ合いながらキャンプの淵の崖に近づいていく
ウルフストームはぞっとした
このままだと二匹ともキャンプの淵の崖から落ちてしまう
ヴィーゼルスターに飛び掛かった猫が誰かは分からないが、助けなければ
ウルフストームは前に飛び出した
しかし、またもや遅かった
ヴィーゼルスターと謎の猫は絡まりあったまま、キャンプの遥か下の暗闇に吸い込まれていった
断末魔の叫びを響かせながら
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Re: ウォーリアーズオリジナル小説 ー不穏な影ー
第22章
ウルフストームは足を滑らせながらイバラのトンネルを潜り抜け、キャンプに飛び込んだ
各部屋から猫たちがぞろぞろと出てきて空き地に集まっていた
無数影の奥にヴィーゼルスターともう一匹の猫が横たわっているのだろう
「お兄ちゃん、何があったの」
フローズンスカイがおびえたように目を見開いてウルフストームのもとへかけよってきた
「ヴィーゼルスターが」
ウルフストームはそこまでしか言えなかった
頭の中が混乱していた
突然飛び込んできた猫はいったい誰なのか
なぜこんなことが起こってしまったのか
それにヴィーゼルスターにやられた傷がずきずきと痛んでいた
ウルフストームは部族仲間の間に体を滑り込ませ、無残な遺体を目にすることを覚悟して集団の中心へと急いだ
ヴィーゼルスターともう一頭の猫は互いの急所にかぎ爪をつきたてたまま絡まりあって倒れていた
ウルフストームはそっとに近づいた
ヴィーゼルスターの首はおかしな角度にまがっていた
しかし見知らぬ猫のほうはまだ息があった
いや見知らぬ猫ではない
キャンプまで降りてきた淡い月光に照らされたその毛皮は金茶色だった
サンペルトだ
副長のかぎ爪は誰よりも慕っていたヴィーゼルスターの喉を切り裂いていた
ウルフストームは足を滑らせながらイバラのトンネルを潜り抜け、キャンプに飛び込んだ
各部屋から猫たちがぞろぞろと出てきて空き地に集まっていた
無数影の奥にヴィーゼルスターともう一匹の猫が横たわっているのだろう
「お兄ちゃん、何があったの」
フローズンスカイがおびえたように目を見開いてウルフストームのもとへかけよってきた
「ヴィーゼルスターが」
ウルフストームはそこまでしか言えなかった
頭の中が混乱していた
突然飛び込んできた猫はいったい誰なのか
なぜこんなことが起こってしまったのか
それにヴィーゼルスターにやられた傷がずきずきと痛んでいた
ウルフストームは部族仲間の間に体を滑り込ませ、無残な遺体を目にすることを覚悟して集団の中心へと急いだ
ヴィーゼルスターともう一頭の猫は互いの急所にかぎ爪をつきたてたまま絡まりあって倒れていた
ウルフストームはそっとに近づいた
ヴィーゼルスターの首はおかしな角度にまがっていた
しかし見知らぬ猫のほうはまだ息があった
いや見知らぬ猫ではない
キャンプまで降りてきた淡い月光に照らされたその毛皮は金茶色だった
サンペルトだ
副長のかぎ爪は誰よりも慕っていたヴィーゼルスターの喉を切り裂いていた
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Re: ウォーリアーズオリジナル小説 ー不穏な影ー
第23章
サンペルトの前足がひきつった。瞼が震え目がわずかにだが開いた
「シャ、シャイニングムーン!」
ウルフストームは慌てて看護猫を呼んだ
シャイニングムーンが薬草を咥えてそばに来るのを見て取るとサンペルトが言った
「薬草は取っておけ、俺はもう助からない」
「何を言ってるんですか」
シャイニングムーンは薬草を落とした
「ヴィーゼルスターは死んだようだ」
サンペルトはふぅと息を吐き、目を閉じた
サンペルトももうこの瞬間に死んでしまうのではないかとウルフストームは慌てた
しかし、再び彼が目を開けたとき瞳に宿る光は先ほどよりもしっかりしていた
「さあ、皆に真実を話せウルフストーム」
ウルフストームは一瞬サンペルトが何のことを言っているのか分からなかった
それから自分が暴き出したヴィーゼルスターの恐ろしい計画を思い出した
ウルフストームは部族仲間のほうを向くとヴィーゼルスターの真実を話した
ウルフストームが話し終わるまで声を上げるものは誰もいなかった
「しかし、あなたもヴィーゼルスターのたくらみについて知ってたんですか」
話し終わってからウルフストームはサンペルトに聞いた
「しばらく前からヴィーゼルスターは何かがおかしいと思っていた。そして今日、お前がヴィーゼルスターの部屋にいくところにあとをつけてお前たちの会話を聞いていた」
サンペルトが答えた
「手当させて」
シャイニングムーンが言った
「薬草を無駄にするな。もうすぐ…枯葉の季節なんだぞ」
そういうサンペルトの声には苦痛がにじんでいた
どこかしらの骨が折れていることは否定のしようがない
あれだけの高さから落ちたのだから
「あなたが言う通りヴィーゼルスターは死んだ。次に一族が頼りにするのは誰だと思っているの?」
シャイニングムーンが悲痛な声で言った
そう、族長が死んだ今頼りになるのは副長なのに
「だから言っているだろう。サンダー族には新しい族長が必要だ」
サンペルトは苦しそうに喘いだ「だから俺が代わりに任命する」
はっきりとした口調で続け、上体を起こした
「スター族も分かってくれるだろう。こんな状況なのだから」
と自分に言い聞かせるようにつぶやく。サンペルトの目線は集団の端のほうに立つ大柄でがっしりとした猫のほうに注がれていた
「シーラスストライプを族長に任命する」
静かだがはっきりとそう告げた
一同には戸惑いながらも少しずつシーラスストライプを祝福する声わいてきた
経験豊富で優秀な戦士であるシーラスストライプを選んだのは妥当な判断だろう。だが、こんな選び方で良いのだろうか
サンペルトのほうを見ると呼吸がますます荒くなっていた
やがて、部族仲間が見守る中、金茶色の戦士は息絶えた
見上げると、空からは夜が明けて白んでくる空に最後まで瞬いていた星が消えていったところだった
サンペルトの前足がひきつった。瞼が震え目がわずかにだが開いた
「シャ、シャイニングムーン!」
ウルフストームは慌てて看護猫を呼んだ
シャイニングムーンが薬草を咥えてそばに来るのを見て取るとサンペルトが言った
「薬草は取っておけ、俺はもう助からない」
「何を言ってるんですか」
シャイニングムーンは薬草を落とした
「ヴィーゼルスターは死んだようだ」
サンペルトはふぅと息を吐き、目を閉じた
サンペルトももうこの瞬間に死んでしまうのではないかとウルフストームは慌てた
しかし、再び彼が目を開けたとき瞳に宿る光は先ほどよりもしっかりしていた
「さあ、皆に真実を話せウルフストーム」
ウルフストームは一瞬サンペルトが何のことを言っているのか分からなかった
それから自分が暴き出したヴィーゼルスターの恐ろしい計画を思い出した
ウルフストームは部族仲間のほうを向くとヴィーゼルスターの真実を話した
ウルフストームが話し終わるまで声を上げるものは誰もいなかった
「しかし、あなたもヴィーゼルスターのたくらみについて知ってたんですか」
話し終わってからウルフストームはサンペルトに聞いた
「しばらく前からヴィーゼルスターは何かがおかしいと思っていた。そして今日、お前がヴィーゼルスターの部屋にいくところにあとをつけてお前たちの会話を聞いていた」
サンペルトが答えた
「手当させて」
シャイニングムーンが言った
「薬草を無駄にするな。もうすぐ…枯葉の季節なんだぞ」
そういうサンペルトの声には苦痛がにじんでいた
どこかしらの骨が折れていることは否定のしようがない
あれだけの高さから落ちたのだから
「あなたが言う通りヴィーゼルスターは死んだ。次に一族が頼りにするのは誰だと思っているの?」
シャイニングムーンが悲痛な声で言った
そう、族長が死んだ今頼りになるのは副長なのに
「だから言っているだろう。サンダー族には新しい族長が必要だ」
サンペルトは苦しそうに喘いだ「だから俺が代わりに任命する」
はっきりとした口調で続け、上体を起こした
「スター族も分かってくれるだろう。こんな状況なのだから」
と自分に言い聞かせるようにつぶやく。サンペルトの目線は集団の端のほうに立つ大柄でがっしりとした猫のほうに注がれていた
「シーラスストライプを族長に任命する」
静かだがはっきりとそう告げた
一同には戸惑いながらも少しずつシーラスストライプを祝福する声わいてきた
経験豊富で優秀な戦士であるシーラスストライプを選んだのは妥当な判断だろう。だが、こんな選び方で良いのだろうか
サンペルトのほうを見ると呼吸がますます荒くなっていた
やがて、部族仲間が見守る中、金茶色の戦士は息絶えた
見上げると、空からは夜が明けて白んでくる空に最後まで瞬いていた星が消えていったところだった
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Re: ウォーリアーズオリジナル小説 ー不穏な影ー
第24章
シーラスストライプことシーラススターが副長を任命する期限の真夜中までは、まだ、時間がたくさんあった
しかし、シーラススターは、皆がサンペルトに別れを告げるとすぐにハイレッジの上に飛び乗った
すでに部族仲間全員が空き地に出ていたため、シーラススターが一族を召集する必要はなかった
「一族の立て直しにはもちろん、副長が必要だ」
シーラススターは今や数が少なくなったサンダー族のメンバーを見渡し、キャンプに響く低い声で言った
一瞬、キャンプ内に緊張が走った
「ウルフストームを副長に任命する」
シーラススターははっきりとそう告げた
ウルフストームは体が硬直して動かなかった
まだ戦士になって日の浅い自分が副長に任命されるなんて、考えてもいなかった
皆が心配そうに見ていることに気づき、ウルフストームは慌てていった
「こんな名誉ある地位につけるなんて思ってもいませんでした。一族のために精一杯頑張ります」
恐れていたように声がかすれたり、震えたりしなかったので、ウルフストームはほっとした
「ウルフストーム!」最初に叫んだのは驚いたことにスプリングフィンチだった
その声に後押しされ、今日の出来事にショックを受けていた仲間たちも活気づいた
「ヴィーゼルスターの企みを阻止するためによくやってくれたな。一族はお前のことを誇りに思う。お前がいなければ今頃全員がヴィーゼルスターの罠にはまっているところだったんだから」
シーラススターはウルフストームの目をしっかりと見つめた「お前はサンダー族を救ったんだ」
ウルフストームはかつての師であり、新たな族長である戦士を見つめ返した
さわやかな風が吹き二頭の被毛をなびかせる
頭上では雲が晴れ澄んだ空が顔出した
シーラスストライプことシーラススターが副長を任命する期限の真夜中までは、まだ、時間がたくさんあった
しかし、シーラススターは、皆がサンペルトに別れを告げるとすぐにハイレッジの上に飛び乗った
すでに部族仲間全員が空き地に出ていたため、シーラススターが一族を召集する必要はなかった
「一族の立て直しにはもちろん、副長が必要だ」
シーラススターは今や数が少なくなったサンダー族のメンバーを見渡し、キャンプに響く低い声で言った
一瞬、キャンプ内に緊張が走った
「ウルフストームを副長に任命する」
シーラススターははっきりとそう告げた
ウルフストームは体が硬直して動かなかった
まだ戦士になって日の浅い自分が副長に任命されるなんて、考えてもいなかった
皆が心配そうに見ていることに気づき、ウルフストームは慌てていった
「こんな名誉ある地位につけるなんて思ってもいませんでした。一族のために精一杯頑張ります」
恐れていたように声がかすれたり、震えたりしなかったので、ウルフストームはほっとした
「ウルフストーム!」最初に叫んだのは驚いたことにスプリングフィンチだった
その声に後押しされ、今日の出来事にショックを受けていた仲間たちも活気づいた
「ヴィーゼルスターの企みを阻止するためによくやってくれたな。一族はお前のことを誇りに思う。お前がいなければ今頃全員がヴィーゼルスターの罠にはまっているところだったんだから」
シーラススターはウルフストームの目をしっかりと見つめた「お前はサンダー族を救ったんだ」
ウルフストームはかつての師であり、新たな族長である戦士を見つめ返した
さわやかな風が吹き二頭の被毛をなびかせる
頭上では雲が晴れ澄んだ空が顔出した
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Re: ウォーリアーズオリジナル小説 ー不穏な影ー
エピローグ
「予言が実現されたわね」
気がつくとシャイニングムーンがそばに座っていた
「予言?」
ウルフストームは聞き返した
「あら、忘れたの?影がキャンプに災いをもたらし、太陽が一族を救う」
「ああ!思い出しました」
ウルフストームはそう言って考え込んだ。あの予言といったいどんな関係があるのだろうか「でも、あれはスノーシェイドにあてたものだったってみんな信じてたじゃないですか」
「私はそうだとは言わなかったわ。ヴィーゼルスターが勝手に解釈したのよ」
シャイニングムーンが答えた
「じゃあ…」
「まだ分からないの?ウルフストーム」
シャイニングムーンの目がからかうようにきらりと光った
「影とはヴィーゼルシャドウのことよ」
シャイニングムーンはヴィーゼルスターのことを族長になる前の名前で呼んだ
「そして太陽とはサンペルトのこと」
ウルフストームははっとしてうなずいた
「太陽が再び輝き、影は去った」
ウルフストームはそっと呟いた
やっと平穏な日々を取り戻せたんだ。ウルフストームはやっとそう実感した
〚完〛
「予言が実現されたわね」
気がつくとシャイニングムーンがそばに座っていた
「予言?」
ウルフストームは聞き返した
「あら、忘れたの?影がキャンプに災いをもたらし、太陽が一族を救う」
「ああ!思い出しました」
ウルフストームはそう言って考え込んだ。あの予言といったいどんな関係があるのだろうか「でも、あれはスノーシェイドにあてたものだったってみんな信じてたじゃないですか」
「私はそうだとは言わなかったわ。ヴィーゼルスターが勝手に解釈したのよ」
シャイニングムーンが答えた
「じゃあ…」
「まだ分からないの?ウルフストーム」
シャイニングムーンの目がからかうようにきらりと光った
「影とはヴィーゼルシャドウのことよ」
シャイニングムーンはヴィーゼルスターのことを族長になる前の名前で呼んだ
「そして太陽とはサンペルトのこと」
ウルフストームははっとしてうなずいた
「太陽が再び輝き、影は去った」
ウルフストームはそっと呟いた
やっと平穏な日々を取り戻せたんだ。ウルフストームはやっとそう実感した
〚完〛
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Re: ウォーリアーズオリジナル小説 ー不穏な影ー
完結おめでとう!!
すんごい話良かった!!!流石スカライ!!将来が楽しみ(何様)
最後の予言の“影”の意味がちゃんと回収(?)されてて、おぉとなった(語彙力消滅)
今度ファンアート描きたい!!!自分の時描いてもらって、それからお返し(?)出来てないから……!!
すんごい話良かった!!!流石スカライ!!将来が楽しみ(何様)
最後の予言の“影”の意味がちゃんと回収(?)されてて、おぉとなった(語彙力消滅)
今度ファンアート描きたい!!!自分の時描いてもらって、それからお返し(?)出来てないから……!!
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Re: ウォーリアーズオリジナル小説 ー不穏な影ー
ありがとう!!
将来が楽しみってそんなっまだまだだよ
マァーラーこそすごい小説書くのうまいなーと思って勉強させてもらってる!
レイク族の小説のリメイクも楽しみ!
将来が楽しみってそんなっまだまだだよ
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レイク族の小説のリメイクも楽しみ!
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