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絡まった地下の関係〜水と炎の予言〜

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マァーラー2作目の小説、期待をお聴かせ下さい!

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投稿 by Murre Mon Jun 13, 2022 8:12 pm

ゼイファイトライフ
模様は、黒と赤茶が闘い合ってる、競り合ってるイメージ
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絡まった地下の関係〜水と炎の予言〜 - Page 4 Empty Re: 絡まった地下の関係〜水と炎の予言〜

投稿 by Murre Sun Jun 26, 2022 7:35 pm

第31章 前半
瞬きをしただけなのに、足は枝の上に無く、塵の浮かぶ、灰色の土地に来ていた。ここは山で囲まれ、身体は軽い。ざっと地面に目を走らせると、足跡に消された足跡が無数についていた。
「いらっしゃい、ブレイズストーム」
目を潤ませながら顔を上げると、先程までは影もなかったルナクランの猫の姿があった。そうー
「アイスファー!」
「私だけじゃないの、お祝いしに来たのは」
言われて首を回すと、山に囲まれたこの場所は、月の半分を煌めきを放つ先祖の姿で埋められていて、いくつか見たことのある顔があり、心が少し温かくなった。
「ブレイズストーム」
硬いが優しさの込められた声に振り向くと、生前より滑らかに整えられている元副長で元指導者の姿があった。
「ブラックストーン」
ブラックストーンは優しく瞬きをすると、一歩進み出た。
「九生を授かる心構えは、いいかい?」
「はい」
俺の答えに周りの猫も頷いた。
「この命と共に、お前に判断力を授けよう。副長のように一族全体を見て公正に判断しなさい」
ブラックストーンは鼻づらを触れ合わせてきた。それと共に熱を持った気体とも液体ともいえない何かが体内に流れ込み、身体に激痛が走った。身をこわばらせながら目を開くと、ブラックストーンの体は他の猫に隠れて見えなくなっていた。
「ブレイズストーム」
右端に輝く光が映った。ビッグテイルの体が長老の時より若々しく、元気が溢れでんとしている。
「この命と共に、お前に指導力を授けよう。フェザーポーもよく指導し、立派な戦士を生み出しなさい」
ハンドライフの元指導者は小柄だが、とてつもなく強い痛みに襲われ、思わず鼻づらを離しそうになった。
ビッグテイルが最後に微笑むと、フェザーポーが戦士となっている姿が目の裏に浮かんだ。
小柄な姿が他の光に揉み消されると、ミントライフが爽やかに進み出た。
「ブレイズストーム、この命と共に、あなたに目を与えましょう。族長として、全ての猫を活かせるよう、どの猫の長所も見逃さないように」
ミント色の目がきらりと輝き、元ウェザー族族長の片目が吸い取られるように光を失い、陰った涼しい緑色の宝石になった。それは俺の体に吸い込まれ、目までの神経が焼けるような感覚になり、思わず目をつぶった。
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投稿 by Murre Tue Jun 28, 2022 7:29 pm

第31章 後半
数秒して痛みが引いた。薄っすらと目を開けると、新たな姿が前に出ていた。
「グリーンハート」
「こんばんは、ブレイズストーム。あなたには、この命と共に癒しを与えましょう。弱い者の話を聴き、その猫が安心する助言を行えるよう」
グリーンハートの緑色の目の奥にぱっとウォーターペルトの毛皮が浮かび、あっという間に薬草の香りがする、安らかな命が注ぎ込まれた。ウォーターペルトの姿は目から締め出され、周りには甘いイヌハッカの香りが漂い、残った。
「ブレイズストーム、この命と共に愛を授けましょう。血のつながりが無くても、互いが温かいもので満たされるように」
アイスファーの鼻づらが柔らかく押しつけられ、それと真逆の酷い痛みが雷に打たれた後のような痺れをもたらした。母の愛は、強かった。
「ウォーターペルトに少しでもいいから愛情を」
最後の囁きは、月に吹いた風によって流され、宇宙に吸われ、消えた。
「こんばんは、ブレイズストーム」
「インディゴウダイポー」
亡くなった見習いの毛は綺麗に舐められ、キャンプに運ばれてきた時の生気の無い姿とは正反対だった。折れた骨も魔法のように直され、今では立派な大人だ。
「私は、あなたに、この命と共に真実を授けます。僕やハンドライフ、そしてティン、ゴッドエンペラーを思い出してほしい」
立派になった体から、光が放たれそうな強い力が伝わり、命がまた一つ、増えたのが分かった。元見習いは俺の痛みを鑑みて、他の猫より早めに引き上げた。
「こんばんは、ブレイズストーム。久しぶりね」
怪光に縛られるように首を回し、暗闇の方が似合う黒と灰色のぶち猫を見る。オリジナリーリターンライフは、少し目尻を下げると、生前より何倍も艶やかな声で決まり文句を唱えた。
「この命と共に、戦闘力を授けよう。この力は自らのためでなく、一族を守るために使うのだ」
目がぐっと細くなり、その黄色の目から強い光が失われた。閉じられた目は強く閉じられ、自らの命を全て俺に渡したいと願っている、と美しい心とともに再び痛みが脈打った。
「ごめんね」
そう言うとオリジナリーリターンライフは背を向け、入れ違いに見覚えのある模様をした雄猫が入ってきた。
「フラッグアンドウィンドだ」
ハンドライフが口を挟み、雄猫は礼をした。誰に似ているかは思い出せない…。
「この命と共に信頼の心を授ける。過ちを犯した者にも信頼を寄せ、寛大な心で許せるように」
フラッグアンドウィンドは小麦色の目をきらりと光らせると、強い恥の気持ちと共に、どんなものにも例え難い痛みが流れ込んできた。最後にウィートフィールドらしき背中が見えたのは、気のせいだったのだろうか?
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投稿 by Murre Fri Jul 01, 2022 5:46 pm

第32章
「ハンドライフ!」
前族長は堂々と歩き、最後の命を授けに来た。先程の「フラッグアンドウィンドだ」を最後に言葉を発さず、ただ、歩いてくる。広い肩は健康そうで力強い。
「この命と共に、寛大さを与える。使うときはその場面になったら、分かる」
最も激しい痛みが体を貫き、脚が震えた。伝授の時間も最長だが、鼻づらはネオジム磁石のようにくっつき、離れない。
「もういいですか」
「あぁ、忘れてた」
ハンドライフは可笑しそうに目を輝かせると、付け加えた。
「フレキメデスライフにも、されたのでね」
ハンドライフは下がり、全体に呼び掛けた。
「新しい名になったマウンテン族族長を、歓迎する、ブレイズライフ」
「ブレイズライフ、ブレイズライフ!」
ルナクランの声がまとまり、遥か広がる宇宙に咲く花のように広がった。
「あなたを導く者は、今授けられた力よ」
ふわりと声がし、意識も遠のき始めた。最後の力で目を開けていると、驚きの姿が目に入った。枝分かれした尻尾、飼い猫特有の艶のある毛並み、シャム柄の澄んだ青い目…。
「ティン!」
ティンの姿は、直ぐにごった返す猫の塊と、俺を巻き込んだ光の渦に隠され、見えなくなった。
「いくらなんでもー!」
アイスファーが????る声が遠くで響き、暗闇が落ちてきた。
 
「ブレイズライフ!」
か細い声がし、シャイニングスノウのぼやけた顔が見えた。次第に焦点が合い、はっきりを輪郭までもを認識する。
「ありがとう。一族のもとに帰ろう」
体はまるで、月まで足で歩いたかのように疲れ、重かった。
 
「シャイニングスノウ、君…」
「何ですか?」
「いや、なんでもない。ただ、不安になって…」
白いふわふわの尻尾が肩に置かれた。
「ルナクランが選んだのは、誰でもない族長です」
「あ、あぁ。そうだな」
看護猫は先にキャンプに入った。俺は深呼吸する。命で力が漲ったとともに、戸惑いがあった。
ルナクランが俺にわざわざ幻覚を見せ、迷わせるはずがない。あの姿は、生前見ていた姿を、そっくりそのまま持っていた。あんなに見てきた俺が、見間違えるはずがない。
「ねぇ…」
俺は隣にいるはずの猫に話しかけたつもりだった。
「あ…」
その猫はもう、この部族にはいなかった。
早起きしたシーサイドアイが、こくりと首を傾げ、再び部屋に入った。
スタールームに苔を敷いてようやく思い出した。ウォーターペルトについて、ルナクランに助言を求めていなかった。先程授かった命が燃えたかのように体温が上がった。
灰色だった空に緑色の筋が走り、それは直ぐに朝の橙に変わった。紫を帯びたまま桃色が空にまとわりつき、横に広がっている。そして驚くほど速く日が昇ってきた。今日は日没まで眠れなさそうだ。
出していた顔についていくように、体もスタールームから出た。ふわりとハンドライフのにおいがした。
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投稿 by Murre Sat Jul 02, 2022 10:14 pm

第33章 前半
何事もなく青葉の季節と落ち葉の季節の間になった。今日が最後だろう、青葉のルナツリーに登るのは。そして、ウォーターペルトが消えてから初めてウォーター族と顔を合わせることになった。
「大集会、誰を連れて行きますか?」
ウォーターテイルも副長として初の大集会だ。副長の定型文に緊張が絡み合い、硬い。
「ヴァルケイドレンジ、アイランドスパイダー、クレーターストリーム、ムーンクリスタル、ベリーフラワー、カメットテイル、そして、今日命名式が有る者を連れて行こう」
ウォーターテイルは高めの朝の太陽と変わらないくらい目を輝かせた。
「フェニックスフェザーの子ですか」
「そう。あと...」
言葉が詰まった。喉が悲しみに締め付けられたからだ。
「フェザーポーとオリビンポー」
ああ、と副長は頷き、下を向きながら言った。
「二匹には伝えておきますね。私がオリビンポーを見ましょうか?」
「頼む。そして」
紺色の目が、水色の体が、引き止められた。
「タイガーキットの指導者になって欲しい」
血がつながっていないのにあの猫とそっくりな副長の目は、濡れていた。
「はい。もちろん」
「今日の正午、二組の式を始めよう」
少しでも早く涙を乾かしてやりたくて、日のような笑顔を見せたつもりだった。ウォーターテイルは頷き、スタールームは再び一匹になった。
背中のイガを舌で取り、ぐるりと岩壁を見る。近づき、遥か昔から存在してきた岩壁の傷にそっと触れる。二匹の準備ができるまでの間何かしたかったからだ。
「ん?」
爪を引っ込める。実は、大集会への緊張で爪が収まらなかったのだ。
水の飛沫の形が潰れ、消えた。ように見えた。そう、引っ掻き傷が動くわけないのに。
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投稿 by Murre Sun Jul 03, 2022 8:59 pm

第33章 後半
オリビンポーもフェザーポーも、完璧な腕を見せ余裕の合格をした。
「太陽が真上に昇った!」
俺は、決まり文句ではない招集をかけてみた。一族はちょっと耳を疑ったが、首を動かし強い日差しに目を細めると、そろそろと涼しい木陰から出てきた。
「ふわっ」
口にリスをいっぱい詰めたフライトスターが驚き、リスの尻尾を勢い余って吐き出した。カメットテイルがいつものこと、と触れもせずに通り過ぎた。二匹の戦士にハンドライフの命を感じた。
「月は、夜だけでなく、朝にも昼にも出る。今日、四匹には新しい気持ちで大集会に出てほしくて、正午に命名式を行うと決めた」
一族は静かに俺の言葉に耳を傾けている。そわそわと足を動かすものと思われる毛の擦れる音が、ナイトスカイロックの真下から、僅かに聞こえた。
「エメラルドキット、君は生後六か月に達した。よってここにルナクランが見習いとして認めるだろう。エメラルドポー、君は一生懸命戦士の掟を理解するために一族に奉仕することが出来るか?」
「出来ます!」
ネズミ二匹分飛び跳ねた緑色の目の雌猫に、母親のフェニックスフェザーが恥じ入るような目で連れ合いを見た。
「アッシュレパード、君の初弟子だ。君の行動力と知識を全て、この子に授けてくれ」
「はい」
灰色の戦士と白い見習いは鼻づらを触れ合わせ、ナイトスカイロックを降りた。交代に虎柄の雄猫が岩をよじ登り、すました顔をするのが見えた。
「タイガーキット、君も生後六か月に達した。ここにルナクランが見習いとして認めるだろう。タイガーポー、君は一生懸命戦士の掟を理解し一族に奉仕できるか?」
「はい」
冷静な目からは、子猫―見習いらしい純粋な興奮を感じ取れた。
「ウォーターテイル、君はウォーターペルトを立派に指導した。今回も君の賢さと体の使い方をこの子に、授けてやってほしい」
「はい」
副長は俺の琥珀色の目を見つめ、一度息を吸ってから鼻を触れ合わせた。
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投稿 by Murre Mon Jul 04, 2022 8:21 pm

第34章 前半
島の手前で足を止め、水で頭まで冷やした。といっても冷やされて循環してくる血をどくどくと感じ、耳を澄ませていただけだが。水の流れが少し、止まったような気がし、慌てて水が揺れだした。振り向くと、後続の猫達が戸惑うような目をして立ち止まっていた。
「行こう」
俺は誰に向けたかもわからず、ただ呟いた。今日の雲は一割だ。
体を掠る脚は黄色くなりはじめる物もあり、かさかさと音を立てた。青葉の季節の熱も冷め、島はひんやりと静かだった。
「一番だー!」
クレインフェザー【鶴の羽根】がはしゃぎ、クリアオリビン【澄んだ橄欖石】にぶつかった。クリアオリビンは気にせず、戦士として初めて来た島に目を輝かせた。
「こんばんは、ブレイズライフ」
ランプセイヴが弟子と共に上陸し、声を掛けてくれた。俺が礼をする間にゼイファイトライフがクロウリブズインウェストと並んで葦を肩で押し分けて島に入った。
俺は先にルナツリーに登り、上からゼイファイトライフが幹に爪を立てるのを目の端に置き、他の二部族の集団を探した。
「ウェザー族だ!」
タイガーポーが、はっと耳を叩いたがエメラルドポーは甲高い声を響かせた。ワールドライフはオッドアイを少し丸くすると、初めて見る見習いが居ることに気付き、「ようこそ」と言った。タイガーポーはくるりと目を回したが、山吹色の目には安堵が少なからず浮かんでいた。
「ウォーター族はまだかな?」
少し空き地を見回したゼイファイトライフは、上ったワールドライフとあいさつを交わした。
「何もないといいのだけど…」
ウォーターテイルの声が下から僅かに聞こえた。
「遅れました!」
わさわさと草を波打たせウォーターライフが飛び込み、続きスカイブレイクが来た。
いや、違う。あの声はウォーターライフじゃない。
ウォーターペルトの毛皮が、銀色の月光に照らされ、艶が際立った。
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投稿 by Murre Fri Jul 08, 2022 5:57 pm

第34章 後半
「ウォーターペルト?!」
この場に来ている誰もが目を丸くし、啞然とした。ウォーターペルトはウォーター族以外の全員に向け一礼し、ルナツリーの幹に爪を立てた。
「君…」
「皆そう思ってるでしょ。あなただけに話すことは、できないわ」
ウォーターペルトは藍色の目をきらりと光らせた。
「これから大集会を始めます」
ウォーターペルトは族長にも一礼し、一歩前に進み出た。全ての猫が彼女の言葉を一言も聞き漏らすまいとし、耳を立てる。
「私はウォーター族族長に任命された、リヴァーサイドライフです。この名は、過去に素晴らしい行動をとった戦士から頂いたものです」
ウォーターペルト改めリヴァーサイドライフはもう一歩進み出た。ウォーター族側で「リヴァーサイドライフ、リヴァーサイドライフ!」との声が上がり、やがて島全体へと広がった。
「ウォーター族から報告があります。先日、私達の縄張り内で<二本足>が青葉の季節の滞在を終え、怪物に荷物を積んでいました。その時、ゴッドエンペラーの事件の時に付けられていたもの、と思われる鉄の罠に元副長のスプラッシュヘルプが誤って捕らわれてしまい、その<二本足>に連れ去られてしまったのです。ウォーターライフ、いや今はその名を返上しリヴァーサイドアネスティ―パースンですが、元族長は怪物を追い、止めるため前に飛び出し下半身が麻痺してしまいました」
そこまで言うとリヴァーサイドライフは目を伏せた。このことを聞いた猫達もウォーター族の悲劇に驚き悲しんでいる。
「リヴァーサイドアネスティ―パースンは族長を辞め、その前に私を族長に指名しました。私は既に九生を授かり、リヴァーサイドライフの名も授かりました。新しい副長はウォータースカイです」
根本付近の焦げ茶の虎猫は胸を張ると深々とお辞儀した。
「ウォーター族からは以上です。二匹の戦士が仕事と、仕事ができる健全な体を<二本足>によって奪われました」
リヴァーサイドライフは声を少し低くして言うと、涙を堪えて後退した。
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投稿 by Murre Sat Jul 09, 2022 1:50 pm

第35章 前半
今日の大集会は終えられた。俺はタイガーポーとエメラルドポー、クレインフェザーとクリアオリビンを紹介してウェザー族に譲った。ウェザー族も異常なしで一歩下がり、ホウル族も報告なく閉会を宣言した。
ゼイファイトライフとワールドライフは「ご愁傷さま」とリヴァーサイドライフに言い、ルナツリーを早々と降りた。枝の上には二匹になった。リヴァーサイドライフも降りようと身構える。
「明日の夜、山の麓まで来れる?」
俺の問いかけに新族長は、はっと動きを止めた。俺は振り向いてくれるのを期待する。
「勿論、行けないわけがないじゃない」
リヴァーサイドライフの背中はしなやかに動いた。
俺の心に夜が訪れた。現実世界は日が昇ろうとしているのに。
 
「こっち、こっちよ」
囁き声が茂みの中から聞こえてきた。中からは灰のにおいがする。
「あなたも灰を付けて、ウサギの巣穴にまで行って」
「巣穴?」
「ホウル族の!」
そう言うと灰のにおいがする灰塗れの、こっちがくしゃみしそうになるリヴァーサイドライフが移動し始めた。足は歩き慣れているのだろう、タイガの森へ向かっている。
「分かった、けほっ」
灰が巻きあげられた。
 
「この道、まだ使ってるのかなぁ?」
「使ってないって言ってたわ。もう偵察猫もいないって」
「それ誰情報?」
「フォールメイプルラッグ」
リヴァーサイドライフはどこで覚えたのか、すいすいと暗い穴の中を進んでいく。俺は僅かに見える水色の尻尾をただ追うのみだ。
「僕を、どこに連れて行こうとしてる?」
歩調を緩めず俺は聞いた。
「うわっ!急に止まるなよ!」
危うくぶつかりそうになった。リヴァーサイドライフは窮屈な通路の中でできるだけ体をひねりながらこちらを見た。目は悲しげだ。陰っている。
「ウェザー族の空き家よ!」
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投稿 by Murre Sun Jul 10, 2022 2:47 pm

第35章 後半
「この通路、こんな所に!」
「しっ!パトロール隊が居るかもしれないし、見張りに聞かれるかもしれない」
リヴァーサイドライフは声を潜めて目を光らせた。すぐ右手には岩場があり、見たことの無い景色だ。
「あっちよ」
リヴァーサイドライフは穴から這い出し、高い草目掛けて走った。僕も付いて行く。
「おい!」
がさがさという音と共に、雄猫の声がした。周りの空気が冷える。
「ごめんなさい、急いでいるの」
「いいからリヴァーサイドライフ」
「夜は限りがあるの!」
水色の雌猫はさっと尻尾を振り、草の壁の向こうへ行ってしまった。明るい光が僕に近づく。
「ブレイズライフ、侵入だ」
金色の光が隣に並んだ。黄金色の長毛の尻尾が僕の口へ近づく。
「ゴッドエンペラー」
「やあ、こんばんは」
もふっと口に毛が触れると、すぐ離された。ルナクランの戦士は溜息をついた。
「君達、本当に好きだねぇ。”予言”に少しは抗わないのかい?」
「予言?僕達に?」
左耳は、確実に遠ざかっている草をかき分ける音を絶え間なく感じていた。
「知らないの?誰も言わなかったのかい?」
ゴッドエンペラーは金色の目をぐるりと回した。
「君達の前世の猫が戦士だった頃、ルナツリーに予言が降りたのさ。どの部族に向けてでもなく、ルナツリーに。『絡まった秘密は地下にあり、炎中にあり、水中にあり』」
「それで?」
ゴッドエンペラーは脇腹を強く押しつけてきた。
「ルナクランは君達を見守っている。いつでも、どこにいても」
黄金色の亡き戦士の姿は光の柱となり、風に流された。目の前の草が二つに分かれた。
「ブレイズライフ、来て。日が昇ると厄介なの」
僕は急き立てられた。促されるままに進む。
「入って」
「え?」
「入って」
空き家は、静かだ。空き家はなんだって?あれだよ。ウェザー族の縄張り内の、ティンとウィートフィールドの家。
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