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空のキオク─ Look up at the blue sky with you ─

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この小説は…

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投稿 by ジェイホープ Tue Jan 12, 2016 6:35 pm



空のキオク─Look up at the blue sky with you─
















             夜明けの風が花を揺らす───

「私に関わらないで!」

                     可憐な蒼い空は
                                      孤独を好んだ─
   
「君はなにを恐れてる?」

                             紅い炎は彼女に届かない

                                       


「私は…あの子を守ってあげられなかった…!」

                                        青い星は後悔の涙を流す


                                       差別から生まれたあの少女は────
               
                                           闇に呑まれ光を失った


                           ───再び空が晴れた時
                                                          君はそこにいるのだろう──

                           
                            見上げた空が青い蒼いあの日のキオク


                  ~登場猫~

                   ・スカイフラワー<空の花>

                     淡い灰色の毛に蒼と翠の〈魔ノ目〉の雌猫
                     右目は見えないが、能力をもつ。

                       「あなたになにがわかるっていうのよ?!」
         
                  「私は全てを失った。命ある世界にいる意味はもうないわ」

                    ・ロンリースカイ〈孤独な空〉
                         スカイフラワーの中にいる闇。彼女の負の感情によって生まれたもう一つの人格のようなもの。
             
                ・一期のサンダー族の猫達

                     主にファイヤハート、ブルースターが出てきます。


         
                ~魔ノ目の伝説~

                 左右で目の色が違うものは魔ノ目と呼ばれてきた。魔ノ目はそれぞれ特別な能力を持ち、それを使い害をもたらすまたは一族の救世主となると言われてきた。
魔ノ目は遺伝や突然変異で産まれる場合がある


目次






















プロローグ❀夜明け❀

第1章❀記憶の中で❀

第2章❀透明な影❀

第3章❀運命の歯車❀

第4章❀孤独❀

第5章❀決意❀

第6章❀真実と伝説❀

第7章❀悟り❀

第8章❀残酷❀

第9章❀未来❀

第10章❀隻眼❀

第11章❀正義❀

第12章❀夢の中の声❀

第13章❀終わらない悪夢❀

第14章❀戦地❀

第15章❀消えてゆく夕暮れに❀

第16章❀誰も知らない❀

第17章❀偽りの思い出❀

第18章❀空虚❀

第19章❀感情❀

第20章❀蒼い涙❀

第21章❀時は流れて止まることを知らずに❀

第22章❀最後の決意❀




゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚゚*.。.*゚*

こんにちはっ!ジェイホープです!ついに小説に手を出してしまいました…w
3年ほど懐に温め続けた作品を丁度13歳となり新しいスタートを切った自分が記念として?綴っていきたいと思います!
まだまだ未熟で文才もない私ですが、見ていただけると嬉しいです。
小説の序章や設定から変な雰囲気漂ってますが気にしないでくださいね((
では、よろしくお願いします!!






最終編集者 ジェイホープ [ Sun Mar 05, 2017 1:30 pm ], 編集回数 48 回
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投稿 by ティアーミスト Tue Jan 12, 2016 6:56 pm


つ、ついに妹の小説がッ……!嬉しくて跳ねた霧涙ですw

新小説おめでとうございます (*≧д≦)<<そしてHAPPYbirthday‼

もしかすると主人公の名前は、改名なさる前の希望さんが由来なのです?w

綺麗なタイトルと、かっこいい序章にわくわくが止まりませんっ 

執筆ガンバです!



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投稿 by ジェイホープ Tue Jan 12, 2016 7:53 pm

ティアーミスト wrote:
つ、ついに妹の小説がッ……!嬉しくて跳ねた霧涙ですw

新小説おめでとうございます (*≧д≦)<<そしてHAPPYbirthday‼

もしかすると主人公の名前は、改名なさる前の希望さんが由来なのです?w

綺麗なタイトルと、かっこいい序章にわくわくが止まりませんっ 

執筆ガンバです!

おおおお姉様っ!!!
コメ&Happy Birthday、ありがとうございます!

そして、改名前の私だとバレちゃいましたw?
実は、スカイフラワーという名前、考えた時は特に意味もなくただ気に入っただけの名前だったのですが…w
一つの名前から小説のアイデアがぽんぽんと浮かんでしまい、スカイフラワーの物語が私の中でできてしまったので、こうしてここに上げることにしたのですw

応援ありがとうございます!なんとか頑張りますね( ๑・ิω・ิ๑)و

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投稿 by jay heart Tue Jan 12, 2016 7:59 pm

新小説おめでとうございます❗&HAPPYBIRTHDAY‼(知りませんでした…)
題名が私的には不思議で内容もとても気になります❗
頑張ってください‼p(^。^)q

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投稿 by ジェイホープ Tue Jan 12, 2016 8:24 pm

プロローグ__夜明け



暖かな朝日に照らされて、深く降り積もった純白の雪が白銀に輝く。その丘をぐるりと囲むように、裸の枯れた木々が立ち、葉のない枝をさわさわと風に揺らした。
この世とは思えないほど神々しい光に包まれた丘の上。
そこには1匹。小柄な雌猫がそっと横たわっている。

この場所で唯一ここが現実世界にあるものと感じられるのは、猫の深い傷から流れ出す紅い赤い血であった。
血は少しづつ流れ出ては白雪に滲み、辺りを染めていく。

雌猫はもう起き上がる気力もなくただその美しい瞳を空に向けているだけだった。
その姿は動くことのない彫像のようで、一切の動きすらない。なのに恐ろしいほどに美しかった。煌めく毛並や、何かを静かに見つめるその目が、何よりも美しかった。



──不意に木立から悲鳴が上がった。驚きと悲しみが入り交じったような悲痛な叫びだった。

その声に雌猫は微かに反応する。生きる力を失った体に少しだけ、最期の力が湧いたようだった。
炎色の猫がすごい勢いで丘へ駆けてくる。彼の緑色の瞳は信じられないというように大きく見開かれていた。

「スカイフラワー…?」炎色の雄猫はそっと語りかけた。声が震えている。

「スカイフラワー…!」

「逝かないでよ…!まだ僕達なにも話せてないじゃないか…!」

雪に涙が一滴こぼれ落ちた。涙が次々に頬を通って一握りほどのわずかな雪を溶かしていくのが、とてもとても切なげに見える。
哀しみの声に雌猫は顔を上げて何か囁いた。その言葉を涙をのみこんで聞く雄猫に最後に一つ笑いかけて。命の灯が一つ消えた。
雄猫は声にならない叫びをあげて崩れ落ちた。運命の残酷さに動揺の色を隠せない。希望を失った彼は空を仰いで哀願に吼えた。


雌猫の瞳から光が流れ落ちた。
虚ろになった蒼と翠の双眼がまるで空が血を流しているかのような朝焼けを映していた。


最終編集者 ジェイホープ [ Wed Aug 09, 2017 8:32 pm ], 編集回数 4 回
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投稿 by ジェイホープ Tue Jan 12, 2016 8:39 pm

jay heart wrote:新小説おめでとうございます❗&HAPPYBIRTHDAY‼(知りませんでした…)
題名が私的には不思議で内容もとても気になります❗
頑張ってください‼p(^。^)q

ありがとうございます!題名…不思議ですか?読むにつれわかってくるかもしれません…w
頑張りますね*ˊ ˘ ˋ*
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投稿 by ラッキークロー Tue Jan 12, 2016 8:54 pm

詩のような美しいプロローグ、英語が最大限に生かされた題名が印象的です。

 どこか切ない雰囲気のこの物語、更新を楽しみにしています!

 __そしてお誕生日おめでとうございます!
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投稿 by ジェイホープ Tue Jan 12, 2016 9:42 pm

ラッキークロー wrote:詩のような美しいプロローグ、英語が最大限に生かされた題名が印象的です。

 どこか切ない雰囲気のこの物語、更新を楽しみにしています!

 __そしてお誕生日おめでとうございます!

ありがとうございます!!どこか切なく消えてしまいそうな空をイメージしてプロローグを書いてみました^^
更新を楽しみにして下さるなんてとても嬉しいです!応援、誕生日おめでとうのお言葉、本当にありがとうございます´`*
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投稿 by ライトハート Wed Jan 13, 2016 2:53 pm

新小説おめでとうございます!
なんだか題名もプロローグも素敵ですね!
スカイフラワーはファイヤハートとどんな関係なのか気になります(`・ω・´)
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投稿 by ジェイホープ Wed Jan 13, 2016 4:59 pm

ひかりすず wrote:新小説おめでとうございます!
なんだか題名もプロローグも素敵ですね!
スカイフラワーはファイヤハートとどんな関係なのか気になります(`・ω・´)

コメントありがとうございます!素敵なんてとても嬉しいです(*´∀`*)

そうですね…二匹の関係は…w物語が進むにつれてわかっていくと思いますw
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投稿 by ジェイホープ Wed Jan 13, 2016 5:29 pm

第1章__記憶の中で


1日中降り続いていた雨が上がり、真夜中のキャンプをしっとりとした夜気が包んでいく。
辺りはしんとしていて見張りに立つ戦士が微かに闇の中で動く音が響いている

うぅっと呻き声を上げファイヤスターは飛び起きた。
目を開けた瞬間、現実世界に帰ってきたと悟り、ほぉっと独りため息をつく。

久しぶりに夢を見た。あの若い日の記憶を──

もう眠る気になれず、ファイヤスターは部屋を出た。
夜の湿った風が頬をなぜ、気持ち良い。
空には太く美しい銀河が映り、濃紺の空は優しくこちらを見つめていた。

彼女みたいだ─ファイヤスターは思った。
空のように孤独で優しく遠い彼女のようだと。
──スカイフラワー。
儚く散ってしまった空の花。

彼女の死に際の記憶を夢に見たのはなにか意味があったのだろうか──

古い記憶がどっと蘇りファイヤスターは震えた。
懐かしい記憶は今では恐ろしい古傷となって残っている。触れれば痛む哀しい記憶だ。なのに、思い出したくないと願うほどスカイフラワーとの思い出がいくつも思い出されていく。

スカイフラワーは自分の友達であった。

若くして亡くなった自分の友達だった。
グレーストライプよりずっと深い優しさと賢さを持っていた。

ファイヤスターの瞳から涙がこぼれ落ちた。不意に襲う虚無と痛み、寂しさは彼女を思ってのものだろうか。

彼女を 助けてあげたかった。
彼女の 笑顔をもっと見たかった。

そう願うほど虚しさは勢いを増して、心の叫びは空へ溶けていった。

自分は彼女を愛していた。サンドストームに感じる愛とはまた違った愛だった。

ファイヤスターは空を見上げる。過去と向き合う時が来たのかもしれない。今スカイフラワーを想う全ての感情がそう告げていた。消した過去を再び開ける時が来たのだ。

スカイフラワー。君は覚えているだろうか。
僕と君との一つの歴史を───あの日の記憶を…


最終編集者 ジェイホープ [ Sun Oct 16, 2016 5:22 pm ], 編集回数 2 回
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投稿 by ヒーステイル Thu Jan 14, 2016 5:17 pm

新小説おめでとうございます!
ささやかながらも応援させていただきます(●´ω`●)とっても素敵です!
執筆頑張ってください!
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投稿 by ジェイホープ Thu Jan 14, 2016 5:40 pm

第2章__透明な影


最初にスカイフラワーと出会ったのはもうずいぶん昔だ。野生へと駆り立てられていく自分の心と戦った時期だ。日々、森へと思いを馳せいわば自分の人生を変えた決断をしたあの時期。
そう、あの時まだ自分は一族に入ったばかりだった__________



「──レイヴンポーと、ダストポーと、サンドポー、それからスカイポーだけ。」

サンダー族に入った初日。そう、あの日、寝床に入る前にグレーポーは他の見習いを紹介してくれていた。

五匹のうち、二匹不在。残った三匹はグレーポー、サンドポー、スカイポーだ。
グレーポーは見ての通り良いやつで楽天家なのんびり屋。自称している通りそこそこイケメン。
サンドポーはすらっとした雌猫だが、よほど飼い猫嫌いなのか刺々しくて意地悪だった。仲良くなるのは無理そうである。
サンドポーの態度がちょっと不愉快だがまぁいいやと肩を竦め、ファイヤポーは残る一匹について聞いてみた。

「スカイポーは?」

まだ姿すら見ない見習い猫。どんな猫なのだろうか。飼い猫の事でからかわれるのはうんざりなので、グレーポーのようだったらいいな。

「あぁ…スカイポーか。あいつはまだ出かけてるんじゃないか?」グレーポーはわかりやすくギクッとした表情をして、そわそわと尻尾を振った。

これはなにかあるぞ。グレーポーは隠し事が下手なようだ。
まさか、スカイポーが好きとか……?否、それにしてはよそよそしい。しばらく考えたが意味がつかめずグレーポーに問おうとしたところで、ファイヤポーは口を閉じた。
見習い部屋の方に足音1つ立てず、淡い灰色の猫が見えたからだ。顔を下に向けて歩き、ほとんど見えなかった。

「君がスカイポー?僕──」

雰囲気が他と違うような奇妙な猫で、頼りなげな細い体格のせいか寂しそうだ。
少しでも話せればいいと、声をかけたが自己紹介する間もなく、少女はスッと見習い部屋に潜り込んでいった。はらりと香った花の匂いが可憐な後ろ姿に相まって神秘的だった。

しかし対応としては最悪だ。目も合わせないなんて。彼女も飼い猫を忌み嫌う猫のようだ。ファイヤポーが深くため息をつくと、グレーポーが気持ちを察して言った。

「あいつ、ああいう奴なんだ。気にするなよ。」

少し諦めたような響きだ。そういうなりグレーポーはサッと尻尾を振り中に入っていった。ファイヤポーはグレーポーの言葉を素直に信じ、ドンマイと自分を慰めるとそれに続いて中に入った。

サンドポーの高い怒鳴り声が響く中、ファイヤポーはコケをかき集めて寝床を作った。
全く、気の強くて意地悪な雌猫だ。グレーポーの反応によるといつもより二割増以上機嫌が悪いらしい。他所生まれの自分が部族にはいるのはかなり奇異なことらしいので、受け入れられなくて当然かもしれない。

隣にはスカイポーがもう丸まって眠っている。つややかで美しい毛並みは同じ灰色のグレーポーの毛より光沢があり、違いが一目瞭然である。その上下する小さな体を見ているうちに眠気が襲ってきた。

ファイヤポーは周りを囲む森の匂いや、硬い締め付けのない首の毛の感覚に満ち足りた気分で目を閉じた。少なくとも、グレーポーという友達ができたことも大きな喜びだ。

サンドポーはともかく、スカイポーは内気そうな子なので話しかければ喋ってくれるかもしれない。それにレイヴンポーやダストポーがまだいるので、友達になれるかもしれない。

そんなのんびりした感想を抱いていた自分はあの頃まだ若く、未熟で浅はかだった。


最終編集者 ジェイホープ [ Sun Mar 05, 2017 9:06 am ], 編集回数 5 回
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投稿 by ジェイホープ Thu Jan 14, 2016 6:28 pm

第3章__運命の歯車


それから2ヶ月ほど、スカイポーと関わる機会はほとんど無いに等しかった。しかし森の生活に慣れ、サンダー族の一匹一匹について知ってゆく内に気づいたことがたくさんあった。

スカイポーは朝、誰も起きていないような夜明けにそっと起きていき、夜は闇に包まれたキャンプにそっと帰ってくる。
彼女の指導者はブルースター。忙しい族長はあまり訓練に時間を割けないのだろう。
スカイポーがブルースターと出かけていくのは少ししか見たことがなかった。

スカイポーはいつも独り、誰とも喋らなかった。喋らないどころか、誰も彼女に寄り付かない。
誰もが避け、非難がましい目で彼女を見つめるのだ。
それは、最初こそひどかったが徐々にファイヤポーの力を認め、優しくしてくれる一族とは全く違う猫に見えるほどだった。一部の猫は普通に接していたがそれは一族の半分にも満たなかった。

見るからに他と違った扱いをされているスカイポー。しかし、スカイポーと一族の猫。違うところを問われてもわからない。

少し変わっていることといえば、左右で目の色が違うことだろうが…そんなこと小さなことだろう。気づいたときは少し驚いたが。右は深い青で、左は緑だ。
光を受けて鈍く輝くひとみは実年齢よりぐっと大人びて見えることはあった。でもそれだけで…?とファイヤポーは思うのだ。
それか、昔何か問題を起こしたことがあったのだろうか?

気になる気持ちはあったのだが、嫌われている猫について誰かに聞くのはどこか躊躇われてファイヤポーはまだ何も知ることは無かった。

その日、ファイヤポーは初めての単独任務だった。

暖かな陽光を全身に浴び、ファイヤポーは体を振った。
もう、既にたくさんの獲物をとらえていたが、まだ森には山ほどの生き物が隠れている。
ファイヤポーは敏感な鼻で周りの空気を嗅ぎ、探し始めた。

不意に香るクロウタドリの美味しそうな匂い。ファイヤポーはそっと駆け出した。獲物を獲ることで、一族に貢献できるのがたまらなく嬉しく、足は抑えつつも生き生きとした表情を浮かべている。
 木の下で、クロウタドリが落ちた実をついばんでいた。本能的にファイヤポーはサッと獲物を狙う姿勢に入った。そろそろと足音1つ立てず、忍び寄る。伸ばした手は滑らかな羽の感触を受け取ると、カギ爪を食い込ませた。クロウタドリは叫ぶ間もなくファイヤポーの手に捕まり、仕留められた。
くたっとしたクロウタドリをくわえファイヤポーは満足げに唸った。すぐ木の根元に穴を開けぽとりと落とす。
こうすれば誰にも獲物を横取りされずにすむだろう。

ファイヤポーは再び歩き出した。また鼻をひくつかせ獲物を探していく。
その時、ふわっと風に流されスカイポーの匂いが鼻をくすぐった。花を身に纏っているかのようなあの匂いだ。
ファイヤポーは周りを見渡した。どこにいるのだろうか。ほとんどの行動を一人でいる彼女は一人で森にいるはずなのにスカイポーの姿を森で見たことはなかった。ファイヤポーは急に興味がわいて匂いを辿った。すると見知らぬ獣道が現れた。
一時期は本気で悩んだ飼い猫特有の鼻の悪さも野生猫らしく直ってきたようだ。誇らしげに顎を上げさらに匂いを嗅ぎ取ろうとすると同時に、今まで、何度も通った場所の近くなのに全く気づかなかったことに驚きを覚えた。
ファイヤポーは警戒心を高めながら獣道にそっと足を踏み入れていく。

シダの茂みが道を囲むようにびっしりと生え、緑に包まれた道は暗く恐ろしく見えた。
進むにつれて、道が開けスカイポーの匂いが濃くなる。彼女がここに通いつめていることは明らかだった。
道を出ると、静かな丘についた。草花が青々と茂り、木々が美しい葉を広げ木陰を作っていた。柔らかな日中の風が溶け込むように吹いてきてはわずかに毛をなびかせていくのが心地良い。

ほうっとため息をついてその美しい景色に見とれていると、不意に目の端で何かがサッと動くのが見えた。
何か思う間もなくファイヤポーは頬を殴られ横に倒される。首元に力のこもった灰色の腕が突き立てられた。息が苦しい。色の違う瞳が鋭いカギ爪のようにこちらを見つめてくる。
スカイポー…?
殴られた痛みと彼女の表情に衝撃がファイヤポーの体を駆け巡った。
鋭い眼光と気迫、わずかに香る花の匂いにファイヤポーは動揺し、なす術もなかった。


最終編集者 ジェイホープ [ Sun Mar 05, 2017 9:17 am ], 編集回数 6 回
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投稿 by ジェイホープ Thu Jan 14, 2016 6:30 pm

ペイルヒース@とある彼等の想起事変 wrote:新小説おめでとうございます!
ささやかながらも応援させていただきます(●´ω`●)とっても素敵です!
執筆頑張ってください!

ありがとうございます!素敵と言っていただけて嬉しいです!
頑張ります( *˙ω˙*)و
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投稿 by オークフラワー Sat Jan 16, 2016 10:57 am

 コメント遅れましたが新小説おめでとうございます!。頑張ってください。応援しています。
 (なぜスカイポーがファイヤポーを押さえつけたのか早くその理由知りたいです!。)

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投稿 by ジェイホープ Sat Jan 16, 2016 4:21 pm

オークフラワー wrote: コメント遅れましたが新小説おめでとうございます!。頑張ってください。応援しています。
 (なぜスカイポーがファイヤポーを押さえつけたのか早くその理由知りたいです!。)

ありがとうございます!!できるだけ頑張って更新しますねw!すみませんw
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投稿 by ジェイホープ Sat Jan 16, 2016 4:44 pm

第4章__孤独



「放して…」ファイヤポーはゆっくりと慎重にスカイポーの手に触れ、ずらそうとした。

スカイポーはゆっくりと手を緩めた。だが、目の鋭い光は和らがない。

「なに…しにきたの…?」スカイポーは小さな声で言った。先ほどの恐ろしい雰囲気は掻き消え、不安げな表情が浮かんでいる。

「君こそなにしていたんだい?」ファイヤポーは立ち上がり、土ぼこりを払った。動揺で声が少しうわずったが、それを隠すようにわざと明るく声をかけた。

ここはきっとスカイポーだけの秘密の場所だったのだろう。あまりよく知らない新入り飼い猫がここに来るなんて思いもしなかったから驚いているだけなのではないだろうか。ファイヤポーはあえて多くを考えないようした。本当は話したこともないその猫が何を考えているのか怖かった。
スカイポーはまるで目を合わせることを拒むように俯き警戒を緩めない。不安げにしていると華奢なその体の線が一層際立って見え、ファイヤポーはいくらか恐怖が薄れた。彼女を怖がらせているのは自分だ。

「……あのスカイポー。ちょっと散歩でもして帰らないか?僕今単独任務の途中なんだけど__」

傷つけるのも怖がらせるのも不本意だ。できれば友好関係を結びたいなどすっかり楽観視していたファイヤポーはゆっくりと歩きだした。しかしスカイポーはただそこに立っているだけで、まるで根でも生えたかのように動かない。

「どうしたの?」

だが、スカイポーは答えず静かな唸り声をあげた。ひやりとした何かがファイヤポーの体を貫いて、足が動かなくなった。何の感情も映していないその表情にファイヤポーは寒気を感じた。

そして、スカイポーはサッと横をすり抜けて足早に丘を立ち去った。
立ち尽くすファイヤポーを置いて小さな影が遠のいていく。
何かしてしまっただろうか…罪悪感と不穏な予感にファイヤポーは反射的に追いかけ始めていた。
丘に続く獣道を抜け、小川の流れる辺りまで行った。足音を聞きつけたのだろう、そこにはスカイポーが立ち止まっていた。

「来ないで!」 スカイポーは言った。

「来ないで!ここに来ては駄目なの!」 懇願するような表情だ。

ファイヤポーは口を開けて問いかけようとした。
「スカイポー?ごめん、どうしたの__」

「嫌っ……やめて嫌なの……」スカイポーは焦点の合わない目で頭をかかえている。

走って息が切れたからか、かすれた声しか出なかった。
ただならぬ口調と空気にファイヤポーは自分の中の恐怖が加速していくのがわかった。動揺が隠し切れず、その場に立ちすくむ。

次の瞬間、スカイポーの顔がつっと歪みその場に倒れ込んだ。

「スカイポー?!」ファイヤポーは駆け寄ろうとした。だが、スカイポーは逃げようと足を伸ばした。

うぅっと彼女から呻き声が漏れ、スカイポーは激しく何かに取り付かれているかのようにその場でもがいた。

「来るな!来ないで…あぁ……!!!」スカイポーが必死になって叫んだ。さっきまでの表情とは違い、苦悶の表情を浮かべている。目を大きく見開き、自分ではない何かを見据えている。何かにひどく怯え、逃げようとしている

その恐ろしい声に、ファイヤポーの足が止まった。
スカイポーが小さく悲鳴をあげた。

何かが来た。彼女に何かが現れた。
もがいていた足が止まり、やがてふらりと立ち上がった。
そして、開かれた瞳には狂った表情が浮かんでいる。それは確実にスカイポーのものではなかった。

その目がファイヤポーを捉えた瞬間、本能が逃げろと大声で叫ぶ。
恐怖に駆り立てられ、ファイヤポーは風よりも早く、早く駆けるしかなかった。


最終編集者 ジェイホープ [ Wed Aug 09, 2017 8:51 pm ], 編集回数 3 回
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投稿 by ジェイホープ Sat Jan 16, 2016 5:03 pm

第5章__決意


自分がどれだけ速く走ったかも、どこからどこまで駆けたのかも、何一つ思い出せなかった。、
気づけば、息を切らし、重い足で歩を進めていたのだ。
火照った体を木陰で冷やし、一息ついたところで、ファイヤポーの瞼の裏に狂ったようなあの眼光が浮かんだ。思わず身震いし、ファイヤポーはあの光景を思い出さぬよう務めた。あれはスカイポーじゃないんだ。自分が見たのは全部夢。夢で、さっきはなにも起こらなかったんだ。ただの白昼夢にすぎないのだ。

結局その日はずっとスカイポーの事が頭から離れず、初めての単独任務は無惨な結果に終わった。
シャドウ族の戦士を捕まえたはいいものの、戦士の掟を破って獲物を食べてしまった。森を駆け回っていた上、戦闘までしたのだから誘惑に耐えろという方が無理だったような気もするが、そんなのはただの言い訳である。
グレーポーに励まされたがキャンプに帰ると、噂は火のようにキャンプに広まっていた。
おかげで、一族の皆からやはり飼い猫だから と冷たい軽蔑の目で見られファイヤポーはしゅんとした。
惨めでたまらなかったし、自分に腹が立っていた。

その内、一族に招集をかける声が響き、集会が始まった。勿論何のための集会かはわかっている。自分の連れ込んだ意地汚い捕虜のことと処罰についてだ。尊敬するブルースターを失望させてしまった。ファイヤポーの気持ちはまた暗く落ち込んでいった。
自分に与えられる罰はなんだろうか──悲しい気持ちで項垂れていたファイヤポーはブルースターの声があまり耳に入っていなかった。

「───ファイヤポーを」自分の名を呼ばれファイヤポーはやっと顔を上げた。一族の視線が痛い。

「私の弟子にします。」キャンプに響いたその声はきっぱりとしたいつもの族長の声だった。

その言葉にファイヤポーは驚き、自分の耳を疑った。興奮が体中を駆け巡り、自分の鼓動がやけに大きく聞こえる。
一拍置いてグレーポーの__やはり驚きの声が__耳に入り、ファイヤポーは確信した。

僕はブルースターの弟子になったんだ!

「でも、スカイポーはどうするのですか?」声が上がった。そうだそうだといった声がいくつも上がった。

それと同時に淡い灰色の見習いに嫌悪と憎しみの視線が集まった。スカイポーは空き地の端っこに一欠片も感情を見せない冷静な表情で座っていた。ただ瞳はしっかりとブルースターを見つめていた。
ファイヤポーは今日の事を思い出してドキドキしながらスカイポーから目をそらした。しかし、今の彼女にはあの凍るように冷徹な恐ろしい何かは見られなかった。

「今回は特別な例として、二匹の指導を受け持つことに決めました。」

ブルースターに抗議の声が降り掛かった。戦士の掟に反していると毛を逆立てるロングテイルが見えたが、あいつは反論せずにはいられないおかしなやつだ。族長の命令にも従えないとは。とファイヤポーは軽蔑の視線を投げておいた。

「スター族からはそれを示すお告げが降りています。先祖の判断に口を挟むべきではありません」決して動じない族長の態度と、有無を言わせない口調に抗議はやっと静まった。ただ、不安げな視線がいくつも一族の間を通り抜け、スカイポーへ、そして自分へ繋がっているのがわかった。

捕虜の件についての罰がくだされたが、一族もファイヤポーも正直それどころではなかった。しかしブルースターはいつもとなにも変わらずに集会を終え、困惑した猫達もやがて日常へ戻っていった。、

しばらく空き地に留まっていたファイヤポーには、年長の戦士との話し合いを終えたあと、ブルースターがスカイポーに近づいていくのが見えた。スカイポーはサンドポーとダストポーにいじられていたが、族長が近づいてきたことと、反応の薄いスカイポーが面白くなかったようですぐに解放されていた。

それを見てファイヤポーはまたスカイポーの事が気になり始めていた。
スカイポーはなぜ忌み嫌われているのか。少なくとも自分はそれを知らなくてはならないだろう。同じ指導者についていく以上、仲良くしていきたいとも思う。
一瞬昼間の光景が脳裏に浮かぶ。あの時スカイポーは苦しんでいるように見えた。苦しんでいる猫を放っておくこともしたくない。

ファイヤポーは真実を探ることに決めた。


最終編集者 ジェイホープ [ Thu Aug 10, 2017 2:25 am ], 編集回数 2 回
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投稿 by ライトハート Sun Jan 17, 2016 10:25 am

だんだんとスカイポーの秘密に近づいてきてますね!
冷たい態度が物凄く気になります!
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投稿 by レパードクロー Mon Jan 18, 2016 5:02 pm

今更ですが初コメ失礼します!(スライディング土下座

題名がとても素敵ですね!そしてスカイポーの冷たい態度が気になります。

ブルースターは弟子を二匹とることにも何か秘密がありそうな感じでわくわくしてます((

陰ながら執筆応援しております!頑張ってくださいニャ!
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投稿 by ジェイホープ Mon Jan 18, 2016 5:12 pm

ひかりすず@なりきりトピック wrote:だんだんとスカイポーの秘密に近づいてきてますね!
冷たい態度が物凄く気になります!

コメありがとうございます!スカイポには秘密がたくさんありますw冷たい態度にも理由があり…wファイヤポーがどのようにして彼女に近づいていくのか楽しんでいただけたら嬉しいですw!
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投稿 by ジェイホープ Mon Jan 18, 2016 5:18 pm

豹爪 wrote:今更ですが初コメ失礼します!(スライディング土下座

題名がとても素敵ですね!そしてスカイポーの冷たい態度が気になります。

ブルースターは弟子を二匹とることにも何か秘密がありそうな感じでわくわくしてます((

陰ながら執筆応援しております!頑張ってくださいニャ!

コメありがとうございます!(スライディング土下座((

ブルースターとスカイポー。2匹にも繋がりがありますwファイヤポーとスカイポーだけじゃなく、ブルースターとスカイポーの関係にも注目ですw!

応援本当にありがとうございます!!頑張ります( *˙ω˙*)و
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投稿 by ジェイホープ Tue Jan 19, 2016 5:56 pm

第6章__真実と伝説


「なぁグレーポー?」

ファイヤポーは獲物を食べ終わってくつろぐグレーポーをつついた。手始めにこいつから聞き出すのが早いだろうとファイヤポーは思った。グレーポーはそこまでスカイポーを嫌っていないようなのでちょうどいいだろう。

「なんだよ」グレーポーはぱたぱたと尻尾を振りながら眠そうに言う。コケの絨毯にからだを預けてリラックスしているようだ。

「あのさぁ聞きたいことがあるんだけどさ」

ファイヤポーは前足をもぞもぞと動かした。この話題を出したら答えてくれないだろうか…ただ、聞けるやつがいるとしたらこいつしかいないだろう。

「だからなんだよ」グレーポーは毛づくろいしながらこっちを見る。ファイヤポーの様子を見てただの話じゃないと気づいたようだ。起き上がって顔を拭っている。

「スカイポーの…こと…なんだけど」

グレーポーは黄色い目に驚きの表情を浮かべた。やはりまずかったかな…ファイヤポーはそわそわと落ち着きなく尻尾を振った。

「あいつがどうしたの?」

そばにいたレイヴンポーもぴくっと耳を動かしいぶかしげにこちらを見た。

「あいつ、嫌われてるだろ?なんでなのかちょっと知りたくて。」

ファイヤポーは正直に言った。二匹の反応を見る限り、やはり一族でのスカイポーの立場は危ない状態にあるようだ。
微妙な沈黙が三匹を包んだ。口を開いたのは驚くことにレイヴンポー。ちらりとグレーポーを見てから、意を決したように一気に言った。

「す、スカイポーの目の色が左右で違うだろ?そのせいだよ。」声が震えている。短い言葉なのにレイヴンポーは話は終わったとでもいうように丸まって口を閉ざしてしまった。

「それだけじゃないだろ?なんで皆あいつのこと…大体、目の色が違う猫なんて結構いるだろ?僕の昔のすみかで目の色が違う野良猫を見たこともある」

ファイヤポーはしつこく言った。グレーポーに視線をやると困ったように肩をすくめる。

「あのなぁお前……」グレーポーは仏頂面で言った。だが、ファイヤポーの真剣な瞳に気付くとため息をついた。「どうしても聞きたい?まぁ同じ指導者につく以上知りたい気持ちは分からなくもないけど」

そして、中断していた毛づくろいを再開した。やたら丁寧に尻尾の長い毛を整えている。

「スカイポーみたいに、左右で目の色が違うやつのこと〈魔ノ目〉っていうんだよ。それで、その〈魔ノ目〉って特別な能力を持ってて、それで部族をつぶすって言われてるんだ」

「ううん、部族を破滅に導く又は光に導く。だから正の心があれば救ってくれる大きな存在になるんだって。」

レイヴンポーがグレーポーの雑な説明に仕方なさそうに口をはさんだ。

「あぁそうだったかな。でもとりあえずうちの戦士や母猫はスカイポーが破滅に導くって信じてて。だから嫌われてるんだ。」

グレーポーはそっけなく言った。

「あいつの母親も…うちの戦士にやられて死んじゃったんだ。だからスカイポー、僕達のこと憎んでるかも」

「母親を殺された?」ファイヤポーはショックを受けて聞いた。まさか一族の中で広がった軋轢が殺しにまで発展するとは。

「うん。これも聞きたい?」レイヴンポーが少し皮肉っぽく聞いた。

ファイヤポーな何だか悪い気分になりながらも頷くと、レイヴンポーが話し始めた。

「僕もよくは知らない。スカイポーの母親が、〈魔ノ目〉だからって暗殺されたんだ。スカイポーや僕達が子猫の頃。それをかばったスカイポーのお父さんまで死んじゃったらしいんだよ。お父さんは〈魔ノ目〉じゃなかったのに」

ファイヤポーはそれを聞いてつっと顔を歪めた。差別と偏見から生まれた少女。だからスカイポーはあんなにも孤独なのだ。
誰も頼れもせず、あの丘で独りきっと泣いているんだ。
嫌われた理由は分かったとして、スカイポーが憑りつかれていたあれはなんなのだろう。また、彼女の両親を殺した犯人は…?
次々と疑問が浮かび上がったが、ファイヤポーは言葉を飲み込んだ。

「ありがとう」

ファイヤポーは言った。グレーポーとレイヴンポーに悪い事を聞いてしまった気がする。これ以上は聞き出すと気まずいだろう。
二匹は軽く頷いて話を変えてくれた。
しかしその後、3匹で他愛もない話をしている間もファイヤポーの頭からスカイポーが離れる事はなかった。

「おやすみ」

2匹の規則正しい寝息が聞こえ、空に星の光る神秘の時間になってもファイヤポーは寝付けなかった。
スカイポーはまだ帰ってきていない。だが夜間パトロールに出ているわけでもないのだ。
ファイヤポーはそっと立ち上がり足を伸ばした。

もしも雨が降っているのなら──空が涙を流しているのならその涙を止めてあげたい。

正でも悪でも関係ない。身も心も独りでいるほど辛いことはないのだ。


最終編集者 ジェイホープ [ Thu Dec 29, 2016 3:39 pm ], 編集回数 1 回
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投稿 by 黒尻尾 Sat Jan 23, 2016 6:01 pm

 コメント失礼します。とても素敵な題名で読むのが楽しくなります。この小説を読みながらファイヤーポーの気持ちになったりしてみたりしていますw。陰ながら応援しています。お次の章が楽しみです。急がなくても大丈夫ですよ。(^-^)

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