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Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~

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Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~ Empty Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~

投稿 by ジェードウィング Sat Aug 26, 2023 7:37 pm

第七章  (フォレスト族の話)
今日は大集会がある満月の夜だ。
ジェードポーも行っていいことになっている。
ジェードポーにとって三度目の大集会だ。
今フォレスト族のみんなはライジングスターを先頭に、大集会を行う場所である「スターモス(星のコケ)」に向かっている。
もうすぐ着くはずだ。
スターモスは周りが岩壁で囲まれていて、外敵から身を守りやすい。輝くコケが密生していて心地が良く、とても美しい場所だ。
ジェードポーは、ラーク族の三毛柄のメスの戦士猫、ダプルフェザーが大好きだ。
ジェードポーと同い年でとてもやさしく、話しかけやすい。

やっとスターモスに着いた。やっぱりここは美しい場所だ。安心感がある。
もうほかの部族も到着していた。
一緒に来ていたクリムソンハートが話しかけてきた。
「おれはラーク族の戦士の一団のところに行って話してくる。一緒にいてあげられなくてごめんな。お前も好きなところに言ってしゃべってきたらどうだい?」
ジェードポーは自分を気遣ってくれるクリムソンハートを見て、もっと好きになった。
「ええ、大丈夫よ。私はダプルフェザーを探してみる。」
「また後でな」
「ええ、ありがとう」
クリムソンハートから離れたジェードポーは、ダプルフェザーを探し始めた。
ふと、ジェードポーは顔を上げた。
誰かに見られている?
ジェードポーは周りを見渡した。
すると、ジェードポーは自分を見つめている一対の目__琥珀色の目__を見つけた。
その目はまばたきもせず、ただじっとジェードポーを見つめていた。


第八章  (フォレスト族→サンド族の話に切り替え)
誰だろう、あのぶち柄の銀色と白の毛皮の美しい猫は…。
一番印象的なのはあの翡翠色の目。
クレセントクローがほれぼれと見つめていると、向こうの猫も気づいたようだ。
話しかけてみようかな…
クレセントクローはためらいがちに話しかけた。
「君、どこの部族の猫だい?」
「私、フォレスト族の見習いよ」
フォレスト族か…。
「見習いにしてはけっこう年長そうだね」
「ええ、私は普通の見習いより二年年上なの」
「どうしてだい?」
「私、命名式の時に倒れた木の下敷きになって、足の骨が折れたの。二年しなきゃ治らないって言われちゃって」
そうだったんだ…。
「でも、私がかばったから救われた同い年の見習いが、今の私の指導者になったのよ!素晴らしいと思わない?」
「いいことを考え付いたんだね」
「あなた、名前は?」
「ぼく、クレセントクロー。サンド族の新米戦士だよ。きみは?」
「私、ジェードポーよ。よろしくね。」
なんて話しかけやすい猫なんだろう。
フォレスト族の族長が開会宣言を言い始めたのが聞こえて、ジェードポーが、
「もう行かなきゃ。またね!」
と言ってかけていき、自分の指導者であろう白猫の隣に座った。
楽しみにしていた大集会だっていうのに、族長たちの報告なんて、もう聞いていなかった。
頭の中は、あの翡翠色の瞳を持つ美しい猫のことでいっぱいだった。


第九章  (サンド族→フォレスト族の話に切り替え)
族長たちが近ごろの一族の様子などを報告し始めた。
「ねえ、クリムソンハート!」
ジェードポーが話しかけてきた。
「なんだい?ジェードポー」
「私、サンド族のクレセントクローって猫と話してきたの。礼儀のいい猫だったわ」
クレセントクローっていったら、あそこに座っているあの白地に黒のぶち柄のオス猫か…
クレセントクローはジェードポーをうっとりと見つめている。
クリムソンハートはむっとした。
やっぱり、ラーク族のところへ行かずにジェードポーのそばにいればよかった。
どうやらライバルができてしまったみたいだ。
そう、クリムソンハートは保育部屋にいたときはジェードポーを友達だと思っていた。
でも、戦士になってからは自分をかばって足を折ったこの美しいメス猫を好きになったのだ。
本当は、ジェードポーに気持ちを伝えられないのは断られるのが怖いからだ。
でもクリムソンハートはそれを、「自分はジェードポーの指導者だから」という言い訳で伝えずにいた。
どうしたものか…
クリムソンハートは下を向いた。
「どうかしたの?クリムソンハート」
「あっ、ううん、何でもないよ」
「そう。ならよかったわ」
嘘だ。
なんともなくなんかない。クリムソンハート今、とてもあせっている。
もし自分が好いているこのメス猫がクレセントクローに取られてしまったらどうしよう。
そう思うと体の中を寒気がサーっと走った。
そうなるわけがないじゃないか。だいいち、あいつはほかの部族だろ?
心の表面上ではそう思いながらも、クリムソンハートは今、とても心配になった。
どうしてだろう。
自分は少しの間でこんなにこのメス猫のことが好きになっていた。
ジェードポーが戦士になったら、この気持ちを伝えよう。
クリムソンハートは心に決めた。

ジェードウィング
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Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~ Empty Road of love ~それぞれの恋の道~ 第十章~

投稿 by ジェードウィング Sun Aug 27, 2023 12:28 pm

第十章  (フォレスト族→グラス族の話に切り替え)
「スカイポー、いつまで寝ているんだ?まるで冬眠中のハリネズミだな!」
スカイポーははっと目を覚ました。
「今起きました、サンダーペルト!」
サンダーペルトが見習い部屋に入ってきた。
「まったく、今日は戦士昇格試験の日だっていうのに、早起きぐらいしろ。戦士になりたくないのか?」
スカイポーはむっとした。
「そんなわけないじゃないですか!なりたいにきまってます!」
サンダーペルトの目がおかしそうに輝いた。
「そうだな。みんな分かっているよ、スカイポー。お前はほかの見習いのだれにも負けないくらい頑張ってきたもんな」
サンダーペルトは真剣な表情で言った。
「じゃ、準備はできているんだな?」
「もちろんです!」
スカイポーは目を輝かせて言った。
そして、胸が地面に着くぐらいに伸びをしてしゃきっと立ち上がった。
「行きましょう、サンダーペルト」
「よし、いいぞ。ルールはほかの見習いがやっているのを見たことがあるから知っているだろうが、もう一度説明しておく」
スカイポーはうなずいた。
「まず、試験では捕れる限りの獲物をいくらでも取ってこい。そして、公正な判断ができるよう、評価は俺とリーフウィングで行う」
自分の名前が出たことに気が付いた薄茶のメス猫は、ちらっとサンダーペルトのことを見て、うなずいた。
サンダーペルトが続けた。
「お前が試験中に捕った獲物は獲物置き場に追加される。ただし、獲物の一つは自ら長老に持っていくこと。そこまでが試験だ」
スカイポーは真剣な顔でうなずいた。
「では、草原へ行くぞ」
このグラス族のなわばりは、木で囲まれた空き地にあるキャンプを出ると少し森が続いた後は草原になっている。
草原では、ネズミやハタネズミ、ウサギなどが多い。
スカイポーはサンダーペルトの後に続いてキャンプを出た。



第十一章  (グラス族)
スカイポーが初めに狙ったのは、ハタネズミだ。
草原の、草の短い見つかりやすい場所にいる。
スカイポーは、バカなハタネズミだな。と思った。
そしてスカイポーは草を揺らさないよう、滑るように進んだ。
ハタネズミがぴくっと動いた。どうやら危険を察知したようだ。
ハタネズミは走り出したが、遅かった。
すでにスカイポーはハタネズミにとびかかり、ひと殴りでしとめていた。
スカイポーは今しとめたハタネズミに土をかけ、後で持って帰ることにした。

ずいぶん時間がたった。
スカイポーはもう、8匹目の獲物を捕まえていた。
一日でこんなに獲物を捕まえることができているのは、いつもの倍集中しているからだろう。
そう思ったとき、サンダーペルトとリーフウィングが現れた。
「スカイポー、よく頑張ったな。俺は今まで全力で一族につくしてきたが、こんなにたくさんの獲物を一日で捕まえたことはない」
リーフウィングも言った。
「スカイポー、素晴らしいわ!こんなに獲物を捕まえられるなんて!きっと立派な戦士になるわね!」
立派な戦士?
「ってことは__」
「ああ、合格だ」
やったあ!これで私も戦士になれるんだわ!
サンダーペルトが言った。
「今からキャンプに帰って合格だということを族長に伝えよう。きっとゴールデンスターにもほめてもらえるぞ!」
「ありがとうございます、サンダーペルト!」
三匹はスカイポーの取った獲物を2,3匹ずつくわえ、キャンプへ向かって歩き出した。

キャンプに着くと、サンダーペルトはさっそくゴールデンスターに報告しに行った。
スカイポーはリーフウィングと獲物を運び終え、長老たちに一番立派なウサギを届けに行った。
「スカイポーです、入りますよ!」
呼びかけると、中から声が返ってきた。
「お?スカイポーか。その匂いはウサギだな?」
茶色のオスの長老、スパローフェザーだ。
「ええ、私が戦士昇格試験で捕まえたんです!一番立派なのを持ってきました」
「戦士昇格試験?受かったの?」
白いメスの優しい長老、フロストウィングだ。
「はい、合格です、フロストウィング!長老の皆さんも、命名式を見に来てくださいますか?もうすぐ始まると思うんですけど」
「もちろん見に行くよ、スカイポー」
白地に茶色のぶち柄のオスの長老が言った。
「本当ですか?スペックルペルト」
「もちろんだよ」
その時、サンダーペルトの声がした。
「スカイポー!お待ちかねの命名式が始まるぞ!」
「今行きます!」
空き地に出ると、族長の呼びかけで戦士や母猫、見習いが出てきていた。
そして、スカイポーの後ろから長老たちも出てきた。
そして、グレートロックの上にいるゴールデンスターが言った。
「今から戦士昇格の命名式を始める!」
そして、スカイポーと目を合わせた。
「スカイポー前へ」
スカイポーは震えながら前へ進み出た。
「わたくし、グラス族の族長であるゴールデンスターは、この見習いを戦士に昇格させることを宣言いたします」
ゴールデンスターが声を張り上げていった。
「今この瞬間から、スカイポーはスカイウィングという名前になる。この見習いの努力と優しさをたたえて」
周りにいた戦士やら見習いやらがスカイウィングの名前を大きな声で呼び始めた。
「スカイウィング!スカイウィング!」
スカイウィングは胸があたたかくなった。
命名式が終わってキャンプから出たスカイウィングの足は、自然とラーク族との境界線へ向かっていた。

ジェードウィング
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Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~ Empty Road of love ~それぞれの恋の道~

投稿 by ジェードウィング Sun Aug 27, 2023 12:39 pm

この物語を1章だけだも読んでいただいた方々にお願いがあります。
お願いです!返信をください!
読んでもらっているということを実感したいんです!

ジェードウィング
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Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~ Empty Road of love ~それぞれの恋の道~ 第十二章~

投稿 by ジェードウィング Sun Aug 27, 2023 4:22 pm

第十二章  (グラス族→ラーク族の話に切り替え)
「おい、ブラクンペルト!」
兄に呼ばれたブラクンペルトははっと振り返った。
「なんだい?レイン__」
次の瞬間、兄が何と言おうとしたのかが分かった。
ブラクンペルトは木にぶつかり、低くうなった。
「ブラクンペルト、お前最近変だぞ?何か悩んでいることでもあるのか?」
「いいや、ないよ」
「嘘つけ、何かあるだろ」
「何もないって!」
ブラクンペルトは思わず怒鳴ってしまってから、罪悪感を覚えた。
「ごめん。たしかにボーっとしすぎだったよ。これからはもっと気を付ける」
そう言って兄から離れた。
スカイポーに会ったあの日から、あの見習のことが忘れられない。
キャンプから出たブラクンペルトは、無意識にグラス族との境界線に来ていた。
すると、ブラクンペルトがずっと聞きたかったあの声が聞こえた。
「ブラクンペルト?」
「ス、スカイポー?」
ブラクンペルトは、自分がスカイポーに会いたいばっかりにおかしくなったのかと思った。
「いいえ、もうスカイウィング!戦士になったのよ!」
せ、戦士に?
「じゃあ、今日君はスカイツリーの洞窟へ行かなきゃいけないんじゃないか?」
「そうだったわ、忘れてた!命名式が終わってキャンプを出たら、無意識にここへ来ていたの」
「ぼくもだよ、スカイウィング」
二匹はしばらく見つめあった。
とうとう、ブラクンペルトが口を開いた。
「ぼく…ぼくこんなこと言うのはどうかしてると思うけど、初めて会ったあの日から君のことが忘れられないんだ!」
「実は、私もなの…。ずっと会いたかったわ、ブラクンペルト…」
思いがけない返答に、ブラクンペルトはとまどった。
「っていうことは、ぼくたちは__」
「ええ、そう、愛しあっているみたいね」
うそだろ?これは戦士のおきてに反している!
「戦士のおきてに反しているのはわかっているわ。でもあなたが好きでしょうがないの!」
沈黙の時間が流れた。
「ぼく…ぼくこれからも君と会いたい。ぼくも君のことが好きで、どうしようもないよ!」
「今夜、会わない?」
え?
「グラス族とラーク族の境界線の近くに、どっちのものでもない場所があるじゃない?あそこは獲物も乏しくて誰も近寄らないわ!あそこで会いましょうよ、ね?」
「わかった、じゃ、今夜」
す、すごい。
思いがけない約束をしてしまったブラクンペルトは、スカイウィングを見つめ、幸せに包まれた。
ブラクンペルトは、いつまでもこの空色の瞳を見つめていたいと思った。

ジェードウィング
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Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~ Empty Road of love ~それぞれの恋の道~ 第十三章~

投稿 by ジェードウィング Tue Aug 29, 2023 8:40 pm

第十三章  (ラーク族→フォレスト族の話に切り替え)
「9匹目!」
ジェードポーは今、戦士昇格試験を受けていた。ライジングスターは試験なんていらない、今すぐ戦士にしてやるといったが、ジェードポーはみんなと同じように試験を受けてから戦士になれるほうが嬉しかった。
今とった獲物に土をかけ終わったのと同時に、クリムソンハートが現れた。
「すごいな、こんなに捕ったのか」
クリムソンハートは感心したように獲物の山を嗅いだ。
「ありがとう、クリムソンハート」
「ジェードポー、もう合格決定だ。キャンプへ帰ろう」
「ええ、クリムソンハート、キャンプまで競争よ!」
ジェードポーは言い終わらないうちに走り出した。
ジェードポーは全速力で走ったが、キャンプに入るすんぜんでクリムソンハートに追い抜かされてしまった。
ジェードポーが急いでキャンプに入ると、息を切らしたクリムソンハートが勝ち誇ったように目を輝かせていた。
「俺の勝ちだぞ、ジェードポー?なにかご褒美はあるのか?」
「じゃあクリムソンハート、後で戦士部屋へ私の捕まえた獲物を持って行ってあげるわ」

クリムソンハートがライジングスターに報告をしに行ってすぐに命名式が始まった。
ライジングスターがみんなに召集をかけた。
「一族のみんな、グレートルートの前に集まれ!戦士の命名式を始めるぞ!」
それぞれの部屋から、戦士やら見習いやら、母猫も出てきた。
「始めよう。ジェードポー!前へ!」
ライジングスターに呼びかけられ、ジェードポーは興奮で震えながら前へ出た。ライジングスターは目を合わせてきた。
「ジェードポー、お前は待ちすぎた。今からちょうど2年前の命名式の日、あの出来事が起こったんだ」
族長、副長、空き地にいる見習い以外の猫たちがあの日のことを思い出し、悲しそうに下を向いた。見習いたちは好奇心に満ちた目でライジングスターの次の言葉を待った。
「倒れてきた木の下敷きになったジェードポーは、足の骨を折った。」
見習いたちが数匹、息をのむ音が聞こえた。そうだったんだ、とつぶやく声も聞こえた。
すると、ライジングスターはさっきの悲しそうな目はどこに行ったのかと聞きたくなるほどに目を輝かせた。そしてこういった。
「わたくし、フォレスト族の族長であるライジングスターは、子の見習いを戦士に昇格させることを宣言いたします。ジェードポー、お前は今日からジェードウィング(翡翠の翼)という名前になる。お前の忍耐強さや努力をたたえて」
空き地中の猫たちが歓声を上げた。
「ジェードウィング!ジェードウィング!」
ジェードウィングはあたたかい気持ちでいっぱいになった。
母であるペタルムーンの目はうるみ、父であるシルヴァークローは誇らしげに胸を張っている。だが、クリムソンポーは真剣なまなざしでこちらをじっと見つめていた。
すると、クリムソンハートがジェードウィングのほうへ向かって歩いてきた。なんだろう?ジェードウィングは首をかしげた。
「君は戦士になった。だから今、はっきり伝えたいことがあるんだ、ジェードウィング」
ジェードウィングの心臓がドキドキと音を立てた。何?何なの?
クリムソンハートがジェードウィングの目をしっかりと見つめた。そして、言った。
「好きだ、ジェードウィング」


ジェードウィング
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Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~ Empty Road of love ~それぞれの恋の道~ 第十三章~

投稿 by ジェードウィング Thu Aug 31, 2023 7:01 pm

ごめんなさい
一つ誤字ありますね。
「子の見習い」の「子」はひらがなの「こ」です。
すみませんm(;_;)m

ジェードウィング
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Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~ Empty Road of love ~それぞれの恋の道~ 第十四章~

投稿 by ジェードウィング Thu Aug 31, 2023 8:57 pm

第十四章
「ど、どういうこと?クリムソンハート」
「言葉通りの意味だよ、ジェードウィング。俺は君のことが好きなんだ」
う、うそ…。ジェードウィングは混乱して頭の中を整理し始めた。まず、私はクリムソンハートのことが好きだ。そしてクリムソンハートは今、私のことが好きだと言った。私が好きなこのオス猫は私のことが好き…つまり、二匹は両想いだったということだ!
ようやくそのことに気が付いたジェードウィングは体が火照るのを感じた。
「あ、あの、クリムソンハート__」
「返事は今じゃなくていいんだ。ただ、このことを伝えておきたかっただけ…」
クリムソンハートは語尾をにごした。そして、ジェードウィングと同じように体が火照ったのを感じた。
ジェードウィングはクリムソンハートのそんな姿を見て決心した。
「いいえ、返事は今するわ、クリムソンハート。私もあなたのこと好きだったの」
ジェードウィングの言葉を聞いたクリムソンハートははっと顔を上げた。
「ほ、本当か、ジェードウィング?」
「私は嘘はついていないわ」
そう言いながらジェードウィングは考えた。どうしたんだろう?「噓」という言葉を発した瞬間、ペタルムーンがビクッとした気がした。気のせいかな?きっと、そうよね。羽虫でも飛んできたんだわ。
「ジェードウィング」
そう言って、クリムソンハートはジェードウィングの毛に顔をうずめた。
空き地にいる戦士たちは、今自分たちの目の前で何が起こっているんだというようにぼうぜんと二匹を見ていたが、空気を読んだ見習いの姉妹、ヴァイオレットポー(スミレの足)とリリーポー(ユリの足)が歓声を上げた。それに合わせるようにほかの見習い__ミスティポー、シャイニングポー、ホークポー、スラッシュポー__も歓声を上げた。
それを聞いたほかの戦士たちも歓声を上げ始めた。
歓声がおさまるのをしばらく待ってからライジングスターが優しい声で聞いた。
「いつからなんだい?どうして教えてくれなかったんだ?二匹ともだよ。知っていたらジェードウィングをもっと早く戦士にしたのに。クリムソンハート、お前はジェードウィングが戦士になったから気持ちを伝えたんだろう?」
「はい、そうです、ライジングスター」
「でもライジングスター、もしかしたらこっちのほうがよかったかもしれませんよ!」
思いがけず、副長のスプリングストームが言った。
「みんな、二匹のことを知ってあんなに喜んでいます」
副長はしっぽでみんなのほうを示した。見習いたちは身を寄せ合って、うっとりと二匹を見つめている。リリーポーは「あこがれるわぁ」と、小さな声でつぶやいていた。
クリムソンハートのかつての指導者、ブラックストームがやってきて、クリムソンハートに「おめでとう」と声をかけた。
ペタルムーンは感激のあまり震え、シルヴァークローに身を押し付けている。
たしかに、よかったわ。私もうれしかったもの。
ジェードウィングは幸せの余韻(よいん)にひたりながら、クリムソンハートに体を押し付け、こういった。
「愛してる、クリムソンハート」

ジェードウィング
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Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~ Empty Road of love ~それぞれの恋の道~ 第十五

投稿 by ジェードウィング Fri Sep 01, 2023 7:46 pm

第十五章  (フォレスト族の話→グラス族の話に切り替え)
スカイウィングはブラクンペルトと約束をした後、オスの看護猫、マグノリアファー(モクレンの毛)と一緒に戦士になった猫が必ず行く場所である「スターツリーの洞窟」へ向かった。ちょうど今、フォレスト族との境界線に着いた。二匹はここで、少し休憩することにした。スターツリーの洞窟へ行くには、この境界線に沿って歩かなくてはいけない。
少しすると、フォレスト族の猫のにおいがした。あちらも二匹だ。
フォレスト族の猫の姿が見えた。片方は看護猫のヘザーリーフで、もう片方は…大集会で見たことがある。たしか、ジェードポーだったっけ。
「やあ、ヘザーリーフ!二匹だけでどうしたんだい?」
マグノリアファーが聞いた。
「あら、マグノリアファー。あなたこそどうしたの?一緒にいる猫が戦士になったの?」
「よく察しがついたね。実は、そうなんだ。さっき命名式を行ったばかりで、今からスターツリーの洞窟に行くんだ。この境界線にそって歩くんだ」
少し間が空いてから、ヘザーリーフが言った。
「じゃあ、一緒に行かない?私たちも向かっている最中なの。この子はジェードウィング」
「この子はスカイウィングだよ。偶然だね、同じ日に戦士になった両方の戦士の名前に「ウィング」が入ってる」
スカイウィングはほんとだ!と思いながらも胸を張り、スターツリーの洞窟に行くことについて、少し緊張していることが悟られないことを祈った。
だが、ジェードウィングはそのようなしぐさをすることはなく、優しくほほみかけてきてこういった。
「よろしくね、スカイウィング!」
スカイウィングは、この美しいメス猫がまるで年長の戦士みたいだなあと思った。とても話やすそうな猫だ。スカイウィングは初めて会ったこの猫を好きになった。
「私、ほんとはあなたのように普通に見習いになり、戦士になった子たちよりも2年年上なの。命名式の日に倒れた木の下敷きになって、足を折っちゃって…。でもこうして戦士になれてうれしいわ!がんばらなくちゃね!見習いになって一年で戦士になったのよ」
戦士になるのが遅れたにもかかわらずにこんなに明るくふるまうこの猫を、スカイウィングは尊敬した。
「私のほうこそよろしく!一つ不思議に思ったのだけれど、わたし、見習いになってから戦士になるのに3年も待ったの。どうしてかはわからないけど。つまり、あなたと私は同い年よ!なんだかうれしいわ!」
「そうなのね!わたしもますますうれしい!偶然と偶然が重なって、とっても不思議!」
スカイウィングも、こんなこともあるんだなあと思った。
同い年で、同じ日に戦士になった猫。
よく見ると、毛の長さも一緒だ。体全体の毛足は短いが、しっぽはフサフサしている。
「私たち、毛足の長さやしっぽの形まで似ているわ!もしかしたら前世では姉妹だったのかもね!」
スカイウィングは明るく言いながらも、本当に不思議に思った。
『もしかしたら前世では姉妹だったのかもね!』
自分の声が頭の中によみがえる。
スカイウィングの頭の中は、スターツリーの洞窟へ向かっている間もずっとその声でいっぱいだった。

ジェードウィング
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Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~ Empty Road of love ~それぞれの恋の道~

投稿 by ジェードウィング Sun Sep 03, 2023 10:34 am

もっと詳しく!この話の登場猫!
●フォレスト族
・ライジングスター(上る星):族長。薄青色の目に黄金色の毛をしたオス猫。
・スプリングストーム(泉の嵐):副長。薄いクリーム色の毛皮に水色の目をしたメス猫。
・ヘザーリーフ(ヒースの葉っぱ):看護猫。薄い茶色と白の毛皮で、目はヒースの葉のような薄緑。
・ジェードウィング(翡翠の翼):翡翠色の目をした、灰色のぶち柄のある銀色と白の毛皮の美しいメス猫。
・クリムソンハート(深紅の心):珍しい赤銅色の目をしたオスの白猫。元ジェードウィングの指導者だが訳があってジェードウィングとは同い年。
・ペタルムーン(花びらの月):ジェードウィングの母。目は薄紫で、白い毛皮の足の先としっぽの先と鼻づらが淡いショウガ色。
・シルヴァークロー(銀色の爪):ジェードウィングの父。銀色と白の毛皮で目は琥珀色。弟子は薄紫の目をした白いメス猫、ヴァイオレットポー(スミレの足)。
・ブラックストーム(黒い嵐):真っ黒なオス猫で、目は青。もとクリムソンハートの指導者。弟子は、ヴァイオレットポーの妹で、薄桃色と琥珀色のオッドアイの白猫、リリーポー(ユリの足)
・アイスブラッサム(氷の花):クリムソンハートの妹。白いメス猫で、目は水色と薄桃色のオッドアイ。サンペルトのつれあい。
・サンペルト(太陽の毛皮):淡い黄金色の毛皮に青い目をしたオス猫。アイスブラッサムのつれあいで、ライジングスターの弟。弟子は、淡い黄金色の毛皮に緑の目をしたメス猫、シャイニングポー(輝く足)。
・クラウドウィング(雲の翼):青い目をした白いメス猫。ブラックストームの妹で、フォレストアイのつれあい。弟子は茶色と黒のしま柄に青い目をしたオス猫、スラッシュポー(ツグミの足)。
・フォレストアイ(森の目):驚くほど鮮やかな緑の目をした薄い茶色のオス猫。弟子は、スラッシュポーの兄で、こげ茶色と白の毛皮に琥珀色の目をしたオス猫、ホークポー(鷹の足)。
・スパロウペルト(スズメの毛皮):黒い斑点模様のある茶色い毛皮と白の毛皮のオス猫。目は灰色。弟子は青い目に灰色の毛皮のメス猫、ミスティポー(かすんだ足)。
・アージャーウィング(紺碧の翼):紺碧色と琥珀色のオッドアイのメスの白猫。
・スペックルバーク(まだらな樹皮):白地に茶色のぶち柄のオス猫。目は緑。
・モスペルト(コケの毛皮):白地に三毛柄の母猫。ラセットキット(赤褐色の子猫)、スノウキット(雪の子猫)、ストームキット(嵐の子猫)の母。
●ラーク族
・クロウスター(カラスの星):族長。琥珀色の目をした真っ黒なオス猫。
・サマーネビュラ(夏の星雲):きらきらとした水色の目を持つメスの白猫。胸に淡いショウガ色の三日月模様がある。
・ペタルフォール(散る花びら):看護猫。メスの三毛猫で、目は薄桃色。
・ブラクンペルト(ワラビの毛皮):薄めの緑の目をした、茶色にトラ柄の毛皮のオス猫。胸と足の先が白い。
・レインクラウズ(雨の雲):青い目をした灰色のオス猫。ブラクンペルトの兄。
・パインウィスカー(松のひげ):こげ茶のトラ柄のオス猫。目は青。
・ブラッサムフロー(花の流れ):薄いクリーム色のメス猫で、目は薄桃色。弟子はクジャクの羽ような青緑の目をした白いメス猫、ピーコックポー(クジャクの足)。
・ラスティハート(さびた心):オスで、水色の目をしたさび猫。弟子は、ピーコックポーの妹で、琥珀色の目の白いメス猫、チェリーポー(桜の足)。
・スノウスワロウ(雪のツバメ):白と黒のメス猫。目は琥珀色。弟子は、琥珀色の目をした、白に近い灰色のオス猫、サンポー(太陽の足)。
・ブラックペルト(黒い毛皮):緑の目をした黒いオス猫で、スノウスワロウの兄。弟子は琥珀色の目をした濃い灰色のオス、スモークポー(煙の足)。
・ヴォウルウィスカー(ハタネズミのひげ):薄茶で青い目のオス猫。弟子は、スモークポーとサンポーの兄で、琥珀色の目をした茶色いオス猫のスコーチポー(焦げた足)。
・クラウドリーフ(雲の葉っぱ):薄緑の目をした白いメス猫。ヴォウルウィスカーのつれあい。ピーコックポーとチェリーポーの母親。
・ブルーウィング(青い翼):青い目をした灰色のメス猫。ウィンドテイルのつれあい。サンポー、スモークポー、スコーチポーの母親。
・ウィンドテイル(風のしっぽ):こげ茶の毛皮に琥珀色の目をしたオス猫。
●グラス族
・ゴールデンスター(黄金の星):族長。緑の目に黄金色の毛のオス猫。
・グレースパーク(灰色の火花):副長。琥珀色の目に灰色の毛のオス猫。
・マグノリアファー(モクレンの毛):看護猫。金茶色の毛に薄緑の目をしたオス猫。
・スカイウィング(空の翼):空のような水色の目を持つメスの白猫。耳・足・しっぽの先と鼻づらが淡いショウガ色で、美しい。
・サンダーペルト(雷の毛皮):黄金色の毛皮をした青い目のオス猫。もとスカイウィングの指導者。
・リーフウィング(葉の翼):薄紫の目をした金茶色と白の毛皮のメス猫で、マグノリアファーの妹。弟子は薄い赤紫の目をした灰色のオス猫、ティスルポー(アザミの足)。
・ラセットクロー(赤褐色の爪):赤みがかった薄茶の毛皮に水色の目を持つオス猫。弟子は水色の目の灰色と白のメス猫、リヴァーポー(川の足)。
・シルヴァーウィンド(銀色の風):青緑の目を持つ銀色のメス猫。ウィロウクローのつれあい。
・ウィロウクロー(柳の爪):琥珀色の目をしたこげ茶色のオス猫。弟子は、リヴァーポーの弟で、琥珀色の目をした灰色のストーンポー(石の足)。
・フロストモス(霜の蛾):青い目をした、白地に黄土色のまだら模様のメス猫。弟子は琥珀色の目をしたメスの三毛猫、ペタルポー(花びらの足)。
・グラスウィング(草の翼):緑の目をしたメスの三毛猫。ホワイトストーンのつれあい。
・ホワイトストーン(白い石):琥珀色の目をした白いオス猫。弟子は青い目をしたメスの白猫、アイスポー(氷の足)。
・アイスヘア(氷の野ウサギ):白に近い、とても薄い茶色の毛皮に、澄んだ水色の目をしたメス猫。ブレイズハートのつれあい。
・ブレイズハート(燃える心):赤っぽい濃いショウガ色のオス猫。目は青。
●サンド族
・トゥリクルスター(雫の星):族長。緑の目に薄い灰色の毛皮のオス猫。
・アウルウィング(フクロウの翼):副長。琥珀色の目で、茶色にこげ茶の斑点模様のある毛皮のメス猫。クレセントクローの姉。
・コーラルアイ(珊瑚の目):看護猫。薄めの珊瑚色の目をしたメスの白猫。鼻づら、しっぽ・足・耳の先が灰色。
・クレセントクロー(三日月の爪):琥珀色の目を持つ白地に黒のぶち柄のオス猫。爪が鋭い。
・ナイトシャドウ(夜の影):真っ黒なオス猫で、目は藍色。クレセントクローと仲のいい猫。
・ストーンクロー(石の爪):灰色のオス猫で、目は琥珀色。クレセントクローと仲のいい猫。
・ブルースカイ(青い空):青い目をしたメスの白猫。ナイトシャドウのつれあい。弟子は琥珀色の目をした白いメス猫、ライトポー(光る足)。
・アッシュムーン(灰色の月):目が青い灰色のメス猫。ストーンクローの姉。弟子は薄い灰色に水色の目をしたオス猫、レインポー(雨の足)。
・サンドウェーブ(砂の波):薄紫の目の淡いショウガ色のメス猫。弟子はレインポーとライトポーの兄、青い目で金茶色のブレイズポー(燃える足)。
・スカイクロー(空の爪):青い目をした、白に近い灰色のオス猫。弟子は薄紫の目をした黒いメス猫、ドーンポー(夜明けの足)。
・ソーンウィスカー(とげのひげ):灰色に黒のしま柄のオス猫。目は緑。弟子は茶色い毛皮に琥珀色の目をしたスパロウポー(スズメの足)。
・ホワイトブリーズ(白いそよ風):灰色の目をしたメスの白猫。
・ミスティムーン(霧がかかった月):白と灰色の毛皮のメス猫。目は琥珀色と青のオッドアイ。
・イーグルアイ(鷲の目):黒っぽい茶色と白の毛皮のオス猫。目は灰色みがかった琥珀色。

最後まで見てくだっさった方々に感謝します!
一章から十五章までの間で違った表現出てきてた場合、正しい情報はこっちです!
これからもぜひ、読み続けてください!よろしくお願いします~o(^o^)o

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Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~ Empty Road of love ~それぞれの恋の道~ 第十六章~

投稿 by ジェードウィング Sun Sep 03, 2023 11:58 am

第十六章  (スカイウィング→ジェードウィングの話に切り替え)
「着いたわ。ここよ」
ジェードウィングはヘザーリーフの声にはっと顔を上げた。もう着いたのか。スカイウィングとのお喋りに夢中で、時間を忘れていた。
「二匹とも、この木の洞(うろ)に入ってごらん」
「ちょっと、マグノリアファー。一つ忘れていることがあるんじゃない?」
ヘザーリーフがいたずらっぽく目を輝かせた。
「おっと、本当だ。ジェードウィング、ちょっとずれてくれないか?」
マグノリアファーに言われてジェードウィングは横にずれた。
何をするのかと思ってみていると、マグノリアファーは木から少し離れた地面にあるひとかたまりのコケをずらした。穴が開いている。前足が一気に三本入るくらいの大きさだ。
「なにをしているんですか?マグノリアファー」
スカイウィングが聞いた。ジェードウィングも2,3回うなずいた。
「ああ、これかい?穴が開いているだろう?この中に月明かりが入るようにしているんだよ」
「何でですか?」
「まあ、入ってみればわかるさ」
二匹はうながされるままに木の前に立った。とても太い木だ。この洞は、一回で猫が10匹は入りそうな広さがある。
まずはヘザーリーフが入り、しっぽで招くようなしぐさをした。続けてスカイウィングが入り、ジェードウィングも入った。
ジェードウィングが入ったのを確かめると、後ろからマグノリアファーも入った。
ジェードウィングが入った時、ヘザーリーフとスカイウィングの姿がなかった。
「二匹はどこに行ったんですか、マグノリアファー?」
マグノリアファーにたずねると、マグノリアファーは洞の中のすみにある穴をしっぽで示した。ゆうに猫一匹が通れるほどの穴だ。
「入ってごらん。きっと驚くよ」
ジェードウィングが頭から穴に入ろうとしたとき、「おっと、ジェードウィング!言い忘れていたが、この穴は斜め下に向かって伸びている。それに木の根っこを伝っている穴だからとても滑りやすいんだ。しっぽのほうから入ったほうがいい」と、マグノリアファーが言った。
ジェードウィングは今度こそ!と、しっぽから穴に入ったその瞬間、ジェードウィングは斜め下へ滑り降りていった。
このスピードが何とも言えない。あ、これだけは言える。楽しい!ジェードウィングは笑いながら滑り降りた。
ふいに、足の裏がつるつる滑る木から柔らかいコケに触れた。一番下に着いたんだ!
ジェードウィングはわくわくが止まらなかった。
ジェードウィングは、さっき自分が出てきた穴から少し離れた場所でマグノリアファーが来るのを待った。
少しすると、マグノリアファーがしっぽから出てきた。
ジェードウィングはいたずらっぽく目を輝かせ、こういった。
「怖くて泣いちゃいませんでしたか?マグノリアファー」
マグノリアファーはしっぽでジェードウィングの耳をはじいた。
「進もう。ヘザーリーフとスカイウィングが待ってるぞ」
マグノリアファーはツタのカーテンのほうをしっぽで示した。
カーテンをくぐると、ジェードウィングは目を見開いた。
「なんて美しい場所なの!」
そこは輝くコケが密生した一つの部屋になっていた。高い天井から細く月明かりがさしている。
「さっきコケをずらしたのはこのためだったんですね!」
ジェードウィングは部屋の真ん中で月明かりを受けて輝くクリスタルを見つめたまま言った。
「そうよ、ジェードウィング。美しい場所でしょう?」
ヘザーリーフが言った。
「さあ、二匹ともそれぞれの部族の看護猫のそばへ行きなさい。そしてこのクリスタルに鼻を触れたまま目を閉じて。少しして目を開けるとスカイ族の狩場にいるわ」
「お二人は一緒にいらっしゃるんですか?」
「いいや、俺たちはいかない。スカイ族の狩場の別の場所でお告げを受け取ってくるからな」マグノリアファーが言った。
「じゃあ、三匹とも。また目が覚めたときにね」
四匹はクリスタルに鼻を触れたまま目を閉じた。
しばらくして目を開けると、ジェードウィングはスカイ族の狩場にいた。
周りに星の光をまとう猫たちが並んでいる。
「え!なんであなたが?」
横を見るとスカイウィングが一緒にいた。
「わ、わからない!」
「スカイ族の方々ですか?私たちは別々にスカイ族さまに会うんじゃないんですか?」
スカイ族の猫の一匹が答えた。
「あなたたちには両方、共通のお告げがあるの。だから、一緒に来てもらったのよ」
ゴールデンスターが族長になる前にグラス族の族長だった水色の目の白猫、フロストスターだ。
「俺たちはお前たち二匹を戦士として歓迎する。だが、別のお告げがある」
次はライジングスターの前にフォレスト族の族長をつとめた茶色と白の毛皮のオス猫、ソイルスターだ。
そして、ジェードウィングが生まれてから少ししてなくなった長老、バードウィングが言った。
「いろんなことが変わろうとしているの。誰だかわからないけれどスカイ族じゃない猫が特別な猫が3匹現れたというの」
ジェードウィングの心臓が大きな音を立てる。
「そのうちの二匹が、あなたたちなのよ」
ジェードウィングはくらくらした。どういうこと?
そしてまた、ソイルスターが言った。
「それぞれの族長に伝えろ。まず、ジェードウィング。『特別な猫の一匹はジェードウィングという。その猫は、どのような場所でどのようなことが起こっても、感知したいと望めばできる。そして行きたいと望めば行くことができる。一つの翡翠(ジェード)が珊瑚(コーラル)にのまれる。心配することはない。その者はお前を助けるであろう』」
言い終えたソイルスターはジェードウィングと目を合わせた。
「お前に力を授けよう。お前にどこで起こっていることも望めば感知し、さらに望めばその場所へ行くことのできる能力を与える」
そう言って、ジェードウィングの頭に鼻を触れた。
「すべてが変わり、お前も変わる」
そして、ジェードウィングの右目の周りをさっとなめた。
「見てごらん」
ソイルスターは水たまりをしっぽで示した。
ジェードウィングがのぞき込むと、いつもは透明っぽい、透き通った翡翠色だった右目が、透明っぽいのも透き通っているのも変わりはないが、珊瑚色になっていた。ジェードウィングは驚いて目を見開いた。
「何も心配することはない」
ソイルスターはジェードウィングのほほをなめた。
続けてフロストスターが言った。
「次はあなたよ、スカイウィング。ゴールデンスターに伝えて。『特別な猫の一匹はスカイウィング。その猫は望めばほかの猫の心の中や思い出をのぞくことができる。でも気を付けて。ほかの猫を嫌な気持ちにさせないように。そして空(スカイ)が珊瑚(コーラル)に染まる。心配しないで。何もかもうまくいくから」
言い終えたフロストスターはソイルスターが言った言葉と同じような言葉を言った。
「すべて変わる。あなたも変わる」
そして、同じように、ただしスカイウィングの左目の周りをさっとなめた。
スカイウィングの空のような水色だった右目も、ジェードウィングと同じように珊瑚色になった。
「二匹とも頑張って。必ず族長に伝えてね…」
フロストスターが最後にそういうのを聞いたすぐあと、二匹はまた輝くコケの密生した洞窟にいた。

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Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~ Empty Road of love ~それぞれの恋の道~

投稿 by ジェードウィング Sun Sep 03, 2023 4:53 pm

Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~ Fullscreen

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Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~ Empty Road of love ~それぞれの恋の道~

投稿 by ジェードウィング Sun Sep 03, 2023 4:55 pm

上のは間違いです!すみません。
できれば見ないでいただきたいデス
下に正しいの入れときますね~。

ジェードウィング
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Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~ Empty Road of love ~それぞれの恋の道~

投稿 by ジェードウィング Mon Sep 04, 2023 4:51 pm

すみません。
作るのちょっと時間かかりそうなんですよね…
また作れるときに頑張ります!

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Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~ Empty Road of love ~それぞれの恋の道~ 第十七章~

投稿 by ジェードウィング Mon Sep 04, 2023 8:22 pm

第十七章  (ジェードウィングの話のまま)
「ジェードウィング!スカイウィング!いったい何があったの?!」
ヘザーリーフが目を開けるなりいった。
「私たちにもわからないんです!」
ジェードウィングとスカイウィングの片目は、目が覚めた後も珊瑚色のままだった。
お告げ…特別な猫…特別な能力…何がどうなっているの?
「俺たちにも夢でお告げがあったんだよ。普段俺たちは別々でお告げを受け取るんだが、今日はなぜか一緒だった」
マグノリアファーは首をかしげながら言った。
「私たちが受けたお告げはこういう感じだった。『特別な猫が三匹現れた。一つの空は珊瑚に染まり、一つの翡翠は珊瑚にのまれる。」
マグノリアファーが続けた。
「『何も心配することはない。全てうまくいく。一対の珊瑚も、もう一匹の猫もお前たち部族猫を助けてくれる』」
「私たちも同じようなお告げを受けました。一匹はソイルスター。もう一匹はフロストスターでした」
スカイウィングが説明した。
続けてジェードウィングが言った。
「そして、二匹は私たちのそれぞれの片目をさっとなめたんです。すると目の色が変わっていました」
「これはきっと何かが起こるしるしだわ…」
少しの沈黙ののち、マグノリアファーが言った。
「とりあえずここを出てキャンプに帰ろう。族長たちも何かお告げを受け取ったかもしれない」
四匹は輝くコケが密生したこの部屋から出ていき、踏みなれた地面を歩き始めた。
木の洞から出た瞬間、四匹はソイルスターの声を聞いた。
「全ての真実が明るみに出る。たくさんの事実や嘘があらわになる。お前たち二匹の珊瑚の目はきょうだい。部族間の不信感や不満が解消される…」
そこで、ソイルスターの声が消えた。



第十八章  (クリムソンハートの話に切り替え)
もう少しで頭上は紺碧色の星空になる。まだジェードウィングが帰ってきていない。
大丈夫かな…。
そんなことを考えていると、イバラのトンネルをかする音がして、大好きなあの猫のにおいが鼻の中に飛び込んできた。
「ジェードウィング!お帰り__」え?
クリムソンハートは目を見開いた。ジェードウィングの翡翠色だった右目が透き通った珊瑚色になっている!どうしちまったんだ?
「ど、どうしたんだ、ジェードウィング?何があったんだ?その目、どうして…」
言いかけたところで、ジェードウィングがしっぽでクリムソンハートの口をぴしゃっとふさいだ。
「ライジングスターお話ししなきゃいけないことがあるの。あなたも来て、クリムソンハート」
そして、ジェードウィング、クリムソンハート、ヘザーリーフの三匹は、岩壁の割れ目にある族長の部屋へ向かった。
「ヘザーリーフです。」
「おはいり」
中からライジングスターの声がした。そして三匹はツタのカーテンをくぐって族長の部屋へ入っていった。
中に入ると、ライジングスターはやわらかそうな、コケとシダを敷き詰めた寝床で横になっていた。
「お帰り、二匹とも」そう言うなり、ぎょっと目を見開いた。ジェードウィングの目の色が変わっていることに気が付いたのだろう。
「はい、ライジングスター。さっそく本題に入りますが、よろしいでしょうか」
ヘザーリーフが言うと、ライジングスターは立ち上がって伸びをした。そして、話を聞きやすい体制に座りなおした。混乱しているようだが、状況を把握しようと必死に心を落ち着けているのが分かる。
「何か問題があったのか」
「ええ、まあそういうことになるかもしれません。スカイ族のお告げの様子がいつもと違ったんです」
そしてヘザーリーフはジェードウィングにちらっと目くばせをした。ジェードウィングが続けた。
「お告げを受けてきました。スカイウィングと一緒にです、ライジングスター」
続けろ、というようにライジングスターがしっぽをちょっと上げた。クリムソンハートは身を乗り出して聞いた。
「ソイルスターからのお告げです。『特別な猫が三匹現れた。そのうちの一匹はジェードウィング。その猫は、どこでどのようなことが起こっても、望めば感知することができる。さらに望めばその場所に行くこともできる。一つの翡翠(ジェード)が珊瑚(コーラル)にのまれる。心配することはない。その者はお前を助けてくれるだろう』。そう言って私の右目をさっとなめたんです。すると目の色が変わりました。スカイウィングにも同じようなことをフロストスターが言い、同じようにスカイウィングの左目をなめました」
そして、ヘザーリーフが付け足した。
「私たちはスターツリーの洞から出たとき、ソイルスターの声を聞いたんです。『すべての真実が明るみに出る。たくさんの事実や噓があらわになる。お前たち二匹の珊瑚の目はきょうだい__ジェードウィングとスカイウィングのことです__。部族間の不信感や不満が解消される』と…」
クリムソンハートは目を真ん丸にして聞いた。
うそだろ?ジェードウィングが特別な猫?俺はジェードウィングとはつきあえないのか?
ジェードウィングがクリムソンハートの不安を感じ取ったのか、「大丈夫。私たちはつきあうことはできるわ」といった。
クリムソンハートの不安がいくらか軽くなった。これまでだって問題なくつきあってきたじゃないか。
でも今回ばかりは状況が違う。
ジェードウィングは特別な猫になってしまったんだ。

ライジングスターとの話し合いの後、クリムソンハートはすぐに眠りに落ちた。そばにジェードウィングがいるのを感じる。
気づくとそこは夢の中だった。真っ青な空に、輝く草原。奥には森も見える。
クリムソンハートは一度だけここに来たことがある。そう、ここはスカイ族の狩場だ。
「クリムソンハート」
自分の名を呼ぶ声が聞こえた。顔を上げると、そこにはソイルスターがたっていた。
「お前はもう、ジェードウィングとスカイウィングのことは知っているんだな?」
「片目が珊瑚色になったってことですか?」
「そう。そのことだ。実はお前に伝えたいことがあるんだ。だがここではそれができない。明日の夜にスターツリーの洞窟へ来てくれないか。ライジングスターには俺から言っておくよ。大事なことなんだ。必ず来てくれ…」
ソイルスターの姿が薄れ始めた。
「心配するな…すべてうまくいく……」
ソイルスターは、最後にそういってクリムソンハートの視界から消えた。
ソイルスター、明日は必ずスターツリーの洞窟へ行きます。待っていてください。



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Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~ Empty Road of love ~それぞれの恋の道~ 第十八章~

投稿 by ジェードウィング Tue Sep 05, 2023 6:14 pm

第十八章  (クリムソンハートの話→ブラクンペルトの話に切り替え)
夜になる。もうあたりは暗くなり始め、空には、明日には完全に満ちる大きな月が浮かんでいる。
ああ、もうすぐスカイウィングに会えるんだ。ブラクンペルトはわくわくしていた。あの約束を交わした時の幸せな気持ちを思い出し、ブラクンペルトの顔がほころんだ。どう止めようとしても、ひげの震えが止まってくれない。
空き地にいた猫たちがどんどん自分たちの部屋へ入って行き、寝床で丸くなり始めた。そして空き地にいる猫はブラクンペルトだけになった。今だ!
ブラクンペルトは空き地を駆け抜け、キャンプを出た。
しばらく歩いた。本来なら辺りはもう真っ暗だ。だが月明かりのおかげで足元が見えやすい。スカイ族は僕に味方してくださっているのか?
そんなことを考えていると、もうグラス族のなわばりとの境にあるどの部族のものでもない空き地についていた。
ブラクンペルトはあたりを見回した。まだスカイウィングは来ていない。少し待っていよう。
ブラクンペルトが座りやすい体制になろうと立ち上がったその時、背中に猫がとびかかってきた。誰だ?!僕の後をつけてきたのか?!
ブラクンペルトはパニックになり、体を大きく揺らして敵を振り落とそうとした。
「うふふ、作戦大成功!」
さ、作戦?それにこの声は…「スカイウィング!」ブラクンペルトは叫んだ。と同時に、スカイウィングがふさふさとしたしっぽでブラクンペルトの口をふさいだ。「静かにしなきゃ!誰かが聞きつけてくるかも」ブラクンペルトはだまってうなずいた。
「ごめん、スカイウィング。でもすっごくうれしかったんだ」
「ええ、私も」
ここで気が付いた。
「スカイウィング、そ、その目!目の色、どうしちまったんだ?」
「ああ、これ。あなたには話しておかなくちゃ。私の愛する猫だもの」
そしてスカイウィングは真面目な顔で話し始めた。
「あのね、スターツリーの洞窟へ行ったとき、お告げを受けたの。私は特別な猫の一匹らしいの。…私は…私は、ほかの猫の心の中や思い出をのぞくことができるっていう能力を授かってしまったの…。お願い!怖がらないで!!私はあなたのことを心から愛している!本当よ!」
「怖がりなんかしないよ、スカイウィング。僕も君を愛しているよ」
「あ、ありがとう…安心したわ。この目の色が変わったのは、しるしなの。何もかもが変わるって、フロストスターが言ってたわ」
「フロストスターって、ゴールデンスターの前にグラス族の族長だった猫かい?」
「ええ、そう」
しばらくの沈黙ののち、ブラクンペルトは口を開いた。
「なあ、スカイウィング。今、僕が考えていることがわかるかい?」
「ええ、やってみる」
ブラクンペルトは考えた。これからも君とつきあいたいよ、スカイウィング。僕は心から君を愛している。毎日会うのは負担になるから、三日に一回会うのはどうだい?
スカイウィングは当てられるかな?
「『これからも君とつきあいたいよ、スカイウィング。僕は心から君を愛している。毎日会うのは負担になるから、三日に一回会うのはどうだい?』って思ったわね?そして最後に『スカイウィングは当てられるかな?』って思ったでしょ?あたってる?」
「ああ、その通りだ。すごいな、スカイウィング!僕まで誇らしい気持ちになるよ!」
「この力を実際に使ったのは初めてだわ」
スカイウィングが言った。
「あなたの考えていたことについてだけど、いい考えね。三日に一回会いましょうよ」
「ああ、そうしよう。でも明日は大集会だから会えるぞ」
「ほんとだわ。うれしい!ねえ、今日は帰って休まなきゃ。私、とっても疲れちゃって…」
「そうだな。じゃ、また明日な」
そういって、今日はわかれた。
そして最後に大好きな猫のにおいをいっぱいに吸い込んだ。
ああ、僕はなんて幸せなんだ。

ジェードウィング
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Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~ Empty Road of love ~それぞれの恋の道~ 第十九章~

投稿 by ジェードウィング Wed Sep 06, 2023 7:50 pm

第十九章   (ブラクンペルトの話→ジェードウィングの話に切り替え)
やわらかい朝日が戦士部屋に差し込む。まわりにはたくさんの猫の規則的な息づかいが聞こえる。
コケとシダを敷き詰めた寝心地のいい寝床で、ジェードウィングは目を覚ました。そして気が付いた。そばにある寝床にクリムソンハートがいない。だが、寝床はまだあたたかい。きっと、さっき起きたのだろう。
ジェードウィングは戦士部屋を出た。青葉の季節の草や木のにおいが鼻に飛び込んでくる。
空き地の端のほうに、ツタのカーテンをくぐりって岩壁の割れ目の族長部屋へと入っていくクリムソンハートの姿が見えた。
族長に用事でもあるのかしら?ジェードウィングは気になって部屋の入り口で話を聞いていた。するとすぐ、ライジングスターの声が聞こえてきた。
「ああ、クリムソンハートか。俺もお前が起きてくるのを待っていたんだ」
待っていた?族長が?どうしてかしら。
「俺のところにもソイルスターからのお告げがあったよ。今夜、スターツリーの洞窟へ行かなくちゃならないんだろう?」
「はい、そうですライジングスター。何か伝えたいことがあるようで…」
「よし、もちろん行っていいぞ。なんてったって、ソイルスターが来いというのだからな。だが、お前は大集会に参加させたいから大集会が終わってからだ」
「わかりました。ありがとうございます、ライジングスター」
ソイルスター?ますます意味が分からないわ。
ライジングスターが言い終えると、クリムソンハートが出てこようと体の向きをかえる音がした。
ジェードウィングはあわてて空き地の真ん中まで突っ走った。
空き地の中央へ来たところで、ちょうどクリムソンハートが出てきた。
「よう、ジェードウィング!今起きたのかい?」
「ええ、そうなの。あなたが寝床にいなかったからどうしたのかと思って」
「ああ、ライジングスターと話してきたんだよ。今夜スターツリーの洞窟に行く」
「そうなのね」
ジェードウィングは今初めて聞いたというように見えることを祈りながら、目を真ん丸にして言った。
「うん。でも行くのは夕方になってからだから、それまではたっぷり時間がある。獲物を分け合って食べないか?食べ終わったら森に行って狩りをしたいなあ。いいかい?」
「ええ、もちろん!」
ジェードウィングが言うと、クリムソンハートは目を輝かせた。
「じゃあ、ライジングスターに行ってくるよ!待ってて。君は食べたい獲物を選んでいてくれよ」
「わかったわ!」
そしてジェードウィングは獲物置き場へ行った。
ジェードウィングは獲物を嗅ぎまわり、太った大きなハタネズミを引きずり出した。
いいときにクリムソンハートが帰ってきた。
「お、うまそうなハタネズミだな!よし、俺は今日、この森で一番大きなリスを捕まえてやるぞ!」
ジェードウィングはうふふと笑った。
ああ、こんな幸せがずっと続けばいいのに…。
そう願ったとき、ある光景が見えた。そう、見えたのだ。
何匹もの猫が自分やクリムソンハートや、一族の猫を取り囲んでいる。まわりにある目は、血に飢えている。
その時、一匹の動かなくなった猫が見えた。その猫をおさえているのは、琥珀色の目の猫。前足や口が血に染まっている。
まちがいない。動かない猫は、スプリングストームだ!

ジェードウィング
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Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~ Empty Road of love ~それぞれの恋の道~ 第二十章~

投稿 by ジェードウィング Fri Sep 08, 2023 8:33 pm

第二十章  (ジェードウィングの話のまま)
「大集会に行くものを発表する!空き地に集まれ!」
ライジングスターの召集がかかった。
ジェードウィングはちょうど狩りから帰ったところだった。
「大集会に行くものは、スプリングストーム、ヘザーリーフ、ペタルムーン、シルヴァークロー、ブラックストーム、アイスブラッサム、サンペルト、フォレストアイ、クリムソンハート、ヴァイオレットポー、リリーポー、シャイニングポー、ホークポー、そして、ジェードウィングだ」
ライジングスターは言い終えると、少し間を開けてからこういった。
「後のものはキャンプを守ってくれ」
ミスティポーとスラッシュポーが不満そうにしているのを見て、ライジングスターが付け足した。
「しかたがないだろう?真の戦士はそうやって明らかに不満をあらわさないものだ。だが、約束しよう。次の大集会は必ず出席させてやろう」
ミスティポーとスラッシュポーがうなずくと、保育部屋から、ラセットキット、スノウキット、ストームキットがちょこちょこと走ってきた。
そして、スノウキットがかん高い声でこういった。
「スラッシュポー!ミスティポー!私たちに、習った技をぜーんぶ教えて!いいでしょ?」
ラセットキットとストームキットもかん高い声で賛成した。
「ええ、もちろん!いいわよ」
ミスティポーが答えた。
見習い二匹はやることができて、うれしそうに顔を輝かせた。
すると、保育部屋から三匹の子猫の母親であるモスペルトが出てきた。
「迷惑をかけて、ごめんなさいね。この子たち、早く見習いになりたくてたまらないらしいの」
「いいえ、いいんです、モスペルト!ぼくもやることができてうれしいです」
「そう。ありがとう」
六匹が保育部屋のほうへかけていくのを見送ると、ライジングスターが一声鳴いて、出発の合図を出した。そして一行は、ライジングスターを先頭にスターモスに向かった。

もうほかの部族は集まっている。
ジェードウィングはクリムソンハートと別れた後、ラーク族のダプルフェザーを探し始めた。
やっと見つけた。ダプルフェザーは淡いショウガ色のサンド族のメス猫、サンドウェーブと話している。ジェードウィングが駆け寄ると、ダプルフェザーとサンドウェーブはぎょっと目を見開いた。そしてダプルフェザーがいった。
「ジェードポー!その右目、どうしちゃったの?前は翡翠色だったのに!」
「もうジェードウィングよ。私にもわからないの。スターツリーの洞窟へ行ってから、こうなっちゃってて…」
ジェードウィングが説明すると、サンドウェーブが言った。
「そうなの?でも、前と変わらずあなたはやっぱり美しい猫ね!ほれぼれしちゃうわ!」
「ありがとう、サンドウェーブ。お話の邪魔しちゃってごめんなさいね。じゃあ、またね」
そう言って二匹と別れた。すると、自分の見習い名を呼ぶ声が聞こえた。
「ジェードポー!」
「まあ、クレセントクロー!あと、私はもうジェードウィングよ!戦士になったの」
「へえ!よかったな。おい、その目どうしちまったんだい?」
「スターツリーの洞窟へ行ってから色が変わっちゃったの。でも何も困ったことはないわ」
それから二匹はたくさん話した。最近の一族の様子、獲物の取れ具合、見習いや長老のこと…
ふいに、クレセントクローが話をやめ、ジェードウィングをじっと見つめてからこう言った。
「ぼく、ずっと言わないでいたけど君が好きなんだ。君のことがずっと忘れられなくて…」
え?ど、どういうこと?いきなりどうしちゃったっていうの?
「ほ、本気なの?」
「もちろんだよ。なあ、大集会以外の時もあってくれないか?」
「い、いいえ、それはだめ。私たちは部族も違うし、普通の友達でしょう?」
クレセントクローの目に傷ついた表情がよぎったかと思うと、怒った表情になり、ジェードウィングは驚いた。
「なんだよ!君も僕のこと好いてくれてると思ってたのに!」


第二十一章   (スカイウィングの話)
「なんだよ!君も僕のこと好いてくれてると思ってたのに!」
ブラクンペルトを探していたスカイウィングは、はっと顔を上げた。違う猫の声も聞こえてきた。
「違う!私は休戦中は仲良くできるいい友達だとは思ったけど、あなたにそういう感情を抱いたことはないの!」
ジェードウィングだ!あの優しい猫が困っている!
「ああ、君はそうかもしれないけど僕は君のことが好きなんだ!」
もう一匹が、激しいが、周りには聞かれないような声で言っている。
「違うの!」
ジェードウィングと話している猫が誰かわかった。サンド族のクレセントクローだ。あの猫はジェードウィングのことが好きだったの?
スカイウィングは、助けに行こうと方向を変えると、そばを白いオス猫が走り抜けた。そして、こういった。
「俺はクリムソンハートだ。俺のつれあいと何を話しているんだ?」
白猫の赤銅色の目は、怒りに燃えている。
「つれあい?どうして言わなかったんだよ!」
スカイウィングも駆け付けた。
「あなたはサンド族でしょう?ジェードウィングはフォレスト族の猫よ!そのことぐらい知っているでしょう?」
「ありがとう。一晩ぶりね、スカイウィング。何か新しいお告げはあった?」
「ううん、何にも。そんなことより、今はそっちの問題を解決しなきゃ」
「そうね」
クリムソンハートがもう一度、
「お前がジェードウィングと付き合うのは無理なことだ」
というと、クレセントクローは一度鼻を鳴らして部族仲間二匹のほうへ歩いて行った。そして、こっちをにらみ、しっぽで示しながら二匹にぼそぼそと何かを伝えた。何なのよ、あの猫!
「大丈夫かい、ジェードウィング?」
「ええ、ありがとう、クリムソンハート。スカイウィングも」
というと、クリムソンハートが言った。
「君、前は両目とも青じゃなかったか?君も片目が珊瑚__あ!」
「ええ、そう。私もジェードウィングと同じ予言の猫よ」
そう言い終えたとき、ライジングスターが開会の言葉を言い始めた。

ジェードウィング
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Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~ Empty Road of love ~それぞれの恋の道~

投稿 by ジェードウィング Fri Sep 08, 2023 10:39 pm

Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~ 『翡翠色の目の銀色と白のかわいい猫』油絵(3)

ジェードウィング
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Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~ Empty Road of love ~それぞれの恋の道~

投稿 by ジェードウィング Fri Sep 08, 2023 10:42 pm

すんません。
またまた間違えました…(どんだけ間違えんねん)
ちゃんと入れときます…(また今度ですが…)
ほんとにすみません(;_;)

ジェードウィング
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Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~ Empty Road of love ~それぞれの恋の道~ 第二十二章~

投稿 by ジェードウィング Sat Sep 09, 2023 11:57 am

第二十二章  (クレセントクローの話)
淡い朝日が差し込む戦士部屋で、クレセントクローは目を覚ました。
部屋を出て、長々と伸びをする。背中に当たる日の光があたたかくて気持ちがいい。
今日も穏やかな一日になりそうだ、と思った。が、昨日の大集会でのジェードウィングの態度を思い出してとたんに怒りがわきあがってきた。
ジェードウィングの声が頭の中によみがえる。
『違う!私は休戦中は仲良くできるいい友達だとは思ったけど、あなたにそういう感情を抱いたことはないの!』
じゃあ、初めから仲良くしなきゃよかっただろ!?
クレセントクローは、空き地にところどころ生えている短い草を激しくかきむしった。そして、大きく口を開け、声にならない叫びをあげた。
クレセントクローがいらいらと激しくしっぽを振っていると、聞きなれた二匹のオス猫の声が聞こえた。
「よう、クレセントクロー。よく眠れたかい?」
「ああ、よく眠れたよ、ナイトシャドウ」
クレセントクローは、藍色の目をした真っ黒なオス猫にそう答えた。
ナイトシャドウに続いて、琥珀色の目をした灰色の大きなオス猫が言った。
「昨日のあのオスの白猫と鼻づらが淡いショウガ色のメス猫と銀色の猫、すっごいむかついたよな。見たかよ、あの態度」
「そうだよな、ストーンクロー。ありがとう。俺もそう思って、イライラしてたんだよ」
ナイトシャドウもストーンクローも激しく二、三度うなずいた。
共感してくれている猫が二匹もいて、クレセントクローのイライラは少し和らいだ。
あんな裏切り者のメス猫、なんで好きになったんだろう?おれは頭にハチでもわいていたのか?
そんなことを考えていると、向こうから、サンド族の副長でクレセントクローの姉のアウルウィングが歩いてきた。
「あら、クレセントクロー。早起きなのね。朝ごはんを食べたら、ナイトシャドウとストーンクローと一緒に狩りをしてきてくれない?」
「わかった。いいよ、姉さん」
「ありがとう。助かるわ」
そう言って、アウルウィングは獲物置き場のほうへ歩いて行った。

獲物を食べ終え、ナイトシャドウとストーンクローと一緒に狩りをすることになっているクレセントクローはキャンプを出て、ところどころ背の高い草や短い草の生えている砂地に出た。ここではネズミやウサギがつかまり、鳥が捕れることもある。
クレセントクローはウサギを見つけ、下生えの中から大きく飛び、ウサギにとびかかった。そして、これ以上強く歯を食い込ませることはできない、というほどに深く強く首にかみついた。
ジェードウィングめ!
この怒りを獲物にぶつけたって意味がない。
あのメス猫がおびえて必死であやまる姿が見たい!
そう思ったとき、クレセントクローの心の中に新たな気持ちがあらわれた。
あのメス猫に後悔させてやる!

ジェードウィング
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Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~ Empty Road of love ~それぞれの恋の道~ 第二十三章~

投稿 by ジェードウィング Sat Sep 09, 2023 12:15 pm

第二十三章   (クリムソンハートの話)
やっと着いた。
ここがスターツリーの洞窟だ!
空はもう、白みはじめているのが、木々の間から見える。
ソイルスター、今着きました!
クリムソンハートは、木の洞の中にある穴から地下に行き、ツタのカーテンをくぐった。
そして、輝くコケの上で横になり、クリスタルに鼻を触れたまま目を閉じ、少ししてから目を開けた。
ここはもう、スカイ族の狩場だ。目の前にソイルスターが立っている。
「ようこそ、スカイ族の狩場へ。よく来たな」
「はい、もちろんです、ソイルスター」
そういうと、ソイルスターはうなずいた。
「さっそくお告げを伝える。いいな?」
ソイルスターにそういわれ、緊張した気持ちでうなずく。
「よし。特別な猫の三匹目は、お前だ」
そう言われた瞬間、クリムソンハートは目を見開いた。どういうことだ?俺が特別な猫?
「お前には、決してけがをせずに戦うことのできる力を与えよう。力は与えるが、スカイウィングやジェードウィングのように目の色は変えない。
お前には別のものを与える」
そう言うと、ソイルスターはクリムソンハートの頭に鼻を触れた。
その瞬間、胸のあたりが痛いほど熱くなった。が、ソイルスターの鼻づらが頭から離れた瞬間、痛みや熱さが一気にひいた。
驚いた表情のまま胸を見おろすと、胸に深紅の稲妻模様ができている!
「お前の力のしるしだ。もう太陽が昇る。お前も一族のもとへ帰るんだ」
そう言い終えたソイルスターの姿が、どんどん薄れていく。そしてついに、クリムソンハートの視界から消えた。
「うまくいく。大丈夫だ…」
最後にそう言うソイルスターの声が聞こえた。

ジェードウィング
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Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~ Empty Road of love ~それぞれの恋の道~

投稿 by ジェードウィング Sun Sep 10, 2023 10:13 am

Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~ C:\Users\多万紀\Pictures\『翡翠色の目の銀色と白のかわいい猫』油彩 (3)

ジェードウィング
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Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~ Empty Road of love ~それぞれの恋の道~

投稿 by ジェードウィング Sun Sep 10, 2023 10:15 am

間違えました…。
どうしたら画像挿入できますか?
おしえてください!

ジェードウィング
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Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~ Empty Road of love ~それぞれの恋の道~

投稿 by ジェードウィング Sun Sep 10, 2023 10:27 am

Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~ C:\Users\多万紀\Pictures\jade0306
これでどうかな…?いけるか…?

ジェードウィング
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Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~ Empty Road of love ~それぞれの恋の道~

投稿 by ジェードウィング Sun Sep 10, 2023 10:34 am

いけたーーーーーー!!!!
説明します(真面目)
まず、文章中に紙マークみたいなんありますよね?
(Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~C:\Users\多万紀\Pictures\jade0306って書いてあるやつ)
を右クリック(パソコンの場合)していただいて、「新しいタブで画像を開く」を押していただければジェードウィングの想像図出てきます!
ただし!ただし目の色はもうちょっと水色っぽいと思ってたんですけど難しかったんです!
スミマセン(;´・ω・)

ジェードウィング
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Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~ Empty Re: Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~

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