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Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~

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Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~ - Page 2 Empty Road of love ~それぞれの恋の道~

投稿 by ジェードウィング Sun Sep 10, 2023 10:41 am

え?!
ここまで来てまさかのムリ?!
また失敗ですかーーーー!?( ゚Д゚)

ジェードウィング
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Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~ - Page 2 Empty Road of love ~それぞれの恋の道~

投稿 by ジェードウィング Sun Sep 10, 2023 10:45 am

⁉
ここまで来てまさかのムリ!
スミマセンー( ゚Д゚)
誰でもいいので画像挿入の仕方教えてください‼‼‼
お願いです~~~!
マジでわからん

ジェードウィング
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Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~ - Page 2 Empty Road of love ~それぞれの恋の道~ 第二十四章~

投稿 by ジェードウィング Sun Sep 10, 2023 11:45 am

第二十四章   (ジェードウィングの話)
今朝、クリムソンハートが帰ってきた。
ソイルスターがクリムソンハートを呼んだ意味が分かった。特別な猫の三匹目はクリムソンハートだったのだ!
クリムソンハートは目の色は変わっておらず、かわりに胸に深紅の稲妻模様がついている。
これで特別な猫三匹がそろったわ。でも、何のために?
考えていると、空き地の向こうから副長の声がした。
「ねえ、ジェードウィング!サンペルトの率いる狩猟部隊に加わってくれない?あと一匹が見つからないの!」
「いいですよ!行ってきますね!」
「ありがとう!助かるわ」
ジェードウィングはイバラのトンネルの前で行ったり来たりしているサンペルトの率いる狩猟部隊のほうへ走っていった。
メンバーは、サンペルト、シャイニングポー、ブラックストーム、リリーポー、そしてジェードウィングだ。
五匹はイバラのトンネルをくぐり、森に出た。
ジェードウィングは、生い茂る草木のにおいを吸い込んだ。と、そこで凍り付いた。ほかの部族のにおい!
もう一度あたりを嗅いでみた。
ここに来ていたのはクレセントクローだ!それから大集会でクレセントクローと仲良くしていた二匹!
「サンペルト!ここにサンド族のにおいがついています!」
サンペルトが駆け戻ってきて、あたりを嗅いだ。
「本当だ!でも、フォレスト族のなわばりのこんな奥で何をしていたんだ?三匹も来ていたようだぞ!」
ジェードウィングはおそるおそる言った。
「私、この猫たちが誰なのか、わかります。大集会で嗅いだことがあるんです」
サンペルトが、続けろ、というようにしっぽをちょっと上げた。
「クレセントクローと、後は仲のいい二匹です」
緊張で足が震える。
そこで、ブラックストームが駆けてきた。後ろからリリーポーとシャイニングポーもついてくる。
「どうしたんだ?もたもたしているうちに獲物が全部巣穴に潜り込んじまうぞ!」
ブラックストームは陽気に言ったが、サンド族のにおいに気が付いて顔をしかめた。
「サンド族め!なわばりに侵入してきたな!」
ブラックストームが激しくしっぽを振った。
しばらくの沈黙ののち、サンペルトが言った。
「まあ、俺たちは狩猟部隊だったはずだが、これは族長に伝えなくては」
ジェードウィングはクレセントクローがここまで侵入してきたことについて、心当たりがある。
そう、大集会でのもめごとだ。
「そ、それなら!皆さんは狩りをしていてください。私が族長に伝えてきますので!」
「いいのかい?」
「もちろんです!」
そういってイバラのトンネルに駆け入った。
ああ!どうしよう!全て私のせいなんだわ!
「ライジングスター!ライジングスター!」
「どうした、ジェードウィング!」
「ライジングスター!キャンプを出たすぐのところでサンド族のにおいを感知しました!それで私、心当たりがあるんです!」
それだけ言うと、ライジングスターはわかってくれた。
「こっちへ来い。族長部屋へ行こう」
そして二匹は族長部屋に入った。
「ジェードウィング、お前心当たりがあるといったな?話してくれ」
ジェードウィングはうなずいた。
「侵入してきているのはクレセントクローと、他仲のいい二匹です。私、大集会でクレセントクローと何度か話したことがあるんです。だって、大集会は休戦のおきてがあるでしょう?それで、近ごろの様子などを伝えあったりしていたんです。もちろん、こちらが不利になるような情報は話していません。でもクレセントクローは私のことが好きだったみたいで、私がクレセントクローと話すのは、私もクレセントクローが好きだからだと思っていたようなんです。私がクレセントクローに気持ちを伝えられて困っていると、クリムソンハートとスカイウィングが助けてくれたんです。それでクレセントクローは気を悪くしたみたいで…」
ジェードウィングが話し終えると、ライジングスターが言った。
「話してくれてありがとう、ジェードウィング。お前がクレセントクローの気持ちを断ったのは正しいことだと思うよ。お前は何も悪くない」
ジェードウィングは、ライジングスターの言葉を聞いていくらかほっとした。
「だが、クレセントクローたちの侵入を何度も許すわけにはいかない。パトロールの回数を増やそう。イバラのトンネルも強化しなければ。ジェードウィング、見習いを集めて強化を進めてくれるか?」
「わかりました。ですが、先に族長から一族のみんなに知らせておいたほうがいいと思います。狩猟部隊が帰ってきてからはどうですか?」
「そうだな。そうしよう」

しばらくして、狩猟部隊が帰ってきた。
そして、ライジングスターが一族の集会の召集をかけた。
「一族のみんな!このグレートルートの下へ集まれ!一族の集会を始める」
みんなが集まってきた。
「フォレスト族のなわばりで、サンド族の猫のにおいを感知した!」
数匹が息をのむ音や、低く攻撃的にうなっているのが聞こえる。
ライジングスターが、静かに、というようにしっぽを一振りした。
「見習いとジェードウィングでイバラのトンネルを強化してくれ。パトロールの回数も増やす。母猫は子猫をキャンプから出さないように」
それを聞いたモスペルトが、子猫たちに言うのが聞こえた。
「聞こえた?あなたたち。絶対にキャンプから出てはいけませんよ」
子猫の一匹が答える。
「出してもらえるわけないじゃん」
「母ちゃんは僕が守る!」
二匹目が言うと、三匹目のメスの子猫が言った。
「まだ見習いにもなっていないのに?」
子猫たちはふざけて取っ組み合いを始めた。
ライジングスターが声を張り上げる。
「解散!手が空いている見習いはジェードウィングのところに行け!スパロウペルト!パトロール隊を率いてくれ!」
ライジングスターが指示すると、空き地にいた猫たちが一気に動き出す。
見習いたちはジェードウィングのところに集まってきた。
ああ、私のせいで一族の猫たちが危険にさらされているの?

ジェードウィング
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Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~ - Page 2 Empty Road of love ~それぞれの恋の道~

投稿 by ジェードウィング Mon Sep 11, 2023 7:49 pm

第二十五章   (クレセントクロー)
「ああ、危なかった!」
三匹は、誰もいない戦士部屋のすみで、ひそひそと話していた。
クレセントクローは、ナイトシャドウとストーンクローと一緒にフォレスト族のなわばりの奥へ行き、わざとにおいを付けてきたのだ。
「そうだな。見つからなくてよかった。できればそうしたくはなかったが、フォレスト族のなわばりに行ってきたことがばれないように砂の中で転げまわらなきゃならなかったけどな」
ナイトシャドウが言う。
クレセントクローもあれはさすがに嫌だったが、しかたがない、と思っていた。
だって、あのメス猫を動揺させられるんだからな!
クレセントクローは、ジェードウィングが動揺している姿を想像し、ひげをふるわせた。
「だが、これはほんの初めだ。あの猫には、自分が傷つけられるよりも一族全体を傷つけるほうが効果がありそうだ。いつ襲撃してやろうか」
「待て、クレセントクロー、こういうのはどうだ?この土地の周りにいるすべての浮浪猫に手伝わせるんだ。手伝ってくれたら一族のえらい立場にしてやる、裕福な暮らしをさせてやるって言って、いざ戦いが終われば約束を破っちまえばいい」
ストーンクローが言った。
「すごくいい考えだ!今度の狩りの時間に試してみよう」
そんなことを話していると、副長のアウルウィングが中に入ってきた。
「三匹とも!狩りに行ってきてくれない?みんな忙しくて手が回らなくて!」
「もちろん!行ってくるよ、姉さん」
クレセントクローは答えながら、これはいいタイミングだ!と思っていた。
「早速行ってくるよ!」
そう言って三匹は連れ立ってキャンプから出た。
「よし、ナイトシャドウ、ストーンクロー、作戦実行だ。できるだけたくさんの浮浪猫を集めるんだ。いいか?絶対に一族のみんなには作戦のことをもらすなよ。襲撃は明日の朝だ」

ジェードウィング
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Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~ - Page 2 Empty Road of love ~それぞれの恋の道~

投稿 by ジェードウィング Tue Sep 12, 2023 5:37 pm

第二十六章   (ジェードウィング)
「ああ、落ち着かない!」
ジェードウィングは不安で眠れずにいた。でも疲れ果てていて、気づくと眠りに落ちていた。
ここは…スカイ族の狩場!ソイルスターがいる。
「不安でたまらないんだな?今こそ力を使ってみるのにいいんじゃないか?スカイウィングのところに行ってクレセントクローの企てていることを探ってもらうんだ。スカイウィングのところに行きたいと願えば行くことができるぞ。戦うことになったらクリムソンハートに手伝ってもらえ。もちろん、一族のみんなにもな。お前が目を覚ましてからも俺の声は聞こえるだろう」
ソイルスターの声がだんだん遠くにいるように聞こえてきた。そして視界がぼやけ、ジェードウィングは目を覚ました。
スカイウィングのところに行かなくちゃ!
ジェードウィングは目をぎゅっとつむり、スカイウィングのところに行きたいと願った。そのとき!
景色が流れるかのように、見えないほど早く過ぎていく。
『そう、その調子だ。あと少しで着く』
ソイルスターの声がした。
そこで、流れるかのように進んでいた景色が止まった。
ジェードウィングは周りを見回した。すると、驚いたようなスカイウィングの声がした。
「ジェードウィング!!」
「スカイウィング、ああ、よかった!私、ちゃんと力を使えたんだわ!」
ジェードウィングがそう言うと、他のオス猫の声がした。
「力?君、スカイウィングと同じ特別な猫なのか?」
ジェードウィングは驚いて振り向くと、ラーク族のオス猫がいた!どうして?スカイウィングはグラス族の猫じゃないの!
「スカイウィング、どういうことなの?」
ジェードウィングはきつい口調で言った。
「説明させて!私たち、愛しあっているの!本気なのよ!だめなことだとはわかっている。でも、私彼が大好きなの!」
スカイウィングは必死に説明した。
「まあ、いまはいいわ!緊急事態なの!サンド族のクレセントクローともめごとになった。あの大集会の一件よ!何か良くないことが起きる気がして仕方がないの!」
「私は何をしたらいい?」
スカイウィングは冷静に聞いた。
「クレセントクローの気持ちを探ってほしい」
しばらくの沈黙ののち、ラーク族のオス猫が口を開いた。
「とにかく君は困ってるんだな。ぼくはブラクンペルト。スカイウィング、友達を助けてやれよ。それからえーっと、ジェードウィング?僕たちがここで会っているということは誰にも言わないでくれないか?」
「ええ、ばらしたりしないわ」
ジェードウィングは約束した。
「私はクレセントクローの気持ちを探ればいいのね。やってみる」
そう言うと、スカイウィングは目をつむり、サンド族のなわばりのほうを向いた。
しばらく時間がたった。スカイウィングがぎょっと目を見開いた。
「どうしたの?」
ジェードウィングの心臓がドキドキと音を立てる。緊張で震える。
スカイウィングが、目を見開いたまま震える声で言った。
「クレセントクローは…クレセントクローは今日の夜明けにキャンプを襲撃しようとしてる。数えきれないほどの浮浪猫を連れて!ストーンクローとナイトシャドウっていう猫も一緒に!」
その言葉を聞いたジェードウィングの胃がぐらりとゆれた。今日の夜明け?数えきれないほどの浮浪猫を連れて?う、うそ!
「今すぐキャンプに帰って一族のみんなに警告しなきゃ!ありがとう、スカイウィング!」
「ええ、いいのよ。困ったら私たちのキャンプに来て!いつだって助けるわ!」
「ええ!」
そう返事をすると、ジェードウィングはまた特別な力を使ってキャンプへ帰った。
景色がすごいスピードで流れる。もっと早く!
そう願ったとき、キャンプに着いた。もうすぐ夜明けだ!
「ライジングスター!ライジングスター!」
ジェードウィングは寝ている猫たちがいるにもかかわらず、大声で叫んだ。
族長が、部屋からぎょっと目を見開いて出てきた。
「一体何事だ?」
「今、スカイウィングのところに行ってきました。そして、サンド族のクレセントクローの企てていることを探ってもらいました」
ライジングスターが身を乗り出した。
「襲撃は夜明けだそうです。急いで戦闘態勢に入らないともう間に合いません!」
それを聞いた瞬間、ライジングスターが警告の雄叫びを上げた。
部屋から次々と猫が出てきて、空き地に集まった。
「サンド族の猫の襲撃だ!夜明けに来るぞ!」
ライジングスターがそう叫んだ。一族の猫たちが不安そうに身動きする音や、低くうなる声が聞こえる。
「ジェードウィング、話してくれ」
ジェードウィングはうなずき、グレートルートに飛び乗った。
「今さっきわかりました。サンド族のクレセントクローが数えきれないほどの浮浪猫を連れて襲撃に来ます!」
「どうしてクレセントクローが?」
母猫のモスペルトが聞いた。
「大集会の日、もめごとがあったんです。クレセントクローは私のことが好きだったみたいで、私が断ったらひどく怒りだしたんです」
「でも、お前は正しいことをしたぞ、ジェードウィング!」
長老のラシットストライプが支持してくれた。ジェードウィングはラシットストライプに頭を下げた。
「とにかく、危険が迫っています!戦闘態勢に入って、長老や子猫は安全なところに!」
それを聞いたとたん、一族の猫たちがいっせいに動き出した。長老が、子猫を導きながらイバラのカーテンをくぐり、一番深い、岩壁の割れ目にある部屋へ入っていった。
近くにクリムソンハートの白い毛が見えた。
「クリムソンハート!あなたはけがをせずに戦うことができる!一族のみんなを全力で守って!」
ジェードウィングが呼びかけた。
「ああ、もちろんだ!俺は君のことも守ってあげるよ」

ジェードウィング
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Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~ - Page 2 Empty Road of love ~それぞれの恋の道~

投稿 by ジェードウィング Tue Sep 12, 2023 6:24 pm

第二十七章   (ジェードウィング)
「来るわ!サンド族の三匹とたくさんの浮浪猫が私たちのなわばりに入ってきた!」
一族のみんなはもう、戦闘態勢になっている。
まず、イバラのトンネルの両脇に三匹ずつ、片側にはクラウドウィング、スラッシュポー、スペックルバーク。もう片側にはフォレストアイ、ホークポー、アージャーウィングがいる。この六匹で、最初に入ってきた猫たちに不意打ち攻撃を仕掛ける。
そして後ろにいる、横二列になり、クリムソンハートを中心として並ぶすべての戦士が一気に攻撃をする。
正直この作戦がうまくいくかはわからない。
だが、うまくいくと信じたい。
そう願っていると、ライジングスターが叫んだ。
「入ってきたぞ!」
その声を合図に、トンネルの両脇にいた戦士たちが敵にとびかかった。
浮浪猫たちだ!
フォレスト族の戦士たちは、浮浪猫六匹に不意打ち作戦を成功させ、一気にやっつけた。
クラウドウィング側の戦士たちは、敵を激しく殴りつけ、フォレストアイは敵の首筋に力いっぱい噛みついている。
最初に入ってきた六匹は、悲鳴を上げながらキャンプを出ていった。
一回目の攻撃は、後ろの部隊の助けがいらないほどあっさりと終った。
あの猫たちは戦うこともできないの?
ジェードウィングは鼻で笑った。
だが、第二群がキャンプに入ってきた瞬間、ジェードウィングは目を見開いた。
約二十匹ほどの猫たちがキャンプに入ってくる!その集団の中にクレセントクローとほか二匹がいることから、この襲撃舞台で最後なのだろう。
クレセントクローは、弱い浮浪猫で私たちのことを試したんだわ!
一族のみんなが敵にとびかかった。今回はなかなか負けてくれそうにない。
すると、大きな茶色のオス猫がとびかかってきた。浮浪猫だ。
ジェードウィングは激しくうなり、歯をむき、長く鋭いかぎづめを出した。
オス猫に殴られたわき腹がまだ痛む。ジェードウィングは怒りを覚え、オス猫にとびかかった。このオス猫は、大きいが遅く、戦うのもへただ。
ジェードウィングはオス猫の腹の下に滑り込み、のどからしっぽの付け根まで一気にひっかいた。
オス猫の腹から血が噴き出て、あまりの苦痛に耐えられなくなったその猫は、悲鳴を上げながら逃げていった。
ジェードウィングは今の一匹は倒したが、他のみんなはかなり負けている。
こっちにはクリムソンハートがいるが、どうしても不利だ。
その時、ある考えが頭に浮かんだ。
この戦いはクレセントクローが中心となっている。つまり、クレセントクローを倒せばすべての猫たちが逃げていくかも!
ジェードウィングは周りを見渡した。
その瞬間、背中に誰かが飛び乗ってきた。
「俺を探しているのか?」
バカにしたような、クレセントクローの声だ!
「ええ、そう。あなたを探していたの!」
そう言って、ジェードウィングは背中に大きなオス猫を乗せたまま後ろざまにたおれた。
クレセントクローが自分の下敷きになっている。
ジェードウィングは素早く飛びのき、クレセントクローの顔を二、三発殴った。
すると、立ち上がったクレセントクローが高く飛びあがり、襲い掛かってきた。ジェードウィングはとっさに機転を利かせ、仰向けに、腹を見せるように転がり、四つの足を上へ向かってピンと立てた。
予想通りのことが起こった。
クレセントクローはジェードウィングの腹の上ではなく、立てた四つの足の上に着地してしまい、ジェードウィングに腹を蹴り上げられた。
「あなたって思ったほど強くない!」
「それはどうかな?」
クレセントクローは、名前の通りの三日月のような鋭いかぎづめを突き出し、ジェードウィングのわき腹を裂いた。
血が噴き出し、わき腹に激痛が走る。それでも耐え、クレセントクローに向き直った。
クレセントクローが飛び上がったのと同時にその場を離れた。地面に着地したクレセントクローに体制を立て直す暇もあたえず、ジェードウィングは
クレセントクローの足の後ろ側にあるピンと張った腱(けん)に向かって前足を突き出し、殴った。足がカクンと崩れたすきに背中に飛び乗り、首筋にかみついた。
クレセントクローが苦痛の悲鳴を上げる。
ジェードウィングはもっと強くかみついた。
そして首を離し、後ろ足で背中の毛をかきむしった。傷から血が噴き出る。
とうとうクレセントクローは悲鳴を上げて逃げていった。
それを見た敵の集団は、「クレセントクローがやられた!」と叫び、ぞっと目を見開いたまま走り出した。
私たちは勝ったんだわ!
いつの間にか、息を切らしたクリムソンハートがそばに来ていた。
「勝ったな」
「ええ、勝ったわ」
『勝った』という言葉が、戦いの後のしんとした空き地に響いた。
その瞬間、戦士たちがいっせいに歓声を上げた。
私たちは勝ったんだわ!

ジェードウィング
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投稿 by ジェードウィング Tue Sep 12, 2023 6:38 pm

第二十八章   (スカイウィング)
スカイウィングは夢を見ていた。
スカイ族の狩場だ。フロストスターが歩いてくる。
「ジェードウィングの戦いは終わったわ」
スカイウィングが身を乗り出すと、フロストスターが言った。
「ジェードウィングたちの勝ちよ」
スカイウィングは安堵のため息をもらした。
「でも、あなたたちの特別な力が発揮されるのはこれから。これはほんの初めに過ぎないわ」
スカイウィングは、フロストスターの言葉に目を見開いた。
「じゃあ、何に使うっていうんですか?」
「今は答えられないの。私はあなたに渡さなくてはならないものがあってきたのよ」
フロストスターは空のように青い、透き通った美しい石のようなものを落とした。川岸にあるような、表面が滑らかな丸っこい形だ。
「これは何ですか?」
「これはブルーサファイアよ。美しいでしょう?あなたの目を意味するの」
「どういう意味ですか?」
スカイウィングがたずねると、フロストスターは首を振った。
「ここでは教えられない。でも、今からそれを持ってスターモスへ行きなさい。ジェードウィングとクリムソンハートもくるわ」
「わかりました、フロストスター」
フロストスターは優しくうなずいた。
すると視界が薄れ始め、スカイウィングは夢から覚めた。
このブルーサファイアを持ってスターモスへ行かなきゃ!

ジェードウィング
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投稿 by ジェードウィング Tue Sep 12, 2023 7:47 pm

第二十九章    (ジェードウィング)
ジェードウィングとクリムソンハートは、眠るために戦士部屋へ向かっていた。
だが、途中で気が付いた。
ソイルスターが呼んでる!
クリムソンハートにも聞こえるようだ。
二匹は顔を見合わせ、キャンプの外へ行った。
「ソイルスター?」
ジェードウィングが呼びかけると、夢を見ているわけではないのにソイルスターが姿を現した。
「お前たち、今日はよくやった。だが、特別な力を使うのはまだ先だ。これはほんの最初に過ぎない。ここでは説明できないが、これを持って今からスターモスへいけ」
ソイルスターはそう言って、表面が滑らかな楕円形の翡翠と、少し角ばった感じの深紅のルビーを落とした。
「これはお前たちを意味する石だ。さあ、スカイウィングも待っている。スターモスへ行ってこい」
ソイルスターは二匹にうなずきかけ、消えた。
出かけることをライジングスターに伝えた後、二匹はスターモスへ歩いて行こうとした。そう、<歩いて>だ。
『ジェードウィング!お前は望めば一瞬で行けるだろう?クリムソンハート!ジェードウィングのしっぽをくわえろ!』
ソイルスターの声がした。
「そうでした!ありがとうございます!」
そして二匹は一瞬でスターモスに着いた。
いつもは大集会に使われている場所なので、少ししか猫がいないと変わって見える。
「ジェードウィング?クリムソンハート?」
スカイウィングの不安そうな声がした。スカイウィングも、自分やクリムソンハートがもらったような石を持っている。
「ここに来いと言われたの」
「ええ、私たちも」
「どうすればいいんだろう?」
三匹が話していると、知っている何匹もの猫の声が混ざり合ったような、しかし一匹の猫の声が聞こえた。
「おまえたち、よく来たな。その石を横一列に並べ、眠るんだ」
そういう指示が聞こえた。
三匹は言われた通りにし、目を閉じた。
少しして目を開けると、スカイ族の狩場にいた。だが、目の前にいる三匹の猫は知らない。
一匹は、緑の目を持つ灰色のメス猫。もう一匹は、琥珀色の目をした黄金色のオス猫。そして最後は少し小柄な、青い目をした灰色のトラ猫だ。三匹目の猫は目が見えていない?
三匹をじっくり観察していると、灰色のメス猫が言った。
「まあ!この子たちが新しい予言の猫なのね!」
二匹目の猫が言う。
「ああ、そうみたいだな」
三匹目のトラ猫が、「静かにしろよ、二匹とも。あんまり時間がないんだから」
トラ猫が続ける。
「やあ、君たち!僕らはお前たちのずっと前の時代にいた、特別な能力を持つ猫だ!僕はジェイフェザー。人の気持ちをのぞいたり、夢に入り込んだりできる。君とおんなじだ、スカイウィング。こっちの黄金色の猫が僕の兄さんで、ライオンブレイズ。決してけがをせずに戦うことができる能力は、君と同じだ、クリムソンハート。そしてこの灰色のメス猫がダヴウィングだ。どこでどんなことが起こっても感知することができる。その点はジェードウィング、君と一緒だが、ダヴウィングは移動はできなかったな」
前の時代の特別な猫?
そんなものがあるなんて、考えてもみなかった。
「よくわからないって顔してるな。よし、少し昔話をしてやるよ。昔、僕らは湖のそばのなわばりに住んでいたんだ。そこに住む前は山を越えたところにあるなわばりに住んでいたけど、<二本足>に破壊されちまったんで、引っ越してきたんだ。ぼくらはその時、サンダー族、リヴァー族、ウィンド族、シャドウ族って名前だったんだ。ぼくらは全員サンダー族だ。だが、僕らの少し後の時代、それぞれの部族の族長があんまりたくさんの戦いを起こすもんで、スター族___ああ、今のスカイ族だ___の戦士たちで相談し、一度全部なくしたんだよ。でももう一度チャンスを与えた。また四つの部族を立ち上げる猫たちをつくったんだ。それがフォレスト、ラーク、グラス、サンドっていう名前だったから、名前の最後に「族」を付けた。それが今の君らの部族だ」
ジェイフェザーはそこで話を切った。
「だいたいわかったかい?じゃあ、本題に入る。君たちの力が一番必要になるときについてだ」
スカイウィング、クリムソンハート、ジェードウィングは身を乗り出した。
今度はライオンブレイズが話し出した。
「ダークヴァレイ(闇の谷)族って知ってるかい?<空が黒い世界>とも呼ばれている。君たちのなわばりのちょっと離れたところにあるんだ。その部族が勢力を増してきている。そいつらは、<二本足>を襲うんだ。猫は食べないけど、いずれ君らに危害を加える存在になるだろう。ダークヴァレイの戦士たちは全員黒猫で、君らより少しだけ大きいぐらいなんだ。だけどダークヴァレイをまとめている族長はすごく大きいんだ。君らの三倍はある。そして色は黒っぽい、濃いショウガ色なんだ」
またジェイフェザーが言う。
「ジェードウィング、今君の腹の中にはクリムソンハートとの子猫がいるよ。一匹だ」
ジェードウィングは驚いてクリムソンハートと目を合わせた。
続いてダヴウィングが言った。
「その子には誰にも感じられないほどの厳しい試練が待っている。いずれ四つの部族の猫は一つの部族となってダークヴァレイに立ち向かうでしょう。でもそれには、誰かが二本足のいるところに行かなくてはならない。だってダークヴァレイは<二本足>を襲って遊ぶのだから。ダークヴァレイは<二本足>の子供が好きなのよ。そして、<二本足>の<学校>というところに送り込まれるのは、フォレストアイとクラウドウィングの子供と、あなたたち二匹の子猫よ。ごめんなさい。私たちにはどうすることもできないの。でもその子はしっかり責務を果たすでしょう」
ジェードウィングは驚いて、しばらく何も言えなかった。
すると、ジェイフェザーが口を開いた。
「もう昼になる。お前たちは帰って、一部始終を族長に話せ。頑張れよ」
そして視界がぼやけ、三匹は夢から覚めた。
私たちに力が与えられたのは、私たちの子猫のためだったんだ!

これで1巻的なものは終わりですが、まだまだ続きます。これからはジェードウィングたちの子供たちが中心となって話が進んでいく2巻のような感じのものを作ります。これからもよろしくお願いします!

ジェードウィング
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Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~ - Page 2 Empty Road of love ~それぞれの恋の道~

投稿 by ジェードウィング Thu Sep 14, 2023 4:15 pm

これから二巻のようなものが始まりますが、登場猫は同じです。
学校とか、~さんとか出てきて、名前とかもめっちゃ日本なんですけど許してください!

(一巻の続きとして)三十章   (これからはジェードウィングの子供の話)
「ジェードキット!早く来なさい。命名式よ」
母であるジェードウィングに呼ばれ、足を速める。だが、その母の声には緊張と不安が入り混じっていた。なぜだろう?
ジェードキットは、グレートルートの上のライジングスターの前で立ち止まった。
「ジェードキット、前へ」
ライジングスターに呼ばれ、前に出る。
「ジェードキット、お前は今この瞬間から戦士名を獲得するまでの間、ジェードポーという名前になる。が」
そこでライジングスターは言葉を切った。そして、ジェードウィングにうなずきかける。
ジェードウィングと、父であるクリムソンハートがグレートルートの上に飛び乗った。
「今日、一族のみんなに伝えなくてはならないことがある!」
空き地中にいる猫たちがそわそわと身動きをする。
「スカイウィング、出て来てくれ」
スカイウィング?だれ、それ。
みんなが驚いた様子で後ろを振り返った。
「みんな、聞いてくれ。この猫はグラス族のスカイウィングだ」
ジェードポーは父の言葉を聞き、驚きで目を見開いた。
父が続ける。
「今日は訳があってきてもらったんだ。よく聞いてくれ。俺たちは特別な能力をもつ予言の猫だ!我々三匹が特別な能力を授かったのは、このジェードポーと、二か月年上の、クラウドウィングとフォレストアイの子、サンダーポーのためなんだ。みんな、ダークヴァレイ族って知ってるか?あいつらが勢力を増してきている。いずれ俺たちにも危害を加えると、スカイ族の昔の名前であるスター族の方々が警告してくださった。ダークヴァレイの猫たちは〈二本足〉を襲うんだ。そこで、サンダーポーとジェードポーを〈二本足〉の〈学校〉というところに送り込めとおっしゃった」
ジェードポーはさらに驚き、父を見た。〈二本足〉って、どんな勇敢な戦士でも恐れてる生き物じゃないの!
一族から抗議と不満の声が上がった。
そこで、スカイウィングが声を張り上げた。
「静かにして!納得しないのはわかってた!でもそれだけ抗議の声が上がる以上、本人に話していただくわ!」
本人に?でもそうおっしゃったのは昔のスカイ族の戦士なんでしょ?
一族が静かになると、ジェードウィング、クリムソンハート、スカイウィングが、グレートルートの上に輝く石のようなものを落とし、線で結べば三角形になるように並べた。
すると、三角形が白く輝き、中から見たことのない猫が三匹出てきた。
空き地中の猫たちから興奮の声が上がる。
一匹目は、緑の目をした灰色のメス猫。二匹目は琥珀色の目をした黄金色のオス猫で、最後は小柄目な、青い目をした灰色の縞模様の猫だ。
縞模様の猫が話し出した。
「フォレスト族のみんな!僕は昔の部族猫、ジェイフェザーだ!この三匹から聞いただろうが、今、ダークヴァレイが勢力を増してきているんだ!
ぼくたちは昔の予言の猫でもある。灰色の猫がダヴウィングで、どこで起こっていることも感知することができる。ジェードウィングといっしょだが、ジェードウィングは一瞬で望むところに移動することもできる。そして黄金色のオス猫が僕の兄さんで、ライオンブレイズ。絶対にけがをせずに戦うことのできる能力は、クリムソンハートといっしょだ。そしてぼくはほかの猫の心の中をのぞいたり、夢の中に入り込むことができる。スカイウィングと同じだ。いいか?サンダーポーとジェードポーを〈二本足〉の学校というところへ送り込まなければ、君たちは確実に滅びる」
ジェイフェザーはそこで話を切った。
一族のみんなもジェードポーも、今目の前で起こっていることに興奮し、毛を逆立てている。
ライオンブレイズが続ける。
「納得してくれなくても無理はない。だが、僕たちは二匹の見習いに力と戦士名を授けに来た」
そしてダヴウィングが言う。
「サンダーポー、ジェードポー。あなたたちは二本足のところに行かなくてはならない。だから二本足の姿になることが必要なの。あなたたちが二本足の姿になった時、言葉や習慣も二本足のようになるから安心して。あなたたちに力を与えるわ」
またジェイフェザーが話し出した。
「そしてジェードポー。君は予言の猫二匹の血を継いでいる。だから君はもっと特別な猫にならなくてはいけないんだ」
ジェイフェザーが言うと、グレートルートの上に置かれた三つの石がパチパチと音を立てはじめた。
ジェードポーがのぞき込むと、三つの石が雷で球体のようにおおわれている!
ジェイフェザーが球体状の雷に鼻で触れると、まるで鼻づらについてくるかのように球体が浮き上がった。中にはしっかりと輝く石が入っている。
そしてジェイフェザーはそのままジェードポーの頭に鼻を触れた。いたい!球体状の雷がジェードポーの体の中に入り込もうとする。
「頑張って耐えろ、ジェードポー!」
ジェイフェザーの声が遠くにいるみたいに聞こえる。
一年とも思える一瞬がたった。雷が完全にジェードポーの体内に入り込んだ。
まだ体が痛い。
一族のみんなや父、母、スカイウィング、族長までも心配そうにジェードポーを見ている。
ジェードポーが顔を上げると、ジェイフェザー、ライオンブレイズ、ダヴウィングがうなずきかけてくれた。
「サンダーポー、ジェードポー、二匹とも頑張れよ。そして、二匹に僕たちから戦士名を与える。サンダーポー、お前は今日からサンダーフォレストという名前になる。その素晴らしい黄金色の毛の色に敬意を示して。そして、ジェードポー。君は今日からジェードフロストという名前になる。その霜のような真っ白な毛皮と翡翠のような美しい瞳に敬意を示して」

あれからもう一年。準備はじゅうぶんにできている。

ジェードウィング
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Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~ - Page 2 Empty Road of love ~それぞれの恋の道~

投稿 by ジェードウィング Fri Sep 15, 2023 7:24 pm

第三十一章
「霜江さん、早く来て!次は体育だよ!」
今日もまたその名前を呼ばれる。
「わかった、すぐ行く」
あの日、二本足の姿になれるようになった私に与えられた名前は「霜江翡翠」。
まあ、ジェードフロストを二本足の名前にそのままうつしただけの名前だ。
背中まである長い髪がじゃまだ。
ジェードフロストはそう思い、髪を束ねた。
私の普段の生活はこうだ。
まず、フォレスト族のキャンプで起きる。瞬間移動して二本足の学校の近くへ行く(私は「テンコウ」してきたということになっている)。二本足の姿になり、霜江翡翠として学校へ行く。学校が終わったらキャンプへ帰る。まあ、こんな感じだ。こういう生活がもう三か月続いている。
指導者の二本足のことを「先生」と呼ぶらしく、その先生たちは私が猫だということも、どうしてここにいるのかも知っている。
ジェードフロストは授業というものを受けなくていいが、体育には出てほしいといわれた。二本足の勉強はわからなくても体を動かすことはできるかららしい。まあ、ごもっともだ。
ジェードフロストは、水たまりに映った、二本足の自分の姿を見た。やはり、猫っぽさは残る。
ぱっちりと大きめな目。目尻のところがきゅっとはねた長いまつげ。いわば、猫目だ。黒っぽい翡翠色の瞳。うすいが鮮やかなピンク色の唇を開くと、とがった牙がある。だが、二本足から見るとこれは「かわいい」らしいからまあ大丈夫だろう。
「何してるの、霜江さん?」
誰かが呼びかけてくる。名前が思い出せない。
二本足の名前はどれも難しくて覚えきれない。
「ごめん、ごめん。今行くから」
そう言って、その人のほうへ駆け寄る。
まずは、かたい砂地の上を二週走るようだ。ジェードフロストは自分のところに並んだ。
走る。全然疲れないわ。二本足ってレベル低い。
と思ったその時。待ちに待ったその時が来た!
ダークヴァレイの猫のにおい!ジェードフロストは二本足の姿になっていても、嗅覚はそのままだ。
ジェードフロストはあたりを見回した。と、ダークヴァレイの黒猫を見つけた。砂地の端のほうにかたまって生えている草の中だ。
ダークヴァレイの黒猫は、二本足目がけて大きく飛びあがった。と同時に、ジェードフロストも列から離脱し、猫の姿に戻った。
そして、飛び上がった黒猫の腹に頭突きをくらわすようにして飛び上がった。
二本足の集団から悲鳴が聞こえる。
ジェードフロストは、黒猫に起き上がる時間も与えずに腹の上に飛び乗った。歯でのどを攻め、後ろ足のかぎづめで相手の腹の毛をかきむしる。とそこで、背中にかぎづめが食い込んだ。ダークヴァレイの猫が加勢しに来たんだ!敵が三匹になっちゃった、どうしよう!
そこで思い出した。こちらにももう一匹仲間がいる。ジェードフロストは大声で叫んだ。
「サンダーフォレスト!!」
敵のかぎづめがジェードフロストの肩に命中した。
そこで、サンダーフォレストが駆け付けた。水色の目は怒りで燃えている。
サンダーフォレストは、雄叫びを上げながら黒猫の一匹に体当たりをし、首筋に深くかみついた。
だめだわ!サンダーフォレストが来てくれても敵が大きすぎる!
ジェードフロストは泣き叫びたくなった。
「お父さん!お母さん!ライジングスター!」
そう叫んだとき、かぎ慣れたにおいが鼻の中に飛び込んできた。
フォレスト族の戦士たち!来てくれたんだわ!お父さんとお母さんもいる!
「ジェードフロスト!」
父と母が駆け寄ってきた。
「その肩の傷、深そうね。ヘザーリーフに見てもらいましょ」
ジェードウィングが、ヘザーリーフのほうをしっぽで示した。
ジェードフロストはうなずき、ヘザーリーフに手当てをしてもらった。
二本足は、その様子を呆然と見ている。まるで、今何が起こったのかわかってないような顔だ。
ジェードフロストは二本足の姿に戻った。だがもうばれたことなので、耳としっぽは猫のままだ。
「今わかったでしょう?あなたたちはダークヴァレイの猫たちに狙われていて、私は一族を守るために来たの」
ジェードフロストは説明し終えると、また猫の姿になった。
クリムソンハートが言った。
「ジェードフロスト、お告げがあった。もうお前たちは一族に戻って言いようだぞ。ダークヴァレイと戦うためには一匹の猫も無駄にはできない、ということらしい。今日からはもう、戻っておいで」
ジェードフロストは胸があたたかくなった。
「ええ!喜んでそうするわ!」

ジェードウィング
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Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~ - Page 2 Empty Road of love ~それぞれの恋の道~

投稿 by ジェードウィング Sat Sep 16, 2023 2:04 pm

第三十一章
ああ、なんて幸せなの。
二本足のところにダークヴァレイの猫だ現れた昨日から、ジェードフロストは一日中フォレスト族の猫として一族のところにいる。
ジェードフロストは単独で狩りをすることにした。
森の中を歩いていると、ふいに猫が飛び出してきて、ジェードフロストに体当たりをくらわした!
どういうこと!?ダークヴァレイの猫はもう部族猫たちをおびやかしに来たの?
ジェードフロストが爪を出し、毛を逆立てて威嚇すると、よく知った声が聞こえた。
「引っかかったわね!」
「お母さん!」
そこにはいたずらっぽく目を輝かせた母が立っていた。
「ねえ、聞いて!あなたにきょうだいができたのよ!」
き、きょうだい?
「うそ!すごい、うれしいわ!」
ジェードフロストは一人っ子だったため、初めてのきょうだいだ。
ジェードウィングはジェードフロストが喜んでいるのを見て、うれしそうにのどを鳴らした。
「クリムソンハートも喜んでいたわ。最近、おなかがふっくらしてきたからヘザーリーフに言ったら、子猫がいるっていうの」
「何匹くらいかわかるの?」
「三匹くらいはいるんじゃないかしらって言っていたわ」
三匹も!
ジェードフロストはうれしさのあまり、その場で二、三度跳ねた。
「あら、ジェードフロスト。あなたウサギになっちゃったの?」
ジェードウィングがふざけて言うので、ジェードフロストも、「ええ、そう!私、ウサギになっちゃったの!」といった。
ウサギの話をしていると、本物のウサギのにおいを感知した。
「ちょっと待ってて」
ジェードフロストは、母にそういってウサギに忍び寄り、とびかかって一撃で仕留めた。
大きなウサギを引きずって母の前に戻ると、母は「お見事」とほめてくれた。
「お母さん、キャンプに帰って分け合って食べましょ」
ジェードフロストが提案すると、ジェードウィングはうれしそうにのどを鳴らした。
二匹がイバラのトンネルをくぐってキャンプに入ると、戦士部屋からサンダーフォレストとクリムソンハートが話しながら出てきた。
クリムソンハートが二匹と大きなウサギに気づき、「ジェードフロスト、すごく大きなウサギだな。お見事」とほめてくれたので、ジェードフロストが、「四匹で分け合って食べましょうよ。どうせお母さんと私では食べきれないでしょうから」というと、二匹が小走りでやってきた。
四匹は食事をする場所に、半分埋まった、上の面が平らな岩の上を選んだ。
太陽の光であたたまった岩の上で食事をするのは、気持ちがいい。
ジェードフロストが大きく伸びをすると、ジェードフロストの真っ白な毛皮が太陽の光を受け、美しく輝いた。
サンダーフォレストが顔を近づけてきて、こう言った。
「君は立派な狩猟猫になれるよ、ジェードフロスト」
ジェードフロストはのどを鳴らした。
四匹が食べ終えたところで、ライジングスターの召集がかかった。
「みんな、空き地に集まれ。一族の集会を始めるぞ」
四匹はかたまって空き地へ行き、腰を下ろした。
ライジングスターが話し出した。
「みんな、ありがたいことにジェードフロストとサンダーフォレストが戻ってきた。スカイ族からお告げがあったんだ、戻ってきていいと。どの部族のどれだけ勇敢な戦士でも恐れている二本足のところへ潜入捜査に行ってくれたこの二匹を表彰する」
一族から賛成の声が上がり、ジェードフロストの心の中に誇らしさがわきあがってきた。
「そして、モスペルトの子たちが生後六か月になったため、命名式を行う。ラセットキット、スノウキット、ストームキット、前へ」
名前を呼ばれた三匹の子猫が前へ出てくる。赤褐色のオスの子猫と白いメスの子猫はちょこちょこと走ってくるが、灰色のオス猫のストームキットだけは、ゆっくりと歩いてくる。
ライジングスターはおかしそうに目を輝かせ、言った。
「ラセットキット、お前は今から戦士名を獲得するまでの間、ラセットポーという名前になる」
ライジングスターがそう言うと、ラセットポーは待ちきれずに自分な名前を叫んだ。
「ラセットポー!」
ライジングスターはひげをふるわせ、笑った。
「見習いになるときは誰だって興奮する。ラセットポー、お前の指導者はサンダーフォレストだ。サンダーフォレスト。お前はスカイ族からの任務を果たし、全力で一族に仕えてきた。お前のその勇敢さや忍耐力をその子に伝授してくれると嬉しい」
近くにいたサンダーフォレストは勢いよく立ち上がり、前に出てラセットポーと鼻を触れ合わせた。ラセットポーはのどを鳴らしている。
わあ、サンダーフォレストはいいなあ。あの子を指導できるなんて…。
そう思っていると、スノウキットの番が来た。
「スノウキット、お前は今から戦士名を獲得するまでの間、スノウポーという名前になる。お前の指導者はアージャーウィングだ。アージャーウィングは有能な戦士だ。狩りの実力も戦闘技術も非常に優れている。お前が教えられるすべてをその子に伝授してほしい」
アージャーウィングは、紺碧色と琥珀色のオッドアイの目を輝かせ、弟子のところに歩いていき、鼻を触れ合わせた。
「最後に、ストームキット。お前は今から戦士名を獲得するまでの間、ストームポーという名前になる。お前の指導者はジェードフロストだ」
やったあ!!ジェードフロストは誇らしさで震えながら前に出て、ストームポーの前に立った。
ストームポーは、自分が気に入ってもらえるかが心配なようで、不安そうに目を見開いている。だが、ジェードフロストの優しいまなざしを見て、安心したように鼻を触れ合わせた。
「よろしくね、ストームポー」
「こちらこそよろしくお願いします!」
「ジェードフロスト、お前はサンダーフォレストと同じく、スカイ族からの任務を果たし、ダークヴァレイの猫を三匹こらしめたな。お前の素晴らしい知恵と戦闘技術を、ぜひその子に伝授してほしい」
ジェードフロストは誇らしさで胸がいっぱいになった。
「期待にお応えできるよう、全力で指導します、ライジングスター」
ジェードフロストがそう言うと、ライジングスターは優しくうなずいた。
「よし、これで見習いの命名式は終了だ。もう一つ、いい知らせがある。ジェードフロストにきょうだいができた。ジェードウィングとクリムソンハートの子だ。ヘザーリーフの診察によると、三匹ほどいるそうだ」
一族のみんなから、「おめでとう!」という祝福の声が聞こえた。
「落ち葉の季節に生まれそうだ。みんな、戦士や長老、もちろん子猫も太らせることができるよう、狩りに励んでくれ。今日はこれで解散だ」
ライジングスターがそう言うと、ストームポーがさっそく聞いてきた。
「ジェードフロスト、今日は何をするんですか?それとも、今日は訓練はなしですか?」
「境界線を見て回りましょう。あなたのきょうだいたちも一緒に来ればいいわ。ストームポー、探してきてくれない?」
ストームポーはうれしそうに鮮やかな緑の目を輝かせ、駆けて行った。
熱心なあの子を、全力で指導しよう。
___一族がダークヴァレイに滅ぼされないためにも。

ジェードウィング
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Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~ - Page 2 Empty Road of love ~それぞれの恋の道~

投稿 by ジェードウィング Sun Sep 17, 2023 9:48 am

スミマセン。
上にあるやつ、三十一章って書いてますけど三十二章です!
なので次のやつは三十三章です!

ジェードウィング
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Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~ - Page 2 Empty Road of love ~それぞれの恋の道~

投稿 by ジェードウィング Sun Sep 17, 2023 10:34 am

第三十一章
「いらっしゃい、ストームポー」
ジェードフロストは戦いの訓練のため、訓練用の、コケが密生した空き地に出た。
他にも砂地のような空き地もあるが、初めての戦いの訓練なので、こちらのほうがやりやすいだろう。
「ここでいいわ。ストームポー、あなたはほっそりとした体形で、とてもしなやかね。私と似たような感じの体つきだから、私を指導者に選んだんだと思う。あなたに合った戦いの技をいくつも習っていきましょうね」
「はい、ジェードフロスト!」
ストームポーは元気よく答えた。そんな弟子の熱心さを目にし、思わず顔がほころぶ。
「さあ、さっそく始めましょう。つめはしっかりひっこめておくこと。わかった?」
ストームポーがうなずいた。
「ストームポー、あそこにあるブナノキから、私に向かって全力で突進してみなさい」
ジェードフロストはそう言いながら、少し離れたところにある、背の高いブナノキをしっぽで示した。
ストームポーは小走りでブナノキに近づき、ジェードフロストに向かって全力で走り出した。
思わず感心してしまう。なんて足が速いの?素晴らしいわ!
そう思いながらも、ストームポーがキツネ二匹分の距離まで近づいてくるとジェードフロストは後ろ足で立ち上がり、背中をそらせてから一気に前に体重をもどした。
ちょうど前足がストームポーの背中に当たり、ストームポーは見事に押さえつけられた。
ジェードフロストは、ストームポーが立ち上がれるよう、後ろに下がった。
すると、ストームポーが目を輝かせて言った。
「素晴らしい技ですね!やってみたいです!ぼくにもできるでしょうか…?」
「ええ、もちろんよ!自信をもって」
そういうと、ストームポーはうれしそうにのどを鳴らした。
「さあ、やりましょ。まず、敵がキツネ二匹分の距離まで来たら後ろ足で立ち上がり、背中を後ろにそらす。そして一気に体重を前に戻すの。やってごらんなさい」
二匹は、日が落ちるまでに四つの技を覚えた。
一つはジェードフロストが初めにやって見せた技。二つ目は敵の腹の下に滑り込み、腹を蹴り上げる技。三つめは、敵がとびかかってきたら腹を見せるようにあおむけに転がり、四つの足を上に向かってピンと立てる技。四つ目は瞬時に敵をよけ、混乱させる技だ。
どれもかなり難しい技だが、初めての訓練にしてこんなにできるなんて、と、感心せずにはいられなかった。
「今日はこれでおしまいにしましょ」
ジェードフロストがそういったとき、おいしそうなハタネズミのにおいがした。
「ちょっと待ってて」
ジェードフロストは蛇のように地面をすべるかのように進み、すばやく頭を突き出し、歯で獲物を捕らえた。そしてひと噛みで仕留め、ストームポーのところに戻った。
「すごい狩りの方法ですね。ぼくも覚えたいです!いずれ教えてくださりますか?」
「ええ。では明日は狩りの訓練にしましょう」
「やったあ!」
「これ、分け合って食べましょう。おなかすいているでしょう?」
ストームポーは目を輝かせ、「いただきまぁす!」と元気に叫んでから獲物にかぶりついた。
ストームポーはのどを鳴らし、こういった。
「すごくおいしいです、ジェードフロスト。ジェードフロストも食べましょうよ」
ジェードフロストは返事代わりに優しくのどを鳴らし、一緒に獲物を食べ始めた。
食べ終えたとき、ジェードフロストは思いついた。
「そうだわ!長老たちのためにやわらかいコケを取っていきましょう。きっと喜ぶわ」
ストームポーは一瞬嫌そうな顔をしたが、「仕方がないじゃん、ストームポー。これも見習いの仕事だ」と自分に言い聞かせるように頭を振った。
そして二匹はカシノキの幹に生えているコケをはがしとり、キャンプに、そして長老部屋へ向かった。
「ジェードフロストとストームポーです。寝床用のコケを取ってきました」
「おお、お前たちか。入ってくれ」
中から長老のホワイトクローの声がした。
ジェードフロストが入ると、ホワイトクローが言った。
「ああ、よかった。だいぶ前に見習いがとってきたコケは乾きすぎていてチクチクするってラシットストライプが言うんだよ。まあ、俺も少しそうは思っていたんだがな…」
ホワイトクローは語尾をにごした。
「大丈夫ですよ。ストームポーが見つけてくれたこのコケは川の近くにあって、やわらかいですよ」
「お前が見つけてくれたのかい?」
ラシットストライプの声が聞こえた。
ストームポーは少し恥ずかしそうに肩をすくめ、「はい、そうです、ラシットストライプ」といった。
「さっそく替えてくれると嬉しいわ」
三毛柄のメスの長老、スポッティドウィングが言った。
「ストームポー、かえておいてくれる?」
ストームポーがうなずくと、ジェードフロストは長老部屋を出た。
ああ、とても疲れた。でも今日も平和だった。
ジェードフロストは戦士部屋で丸くなり、穏やかな眠りについた。
____まるで、今部族猫たちがダークヴァレイに狙われているのが嘘かのように。____

ジェードウィング
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Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~ - Page 2 Empty Road of love ~それぞれの恋の道~

投稿 by ジェードウィング Sun Sep 17, 2023 10:36 am

すみません、また三十一章って書いちゃいました。
わざとじゃないんです。ほんとは三十三章です。

ジェードウィング
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Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~ - Page 2 Empty Road of love ~それぞれの恋の道~

投稿 by ジェードウィング Sun Sep 17, 2023 11:36 am

第三十四章
着いた。ここがダークヴァレイの猫が住む闇の谷だ。
「おい、誰だ、お前?」
ふいに、知らない猫の声がした。
振り返ると、自分より一回り大きな黒猫がいた。
「お前、ダークヴァレイの猫か?俺はクレセントクロー。少し離れたところに住む部族猫だ」
「お前たちみたいな臆病猫が俺たちに何の用だ?」
クレセントクローは少し間をおいてから言った。
「俺はお前たちのスパイになってやろうと思う」
黒猫は鼻を鳴らした。
「お前がか?お前はやりそうもないが」
「いいや、やるよ。俺は部族猫の中に憎んでいる奴がいる。そいつは俺を裏切った。今度は俺が裏切る番だ」
「ほんとにやるつもりはあるんだな?」
「ああ。お前のボスと話させてくれ」
黒猫はちょっとためらったのち、言った。
「ついてこい」
その瞬間、メス猫の悲鳴が、落ち葉の季節の冷たい空気をつんざくように響いた。
これも夢?いいえ、違う!ジェードウィングの声だわ!
「ヘザーリーフ!ヘザーリーフ!」
看護部屋からヘザーリーフが出てきた。
「今聞きつけたわ。行きましょう。クリムソンハートを呼んできてちょうだい」
また一声ジェードウィングが鳴いた。
ジェードフロストは戦士部屋に頭を突っ込み、「クリムソンハート!ジェードウィングのお産が始まりました!」と叫んだ。
すぐにクリムソンハートが出てきた。毛に寝ぐせが付いている。クリムソンハートは胸の毛を二、三度なめてから、「行こう」といった。
ストームポーが水を含ませたコケを保育部屋に持って行っている。スノウポーは陣痛が来たとき用の、太めの枝を運んでいる。
クリムソンハートとジェードフロストは保育部屋に入った。
ジェードウィングは水を飲み、枝をくわえた。
枝がピシッと音を立てたと同時に、一匹目の子猫が、ジェードウィングのしっぽの下から滑り出てきた。
「見て、ジェードウィング。かわいいオスよ」
ヘザーリーフが優しく話しかける。と、二匹目の子猫が滑り出てきた。
「この子はメス。ジェードフロスト、毛を逆立てるようにしてなめて」
ジェードフロストは言われた通りにした。
しばらくすると、三匹目の子が生まれてきた。
「この子もオスね。クリムソンハート、ジェードフロストと同じようになめてちょうだい」
ジェードフロストがなめていた子が身動きをした。そして、口を大きく開けて「ミー」とないた。
しばらくして、他の二匹も動き出した。
ジェードフロストが聞いた。
「名前、どうするの?」
「そうね…この子は」
ジェードウィンぐは最初に生まれてきた、オレンジ色のオスの子猫を鼻づらで示しながらいった。
「この子は、オレンジ色だから、ファイヤキット。この子は、」
次は二番目に生まれてきた、銀色のトラ柄の子猫を示した。
「美しいトラ柄だから、タイガーキットにしましょう。最後にこの子は、黒っぽい灰色だから、チャコールキット(炭の子猫)にしましょう」
ああ、やっと会えた。この子たちが私のきょうだいなんだわ。でも、今日見た夢が気がかりでしようがない。
この子たちだけは、命に代えても私が守ろう。
たとえ戦う相手がダークヴァレイのリーダーだったとしても。

ジェードウィング
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Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~ - Page 2 Empty Road of love ~それぞれの恋の道~

投稿 by ジェードウィング Mon Sep 18, 2023 11:41 am

第三十五章
「ストームポー、あなた完全にこの狩りの技を習得したわね!」
ジェードフロストは弟子と一緒に狩りに来ていた。
ストームポーは、だいぶ前に教えた、蛇のようにくねりながら進み、あごを突き出して歯で獲物を捕らえる方法を完ぺきにこなせるようになった。
しかも、どの獲物ならとびかかってとらえるか、どの獲物なら歯でとらえるかを瞬時に判断できるのだ。
「ありがとうございます」
ストームポーはハタネズミをくわえたままもごもごと礼を言った。
「さあ、今日はたくさん獲物がつかまったわね。枯葉の季節は目の前だというのに。立派な狩猟猫がいて一族は幸せだわ。きっとスプリングストームやライジングスターもほめてくださるわ」
それを聞いたストームポーは、うれしそうに目を輝かせた。
二匹はキャンプへ続くイバラのトンネルをくぐった。その瞬間。
猫が三匹とびかかってきた。
「くらえ、姉ちゃん!」
「私たちのほうが数が多いのよ!」
「わあ、おいしそうなハタネズミ!」
三匹の子猫の声が一気に重なりほとんど聞こえなかったが、ジェードフロストは弟や妹たちのことを、つめをしっかりひっこめた前足で優しくたたいた。
「私は見習いにもなってない子猫には負けないわよ!」
ジェードフロストが言うと、
「今にぼくらのほうが強くなるぞ!そして母ちゃんや姉ちゃんを守る!」
オレンジ色の弟のファイヤキットが言った。
「それはどうかしら。きっとお兄ちゃんより私のほうが強くて賢い猫になるわ!」
銀色のトラ柄の妹、タイガーキットが緑色の目を輝かせながら言った。
最後に黒っぽい灰色の弟、チャコールキットが言った。
「ぼくにこのハタネズミ、くれる?」
「ええ、もちろん。でもお母さんにも何か持って行って、きょうだい三匹で仲良く食べること。いい?」
三匹がそろってうなずいたのを見て、ジェードフロストはのどを鳴らした。
「ストームポー、長老たちに獲物を持って行ってくれない?」
「わかりました、ジェードフロスト」
ストームポーも向こうへ駆けて行った。
こんなに平和なのに、あの子たちが生まれてくる朝に見たあの夢はいったい何だったのかしら?
クレセントクローとかいったけ?私はあんな猫知らないから、あたしが勝手に妄想してたのかもね。
ジェードフロストはそう思い流した。
ジェードフロストはもう一度イバラのトンネルをぬけ、森に出た。
何も考えずに歩いていると、グラス族のにおいが濃く漂ってきた。
ここは境界線の近くなんだわ!戻らなきゃ!
そう思い、引き返そうとすると、一匹の猫の姿が目に入った。グラス族のなわばりにいるのは…ペタルムーン?!あのしっぽや耳の先が淡いショウガ色の白猫はペタルムーンだわ!
「ペタルムーン、そこはグラス族のなわばりですよ!」
ジェードフロストが呼びかけると、ペタルムーンが振り返った。
「私のこと?私はスカイウィング。ペタルムーンじゃないわ」
うそ!ペタルムーンじゃなかった!
「し、失礼しました!遠目に見ると似ていて…」
「いいのよ。そういうことって、たまにあるから。気にしないで」
「あ、ありがとうございます」
「じゃあね」
そういって、スカイウィングが歩き去ろうとしたその時、ジェードフロストはスカイウィングのことを思い出した。
「あ、あの、あなたは予言の方ですね!夢に入り込んだり、心の中をのぞいたり!」
スカイウィングも驚いたようで、振り返った。
「ええ、そうよ。なぜあなたのような若い戦士が知っているの?」
「私、ジェードウィングの娘のジェードフロストです!」
「まあ、ジェードフロスト!じゃあ、二本足のところに送り込まれたあの猫なのね!戻ってこれてよかったわ」
「ありがとうございます!あの…失礼だったら申し訳ありませんが、母に何か伝えましょうか?」
「ああ、何か困っていることがあったら、いつでも私をたよってと伝えてくれる?」
「はい、わかりました」
「ありがとう。じゃあ、今度こそさようなら」
「さようなら」
ああ、驚いた。あんまりペタルムーンに似てたから。
母への言伝は必ず伝えよう。
そう考えながら、ジェードフロストはキャンプへ向かって歩き出した。

ジェードウィング
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Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~ - Page 2 Empty Road of love ~それぞれの恋の道~

投稿 by ジェードウィング Tue Sep 19, 2023 5:12 pm

第三十六章
「まあ、ジェードフロスト!寒くなってきたっていうのにいったいどこへ行っていたの?」
母のジェードウィングがたずねる。
「何も考えずに歩いていたの。そうそう、グラス族との境界線まで行ってみたのだけれど、スカイウィングに会ったわ。困ったことがあったらいつでもたよりにしてと伝えてほしいと言われたわ」
「そうなのね。教えてくれて、ありがとう」
話していると、ライジングスターの召集がかかった。
「みんな、空き地に集まれ!一族の集会を始めるぞ!」
各部屋からたくさんの猫が空き地に集まってきた。
「今から戦士の命名式を始める。ヴァイオレットポー、リリーポー、前へ」
ヴァイオレットポーとリリーポーがとても興奮したようすで前に出てきた。
「先祖のみなさま!わたくし、フォレスト族の族長であるライジングスターは、この二匹の見習いを戦士に昇格させることを宣言させていただきます!ヴァイオレットポー、リリーポー。お前たちは自分の命を犠牲にしてでも一族を守ることを誓うか?」
「誓います、ライジングスター」
二匹は声をそろえていった。
「では、お前たちに戦士名を与える。ヴァイオレットポー、お前は今この瞬間からヴァイオレットプール(スミレの水たまり)という名前になる。命あるかぎり一族につくし、お前の力を発揮してほしい。そして、リリーポー。お前は今この瞬間からリリーウィング(ユリの翼)という名前になる。お前は素晴らしい見習いだ。これからは素晴らしい戦士として活躍してほしい」
「ヴァイオレットプール!リリーウィング!」
一族が声をそろえて新しく戦士になった猫の名前を呼び始めた。
空き地が静かになるのを待ってから、ライジングスターが言った。
「これで戦士の命名式は終了だが、ほかの見習いたちも訓練に励むように。解散!」
ライジングスターが言い終えると、空き地にいた猫たちは散り始めた。
ジェードフロストは、新しく戦士になったヴァイオレットプールとリリーウィングのところに行き、言った。
「来て、ヴァイオレットプール、リリーウィング!寝床を作る場所を決めましょう!」
ヴァイオレットプールとリリーウィングが目を輝かせた。
二匹の寝床は、サンダーフォレストとジェードフロストの寝床のそばに二つ並べて作ることになった。
三匹で協力してコケやシダを運び、寝心地のよさそうな、やわらかい寝床を作った。
もうあたりは真っ暗。日が短くなってきたのだ。
ジェードフロストは暗いところに目を慣らそうと瞳を真ん丸にし、ストームポーに、明日の訓練内容を伝えに行った。
用事がすべて終わったジェードフロストは、疲れて寝床にばたんと横になった。
夢を見ている。
「今、俺たちの部族は獲物不足だ。完全に枯葉の季節になると、キツネなどの動物も獲物を捕まえるために巣穴から出てくる。だから一族のみんなは警戒心を高め、パトロールも絶やさないだろう。そこを狙うのは無理だ」
クレセントクローがそこでいったん言葉を切ると、黒っぽいショウガ色の、猫とは思えないほど大きなオス猫が、大きな頭をたてに揺らした。
「じゃあ、どうしたら部族を俺のものにできる?」
「部族猫どもが浮かれてやがる雪解けの時期を狙えばいい。俺たちがその時期に襲ってくるなんて、夢にも思わないだろうからな」
「なるほど。確かに、お前の作戦は理にかなっている。いいだろう。雪解けの季節を狙ってみるとするか」
「あいつらがジャギッドクローに勝てるわけがない。あんな馬鹿な部族の二つや三つ、簡単につぶせるだろう」

ジェードウィング
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Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~ - Page 2 Empty Road of love ~それぞれの恋の道~

投稿 by ジェードウィング Thu Sep 21, 2023 7:24 pm

第三十七章
「うう、なんて寒いのかしら!」
「ほんと、その通りだな!」
ジェードフロストは、サンダーフォレストや弟子たちと一緒に狩りに来ていた。
もうすっかり枯葉の季節だ。
今日はまだ、やせたハタネズミが一匹しか捕まっていない。こんなの、スポッティドウィングは喜ばないわ。
そう思ったとき、ネズミのいい匂いが鼻の中に飛び込んできた。ガリガリという音もする。
ジェードフロストが目を凝らすと、太ったネズミが、木の実についた霜を夢中になってかきとっていた。
「ネズミだわ、ちょっと待ってて」
ジェードフロストは、お得意の蛇のような歩き方で獲物に忍び寄った。
ネズミは気づいていない。
ほどよくネズミに近づいたその時、ジェードフロストは素早くあごを突き出し、獲物を捕らえた。そしてひと噛みでしとめた。
「お見事、ジェードフロスト!」
サンダーフォレストがほめてくれた。弟子たちも目を輝かせている。
「ありがとう」
「それにしても、よく太ったネズミですね。枯葉の季節でも食べ物には困らなかったみたいに見えます」
ストームポーが言うと、続いてサンダーフォレストの弟子のラセットポーが言った。
「そうだよな。ぼくたちはこんなに苦労しているっていうのに、憎たらしいやつだ!」
「ラセットポー、獲物には敬意を払え!それが真の戦士だ」
サンダーフォレストがしかった。
「すみません、サンダーフォレスト」
「まあ、そんなに叱らないでやって、サンダーフォレスト。それからラセットポー、あなたもサンダーフォレストの言うことはお聞きなさいね」
それから四匹はしばらく狩りをした。
捕まえたのは、やせたハタネズミ、太ったネズミ、ズアオアトリ二匹、そしてなんとストームポーが、一族みんなの腹をじゅうぶんに満たせるほど大きなキジを捕まえたのだ!
ストームポーがしとめたキジは、キャンプへ持って帰るなり一族みんなの注目を集めた。キジを見たライジングスターが目を輝かせ、「一族みんな!ストームポーがキジを捕まえてくれた!分け合って食べよう!」といった。
その言葉を聞いたみんなが次々と空き地に集まってきて、自分の分け前を捕った。そしてストームポーを口々にほめたり、礼を言ったりしてから部屋へ戻って食べ始めた。ジェードフロストは、長老たちにキジを持っていくことにした。
「ジェードフロストです!入りますよ!」
そう言ってから、ジェードフロストは、キジをくわえて長老部屋に入った。
「おや、ジェードフロスト。くわえているのはキジかい?」
「ええ、そうですよ、ラシットストライプ!ストームポーが捕まえてきてくれたんです。すごく大きかったんですよ!」
「まあ、ストームポーの狩りの腕前はすばらしいわね!枯葉の季節でも一族の腹を満たせるなんて」
スポッティドウィングが言った。
「ありがとうございます、スポッティドウィング。ストームポーにも伝えておきますね!」
「キジなんて食べるのは何年振りかわからないよ。本当に、久しぶりだ」
「そうですよね、ホワイトクロー。私は一度も食べたことがありません」
長老たちがキジを食べ始めると、ジェードフロストは部屋を出て、自分の分け前をとりに行った。
そこで気が付いた。ジェードウィングやきょうだいたちにも持って行ってあげなくちゃ。
保育部屋に入ると、ファイヤキットがいった。
「姉ちゃん、それ、何?」
「これはキジよ。ストームポーがしとめたの。あなたたちはまだ一度も食べたことがないだろうと思って持ってきてあげたわ。もちろん、お母さんの分もね」
「ありがとう、ジェードフロスト」
ジェードウィングが礼を言った。
「ねえ、ここで食べていっていいかしら?」
「ええ、もちろんよ」
ジェードフロストはあたたかい気持ちになった。
弟や妹や、父や母や一族のみんなに囲まれて、あたしはすごく幸せなんだわ。

ジェードウィング
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Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~ - Page 2 Empty Road of love ~それぞれの恋の道~

投稿 by ジェードウィング Fri Sep 22, 2023 5:29 pm

第三十八章
「みんな、空き地に集まれ!大集会に行くものを発表する!」
ライジングスターの召集がかかった。
「呼ばれたものはイバラのトンネルの前に並べ!ジェードウィング、クリムソンハート、ペタルムーン、シルヴァークロー、リリーウィング、ヴァイオレットプール、ジェードフロスト、サンダーフォレスト、アージャーウィング、新しく見習いになった三匹、モスペルト、スパロウペルト、ミスティポーだ」
呼ばれた猫たちが次々とトンネルのほうへ並び、ライジングスターを先頭にイバラのトンネルを抜けた。
ああ、寒い。
日が出ていない夜は、月明かりで明るいが、日中の倍ほど寒い。ジェードフロストは寒さに毛を逆立てた。
すると、いつの間にかサンダーフォレストが横に来ていた。
「寒いな、ジェードフロスト」
「ええ、ほんと」
何かを言うたびに口から白い息が出る。
「今日は誰が来るんだろう?年長の戦士は来るのかな?」
「来てくれたら、うれしいわね!しかもスターモスはくぼ地だから、いくらか風は防げると思うの」
「それはありがたいな!」
ジェードフロストはのどを鳴らした。
そしてフォレスト族のみんなはしばらく歩いた。もうすぐ月が一番高いところに上る。そこでフォレスト族の一団はスターモスに着いた。
もうラーク族は来ているが、ほかの二部族はまだ来ていない。
ジェードフロストはサンダーフォレストとわかれ、ラーク族の猫と話すことにした。
「ねえ、あなた」
ラーク族の薄いクリーム色のメス猫が話しかけてきた。
「私はブラッサムフロー。あなた、ジェードフロストよね?二本足のところに行っていた、フォレスト族の戦士」
「ええ、そうよ」
「前からあなたと話してみたいと思っていたのよ。とてもきれいな翡翠色の瞳ね!」
「ありがとう。母と同じなの」
「紹介するわね。この子は私の弟子、ピーコックポーよ」
ブラッサムフローのうしろから、クジャクの羽のような青緑の目をした白いメス猫がでてきて、「こんばんは、ジェードフロスト」とあいさつした。
ジェードフロストも、「こんばんは、ピーコックポー」と返事をした。
「あなたはもう弟子をとった?」
「ええ、あそこにいるのが、そう。ストームポー!」
ジェードフロストは、ラーク族の見習いと話しているストームポーを呼んだ。
ストームポーが小走りでやってきた。
「この子が、ストームポー。ストームポー、この猫はラーク族の戦士のブラッサムフロー。そしてこの子は弟子のピーコックポーよ」
ストームポーは薄緑の目を輝かせ、二匹の猫に会釈した。
そこで、残りの二部族がくぼ地になだれ込んできた。すごい数だ。
そしてしばらくおしゃべりを楽しんだのち、族長たちが開会の言葉を言い始めた。
ラーク族のクロウスターだ。
「我々部族の族長たちは、部族のみんながこの大集会に参加することをうれしく思い、そして歓迎する」
続けて私たちの部族の族長、ライジングスターが言った。
「今夜は1か月に一度しかない特別な日だ。休戦のおきてを守り、族長の言うことには従うことを守ってほしい」
そしてライジングスターは、どうぞというようにグラス族のゴールデンスターに頭を下げ、後ろに下がった。
ゴールデンスターの報告が始まった。
「枯葉の季節に入り、我々のなわばりでは獲物が少なくなってきた。だが俺の部族の猫たちは健康だ。薬草のたくわえもたくさんあるため、今年の枯葉の季節は比較的楽に過ごすことができそうだ。それから、アイスヘアに子猫が生まれた。ブレイズハートとアイスヘアの子だ。子猫たちは三匹生まれ、クラウドキット、シーダーキット、クランプキットと名付けられた。俺たちグラス族は、心からこの三匹の子猫を歓迎する」
全ての部族の猫から大きな歓声が上がった。「おめでとう」という祝福の声も聞こえる。ジェードフロストも声をそろえた。
ゴールデンスターが後ろに下がると、サンド族のトゥリクルスターが報告を始めた。
「わが部族のなわばりでも獲物の姿を見ることが少なくなった。だが、うれしい知らせもある。ホワイトブリーズとイーグルアイの子猫二匹が見習いになった。ブライトポーとラークポーだ」
こちらの報告でも、大きな歓声が上がった。見習いが二匹、誇らしげに胸を張っている。
そしてトゥリクルスターはライジングスターに少し頭を下げ、それから後ろに下がった。
「わが部族でも新しく見習いになった猫がいる。モスペルトの子、ラセットポー、スノウポー、ストームポーだ。そして、戦士になった者もいる。ヴァイオレットプールとリリーウィングだ。フォレスト族でも獲物が減ってきている。だが、この前の狩りの日、ジェードフロストの弟子のストームポーがキジを捕まえてくれたおかげで、一族の腹は一時的に満たされた。これからもみんなには狩りも頑張ってほしいと思っている」
全ての部族の猫から見習いたちへの歓声や、ストームポーをほめたりする声が聞こえ、ジェードフロストも誇らしくなった。
ライジングスターは、みんなが静かになるのをちょっと待ってから、また話し出した。
「そして、ジェードフロストにきょうだいができた。ジェードウィングとクリムソンハートの子だ。三匹いる。ファイヤキット、タイガーキット、チャコールキットだ。どの子もとても健康な子猫だ」
その報告を聞くなり、「おめでとう!」という祝福の声が四方八方から聞こえてきた。
クリムソンハートとジェードウィングもうれしそうだ。
そして最後にクロウスターの報告が始まった。
「我々の部族では、木の洞にネズミの大家族がいるのが発見され、中にいたネズミをすべて捕った。優秀な狩猟猫のおかげだ。貯蔵用の穴に保存しているものもあるため、しばらくは獲物には困らないだろう」
空き地から賛成の声が上がった。
そして、ライジングスターが言った。
「さあ、全ての部族の報告も終わった。今日の大集会はこれでお開きだ。みんな、気をつけて帰ってくれ」
その言葉を聞くなり、くぼ地中にいた猫たちがいっせいに立ち上がった。
だが、一匹だけ座ったままの猫がいる。
琥珀色の目をした、白地に黒のぶち柄のオス猫。そのオス猫はジェードフロストのことをただじっと見つめていた。
だが、しばらくしてそのオス猫は仲間に声をかけられ、立ち上がった。
ジェードフロストもはっとし、一族のみんなを追いかけた。
これだけは、言い切れる。
あの猫の燃えるようにギラついたあの目に浮かんでいたのは、ほかの何でもない、憎しみだった。

ジェードウィング
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Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~ - Page 2 Empty Road of love ~それぞれの恋の道~

投稿 by ジェードウィング Sat Sep 23, 2023 5:04 pm

第三十九章
「ストームポー、姉ちゃんから習った技、ぜーんぶ教えて!」
火のようなオレンジ色の弟、ファイヤキットが緑の目を輝かせていう。
「うん、でも、ぼくは今から狩りに行かなくちゃいけないから、また今度ね」
ストームポーが優しく返す。
それを聞いたトラ柄の妹、タイガーキットが、
「私たち、あと一か月で生後六か月の見習いになれるもん!」
「でも、ぼくは看護猫になりたいなあ」
茶色みがかった灰色の弟、チャコールキットが言う。
「だって看護猫のヘザーリーフって、みんなから尊敬されてるじゃないか」
この子はほかのきょうだいよりも、少し体が小さめだ。
「あら、いいじゃない、看護猫。誰かがけがをしたら、必ずあなたが助けてくれるわね、チャコールキット」
ジェードフロストは、弟に優しく言った。
「うん、もちろん!」
チャコールキットが水色の目を輝かせて言った。
「じゃあ、行ってくるわね」
ジェードフロストはきょうだいたちにそう言い、ストームポーと連れ立ってイバラのトンネルを抜けた。
風を防ぐことのできる岩壁があるキャンプを出たとたん、二匹はそろって身震いをした。
「ストームポー、今日はとても寒いけれど、獲物たちだって食べ物がないと生きていけない。たとえ危険に身をさらしたとしても、獲物は巣穴から出てくるわ」
ジェードフロストの言葉を聞いたストームポーは、毛を逆立てたままうなずいた。
二匹はしばらく狩りをし、またキャンプへ帰った。
取れた獲物は、ハタネズミ二匹とハト一羽だ。
ストームポーは、ハトを長老のところへ持って行った。
ジェードフロストは疲れ果て、戦士部屋の自分の寝床へ向かった。
少しするとサンダーフォレストが入ってきて、自分の寝床で丸くなった。
サンダーフォレストがわき腹をしっぽでなでてくれる。
やさしくゆっくりなでられるのを感じながら、ジェードフロストは心地の良い眠りについた。
だが、次の瞬間目を開けると、暗い谷の夢__そう、ダークヴァレイの夢を見ていた。

ジェードウィング
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Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~ - Page 2 Empty Road of love ~それぞれの恋の道~

投稿 by ジェードウィング Sat Sep 23, 2023 5:05 pm

Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~ - Page 2 Editor

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Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~ - Page 2 Empty Road of love ~それぞれの恋の道~

投稿 by ジェードウィング Sat Sep 23, 2023 5:07 pm

上のは間違えました。
下に入れるやつはイケてると思う…

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Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~ - Page 2 Empty Road of love ~それぞれの恋の道~

投稿 by ジェードウィング Sat Sep 23, 2023 5:08 pm

Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~ - Page 2 Fullscreen

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Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~ - Page 2 Empty Road of love ~それぞれの恋の道~

投稿 by ジェードウィング Sat Sep 23, 2023 5:15 pm

イケました!
説明しますね~
まず、上の紙マークの横の「Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~ - Page 2 Full screen」って書いてあるやつ右クリックしてもらって、「新しいタブで画像を開く」ってやつおしてください!
で、なんか出てくると思うんですけど、緑のはたマークを押してもらって、で、赤い→おしていってもらったら部族のマークとかなわばりの位置とかキャンプの中とか、あと最後にはジェードウィングの想像図も見られます!
遅れてごめんね…(m´・ω・`)m ゴメン…
まあそんな感じで、見てみてください~

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Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~ - Page 2 Empty Re: Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~

投稿 by ブレイズインフェルネス Sat Sep 23, 2023 8:33 pm

初めまして!いや違うな。こんにちは!
ブレイズインフェルネスです。
ずっと掲示板に住み着いてたので、新しい世界にドキドキしてます。どうぞよろしくお願いします!
ホワイトストームかっこいい…

ブレイズインフェルネス
未登録ユーザー


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Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~ - Page 2 Empty Re: Road of love ~それぞれの恋の道~ 第七章~

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